JP2004322273A - 工具支持装置及び工作機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】サドル上の工具を所定位置に正確に配置させることができて、高精度加工を達成できるようにすること。
【解決手段】平面2等辺三角形T2の各頂点を通る垂直面に沿ったガイド面を有する3つのガイド部材38を配設する。それらのガイド部材38によって垂直方向に案内されるサドル40には三角形T2の一辺側に位置するように複数の工具46〜48を支持する。三角形T2の中心を通る垂直軸線上に位置するように、サドル40の送り機構42を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】平面2等辺三角形T2の各頂点を通る垂直面に沿ったガイド面を有する3つのガイド部材38を配設する。それらのガイド部材38によって垂直方向に案内されるサドル40には三角形T2の一辺側に位置するように複数の工具46〜48を支持する。三角形T2の中心を通る垂直軸線上に位置するように、サドル40の送り機構42を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械において工具を昇降可能に支持する工具支持装置、及びその工具支持装置を備えた工作機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の工具支持装置においては、ベース上に一対のガイド部材が所定間隔をおいて立設され、それらのガイド部材の外面には垂直方向に延びるガイド面が形成されている。ガイド部材にはサドルがガイド面に沿って垂直方向へ移動可能に支持され、そのサドルの一側部には回転砥石等の工具が支持されている。サドルの工具と離れた位置には送り機構の送りネジが垂直方向に延長配置され、モータにて送りネジが回転されることにより、サドルがガイド部材のガイド面に沿って昇降移動されて、工具がワーク上の所定加工部分に対向配置されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の工具支持装置においては、サドルが一対のガイド部材に案内支持されているため、サドルに対して工具及びその関連機構の重量や送り機構の送り力等が作用して、サドルの垂直移動軌跡が崩れたり、ガイド面との間に拗れが生じたりしやすい。このため、工具をワーク上の所定加工部分と対向する位置に正確に昇降移動させることができず、また、加工中の振動や揺れあるいは熱によって位置精度に影響を受けやすく、ワークを高精度に加工することができないという問題があった。例えば、非球面形状を有するレンズのワークを研削または切削する工作機械においては、ワークに対して工具の位置を正確に移動して、高い位置精度で高精度の加工を行う必要がある。ところが、従来の工具支持装置では前述のようにサドルの垂直移動軌跡が崩れたりするため、極めて高精度が要求される加工には適用することができなかった。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、工具を支持したサドルを所定位置において正確に昇降移動させ、高い位置精度で高精度な加工ができる工具支持装置及びその工具支持装置を備えた工作機械を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の工具支持装置に係る発明は、平面三角形の各頂点を通る垂直面に沿ったガイド面を有する3つのガイド部材を配設し、それらのガイド部材によって垂直方向に案内されるサドルには前記三角形の一辺側に位置するように工具を支持し、前記三角形の中心を通る垂直軸線上にサドルの送り手段を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
従って、この請求項1に記載の発明によれば、サドルが3つのガイド部材により3点支持されることになる。このため、サドルを正確に昇降移動させることができ、従って、工具を所定位置に正確に配置して高い位置精度で高精度加工を達成できる。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、前記三角形が2等辺三角形であり、工具は2等辺三角形の底辺側に位置するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
従って、ガイド部材が2等辺正三角形の頂点に配置されることになるため、サドルが安定して高い位置精度を保ちながら昇降される。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記三角形が正三角形であることを特徴とするものである。
【0009】
従って、この請求項3に記載の発明によれば、サドルの位置精度を一層正確に確保できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記各ガイド部材が三角形の頂点を通る中心軸線を有する円柱状に形成され、それらの外周面がガイド面になっていることを特徴とするものである。
【0010】
従って、この請求項4に記載の発明によれば、円柱状をなす3つのガイド部材の外周のガイド面に沿って、サドルを円滑に昇降移動させることができる。また、ガイド部材が円柱状をなしているため、剛性が高く、加工時の振動や揺れ、あるいは熱の影響も受けにくく、高い位置精度で高精度加工に寄与できる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、サドルは、静圧軸受を介してガイド部材に案内されることを特徴としたものである。
【0012】
従って、請求項5に記載の発明よれば、サドルを円滑に案内できるばかりでなく、温度コントロールされた潤滑油を供給できるので、熱変形を小さくできる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記工具は三角形の一辺に沿ってほぼ同一水平面上で、その一辺の両端の頂点間に位置するように複数配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
従って、この請求項6に記載の発明によれば、複数の工具をサドルに対してバランス良く配置できる。加えて、種類の異なった工具を脱着交換したり位置調整したりする必要がなく、種類の異なった加工に移行する場合等おいて、その移行を能率良く行うことができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記工具は一対の回転砥石と1つのバイトとからなることを特徴とするものである。
