JP2004322970A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ビード部のベアの発生を防止する。
【解決手段】ビード部4は、正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した無負荷の基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、ヒール領域4cに、タイヤ回転軸に対して40〜50゜の角度θでかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部9を有する。面取部9の両端間の長さLを2.0〜4.0mmとする。
【選択図】 図2
【解決手段】ビード部4は、正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した無負荷の基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、ヒール領域4cに、タイヤ回転軸に対して40〜50゜の角度θでかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部9を有する。面取部9の両端間の長さLを2.0〜4.0mmとする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビード部のヒール領域におけるベアなどの加硫不良を減じるのに役立つ空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の空気入りタイヤのビード部bの部分断面図を示す。ビード部bは、非伸張性のビードコアfが埋設されており、その回りにカーカスプライpが折り返されている。またタイヤによっては、前記カーカスプライpに沿って補強コード層(図示せず)などが配されている。またビード部bは、リムのリムシート面に支持されるビードベース面cと、タイヤ半径方向にのびリムフランジ面に支持されるビード外側面dと、ビードベース面cとビード外側面dとの間を形成する円弧状のヒール領域eとを含む輪郭を持っている。
【0003】
図10(A)は、空気入りタイヤを加硫する加硫金型mの一例を示す。加硫金型mは、トレッド部を成形するトレッド成型部maと、サイドウォール部を成形するサイドウォール成型部mbと、前記ビード部bを成形する取り外し可能なビードリングmcとで構成される。ビードリングmcは、図10(B)に部分的に拡大してその断面を示すように、ビード部bの前記輪郭に等しい成形面、即ち、ビードシート面cを成形する第1の成形面g1とビード外側面dを形成する第2の成形面g2と、ヒール領域eを成形する円弧状の第3の成形面g3とを含んで形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ビード部bは、前記カーカスプライpの折り返しやコード補強層などの影響により、タイヤ周方向に厚さがバラツキやすい。そして、例えば図11に略示するように、加硫金型でタイヤを加硫成形する際、ビード部bとビードリングmcの第3の成形面g3との間に空気溜まりiが残存しやすく、これにより成形後のタイヤにベアと呼ばれる加硫不良(凹み)が生じやすい。特にヒール領域eにおいては、生カバーのヒール円弧Rbと、ビードリングm2のヒール円弧Rmとが一致しない部分が周方向で複数箇所発生しやすく、ヒール領域eに上述の空気溜まりiが生じるため、ベアが集中する傾向がある。
【0005】
このようなベアを防止するために、例えば図11に鎖線で示すように、ビードリングmcにベントホールhを設けることが知られている。ベントホールhは、一端がタイヤ成形面に貫通した小孔であり、他端側を大気圧に開放或いは負圧とすることにより、タイヤ生カバーとビードリングmcとの間の空気を吸引してベアの発生を防止するものである。ベントホールhは、例えばドリル等の工具を用いて加工されるが、前記第3の成形面g3は、円弧面であるため、ドリルの先端を精度良く位置決めしづらい。このため、ベントホールhは、平面状をなす第1又は第2の成形面g1、g2に形成されることがある。
【0006】
しかしながら、ベントホールhは、空気と一緒にゴムの一部も吸い込むため、加硫後のビードシート面cやビード外側面dにスピューと呼ばれるひげ状の突起が形成されることとなる。このようなスピューは、ビード部bとリムとの密着性を阻害するため、トリミング工程によって除去する必要がある。これは、生産工程の複雑化を招き生産性を悪化させる。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、とりわけ請求項1記載の発明では、ヒール領域に、タイヤ回転軸に対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部を設けることを基本として、加硫成形に際してビード部のヒール領域におけるベアの発生を減じるのに役立つ空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記面取部にスピューを形成することを基本として、より確実にベアの発生を抑制しうるとともに該スピューのトリミング作業を不要としうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0009】
なおビード部のヒール領域に、面取状の部分を設けたものとして、下記の先行技術がある。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−36830号公報
【特許文献2】
特開2002−254909号公報
【0011】
