JP2004321374A - 炊飯器 - Google Patents
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Abstract
【課題】米の吸水ムラを改善して炊飯性能を向上すること。
【解決手段】炊飯器1に、鍋2を加熱する鍋加熱手段3と、鍋2内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段13と、鍋2の温度を検知する鍋温度検知手段4と、鍋温度検知手段4の検知温度を入力して鍋加熱手段3への通電を制御する制御手段5とを備え、制御手段5が鍋温度検知手段4の検知温度を、米を浸水する所定温度に温度調整する間に、蒸気発生手段13は鍋2内へ蒸気を供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】炊飯器1に、鍋2を加熱する鍋加熱手段3と、鍋2内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段13と、鍋2の温度を検知する鍋温度検知手段4と、鍋温度検知手段4の検知温度を入力して鍋加熱手段3への通電を制御する制御手段5とを備え、制御手段5が鍋温度検知手段4の検知温度を、米を浸水する所定温度に温度調整する間に、蒸気発生手段13は鍋2内へ蒸気を供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気を利用した炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な家庭用の炊飯器は、図9に示すように、主として、炊飯器1本体に、米や水を収納する鍋2の底部や側部に配置した鍋加熱手段3(シーズヒータや誘導加熱コイルまたはガス等で構成)が配置され、鍋加熱手段3により、鍋2が加熱されて鍋2内の米と水からご飯を作る、すなわちご飯を炊くものである。
【0003】
そのご飯を炊く炊飯工程は、図10(a)に示すように、主として、浸水工程A、炊き上げ工程B、むらし工程Cから成るものであり、浸水工程Aでは、第一の所定時間t1になるまで、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第一の所定温度T1になるように鍋加熱手段3が鍋2を加熱する。炊き上げ工程Bでは、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になるまで鍋加熱手段3が鍋2を加熱する。むらし工程Cでは、第二の所定時間t2になるまで、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第二の所定温度T2近傍で維持するように鍋加熱手段3が鍋2を加熱する。
【0004】
このようにして、鍋温度検知手段4の検知温度Taを、図10(a)に示すように、鍋加熱手段3が温度調整することにより、鍋2内の温度Tbは、図10(b)のように温度推移する。
【0005】
この炊飯工程のうちの浸水工程Aは、米に水を吸収させる、すなわち米の吸水工程であり、米の糊化が開始しない第一の所定温度T1で米を水に浸けておくものである。
【0006】
この浸水工程Aでは、鍋2内の温度Tb、すなわち鍋2内の米および水の温度を第一の所定温度T1に均一にすることで、鍋2内の全ての米が、浸水工程Aで吸収すべき量の水を吸収することができる。その結果、浸水工程A終了時には、鍋2内に存在する全ての米は内部にまで水が浸入していることになる。
【0007】
このように、内部にまで水が浸入している米を、炊き上げ工程Bで水を介して加熱すると、鍋2内の米一粒一粒は、米の表面に存在する水から加熱されるだけでなく、米の内部にある水からも加熱されることになる。その結果、米の糊化が米の表面からだけでなく、米の内部からも進行する。
【0008】
そうして、むらし工程Cを経て、炊き上がった米、すなわちご飯は、内部までふっくらと炊き上がったご飯となるので、浸水工程Aで鍋2内の米を全て均一に加熱することが炊飯性能を向上させることになる。
【0009】
一方で、浸水工程Aでは、米の糊化が開始される直前の温度である第一の所定温度T1に、米を水に浸けておくことで、米は最も水を吸収しやすく、また最も短時間で所定量の水を吸収するものである。
【0010】
以上のことから、浸水工程Aでは、第一の所定温度T1で均一に加熱された水の中に米を浸けておくことが、炊飯時間が最も短く、且つ鍋2内の米が全て均一に水を吸収するので、炊飯性能の向上につながることになる。
【0011】
しかしながら、鍋加熱手段3は鍋2の底部Pおよび側部Qからしか鍋2内の米および水を加熱することができないので、図9に示すように、鍋加熱手段3により鍋温度検知手段4の検知温度Taを第一の所定温度T1にすると、鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米および水は、浸水工程Aの初期段階から第一の所定温度T1とほぼ同等の温度になるが、鍋2内に投入された米の中央上層部、すなわち鍋2の中央部R近傍にある米および水は、鍋2から離れているため、浸水工程Aの終了時間である第一の所定時間t1になっても、第一の所定温度T1にすることができなかったり、鍋2の中央部R近傍にある米および水を第一の所定温度T1にするために、浸水工程Aの時間が第一の所定時間t1よりも長くなってしまったりする。
【0012】
そのため、鍋2内の温度Tbを第一の所定温度T1に均一にすることができないために、浸水工程Aで所定量の水を吸収した米や、所定量よりも少ない量しか水を吸収することができなかった米が混在することになる。
【0013】
浸水工程Aで所定量よりも少ない量しか水を吸収することができなかった米は、内部に水が不足しているので、このような米を炊き上げ工程Bで水を介して加熱すると、米の表面では米の糊化が進行するが、米の内部は糊化が十分に進行しなくなる。
【0014】
このように、所定量の水を吸収した米や所定量よりも少ない量しか水を吸収することしかできなかった米が混在した状態で、炊き上げ工程B、むらし工程Cを経て炊飯工程を終了すると、内部までふっくらと炊き上がったご飯が存在したり、内部に水が十分存在しないためにふっくらと炊き上がらないご飯が存在したりする。そのため、鍋2内のご飯は炊きムラを生じてしまい、炊飯性能が向上しなかったりする。
