JP2004322142A - 連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーおよび連続鋳造開始方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンディッシュ再使用時の操業を迅速に実施し、かつ舟形のタンディッシュにおけるプラズマ加熱装置とストッパー方式の併用を可能とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーを提供することを目的とするものである。
【解決手段】連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔を開閉する機能を有するストッパーにおいて、鋼製の内管および外管の二重管からなり、内管と外管の間に冷却流体用配管を備えた構造であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
【選択図】 図1
【解決手段】連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔を開閉する機能を有するストッパーにおいて、鋼製の内管および外管の二重管からなり、内管と外管の間に冷却流体用配管を備えた構造であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔に挿入し、モールドへの溶鋼注入を開始するストッパーで、注入開始後は溶鋼に溶解する構造をもつ連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー及びそれを用いた連続鋳造開始方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔に挿入し、モールドへの溶鋼注入を開始する連続鋳造用タンディッシュストッパーとして耐火物製のものが用いられてきた。最近では、特許文献1に示すように耐火物製ストッパーの下端部を部分的に交換し、ストッパー本体は再利用する方法や、特許文献2のストッパー簡易着脱装置のように迅速交換に関する試みが為されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−132190号公報
【特許文献2】
特開平8−243694号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近は連続鋳造用のタンディッシュからモールドへの溶鋼注入の開始時はストッパー方式、それ以降の流量制御はタンディッシュ底部の排出孔に設けられているスライディングノズル方式が適用されるようになってきた。しかし、ストッパー方式とスライディングノズル方式を併用する場合、数キャストに亘るタンディッシュの再使用が行われる際に、キャスト終了後にノズルプレートに付着する地金除去のため、タンディッシュ底部の排出孔外側からノズルプレートの酸素洗浄をする必要があるが、従来のストッパーはスライディングノズルの直上に位置するため、酸素洗浄の際にストッパー耐火物を損耗する可能性があり、洗浄の度にストッパーを退避させる作業が必要となる。
また、現在の連鋳プロセスにおいて、多くの連続鋳造用タンディッシュに溶鋼加熱用のプラズマ加熱装置が使用されているが、舟形のタンディッシュの場合、プラズマ加熱装置の加熱位置とタンディッシュストッパーの設置位置が干渉し、スペースの問題上両者を成り立たせることは難しい。
【0005】
そこで本発明は、上記のタンディッシュ再使用時の操業を迅速に実施し、かつ舟形のタンディッシュにおけるプラズマ加熱装置とストッパー方式の併用を可能とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーおよび連続鋳造開始方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨は次のとおりである。
(1) 連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔を開閉するストッパーにおいて、ストッパー本体が鋼製の内管および外管の二重管からなり、内管と外管の間に冷却流体用配管を備えた構造であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
(2) 鉄管ストッパーの内管と外管の合計の厚みを管厚として、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚で、かつストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚であることを特徴とする(1)に記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
(3) ストッパー開閉装置とストッパー本体が切り離し可能な構造であることを特徴とする(1)または(2)に記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