しかしながら、これらの技術は、リム組みの作業性を向上することを課題としているため、ベアの発生防止を課題とする本発明とは思想が異なる。これに関連して、断面直線状の面取部にスピューを設ける着想は開示も示唆もされていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、環状のトレッド部と、該トレッド部の両端からタイヤ半径方向内方にのびるサイドウォール部と、該サイドウォール部の内方端に形成されたビード部とを有する空気入りタイヤであって、前記ビード部は、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷の基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、ヒール領域に、タイヤ回転軸に対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部を有し、しかも前記面取部の両端間の長さを2.0〜4.0mmとしたことを特徴としている。
【0013】
ここで「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim” 、或いはETRTOであれば ”Measuring Rim”とする。また「ビード幅」は、ビード外側面間のタイヤ軸方向の距離とする。なお正規リムとしてリム巾が異なる2種以上が定められているときは、小さい方とする。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。
【0014】
また請求項2記載の発明は、前記面取部に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号が設けられてなる請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0015】
また請求項3記載の発明は、前記面取部は、スピューが形成されてなる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
【0016】
また請求項4記載の発明は、前記スピューは、前記面取部に対して実質的に垂直にのびることを特徴とする請求項3記載の空気入りタイヤである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には本実施形態の空気入りタイヤ1の基準状態におけるタイヤ軸を含むタイヤ子午線断面図を示している。図1は、タイヤ右半分を示すが左半分も同様の形状を具える。また基準状態は、空気入りタイヤ1を正規リムJにリム組しかつ正規内圧を充填した無負荷の状態を示す。また図2は、図1のビード部の部分拡大図、図3は図2からリムを省略してタイヤ1のみを取り出した断面図を示す。
【0018】
空気入りタイヤ1は、環状のトレッド部2と、該トレッド部2の両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、該サイドウォール部3の内方端に形成されたビード部4とを有する。本実施形態の空気入りタイヤ1は、乗用車用のラジアルタイヤであって、後述する加硫金型により加硫成形される。また空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とによって補強されている。
【0019】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば75゜〜90゜の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aで構成される。カーカスコードは、ポリエステルコード、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードが好適である。ただし、必要に応じてスチールコードも採用できる。カーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを有するものが例示される。前記本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側に先細状でのびるビードエーペックス8が配され、ビード部4が補強される。また前記ベルト層7は、スチールコードをタイヤ赤道に対して例えば10〜45°の角度で傾けて配列した2枚のベルトプライ7A、7Bによって構成されたものを示す。
【0020】
ビード部4は、前記基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、正規リムJのリムシート面J1に支持されるビードベース面4aと、タイヤ半径方向にのびリムフランジ面J2の本例では垂直面に支持されるビード外側面4bと、これらの間のヒール領域4cとを含む輪郭を持っている。ビードベース面4aと、ビード外側面4bとは、タイヤ子午線断面において略直線状で形成されたものが例示される。これは、リムシート面J1、リムフランジ面J2との密着性を高め、気密性を保持するのに役立つ。
【0021】
本実施形態の空気入りタイヤ1は、前記ヒール領域4cを、タイヤ回転軸Nに対して40〜50゜の角度θでかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部9で形成したものが例示される。図4には、この面取部9を含め空気入りタイヤ1を加硫成形した加硫金型Mの断面図を示す。
【0022】