従って、この請求項7に記載の発明によれば、ワークを着脱することなく、1つのワークに対して、例えばバイトによる切削、一方の回転砥石による粗研削、及び他方の回転砥石による仕上げ研削等の加工を1台の装置で順次能率良く行うことができる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記送り手段がモータと送りネジとからなり、少なくとも送りネジが前記三角形の中心を通る垂直軸線上に配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
従って、この請求項8に記載の発明によれば、モータにて送りネジが回転されることに起因する偏った力がサドルに加えられることはなく、サドルをバランスが崩れたり拗れが生じたりすることなく、円滑に昇降移動させることができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記送りネジの先端がフリーになっていることを特徴とするものである。
従って、この請求項9に記載の発明によれば、送りネジの先端がフレーム等の定位置に規制支持された状態で、送りネジからサドルに送り力が付与される場合と比較して、サドルが4点支持になることがなく、サドルに拗れ等が生じるおそれを一層確実に抑制することができる。
【0018】
請求項10に記載の工作機械に係る発明は、請求項1〜請求項9のうちのいずれか一項に記載の工具支持装置を水平面内で一方向へ移動可能に配設し、ワークを支持するワーク支持装置を水平面内で工具支持装置の移動方向と直交する方向へ移動可能に配設したことを特徴とするものである。
【0019】
従って、この請求項10に記載の発明によれば、工具をワーク上の所定加工部分と対向する位置に正確に配置させることができて、高精度の加工を行うことができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記工具支持装置の両端部と、前記ワーク支持装置の工具支持装置と反対側の一端部とにそれぞれ対応するように、ベースの下面に3つの脚を設けたにことを特徴とするものである。
【0021】
従って、この請求項11に記載の発明によれば、工具支持装置及びワーク支持装置を3つの脚にて安定状態に支持することができて、加工精度を一層高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、この実施形態の工作機械では、ベース11の一側上面に工具支持装置12が支持台13を介して、水平面内で一方向Xへ移動可能に支持されている。ベース11の他側上面にはワーク支持装置14が支持台15を介して、水平面内で工具支持装置12の移動方向Xと直交する方向Zへ移動可能に支持されている。
【0024】
前記工具支持装置12の移動方向Xの両端部と、ワーク支持装置14の移動方向Zにおいて工具支持装置12と反対側の一端部とにそれぞれ対応するように、ベース11の下面には3つの脚16が伸縮可能に突設されている。そして、これらの脚16により、工具支持装置12及びワーク支持装置14を支持したベース11が工場等の床面上に、平面三角形T1の各頂点T1aにおける3点にて水平状態で安定設置されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、前記ベース11は工具支持装置12を移動可能に支持するX方向に延長した第1支持部11aと、ワーク支持装置14を移動可能に支持するZ方向に延長した第2支持部11bとにより、平面形ほぼT字状に形成されている。そして、第1支持部11aの図2の上方への突出長さL1が図2の下方への突出長さL2よりも大きくなるように形成されている。これにより、作業者がベース11の前方側(図2の下方側)に位置した状態で、工具支持装置12を第1支持部11aの後端側(図2の上方側)に大きく移動させ、ワーク支持装置14の図2における右側端を開放させて、ワークWの脱着作業を容易に行うことができるようになっている。
【0026】
図1〜図4に示すように、前記ワーク支持装置14においては、支持台15上にテーブル17が静圧軸受18を介してZ方向へ移動可能に支持されている。支持台15の上面にはガイド溝19がZ方向に沿って延長形成され、テーブル17の下面にはガイド溝19に係合可能なガイド部20が突設されている。そして、このガイド部20が静圧軸受21を介してガイド溝19に係合されることにより、テーブル17のZ方向への移動が案内されるようになっている。
【0027】
前記支持台15とテーブル17との間にはリニアモータ22が配設されている。すなわち、支持台15の上面には複数の永久磁石よりなるステータ23がZ方向に沿って延長配置されている。このステータ23と近接対応するように、テーブル17の下面には電磁石よりなるスライダ24が配設されている。そして、ワークWの加工時に、このリニアモータ22によりテーブル17がZ方向に移動されて、ワークWの位置がZ方向へ変更されるようになっている。
【0028】
前記テーブル17の上面には回転軸25が軸受台26を介してZ方向に延びる軸線上で回転可能に支持され、その先端には非球面等のワークWを着脱可能に吸着保持するための吸着パッド27が取り付けられている。テーブル17上にはワーク回転用モータ28が配設され、ワークWの加工時に、このワーク回転用モータ28により、回転軸25を介してワークWが一方向へ回転されるようになっている。
【0029】
図1〜図3及び図5に示すように、前記工具支持装置12においては、支持台13上に移動台30が静圧軸受31を介してX方向へ移動可能に支持されている。支持台13の上面にはガイド溝32がX方向に沿って延長形成され、移動台30の下面にはガイド溝32に係合可能なガイド部33が突設されている。そして、このガイド部33が静圧軸受34を介してガイド溝32に係合されることにより、移動台30のX方向への移動が案内されるようになっている。
【0030】
前記支持台13と移動台30との間にはリニアモータ35が配設されている。すなわち、支持台13の上面には複数の永久磁石よりなるステータ36がX方向に沿って延長配置されている。このステータ36と近接対応するように、移動台30の下面には電磁石よりなるスライダ37が配設されている。そして、ワークWの加工時に、このリニアモータ35により移動台30がX方向に移動されて、ワークWに対する後記工具46,47,48の対向位置がX方向へ移動されるようになっている。
【0031】