【0015】
一方、鍋2の中央部R近傍の温度を浸水工程Aの終了時間である第一の所定時間t1よりも早く第一の所定温度T1にするために、鍋温度検知手段4の検知温度Taを第一の所定温度T1よりも高い温度にする方法があるが、この方法では、浸水工程A中に鍋2の底部Pや側部Q近傍にある米および水も第一の所定温度T1よりも高い温度になってしまって米の糊化が開始してしまう。そのため、浸水工程Aや炊き上げ工程B中に、鍋2の底部Pや側部Q近傍にある米の表面が崩れてしまってご飯をふっくらと炊き上げることができなかったり、米に含まれる澱粉成分が流出してしまって、流出した澱粉成分が炊き上げ工程Bで焦げてしまったりして、炊飯性能が逆に低下してしまう。
【0016】
これらの解決手段として、すなわち、浸水工程Aで鍋2内の温度Tbを均一にするために、鍋加熱手段3を2つの誘導加熱コイルで形成し、交互に誘導加熱コイルに通電して鍋2内の水に対流を発生させて鍋2内の温度Tbを均一にする炊飯器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
【特許文献1】
特許第3292085号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の炊飯器1の構成では、以下の課題がある。
【0019】
鍋加熱手段3を2つの誘導加熱コイルで形成し、交互に誘導加熱コイルに通電して鍋2内の水に対流を発生させる方法を用いても、水の対流に対して米が抵抗体となってしまうので、鍋2内の温度を均一にするほどの対流が生じず、この場合も、鍋2の中央部R近傍の温度が鍋2の底部Pおよび側部Q近傍の温度よりも低く、鍋2内の温度を第一の所定温度T1に均一にできないという課題がある。
【0020】
また、米の抵抗に打ち勝つように、誘導加熱コイルへの通電量を増やして水の対流を大きくしようとすると、鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米や水の温度が第一の所定温度T1よりも高くなってしまうので、米の糊化が開始してしまう。そのため、鍋2の底部Pや側部Q近傍にある米の表面が崩れてしまってご飯をふっくらと炊き上げることができなかったり、米に含まれる澱粉成分が流出してしまって、流出した澱粉成分が焦げてしまったりするので、炊飯性能が低下してしまうという同じ課題が生じてしまう。
【0021】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、浸水工程における米の吸水ムラを改善して炊飯性能を向上した炊飯器を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度を入力して前記鍋加熱手段への通電を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記鍋温度検知手段の検知温度を米を浸水する所定温度に温度調整する間に、前記蒸気発生手段は前記鍋内へ蒸気を供給するものである。
【0023】
これによって、米に水を吸収させる浸水工程において、鍋加熱手段により鍋の底部および側部から鍋内の米および水を加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段により、鍋内の米や水よりも高い温度の蒸気を、鍋の上方から、鍋加熱手段だけでは浸水工程での所定温度まで加熱しにくい鍋の中央部近傍に供給することができるので、鍋内の米および水を、鍋の上方からも浸水工程の所定温度まで加熱することができる。それゆえ、浸水工程で所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。
【0024】
したがって、鍋内の米は全て、浸水工程で所定量の水を吸収することができるので、炊き上げ工程で、全ての米を、米の表面に存在する水で加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米の内部に存在する水でも加熱して米の糊化を促進することができる。そして、炊飯工程終了時には、鍋内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができ、炊飯性能を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度を入力して前記鍋加熱手段への通電を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記鍋温度検知手段の検知温度を米を浸水する所定温度に温度調整する間に、前記蒸気発生手段は前記鍋内へ蒸気を供給することにより、米に水を吸収させる浸水工程において、鍋加熱手段により鍋の底部および側部から鍋内の米および水を加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段により、鍋内の米や水よりも高い温度の蒸気を、鍋の上方から、鍋加熱手段だけでは浸水工程での所定温度まで加熱しにくい鍋の中央部近傍に供給することができるので、鍋内の米および水を、鍋の上方からも浸水工程の所定温度まで加熱することができる。それゆえ、浸水工程で所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。
【0026】
したがって、鍋内の米は全て、浸水工程で所定量の水を吸収することができるので、炊き上げ工程で、全ての米を、米の表面に存在する水で加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米の内部に存在する水でも加熱して米の糊化を促進することができる。そして、炊飯工程終了時には、鍋内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができ、炊飯性能を向上させることができる。
【0027】