加硫金型Mは、前記トレッド部2を成形するトレッド成型部M1と、サイドウォール部を成形するサイドウォール成型部M2と、ビード部4を成形するビードリングM3とを組み立てて構成される。ビードリングM3は、図5、図6に示すように、ビード部4を成形しうるビード成形面13を持っている。該ビード成形面13は、ビードベース面4aを成形する平面を含むビードベース成形面10と、ビード外側面4bを成形しうる平面を含むビード外側成形面11と、前記面取部9を成形しうる面取部成形面12とを含んでいる。面取部成形面12は、タイヤ子午線断面において、タイヤ回転軸に対して40〜50゜の角度βでかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびるものとして形成される。これにより、ビードリングM3のビード成形面13は、面取部成形面12の両端部に円周方向にのびる2本の稜線E1、E2を有するコーナ部C1、C2が形成されたものを例示する。
【0023】
図7には、ビードリングM3と空気入りタイヤ1の生カバーのビード部14との加硫初期の状態を模式的に示す。ビード部14は、そのヒール領域がほぼ円弧状に形成されるが、ビード成形面13は、平面からなる3つの成形面10、11及び12で形成される。このため、ビード部14とビード成形面13との間には、前記稜線E1、E2を含むコーナ部C1、C2にゴムが満たされない空気溜まりiが形成される。この空気溜まりiは、ビード部14の厚さがタイヤ周方向でばらついていても稜線によって周方向に連続して形成される。
【0024】
また空気溜まりiは、ブラダー16(図4に示す)によるタイヤ内腔側からの圧力と、熱エネルギーによるゴムの塑性流動、さらには加硫金型Mに適宜に設けられたベントホールからの吸引によって徐々に減じられる。この際、エッジを有するコーナ部C1、C2によって、空気溜まりの周方向の連続性が維持され易く、空気の排出効果が向上し、ベアを生じさせる閉鎖された大きな空気溜まりが形成されるのを防止できる。また上述のビードリングM3は、従来のもの(図11に示す)に比べると、製造時にヒール領域の円弧加工が不要となるため、該ビードリング自体の生産性に優れかつ加工精度を向上するのにも役立つ。
【0025】
ここで、前記面取部成形面12のタイヤ回転軸に対する角度βが小さすぎてもまた大きすぎても、上述のベアの防止効果を十分に発揮することができない。このような観点より、前記角度βは40〜50゜、より好ましくは43〜47゜に設定するのが特に望ましい。これにより、加硫成形された空気入りタイヤ1においても、面取部9の前記角度θが40〜50゜に設定される。また面取部成形面12の両端部の長さLm(図6に示す)は、小さすぎると、空気溜まりをタイヤ周方向に途切れなく連続させる効果が小さくなり、逆に大きすぎてもビードベース面4aの面積が減じられリムとの嵌合性能が低下するなど好ましくない。このような観点より、前記長さLmは2.0〜4.0mm、より好ましくは2.5〜3.5mmとするのが望ましい。これにより、加硫成形された空気入りタイヤ1においても、面取部9の長さL(面取分9に沿った長さ)が2.0〜4.0mmに設定される。
【0026】
以上のように、ヒール領域4cに、タイヤ回転軸Nに対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる所定長さの面取部9が加硫成形により形成された空気入りタイヤ1は、ベアを減じる効果がある。
【0027】
また本実施形態の加硫金型Mは、より確実にベアの発生を防止するために、前記面取部成形面12に、ベントホール17を有するものが例示される。該ベントホール17は、断面円形の小孔からなり、周方向に隔設される。ベントホール17の一端は、前記両側の稜線E1、E2の間で面取部成形面12に開口するとともに、他端側が通路18を介して負圧発生器19に連通される。なおブラダー16の圧力が作用するため、ベントホール17の他端は単に大気圧に開放されていても良い。また本実施形態のベントホール17は、図6に仮想線で示すように、ドリルDによってビードリングM3に穿設される。この際、ドリルDの長手方向を面取部成形面12と直角に保持して穿孔することにより、ベントホール17は、面取部成形面12に対して実質的に垂直にのびる。このようなベントホール17は、円弧面に加工を施す場合と比較すると、ドリルDの刃先の固定が容易となり、かつ加工時においてもドリルのブレなどを減じてより精度良く位置決めをなしつつヒール領域にベントホール17を確実に形成できる。
【0028】
ベントホール17は、周方向の配設個数が少なすぎると、空気の排出効果が十分でないため、各側のビード部4においてそれぞれ周上略等間隔に10個以上設けるのが好ましい。なおベントホールの配設個数の上限は、特に限定はされないが、加工工程の大幅な増加を防止する意味で20個程度に抑えるのが好ましい。また特に限定はされないが、ベントホール17の内径は、小さすぎると空気の排出効果が低下しやすく、逆に大きすぎてもゴム漏出量が大となり好ましくない。このような観点より、ベントホール17の内径は、例えば0.3〜1.5mm、より好ましくは0.6〜1.0mm程度に設定するのが望ましい。なお本例のベントホール17は、ドリルによって加工された孔からなるものを示すが、このような場合、孔の内径が小さくなるにつれて加工性が悪化し易い。従って、例えば前記面取部成形面12に、中孔を有するパイプ状のベントピースを埋着しその中孔によりベントホール17を形成することもできる。この場合、前記実施形態よりも加工性が向上し、かつ中孔にゴム等の目詰まりが生じてもベントピース自体を交換しうるなどメンテナンス性を向上しうる点で好ましい。
【0029】
図8に示すように、このようなビードリングを用いて加硫した空気入りタイヤ1では、前記面取部9に、ベントホール17へと進入したひげ状のスピュー20が一体に成形される。該スピューは、面取部9に対して直角にのびている。本実施形態の空気入りタイヤ1は、特にこの部分のスピュー20をトリミングによって除去していない。即ち、リムJは、リムシート面J1とリムフランジ面J2との間に、円弧状の曲面部J3が形成されており、図3に示すように、タイヤリム組み時には面取部9と円弧面J3との間に隙間が形成されるため、該隙間の中にスピュー20を変形させて押し込めうる。従って、スピュー20は、リムシート面J1とビードベース面4aとの密着、及びリムフランジ面J2とビード外側面4Bとの密着を阻害しないから、トリミング工程などにより除去する必要がない。なお円弧状のヒール領域にこのようなスピューが形成された場合、該スピューはリムとの嵌合性を阻害するため、通常はトリミングによって精度良く除去する必要がある。
