JP2004322165A - 液圧成形方法および液圧成形装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重ね合わせた歪時効硬化型板材の周辺を接合してなる予備成形体を、第1成形型および第2成形型の内側に配置し、型締めした後、予備成形体の内側に徐々に液圧Pを付加することで膨出させ、第1成形型および第2成形型のキャビティに押圧して成形する際における成形初期においては、予備成形体に加工歪を付与し得る第1型締め力F1を適用し、成形中期においては、型締めされている予備成形体の縁部からの材料流入を促進し得る第2型締め力F2を適用し、液圧Pが最終液圧P3に到達する成形後期においては、最終液圧P3に対応する第3型締め力F3を適用する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧成形方法および液圧成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液圧成形においては、予備成形体を、上下に分割された金型の内側に配置し、型締めした後に、予備成形体の内側に徐々に液圧を付加することで膨出させ、金型のキャビティに押圧して、成形している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−347643号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、型締め力は、成形初期から成形終了まで略一定であり、最終液圧を考慮した大きな値を有している。そのため、成形途中において、予備成形体の型締め部に隣接している部位の板厚減少が大きくなり、例えば、コーナー部を構成する板材が破断する問題を有している。
【0005】
一方、液圧の上昇に対応させ、型締め力を段階的に高くする場合、板厚減少や破断を抑制することが可能であるが、液圧成形によって付与される加工歪が小さくなる。
【0006】
そのため、加工歪を付与した後、熱処理を施すことによって強度が上昇する歪時効硬化型板材が適用される場合、十分な加工歪が付与されない。したがって、得られた成形品に熱処理を施しても、強度上昇が充分に得られない問題点が生じる。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、加工歪を付与すると共に、板厚減少および破断を抑制することができる液圧成形方法および液圧成形装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
加工歪を付与した後、熱処理を施すことによって強度が上昇する歪時効硬化型板材が適用される液圧成形方法において、
重ね合わせた歪時効硬化型板材の周辺を接合してなる予備成形体を、第1成形型および第2成形型の内側に配置し、型締めした後、
予備成形体の内側に徐々に液圧を付加することで膨出させ、第1成形型および第2成形型のキャビティに押圧して成形する際における
成形初期においては、予備成形体に加工歪を付与し得る第1型締め力を適用し、
成形中期においては、型締めされている予備成形体の縁部からの材料流入を促進し得る第2型締め力を適用し、
液圧が最終液圧に到達する成形後期においては、最終液圧に対応する第3型締め力を適用する
ことを特徴する液圧成形方法である。
【0009】
上記目的を達成するための請求項6に記載の発明は、
加工歪を付与した後、熱処理を施すことによって強度が上昇する歪時効硬化型板材が適用される液圧成形装置において、
重ね合わせた歪時効硬化型板材の周辺を接合してなる予備成形体が内側に配置されて、型締めされる第1成形型および第2成形型と、
予備成形体の内側に徐々に液圧を付加することで膨出させ、前記第1成形型および第2成形型のキャビティに押圧するための流体供給手段と、
成形初期においては、予備成形体に加工歪を付与し得る第1型締め力を適用し、成形中期においては、型締めされている予備成形体の縁部からの材料流入を促進し得る第2型締め力を適用し、液圧が最終液圧に到達する成形後期においては、最終液圧に対応する第3型締め力を適用するための型締め調整手段と
を有することを特徴とする液圧成形装置である。