請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載の発明において、蒸気発生手段から発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段を備え、前記蒸気加熱手段を経由して、前記蒸気発生手段は鍋内へ蒸気を供給することにより、鍋の上方から、より高温の蒸気を投入して鍋内の水を加熱することができるので、浸水工程において、より短時間で鍋内の水を所定温度に均一に加熱することができる。そのため、米をより長い時間、所定温度に均一に加熱された水に浸けておくことができるので、米の吸水をより向上させて炊飯性能をより向上させたり、浸水工程時間や炊飯時間を短縮させたりすることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1または2に記載の発明において、鍋加熱手段が非通電中に制御手段は蒸気発生手段に通電する、または蒸気発生手段への通電を増加することにより、蒸気発生手段への通電量を増加させることができるので、浸水工程開始時に、より一層短時間で、蒸気発生手段内にある水を加熱して蒸気にすることができる。それゆえ、浸水工程の初期段階から鍋の上方から蒸気を投入して鍋内の水を加熱することができるので、より一層短時間で鍋内の水を所定温度に均一に加熱することができ、所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができる。したがて、米の吸水をより一層向上させて炊飯性能をより一層向上させたり、浸水工程時間や炊飯時間をより一層短縮させたりすることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
(実施例1)
本発明の実施例1における炊飯器1について、図1〜図8を用いて説明する。
【0031】
図1において、炊飯器1は、着脱自在に鍋2を収納するため、有底筒状の鍋収納部2aを有している。鍋収納部2aの底部または側底部には、鍋2を加熱する鍋加熱手段3が設けられており、本実施例では鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成されている。4は鍋温度検知手段で、鍋2の底面と当接するよう構成されている。制御手段5は炊飯器1の動作を制御するものである。
【0032】
また、蓋6は、炊飯器1の後部のヒンジ部に設けたヒンジ軸(図示は省略)にて軸支され、鍋2の開口部を開閉自在に覆っている。蓋6には、加熱板7を介して鍋2内を上方から加熱する蓋加熱手段8(本実施例では、加熱板7を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成)が設けられている。加熱板7は加熱板蒸気口9を有しており、蓋6の天面には加熱板蒸気口9と連通する蓋蒸気口10が設けられている。そのため、鍋2の内部は炊飯器1外と連通し大気圧となっている。蒸気口パッキン11は、加熱板7と蓋6に挟持されており、鍋パッキン12は、蓋6の閉時に加熱板7と鍋2の上縁外周部にあるフランジ部の間で挟持されている。
【0033】
また、鍋2内へ供給する蒸気Stを発生する蒸気発生手段13は、蒸気Stを発生させるための水Waを貯蔵する水タンク14、水タンク14を加熱する水タンク加熱手段15(本実施例では水タンク14を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成)、水Waを入れるための給水口16を有しており、蓋6より下方位置に配置されている(詳細は図2参照)。この水タンク14は、後部の水タンク収納扉14aを開放することにより、炊飯器1から脱着できる構造であり、給水口16より水タンク14に水Waを入れることができる(図3参照)。
【0034】
また、蒸気発生手段13により発生する蒸気Stを加熱する蒸気加熱手段17は、蒸気発生手段13の水タンク14と連通し、蒸気Stを鍋2内へ案内する蒸気通路18と、蒸気通路18を加熱する蒸気通路加熱手段19(本実施例では蒸気通路18を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成)を有している。蒸気加熱手段17は蓋6の内部に取り付けられており、蒸気通路18の先端は加熱板7を通して鍋2内の上部に配置されている。
【0035】
次に、上記構成において動作を説明する。
【0036】
使用者はまず、炊飯を行う米とその米量に対応する水Wを鍋2に入れ、炊飯器1に収納する。さらに、水タンク14に所定量以上の水Waを供給して所定位置に装着する。そうして、炊飯開始スイッチ(図示せず)を押すと、制御手段5が炊飯開始スイッチからの入力を受け、炊飯工程を実行する。鍋温度検知手段4は鍋2の底面の温度を検知し、制御手段5へと信号を送る。鍋温度検知手段4からの信号に基づき、制御手段5は主に浸水、炊き上げ、むらしの3つの工程に大分された炊飯工程を行う。
【0037】
ここで各工程を詳しく述べる。使用者が炊飯開始スイッチを押すと、図4(a)に示すように、まず、第一の所定時間t1になるまで浸水工程Aが行われる。浸水工程Aでは、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第一の所定温度T1になるように、制御手段5は鍋加熱手段3および蒸気発生手段13の水タンク加熱手段115への通電量を制御する。
【0038】
この浸水工程Aでは、鍋加熱手段4に通電することにより、鍋2が加熱されるので、鍋2内にある米および水Wを鍋2の底部Pおよび側部Qから加熱することができる。
【0039】
また、蒸気発生手段13の水タンク加熱手段15に通電することにより、水タンク14内にある水Waが加熱される。水タンク14内の水Waが加熱されると、蒸気Stが発生する。発生した蒸気Stは、図1および図2に示す矢印に従って蒸気通路18を通過し、鍋2内へ供給され、鍋2内の水Wと接触し、水Wを加熱することになる。そして、蒸気Stにより加熱された水Wにより、鍋2の中央部R近傍にある米が加熱されることになる。
【0040】
以上より、浸水工程Aにおいて、鍋2内の米および水Wは、鍋加熱手段3により鍋2の底部Pおよび側部Qから加熱されるだけでなく、鍋2の上方からも加熱されることになる。
【0041】