【0030】
また本実施形態の空気入りタイヤ1は、図8に示すように、面取部9に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号21が本例では凸部として設けられる。前記番号21には、数字、文字又は図形が含まれる。またこれに対応して、ビードリングM3の前記面取部成形面12には、図5に示すように、前記タイヤ識別用の番号21を成型するための刻印20が凹設されている。該刻印20は、例えばポンチ等を用いて形成されるが、他の加工法によって形成されても良い。このような番号21を設けるためにも、面取部9の前記長さLは2.0mm以上とすることが望ましい。
【0031】
タイヤ識別用の番号21としては、例えばシリアル番号又はビードリング番号を含むことが望ましい。タイヤが同一サイズであっても、プライレーティングやその他の設計仕様によっては、ビードリングM3だけを変更することがある。従って、図8に示したように、面取部9に成形されたタイヤ識別用の番号21を確認することによって、タイヤの設計仕様通りに正しいビードリングM3で加硫されたか否かを目視によって容易に確認することができる。またこの番号21を確認することにより、タイヤの製造ロット保証や製品トレースが可能となる。さらに面取部9は、リム組時においては、フランジの円弧面J3との間の隙間に面するため、前記タイヤ識別用の番号21が、隆起模様として形成されていてもリム組性や嵌合性能を悪化させることもない。またリムずれが生じても摩滅することが防止できる。
【0032】
【実施例】
タイヤサイズが195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤを表1の仕様により試作し、ビード部のヒール領域のベアの発生状況を調べた。ビードリングにベントホールを設けたものは、内径1.0mmとし、各ビード部側それぞれにタイヤ周方向で16カ所設けた。またベアの発生状況は、検査員の目視と触診とにより、以下の基準で5段階で判定した。数値が大きいほど良好である。
5:ベアの発生なし
4:ベアが僅かに発生しているものの修理不要で許容できるレベル
3〜2:修理が必要なベアが発生している
1:修理が不能なベアが発生している
テストの結果などを表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明では、ビード部のヒール領域にベアの発生が少ない空気入りタイヤを提供しうる。
【0035】
また請求項2記載の発明のように、面取部に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号が設けられている。これにより、ビード部のヒール領域を確認することにより、タイヤの製造ロット保証や製品トレースが可能となる。また面取部は、リム組時においては、フランジの円弧面との間の隙間に面するため、リム組み時の嵌合性などの悪化を招くことが無く、かつ走行時のリムずれ等によっても前記記号等が摩滅することも無い。
【0036】
また請求項3記載の発明のように、前記面取部にスピューが形成されたときには、該スピューを形成するためのベントホールによって、空気の排出効果がより一層高められ、さらに確実にベアの発生が抑制された空気入りタイヤを提供しうる。
【0037】
また請求項4記載の発明のように、前記スピューは、前記面取部に対して実質的に垂直にのびるものが例示される。つまり、ベントホールをビードリングの面取部成形面に対して直角に形成でき、加工精度や加工性を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す空気入りタイヤの基準状態の断面図である。
【図2】そのビード部の部分拡大図である。
【図3】リム組みした状態でのビード部の断面図である。
【図4】加硫金型の一例を示す断面図である。
【図5】そのビードリングの部分斜視図である。
【図6】ビードリングの部分拡大図である。
【図7】ビード成形面とビード部との接触状態を示す断面略図である。
【図8】空気入りタイヤのビード部をタイヤ回転軸側から見た斜視図である。
【図9】従来のビード部の断面図である。
【図10】(A)は加硫金型の断面図、(B)はそのビードリングの部分拡大図である。
【図11】ビード成形面とビード部との接触状態を示す断面略図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
6a カーカスプライの本体部
6b カーカスプライの折返し部
7 ベルト層
9 面取部
M 加硫金型
M3 ビードリング
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビード部のヒール領域におけるベアなどの加硫不良を減じるのに役立つ空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の空気入りタイヤのビード部bの部分断面図を示す。ビード部bは、非伸張性のビードコアfが埋設されており、その回りにカーカスプライpが折り返されている。またタイヤによっては、前記カーカスプライpに沿って補強コード層(図示せず)などが配されている。またビード部bは、リムのリムシート面に支持されるビードベース面cと、タイヤ半径方向にのびリムフランジ面に支持されるビード外側面dと、ビードベース面cとビード外側面dとの間を形成する円弧状のヒール領域eとを含む輪郭を持っている。