【0010】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、加工歪が主に生じる成形初期において、予備成形体の型締め部から離れて位置している成形品の平坦部となる部位を含めて、加工歪を付与しているため、得られる成形品に熱処理を施す場合、充分な強度上昇が達成できる。また、板厚減少や破断が生じやすい成形中期においては、材料流入を促進しているため、型締め部に隣接している部位、例えば、コーナー部近傍の板厚減少および破断を抑制することができる。つまり、加工歪を付与すると共に、板厚減少および破断を抑制することができる液圧成形方法置を提供することができる。
【0012】
請求項6に記載の発明によれば、加工歪が主に生じる成形初期において、型締め調整手段によって第1型締め力を適用することで、予備成形体の型締め部から離れて位置している成形品の平坦部となる部位を含めて、加工歪を付与することができる。この場合、得られる成形品に熱処理を施すことによって、充分な強度上昇が達成できる。また、板厚減少や破断が生じやすい成形中期においては、型締め調整手段によって第2型締め力を適用することで、材料流入を促進させることが可能である。この場合、型締め部に隣接している部位、例えば、コーナー部近傍の板厚減少および破断を抑制することができる。つまり、加工歪を付与すると共に、板厚減少および破断を抑制することができる液圧成形装置を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
本発明の実施の形態1に係る予備成形体は、図1に示されるように、重ね合わせた板材10,20によって形成される。板材10,20は、加工歪を付与した後、熱処理を施すことによって強度(例えば、引張強度や降伏強度)が上昇する歪時効硬化型板材からなる。
【0015】
歪時効硬化型板材は、例えば、170℃で20分程度の自動車車体の塗装(例えば、電着塗装)の焼付け条件において強度が上昇するベークハード特性を有する熱間圧延鋼板や、6000系のアルミニウム合金板材である。ベークハード特性を有する熱間圧延鋼板は、例えば、鋼の組成の中で、炭素(C)と窒素(N)の固溶元素量を調整したり、熱間圧延の際に添加剤を加えることによって生産される。
【0016】
板材10,20はそれぞれ、凸部11,21と、重合い部12,22と、縁部14,24とを有する。凸部11,21は、後述されるノズル部54を配置するためのスペースを構成する。また、凸部21は、ノズル部54を挿入するための開口部23が形成されている。
【0017】
重合い部12,22は、目的とする成形品を得るために液圧成形される部位である。凸部11,21から重合い部12,22への移行部は、ノズル部54から吐出される高圧液体を、重合い部12,22に注入するための液圧注入部32を形成する。高圧液体は、例えば、水である。
【0018】
縁部14,24は、気密性を保つように接合される板材の周辺部位であり、外周接合部31を形成する。接合は、例えば、レーザー溶接、アーク溶接、接着剤を適用することが可能である。接合部位は、必要に応じ、略全周に渡ってあるいは部分的である。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1に係る液圧成形装置を説明するための断面図、図3は、図2の線III−IIIに関する断面図である。
【0020】
本発明の実施の形態1に係る液圧成形装置は、上型(第1成形型)40と、下型(第2成形型)50と、流体供給手段と、型締め調整手段(不図示)と、制御部(不図示)とを有する。
【0021】
上型40および下型50は、上下に分割された金型であり、予備成形体30が内側に配置される。上型40および下型50はそれぞれ、キャビティ41,51と、押圧部42,52と、凹溝43,53とを有する。
【0022】
キャビティ41,51は、目的とする成形部品の外形に対応した形状を有し、例えば、略矩形断面を呈する。押圧部42,52は、型締めの際に、予備成形体30の外周接合部31および縁部14,24の近傍を押圧するために使用される。凹溝43,53は、予備成形体30を構成する板材10,20の凸部11,21を配置するために使用される。なお、押圧部42,52によって押圧される予備成形体30の部位を、型締め部で参照する。
【0023】