次に、第一の所定時間t1を経過すると、炊き上げ工程Bが行われる。この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になるまで、制御手段5は鍋加熱手段3への通電量を制御する。
【0042】
また、この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが、図4(a)に示す第二の所定温度T2(水の沸点(大気圧下で100℃))になると、鍋2内の水Wが沸騰し、水蒸気となって加熱板蒸気口9および蓋蒸気口10を介して炊飯器1外へ排出されるが、このとき、米から澱粉が溶出した液体、いわゆるおねばが泡となって鍋2から加熱板蒸気口9および蓋蒸気口10を介して炊飯器1外へ出て行こうとする現象、すなわちふきこぼれが発生する。そこで、図4(a)に示す沸騰維持工程B1を行う。この工程では、制御手段5は、鍋加熱手段3への供給電力を減らしたり、鍋加熱手段3へ通電したり非通電にしたりして、鍋加熱手段3への通電量を減らすことで、鍋2内の水Wの沸騰を行ったり沸騰を停止させたりして、おねばが蓋蒸気口10から炊飯器1外へふきこぼれないようにする。
【0043】
鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になると、第二の所定時間t2になるまで、むらし工程Cが行われる。この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが図4(a)に示す第二の所定温度T2近傍を維持するように、制御手段5は鍋加熱手段3や蓋加熱手段8への通電量を制御する。
【0044】
第二の所定時間t2になるとむらし工程Cおよび炊飯工程を終了し、引き続き保温工程が行われる。
【0045】
上記で述べた浸水工程A、炊き上げ工程B、むらし工程Cのうち浸水工程Aは、米が水Wを吸収する工程であり、第一の所定温度T1は、米の糊化が開始されない温度に設定されている。そして、この第一の所定温度T1が高いほど、米が水Wを吸収しやすくなったり、米が所定量の水Wを吸収する時間が短くなったりするので、第一の所定時間t1までの時間(浸水工程Aの時間)を短縮することができる。同時に、次の炊き上げ工程Bで、鍋2内の温度Tbや鍋温度検知手段4の検知温度Taをより早く第二の所定温度T2に到達させることができるので、第二の所定時間t2までの時間(炊飯工程時間)を短縮することができる。
【0046】
以上、述べたように、鍋温度検知手段4の検知温度Taが図4(a)に示すようになるように、鍋加熱手段3を制御手段5が制御することにより、鍋2内の温度Tbは、図4(b)に示すように温度推移していく。すなわち、浸水工程Aでは、鍋2内の温度Tbは、第一の所定温度T1まで上昇し、炊き上げ工程Bでは、第二の所定温度T2に上昇する。そして、沸騰維持工程B1で第二の所定温度T2近傍の温度を維持し、さらに、むらし工程Cでも第二の所定時間t2まで、第二の所定温度T2近傍の温度を維持するものである。
【0047】
このように本実施例によれば、浸水工程Aにおいて、制御手段5が鍋加熱手段3に通電して鍋温度検知手段4の検知温度Taが、図4(a)に示すように、第一の所定温度T1になるまで鍋2が加熱されることにより、鍋2は図1に示す鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米および水Wを第一の所定温度T1で加熱するので、鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米および水Wを第一の所定温度T1とほぼ同等の温度にすることができる。同時に、蒸気発生手段13を構成する水タンク加熱手段15に制御手段5が通電することにより、水タンク14内にある水Waが蒸発して蒸気Stを発生する。そして、発生した蒸気Stは、図1および図2の矢印に示すように、蒸気通路18を介して鍋2の上方に供給され、鍋2内の水Wと接触するので、鍋2の中央部R近傍にある水Wが蒸気Stにより加熱される。それゆえ、鍋2の中央部R近傍にある米も、水Wを介して鍋2の上方から第一の所定温度T1まで加熱されることになる。
【0048】
以上より、米に水Wを吸収させる浸水工程Aにおいて、鍋加熱手段3により鍋2の底部Pおよび側部Qから鍋2内の米および水Wを加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段13により、米や水Wよりも高い温度の蒸気Stを、鍋2の上方から、鍋加熱手段3だけでは第一の所定時間t1内に第一の所定温度T1まで加熱しにくい鍋2の中央部R近傍に供給することができるので、鍋2内の米および水Wを、鍋2の上方からも第一の所定温度T1まで均一に加熱することができる。それゆえ、浸水工程Aで鍋2内の米を第一の所定温度T1に均一に加熱された水Wに浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。それゆえ、炊き上げ工程Bで、全ての米を、水Wを介して米の表面から加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米が内部に吸収した水Wを介して米の内部からも加熱して米の糊化を促進することができるので、炊飯工程終了時には、鍋2内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができる。その結果、炊きムラを改善することができ、炊飯性能を向上させることができる。
【0049】
なお、蒸気発生手段13から鍋2内へ供給される蒸気Stの温度が第一の温度T1以上であっても、米は米の上部にある水Wを媒体として蒸気Stにより加熱される、すなわち、蒸気Stは米の上部にある水Wに直接接触し、米には直接接触しないので、浸水工程A中に、米が蒸気Stと接触して第一の所定温度T1よりも高くなって、米の澱粉成分が流出してしまったり、米が傷んでしまったりするという問題は生じないものである。
【0050】
また、浸水工程Aにおいて、蒸気発生手段13から鍋2内に投入される蒸気Stの量や蒸気Stの温度は、鍋2内の米および水Wが第一の所定温度T1になるように制御手段5により制御されることは言うまでもない。
【0051】