【0003】
図10(A)は、空気入りタイヤを加硫する加硫金型mの一例を示す。加硫金型mは、トレッド部を成形するトレッド成型部maと、サイドウォール部を成形するサイドウォール成型部mbと、前記ビード部bを成形する取り外し可能なビードリングmcとで構成される。ビードリングmcは、図10(B)に部分的に拡大してその断面を示すように、ビード部bの前記輪郭に等しい成形面、即ち、ビードシート面cを成形する第1の成形面g1とビード外側面dを形成する第2の成形面g2と、ヒール領域eを成形する円弧状の第3の成形面g3とを含んで形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ビード部bは、前記カーカスプライpの折り返しやコード補強層などの影響により、タイヤ周方向に厚さがバラツキやすい。そして、例えば図11に略示するように、加硫金型でタイヤを加硫成形する際、ビード部bとビードリングmcの第3の成形面g3との間に空気溜まりiが残存しやすく、これにより成形後のタイヤにベアと呼ばれる加硫不良(凹み)が生じやすい。特にヒール領域eにおいては、生カバーのヒール円弧Rbと、ビードリングm2のヒール円弧Rmとが一致しない部分が周方向で複数箇所発生しやすく、ヒール領域eに上述の空気溜まりiが生じるため、ベアが集中する傾向がある。
【0005】
このようなベアを防止するために、例えば図11に鎖線で示すように、ビードリングmcにベントホールhを設けることが知られている。ベントホールhは、一端がタイヤ成形面に貫通した小孔であり、他端側を大気圧に開放或いは負圧とすることにより、タイヤ生カバーとビードリングmcとの間の空気を吸引してベアの発生を防止するものである。ベントホールhは、例えばドリル等の工具を用いて加工されるが、前記第3の成形面g3は、円弧面であるため、ドリルの先端を精度良く位置決めしづらい。このため、ベントホールhは、平面状をなす第1又は第2の成形面g1、g2に形成されることがある。
【0006】
しかしながら、ベントホールhは、空気と一緒にゴムの一部も吸い込むため、加硫後のビードシート面cやビード外側面dにスピューと呼ばれるひげ状の突起が形成されることとなる。このようなスピューは、ビード部bとリムとの密着性を阻害するため、トリミング工程によって除去する必要がある。これは、生産工程の複雑化を招き生産性を悪化させる。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、とりわけ請求項1記載の発明では、ヒール領域に、タイヤ回転軸に対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部を設けることを基本として、加硫成形に際してビード部のヒール領域におけるベアの発生を減じるのに役立つ空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記面取部にスピューを形成することを基本として、より確実にベアの発生を抑制しうるとともに該スピューのトリミング作業を不要としうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0009】
なおビード部のヒール領域に、面取状の部分を設けたものとして、下記の先行技術がある。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−36830号公報
【特許文献2】
特開2002−254909号公報
【0011】
しかしながら、これらの技術は、リム組みの作業性を向上することを課題としているため、ベアの発生防止を課題とする本発明とは思想が異なる。これに関連して、断面直線状の面取部にスピューを設ける着想は開示も示唆もされていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、環状のトレッド部と、該トレッド部の両端からタイヤ半径方向内方にのびるサイドウォール部と、該サイドウォール部の内方端に形成されたビード部とを有する空気入りタイヤであって、前記ビード部は、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷の基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、ヒール領域に、タイヤ回転軸に対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部を有し、しかも前記面取部の両端間の長さを2.0〜4.0mmとしたことを特徴としている。
【0013】
ここで「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim” 、或いはETRTOであれば ”Measuring Rim”とする。また「ビード幅」は、ビード外側面間のタイヤ軸方向の距離とする。なお正規リムとしてリム巾が異なる2種以上が定められているときは、小さい方とする。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。
【0014】
また請求項2記載の発明は、前記面取部に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号が設けられてなる請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0015】
また請求項3記載の発明は、前記面取部は、スピューが形成されてなる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
【0016】
