JP2004321931A - 有機性廃液の処理方法および処理装置 - Google Patents

有機性廃液の処理方法および処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機性廃液の嫌気性処理において、効率的に汚泥の溶解性を向上させると同時に、汚泥中に存在するリンを溶出させ、消化ガスの発生を促進し、処分汚泥量の低減をはかるとともに、リンを回収する。
【解決手段】流入する有機性廃液に物理学的処理を行い、処理後の有機性廃液を固形物と溶液に分離する。分離後の固形物を嫌気性消化槽に導入して嫌気性消化を行なうとともに、分離後の溶液からリンを回収する。嫌気性消化槽の消化汚泥を引き抜き、引き抜いた消化汚泥に分散および改質の処理を加えてもよい。また、引き抜いた消化汚泥の固液分離を行ない、得られた濃縮汚泥に分散および改質の処理を加えるようにしてもよい。
【選択図】 図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性廃液の処理方法および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品などの製造プロセスからの廃液、下廃水処理プロセスで排出される有機性汚泥あるいは人畜のし尿など、スラリー状の高濃度有機性廃液の処理には、嫌気性微生物を用いた嫌気性消化と呼ばれる処理方法が広く実施されている。この嫌気性消化では、廃液中の有機物は微生物の働きにより、固形物の溶解、有機酸生成、メタン発生のプロセスを経て、最終的にはメタンガスに変換される。このメタンガスは燃料や発電原料として利用できるため、エネルギー生産型の処理方法として注目されている。
【0003】
しかし、この嫌気性消化においては、固形物の溶解から、有機酸生成、メタン発生までの微生物の作用が遅く、処理に長時間を要するため装置、とくに嫌気性消化のための消化槽が大型化するという欠点がある。
【0004】
さらに、処理すべき流入廃液中には、紙や木材などに由来する繊維質や微生物の細胞壁など、嫌気性微生物によって溶解され難い固形物、すなわち難溶解性物質が含まれる場合が多い。この難溶解性物質は、固形物の溶解および有機酸生成の過程でも溶解されずに残存するため、未分解の汚泥が消化槽に残存する。安定な処理を行なうにはこれを消化槽から引き抜き、焼却などエネルギーを投入して処分する必要がある。現状の嫌気性消化では、流入廃液中の固形物の約50%が溶解できずに引き抜き処分されており、その結果、メタンガスとしてのエネルギー回収も50%程度にとどまっている。したがって、流入廃液中の有機物からのエネルギー回収率を高め、処分すべき汚泥の量を減らすには、流入廃液中や消化汚泥中に存在する難溶解物質を溶解させ、メタンガスへの変換を促進することが課題である。
【0005】
これら難溶解物質の溶解には、あらかじめ難溶解性物質を易溶解性物質、すなわち嫌気性消化槽内の微生物によって溶解可能な物質に改質し、それを微生物によって溶解させることが有効であり、効率的な易溶解性物質への改質方法、改質装置が重要である。
【0006】
また、近年、リンの採掘年数に限界があることが明らかとなり、リン資源の再利用が重要視されている。有機性廃液、特に下廃水処理プロセスで発生する有機汚泥にはリンが比較的高濃度で含まれている場合があり、この有機汚泥中からリンを溶出させ、回収し、再利用するための方法、装置が重要となっている。
【0007】
嫌気性消化において固形物の溶解性を増大しメタンガスへの変換を向上する方法として、特許文献1には、嫌気性処理における消化汚泥をオゾン処理または高圧パルス処理により改質し、改質処理後の汚泥を嫌気性消化槽に戻す処理方法が記載されている。このような処理方法においては処理すべき廃液を被処理液路から投入し、嫌気性消化槽で消化処理を行なう。嫌気性消化槽の汚泥は連絡路を通って膜分離装置へ輸送され、濃縮汚泥と処理液に分離される。膜分離装置で分離された汚泥は返送汚泥路によって嫌気性消化槽へ返送されるが、その一部は濃縮液取出路を通って改質槽へ送られ、ここでオゾン処理を行なった後、改質汚泥路を介して嫌気性消化槽に返送される。
【0008】
また、廃水処理プロセスにて発生する有機汚泥からリンを溶出させ回収する試みの例が、たとえば非特許文献1に開示されている。ここでは、下水処理場の活性汚泥を70〜90℃で最大120分間加熱処理することにより、活性汚泥中のリン成分を液相中に溶出させた結果が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−206785号公報(第2−3頁、第1図)
【非特許文献1】
大竹久夫、他4名,「バイオレメディエーション技術を活用する汚染環境の修復 リン資源の循環再利用のためのバイオテクノロジー」,環境科学会誌,社団法人環境科学会,平成11年,第12巻,第4号,p.433〜441
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のオゾンを用いた従来技術では、汚泥の溶解性を向上させるためだけに汚泥のオゾン処理を行なっており、このオゾン処理において、汚泥中に含まれるリンを液相中に溶出させる効果についてはまったく示されていない。一方、非特許文献1の下水汚泥からのリン回収に関する従来技術では、加熱処理によって汚泥中のリン成分を液相中に溶出させているが、この加熱処理はリン溶出のためだけに行なわれており、汚泥を加熱処理することによるリン溶出以外の効果はまったく示されていない。したがって、汚泥からエネルギーとリンを同時に回収するための処理方法および処理装置についてはこれまでまったく開示されておらず実現するための方法、装置は全く存在しない。
【0011】
したがって、本発明は、これまで実現できなかった、有機性廃液や汚泥からエネルギーとリンを同時に回収するための処理方法、および処理装置を提供することを目的とする。すなわち、生産プロセスからの有機性廃液や下廃水処理で生じる有機汚泥などを嫌気性消化によって処理する際に、有機性廃液、有機汚泥または嫌気性消化汚泥に含まれる固形物の溶解性を増大させ、メタンガスへの変換率を向上させ、処分すべき汚泥量を低減できるだけでなく、これと同時に、枯渇が懸念されているリンを有機性廃液、有機汚泥または嫌気性消化汚泥から溶出させ、資源として回収できるエネルギー・リン同時回収型の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の方法は、上記目的を実行するための嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
流入する有機性廃液の少なくとも一部に対して、物理化学的手段による処理を行なう物理化学的処理工程と、
当該物理化学的処理工程ののち、有機性廃液を溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、
当該溶液からリンを回収するリン回収工程と、
当該固形物を嫌気性消化を行なう槽に導入して、該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第2の方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
当該嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、または当該消化汚泥を固液分離したのちの固形成分である分離汚泥の少なくとも一部分に対して、物理化学的手段による処理を行なう物理化学的処理工程と、
該物理化学的処理工程ののち、前記消化汚泥または前記分離汚泥を、溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、
当該溶液からリンを回収するリン回収工程と、
当該固形物を嫌気性消化を行なう槽に導入して、該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含む。
【0014】
また本発明の第3の方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、または当該消化汚泥を固液分離したのちの固形成分である分離汚泥の少なくとも一部分と、流入する有機性廃液の少なくとも一部分とを混合した混合物に対して、物理化学的手段による処理を行なう物理化学的処理工程と、
当該物理化学的処理工程ののち、前記混合物を、溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、
当該溶液からリンを回収するリン回収工程と、
当該固形物を嫌気性消化を行なう槽に導入して、該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含む方法である。
【0015】
さらに本発明の第1の装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
流入する有機性廃液の少なくとも一部分に対して物理化学的処理を行なう処理装置と、
当該処理装置で処理されたのちの有機性廃液を溶液と固形物とに分離する分離装置と、
当該溶液からリンを回収するリン回収装置と、
当該固形物を嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入手段
とを備える装置である。
【0016】
本発明の第2の装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
当該嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥を固液分離する汚泥分離装置と、
当該消化汚泥、または当該汚泥分離装置により得られる分離汚泥の少なくとも一部分に対して物理化学的処理を行なう処理装置と、
当該処理装置で処理されたのちの該消化汚泥または分離汚泥を溶液と固形物とに分離する分離装置と、
当該溶液からリンを回収するリン回収装置と、
当該固形物を嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入手段
とを備える装置である。
【0017】
本発明の第3の装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
当該嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥を固液分離する汚泥分離装置と、
当該消化汚泥、または当該汚泥分離装置により得られる分離汚泥の少なくとも一部分と流入する有機性廃液の少なくとも一部分との混合物の物理化学的処理を行なう処理装置と、
当該処理装置で処理されたのちの該混合物を溶液と固形物とに分離する分離装置と、
当該溶液からリンを回収するリン回収装置と、
当該固形物を嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入手段
とを備える装置である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の有機性廃液処理方法について、その効果を確認するために実験を行なった。
【0019】
実験1
下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥に対して、物理化学的処理としてオゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理の各処理を行なった。各処理の条件は、オゾン処理ではオゾン注入率を0.06g−O/g−SS、超音波処理では発振出力を1.0kW、処理時間を15分、加熱処理では温度を80℃、処理時間を30分、アルカリ処理では水酸化ナトリウムを添加してpHを12、処理時間20分とした。有効容積3.0Lの培養ビンにVSS濃度約13,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を1.0L投入したものを4本準備し、ここに、pHを中性付近、VSS濃度を約13,000mg/Lに調整した前記各処理汚泥1.0Lを混合した。このようにして調製した混合汚泥2.0Lを、50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0020】
また、対照実験として、いずれの処理も行なっていないVSS濃度約13,000mg/Lの嫌気性消化汚泥2.0Lについても、同様に50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0021】
本実験におけるVSS濃度の経日変化を図1に、消化ガスの発生量(積算量)を図2に示す。図1および図2において、未処理の場合のデータは曲線L1、オゾン処理を行なった場合のデータは曲線L2、超音波処理を行なった場合のデータは曲線L3、加熱処理を行なった場合のデータは曲線L4、アルカリ処理を行った場合のデータは曲線L5であらわしている。
【0022】
図1に示すように、時間の経過とともに汚泥中の有機性固形物の溶解がすすみ、VSS濃度は低下していく。また、オゾン処理などの汚泥の物理化学的処理を行なうことにより、未処理の場合に比べVSS濃度の低下が大きくなり、これら物理化学的処理による有機性固形物の溶解促進効果が顕著であった。
【0023】
たとえば、15日間でのVSS濃度の低下は、未処理の場合では約400mg/Lであるが、オゾン処理の場合では約2,200mg/L、超音波処理の場合では約2,000mg/L、加熱処理の場合では約1,700mg/L、アルカリ処理の場合では約2,400mg/Lとなり、未処理に比べ大幅なVSS濃度の低減が得られた。
【0024】
また、図2から明らかなように、消化ガス発生量もオゾン処理などの汚泥の物理化学的処理を行なうことにより未処理の場合に比べ大幅に大きくなっており、図1に示した汚泥の溶解とともに汚泥のメタンガスへの変換がこれら物理化学的処理によって促進された。
【0025】
また、各処理を行なった直後の汚泥および未処理の汚泥について遠心分離を行ない、上澄み液中のリン濃度を測定した。結果を図3に示す。未処理ではほとんどリンは検出されなかったが、オゾン処理などの物理化学的処理を行なった場合のリン濃度は、未処理に比べ顕著に大きく、これら物理化学的処理による汚泥からのリン溶出効果が顕著であった。このようにリンが溶出した上澄み液に炭酸カルシウム溶液を混合して攪拌すると溶液中のリンをリン酸カルシウムとして析出することができ、さらに遠心分離や膜分離などの固液分離を行なうことで固形状のリンとして回収できた。
【0026】
これらの結果より、有機汚泥にオゾン処理などの物理化学的処理を行なう本発明の処理方法は、汚泥中の固形物の溶解、および消化ガスの発生を促進させる効果が大きいだけでなく、同時に、汚泥中のリンを溶出させる効果が大きいことを発見した。
【0027】
ところで、オゾン処理におけるオゾン注入率は、0.01〜0.10g−O/g−SSが好ましく、とくに0.03〜0.07g−O/g−SS程度が好ましい。オゾン注入率が0.01g−O/g−SSより少ないと、有機汚泥中の有機物を充分に分解できずメタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、オゾン注入率が0.10g−O/g−SSを超えると、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0028】
また、超音波処理においては、発振出力を0.1〜3.0kWとし、5〜25分程度処理を行なうことが好ましい。発振出力が0.1kWよりも小さいと、有機汚泥中の有機物を充分分解できず、メタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。発振出力が3.0kWよりも大きい場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。また、処理時間が5分よりも短いと、有機汚泥中の有機物を充分分解できず、メタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。処理時間を25分より長くした場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0029】
また、加熱処理においては、温度を70〜120℃とし、5〜30分程度処理を行なうことが好ましい。温度が70℃よりも低いと、有機汚泥中の有機物を充分分解できず、メタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。温度が120℃よりも大きい場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。また、処理時間が5分よりも短いと、有機汚泥中の有機物を充分分解できず、メタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。処理時間を30分より長くした場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0030】
また、アルカリ処理は、pH9〜13の範囲で、5〜30分程度行なうのが好ましい。pHが9よりも低いと、有機汚泥中の有機物を充分分解できず、メタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、pHを13よりも高くした場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。また、処理時間が5分よりも短いと、有機汚泥中の有機物を充分分解できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。処理時間が30分よりも長い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0031】
実験2
前記実験1では、実験の期間中、培養ビンへの汚泥の追加や、培養ビンからの汚泥の引き抜きは行なっていない。しかし、実際の汚泥処理プラントでは、汚泥の投入と引き抜きとが継続的に行なわれている。そこで、連続的に下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を投入して消化を行なう連続処理実験を実施した。
【0032】