図2及び図3に示すように、前記移動台30の上面には3本の円柱状のガイド部材38が立設されている。これらのガイド部材38は、その中心軸線が平面正三角形T2の各頂点T2aを通る垂直軸線上に位置するように配置され、それらの外周面には垂直方向Yに沿って延びるガイド面38aが形成されている。また、このガイド部材38の配置位置の平面正三角形T2は、前記脚16の配置位置の平面三角形T1に対して、それらの一辺T2b,T1bがX方向へ平行に延びるとともに、それらの1つの頂点T2a,T1aがZ方向において互いに反対側に位置するように設定されている。なお、正三角形T2は、正三角形に近似した他の三角形も含むものとする。
【0032】
前記ガイド部材38の上端部間にはブラケット39が架設固定されている。ブラケット39と移動台30との間において、ガイド部材38にはサドル40が静圧軸受41を介して垂直方向Yへ移動可能に支持されている。従って、静圧軸受41の作用により、サドル40を円滑に案内できるばかりでなく、温度コントロールされた潤滑油を供給用いれば、サドル40等の熱変形を小さくできる。前記正三角形T2の中心を通る垂直軸線上に位置するように、ブラケット39には送り手段としての送り機構42を構成する正逆回転可能な送り用モータ43及び送りネジ44が配設されている。この送りネジ44は上端部にてブラケット39に図示しない軸受を介して回転可能に支持され、下端部がフリーの状態(どこにも支持されていない状態)になっている。サドル40の中央にはナット45が取り付けられ、送りネジ44に螺合されている。そして、送り用モータ43にて送りネジ44が回転されることにより、ナット45を介してサドル40が垂直方向Yに昇降移動されるようになっている。
【0033】
図2及び図3に示すように、前記正三角形T2のX方向に延びる一辺T2bに沿ってほぼ同一水平面上で、その一辺T2bの両端における頂点T2aの間隔S内に位置するように、サドル40の一側部には複数の工具46,47,48が配設されている。これらの工具としては、回転用モータ49によって回転される粗研削用回転砥石46と、回転用モータ50によって回転される仕上げ研削用回転砥石47と、ブラケット51を介してサドル40に取り付けられたバイト48とが装備されている。
【0034】
次に、前記のような工具支持装置12を備えた工作機械の動作を説明する。
さて、ワーク支持装置14の吸着パッド27にワークWを吸着保持した状態で、工作機械の運転が開始されると、図示しない制御装置の制御に基づき、リニアモータ35により工具支持装置12がX方向に移動されるとともに、ワーク支持装置14がZ方向に移動される。これらの移動により、粗研削用回転砥石46,仕上げ研削用回転砥石47及びバイト48のうちのいずれか使用される工具とワークWとが調整位置に対向配置される。この状態で、Y軸位置決めが行われ、送り用モータ43によりサドル40が昇降されて、工具46,47または48が上下方向に送り移動される。これにより、使用される工具46,47または48の高さ位置が、ワークWに対して調整され、所定の加工位置に位置決めされる。この状態でワーク回転用モータ28が回転され、ワークWが回転されながら、制御装置に記憶された所定の加工データに基づいて、リニアモータ35により工具支持装置12がX方向に移動されるとともに、リニアモータ22によりワーク支持装置14がZ方向に移動される。これにより、工具46,47または48とワークWとの相対位置が制御されながら、ワークWの表面が所定の形状に切削される。
【0035】
例えば、ワークWが非球面レンズの場合、その非球面レンズは被加工面となる前面がX方向とZ方向とで異なる曲率を有する。このため、工具がワークWの被加工面の法線上において加工を行うように、X方向とZ方向との同時制御が行われ、ワーク支持装置14がZ方向に往復移動されるのと同期して、工具支持装置12がX方向に往復移動される。
【0036】
また、非軸対称非球面加工の場合には、ワークWの回転角度に対しても、X,Z位置及び曲率が異なるため、ワーク回転とX方向,Z方向の3軸同時制御により加工が行われる。
【0037】
なお、工具46〜48を支持したサドル40が昇降される際、そのサドル40には、工具46〜48による加工負荷に起因する荷重、工具46〜48及びモータ49,50等の工具関連機構の重量、送り機構42の送りネジ44の送り力等が作用している。ところが、サドル40が平面正三角形T2の各頂点T2aに位置する3つのガイド部材38に支持されるとともに、送りネジ44が正三角形T2の中心を通る垂直軸線上に配置されている。このため、工具46〜48を所要の位置に正確に配置することができて、加工中の位置精度を維持でき、ワークWに対して高精度の加工を行うことができる。
【0038】
すなわち、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この工具支持装置においては、平面正三角形T2の各頂点T2aを通る垂直面に沿ったガイド面38aを有する3つのガイド部材38が配設されている。それらのガイド部材38によって垂直方向に案内されるサドル40には、正三角形T2の一辺T2b上に位置するように工具46〜48が支持されている。このため、サドル40は正三角形の頂点の3箇所で支持されて、言い換えれば正三角形の3点支持状態である。従って、サドル40に対して工具46〜48やその関連機構の重量等が作用しても、サドル40を3つのガイド部材38のガイド面38aに沿って、拗れが生じたりすることなく、X方向及びZ方向の所定位置において正確に昇降移動させることができる。
【0039】
また、送り機構42の送りネジ44がサドル40の正三角形T2の中心を通る垂直軸線上に配設されている。このため、この送りネジ44の回転によってサドル40に付与される昇降駆動が、同サドル40の中心に対して作用するため、サドル40に対して偏った力が作用しない。従って、前記と同様にサドル40を3つのガイド部材38のガイド面38aに沿って、拗れが生じたりすることなく、所定位置に正確に昇降移動させることができる。
【0040】
従って、サドル40がどの高さに配置されていても、工具46〜48をX方向及びZ方向において意図した位置に正確に配置できて、高い位置精度で極めて高精度な加工を達成することができる。
【0041】
(2) この工具支持装置においては、前記工具46〜48がサドル40上に複数配置されているため、種類の異なった工具46〜48を脱着交換したり位置調整したりする必要がない。すなわち、サドルに工具がひとつしか搭載されていない場合、ワークが変更されたり、加工種類が異なったりするのにともなって、工具を脱着交換する必要がある。この場合、工具の脱着交換が面倒であるばかりでなく、交換された工具をサドル上で位置や姿勢を調整する必要があって、極めて面倒である。これに対し、この実施形態では、このような面倒が不要で、ワーク変更等に移行する作業が簡単になり、そのワーク変更等対して容易に対処することができる。