(4) (1)〜(3)いずれかに記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーを用いて、熱間再使用前のタンディッシュ底部の排出孔に、ストッパー冷却流体用配管に冷却流体を流した状態でストッパーを装着し、この状態でタンディッシュを鋳造位置に移動させ、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した以降の任意の時点に冷却流体を止め、一方、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した後に、溶鋼鍋からの溶鋼注入を開始し、所定の湯面レベルに達したところで、ストッパーを開とし、その後はストッパーを溶鋼に完全に溶融させることを特徴とする連続鋳造開始方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の構成とすることにより、キャスト終了時においてストッパー本体が溶鋼に溶融されて、ストッパーが完全溶融するため、キャスト中のプラズマ加熱装置の併用および、ストッパーを退避することなく、スライディングノズルプレートの酸素洗浄が可能となることから、タンディッシュ再利用時の操業を迅速に実施できることを見出した。
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のタンディッシュ鉄管ストッパー本体の一例を図1に示す。この様に、ストッパー本体は、排出孔をシールする芯金用の内管2、内管2の防熱用の外管3、外管3を冷却するための冷却流体用の配管1から構成されている。また、材質は全て鋼製のものであれば良く、特に限定するものではないが、通常は圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)を用いることが多いため、ここでは一例としてSTPGを用いた場合を挙げている。
【0009】
ストッパーの機能としては、キャストを終了後にタンディッシュ底部の排出孔にストッパーを挿入して閉とし、次にタンディッシュ内に溶鋼を注湯し、溶鋼量が所定量となったところでストッパーを引抜いて排出孔を開とし、タンディッシュからモールドへの溶鋼の注入を開始するものである。この様なストッパーの開閉は、通常はストッパーに連結されたストッパー開閉装置により行うことができる。
【0010】
まず、タンディッシュ底部の排出孔に挿入して閉とする際には、キャスト終了後のタンディッシュ内雰囲気温度は非常に高温のため、ストッパーが溶解して排出孔を閉とする機能が保持できなくなる。従って、本発明では溶解を抑制できる様に、排出孔をシールする芯金用の内管2に加えて、防熱用の外管3、さらに外管3を冷却するための冷却流体用の配管1から構成されており、冷却流体用の配管1に冷却流体を流すことで、ストッパーの溶解を抑制したい任意の期間について、ストッパーの溶解を抑制できる。冷却流体としては取り扱い易さの点から、常温の空気や窒素ガスを用いることが好ましい。
【0011】
次に、タンディッシュ内に溶鋼を注湯し、溶鋼量が所定量となったところでストッパーを引抜いて排出孔を開とした後は、積極的にストッパーを溶解させて、溶鋼に溶融させるため、ストッパーは鋼製である必要がある。この場合は、上記の冷却流体を流すことを停止することで実施できる。尚、冷却流体を流すことを停止するタイミングは、タンディッシュ内に注湯した溶鋼量が所定量となった時点で、ストッパーを引抜ける強度の厚みが残存していれば、特に規定するものではなく、例えばタンディッシュ内への溶鋼の注湯を開始する時点に冷却流体を流すことを停止しても良い。
【0012】
また、鉄管ストッパーの内管と外管の合計の管厚として、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚で、かつストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚であることが好ましい。
【0013】
具体的な管厚は、各種数値解析法等で決定することができるが、ここでは、一例として鉄管ストッパーの温度が鉄の融点である1450℃に達した時に溶解するという前提で、有限要素法解析(FEM解析)を用いて伝熱解析を行った。
その結果、図2に示す様に管厚と溶解時間の関係が計算され、これにより任意のタンディッシュ湯面レベルの到達する時間まで完全溶解しない管厚を決定することができる。
【0014】
尚、図2の管厚は、内管2と外管3の合計の厚みを意味するが、内管2の管厚はストッパーの自重を支えるために十分な強度の管厚とし、外管は図2から求まる合計管厚から内管2の管厚を引いた厚みとすることが望ましく、適宜決定すれば良い。
また、溶鋼鍋からタンディッシュ内に注入された溶鋼の所定量とは、特に規定するものではなく、通常タンディッシュ内に注入される必要量等に応じて決定するものである。
【0015】