また、鍋加熱手段3は、鍋収納部2aの底部または側底部に配置されているが、鍋収納部2aの側中央部や側上部に配置してもよい。また、鍋加熱手段3は本実施例では誘導加熱コイルで説明したが、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータまたはガス等で鍋2を加熱するようにしてもよい。
【0052】
また、鍋温度検知手段4は、鍋2の底面と当接するように説明したが、鍋2の温度を検知できるのであれば、鍋2の底面に限定するものではなく、任意の位置に配置してもよい。
【0053】
また、蓋加熱手段8も鍋加熱手段3と同様に、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータ等で加熱板7を加熱してもよい。また、加熱板7に真空層を設けて鍋2内の熱が炊飯器1外へ逃げていくのを低減するようにしてもよい。また、この場合は、加熱板7の断熱性がよいので蓋加熱手段8をなくしてもよい。
【0054】
また、水タンク加熱手段15も鍋加熱手段3と同様に、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータ、ガス等で水タンク14を加熱してもよい。
【0055】
また、蒸気発生手段13から鍋2へ供給される蒸気Stは、鍋2の中央部R近傍へ向けて供給されるようにすればよりよいことは言うまでもない。
【0056】
また、上記実施例では、蒸気Stを供給して鍋2の上方から加熱するように記載したが、蒸気発生手段13を温風発生手段とし、温風を鍋2内へ送風して鍋2の上方から加熱するようにしてもよい。
【0057】
また、浸水工程Aにおいて、鍋2の中央部R近傍に蒸気ではなく、第一の所定温度T1に加熱された水を投入するようにしてもよいが、この場合は、ポンプや弁等、水を鍋2内へ供給する手段が別途必要になることや、おいしいご飯を炊くための、所定量の米に対する水の量は決まっているので、鍋2内に供給する水の量を計測する手段が別途必要になるので、炊飯器1の構成が複雑になったり、コストが高くなったりするものである。
【0058】
それから、浸水工程Aにおいて、水タンク加熱手段15により水タンク14内の水Waが加熱されて蒸気Stとなった後、蒸気経路18を通過する際に、制御手段5が蒸気加熱手段17の蒸気通路加熱手段19に通電することにより蒸気通路18は加熱されるので、蒸気経路18内を通過する蒸気Stは蒸気通路18により加熱されることになる。その結果、より高温の蒸気Stを鍋2の上方から水Wに供給して水Wを加熱することができる。それゆえ、鍋2内の温度Tbは、図5に示すように、鍋加熱手段3のみで鍋2を加熱した場合(図5(c))に第一の所定温度T1に到達する時間tcや、鍋加熱手段3で鍋2を加熱し且つ水タンク加熱手段15により発生する蒸気Stで鍋2の上方の水Wを加熱する場合(図5(b))に第一の所定温度T1に到達する時間tbよりも、より早く第一の所定温度T1に到達することができる(図5(a)の時間ta)。
【0059】
したがって、より短時間で鍋2内の水Wを第一の所定温度T1に均一に加熱することができ、米をより長い時間、第一の所定温度T1に均一に加熱された水Wに浸けておくことができるので、米の吸水をより向上させて炊飯性能をより向上させたり、また、図5における(tb−ta)時間、または(tc−ta)時間分だけ、浸水工程時間や炊飯時間を短縮させたりすることができる。
【0060】
なお、浸水工程Aにおいて、制御手段5は、水タンク14からの蒸気Stを鍋2内に供給する際に、蓋加熱手段8により加熱板7を加熱して蒸気Stを高温に加熱するようにしてもよい。この場合は、蒸気通路加熱手段19を省略してもよい。
【0061】
また、蒸気通路加熱手段19も鍋加熱手段3と同様に、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータ等で蒸気通路18を加熱してもよい。
【0062】
それから、浸水工程Aにおいて、鍋2の温度Tbを第一の所定温度T1にするために、制御手段5の鍋加熱手段3への通電方法の一例として、図6(b)に示すように、鍋加熱手段3への通電をVA(例えば1000W)以上にし、鍋加熱手段3へ通電したり非通電にしたりして、図6(a)に示すように、鍋温度検知手段4の検知温度Taを第一の所定温度T1になるように制御する方法がある。
【0063】
一方、浸水工程Aの初期段階では、水タンク14内の水Waの温度は室温とほぼ同等であるので、浸水工程Aの初期段階から鍋2内へ蒸気Stを供給するためには、制御手段5は水タンク加熱手段15への通電を増やして水タンク14内の水Waを加熱し、水Waの温度を、蒸気Stを発生することができる温度に早く到達させる必要がある。
【0064】
そこで、少なくとも水タンク14内の水Waから蒸気Stを発生させて鍋2内へ蒸気Stを供給することができるまでの間は、図6(c)に示すように、鍋加熱手段3への通電がVAの時は、水タンク加熱手段15への通電をVB(VA+VB≦1500W)とし、鍋加熱手段3への通電が0、すなわち、鍋加熱手段3が非通電の時は、水タンク加熱手段15への通電をVBよりも大きいVC(VC≦1500W)となるように、制御手段5は鍋加熱手段3および水タンク加熱手段15への通電を制御する。そうすることで、水タンク加熱手段15への通電を増加させることができるので、水タンク14内の水Waの温度を、蒸気Stを発生させることができる温度により早く到達させることができるので、より早く蒸気Stを発生させて鍋2内に供給することができる。
【0065】
それゆえ、浸水工程Aの初期段階から、鍋2の上方から蒸気Stを投入して鍋2内の水を加熱することができるので、より一層短時間で鍋2内の水Wを第一の所定温度T1に均一に加熱することができ、第一の所定温度T1に均一に加熱された水Wに米を浸けておくことができる。
【0066】
したがって、米の吸水をより一層向上させて炊飯性能をより一層向上させることができたり、浸水工程時間や炊飯時間をより一層短縮させたりすることができる。
【0067】
なお、水タンク加熱手段15への通電を、図7に示すように、鍋加熱手段3への通電が停止しているときにだけ行うものであってもよい。
【0068】