【0042】
(3) この工具支持装置においては、前記工具46〜48として一対の回転砥石46,47と1つのバイト48とが装備されている。このため、ワークWを着脱することなく、1つのワークWに対して、例えばバイト48による切削、一対の回転砥石46,47による粗研削及び仕上げ研削等の加工を、1台の装置で順次能率良く行うことができる。
【0043】
(4) この工具支持装置においては、前記送りネジ44の先端がフリーになっているため、フレーム等の定位置に規制支持されている場合と比較して、送りネジ44からサドル40に送り力が付与される際に、サドル40に対して拗れ等が生じるおそれを一層確実に抑制することができる。すなわち、送りネジ44の先端が移動台30の軸受に支持されていて、先端フリーになっていない場合は、サドル40が3本のガイド部材38と、1本の送りネジ44との4点で支持されることになるため、3点支持と比較してサドル40を円滑に昇降案内することが困難になる。
【0044】
(5) この工作機械においては、前記のような構成の工具支持装置12が水平面内で一方向Xへ移動可能に配設され、ワークWを支持するワーク支持装置14が水平面内で工具支持装置12の移動方向Xと直交する方向Zへ移動可能に配設されている。このため、工具46〜48をワークW上の所要の加工位置に正確に昇降移動させることができて、ワークWに対して高い位置精度で高精度の加工を行うことができる。
【0045】
(6) この工作機械においては、ベース11の下面に設けられた3つの脚16により、工具支持装置12及びワーク支持装置14を3点にて安定状態に支持することができて、加工精度を一層高めることができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0047】
さて、この第2実施形態においては、図6に示すように、3つのガイド部材38が四角柱状に形成され、それらのガイド部材38の周側面には平面正三角形T2の各頂点T2aを通る垂直面に沿った平面上のガイド面38aが形成されている。そして、このガイド部材38にサドル40が静圧軸受41を介して垂直方向Yへ昇降移動可能に支持され、そのサドル40の一側部に前記第1実施形態と同様の複数の工具46〜48が配設されている。
【0048】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0049】
・ 前記実施形態において、ガイド部材38を平面2等辺三角形T2の各頂点T2aを通る垂直軸線上に配設し、そのガイド部材38に支持されたサドル40には2等辺三角形T2の底辺側に位置するように工具46〜48を設けること。なお、平面2等辺三角形T2は、2等辺三角形に近似した他の三角形を含むものとする。
【0050】
・ 前記実施形態において、送り機構42の送りネジ44のみをガイド部材38の平面正三角形T2または平面2等辺三角形の中心を通る垂直軸線上に配置し、送り用モータ43を垂直軸線から偏倚した位置に配置すること。従って、このように構成した場合には、送り用モータ43と送りネジ44ととの間に、歯車等の伝達機構を設ける必要がある。
【0051】
・ 前記実施形態において、サドル40上で工具46〜48と反対側の位置にバランスウェイトを配設して、重量バランスをとるように構成すること。
・前記実施形態において、X軸を工具位置調整軸として、Y軸とZ軸とを制御軸として、ワークWの加工時、X方向の位置を維持した状態で、Y方向とZ方向の同期送り制御により加工を行うこと。非軸対称の非球面加工では、ワークWの回転も同時制御する。このようにした場合でも、前述のように、Y軸方向の移動が正確に行えるため、高い位置精度でワークWに対して高精度の加工を行うことができる。
【0052】
【発明の効果】
以上、実施形態で例示したように、この発明においては、工具をワークに対して正確に配置させることができて、高精度加工が可能になるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の工具支持装置を備えた工作機械の正面図。
【図2】図1の工作機械の平面図。
【図3】図1の3−3線における要部拡大断面図。
【図4】図1の4−4線における要部拡大断面図。
【図5】図2の5−5線における要部拡大断面図。
【図6】第2実施形態の工具支持装置を備えた工作機械の要部断面図。
【符号の説明】
11…ベース、12…工具支持装置、14…ワーク支持装置、16…脚、22…リニアモータ、28…ワーク回転用モータ、35…リニアモータ、38…ガイド部材、38a…ガイド面、40…サドル、41…静圧軸受、42…送り手段としての送り機構、43…送り用モータ、44…送りネジ、46…工具としての粗研削用回転砥石、47…工具としての仕上げ研削用回転砥石、48…工具としてのバイト、49…モータ、50…モータ、W…ワーク、T2…平面正三角形、T2a…頂点、T2b…一辺、X…方向、Y…方向、Z…方向。
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械において工具を昇降可能に支持する工具支持装置、及びその工具支持装置を備えた工作機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の工具支持装置においては、ベース上に一対のガイド部材が所定間隔をおいて立設され、それらのガイド部材の外面には垂直方向に延びるガイド面が形成されている。ガイド部材にはサドルがガイド面に沿って垂直方向へ移動可能に支持され、そのサドルの一側部には回転砥石等の工具が支持されている。サドルの工具と離れた位置には送り機構の送りネジが垂直方向に延長配置され、モータにて送りネジが回転されることにより、サドルがガイド部材のガイド面に沿って昇降移動されて、工具がワーク上の所定加工部分に対向配置されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の工具支持装置においては、サドルが一対のガイド部材に案内支持されているため、サドルに対して工具及びその関連機構の重量や送り機構の送り力等が作用して、サドルの垂直移動軌跡が崩れたり、ガイド面との間に拗れが生じたりしやすい。このため、工具をワーク上の所定加工部分と対向する位置に正確に昇降移動させることができず、また、加工中の振動や揺れあるいは熱によって位置精度に影響を受けやすく、ワークを高精度に加工することができないという問題があった。