有効容積5.0Lの培養ビンを5本用意し、それぞれにVSS濃度約13,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を4.0L投入し、50℃で嫌気性消化を行なった。
【0033】
また、物理化学的処理として実験1と同様のオゾン処理を行なった有機汚泥を30分放置し、上部の固形物を含まない溶液と、下部の固形物を多く含む溶液に分離した。分離後の固形物を多く含む溶液(VSS濃度28,000mg/L)を、嫌気性消化を行なう5本の培養ビンにそれぞれ、1日に1回、0.8L、0.4L、0.26L、0.2L、0.13Lずつ投入した。なお、培養ビン内の汚泥の量を一定とするため、処理後の有機汚泥を投入する直前に、投入する量と同量の汚泥を培養ビンから引き抜いた。この投入および引き抜きの実験操作により、有機汚泥の各培養ビンにおける滞留時間はそれぞれ、5日、10日、15日、20日、30日となる。
【0034】
一方、処理汚泥の分離後の固形物を含まない溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合後、攪拌して溶液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させた。さらに、これを遠心分離によって固形物と溶液に分離し、分離後の固形物を固形状のリンとして回収した。
【0035】
オゾン処理以外の有機汚泥の物理化学的処理として超音波処理、加熱処理、アルカリ処理を実験1と同様の処理条件で行ない、上記のオゾン処理の場合と同様、分離後の固形物を多く含む溶液を嫌気性消化するとともに、分離後の固形物を含まない溶液からリンを回収した。なお、対照実験としてこれら処理汚泥のかわりに未処理の有機汚泥を投入する実験も行なった。
【0036】
これら4種の物理化学的処理、および未処理についてそれぞれ、所定量の投入と引き抜きと投入を行いつつ嫌気性消化をおこなう連続実験を3ヵ月継続し、投入した処理汚泥中の総VSS量と溶解されずに残ったVSSの総量から、嫌気性消化によって消化した固形物の割合、すなわちVSS低減率を求めた。またこの連続実験の期間に培養ビンに投入した有機汚泥の総VSS量に対する発生した消化ガスの総量の割合、すなわち消化ガス発生率を求めた。さらに、この連続実験の期間に培養ビンに投入した有機汚泥の総SS量に対する回収したリンの総量の割合、すなわちリン回収率を求めた。
【0037】
図4に、投入有機汚泥の培養ビン内での滞留時間とVSS低減率の関係を示す。図4において、未処理の場合のデータは曲線L1、オゾン処理を行なった場合のデータは曲線L2、超音波処理を行なった場合のデータは曲線L3、加熱処理を行なった場合のデータは曲線L4、アルカリ処理を行った場合のデータは曲線L5であらわしている。
【0038】
図4からわかるように、未処理の有機汚泥では、滞留時間10日ではほとんど有機性固形物の低減は起こらず、滞留時間30日の場合でようやくVSS低減率約40%となった。これに対し、オゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理の物理化学的処理を行なった汚泥では、いずれも滞留時間10日でもVSS低減が起こり、滞留時間10日で25〜35%のVSS低減率が得られた。また、滞留時間30日では50〜60%の高いVSS低減率が得られた。
【0039】
また、図5に示すように、この実験期間中の消化ガス発生率は、未処理では約0.3L/g−VSSであったのに対し、物理化学的処理を行った場合は0.4〜0.5L/g−VSS程度の消化ガス発生率が得られた。
【0040】
さらに、図6に示すように、この実験期間中のリン回収率は、未処理ではほぼゼロであったのに対し、物理化学的処理を行なった場合はいずれも5〜10mg−リン/g−SS程度のリン回収率が得られた。
【0041】
本実験の結果から、嫌気性消化槽に投入する有機汚泥の物理化学的処理によって、有機汚泥を短時間で消化でき、かつVSS低減率を高くでき、エネルギーとして利用できる消化ガスの発生を増大させるだけでなく、同時に有機汚泥中のリンも回収できることがわかった。
【0042】
実験3
前記実験2では、有機汚泥にオゾン処理などの物理化学的処理を行ない、固形物を多く含む溶液と、固形物を含まない溶液に分離し、前者を培養ビンに投入し、後者からリンを回収した。
【0043】
本実験では、培養ビン内の消化汚泥にオゾン処理などの物理化学的処理を加える。すなわち、有機汚泥は処理を加えずそのまま培養ビンに投入するとともに、培養ビン内の消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥にオゾン処理などの物理化学的処理を行った後、固形物を多く含む溶液と、固形物を含まない溶液に分離し、固形物を多く含む溶液を培養ビンに戻す。一方、固形物を含まない溶液からリンを回収する。
【0044】
実験2と同様、有効容積5.0Lの培養ビンを5本用意し、それぞれにVSS濃度約13,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を4.0L投入し、50℃で嫌気性消化を行なった。5本の培養ビンには、VSS濃度を13,000mg/Lに調整した有機汚泥を、1日に1回、それぞれ0.8L、0.4L、0.26L、0.2L、0.13Lずつ投入した。また、培養ビン内の汚泥の量を一定とするため、有機汚泥を投入する直前に、投入する量と同量の消化汚泥を培養ビンから引き抜いた。この投入および引き抜きの実験操作により、有機汚泥の各培養ビンにおける滞留時間は、それぞれ5日、10日、15日、20日、30日となる。
【0045】
この連続消化実験において、1日に1回、投入する有機汚泥の量と同量の消化汚泥を培養ビンから引き抜き、前記実験1の各処理、すなわちオゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理を行なったのち、処理した消化汚泥を遠心分離し、固形物を含まない溶液と、固形物を多く含む溶液に分離した。培養ビンの汚泥の量を一定とするため、分離後の固形物を多く含む溶液に、酸素を脱気した水を混合し、引き抜いた量と同じ量とした後、培養ビンに戻した。各処理の条件は、実験1と同様とした。
【0046】
一方、遠心分離後の固形物を含まない溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合後、攪拌して溶液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させた。さらに、これを遠心分離によって固形物と溶液に分離し、分離後の固形物を固形状のリンとして回収した。
【0047】
また、対照実験として、引き抜いた消化汚泥に処理を加えず遠心分離を行ない、遠心分離後の固形物を多く含む溶液を培養ビンに戻し、固形物を含まない溶液からリンを回収する実験も行なった。
【0048】
このような連続実験を3ヵ月継続し、実験2と同様、VSS低減率、消化ガス発生率、およびリン回収率を求めた。
【0049】
図7に、投入有機汚泥の培養ビン内での滞留時間(投入有機汚泥と同量の消化汚泥を引き抜いて処理を加えているので、処理した消化汚泥の培養ビン内での滞留時間ともいえる)とVSS低減率の関係を示す。図7において、未処理の場合のデータは曲線L1、オゾン処理を行なった場合のデータは曲線L2、超音波処理を行なった場合のデータは曲線L3、加熱処理を行なった場合のデータは曲線L4、アルカリ処理を行った場合のデータは曲線L5であらわしている。
【0050】
図7からわかるように、未処理の場合では、滞留時間10日ではほとんど有機性固形物の低減は起こらず、滞留時間30日の場合でようやくVSS低減率約40%となった。これに対し、オゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理の物理化学的処理を行なった場合では、いずれも滞留時間10日でもVSS低減が起こり、滞留時間10日で30〜40%のVSS低減率が得られた。また、滞留時間30日では55〜70%の高いVSS低減率が得られた。
【0051】
また、図8に示すように、この実験期間中の消化ガス発生率は、未処理では約0.3L/g−VSSであったのに対し、物理化学的処理を行った場合は0.45〜0.55L/g−VSS程度の消化ガス発生率が得られた。
【0052】
さらに、図9に示すように、この実験期間中のリン回収率は、未処理ではほぼゼロであったのに対し、物理化学的処理を行なった場合はいずれも6〜10mg−リン/g−SS程度のリン回収率が得られた。
【0053】
本実験の結果から、培養ビンすなわち消化槽から引き抜いた消化汚泥の物理化学的処理によって、投入する有機汚泥を短時間で消化でき、かつVSS低減率を高くでき、エネルギーとして利用できる消化ガスの発生を増大させるだけでなく、同時に消化汚泥中のリンも回収できることがわかった。
【0054】
ところで、本実験では、投入する有機汚泥には処理を加えず、培養ビンから引き抜いた消化汚泥にオゾン処理などの物理化学的オゾン処理を加えたが、投入する有機汚泥と培養ビンから引き抜いた消化汚泥とを混合し、この混合汚泥に対してオゾン処理などの物理化学的処理と遠心分離を加えてもよい。
【0055】
有機汚泥の培養ビンにおける滞留時間が5日、10日、15日、20日、30日となるよう、1日に1回、0.8L、0.4L、0.26L、0.2L、0.13Lの有機汚泥を投入する本実験において、投入する有機汚泥のうちの半分に同量の消化汚泥を培養ビンから引き抜いて混合し、この混合汚泥に対してオゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理を加え、培養ビンに導入する実験を行なったところ、図7〜9とほぼ同様の結果が得られた。この結果から、有機汚泥と消化汚泥とを混合して処理を行なっても、消化汚泥に対して処理を行なった場合とほぼ同様のVSS低減、消化ガス発生率増大、リン回収率増大の効果が得られることがわかった。
【0056】
実験4
前記実験3では、培養ビン内の消化汚泥を引き抜き、引き抜いた消化汚泥にオゾン処理などの物理化学的処理を加えた。一方、本実験では、消化汚泥を固形物と溶液に分離し、濃縮した消化汚泥にオゾン処理などの物理化学的処理を加える。
【0057】
実験2および実験3と同様、有効容積5.0Lの培養ビンを5本用意し、それぞれにVSS濃度約13,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を4.0L投入し、50℃で嫌気性消化を行なった。5本の培養ビンには、VSS濃度を13,000mg/Lに調整した有機汚泥を、1日に1回、0.8L、0.4L、0.26L、0.2L、0.13Lずつ投入した。また、有機汚泥を投入する直前に、投入する有機汚泥と同量の消化汚泥を培養ビンから引き抜き、これを30分放置して固形物を濃縮し、固形物を多く含む溶液と、固形物を含まない溶液に分離した。
【0058】
この固形物を多く含む溶液に対し、前記実験1の各処理、すなわちオゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理を行なった。各処理の条件は、実験1と同様とした。その後、処理した消化汚泥をさらに遠心分離し、固形物を含まない溶液と、固形物を多く含む溶液に分離した。遠心分離後の固形物を多く含む溶液を培養ビンに戻した。
【0059】
なお、培養ビン内の汚泥の量を一定にするため、分離後の固形物を多く含む溶液を戻す直前に、これと同量の消化汚泥を培養ビンから引抜き、その後戻すようにした。
【0060】
一方、遠心分離後の固形物を含まない溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合後、攪拌して溶液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させた。これをさらに遠心分離によって固形物と溶液に分離し、分離後の固形物を固形状のリンとして回収した。
【0061】
また、対照実験として、引き抜き後30分放置した固形物を多く含む溶液に処理を加えず遠心分離を行ない、遠心分離後の固形物を多く含む溶液を培養ビンに戻し、固形物を含まない溶液からリンを回収する実験も行なった。
【0062】
このような連続実験を3ヵ月継続し、実験2、実験3と同様、VSS低減率、消化ガス発生率、およびリン回収率を求めた。
【0063】
図10に、投入有機汚泥の培養ビン内での滞留時間とVSS低減率の関係を示す。図10において、未処理の場合のデータは曲線L1、オゾン処理を行なった場合のデータは曲線L2、超音波処理を行なった場合のデータは曲線L3、加熱処理を行なった場合のデータは曲線L4、アルカリ処理を行った場合のデータは曲線L5であらわしている。
【0064】
また、図10からわかるように、未処理の場合、滞留時間10日ではほとんど有機性固形物の低減は起こらず、滞留時間30日の場合でようやくVSS低減率約40%となった。これに対し、オゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理の物理化学的処理を行なった場合では、いずれも滞留時間10日でもVSS低減が起こり、滞留時間10日で30〜40%のVSS低減率が得られた。また、滞留時間30日では55〜70%の高いVSS低減率が得られた。
【0065】
また、図11に示すように、この実験期間中の消化ガス発生率は、未処理では約0.3L/g−VSSであったのに対し、物理化学的処理を行った場合はいずれも0.45〜0.55L/g−VSS程度の消化ガス発生率が得られた。
【0066】
さらに、図12に示すように、この実験期間中のリン回収率は、未処理ではほぼゼロであったのに対し、物理化学的処理を行なった場合はいずれも6〜10mg−リン/g−SS程度のリン回収率が得られた。
【0067】
本実験の結果から、培養ビンすなわち消化槽から引き抜いた消化汚泥を濃縮しこれに物理化学的処理を行なうことによって、投入する有機汚泥を短時間で消化でき、かつVSS低減率を高くでき、エネルギーとして利用できる消化ガスの発生を増大させるだけでなく、同時に消化汚泥中のリンも回収できることがわかった。
【0068】
ところで、本実験では、投入する有機汚泥には処理を加えず、培養ビンから引き抜いた消化汚泥を濃縮してオゾン処理などの物理化学的オゾン処理を加えたが、投入する有機汚泥と培養ビンから引き抜いた消化汚泥を濃縮したものを混合し、この混合汚泥に対してオゾン処理などの物理化学的処理と遠心分離を加えてもよい。
【0069】
有機汚泥の培養ビンにおける滞留時間が5日、10日、15日、20日、30日となるよう、1日に1回、0.8L、0.4L、0.26L、0.2L、0.13Lの有機汚泥を投入する本実験において、投入する有機汚泥のうちの半分に同量の消化汚泥を培養ビンから引き抜き30分放置によって濃縮したものを混合し、この混合汚泥に対してオゾン処理、超音波処理、加熱処理、アルカリ処理を加える実験を行なったところ、図10〜12とほぼ同様の結果が得られた。この結果から、有機汚泥と消化汚泥を濃縮したものを混合して処理を行なっても、消化汚泥に対して処理を行なった場合とほぼ同様のVSS低減、消化ガス発生率増大、リン回収率増大の効果が得られることがわかった。
【0070】
実施の形態1
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0071】
図13は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。
【0072】
図13に示すように、嫌気性消化槽1と有機性廃液導入路2のあいだに、オゾン処理槽11および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽11には、オゾンガス注入路32を介してオゾン発生器31が接続されている。オゾン処理槽11と固液分離槽17は処理液排出路18によって、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は濃縮液導入路19によって、それぞれ接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ37が設置されている。
【0073】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、分離液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後液導入路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。分離液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。さらに、凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されている。また、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0074】
さらに、嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路36が接続されている。
【0075】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0076】
有機性廃液導入ポンプ37を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽11に導入し、オゾン発生器31で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路32を通してオゾン処理槽11に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0077】
このオゾン処理した有機汚泥を、処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。固形物を濃縮液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、オゾン処理した有機汚泥を微生物によって消化する。一方、リンを多く含む溶液を分離液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通して分離液排出路20へと供給し、分離液排出路20を通るリン含有処理水に、炭酸カルシウム溶液を導入する。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リンを含まない溶液をリン回収後液導入路26を通して嫌気性消化槽1に導入する。