流体供給手段は、予備成形体30の内側に徐々に液圧を付加することで膨出させさせ、キャビティ41,51に押圧するために使用され、板材10,20の凸部11,21に配置されるノズル部54を有する。ノズル部54は、予備成形体30の液圧注入部32に、高圧液体を注入するための吐出口55を有する。
【0024】
また、流体供給手段は、外部の高圧発生装置に連結されている配管(例えば、高圧ホース)58が接続される導入口57と、導入口57と吐出口55とを接続している通路56とを有する。
【0025】
型締め調整手段は、例えば、上型40および下型50を駆動するための可変式の油圧系を有するスライド駆動機構を備えており、型締め力を変更可能である。型締め調整手段は、成形初期においては、予備成形体に加工歪を付与し得る第1型締め力を適用し、成形中期においては、型締めされている予備成形体の縁部からの材料流入を促進し得る第2型締め力を適用し、液圧が最終液圧に到達する成形後期においては、最終液圧に対応する第3型締め力を適用する。
【0026】
制御部は、例えば、マイクロプロセッサ等から構成される制御回路および記憶装置を有し、記憶装置に格納されている制御プログラムに基づいて、液圧成形装置の各部を制御する。制御プログラムは、例えば、型締め調整手段を制御して、型締め力を変更するためのものである。
【0027】
以上のように構成される実施の形態1に係る液圧成形装置は、加工歪が主に生じる成形初期において、型締め調整手段によって第1型締め力を適用することで、型締め部から離れて位置している成形品の平坦部となる部位を含めて、加工歪を付与することができる。この場合、得られる成形品に熱処理を施すことによって、充分な強度上昇が達成できる。
【0028】
また、板厚減少や破断が生じやすい成形中期においては、型締め調整手段によって第2型締め力を適用することで、材料流入を促進させることが可能である。この場合、型締め部に隣接している部位、例えば、コーナー部近傍の板厚減少および破断を抑制することができる。
【0029】
なお、加工歪は、予備成形体30の膨出する頂部とキャビティ41,51との接触(以下、頂部接触で参照)の前に主に生じる。したがって、加工歪を付与するための第1型締め力から、材料流入を促進し得る第2型締め力への切換は、頂部接触の検出に基づくことが好ましい。この場合、成形開始から、頂部接触が検出されるまでの期間が成形初期であり、型締め力の切換を最適なタイミングで制御することが可能となる。
【0030】
そのため、実施の形態1に係る液圧成形装置は、頂部接触を検出するための検出手段(頂部接触検出手段)60を、さらに有する(図3参照)。頂部接触検出手段60は、上型40の内部に配置される本体部61と検出接触子62とを有する接触式センサである。検出接触子62は、弾性部材(例えば、バネ)によって保持され、キャビティ41から突出するように付勢される。
【0031】
接触式センサ60は、検出接触子62と予備成形体30の外面とが接触し、検出接触子62が後退することで検出される距離の変化(予備成形体30の外面と、キャビティ41との間の距離の変化)に基づいて、頂部接触を直接的に精度良く検出することができる。
【0032】
なお、接触式センサ60は、予備成形体30の膨出する頂部と下型50のキャビティ51との接触を検出するように構成することも可能である。この場合、接触式センサ60は、下型50の内部に配置され、予備成形体30の外面と下型50のキャビティ51との間の距離の変化に基づいて、頂部接触を検出することになる。
【0033】
また、接触式センサ60を複数設けることも可能である。この場合、設置数に対応する形状変化を、段階的に識別できる。さらに、距離の変化を連続的に測定可能な接触式センサを適用したり、検出手段を非接触式センサによって構成することも可能である。
【0034】
次に、本発明の実施の形態1に係る液圧成形方法を説明する。図4は、時間の経過に関する液圧、型締め力、加工歪の関係を示しているグラフ、図5は、液圧成形過程における成形初期を説明するための断面図、図6は、図5に続く、成形中期を説明するための断面図、図7は、図6に続く、成形後期を説明するための断面図、図8は、図7に続く、成形終了時を説明するための断面図である。
【0035】
まず、予備成形体30が、上型40および下型30の内側に配置され、型締めされる(図3参照)。その後、外部の高圧発生装置が起動され、高圧液体が発生させられる。高圧液体は、配管58および導入口57を経由し、ノズル部54に供給される。