例えば、非球面形状を有するレンズのワークを研削または切削する工作機械においては、ワークに対して工具の位置を正確に移動して、高い位置精度で高精度の加工を行う必要がある。ところが、従来の工具支持装置では前述のようにサドルの垂直移動軌跡が崩れたりするため、極めて高精度が要求される加工には適用することができなかった。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、工具を支持したサドルを所定位置において正確に昇降移動させ、高い位置精度で高精度な加工ができる工具支持装置及びその工具支持装置を備えた工作機械を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の工具支持装置に係る発明は、平面三角形の各頂点を通る垂直面に沿ったガイド面を有する3つのガイド部材を配設し、それらのガイド部材によって垂直方向に案内されるサドルには前記三角形の一辺側に位置するように工具を支持し、前記三角形の中心を通る垂直軸線上にサドルの送り手段を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
従って、この請求項1に記載の発明によれば、サドルが3つのガイド部材により3点支持されることになる。このため、サドルを正確に昇降移動させることができ、従って、工具を所定位置に正確に配置して高い位置精度で高精度加工を達成できる。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、前記三角形が2等辺三角形であり、工具は2等辺三角形の底辺側に位置するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
従って、ガイド部材が2等辺正三角形の頂点に配置されることになるため、サドルが安定して高い位置精度を保ちながら昇降される。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記三角形が正三角形であることを特徴とするものである。
【0009】
従って、この請求項3に記載の発明によれば、サドルの位置精度を一層正確に確保できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記各ガイド部材が三角形の頂点を通る中心軸線を有する円柱状に形成され、それらの外周面がガイド面になっていることを特徴とするものである。
【0010】
従って、この請求項4に記載の発明によれば、円柱状をなす3つのガイド部材の外周のガイド面に沿って、サドルを円滑に昇降移動させることができる。また、ガイド部材が円柱状をなしているため、剛性が高く、加工時の振動や揺れ、あるいは熱の影響も受けにくく、高い位置精度で高精度加工に寄与できる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、サドルは、静圧軸受を介してガイド部材に案内されることを特徴としたものである。
【0012】
従って、請求項5に記載の発明よれば、サドルを円滑に案内できるばかりでなく、温度コントロールされた潤滑油を供給できるので、熱変形を小さくできる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記工具は三角形の一辺に沿ってほぼ同一水平面上で、その一辺の両端の頂点間に位置するように複数配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
従って、この請求項6に記載の発明によれば、複数の工具をサドルに対してバランス良く配置できる。加えて、種類の異なった工具を脱着交換したり位置調整したりする必要がなく、種類の異なった加工に移行する場合等おいて、その移行を能率良く行うことができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記工具は一対の回転砥石と1つのバイトとからなることを特徴とするものである。
従って、この請求項7に記載の発明によれば、ワークを着脱することなく、1つのワークに対して、例えばバイトによる切削、一方の回転砥石による粗研削、及び他方の回転砥石による仕上げ研削等の加工を1台の装置で順次能率良く行うことができる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記送り手段がモータと送りネジとからなり、少なくとも送りネジが前記三角形の中心を通る垂直軸線上に配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
従って、この請求項8に記載の発明によれば、モータにて送りネジが回転されることに起因する偏った力がサドルに加えられることはなく、サドルをバランスが崩れたり拗れが生じたりすることなく、円滑に昇降移動させることができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記送りネジの先端がフリーになっていることを特徴とするものである。
従って、この請求項9に記載の発明によれば、送りネジの先端がフレーム等の定位置に規制支持された状態で、送りネジからサドルに送り力が付与される場合と比較して、サドルが4点支持になることがなく、サドルに拗れ等が生じるおそれを一層確実に抑制することができる。
【0018】
請求項10に記載の工作機械に係る発明は、請求項1〜請求項9のうちのいずれか一項に記載の工具支持装置を水平面内で一方向へ移動可能に配設し、ワークを支持するワーク支持装置を水平面内で工具支持装置の移動方向と直交する方向へ移動可能に配設したことを特徴とするものである。
【0019】
従って、この請求項10に記載の発明によれば、工具をワーク上の所定加工部分と対向する位置に正確に配置させることができて、高精度の加工を行うことができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記工具支持装置の両端部と、前記ワーク支持装置の工具支持装置と反対側の一端部とにそれぞれ対応するように、ベースの下面に3つの脚を設けたにことを特徴とするものである。
【0021】
従って、この請求項11に記載の発明によれば、工具支持装置及びワーク支持装置を3つの脚にて安定状態に支持することができて、加工精度を一層高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、この実施形態の工作機械では、ベース11の一側上面に工具支持装置12が支持台13を介して、水平面内で一方向Xへ移動可能に支持されている。ベース11の他側上面にはワーク支持装置14が支持台15を介して、水平面内で工具支持装置12の移動方向Xと直交する方向Zへ移動可能に支持されている。