【0078】
嫌気性消化槽1内で微生物によって有機汚泥を消化した後、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液を処理水排出路8から、固形物を濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。また、濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部は汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを、消化ガス排出路36によって排出する。
【0079】
このように有機汚泥に対しオゾン処理を行なうことで、オゾンの強い酸化作用によって有機汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥中の固形物の溶解性を増大でき、有機汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上できる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0080】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、有機汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0081】
なお、本実施の形態では、嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾン処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾン処理を行ない、残りは処理を行なわずに嫌気性消化槽へ導入するようにしてもよい。
【0082】
実施の形態2
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0083】
図14は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図であり、嫌気性消化を酸生成槽とメタン生成槽の2つの槽で行なう場合に本発明を適用した例を示している。
【0084】
図14に示すように、酸生成槽33と有機性廃液導入路2の間に、オゾン処理槽11および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽11にはオゾンガス注入路32を介してオゾン発生器31が接続されている。オゾン処理槽11と固液分離槽17は処理液排出路18によって、固液分離槽17と酸生成槽33は濃縮液導入路19によって、それぞれ接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ37が設置されている。
【0085】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、分離液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後液導入路26を介して酸生成槽33に接続されている。分離液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。さらに、凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されている。また、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0086】
さらに、酸生成槽33の後段には、消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が設けられ、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は酸生成槽33に接続されている。また、処理水排出路8はメタン生成槽13に接続されている。
【0087】
メタン生成槽13の後段には、消化汚泥排出路14を介し固液分離槽15が設けられ、固液分離槽15には濃縮汚泥排出路27および処理水排出路16が接続されている。濃縮汚泥排出路27は汚泥廃棄路34と汚泥返送路35に分岐し、汚泥返送路35はメタン生成槽13に接続されている。また、メタン生成槽13には消化ガス排出路36が接続されている。
【0088】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0089】
有機性廃液導入ポンプ37を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽11に導入し、オゾン発生器31で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路32を通してオゾン処理槽11に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0090】
このオゾン処理した有機汚泥を、処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。固形物を濃縮液導入路19から酸生成槽33に導入し、オゾン処理した有機汚泥を微生物によって溶解する。一方、リンを多く含む溶液を、分離液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通して分離液排出路20へと供給し、分離液排出路20を通るリン含有処理水に、炭酸カルシウム溶液を導入する。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リンを含まない溶液をリン回収後液導入路26を通して酸生成槽33に導入する。
【0091】
酸生成槽33で微生物によって有機汚泥を溶解した後、酸生成槽33内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液を処理水排出路8を介してメタン生成槽13へ導入し、固形物を濃縮汚泥排出路5から排出する。また、濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して酸生成槽33に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。
【0092】
メタン生成槽13で微生物によって溶液中の有機物をメタンに変換した後、メタン生成槽13内の汚泥を消化汚泥排出路14から排出し、固液分離槽15で固形物と溶液に分ける。溶液を処理水排出路16から、固形物を濃縮汚泥排出路27からそれぞれ排出する。また、濃縮汚泥排出路27中の固形物を汚泥返送路35を介してメタン生成槽13に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路34から系外に排出する。また、メタン生成槽13で発生する消化ガスを、消化ガス排出路36によって排出する。
【0093】
このように有機汚泥に対しオゾン処理を行なうことで、オゾンの強い酸化作用によって有機汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥の酸生成槽での溶解量およびメタン生成槽でのメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0094】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、有機汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0095】
また、本実施の形態のように、嫌気性消化を前段の酸生成槽と後段のメタン生成槽とに分けて行なう場合において、酸生成槽に導入する有機汚泥にオゾン処理を行なって溶解性を向上させることで、後段のメタン生成槽として従来の流動床式や固定床式のメタン生成槽だけでなく、高負荷嫌気性処理に用いられるUASB(上向流嫌気性汚泥ブランケット)型のメタン生成槽を用いることができ、高速なメタン生成が可能になる。
【0096】
なお、本実施の形態では、酸生成槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾン処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾン処理を行ない、残りは処理を行なわずに酸生成槽へ導入するようにしてもよい。
【0097】
実施の形態3
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0098】
図15は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0099】
図15に示すように、嫌気性消化槽1には有機性廃液導入路2が接続されている。嫌気性消化槽1には消化汚泥引抜き路47が接続され、消化汚泥引抜き路47のもう一端はオゾン処理槽11に接続されている。さらに、オゾン処理槽11は、処理液排出路18を介して固液分離槽17に接続されている。オゾン処理槽11には、オゾンガス注入路32を介してオゾン発生器31が接続されている。また、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は、濃縮液導入路19によって接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ37、消化汚泥引抜き路47には消化汚泥引抜きポンプ38が設置されている。
【0100】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、分離液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後液導入路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。分離液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。さらに、凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されている。また、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0101】
また、嫌気性消化槽1には消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路36が接続されている。
【0102】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0103】
有機性廃液導入ポンプ37を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から嫌気性消化槽1に導入する。嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化した後、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液を処理水排出路8から、固形物を濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。また、濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路36によって排出する。
【0104】
この嫌気性消化の過程において、消化汚泥引抜きポンプ38を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路47を通してオゾン処理槽11に導入し、同時にオゾン発生器31で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路32を通してオゾン処理槽11に注入し、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0105】
このオゾン処理後の消化汚泥を、処理液排出路18を通して固液分離槽17に送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。固形物を濃縮液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、オゾン処理した消化汚泥を微生物によって分解する。一方、リンを多く含む溶液を、分離液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を凝集剤導入路23を介して分離液排出路20に導入し、分離液排出路20を通るリン含有処理水に炭酸カルシウム溶液を混合させる。リン回収槽24では、析出したリン酸カルシウムを分離しリン回収路25から引き抜くとともに、リンを含まない溶液をリン回収後液導入路26を通して嫌気性消化槽1に導入する。
【0106】
このように、消化汚泥に対しオゾン処理を行なうことにより、オゾンの強い酸化作用によって消化汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥中の固形物の溶解性を増大でき、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上できる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0107】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、消化汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0108】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽から消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥中の固形物を処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー、リン回収を進めることが可能となる。
【0109】
実施の形態4
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0110】
図16は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図であり、嫌気性消化を酸生成槽とメタン生成槽の2つの槽で行なう場合に本発明を適用した例を示している。
【0111】
図16に示すように、酸生成槽33に有機性廃液導入路2が接続されている。酸生成槽33には消化汚泥引抜き路47が接続され、消化汚泥引抜き路47のもう一端はオゾン処理槽11に接続されている。さらに、オゾン処理槽11は、処理液排出路18を介して固液分離槽17に接続されている。オゾン処理槽11には、オゾンガス注入路32を介してオゾン発生器31が接続されている。また、固液分離槽17と酸生成槽33は、濃縮液導入路19によって接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ37が、消化汚泥引抜き路47には消化汚泥引抜きポンプ38が設置されている。
【0112】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、分離液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後液導入路26を介して酸生成槽33に接続されている。分離液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。さらに、凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されている。また、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0113】
さらに、酸生成槽33の後段には消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が設けられ、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続している。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は酸生成槽33に接続されている。一方、処理水排出路8はメタン生成槽13に接続されている。
【0114】
メタン生成槽13の後段には、消化汚泥排出路14を介し固液分離槽15が設けられ、固液分離槽15には濃縮汚泥排出路27および処理水排出路16が接続されている。濃縮汚泥排出路27は汚泥廃棄路34と汚泥返送路35に分岐し、汚泥返送路35はメタン生成槽13に接続されている。また、メタン生成槽13には消化ガス排出路36が接続されている。
【0115】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0116】
有機性廃液導入ポンプ37を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から酸生成槽33に導入する。酸生成槽33で微生物によって有機汚泥を溶解した後、酸生成槽33内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8を介してメタン生成槽13へ導入し、固形物を濃縮汚泥排出路5から排出する。濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して酸生成槽33に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。
【0117】