また請求項4記載の発明は、前記スピューは、前記面取部に対して実質的に垂直にのびることを特徴とする請求項3記載の空気入りタイヤである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には本実施形態の空気入りタイヤ1の基準状態におけるタイヤ軸を含むタイヤ子午線断面図を示している。図1は、タイヤ右半分を示すが左半分も同様の形状を具える。また基準状態は、空気入りタイヤ1を正規リムJにリム組しかつ正規内圧を充填した無負荷の状態を示す。また図2は、図1のビード部の部分拡大図、図3は図2からリムを省略してタイヤ1のみを取り出した断面図を示す。
【0018】
空気入りタイヤ1は、環状のトレッド部2と、該トレッド部2の両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、該サイドウォール部3の内方端に形成されたビード部4とを有する。本実施形態の空気入りタイヤ1は、乗用車用のラジアルタイヤであって、後述する加硫金型により加硫成形される。また空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とによって補強されている。
【0019】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば75゜〜90゜の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aで構成される。カーカスコードは、ポリエステルコード、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードが好適である。ただし、必要に応じてスチールコードも採用できる。カーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを有するものが例示される。前記本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側に先細状でのびるビードエーペックス8が配され、ビード部4が補強される。また前記ベルト層7は、スチールコードをタイヤ赤道に対して例えば10〜45°の角度で傾けて配列した2枚のベルトプライ7A、7Bによって構成されたものを示す。
【0020】
ビード部4は、前記基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、正規リムJのリムシート面J1に支持されるビードベース面4aと、タイヤ半径方向にのびリムフランジ面J2の本例では垂直面に支持されるビード外側面4bと、これらの間のヒール領域4cとを含む輪郭を持っている。ビードベース面4aと、ビード外側面4bとは、タイヤ子午線断面において略直線状で形成されたものが例示される。これは、リムシート面J1、リムフランジ面J2との密着性を高め、気密性を保持するのに役立つ。
【0021】
本実施形態の空気入りタイヤ1は、前記ヒール領域4cを、タイヤ回転軸Nに対して40〜50゜の角度θでかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部9で形成したものが例示される。図4には、この面取部9を含め空気入りタイヤ1を加硫成形した加硫金型Mの断面図を示す。
【0022】
加硫金型Mは、前記トレッド部2を成形するトレッド成型部M1と、サイドウォール部を成形するサイドウォール成型部M2と、ビード部4を成形するビードリングM3とを組み立てて構成される。ビードリングM3は、図5、図6に示すように、ビード部4を成形しうるビード成形面13を持っている。該ビード成形面13は、ビードベース面4aを成形する平面を含むビードベース成形面10と、ビード外側面4bを成形しうる平面を含むビード外側成形面11と、前記面取部9を成形しうる面取部成形面12とを含んでいる。面取部成形面12は、タイヤ子午線断面において、タイヤ回転軸に対して40〜50゜の角度βでかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびるものとして形成される。これにより、ビードリングM3のビード成形面13は、面取部成形面12の両端部に円周方向にのびる2本の稜線E1、E2を有するコーナ部C1、C2が形成されたものを例示する。
【0023】
図7には、ビードリングM3と空気入りタイヤ1の生カバーのビード部14との加硫初期の状態を模式的に示す。ビード部14は、そのヒール領域がほぼ円弧状に形成されるが、ビード成形面13は、平面からなる3つの成形面10、11及び12で形成される。このため、ビード部14とビード成形面13との間には、前記稜線E1、E2を含むコーナ部C1、C2にゴムが満たされない空気溜まりiが形成される。この空気溜まりiは、ビード部14の厚さがタイヤ周方向でばらついていても稜線によって周方向に連続して形成される。
【0024】
また空気溜まりiは、ブラダー16(図4に示す)によるタイヤ内腔側からの圧力と、熱エネルギーによるゴムの塑性流動、さらには加硫金型Mに適宜に設けられたベントホールからの吸引によって徐々に減じられる。この際、エッジを有するコーナ部C1、C2によって、空気溜まりの周方向の連続性が維持され易く、空気の排出効果が向上し、ベアを生じさせる閉鎖された大きな空気溜まりが形成されるのを防止できる。また上述のビードリングM3は、従来のもの(図11に示す)に比べると、製造時にヒール領域の円弧加工が不要となるため、該ビードリング自体の生産性に優れかつ加工精度を向上するのにも役立つ。
【0025】