また、制御手段5は、水タンク加熱手段15と蒸気加熱手段19への通電の和がVBやVCとなるように、水タンク加熱手段15や蒸気通路加熱手段19へ通電してもよい。
【0069】
また、図6や図7では、鍋加熱手段3への通電が停止している間は、水タンク加熱手段15への通電がVCになるように図示したが、図8に示すように、鍋加熱手段3への通電が停止している間でも、水タンク加熱手段15への通電がVCからVBまたは0になってもよく、鍋温度検知手段4の検知温度Taや鍋2内の温度Tbが第一の所定温度T1になるように、制御手段5が鍋加熱手段3や水タンク加熱手段15への通電を制御すればよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、米に水を吸収させる浸水工程において、鍋加熱手段により鍋の底部および側部から鍋内の米および水を加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段により、鍋内の米や水よりも高い温度の蒸気を、鍋の上方から、鍋加熱手段だけでは浸水工程での所定温度まで加熱しにくい鍋の中央部近傍に供給することができるので、鍋内の米および水を、鍋の上方からも浸水工程の所定温度まで加熱することができる。それゆえ、浸水工程で所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。
【0071】
したがって、鍋内の米は全て、浸水工程で所定量の水を吸収することができるので、炊き上げ工程で、全ての米を、米の表面に存在する水で加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米の内部に存在する水でも加熱して米の糊化を促進することができる。そして、炊飯工程終了時には、鍋内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができ、炊飯性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の蒸気加熱手段近傍の要部断面図
【図3】同炊飯器の水タンクの取り外し状態を示す要部断面図
【図4】(a)同炊飯器の炊飯工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の炊飯工程での鍋内の温度変化を示す図
【図5】(a)同炊飯器の浸水工程で蒸気発生手段および蒸気加熱手段を動作させた場合の鍋内の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段を動作させた場合の鍋内の温度変化を示す図
(c)従来の炊飯器の浸水工程での鍋内の温度変化を示す図
【図6】(a)同炊飯器の浸水工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での鍋加熱手段の通電状態を示す図
(c)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段の通電状態を示す図
【図7】(a)同炊飯器の浸水工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での鍋加熱手段の通電状態を示す図
(c)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段の別の例の通電状態を示す図
【図8】(a)同炊飯器の浸水工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での鍋加熱手段の通電状態を示す図
(c)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段の他の例の通電状態を示す図
【図9】従来の炊飯器の断面図
【図10】(a)従来の炊飯器の炊飯工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の炊飯工程での鍋内の温度変化を示す図
【符号の説明】
1 炊飯器
2 鍋
3 鍋加熱手段
4 鍋温度検知手段
5 制御手段
13 蒸気発生手段
17 蒸気加熱手段
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気を利用した炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な家庭用の炊飯器は、図9に示すように、主として、炊飯器1本体に、米や水を収納する鍋2の底部や側部に配置した鍋加熱手段3(シーズヒータや誘導加熱コイルまたはガス等で構成)が配置され、鍋加熱手段3により、鍋2が加熱されて鍋2内の米と水からご飯を作る、すなわちご飯を炊くものである。
【0003】
そのご飯を炊く炊飯工程は、図10(a)に示すように、主として、浸水工程A、炊き上げ工程B、むらし工程Cから成るものであり、浸水工程Aでは、第一の所定時間t1になるまで、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第一の所定温度T1になるように鍋加熱手段3が鍋2を加熱する。炊き上げ工程Bでは、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になるまで鍋加熱手段3が鍋2を加熱する。むらし工程Cでは、第二の所定時間t2になるまで、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第二の所定温度T2近傍で維持するように鍋加熱手段3が鍋2を加熱する。
【0004】
このようにして、鍋温度検知手段4の検知温度Taを、図10(a)に示すように、鍋加熱手段3が温度調整することにより、鍋2内の温度Tbは、図10(b)のように温度推移する。
【0005】
この炊飯工程のうちの浸水工程Aは、米に水を吸収させる、すなわち米の吸水工程であり、米の糊化が開始しない第一の所定温度T1で米を水に浸けておくものである。
【0006】
この浸水工程Aでは、鍋2内の温度Tb、すなわち鍋2内の米および水の温度を第一の所定温度T1に均一にすることで、鍋2内の全ての米が、浸水工程Aで吸収すべき量の水を吸収することができる。その結果、浸水工程A終了時には、鍋2内に存在する全ての米は内部にまで水が浸入していることになる。