メタン生成槽13で微生物によって溶液中の有機物をメタンに変換した後、メタン生成槽13内の汚泥を消化汚泥排出路14から排出し、固液分離槽15で固形物と溶液に分ける。溶液は処理水排出路16から、固形物は濃縮汚泥排出路27からそれぞれ排出する。また、濃縮汚泥排出路27中の固形物を汚泥返送路35を介してメタン生成槽13に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路34から系外に排出する。また、メタン生成槽13で発生する消化ガスを、消化ガス排出路36によって排出する。
【0118】
この嫌気性消化の過程において、消化汚泥引抜きポンプ38を動作させ、酸生成槽33の消化汚泥を消化汚泥引抜き路47を通してオゾン処理槽11に導入し、同時にオゾン発生器31で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路32を通してオゾン処理槽11に注入し、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0119】
このオゾン処理後の消化汚泥を、処理液排出路18を通して固液分離槽17に送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。固形物を濃縮液導入路19から酸生成槽33に導入し、オゾン処理した有機汚泥を微生物によって溶解する。一方、リンを多く含む溶液を、分離液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を凝集剤導入路23を介して分離液排出路20に導入し、分離液排出路20を通るリン含有処理水に炭酸カルシウム溶液を混合させる。リン回収槽24では、析出したリン酸カルシウムを分離しリン回収路25から引き抜くとともに、リンを含まない溶液をリン回収後液導入路26を通して酸生成槽33に導入する。
【0120】
このように酸生成槽の消化汚泥に対しオゾン処理を行なうことで、オゾンの強い酸化作用によって消化汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥の酸生成槽での溶解量およびメタン生成槽でのメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0121】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、消化汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0122】
また、酸生成槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、酸生成槽から消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥中の固形物質を処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー、リン回収を進めることが可能となる。
【0123】
また、本実施の形態のように、嫌気性消化を前段の酸生成槽と後段のメタン生成槽とに分けて行なう場合において、酸生成槽の消化汚泥にオゾン処理を行なって溶解性を向上させることで、後段のメタン生成槽として従来の流動床式や固定床式のメタン生成槽だけでなく、高負荷嫌気性処理に用いられるUASB(上向流嫌気性汚泥ブランケット)型のメタン生成槽を用いることができ、高速なメタン生成が可能になる。
【0124】
実施の形態5
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理について説明する。
【0125】
図17は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0126】
図17に示すように、嫌気性消化槽1に有機性廃液導入路2が接続されている。嫌気性消化槽1には消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が接続され、固液分離槽4には排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7のもう一端はオゾン処理槽11に接続されている。さらに、オゾン処理槽11は、処理液排出路18を介して固液分離槽17に接続されている。オゾン処理槽11には、オゾンガス注入路32を介してオゾン発生器31が接続されている。また、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は、濃縮液導入路19によって接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路36が接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ37が、汚泥返送路7には汚泥返送ポンプ46が設置されている。
【0127】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、分離液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後液導入路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。分離液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。さらに、凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されている。また、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0128】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0129】
有機性廃液導入ポンプ37を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から嫌気性消化槽1に導入する。嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化した後、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分ける。溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路36によって排出する。
【0130】
この嫌気性消化の過程において、濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥廃棄路6から系外に排出するとともに、汚泥返送ポンプ46を動作させ濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥返送路7を介してオゾン処理槽11に導入し、同時にオゾン発生器31で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路32を通してオゾン処理槽11に注入し、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0131】
このオゾン処理後の濃縮汚泥を、オゾン処理液排出路18を通して固液分離槽17に送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、オゾン処理した濃縮汚泥を微生物によって分解する。一方、リンを多く含む溶液を、リン含有処理水排出路20を通ってリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、リン含有処理水排出路20を通るリン含有処理水に凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を供給し、混合させる。リン回収槽24で析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リンを含まない溶液をリン回収後処理水導入路26を通して嫌気性消化槽1に導入する。
【0132】
このように嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対しオゾン処理を行なうことで、オゾンの強い酸化作用によって濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0133】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、濃縮汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0134】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽内の汚泥を濃縮し、濃縮した消化汚泥中の固形物を処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー、リン回収を進めることが可能となる。
【0135】
なお、本実施の形態では、嫌気性消化槽へと返送する消化汚泥の全てをオゾン処理したが、返送する消化汚泥の一部にオゾン処理を行ない、残りの部分については処理を行なわずに嫌気性消化槽へと返送するようにしてもよい。
【0136】
実施の形態6
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0137】
図18は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図であり、嫌気性消化を酸生成槽とメタン生成槽の2つの槽で行なう場合に本発明を適用した例を示している。
【0138】
図18に示すように、酸生成槽33に有機性廃液導入路2が接続されている。酸生成槽33の後段には消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が設けられ、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7のもう一端はオゾン処理槽11に接続している。さらに、オゾン処理槽11は、処理液排出路18を介して固液分離槽17に接続されている。オゾン処理槽11には、オゾンガス注入路32を介してオゾン発生器31が接続されている。また、固液分離槽17と酸生成槽33は、濃縮液導入路19によって接続されている。一方、処理水排出路8はメタン生成槽13に接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ37が、汚泥返送路7には汚泥返送ポンプ46が設置されている。
【0139】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、分離液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後液導入路26を介して酸生成槽33に接続されている。分離液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。さらに、凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されている。また、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0140】
メタン生成槽13の後段には消化汚泥排出路14を介し固液分離槽15が設けられており、固液分離槽15には濃縮汚泥排出路27および処理水排出路16が接続されている。濃縮汚泥排出路27は汚泥廃棄路34と汚泥返送路35に分岐し、汚泥返送路35はメタン生成槽13に接続されている。また、メタン生成槽13には消化ガス排出路36が接続されている。
【0141】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0142】
有機性廃液導入ポンプ37を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から酸生成槽33に導入する。酸生成槽33で微生物によって有機汚泥を溶解した後、酸生成槽33内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分ける。溶液は処理水排出路8を通ってメタン生成槽13へ導入し、固形物は濃縮汚泥排出路5から排出する。
【0143】
メタン生成槽13にて微生物によって溶液をメタンに変換した後、メタン生成槽13内の汚泥を消化汚泥排出路14から排出し、固液分離槽15で固形物と溶液に分ける。溶液を処理水排出路16から、固形物を濃縮汚泥排出路27からそれぞれ排出する。また、濃縮汚泥排出路27中の固形物を汚泥返送路35を介してメタン生成槽13に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路34から系外に排出する。また、メタン生成槽13で発生する消化ガスは、消化ガス排出路36によって排出する。
【0144】
この嫌気性消化の過程において、濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥廃棄路6から系外に排出するとともに、汚泥返送ポンプ46を動作させ濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥返送路7を介してオゾン処理槽11に導入し、同時にオゾン発生器31で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路32を通してオゾン処理槽11に注入し、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0145】
このオゾン処理後の濃縮汚泥を、オゾン処理液排出路18を通して固液分離槽17に送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。固形物を処理廃液導入路19から酸生成槽33に導入し、オゾン処理した濃縮汚泥を微生物によって消化する。一方、リンを多く含む溶液を、リン含有処理水排出路20を通ってリン回収槽24に送られる。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、リン含有処理水排出路20を通るリン含有処理水に凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を供給し、混合させる。リン回収槽24で析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リンを含まない溶液をリン回収後処理水導入路26を通して酸生成槽33に導入する。
【0146】
このように、濃縮した消化汚泥に対しオゾン処理を行なうことによって、オゾンの強い酸化作用によって濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、濃縮汚泥中の固形物の溶解性を増大させることができ、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上させることができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0147】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、濃縮汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0148】
また、本実施の形態のように、嫌気性消化を前段の酸生成槽と後段のメタン生成槽とに分けて行なう場合において、濃縮した酸生成槽の消化汚泥にオゾン処理を行なって溶解性を促進することで、後段のメタン生成槽として従来の流動床式や固定床式のメタン生成槽だけでなく、高負荷嫌気性処理に用いられるUASB(上向流嫌気性汚泥ブランケット)型のメタン生成槽を用いることができ、高速なメタン生成が可能になる。
【0149】
また、酸生成を行なう槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、濃縮した消化汚泥中の固形物を処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー、リン回収を進めることが可能となる。
【0150】
なお、本実施の形態では、酸生成槽へと返送する消化汚泥を全てオゾン処理したが、返送する消化汚泥の一部にオゾン処理を行ない、残りの部分については処理を行なわずに酸生成槽に返送してもよい。
【0151】
実施の形態7
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0152】
図19は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0153】
図19に示す本実施の形態の処理装置は、図13に示した実施の形態1の処理装置において、嫌気性消化槽1に消化汚泥引抜き路47が接続され、この消化汚泥引抜き路47はオゾン処理槽11に接続されている。また、消化汚泥引抜き路47には消化汚泥引抜きポンプ38が設置されている。本実施の形態の処理装置は、消化汚泥引抜き路47、消化汚泥引抜きポンプ38を備える点を除き、図13に示した実施の形態1の処理装置と同様の構成である。
【0154】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0155】
実施の形態1と同様、有機性廃液として下水処理場の有機汚泥を導入し、オゾン処理槽11にてオゾン処理を行なうが、このとき本実施の形態においては、嫌気性消化槽1内の消化汚泥を消化汚泥引抜き路47を通してオゾン処理槽11に導入する。すなわち、流入する有機汚泥と嫌気性消化槽1の消化汚泥とを混合し、混合汚泥に対しオゾン処理槽11にてオゾン処理を行なう。その後の動作は実施の形態1と同様である。
【0156】
このように、有機汚泥と消化汚泥との混合汚泥にオゾンを反応させると、オゾンの強い酸化作用によって混合汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0157】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、混合汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0158】