さらに、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚とは、注入した溶鋼によりストッパーが溶解するものの、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入された時点で、ストッパーが完全溶融せず、ストッパーを引抜ける強度を維持した残存の厚みのことであり、特に規定するものではない。
一方、ストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚とは、この期間でストッパーが溶鋼に完全に溶融する厚みのことであり、特に規定するものではない。
【0016】
さらに、ストッパー開閉装置とストッパー本体が切り離し可能な構造であることが好ましい。これは、ストッパーを開とした後は、ストッパー本体のみを溶鋼で溶融させるためである。例えば、ストッパー開閉装置とストッパー本体を簡易に切り離し可能な構造としては、開閉装置7とストッパーの接続部として、ストッパー固定用の孔4にピンまたはコッターを挿入して固定する着脱構造等が挙げられる。
【0017】
上記の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーを用いて、熱間再使用前のタンディッシュ底部の排出孔に、ストッパー冷却流体用配管に冷却流体を流した状態でストッパーを装着し、この状態でタンディッシュを鋳造位置に移動させ、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した以降の任意の時点に冷却流体を止め、一方、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した後に、溶鋼鍋からの溶鋼注入を開始し、所定の湯面レベルに達したところで、ストッパーを開とし、その後はストッパーを溶鋼に完全に溶融させることができる。
この様な方法により、ノズルプレートに付着する地金除去のためのノズルプレートの酸素洗浄が不要となるため、タンディッシュ再使用時の操業を迅速に実施することが可能になり、さらに舟形のタンディッシュにおけるプラズマ加熱装置とストッパー方式の併用が可能となる。
【0018】
【実施例】
本実施例では、タンディッシュ内の溶鋼量20トン(タンディッシュ内に溶鋼を充填するのに要する時間:約2分)を前提とし、各管の管圧を内管5.5mm、外管9.5mmのストッパーを用いた。
まず、キャストを終了後、スライディングノズルの洗浄・整備が完了した後タンディッシュ5に鉄管ストッパー6を装着した(図3参照)。この時、キャスト終了後のタンディッシュ内雰囲気温度は1450℃以上の高温のため、冷却ガス用配管1からストッパー冷却用空気(圧力:約0.5MPa)を流し、芯金防熱用の外管3を冷却した。
【0019】
次に、タンディッシュカーを鋳造位置に移動し、溶鋼鍋をセットの後、冷却用空気を止め、タンディッシュ内に所定の約20トンまで、約1600℃程度の溶鋼を注湯した。タンディッシュ内の溶鋼量が約20トンとなったところでストッパー開閉装置7を用いてストッパー6を開とし、タンディッシュ5の排出孔8からモールドへの溶鋼の注入を開始した。ストッパーの溶鋼浸漬部は溶鋼中に溶解し、ストッパー上部の未溶解部もストッパー6を開閉装置7から切り離すことで、タンディッシュ5内に落とし込み、溶鋼に溶解させた。
【0020】
これにより、ストッパー6が完全に消失しているため、舟形のタンディッシュでは、開閉装置7のアームを退避させるだけで、プラズマ過熱装置の使用が可能となった。また、従来はタンディッシュ再利用時の排出孔の酸素洗浄時に、排出孔位置からストッパーを退避させる必要があったが、本鉄管ストッパーを用いた場合はストッパーが溶けて無くなるため、ストッパー退避時間(約1〜2分)のタンディッシュ再利用準備時間短縮を可能とできた。
【0021】
【発明の効果】
本発明の連続鋳造用タンディッシュストッパーは、従来の耐火物製のストッパーと異なり空冷式の鋼製二重管構造であるため、ストッパーを開とした後は、ストッパーが溶鋼に完全溶解するため、タンディッシュ再利用時のノズルの酸素洗浄を迅速化すると共に、プラズマ加熱装置を使用する舟形のタンディッシュでは、ストッパー方式とプラズマ過熱装置の併用を可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる鉄管ストッパーの断面図。
【図2】ストッパー管厚と溶解時間の関係を示す図。
【図3】同ストッパーのタンディッシュへの設置例を示す断面図。
【符号の説明】
1:冷却ガス用配管 6:鉄管ストッパー
2:ストッパー芯金用内管 7:ストッパー開閉装置
3:芯金防熱用外管 8:溶鋼排出孔
4:ストッパー固定用コッター穴 9:タンディッシュボンネット
5:連続鋳造用タンディッシュ