【0024】
前記工具支持装置12の移動方向Xの両端部と、ワーク支持装置14の移動方向Zにおいて工具支持装置12と反対側の一端部とにそれぞれ対応するように、ベース11の下面には3つの脚16が伸縮可能に突設されている。そして、これらの脚16により、工具支持装置12及びワーク支持装置14を支持したベース11が工場等の床面上に、平面三角形T1の各頂点T1aにおける3点にて水平状態で安定設置されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、前記ベース11は工具支持装置12を移動可能に支持するX方向に延長した第1支持部11aと、ワーク支持装置14を移動可能に支持するZ方向に延長した第2支持部11bとにより、平面形ほぼT字状に形成されている。そして、第1支持部11aの図2の上方への突出長さL1が図2の下方への突出長さL2よりも大きくなるように形成されている。これにより、作業者がベース11の前方側(図2の下方側)に位置した状態で、工具支持装置12を第1支持部11aの後端側(図2の上方側)に大きく移動させ、ワーク支持装置14の図2における右側端を開放させて、ワークWの脱着作業を容易に行うことができるようになっている。
【0026】
図1〜図4に示すように、前記ワーク支持装置14においては、支持台15上にテーブル17が静圧軸受18を介してZ方向へ移動可能に支持されている。支持台15の上面にはガイド溝19がZ方向に沿って延長形成され、テーブル17の下面にはガイド溝19に係合可能なガイド部20が突設されている。そして、このガイド部20が静圧軸受21を介してガイド溝19に係合されることにより、テーブル17のZ方向への移動が案内されるようになっている。
【0027】
前記支持台15とテーブル17との間にはリニアモータ22が配設されている。すなわち、支持台15の上面には複数の永久磁石よりなるステータ23がZ方向に沿って延長配置されている。このステータ23と近接対応するように、テーブル17の下面には電磁石よりなるスライダ24が配設されている。そして、ワークWの加工時に、このリニアモータ22によりテーブル17がZ方向に移動されて、ワークWの位置がZ方向へ変更されるようになっている。
【0028】
前記テーブル17の上面には回転軸25が軸受台26を介してZ方向に延びる軸線上で回転可能に支持され、その先端には非球面等のワークWを着脱可能に吸着保持するための吸着パッド27が取り付けられている。テーブル17上にはワーク回転用モータ28が配設され、ワークWの加工時に、このワーク回転用モータ28により、回転軸25を介してワークWが一方向へ回転されるようになっている。
【0029】
図1〜図3及び図5に示すように、前記工具支持装置12においては、支持台13上に移動台30が静圧軸受31を介してX方向へ移動可能に支持されている。支持台13の上面にはガイド溝32がX方向に沿って延長形成され、移動台30の下面にはガイド溝32に係合可能なガイド部33が突設されている。そして、このガイド部33が静圧軸受34を介してガイド溝32に係合されることにより、移動台30のX方向への移動が案内されるようになっている。
【0030】
前記支持台13と移動台30との間にはリニアモータ35が配設されている。すなわち、支持台13の上面には複数の永久磁石よりなるステータ36がX方向に沿って延長配置されている。このステータ36と近接対応するように、移動台30の下面には電磁石よりなるスライダ37が配設されている。そして、ワークWの加工時に、このリニアモータ35により移動台30がX方向に移動されて、ワークWに対する後記工具46,47,48の対向位置がX方向へ移動されるようになっている。
【0031】
図2及び図3に示すように、前記移動台30の上面には3本の円柱状のガイド部材38が立設されている。これらのガイド部材38は、その中心軸線が平面正三角形T2の各頂点T2aを通る垂直軸線上に位置するように配置され、それらの外周面には垂直方向Yに沿って延びるガイド面38aが形成されている。また、このガイド部材38の配置位置の平面正三角形T2は、前記脚16の配置位置の平面三角形T1に対して、それらの一辺T2b,T1bがX方向へ平行に延びるとともに、それらの1つの頂点T2a,T1aがZ方向において互いに反対側に位置するように設定されている。なお、正三角形T2は、正三角形に近似した他の三角形も含むものとする。
【0032】
前記ガイド部材38の上端部間にはブラケット39が架設固定されている。ブラケット39と移動台30との間において、ガイド部材38にはサドル40が静圧軸受41を介して垂直方向Yへ移動可能に支持されている。従って、静圧軸受41の作用により、サドル40を円滑に案内できるばかりでなく、温度コントロールされた潤滑油を供給用いれば、サドル40等の熱変形を小さくできる。前記正三角形T2の中心を通る垂直軸線上に位置するように、ブラケット39には送り手段としての送り機構42を構成する正逆回転可能な送り用モータ43及び送りネジ44が配設されている。この送りネジ44は上端部にてブラケット39に図示しない軸受を介して回転可能に支持され、下端部がフリーの状態(どこにも支持されていない状態)になっている。サドル40の中央にはナット45が取り付けられ、送りネジ44に螺合されている。そして、送り用モータ43にて送りネジ44が回転されることにより、ナット45を介してサドル40が垂直方向Yに昇降移動されるようになっている。
【0033】
図2及び図3に示すように、前記正三角形T2のX方向に延びる一辺T2bに沿ってほぼ同一水平面上で、その一辺T2bの両端における頂点T2aの間隔S内に位置するように、サドル40の一側部には複数の工具46,47,48が配設されている。これらの工具としては、回転用モータ49によって回転される粗研削用回転砥石46と、回転用モータ50によって回転される仕上げ研削用回転砥石47と、ブラケット51を介してサドル40に取り付けられたバイト48とが装備されている。
【0034】
次に、前記のような工具支持装置12を備えた工作機械の動作を説明する。