また、流入する有機性廃液の固形物中に難溶解性物質が多く含まれるような場合には、本実施の形態のように、難溶解性物質を多く含んだ有機性廃液と難溶解性物質が多く蓄積されている消化汚泥を混合し、これら難溶解性物質を多く含んだ混合汚泥をオゾン処理することにより、効果的に難溶解性物質の溶解性増大を促進することができ、流入する有機性廃液にのみ処理を加える場合や嫌気性消化槽の消化汚泥にのみ処理を加える場合にくらべ、有機性廃液からのエネルギー、リン回収量をより大幅に増大できるとともに、処分すべき汚泥量をより大幅に低減することができる。
【0159】
なお、本実施の形態では、導入する有機汚泥の全てと嫌気性消化槽の消化汚泥を混合してオゾン処理したが、導入する有機汚泥の一部と消化汚泥を混合し、この混合汚泥にオゾン処理を行ない、残りの有機汚泥については処理を行なわずに嫌気性消化槽に導入するようにしてもよい。
【0160】
実施の形態8
本発明のさらに別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0161】
図20は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0162】
図20に示す本実施の形態の処理装置は、図14に示した実施の形態2の処理装置において、酸生成槽33に消化汚泥引抜き路47が接続され、この消化汚泥引抜き路47はオゾン処理槽11に接続されている。また、消化汚泥引抜き路47には消化汚泥引抜きポンプ38が設置されている。本実施の形態の処理装置は、消化汚泥引抜き路47、消化汚泥引抜きポンプ38を備える点を除き、図14に示した実施の形態2の処理装置と同様の構成である。
【0163】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0164】
実施の形態2と同様、有機性廃液として下水処理場の有機汚泥を導入し、オゾン処理槽11にてオゾン処理を行なうが、このとき本実施の形態においては、酸生成槽33内の消化汚泥を消化汚泥引抜き路47を通してオゾン処理槽11に導入する。すなわち、導入する有機汚泥と酸生成槽33の消化汚泥とを混合し、混合汚泥に対しオゾン処理槽11でオゾン処理を行なう。その後の動作は実施の形態2と同様である。
【0165】
このように、有機汚泥と酸生成槽の汚泥との混合汚泥にオゾンを反応させると、オゾンの強い酸化作用によって混合汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、酸生成槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥中の固形物の溶解性を増大させることができ、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上させることができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0166】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、混合汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0167】
また、本実施の形態のように、嫌気性消化を前段の酸生成槽と後段のメタン生成槽とに分けて行なう場合において、酸生成槽に導入する有機汚泥と酸生成槽の消化汚泥のオゾン処理を行なって溶解性を促進することで、後段のメタン生成槽として従来の流動床式や固定床式のメタン生成槽だけでなく、高負荷嫌気性処理に用いられるUASB(上向流嫌気性汚泥ブランケット)型のメタン生成槽を用いることができ、高速なメタン生成が可能になる。
【0168】
また、流入する有機性廃液の固形物中に難溶解性物質が多く含まれるような場合には、本実施の形態のように、難溶解性物質を多く含んだ有機性廃液と難溶解性物質が多く蓄積されている消化汚泥を混合し、これら難溶解性物質を多く含んだ混合汚泥をオゾン処理することにより、効果的に難溶解性物質の溶解性増大を促進することができ、流入する有機性廃液にのみ処理を加える場合や嫌気性消化槽の消化汚泥にのみ処理を加える場合にくらべ、有機性廃液からのエネルギー回収量をより大幅に増大できるとともに、処分すべき汚泥量をより大幅に低減することができる。
【0169】
なお、本実施の形態では、導入する有機汚泥の全てと酸生成槽の消化汚泥を混合してオゾン処理したが、導入する有機汚泥の一部と消化汚泥を混合し、この混合汚泥にオゾン処理を行ない、残りの有機汚泥については処理を行なわずに酸生成槽に導入するようにしてもよい。
【0170】
実施の形態9
本発明の別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0171】
図21は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0172】
図21に示す本実施の形態の処理装置は、図13に示した実施の形態1の処理装置において、汚泥返送路7がオゾン処理槽11に接続されている。また、汚泥返送路7には汚泥返送ポンプ46が設置されている。本実施の形態の処理装置は、汚泥返送路7がオゾン処理槽11に接続され、汚泥返送ポンプ46が設置されている点を除き、図13に示した実施の形態1の処理装置と同様の構成である。
【0173】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0174】
実施の形態1と同様、有機性廃液として下水処理場の有機汚泥を導入し、オゾン処理槽11にてオゾン処理を行なうが、このとき本実施の形態においては、固液分離槽4で濃縮した濃縮汚泥を汚泥返送路7を通してオゾン処理槽11に導入する。すなわち、流入する有機汚泥と固液分離後の濃縮汚泥とを混合し、混合汚泥に対しオゾン処理槽11にてオゾン処理を行なう。その後の動作は、前記実施の形態1と同様である。
【0175】
このように、有機汚泥と濃縮汚泥との混合汚泥にオゾンを反応させると、オゾンの強い酸化作用によって濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥中の固形物の溶解性を増大させることができ、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上させることができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0176】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、混合汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0177】
また、流入する有機性廃液の固形物中に難溶解性物質が多く含まれるような場合には、本実施の形態のように、難溶解性物質を多く含んだ有機性廃液と難溶解性物質が多く蓄積されている消化汚泥を濃縮した汚泥を混合し、これら難溶解性物質を多く含んだ混合汚泥中の固形物質に対しオゾン処理することにより、効果的に難溶解性物質の溶解性増大を促進することができ、流入する有機性廃液にのみ処理を加える場合や嫌気性消化槽からの濃縮汚泥にのみ処理を加える場合にくらべ、有機性廃液からのエネルギー回収量をより大幅に増大できるとともに、処分すべき汚泥量をより大幅に低減することができる。
【0178】
なお、本実施の形態では、嫌気性消化槽へと返送する消化汚泥の全てを流入する有機汚泥の全てと混合してオゾン処理したが、返送する消化汚泥の一部と流入する有機汚泥の一部を混合し、この混合汚泥にオゾン処理を行ない、残りの部分については処理を行なわずに嫌気性消化槽へ返送、導入するようにしてもよい。
【0179】
実施の形態10
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0180】
図22は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0181】
図22に示す本実施の形態の処理装置は、図14に示した実施の形態2の処理装置において、汚泥返送路7がオゾン処理槽11に接続されている。また、汚泥返送路7には汚泥返送ポンプ46が設置されている。本実施の形態の処理装置は、汚泥返送路7がオゾン処理槽11に接続され、汚泥返送ポンプ46が設置されている点を除き、図14に示した実施の形態2の処理装置と同様の構成である。
【0182】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0183】
前記実施の形態2と同様、有機性廃液として下水処理場の有機汚泥を導入し、オゾン処理槽11にてオゾン処理を行なうが、このとき本実施の形態においては、酸生成槽33の後段の固液分離槽4で濃縮した濃縮汚泥を、汚泥返送路7およびオゾン処理槽返送路50を通してオゾン処理槽11に導入する。すなわち、流入する有機汚泥と固液分離後の濃縮汚泥とを混合し、混合汚泥に対しオゾン処理槽11にてオゾン処理を行なう。その後の動作は、前記実施の形態2と同様である。
【0184】
このように、有機汚泥と濃縮した酸生成槽汚泥との混合汚泥にオゾンを反応させると、オゾンの強い酸化作用によって混合汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を分解し、酸生成槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このため未処理の場合に比べ、有機汚泥中の固形物の溶解性を増大させることができ、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上させることができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0185】
同時に、オゾンの強い酸化作用によって細胞壁の分解が進むため、混合汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外の溶液中へ高い効率で溶出させることができる。さらに、この処理後の汚泥を固液分離によってリンを含む溶液と汚泥の固形物を分離することで、溶出したリンを凝集剤を用いて再利用可能な固形状のリンとして回収することができる。したがって、エネルギー、リン同時回収型の有機汚泥の処理が可能となる。
【0186】
また、本実施の形態のように、嫌気性消化を前段の酸生成槽と後段のメタン生成槽とに分けて行なう場合において、酸生成槽に導入する有機汚泥や酸生成槽の消化汚泥のオゾン処理を行なって溶解性を促進することで、後段のメタン生成槽として従来の流動床式や固定床式のメタン生成槽だけでなく、高負荷嫌気性処理に用いられるUASB(上向流嫌気性汚泥ブランケット)型のメタン生成槽を用いることができ、高速なメタン生成が可能になる。
【0187】
また、流入する有機性廃液の固形物中に難溶解性物質が多く含まれるような場合には、本実施の形態のように、難溶解性物質を多く含んだ有機性廃液と難溶解性物質が多く蓄積されている消化汚泥を混合し、これら難溶解性物質を多く含んだ混合汚泥をオゾン処理することにより、効果的に難溶解性物質の溶解性増大を促進することができ、流入する有機性廃液にのみ処理を加える場合や嫌気性消化槽の消化汚泥にのみ処理を加える場合にくらべ、有機性廃液からのエネルギー回収量をより大幅に増大できるとともに、処分すべき汚泥量をより大幅に低減することができる。
【0188】
なお、本実施の形態では、酸生成槽へと返送する消化汚泥の全てを、流入する有機汚泥の全てと混合してオゾン処理したが、返送する消化汚泥の一部と流入する有機汚泥の一部を混合し、この混合汚泥にオゾン処理を行ない、残りの部分については処理を行なわずに酸生成槽へ返送、導入するようにしてもよい。
【0189】
実施の形態11
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0190】
図23は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0191】
図23に示す本実施の形態の処理装置は、図15に示した実施の形態3の処理装置において、嫌気性消化槽1にはORP計49が設置され、信号線51を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53、信号線39を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、ORP計とコントローラおよび信号線を除き、図15に示した前記実施の形態3の処理装置と同様の構成である。
【0192】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0193】
実施の形態3と同様に、有機汚泥を嫌気性消化槽1に導入して微生物による消化を行なうとともに、嫌気性消化槽1から消化汚泥を引き抜き、オゾン処理を行なう。このとき、本実施の形態においては、嫌気性消化槽1の嫌気度をORP計49で測定し、その測定結果を信号線51を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では送られてきた測定結果とあらかじめ設定されたORPの値との比較を行なう。
【0194】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合、嫌気性消化槽1の運転状態は良好であると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。消化汚泥の処理の拡張は、オゾン発生器31でのオゾン発生量を増しオゾン注入量を増す、もしくは消化汚泥引抜きポンプ38の流量を増し処理される汚泥の量を増やすことによって実現される。もちろん、これらを組み合わせてもよい。
【0195】
変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0196】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲から上まわって外れている場合は、嫌気性消化槽1の運転状態が不良であると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を縮小するように処理条件を変更する。消化汚泥の処理の縮小は、オゾン発生器31でのオゾン発生量を減らし、オゾン注入量を低減する、もしくは、消化汚泥引抜きポンプ38の流量を減らし処理される汚泥の量を低減することによって実現される。もちろん、これらを組み合わせてもよい。
【0197】
変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって縮小した消化汚泥の処理を行なう。
【0198】
このように嫌気性消化槽のORPを計測することによって、オゾン処理が嫌気性消化槽の運転状態におよぼす影響を常時かつ的確に把握することができる。さらに、ORPの測定結果にもとづき消化汚泥のオゾン処理を制御することにより、嫌気性消化槽の運転状態を安定に維持することができる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、消化汚泥中の固形物の溶解性をより安定に増大できる。なお、ここで安定とは、長期間にわたって性能(固形物の溶解)を維持できることを意味する。
【0199】
この安定な溶解性増大によって、消化汚泥中の有機物のメタンへの変換率をより安定に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量も同様により安定に低減することが可能となる。
【0200】
なお、本実施の形態では嫌気性消化槽1の運転状態の指標としてORPを測定したが、溶存酸素濃度など嫌気性消化槽の嫌気度の指標であればこれに限るものではない。また、嫌気度に限らず、嫌気性消化槽の消化汚泥濃度、pH、消化汚泥の微生物活性に関する指標を計測し、制御にもちいても、同様の効果が得られる。消化汚泥の微生物活性は、たとえば、メタン発酵微生物の補酵素(F420)を蛍光光度計によって測定することにより計測することができる。
【0201】
また、本実施の形態では嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態1のように流入する有機汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態5のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態7のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態9のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0202】
実施の形態12
本発明のさらに別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0203】
図24は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0204】
図24に示す本実施の形態の処理装置は、図16に示した実施の形態4の処理装置において、酸生成槽33にはORP計49が設置され、信号線51を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53および信号線39を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、ORP計とコントローラおよび信号線を除き、図16に示した前記実施の形態4の処理装置と同様の構成である。
【0205】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0206】
実施の形態4と同様に、有機汚泥を酸生成槽33に導入し微生物によって有機汚泥の溶解を行なうとともに、酸生成槽33の消化汚泥を引き抜き、オゾン処理を行なう。このとき、本実施の形態においては、酸生成槽33の嫌気度をORP計49で測定し、その測定結果を信号線51を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では、送られてきた測定結果とあらかじめ設定されたORPの値との比較を行なう。