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔に挿入し、モールドへの溶鋼注入を開始するストッパーで、注入開始後は溶鋼に溶解する構造をもつ連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー及びそれを用いた連続鋳造開始方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔に挿入し、モールドへの溶鋼注入を開始する連続鋳造用タンディッシュストッパーとして耐火物製のものが用いられてきた。最近では、特許文献1に示すように耐火物製ストッパーの下端部を部分的に交換し、ストッパー本体は再利用する方法や、特許文献2のストッパー簡易着脱装置のように迅速交換に関する試みが為されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−132190号公報
【特許文献2】
特開平8−243694号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近は連続鋳造用のタンディッシュからモールドへの溶鋼注入の開始時はストッパー方式、それ以降の流量制御はタンディッシュ底部の排出孔に設けられているスライディングノズル方式が適用されるようになってきた。しかし、ストッパー方式とスライディングノズル方式を併用する場合、数キャストに亘るタンディッシュの再使用が行われる際に、キャスト終了後にノズルプレートに付着する地金除去のため、タンディッシュ底部の排出孔外側からノズルプレートの酸素洗浄をする必要があるが、従来のストッパーはスライディングノズルの直上に位置するため、酸素洗浄の際にストッパー耐火物を損耗する可能性があり、洗浄の度にストッパーを退避させる作業が必要となる。
また、現在の連鋳プロセスにおいて、多くの連続鋳造用タンディッシュに溶鋼加熱用のプラズマ加熱装置が使用されているが、舟形のタンディッシュの場合、プラズマ加熱装置の加熱位置とタンディッシュストッパーの設置位置が干渉し、スペースの問題上両者を成り立たせることは難しい。
【0005】
そこで本発明は、上記のタンディッシュ再使用時の操業を迅速に実施し、かつ舟形のタンディッシュにおけるプラズマ加熱装置とストッパー方式の併用を可能とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーおよび連続鋳造開始方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨は次のとおりである。
(1) 連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔を開閉するストッパーにおいて、ストッパー本体が鋼製の内管および外管の二重管からなり、内管と外管の間に冷却流体用配管を備えた構造であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
(2) 鉄管ストッパーの内管と外管の合計の厚みを管厚として、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚で、かつストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚であることを特徴とする(1)に記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
(3) ストッパー開閉装置とストッパー本体が切り離し可能な構造であることを特徴とする(1)または(2)に記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
(4) (1)〜(3)いずれかに記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーを用いて、熱間再使用前のタンディッシュ底部の排出孔に、ストッパー冷却流体用配管に冷却流体を流した状態でストッパーを装着し、この状態でタンディッシュを鋳造位置に移動させ、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した以降の任意の時点に冷却流体を止め、一方、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した後に、溶鋼鍋からの溶鋼注入を開始し、所定の湯面レベルに達したところで、ストッパーを開とし、その後はストッパーを溶鋼に完全に溶融させることを特徴とする連続鋳造開始方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の構成とすることにより、キャスト終了時においてストッパー本体が溶鋼に溶融されて、ストッパーが完全溶融するため、キャスト中のプラズマ加熱装置の併用および、ストッパーを退避することなく、スライディングノズルプレートの酸素洗浄が可能となることから、タンディッシュ再利用時の操業を迅速に実施できることを見出した。