ここで、前記面取部成形面12のタイヤ回転軸に対する角度βが小さすぎてもまた大きすぎても、上述のベアの防止効果を十分に発揮することができない。このような観点より、前記角度βは40〜50゜、より好ましくは43〜47゜に設定するのが特に望ましい。これにより、加硫成形された空気入りタイヤ1においても、面取部9の前記角度θが40〜50゜に設定される。また面取部成形面12の両端部の長さLm(図6に示す)は、小さすぎると、空気溜まりをタイヤ周方向に途切れなく連続させる効果が小さくなり、逆に大きすぎてもビードベース面4aの面積が減じられリムとの嵌合性能が低下するなど好ましくない。このような観点より、前記長さLmは2.0〜4.0mm、より好ましくは2.5〜3.5mmとするのが望ましい。これにより、加硫成形された空気入りタイヤ1においても、面取部9の長さL(面取分9に沿った長さ)が2.0〜4.0mmに設定される。
【0026】
以上のように、ヒール領域4cに、タイヤ回転軸Nに対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる所定長さの面取部9が加硫成形により形成された空気入りタイヤ1は、ベアを減じる効果がある。
【0027】
また本実施形態の加硫金型Mは、より確実にベアの発生を防止するために、前記面取部成形面12に、ベントホール17を有するものが例示される。該ベントホール17は、断面円形の小孔からなり、周方向に隔設される。ベントホール17の一端は、前記両側の稜線E1、E2の間で面取部成形面12に開口するとともに、他端側が通路18を介して負圧発生器19に連通される。なおブラダー16の圧力が作用するため、ベントホール17の他端は単に大気圧に開放されていても良い。また本実施形態のベントホール17は、図6に仮想線で示すように、ドリルDによってビードリングM3に穿設される。この際、ドリルDの長手方向を面取部成形面12と直角に保持して穿孔することにより、ベントホール17は、面取部成形面12に対して実質的に垂直にのびる。このようなベントホール17は、円弧面に加工を施す場合と比較すると、ドリルDの刃先の固定が容易となり、かつ加工時においてもドリルのブレなどを減じてより精度良く位置決めをなしつつヒール領域にベントホール17を確実に形成できる。
【0028】
ベントホール17は、周方向の配設個数が少なすぎると、空気の排出効果が十分でないため、各側のビード部4においてそれぞれ周上略等間隔に10個以上設けるのが好ましい。なおベントホールの配設個数の上限は、特に限定はされないが、加工工程の大幅な増加を防止する意味で20個程度に抑えるのが好ましい。また特に限定はされないが、ベントホール17の内径は、小さすぎると空気の排出効果が低下しやすく、逆に大きすぎてもゴム漏出量が大となり好ましくない。このような観点より、ベントホール17の内径は、例えば0.3〜1.5mm、より好ましくは0.6〜1.0mm程度に設定するのが望ましい。なお本例のベントホール17は、ドリルによって加工された孔からなるものを示すが、このような場合、孔の内径が小さくなるにつれて加工性が悪化し易い。従って、例えば前記面取部成形面12に、中孔を有するパイプ状のベントピースを埋着しその中孔によりベントホール17を形成することもできる。この場合、前記実施形態よりも加工性が向上し、かつ中孔にゴム等の目詰まりが生じてもベントピース自体を交換しうるなどメンテナンス性を向上しうる点で好ましい。
【0029】
図8に示すように、このようなビードリングを用いて加硫した空気入りタイヤ1では、前記面取部9に、ベントホール17へと進入したひげ状のスピュー20が一体に成形される。該スピューは、面取部9に対して直角にのびている。本実施形態の空気入りタイヤ1は、特にこの部分のスピュー20をトリミングによって除去していない。即ち、リムJは、リムシート面J1とリムフランジ面J2との間に、円弧状の曲面部J3が形成されており、図3に示すように、タイヤリム組み時には面取部9と円弧面J3との間に隙間が形成されるため、該隙間の中にスピュー20を変形させて押し込めうる。従って、スピュー20は、リムシート面J1とビードベース面4aとの密着、及びリムフランジ面J2とビード外側面4Bとの密着を阻害しないから、トリミング工程などにより除去する必要がない。なお円弧状のヒール領域にこのようなスピューが形成された場合、該スピューはリムとの嵌合性を阻害するため、通常はトリミングによって精度良く除去する必要がある。
【0030】
また本実施形態の空気入りタイヤ1は、図8に示すように、面取部9に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号21が本例では凸部として設けられる。前記番号21には、数字、文字又は図形が含まれる。またこれに対応して、ビードリングM3の前記面取部成形面12には、図5に示すように、前記タイヤ識別用の番号21を成型するための刻印20が凹設されている。該刻印20は、例えばポンチ等を用いて形成されるが、他の加工法によって形成されても良い。このような番号21を設けるためにも、面取部9の前記長さLは2.0mm以上とすることが望ましい。
【0031】
タイヤ識別用の番号21としては、例えばシリアル番号又はビードリング番号を含むことが望ましい。タイヤが同一サイズであっても、プライレーティングやその他の設計仕様によっては、ビードリングM3だけを変更することがある。従って、図8に示したように、面取部9に成形されたタイヤ識別用の番号21を確認することによって、タイヤの設計仕様通りに正しいビードリングM3で加硫されたか否かを目視によって容易に確認することができる。またこの番号21を確認することにより、タイヤの製造ロット保証や製品トレースが可能となる。さらに面取部9は、リム組時においては、フランジの円弧面J3との間の隙間に面するため、前記タイヤ識別用の番号21が、隆起模様として形成されていてもリム組性や嵌合性能を悪化させることもない。またリムずれが生じても摩滅することが防止できる。
【0032】
【実施例】