【0007】
このように、内部にまで水が浸入している米を、炊き上げ工程Bで水を介して加熱すると、鍋2内の米一粒一粒は、米の表面に存在する水から加熱されるだけでなく、米の内部にある水からも加熱されることになる。その結果、米の糊化が米の表面からだけでなく、米の内部からも進行する。
【0008】
そうして、むらし工程Cを経て、炊き上がった米、すなわちご飯は、内部までふっくらと炊き上がったご飯となるので、浸水工程Aで鍋2内の米を全て均一に加熱することが炊飯性能を向上させることになる。
【0009】
一方で、浸水工程Aでは、米の糊化が開始される直前の温度である第一の所定温度T1に、米を水に浸けておくことで、米は最も水を吸収しやすく、また最も短時間で所定量の水を吸収するものである。
【0010】
以上のことから、浸水工程Aでは、第一の所定温度T1で均一に加熱された水の中に米を浸けておくことが、炊飯時間が最も短く、且つ鍋2内の米が全て均一に水を吸収するので、炊飯性能の向上につながることになる。
【0011】
しかしながら、鍋加熱手段3は鍋2の底部Pおよび側部Qからしか鍋2内の米および水を加熱することができないので、図9に示すように、鍋加熱手段3により鍋温度検知手段4の検知温度Taを第一の所定温度T1にすると、鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米および水は、浸水工程Aの初期段階から第一の所定温度T1とほぼ同等の温度になるが、鍋2内に投入された米の中央上層部、すなわち鍋2の中央部R近傍にある米および水は、鍋2から離れているため、浸水工程Aの終了時間である第一の所定時間t1になっても、第一の所定温度T1にすることができなかったり、鍋2の中央部R近傍にある米および水を第一の所定温度T1にするために、浸水工程Aの時間が第一の所定時間t1よりも長くなってしまったりする。
【0012】
そのため、鍋2内の温度Tbを第一の所定温度T1に均一にすることができないために、浸水工程Aで所定量の水を吸収した米や、所定量よりも少ない量しか水を吸収することができなかった米が混在することになる。
【0013】
浸水工程Aで所定量よりも少ない量しか水を吸収することができなかった米は、内部に水が不足しているので、このような米を炊き上げ工程Bで水を介して加熱すると、米の表面では米の糊化が進行するが、米の内部は糊化が十分に進行しなくなる。
【0014】
このように、所定量の水を吸収した米や所定量よりも少ない量しか水を吸収することしかできなかった米が混在した状態で、炊き上げ工程B、むらし工程Cを経て炊飯工程を終了すると、内部までふっくらと炊き上がったご飯が存在したり、内部に水が十分存在しないためにふっくらと炊き上がらないご飯が存在したりする。そのため、鍋2内のご飯は炊きムラを生じてしまい、炊飯性能が向上しなかったりする。
【0015】
一方、鍋2の中央部R近傍の温度を浸水工程Aの終了時間である第一の所定時間t1よりも早く第一の所定温度T1にするために、鍋温度検知手段4の検知温度Taを第一の所定温度T1よりも高い温度にする方法があるが、この方法では、浸水工程A中に鍋2の底部Pや側部Q近傍にある米および水も第一の所定温度T1よりも高い温度になってしまって米の糊化が開始してしまう。そのため、浸水工程Aや炊き上げ工程B中に、鍋2の底部Pや側部Q近傍にある米の表面が崩れてしまってご飯をふっくらと炊き上げることができなかったり、米に含まれる澱粉成分が流出してしまって、流出した澱粉成分が炊き上げ工程Bで焦げてしまったりして、炊飯性能が逆に低下してしまう。
【0016】
これらの解決手段として、すなわち、浸水工程Aで鍋2内の温度Tbを均一にするために、鍋加熱手段3を2つの誘導加熱コイルで形成し、交互に誘導加熱コイルに通電して鍋2内の水に対流を発生させて鍋2内の温度Tbを均一にする炊飯器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
【特許文献1】
特許第3292085号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の炊飯器1の構成では、以下の課題がある。
【0019】
鍋加熱手段3を2つの誘導加熱コイルで形成し、交互に誘導加熱コイルに通電して鍋2内の水に対流を発生させる方法を用いても、水の対流に対して米が抵抗体となってしまうので、鍋2内の温度を均一にするほどの対流が生じず、この場合も、鍋2の中央部R近傍の温度が鍋2の底部Pおよび側部Q近傍の温度よりも低く、鍋2内の温度を第一の所定温度T1に均一にできないという課題がある。
【0020】
また、米の抵抗に打ち勝つように、誘導加熱コイルへの通電量を増やして水の対流を大きくしようとすると、鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米や水の温度が第一の所定温度T1よりも高くなってしまうので、米の糊化が開始してしまう。そのため、鍋2の底部Pや側部Q近傍にある米の表面が崩れてしまってご飯をふっくらと炊き上げることができなかったり、米に含まれる澱粉成分が流出してしまって、流出した澱粉成分が焦げてしまったりするので、炊飯性能が低下してしまうという同じ課題が生じてしまう。
【0021】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、浸水工程における米の吸水ムラを改善して炊飯性能を向上した炊飯器を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度を入力して前記鍋加熱手段への通電を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記鍋温度検知手段の検知温度を米を浸水する所定温度に温度調整する間に、前記蒸気発生手段は前記鍋内へ蒸気を供給するものである。
【0023】