【0036】
高圧液体は、ノズル部54の吐出口55を経由して、予備成形体30の液圧注入部32に注入され、板材10,20を膨出させる。この際、板材10,20の縁部14,24は、気密性を保つように接合された外周接合部31が形成されているため、高圧液体が予備成形体30から漏れ出すことがない。
【0037】
液体の供給の開始直後においては、液圧Pは小さく、上型40および下型30を押し開ける力は小さい。一方、液圧Pに対応した上型40および下型30が押し開かない型締め力に比べて非常に大きな型締め力(第1型締め力)F1を適用し、成形品の平坦部となる部位を含めて、加工歪εを付与する。
【0038】
液体の供給を継続することで、予備成形体の内側に徐々に液圧Pを付加する(液圧Pを連続的に上昇させる)ことで、予備成形体を膨出させる(図5参照)。
【0039】
そして、図6に示される状態(液圧P1)に到達すると、接触式センサ60の検出接触子62が、板材10の頂部16と接し、上型40の内部に後退することで、頂部接触が検出される。この時点を、時間T1で示す。なお、符号26は、板材20の頂部である。
【0040】
成形開始時から時間T1に至るまでの成形初期は、加工歪εが主に生じる期間であるため、加工歪εを効率的に付与することができる。
【0041】
そして、第1型締め力F1に比べて小さい型締め力(第2型締め力)F2を適用する。したがって、時間T1からの板厚減少や破断が生じやすい成形中期においては、材料流入を促進しているため、型締め部に隣接している部位、例えば、コーナー部15,25近傍の板厚減少および破断を抑制することができる。
【0042】
なお、頂部接触が直接的に精度良く検出されるため、第1型締め力F1から第2型締め力F2への切換を最適なタイミングで実行することができる。
【0043】
その後、第2型締め力を、液圧Pの上昇に対応して、段階的に上昇させ、予備成形体の膨出を継続する(図7参照)。この際、第2型締め力は、液圧Pの上昇に段階的に対応させ、液圧Pに予備成形体の上面積を乗じた値より大きく、かつ、当該値の近傍に位置するように設定する。
【0044】
この場合、第2型締め力が、液圧Pによって上型40および下型50が開かない最小値の近傍に位置するため、材料流入の促進の点で好ましい。また、第2型締め力を段階的に上昇させることは、制御が容易である点で、好ましい。
【0045】
そして、型締め力が最終液圧P3に対応する値(第3型締め力)F3に到達する成形後期においては、液圧Pが最終液圧P3に到達した後(時間T3以降)、所定の時間保持する(図8参照)。第3型締め力F3は、最終液圧P3によって上型40および下型50が開かないように、最終液圧P3と予備成形体の上面積を乗じた値より大きく設定される。
【0046】
そして、目的とする成形品形状が得られた後で除圧し、上型40が上昇することで型開きされ、成形品が取り出され、必要に応じて、切断などのトリミングが施される。得られた成形品は、加工歪が主に生じる成形初期において、平坦部17,27を含め、加工歪が付与されているため、熱処理を施す場合、充分な強度上昇が達成できる。
【0047】
図9は、成形品の断面における板厚減少率の分布図を説明するためのグラフである。なお、比較例は、成形初期から最終液圧に対応した型締め力で液圧成形することで得られた成形品の場合を示している。
【0048】
実施の形態1は、比較例に比べてコーナー部近傍の板厚減少を大幅に抑制することが可能であり、破断が防ぐことができる。さらに、平坦部の板厚減少は、比較例に比べて若干抑制されている程度である。つまり、板厚減少に対応する加工歪は、比較例に比べ大幅に低下せず、大差は生じていない。
【0049】
したがって、十分な加工歪が付与されているため、熱処理を施すことよって、強度上昇が可能となる。そのため、例えば、板厚を薄肉化して軽量化しても、従来と同様な強度を得ることも可能である。
【0050】
以上のように、実施の形態1は、加工歪を付与すると共に、板厚減少および破断を抑制することができる液圧成形方法および液圧成形装置を提供することができる。
【0051】
なお、加工歪を付与するための第1型締め力F1は、略一定であることに限定されず、例えば、予備成形体の膨出の程度に対応させ、上昇あるいは低下させることも可能である。