タイヤサイズが195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤを表1の仕様により試作し、ビード部のヒール領域のベアの発生状況を調べた。ビードリングにベントホールを設けたものは、内径1.0mmとし、各ビード部側それぞれにタイヤ周方向で16カ所設けた。またベアの発生状況は、検査員の目視と触診とにより、以下の基準で5段階で判定した。数値が大きいほど良好である。
5:ベアの発生なし
4:ベアが僅かに発生しているものの修理不要で許容できるレベル
3〜2:修理が必要なベアが発生している
1:修理が不能なベアが発生している
テストの結果などを表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明では、ビード部のヒール領域にベアの発生が少ない空気入りタイヤを提供しうる。
【0035】
また請求項2記載の発明のように、面取部に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号が設けられている。これにより、ビード部のヒール領域を確認することにより、タイヤの製造ロット保証や製品トレースが可能となる。また面取部は、リム組時においては、フランジの円弧面との間の隙間に面するため、リム組み時の嵌合性などの悪化を招くことが無く、かつ走行時のリムずれ等によっても前記記号等が摩滅することも無い。
【0036】
また請求項3記載の発明のように、前記面取部にスピューが形成されたときには、該スピューを形成するためのベントホールによって、空気の排出効果がより一層高められ、さらに確実にベアの発生が抑制された空気入りタイヤを提供しうる。
【0037】
また請求項4記載の発明のように、前記スピューは、前記面取部に対して実質的に垂直にのびるものが例示される。つまり、ベントホールをビードリングの面取部成形面に対して直角に形成でき、加工精度や加工性を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す空気入りタイヤの基準状態の断面図である。
【図2】そのビード部の部分拡大図である。
【図3】リム組みした状態でのビード部の断面図である。
【図4】加硫金型の一例を示す断面図である。
【図5】そのビードリングの部分斜視図である。
【図6】ビードリングの部分拡大図である。
【図7】ビード成形面とビード部との接触状態を示す断面略図である。
【図8】空気入りタイヤのビード部をタイヤ回転軸側から見た斜視図である。
【図9】従来のビード部の断面図である。
【図10】(A)は加硫金型の断面図、(B)はそのビードリングの部分拡大図である。
【図11】ビード成形面とビード部との接触状態を示す断面略図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
6a カーカスプライの本体部
6b カーカスプライの折返し部
7 ベルト層
9 面取部
M 加硫金型
M3 ビードリング
Claims (4)
- 環状のトレッド部と、該トレッド部の両端からタイヤ半径方向内方にのびるサイドウォール部と、該サイドウォール部の内方端に形成されたビード部とを有する空気入りタイヤであって、
前記ビード部は、正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した無負荷の基準状態におけるタイヤ回転軸を含む子午線断面において、
ヒール領域に、タイヤ回転軸に対して40〜50゜でかつ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側に直線状でのびる面取部を有し、
しかも前記面取部の両端間の長さを2.0〜4.0mmとしたことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記面取部に、加硫金型により形成されたタイヤ識別用の番号が設けられてなる請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取部は、スピューが形成されてなる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記スピューは、前記面取部に対して実質的に垂直にのびることを特徴とする請求項3記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (4)
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JP2007022218A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-01 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 空気入りタイヤ及びその加硫金型 |
JP2011148402A (ja) * | 2010-01-21 | 2011-08-04 | Bridgestone Corp | 空気入りラジアルタイヤ |
JP2017056596A (ja) * | 2015-09-15 | 2017-03-23 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ加硫金型及びそれを用いた空気入りタイヤの製造方法 |
JP2019001099A (ja) * | 2017-06-16 | 2019-01-10 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法、タイヤ加硫金型、及び、空気入りタイヤ |
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2003
- 2003-04-28 JP JP2003124128A patent/JP2004322970A/ja active Pending
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