【0207】
測定値があらかじめ設定した値の範囲内である場合、酸生成槽33の運転状態が良好であると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0208】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲を上まわって外れている場合は、酸生成槽33の運転状態が不良であると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を縮小するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって縮小した消化汚泥の処理を行なう。
【0209】
このように酸生成槽のORPを計測することによって、分散処理および分解処理が酸生成槽の運転状態におよぼす影響を常時かつ的確に把握することができる。さらに、ORPの測定結果にもとづき消化汚泥のオゾン処理を制御することにより、酸生成槽の運転状態を安定に維持することができる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、酸生成槽の消化汚泥中の固形物の溶解性をより安定に増大できる。
【0210】
この安定な溶解性増大によって、酸生成槽消化汚泥中の有機物のメタン生成槽でのメタンへの変換率をより安定に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量も同様により安定に低減することが可能となる。
【0211】
また、本実施の形態では酸生成槽33の運転状態の指標としてORPを用いたが、溶存酸素濃度など酸生成槽の嫌気度の指標であればこれに限るものではない。また、嫌気度に限らず、酸生成槽の消化汚泥濃度、嫌気度、消化汚泥の微生物活性に関する指標を計測し、制御しても、同様の効果が得られる。
【0212】
また、本実施の形態では酸生成槽の消化汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態2のように流入する有機汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態6のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態8のように有機汚泥と酸生成槽の消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態10のように有機汚泥と酸生成槽からの濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0213】
実施の形態13
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0214】
図25は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0215】
図25に示す本実施の形態の処理装置は、図15に示した実施の形態3の処理装置において、有機性廃液導入路2にはMLSS計45が設置され、信号線40を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31、消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53、信号線39を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、MLSS計とコントローラおよび信号線を除き図15に示した前記実施の形態3の処理装置と同様の構成である。
【0216】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0217】
実施の形態3と同様に、有機汚泥を嫌気性消化槽1に導入して微生物による消化を行なうとともに、嫌気性消化槽1から消化汚泥を引き抜き、オゾン処理を行なう。このとき、本実施の形態においては、有機性廃液導入路2を通る廃液の固形物の濃度をMLSS計45で測定し、その測定結果を信号線40を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では送られてきた測定結果とあらかじめ設定されたMLSS濃度の値との比較を行なう。
【0218】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合、嫌気性消化槽1の流入負荷が適切で運転状態は良好に維持できると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0219】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲から外れている場合は、嫌気性消化槽1の流入負荷が極端に高い、あるいは極端に低く運転状態が良好に維持できなくなると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38のうちの1つについて、消化汚泥の処理を縮小するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって縮小した消化汚泥の処理を行なう。
【0220】
このように流入する有機汚泥の固形物のMLSS濃度を計測することによって、嫌気性消化槽の運転状態に影響をおよぼす流入負荷を常時かつ的確に把握することができる。さらに、MLSS濃度の測定結果にもとづき消化汚泥のオゾン処理を制御することにより、嫌気性消化槽の運転状態を安定に維持しながらオゾン処理を行なうことができる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、消化汚泥中の固形物の溶解性をより安定に増大できる。
【0221】
この安定な溶解性増大によって、消化汚泥中の有機物のメタンへの変換率をより安定に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量も同様により安定に低減することが可能となる。加えて、消化汚泥からのリン溶出を安定に確保できるため、リン回収量を安定に得ることが可能となる。
【0222】
なお、本実施の形態では流入する有機性廃液の固形物濃度の指標としてMLSS濃度を測定したが、濁度など固形物濃度の指標であればこれに限るものではない。また、本実施の形態では流入する有機汚泥の指標として固形物濃度を用いたが、これに限るものではなく、pHや嫌気度などの有機汚泥に関する指標を計測し、制御に用いても、同様の効果が得られる。
【0223】
また、本実施の形態では嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態1のように流入する有機汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態5のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態7のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態9のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0224】
実施の形態14
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0225】
図26は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0226】
図26に示す本実施の形態の処理装置は、図16に示した実施の形態4の処理装置において、有機性廃液導入路2にMLSS計45が設置され、信号線40を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53および信号線39を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、MLSS計とコントローラおよび信号線を除き、図16に示した前記実施の形態4の処理装置と同様の構成である。
【0227】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0228】
実施の形態4と同様に、有機汚泥を酸生成槽33に導入し微生物によって有機汚泥の溶解を行なうとともに、酸生成槽33の消化汚泥を引き抜き、オゾン処理を行なう。このとき、本実施の形態においては、有機性廃液導入路2を通る廃液の固形物の濃度をMLSS計45で測定し、その測定結果を信号線40を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では、送られてきた結果とあらかじめ設定されたMLSS濃度の値との比較を行なう。
【0229】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合、酸生成槽33の流入負荷が適切で運転状態は良好に維持できると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0230】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲を外れている場合は、酸生成槽33の流入負荷が極端に高い、あるいは極端に低く運転状態が良好に維持できなくなると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を縮小するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線54、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31、消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって縮小した消化汚泥の処理を行なう。
【0231】
このように流入廃液の固形物の濃度を計測することによって、酸生成槽の運転状態に影響をおよぼす流入負荷を常時かつ的確に把握することができる。さらに、測定した固形物の濃度にもとづいて消化汚泥のオゾン処理を制御することにより、酸生成槽の運転状態を安定に維持しながら分散処理および改質処理を行なうことができる。したがって、計測制御を行わない場合に比べ、消化汚泥中の固形物の溶解性をより安定に増大できる。
【0232】
この安定な溶解性増大によって、酸生成槽消化汚泥中の有機物のメタン生成槽でのメタンへの変換率をより安定に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量も同様により安定に低減することが可能となる。加えて、消化汚泥からのリン溶出を安定に確保できるため、リン回収量を安定に得ることが可能となる。
【0233】
なお、本実施の形態では流入する有機性廃液の固形物濃度の指標としてMLSS濃度を測定したが、濁度など固形物濃度の指標であればこれに限るものではない。また、固形物濃度に限らず、pHや嫌気度などの有機汚泥に関する指標を計測し、制御にもちいても、同様の効果が得られる。
【0234】
また、本実施の形態では酸生成槽の消化汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態2のように流入する有機汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態6のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態8のように有機汚泥と酸生成槽の消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態10のように有機汚泥と酸生成槽からの濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0235】
実施の形態15
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0236】
図27は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0237】
図27に示す本実施の形態の処理装置は、図15に示した実施の形態3の処理装置において、オゾン処理槽11にはORP計42が設置され、信号線44を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53および信号線39を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、ORP計、コントローラおよび信号線を除き、図15に示した前記実施の形態3の処理装置と同様の構成である。
【0238】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0239】
実施の形態3と同様に、有機汚泥を嫌気性消化槽1に導入して微生物による消化を行なうとともに、嫌気性消化槽1から消化汚泥を引き抜き、オゾン処理を行なう。このとき、本実施の形態においては、オゾン処理槽11の嫌気度をORP計42で測定し、測定結果を信号線44を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では、送られてきた結果とあらかじめ設定されたORPの値との比較を行なう。
【0240】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合は、オゾン処理槽11での処理が適切で処理状態は良好に維持されていると判断し、消化汚泥の処理を維持するような処理条件を設定し、その処理条件をオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の少なくとも1つに、信号線53または信号線39を通して伝える。処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって維持に向けた消化汚泥の処理を行なう。すなわち、コントローラ52が、オゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に対し、現状の処理条件で運転を継続するよう指示する。
【0241】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲を下まわって外れている場合は、オゾン処理槽11での処理が不充分であると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0242】
このようにオゾン処理槽11の嫌気度の指標を計測することによって、オゾン処理の状態を常時かつ的確に把握することができる。さらに、これら測定結果にもとづいて消化汚泥のオゾン処理を制御することにより、処理状態を安定に保ちながらオゾン処理を行なうことができる。したがって、計測制御を行わない場合に比べ、消化汚泥中の固形物の溶解性をより安定に増大できる。
【0243】
この安定な溶解性増大によって、消化汚泥中の有機物のメタンへの変換率をより安定に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量も同様により安定に低減することが可能となる。加えて、消化汚泥からのリン溶出を安定に確保できるため、リン回収量を安定に得ることが可能となる。
【0244】
なお、本実施の形態ではオゾン処理槽の嫌気度の指標としてORPを用いたが、溶存酸素濃度など嫌気度の指標であればこれに限るものではない。また、嫌気度に限らず、オゾン処理槽のpH、消化汚泥濃度、消化汚泥の微生物活性など処理された汚泥に関する指標を計測し、制御しても、同様の効果が得られる。
【0245】
また、本実施の形態では、嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態1のように流入する有機汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態5のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態7のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態9のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0246】
実施の形態16
本発明の別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0247】
図28は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0248】
図28に示す本実施の形態の処理装置は、図16に示した実施の形態4の処理装置において、オゾン処理槽11にはORP計42が設置され、信号線44を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52はオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に、それぞれ信号線53および信号線39を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、ORP計、コントローラおよび信号線を除き、図16に示した前記実施の形態4の処理装置と同様の構成である。
【0249】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0250】
実施の形態4と同様に、有機汚泥を酸生成槽33に導入し微生物によって有機汚泥の溶解を行なうとともに、酸生成槽33の消化汚泥を引き抜き、オゾン処理を行なう。このとき、本実施の形態においては、オゾン処理槽11の嫌気度をORP計42で測定し、これらの測定結果を信号線44を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では、送られてきた測定結果とあらかじめ設定されたORPの値との比較を行なう。