さて、ワーク支持装置14の吸着パッド27にワークWを吸着保持した状態で、工作機械の運転が開始されると、図示しない制御装置の制御に基づき、リニアモータ35により工具支持装置12がX方向に移動されるとともに、ワーク支持装置14がZ方向に移動される。これらの移動により、粗研削用回転砥石46,仕上げ研削用回転砥石47及びバイト48のうちのいずれか使用される工具とワークWとが調整位置に対向配置される。この状態で、Y軸位置決めが行われ、送り用モータ43によりサドル40が昇降されて、工具46,47または48が上下方向に送り移動される。これにより、使用される工具46,47または48の高さ位置が、ワークWに対して調整され、所定の加工位置に位置決めされる。この状態でワーク回転用モータ28が回転され、ワークWが回転されながら、制御装置に記憶された所定の加工データに基づいて、リニアモータ35により工具支持装置12がX方向に移動されるとともに、リニアモータ22によりワーク支持装置14がZ方向に移動される。これにより、工具46,47または48とワークWとの相対位置が制御されながら、ワークWの表面が所定の形状に切削される。
【0035】
例えば、ワークWが非球面レンズの場合、その非球面レンズは被加工面となる前面がX方向とZ方向とで異なる曲率を有する。このため、工具がワークWの被加工面の法線上において加工を行うように、X方向とZ方向との同時制御が行われ、ワーク支持装置14がZ方向に往復移動されるのと同期して、工具支持装置12がX方向に往復移動される。
【0036】
また、非軸対称非球面加工の場合には、ワークWの回転角度に対しても、X,Z位置及び曲率が異なるため、ワーク回転とX方向,Z方向の3軸同時制御により加工が行われる。
【0037】
なお、工具46〜48を支持したサドル40が昇降される際、そのサドル40には、工具46〜48による加工負荷に起因する荷重、工具46〜48及びモータ49,50等の工具関連機構の重量、送り機構42の送りネジ44の送り力等が作用している。ところが、サドル40が平面正三角形T2の各頂点T2aに位置する3つのガイド部材38に支持されるとともに、送りネジ44が正三角形T2の中心を通る垂直軸線上に配置されている。このため、工具46〜48を所要の位置に正確に配置することができて、加工中の位置精度を維持でき、ワークWに対して高精度の加工を行うことができる。
【0038】
すなわち、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この工具支持装置においては、平面正三角形T2の各頂点T2aを通る垂直面に沿ったガイド面38aを有する3つのガイド部材38が配設されている。それらのガイド部材38によって垂直方向に案内されるサドル40には、正三角形T2の一辺T2b上に位置するように工具46〜48が支持されている。このため、サドル40は正三角形の頂点の3箇所で支持されて、言い換えれば正三角形の3点支持状態である。従って、サドル40に対して工具46〜48やその関連機構の重量等が作用しても、サドル40を3つのガイド部材38のガイド面38aに沿って、拗れが生じたりすることなく、X方向及びZ方向の所定位置において正確に昇降移動させることができる。
【0039】
また、送り機構42の送りネジ44がサドル40の正三角形T2の中心を通る垂直軸線上に配設されている。このため、この送りネジ44の回転によってサドル40に付与される昇降駆動が、同サドル40の中心に対して作用するため、サドル40に対して偏った力が作用しない。従って、前記と同様にサドル40を3つのガイド部材38のガイド面38aに沿って、拗れが生じたりすることなく、所定位置に正確に昇降移動させることができる。
【0040】
従って、サドル40がどの高さに配置されていても、工具46〜48をX方向及びZ方向において意図した位置に正確に配置できて、高い位置精度で極めて高精度な加工を達成することができる。
【0041】
(2) この工具支持装置においては、前記工具46〜48がサドル40上に複数配置されているため、種類の異なった工具46〜48を脱着交換したり位置調整したりする必要がない。すなわち、サドルに工具がひとつしか搭載されていない場合、ワークが変更されたり、加工種類が異なったりするのにともなって、工具を脱着交換する必要がある。この場合、工具の脱着交換が面倒であるばかりでなく、交換された工具をサドル上で位置や姿勢を調整する必要があって、極めて面倒である。これに対し、この実施形態では、このような面倒が不要で、ワーク変更等に移行する作業が簡単になり、そのワーク変更等対して容易に対処することができる。
【0042】
(3) この工具支持装置においては、前記工具46〜48として一対の回転砥石46,47と1つのバイト48とが装備されている。このため、ワークWを着脱することなく、1つのワークWに対して、例えばバイト48による切削、一対の回転砥石46,47による粗研削及び仕上げ研削等の加工を、1台の装置で順次能率良く行うことができる。
【0043】
(4) この工具支持装置においては、前記送りネジ44の先端がフリーになっているため、フレーム等の定位置に規制支持されている場合と比較して、送りネジ44からサドル40に送り力が付与される際に、サドル40に対して拗れ等が生じるおそれを一層確実に抑制することができる。すなわち、送りネジ44の先端が移動台30の軸受に支持されていて、先端フリーになっていない場合は、サドル40が3本のガイド部材38と、1本の送りネジ44との4点で支持されることになるため、3点支持と比較してサドル40を円滑に昇降案内することが困難になる。
【0044】
(5) この工作機械においては、前記のような構成の工具支持装置12が水平面内で一方向Xへ移動可能に配設され、ワークWを支持するワーク支持装置14が水平面内で工具支持装置12の移動方向Xと直交する方向Zへ移動可能に配設されている。このため、工具46〜48をワークW上の所要の加工位置に正確に昇降移動させることができて、ワークWに対して高い位置精度で高精度の加工を行うことができる。
【0045】
(6) この工作機械においては、ベース11の下面に設けられた3つの脚16により、工具支持装置12及びワーク支持装置14を3点にて安定状態に支持することができて、加工精度を一層高めることができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0047】
さて、この第2実施形態においては、図6に示すように、3つのガイド部材38が四角柱状に形成され、それらのガイド部材38の周側面には平面正三角形T2の各頂点T2aを通る垂直面に沿った平面上のガイド面38aが形成されている。そして、このガイド部材38にサドル40が静圧軸受41を介して垂直方向Yへ昇降移動可能に支持され、そのサドル40の一側部に前記第1実施形態と同様の複数の工具46〜48が配設されている。
【0048】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0049】