【0052】
また、材料流入を促進するための第2型締め力は、段階的に上昇させることに限定されず、例えば、図10に示されるように、連続的に上昇させることも可能である。
【0053】
この場合、第2型締め力を、液圧Pの上昇に対応させ、液圧Pと予備成形体の上面積を乗じた値より大きく、かつ、当該値の近傍に位置するように連続的に設定することが可能である。この場合、第2型締め力を、最適化することができるために、材料流入をより促進し、板厚減少を確実に抑制することが可能となる。
【0054】
図11は、本発明の実施の形態2に係る液圧成形装置を説明するための断面図である。実施の形態2は、頂部接触検出手段の構成に関し、実施の形態1と概して異なる。
【0055】
実施の形態2に係る頂部接触検出手段は、上型40および下型50の押圧部42,52に隣接して配置される接触式センサ70からなる。接触式センサ70は、本体部71と検出接触子72とを有する。検出接触子72は、弾性部材(例えば、バネ)によって保持され、予備成形体30の端部端面に接触するように付勢される。予備成形体30の端部端面は、予備成形体30を構成する板材10,20の縁部14,24あるいは外周接合部31の端面である。
【0056】
検出接触子72は、弾性部材によって押し出され、接触している端部端面に対応して移動するため、端部端面の位置変化を連続的に検出できる。また、キャビティ側に向かっての端部端面の位置変化は、材料流入によって引き起こされるため、材料流入量Wに対応する。
【0057】
したがって、接触式センサ70によって検出される端部31(14,24)の端面の位置の変化から、予備成形体30の形状変化に対応する材料流入量Wを算出することが可能である。そのため、例えば、予備成形体30の形状変化と、端部端面の位置変化(材料流入量W)との関係を実測しておくことによって、頂部接触を高精度で検出することが可能である。
【0058】
以上のように、実施の形態2に係る液圧成形装置は、実施の形態1に係る液圧成形装置と同様に、頂部接触を精度良く検出することができる。したがって、第1型締め力と第2型締め力の切換を、最適なタイミングで制御することができる。
【0059】
端部端面の位置変化の検出は、接触式センサ70に限定されず、非接触式センサを適用することも可能である。また、接触式センサ70は、複数設けることも可能である。
【0060】
次に、本発明の実施の形態2に係る液圧成形方法を説明する。なお、図12は、時間の経過に関する液圧、加工歪、型締め力、材料流入量の関係を示しているグラフ、図13は、液圧成形過程における成形開始時を説明するための断面図、図14は、図13に続く、成形初期を説明するための断面図、図15は、図14に続く、成形中期を説明するための断面図、図16は、図15に続く、成形後期を説明するための断面図、図17は、図16に続く、成形終了時を説明するための断面図である。
【0061】
まず、予備成形体30を上型40および下型30の内側に配置して型締めする際、検出接触子72を本体部71に押し込んで、本体部71を配置する(図13参照)。検出接触子72は、弾性部材によって押し出され、予備成形体30の端部端面に接触する。その後、実施の形態1と同様にして、高圧液体が注入され、予備成形体30を構成する板材10,20を膨出させる。
【0062】
液体の供給を継続することで液圧Pが連続的に上昇する一方、液圧Pに対応した上型40および下型30が押し開かない型締め力に比べて非常に大きな型締め力(第1型締め力)F1を適用し、加工歪εを、予備成形体に付与する(図14参照)。
【0063】
そして、接触式センサ70によって検出される端部端面の位置の変化から、材料流入量Wが、頂部接触を生じる材料流入量W1に到達したこと、つまり、板材10,20の頂部16,26とキャビティ41,51とが接触したことが検出されると(図15参照)、第1型締め力F1に比べて小さい型締め力(第2型締め力)F2を適用する。
【0064】
したがって、時間T1からの板厚減少や破断が生じやすい成形中期においては、材料流入が促進され、押圧部42,52によって押圧される型締め部に隣接している部位、例えば、コーナー部15近傍の板厚減少および破断が抑制される。
【0065】