【0251】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合は、オゾン処理槽11での処理が適切で処理状態は良好に維持されていると判断し、消化汚泥の処理を維持するような条件を設定し、その条件をオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の少なくとも1つに、信号線53または信号線39を通して伝える。処理条件を受けたオゾン発生器31、消化汚泥引抜きポンプ38では、その条件にしたがって維持に向けた消化汚泥の処理を行なう。すなわち、コントローラ52が、オゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38に対し、現状の処理条件で運転を継続するよう指示する。
【0252】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲を下まわって外れている場合は、オゾン処理槽11での処理が不充分であると判断し、少なくともオゾン発生器31および消化汚泥引抜きポンプ38の1つについて、消化汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38に、信号線53または信号線39を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31または消化汚泥引抜きポンプ38は、その条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0253】
このように、オゾン処理槽11の嫌気度の指標を計測することによって、オゾン処理の状態を常時かつ的確に把握することができる。さらに、これら測定結果にもとづいて消化汚泥のオゾン処理を制御することにより、処理状態を常に適切な状態に保ちながら、安定にオゾン処理を行なうことができる。したがって、計測制御を行わない場合に比べ、消化汚泥中の固形物の溶解性をより安定に増大できる。
【0254】
この安定な溶解性増大によって、酸生成槽消化汚泥中の有機物のメタン生成槽でのメタンへの変換率をより安定に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量も同様により安定に低減することが可能となる。加えて、消化汚泥からのリン溶出を安定に確保できるため、リン回収量を安定に得ることが可能となる。
【0255】
なお、本実施の形態ではオゾン処理槽の嫌気度の指標としてORPを用いたが、溶存酸素濃度など嫌気度の指標であればこれに限るものではない。また、嫌気度に限らず、オゾン処理槽のpH、消化汚泥濃度、消化汚泥の微生物活性など処理された汚泥に関する指標を計測し、制御しても、同様の効果が得られる。
【0256】
また、本実施の形態では、嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態2のように流入する有機汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態6のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態8のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態10のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0257】
実施の形態17
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0258】
図29は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0259】
図29に示す本実施の形態の処理装置は、図13に示した実施の形態1の処理装置において、分離液排出路20にリン酸濃度計48が設置され、信号線54を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31に信号線53を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、リン酸濃度計とコントローラおよび信号線を除き図13に示した前記実施の形態1の処理装置と同様の構成である。
【0260】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0261】
実施の形態1と同様に、有機汚泥のオゾン処理を行ない、固液分離槽17で固形物と溶液に分け、固形物を嫌気性消化槽1に導入し、消化を行なう。一方、リンを多く含む溶液をリン回収槽24に送り、炭酸カルシウム溶液を導入し、析出したリン酸カルシウムをリン回収路25から引き抜く。このとき、本実施の形態においては、分離液排出路20を通るリンを多く含む溶液のリン酸濃度をリン酸濃度計48で測定し、その測定結果を信号線54を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では送られてきた測定結果とあらかじめ設定されたリン酸濃度の値との比較を行なう。
【0262】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合、有機汚泥からのリン溶出が良好で、有機汚泥からのリン回収が良好に維持されていると判断し、流入する有機汚泥のオゾン処理を維持するような条件を設定し、その条件をオゾン発生器31に、信号線53を通して伝える。処理条件を受けたオゾン発生器31では、その条件にしたがって維持に向けた消化汚泥の処理を行なう。すなわち、コントローラ52が、オゾン発生器31に対し、現状の処理条件で運転を継続するよう指示する。
【0263】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲から下まわって外れている場合は、有機汚泥からのリン溶出が低くリン回収が不十分と判断し、オゾン発生器31について、有機汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31に信号線53を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31はその条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0264】
このようにオゾン処理、固液分離後の溶液のリン酸濃度を計測し、この測定結果にもとづき有機汚泥のオゾン処理を制御することにより、有機汚泥からのリン溶出を安定に確保できる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、有機汚泥からのリン回収量をより安定に維持できる。
【0265】
なお、本実施の形態ではオゾン処理、固液分離後の溶液のリンの指標としてリン酸濃度を測定したが、全リン濃度などリンの指標であればこれに限るものではない。
【0266】
また、本実施の形態では流入する有機汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態3のように嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態5のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態7のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態9のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0267】
実施の形態18
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0268】
図30は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0269】
図30に示す本実施の形態の処理装置は、図14に示した実施の形態2の処理装置において、分離液排出路20にリン酸濃度計48が設置され、信号線54を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、オゾン発生器31に信号線53を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、リン酸濃度計とコントローラおよび信号線を除き図14に示した前記実施の形態2の処理装置と同様の構成である。
【0270】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0271】
実施の形態1と同様に、有機汚泥のオゾン処理を行ない、固液分離槽17で固形物と溶液に分け、固形物を酸生成槽33に導入し、溶解を行なう。一方、リンを多く含む溶液をリン回収槽24に送り、炭酸カルシウム溶液を導入し、析出したリン酸カルシウムをリン回収路25から引き抜く。このとき、本実施の形態においては、分離液排出路20を通るリンを多く含む溶液のリン酸濃度をリン酸濃度計48で測定し、その測定結果を信号線54を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では送られてきた測定結果とあらかじめ設定されたリン酸濃度の値との比較を行なう。
【0272】
測定値があらかじめ設定した範囲内である場合、有機汚泥からのリン溶出が良好で、有機汚泥からのリン回収が良好に維持されていると判断し、流入する有機汚泥のオゾン処理を維持するような条件を設定し、その条件をオゾン発生器31に、信号線53を通して伝える。処理条件を受けたオゾン発生器31では、その条件にしたがって維持に向けた消化汚泥の処理を行なう。すなわち、コントローラ52が、オゾン発生器31に対し、現状の処理条件で運転を継続するよう指示する。
【0273】
一方、測定値があらかじめ設定した範囲から下まわって外れている場合は、有機汚泥からのリン溶出が低くリン回収が不十分と判断し、オゾン発生器31について、有機汚泥の処理を拡張するように処理条件を変更する。変更された処理条件は、オゾン発生器31に信号線53を通して伝えられる。変更後の処理条件を受けたオゾン発生器31はその条件にしたがって拡張した消化汚泥の処理を行なう。
【0274】
このようにオゾン処理、固液分離後の溶液のリン酸濃度を計測し、この測定結果にもとづき有機汚泥のオゾン処理を制御することにより、有機汚泥からのリン溶出を安定に確保できる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、有機汚泥からのリン回収量をより安定に維持できる。
【0275】
なお、本実施の形態ではオゾン処理、固液分離後の溶液のリンの指標としてリン酸濃度を測定したが、全リン濃度などリンの指標であればこれに限るものではない。
【0276】
また、本実施の形態では流入する有機汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態4のように酸生成槽の消化汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態6のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態8のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態10のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0277】
実施の形態19
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0278】
図31は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0279】
図31に示す本実施の形態の処理装置は、図13に示した実施の形態1の処理装置において、分離液排出路20にリン酸濃度計48が設置され、信号線54を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、凝集剤導入ポンプ22に信号線55を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、リン酸濃度計とコントローラおよび信号線を除き図13に示した前記実施の形態1の処理装置と同様の構成である。
【0280】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0281】
実施の形態1と同様に、有機汚泥のオゾン処理を行ない、固液分離槽17で固形物と溶液に分け、固形物を嫌気性消化槽1に導入し、消化を行なう。一方、リンを多く含む溶液をリン回収槽24に送り、炭酸カルシウム溶液を導入し、析出したリン酸カルシウムをリン回収路25から引き抜く。このとき、本実施の形態においては、分離液排出路20を通るリンを多く含む溶液のリン酸濃度をリン酸濃度計48で測定し、その測定結果を信号線54を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では送られてきた測定結果から溶液中のリンを析出させるのに必要な炭酸カルシウムの量を計算し、この量が確保できるよう信号線55を通して凝集剤導入ポンプ22の流量を変更する。
【0282】
このようにオゾン処理、固液分離後の溶液のリン酸濃度を計測し、この測定結果にもとづき凝集剤の添加量を制御することにより、溶液中のリンを溶液中に残存させずほぼ全量をリン酸カルシウムとして回収できるとともに、凝集剤の過剰投与を避けることができる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、有機汚泥からのリン回収量をより効率的かつ確実に得られる。
【0283】
なお、本実施の形態ではオゾン処理、固液分離後の溶液のリンの指標としてリン酸濃度を測定したが、全リン濃度などリンの指標であればこれに限るものではない。
【0284】
また、本実施の形態では流入する有機汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態3のように嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態5のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態7のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態9のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0285】
実施の形態20
本発明のまた別の実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0286】
図32は、本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。
【0287】
図32に示す本実施の形態の処理装置は、図14に示した実施の形態2の処理装置において、分離液排出路20にリン酸濃度計48が設置され、信号線54を介してコントローラ52に接続されている。コントローラ52は、凝集剤導入ポンプ22に信号線55を介して接続されている。本実施の形態の処理装置は、リン酸濃度計とコントローラおよび信号線を除き図14に示した前記実施の形態2の処理装置と同様の構成である。
【0288】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0289】
実施の形態2と同様に、有機汚泥のオゾン処理を行ない、固液分離槽17で固形物と溶液に分け、固形物を酸生成槽33に導入し、溶解を行なう。一方、リンを多く含む溶液をリン回収槽24に送り、炭酸カルシウム溶液を導入し、析出したリン酸カルシウムをリン回収路25から引き抜く。このとき、本実施の形態においては、分離液排出路20を通るリンを多く含む溶液のリン酸濃度をリン酸濃度計48で測定し、その測定結果を信号線54を通してコントローラ52に送る。コントローラ52では送られてきた測定結果から溶液中のリンを析出させるのに必要な炭酸カルシウムの量を計算し、この量が確保できるよう信号線55を通して凝集剤導入ポンプ22の流量を変更する。
【0290】
このようにオゾン処理、固液分離後の溶液のリン酸濃度を計測し、この測定結果にもとづき凝集剤の添加量を制御することにより、溶液中のリンを溶液中に残存させずほぼ全量をリン酸カルシウムとして回収できるとともに、凝集剤の過剰投与を避けることができる。したがって、計測制御を行わない場合にくらべ、有機汚泥からのリン回収量をより効率的かつ確実に得られる。
【0291】
なお、本実施の形態ではオゾン処理、固液分離後の溶液のリンの指標としてリン酸濃度を測定したが、全リン濃度などリンの指標であればこれに限るものではない。
【0292】
また、本実施の形態では流入する有機汚泥をオゾン処理する場合を示したが、実施の形態4のように酸生成槽の消化汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態6のように固液分離後の濃縮汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態8のように有機汚泥と消化汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合、実施の形態10のように有機汚泥と濃縮汚泥の混合汚泥をオゾン処理する場合においても、同様の計測、制御を行なうことで同様の効果が得られる。
【0293】
実施の形態21
前記実施の形態1から20においては、有機汚泥、消化汚泥および濃縮汚泥の物理化学的処理方法としてオゾン処理を示したが、これに限るものではない。有機汚泥、消化汚泥および濃縮汚泥の物理化学的処理方法としては、超音波処理、ホモジナイズ、ミル破砕、高圧噴射による衝突、ローラー、ヒューズプレス、減圧、ワーリングブレンダ−、酸添加、アルカリ添加、界面活性剤添加、過酸化水素添加、紫外線照射、加熱、加圧、減圧、高電圧パルス、熱プラズマ、超臨界水や亜臨界水利用などの水熱反応処理を用いても同様かそれ以上の効果が得られる。
【0294】
実施の形態22