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のタンディッシュ鉄管ストッパー本体の一例を図1に示す。この様に、ストッパー本体は、排出孔をシールする芯金用の内管2、内管2の防熱用の外管3、外管3を冷却するための冷却流体用の配管1から構成されている。また、材質は全て鋼製のものであれば良く、特に限定するものではないが、通常は圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)を用いることが多いため、ここでは一例としてSTPGを用いた場合を挙げている。
【0009】
ストッパーの機能としては、キャストを終了後にタンディッシュ底部の排出孔にストッパーを挿入して閉とし、次にタンディッシュ内に溶鋼を注湯し、溶鋼量が所定量となったところでストッパーを引抜いて排出孔を開とし、タンディッシュからモールドへの溶鋼の注入を開始するものである。この様なストッパーの開閉は、通常はストッパーに連結されたストッパー開閉装置により行うことができる。
【0010】
まず、タンディッシュ底部の排出孔に挿入して閉とする際には、キャスト終了後のタンディッシュ内雰囲気温度は非常に高温のため、ストッパーが溶解して排出孔を閉とする機能が保持できなくなる。従って、本発明では溶解を抑制できる様に、排出孔をシールする芯金用の内管2に加えて、防熱用の外管3、さらに外管3を冷却するための冷却流体用の配管1から構成されており、冷却流体用の配管1に冷却流体を流すことで、ストッパーの溶解を抑制したい任意の期間について、ストッパーの溶解を抑制できる。冷却流体としては取り扱い易さの点から、常温の空気や窒素ガスを用いることが好ましい。
【0011】
次に、タンディッシュ内に溶鋼を注湯し、溶鋼量が所定量となったところでストッパーを引抜いて排出孔を開とした後は、積極的にストッパーを溶解させて、溶鋼に溶融させるため、ストッパーは鋼製である必要がある。この場合は、上記の冷却流体を流すことを停止することで実施できる。尚、冷却流体を流すことを停止するタイミングは、タンディッシュ内に注湯した溶鋼量が所定量となった時点で、ストッパーを引抜ける強度の厚みが残存していれば、特に規定するものではなく、例えばタンディッシュ内への溶鋼の注湯を開始する時点に冷却流体を流すことを停止しても良い。
【0012】
また、鉄管ストッパーの内管と外管の合計の管厚として、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚で、かつストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚であることが好ましい。
【0013】
具体的な管厚は、各種数値解析法等で決定することができるが、ここでは、一例として鉄管ストッパーの温度が鉄の融点である1450℃に達した時に溶解するという前提で、有限要素法解析(FEM解析)を用いて伝熱解析を行った。
その結果、図2に示す様に管厚と溶解時間の関係が計算され、これにより任意のタンディッシュ湯面レベルの到達する時間まで完全溶解しない管厚を決定することができる。
【0014】
尚、図2の管厚は、内管2と外管3の合計の厚みを意味するが、内管2の管厚はストッパーの自重を支えるために十分な強度の管厚とし、外管は図2から求まる合計管厚から内管2の管厚を引いた厚みとすることが望ましく、適宜決定すれば良い。
また、溶鋼鍋からタンディッシュ内に注入された溶鋼の所定量とは、特に規定するものではなく、通常タンディッシュ内に注入される必要量等に応じて決定するものである。
【0015】
さらに、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚とは、注入した溶鋼によりストッパーが溶解するものの、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入された時点で、ストッパーが完全溶融せず、ストッパーを引抜ける強度を維持した残存の厚みのことであり、特に規定するものではない。
一方、ストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚とは、この期間でストッパーが溶鋼に完全に溶融する厚みのことであり、特に規定するものではない。
【0016】
さらに、ストッパー開閉装置とストッパー本体が切り離し可能な構造であることが好ましい。これは、ストッパーを開とした後は、ストッパー本体のみを溶鋼で溶融させるためである。例えば、ストッパー開閉装置とストッパー本体を簡易に切り離し可能な構造としては、開閉装置7とストッパーの接続部として、ストッパー固定用の孔4にピンまたはコッターを挿入して固定する着脱構造等が挙げられる。
【0017】
上記の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーを用いて、熱間再使用前のタンディッシュ底部の排出孔に、ストッパー冷却流体用配管に冷却流体を流した状態でストッパーを装着し、この状態でタンディッシュを鋳造位置に移動させ、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した以降の任意の時点に冷却流体を止め、一方、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した後に、溶鋼鍋からの溶鋼注入を開始し、所定の湯面レベルに達したところで、ストッパーを開とし、その後はストッパーを溶鋼に完全に溶融させることができる。