その後、第2型締め力を、液圧Pの上昇に対応させ、液圧Pの上昇に対応させ、液圧Pと予備成形体の上面積を乗じた値より大きく、かつ、当該値の近傍に位置するように連続的に設定する(図16参照)。
【0066】
そして、型締め力が最終液圧P3に対応する値(第3型締め力)F3に到達する成形後期においては、液圧Pが最終液圧P3に到達した後(時間T3以降)、所定の時間保持する(図17参照)。第3型締め力F3は、最終液圧P3によって上型40および下型50が開かないように、最終液圧P3と予備成形体の上面積を乗じた値より大きく設定される。
【0067】
その後、除圧し、上型40が上昇することで型開きされ、成形品が取り出され、必要に応じて、切断などのトリミングが施される。得られた成形品は、加工歪が主に生じる成形初期において、平坦部17,27を含め、加工歪が付与されているため、熱処理を施す場合、充分な強度上昇が達成できる。
【0068】
以上のように、実施の形態2は、加工歪を付与すると共に、板厚減少および破断を抑制することができる液圧成形方法および液圧成形装置を提供することができる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
【0070】
例えば、実施の形態1に係る頂部接触検出手段と実施の形態2に係る頂部接触検出手段の両方を設けることも可能である。
【0071】
頂部接触検出手段は、付加される液圧や時間の経過に基づくことも可能である。例えば、液圧を発生させるための外部の高圧発生装置や、高圧発生装置に連結されている配管の途中に設けられる液圧センサ(液圧検出手段)や、液圧成形装置が備えているタイマ(測時手段)を利用して、頂部接触を検出することが可能である。
【0072】
液圧センサを適用する場合は、予備成形体の形状変化と、液圧との関係を実測し、頂部接触が生じる液圧を決定する。そして、実際の成形過程において、液圧が、頂部接触が生じる液圧に到達したタイミングで、第1型締め力から第2型締め力への切換を実行する。
【0073】
タイマを適用する場合は、予備成形体の形状変化と、時間の経過との関係を実測し、頂部接触が生じる時間を決定する。そして、実際の成形過程において、時間が、頂部接触が生じる時間に到達したタイミングで、第1型締め力から第2型締め力への切換を実行する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る予備成形体を説明するための断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る液圧成形装置を説明するための断面図である。
【図3】図2の線III−IIIに関する断面図であり、液圧成形過程における成形開始時を示している。
【図4】時間の経過に関する液圧、型締め力、加工歪の関係を示しているグラフである。
【図5】液圧成形過程における成形初期を説明するための断面図である。
【図6】図5に続く、成形中期を説明するための断面図である。
【図7】図6に続く、成形後期を説明するための断面図である。
【図8】図7に続く、成形終了時を説明するための断面図である。
【図9】成形品の断面における板厚減少率の分布図を説明するためのグラフである。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例を説明するためのグラフであり、時間の経過に関する液圧、加工歪、型締め力の関係を示している。
【図11】本発明の実施の形態2に係る液圧成形装置を説明するための断面図である。
【図12】時間の経過に関する液圧、加工歪、型締め力、材料流入量の関係を示しているグラフである。
【図13】液圧成形過程における成形開始時を説明するための断面図である。
【図14】図13に続く、成形初期を説明するための断面図である。
【図15】図14に続く、成形中期を説明するための断面図である。
【図16】図15に続く、成形後期を説明するための断面図である。
【図17】図16に続く、成形終了時を説明するための断面図である。
【符号の説明】
10…板材、
11…凸部、
12…重合い部、
14…縁部、
15…コーナー部、
16…頂部、
17…平坦部、
20…板材、
21…凸部、
22…重合い部、
23…開口部、
24…縁部、
25…コーナー部、
26…頂部、
27…平坦部、
30…予備成形体、
31…外周接合部、
32…液圧注入部、
40…上型(第1成形型)、
41…キャビティ、