前記実施の形態1から20においては溶出したリン回収に凝集剤として炭酸カルシウムを用いたが、これに限るものではなく、炭酸水素カルシウムなどほかのカルシウムを含む物質でも同等の効果が得られ、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などの一般的な凝集剤を用いてもよい。また、前記実施の形態では溶出したリンの回収方法として凝集剤を用いたが、これに限るものではなく、晶析法などの別のリン固形化方法を用いることもできる。
【0295】
また、これら実施の形態においては、リン回収後の液をリン回収後処理水導入路26を用いて嫌気性消化槽に戻したが、これに限るものではなく、リン回収後の液を嫌気性消化槽に戻さず、別途処理を行なってもかまわない。
【0296】
実施の形態23
前記実験、および実施の形態においては有機性廃液として下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を用いたが、これに限るものではなく、下水処理場の初沈汚泥、余剰汚泥、生ごみ、食品残渣、畜産糞尿、し尿、工場廃液、またはこれらの混合物など有機物濃度が高い汚泥、廃棄物、廃液に対して同等またはそれ以上の効果が得られる。
【0297】
【発明の効果】
本発明の有機性廃液の処理装置および処理方法によれば、有機性廃液に対し物理化学的処理を行なうによって、未処理の場合に比べ、流入する有機性廃液中の固形物の溶解性を増大でき、同時に固形物中に含有されるリンを固形物外に高い効率で溶出できるという効果がある。
【0298】
この溶解性増大によって、流入廃液中の有機物のメタンへの変換率を向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量を低減できる。同時に、リンの固形物外への高効率溶出によって、有限資源であるリンを効率よく回収することが可能となる。
【0299】
また、本発明の別の有機性廃液の処理装置および処理方法によれば、嫌気性消化を行なう槽から引き抜いた消化汚泥、または引き抜き後さらに固液分離を行ない溶液を除いた消化汚泥に対し、物理化学的処理を行なうによって、未処理の場合に比べ、消化汚泥中の固形物の溶解性を増大でき、同時に固形物中に含有されるリンを固形物外に高い効率で溶出できるという効果がある。
【0300】
とくに、嫌気性消化を行なう槽の消化汚泥には生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積されているので、これを嫌気性消化槽から引き抜き物理化学的処理を加えることによって、あるいは嫌気性消化槽から引き抜きさらに固液分離をおこなったうえで物理化学的処理を行なうことによって、より効率的に消化汚泥の溶解性増大を促進できる。
【0301】
この溶解性増大によって流入廃液中の有機物のメタンへの変換率をよりいっそう向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量を低減できる。同時に、リンの固形物外への高効率溶出によって、有限資源であるリンをよりいっそう効率よく回収することが可能となる。
【0302】
また、本発明のさらに別の有機性廃液の処理装置および処理方法によれば、嫌気性消化を行なう槽から引き抜いた消化汚泥、または引き抜き後さらに固液分離を行ない溶液を除いた消化汚泥と流入する有機性廃液を混合しこの混合物に対し、物理化学的処理を行なうことによって、未処理の場合に比べ、混合物中の固形物の溶解性を増大でき、同時に固形物中に含有されるリンを固形物外に高い効率で溶出できるという効果がある。
【0303】
とくに、流入する流入廃液の固形物中に難溶解性物質が多く含まれるような場合、難溶解性物質が多く存在する嫌気性消化を行なう槽の消化汚泥、またはその固液分離後の消化汚泥と混合して、これらを同時に処理することによって難溶解性物質の溶解性増大をさらに促進できる。
【0304】
この溶解性増大によって流入廃液中の有機物のメタンへの変換率をよりいっそう向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量を低減できる。同時に、リンの固形物外への高効率溶出によって、有限資源であるリンをよりいっそう効率よく回収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間とVSS濃度の関係を示した図である。
【図2】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間と消化ガス発生量の関係を示した図である。
【図3】本発明の有機性廃液処理方法について、溶出リン濃度を示した図である。
【図4】本発明の有機性廃液処理方法について、滞留時間とVSS低減率の関係を示した図である。
【図5】本発明の有機性廃液処理方法について、消化ガス発生率を示した図である。
【図6】本発明の有機性廃液処理方法について、リン回収率を示した図である。
【図7】本発明の有機性廃液処理方法について、滞留時間とVSS低減率の関係を示した図である。
【図8】本発明の有機性廃液処理方法について、消化ガス発生率を示した図である。
【図9】本発明の有機性廃液処理方法について、リン回収率を示した図である。
【図10】本発明の有機性廃液処理方法について、滞留時間とVSS低減率の関係を示した図である。
【図11】本発明の有機性廃液処理方法について、消化ガス発生率を示した図である。
【図12】本発明の有機性廃液処理方法について、リン回収率を示した図である。
【図13】本発明の一実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図14】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図15】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図16】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図17】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図18】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図19】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図20】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図21】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図22】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図23】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図24】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図25】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図26】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図27】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図28】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図29】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図30】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図31】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図32】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【符号の説明】
1 嫌気性消化槽、2 有機性廃液導入路、3 消化汚泥排出路、4 固液分離槽、5 濃縮汚泥排出路、6 汚泥廃棄路、7 汚泥返送路、8 処理水排出路、11 オゾン処理槽、13 メタン生成槽、14 消化汚泥排出路、15 固液分離槽、16 処理水排出路、17 固液分離槽、18 処理液排出路、19 濃縮液導入路、20 分離液排出路、21 凝集剤保持槽、22 凝集剤導入ポンプ、23 凝集剤導入路、24 リン回収槽、25 リン回収路、26 リン回収後液導入路、27 濃縮汚泥排出路、31 オゾン発生器、32 オゾンガス注入路、33 酸生成槽、34 汚泥廃棄路、35 汚泥返送路、36 消化ガス排出路、37 有機性廃液導入ポンプ、38消化汚泥引抜きポンプ、39 信号線、40 信号線、42 ORP計、44信号線、45 MLSS計、46 汚泥返送ポンプ、47 消化汚泥引抜き路、48 リン酸濃度計、49 ORP計、51 信号線、52 コントローラ、53 信号線、54 信号線、55 信号線、102 膜分離装置、103 改質槽、104 被処理液路、 105 返送汚泥路、111 連絡路、117 濃縮液取出路、123 改質汚泥路。

Claims (26)

  1. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    流入する有機性廃液の少なくとも一部に対して、物理化学的手段による処理を行なう物理化学的処理工程と、
    該物理化学的処理工程ののち、有機性廃液を溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、
    当該溶液からリンを回収するリン回収工程と、
    当該固形物を嫌気性消化を行なう槽に導入して、該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法。
  2. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    当該嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、または当該消化汚泥を固液分離したのちの固形成分である濃縮汚泥の少なくとも一部分に対して、物理化学的手段による処理を行なう物理化学的処理工程と、
    該物理化学的処理工程ののち、前記消化汚泥または前記濃縮汚泥を、溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、
    当該溶液からリンを回収するリン回収工程と、
    当該固形物を嫌気性消化を行なう槽に導入して、該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法。
  3. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、または当該消化汚泥を固液分離したのちの固形成分である濃縮汚泥の少なくとも一部分と、流入する有機性廃液の少なくとも一部分とを混合した混合物に対して、物理化学的手段による処理を行なう物理化学的処理工程と、
    該物理化学的処理工程ののち、前記混合物を、溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、
    当該溶液からリンを回収するリン回収工程と、
    当該固形物を嫌気性消化を行なう槽に導入して、該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法。
  4. 前記嫌気性消化を行なう工程において、消化汚泥の濃度、pH、嫌気度または消化汚泥の微生物活性のうち少なくとも1つを計測し、当該計測の結果に応じて前記物理化学的処理を制御する請求項1、2または3記載の方法。
  5. 前記流入する有機性廃液に対し固形物濃度、pHまたは嫌気度のうち少なくとも1つを計測し、当該計測の結果に応じて前記物理化学的処理を制御する請求項1、2、3または4記載の方法。
  6. 前記物理化学的処理において、処理中または処理後の有機性廃液、消化汚泥、分離汚泥またはこれらの混合物に対し有機物濃度、固形物濃度、pH、嫌気度または消化汚泥の微生物活性のうち少なくとも1つを計測し、当該計測の結果に応じて固形物の前記物理化学的処理を制御する請求項1、2、3、4または5記載の方法。
  7. 前記溶液中のリン濃度を計測し、当該計測の結果に応じて前記物理化学的処理を制御する請求項1、2、3、4、5または6記載の方法。
  8. 前記溶液中のリン濃度を計測し、当該計測の結果に応じて前記リン回収工程を制御する請求項1、2、3、4、5、6または7記載の方法。
  9. 前記物理化学的処理が、オゾン処理、アルカリ処理、超音波処理および加温処理からなる群のうちから選択された1種または2種以上の処理からなる請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の有機性廃液の処理方法。
  10. 前記物理化学的処理が、オゾン処理である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の有機性廃液の処理方法。
  11. 前記物理化学的処理が、アルカリ処理である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の有機性廃液の処理方法。
  12. 前記物理化学的処理が、超音波処理である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の有機性廃液の処理方法。
  13. 前記物理化学的処理が、加温処理である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の有機性廃液の処理方法。
  14. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    流入する有機性廃液の少なくとも一部分に対して物理化学的処理を行なう処理装置と、
    当該処理装置で処理されたのちの有機性廃液を溶液と固形物とに分離する分離装置と、
    当該溶液からリンを回収するリン回収装置と、
    当該固形物を嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入手段
    とを備える装置。
  15. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    当該嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥を固液分離する汚泥分離装置と、
    当該消化汚泥、または当該汚泥分離装置により得られる濃縮汚泥の少なくとも一部分に対して物理化学的処理を行なう処理装置と、
    当該処理装置で処理されたのちの該消化汚泥または濃縮汚泥を溶液と固形物とに分離する分離装置と、
    当該溶液からリンを回収するリン回収装置と、
    当該固形物を嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入手段
    とを備える装置。
  16. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    当該嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥を固液分離する汚泥分離装置と、
    当該消化汚泥、または当該汚泥分離装置により得られる濃縮汚泥の少なくとも一部分と流入する有機性廃液の少なくとも一部分との混合物の物理化学的処理を行なう処理装置と、
    当該処理装置で処理されたのちの該混合物を溶液と固形物とに分離する分離装置と、
    該溶液からリンを回収するリン回収装置と、
    当該固形物を嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入手段
    とを備える装置。
  17. 前記嫌気性消化を行なう装置の消化汚泥の濃度、pH、嫌気度または消化汚泥の微生物活性のうち少なくとも1つを計測するための計測装置、当該計測装置による計測結果に応じて前記物理化学的処理を制御するためのコントローラとをさらに備える請求項14、15または16記載の装置。
  18. 前記流入する有機性廃液の固形物濃度、pHまたは嫌気度のうち少なくとも1つを計測するための計測装置と、当該計測装置による計測結果に応じて前記物理化学的処理を制御するためのコントローラをさらに備える請求項14、15、16または17記載の装置。
  19. 前記物理化学的処理において、処理中または処理後の有機性廃液、消化汚泥、分離汚泥またはこれらの混合物の、有機物濃度、固形物濃度、pH、嫌気度または消化汚泥の微生物活性のうち少なくとも1つを計測するための計測装置と、当該計測装置による計測結果に応じて固形物の前記物理化学的処理を制御するためのコントローラをさらに備える請求項14、15、16、17または18記載の装置。
  20. 前記溶液中のリン濃度を計測するための計測装置と、当該計測装置による計測結果に応じて前記物理化学的処理を制御するためのコントローラをさらに備える請求項14、15、16、17、18または19記載の装置。
  21. 前記溶液中のリン濃度を計測するための計測装置と、当該計測装置による計測結果に応じて前記リン回収工程を制御するためのコントローラをさらに備える請求項14、15、16、17、18、19または20記載の装置。
  22. 前記物理化学的処理が、オゾン処理、アルカリ処理、超音波処理および加温処理からなる群のうちから選択された1種または2種以上の処理からなる請求項14、15、16、17、18、19、20または21記載の装置。
  23. 前記物理化学的処理が、オゾン処理である請求項14、15、16、17、18、19、20または21記載の装置。
  24. 前記物理化学的処理が、アルカリ処理である請求項14、15、16、17、18、19、20または21記載の装置。
  25. 前記物理化学的処理が、超音波処理である請求項14、15、16、17、18、19、20または21記載の装置。
  26. 前記物理化学的処理が、加温処理である請求項14、15、16、17、18、19、20または21記載の装置。
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