・ 前記実施形態において、ガイド部材38を平面2等辺三角形T2の各頂点T2aを通る垂直軸線上に配設し、そのガイド部材38に支持されたサドル40には2等辺三角形T2の底辺側に位置するように工具46〜48を設けること。なお、平面2等辺三角形T2は、2等辺三角形に近似した他の三角形を含むものとする。
【0050】
・ 前記実施形態において、送り機構42の送りネジ44のみをガイド部材38の平面正三角形T2または平面2等辺三角形の中心を通る垂直軸線上に配置し、送り用モータ43を垂直軸線から偏倚した位置に配置すること。従って、このように構成した場合には、送り用モータ43と送りネジ44ととの間に、歯車等の伝達機構を設ける必要がある。
【0051】
・ 前記実施形態において、サドル40上で工具46〜48と反対側の位置にバランスウェイトを配設して、重量バランスをとるように構成すること。
・前記実施形態において、X軸を工具位置調整軸として、Y軸とZ軸とを制御軸として、ワークWの加工時、X方向の位置を維持した状態で、Y方向とZ方向の同期送り制御により加工を行うこと。非軸対称の非球面加工では、ワークWの回転も同時制御する。このようにした場合でも、前述のように、Y軸方向の移動が正確に行えるため、高い位置精度でワークWに対して高精度の加工を行うことができる。
【0052】
【発明の効果】
以上、実施形態で例示したように、この発明においては、工具をワークに対して正確に配置させることができて、高精度加工が可能になるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の工具支持装置を備えた工作機械の正面図。
【図2】図1の工作機械の平面図。
【図3】図1の3−3線における要部拡大断面図。
【図4】図1の4−4線における要部拡大断面図。
【図5】図2の5−5線における要部拡大断面図。
【図6】第2実施形態の工具支持装置を備えた工作機械の要部断面図。
【符号の説明】
11…ベース、12…工具支持装置、14…ワーク支持装置、16…脚、22…リニアモータ、28…ワーク回転用モータ、35…リニアモータ、38…ガイド部材、38a…ガイド面、40…サドル、41…静圧軸受、42…送り手段としての送り機構、43…送り用モータ、44…送りネジ、46…工具としての粗研削用回転砥石、47…工具としての仕上げ研削用回転砥石、48…工具としてのバイト、49…モータ、50…モータ、W…ワーク、T2…平面正三角形、T2a…頂点、T2b…一辺、X…方向、Y…方向、Z…方向。
Claims (11)
- 平面三角形の各頂点を通る垂直面に沿ったガイド面を有する3つのガイド部材を配設し、それらのガイド部材によって垂直方向に案内されるサドルには前記三角形の1辺側に位置するように工具を支持し、前記三角形の中心を通る垂直軸線上にサドルの送り手段を設けたことを特徴とする工具支持装置。
- 前記三角形が2等辺三角形であり、工具は2等辺三角形の底辺側に位置するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の工具支持装置。
- 前記三角形が正三角形であることを特徴とする請求項1に記載の工具支持装置。
- 前記各ガイド部材が三角形の頂点を通る中心軸線を有する円柱状に形成され、それらの外周面がガイド面になっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の工具支持装置。
- サドルは、静圧軸受を介してガイド部材に案内されることを特徴とした請求項1〜請求項4のいずれかに記載の工具支持装置。
- 前記工具は三角形の一辺に沿ってほぼ同一水平面上で、その一辺の両端の頂点間に位置するように複数配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の工具支持装置。
- 前記工具は一対の回転砥石と1つのバイトとからなることを特徴とする請求項6に記載の工具支持装置。
- 前記送り手段がモータと送りネジとからなり、少なくとも送りネジが前記三角形の中心を通る垂直軸線上に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項に記載の工具支持装置。
- 前記送りネジの先端がフリーになっていることを特徴とする請求項8に記載の工具支持装置。
- 請求項1〜請求項9のうちのいずれか一項に記載の工具支持装置を水平面内で一方向へ移動可能に配設し、ワークを支持するワーク支持装置を水平面内で工具支持装置の移動方向と直交する方向へ移動可能に配設したことを特徴とする工作機械。
- 前記工具支持装置の両端部と、前記ワーク支持装置の工具支持装置と反対側の一端部とにそれぞれ対応するように、ベースの下面に3つの脚を設けたことを特徴とする請求項10に記載の工作機械。
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JP2003122928A JP2004322273A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 工具支持装置及び工作機械 |
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JP2003122928A JP2004322273A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 工具支持装置及び工作機械 |
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JP (1) | JP2004322273A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113458833A (zh) * | 2021-06-30 | 2021-10-01 | 意特利(滁州)智能数控科技有限公司 | 一种数控机床用盘式刀库 |
WO2023037402A1 (ja) * | 2021-09-07 | 2023-03-16 | Dmg森精機株式会社 | 工作機械 |
-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003122928A patent/JP2004322273A/ja active Pending
Cited By (2)
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WO2023037402A1 (ja) * | 2021-09-07 | 2023-03-16 | Dmg森精機株式会社 | 工作機械 |
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