この様な方法により、ノズルプレートに付着する地金除去のためのノズルプレートの酸素洗浄が不要となるため、タンディッシュ再使用時の操業を迅速に実施することが可能になり、さらに舟形のタンディッシュにおけるプラズマ加熱装置とストッパー方式の併用が可能となる。
【0018】
【実施例】
本実施例では、タンディッシュ内の溶鋼量20トン(タンディッシュ内に溶鋼を充填するのに要する時間:約2分)を前提とし、各管の管圧を内管5.5mm、外管9.5mmのストッパーを用いた。
まず、キャストを終了後、スライディングノズルの洗浄・整備が完了した後タンディッシュ5に鉄管ストッパー6を装着した(図3参照)。この時、キャスト終了後のタンディッシュ内雰囲気温度は1450℃以上の高温のため、冷却ガス用配管1からストッパー冷却用空気(圧力:約0.5MPa)を流し、芯金防熱用の外管3を冷却した。
【0019】
次に、タンディッシュカーを鋳造位置に移動し、溶鋼鍋をセットの後、冷却用空気を止め、タンディッシュ内に所定の約20トンまで、約1600℃程度の溶鋼を注湯した。タンディッシュ内の溶鋼量が約20トンとなったところでストッパー開閉装置7を用いてストッパー6を開とし、タンディッシュ5の排出孔8からモールドへの溶鋼の注入を開始した。ストッパーの溶鋼浸漬部は溶鋼中に溶解し、ストッパー上部の未溶解部もストッパー6を開閉装置7から切り離すことで、タンディッシュ5内に落とし込み、溶鋼に溶解させた。
【0020】
これにより、ストッパー6が完全に消失しているため、舟形のタンディッシュでは、開閉装置7のアームを退避させるだけで、プラズマ過熱装置の使用が可能となった。また、従来はタンディッシュ再利用時の排出孔の酸素洗浄時に、排出孔位置からストッパーを退避させる必要があったが、本鉄管ストッパーを用いた場合はストッパーが溶けて無くなるため、ストッパー退避時間(約1〜2分)のタンディッシュ再利用準備時間短縮を可能とできた。
【0021】
【発明の効果】
本発明の連続鋳造用タンディッシュストッパーは、従来の耐火物製のストッパーと異なり空冷式の鋼製二重管構造であるため、ストッパーを開とした後は、ストッパーが溶鋼に完全溶解するため、タンディッシュ再利用時のノズルの酸素洗浄を迅速化すると共に、プラズマ加熱装置を使用する舟形のタンディッシュでは、ストッパー方式とプラズマ過熱装置の併用を可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる鉄管ストッパーの断面図。
【図2】ストッパー管厚と溶解時間の関係を示す図。
【図3】同ストッパーのタンディッシュへの設置例を示す断面図。
【符号の説明】
1:冷却ガス用配管 6:鉄管ストッパー
2:ストッパー芯金用内管 7:ストッパー開閉装置
3:芯金防熱用外管 8:溶鋼排出孔
4:ストッパー固定用コッター穴 9:タンディッシュボンネット
5:連続鋳造用タンディッシュ
Claims (4)
- 連続鋳造用のタンディッシュ底部の排出孔を開閉するストッパーにおいて、ストッパー本体が鋼製の内管および外管の二重管からなり、内管と外管の間に冷却流体用配管を備えた構造であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
- 鉄管ストッパーの内管と外管の合計の厚みを管厚として、溶鋼鍋からタンディッシュ内に溶鋼を注入開始した時点から、タンディッシュ内に溶鋼が所定量注入されてストッパーを開とする時点までは完全溶融しない管厚で、かつストッパーを開とした時点からチャージ終了時点までに完全溶融する管厚であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
- ストッパー開閉装置とストッパー本体が切り離し可能な構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパー。
- 請求項1〜3いずれかに記載の連続鋳造用タンディッシュ鉄管ストッパーを用いて、熱間再使用前のタンディッシュ底部の排出孔に、ストッパー冷却流体用配管に冷却流体を流した状態でストッパーを装着し、この状態でタンディッシュを鋳造位置に移動させ、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した以降の任意の時点に冷却流体を止め、一方、タンディッシュが鋳造位置へ移動を完了した後に、溶鋼鍋からの溶鋼注入を開始し、所定の湯面レベルに達したところで、ストッパーを開とし、その後はストッパーを溶鋼に完全に溶融させることを特徴とする連続鋳造開始方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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