42…押圧部、
43…凹溝、
50…下型(第2成形型)、
51…キャビティ、
52…押圧部、
53…凹溝、
54…ノズル部、
55…吐出口、
56…通路、
57…導入口、
58…配管、
60,70…頂部接触検出手段、
61,71…本体部、
62,72…検出接触子、
F,F1,F2,F3…型締め力、
P,P1,P3…液圧、
T,T1…時間、
W,W1…材料流入量、
ε…加工歪。
Claims (13)
- 加工歪を付与した後、熱処理を施すことによって強度が上昇する歪時効硬化型板材が適用される液圧成形方法において、
重ね合わせた歪時効硬化型板材の周辺を接合してなる予備成形体を、第1成形型および第2成形型の内側に配置し、型締めした後、
予備成形体の内側に徐々に液圧を付加することで膨出させ、第1成形型および第2成形型のキャビティに押圧して成形する際における
成形初期においては、予備成形体に加工歪を付与し得る第1型締め力を適用し、
成形中期においては、型締めされている予備成形体の縁部からの材料流入を促進し得る第2型締め力を適用し、
液圧が最終液圧に到達する成形後期においては、最終液圧に対応する第3型締め力を適用する
ことを特徴する液圧成形方法。 - 前記成形初期は、成形開始から、予備成形体の膨出する頂部が、前記キャビティに接触するまでの期間であることを特徴とする請求項1に記載の液圧成形方法。
- 前記第2型締め力は、付加されている液圧に予備成形体の上面積を乗じた値より大きく、かつ、当該値の近傍に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液圧成形方法。
- 前記第2型締め力を、付加されている液圧の上昇に対応して、連続的に上昇させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
- 前記第2型締め力を、付加されている液圧の上昇に対応して、段階的に上昇させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
- 加工歪を付与した後、熱処理を施すことによって強度が上昇する歪時効硬化型板材が適用される液圧成形装置において、
重ね合わせた歪時効硬化型板材の周辺を接合してなる予備成形体が内側に配置されて、型締めされる第1成形型および第2成形型と、
予備成形体の内側に徐々に液圧を付加することで膨出させ、前記第1成形型および第2成形型のキャビティに押圧するための流体供給手段と、
成形初期においては、予備成形体に加工歪を付与し得る第1型締め力を適用し、成形中期においては、型締めされている予備成形体の縁部からの材料流入を促進し得る第2型締め力を適用し、液圧が最終液圧に到達する成形後期においては、最終液圧に対応する第3型締め力を適用するための型締め調整手段と
を有することを特徴とする液圧成形装置。 - 予備成形体の膨出する頂部と、前記キャビティとの接触を検出するための検出手段を有し、
前記成形初期は、成形開始から、前記検出手段によって前記接触が検出されるまでの期間であることを特徴とする請求項6に記載の液圧成形装置。 - 前記検出手段は、予備成形体の外面と、前記キャビティとの間の距離の変化に基づいて、前記接触を検出することを特徴とする請求項7に記載の液圧成形装置。
- 前記検出手段は、前記第1成形型あるいは第2成形型の内部に配置される接触式センサからなり、前記接触式センサは、キャビティから突出するように付勢される検出接触子を有することを特徴とする請求項8に記載の液圧成形装置。
- 前記検出手段は、予備成形体における型締めされている端部の位置の変化に基づいて、前記接触を検出することを特徴とする請求項7に記載の液圧成形装置。
- 前記検出手段は、前記第1成形型および第2成形型の型締め部に隣接して配置される接触式センサからなり、前記接触式センサは、予備成形体の端部端面に接触するように付勢される検出接触子を有することを特徴とする請求項10に記載の液圧成形装置。
- 前記検出手段は、付加される液圧に基づいて、前記接触を検出することを特徴とする請求項7に記載の液圧成形装置。
- 前記検出手段は、時間の経過に基づいて、前記接触を検出することを特徴とする請求項7に記載の液圧成形装置。
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