これによって、米に水を吸収させる浸水工程において、鍋加熱手段により鍋の底部および側部から鍋内の米および水を加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段により、鍋内の米や水よりも高い温度の蒸気を、鍋の上方から、鍋加熱手段だけでは浸水工程での所定温度まで加熱しにくい鍋の中央部近傍に供給することができるので、鍋内の米および水を、鍋の上方からも浸水工程の所定温度まで加熱することができる。それゆえ、浸水工程で所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。
【0024】
したがって、鍋内の米は全て、浸水工程で所定量の水を吸収することができるので、炊き上げ工程で、全ての米を、米の表面に存在する水で加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米の内部に存在する水でも加熱して米の糊化を促進することができる。そして、炊飯工程終了時には、鍋内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができ、炊飯性能を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度を入力して前記鍋加熱手段への通電を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記鍋温度検知手段の検知温度を米を浸水する所定温度に温度調整する間に、前記蒸気発生手段は前記鍋内へ蒸気を供給することにより、米に水を吸収させる浸水工程において、鍋加熱手段により鍋の底部および側部から鍋内の米および水を加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段により、鍋内の米や水よりも高い温度の蒸気を、鍋の上方から、鍋加熱手段だけでは浸水工程での所定温度まで加熱しにくい鍋の中央部近傍に供給することができるので、鍋内の米および水を、鍋の上方からも浸水工程の所定温度まで加熱することができる。それゆえ、浸水工程で所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。
【0026】
したがって、鍋内の米は全て、浸水工程で所定量の水を吸収することができるので、炊き上げ工程で、全ての米を、米の表面に存在する水で加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米の内部に存在する水でも加熱して米の糊化を促進することができる。そして、炊飯工程終了時には、鍋内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができ、炊飯性能を向上させることができる。
【0027】
請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載の発明において、蒸気発生手段から発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段を備え、前記蒸気加熱手段を経由して、前記蒸気発生手段は鍋内へ蒸気を供給することにより、鍋の上方から、より高温の蒸気を投入して鍋内の水を加熱することができるので、浸水工程において、より短時間で鍋内の水を所定温度に均一に加熱することができる。そのため、米をより長い時間、所定温度に均一に加熱された水に浸けておくことができるので、米の吸水をより向上させて炊飯性能をより向上させたり、浸水工程時間や炊飯時間を短縮させたりすることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1または2に記載の発明において、鍋加熱手段が非通電中に制御手段は蒸気発生手段に通電する、または蒸気発生手段への通電を増加することにより、蒸気発生手段への通電量を増加させることができるので、浸水工程開始時に、より一層短時間で、蒸気発生手段内にある水を加熱して蒸気にすることができる。それゆえ、浸水工程の初期段階から鍋の上方から蒸気を投入して鍋内の水を加熱することができるので、より一層短時間で鍋内の水を所定温度に均一に加熱することができ、所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができる。したがて、米の吸水をより一層向上させて炊飯性能をより一層向上させたり、浸水工程時間や炊飯時間をより一層短縮させたりすることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
(実施例1)
本発明の実施例1における炊飯器1について、図1〜図8を用いて説明する。
【0031】
図1において、炊飯器1は、着脱自在に鍋2を収納するため、有底筒状の鍋収納部2aを有している。鍋収納部2aの底部または側底部には、鍋2を加熱する鍋加熱手段3が設けられており、本実施例では鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成されている。4は鍋温度検知手段で、鍋2の底面と当接するよう構成されている。制御手段5は炊飯器1の動作を制御するものである。
【0032】
また、蓋6は、炊飯器1の後部のヒンジ部に設けたヒンジ軸(図示は省略)にて軸支され、鍋2の開口部を開閉自在に覆っている。蓋6には、加熱板7を介して鍋2内を上方から加熱する蓋加熱手段8(本実施例では、加熱板7を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成)が設けられている。加熱板7は加熱板蒸気口9を有しており、蓋6の天面には加熱板蒸気口9と連通する蓋蒸気口10が設けられている。そのため、鍋2の内部は炊飯器1外と連通し大気圧となっている。蒸気口パッキン11は、加熱板7と蓋6に挟持されており、鍋パッキン12は、蓋6の閉時に加熱板7と鍋2の上縁外周部にあるフランジ部の間で挟持されている。
【0033】
また、鍋2内へ供給する蒸気Stを発生する蒸気発生手段13は、蒸気Stを発生させるための水Waを貯蔵する水タンク14、水タンク14を加熱する水タンク加熱手段15(本実施例では水タンク14を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成)、水Waを入れるための給水口16を有しており、蓋6より下方位置に配置されている(詳細は図2参照)。この水タンク14は、後部の水タンク収納扉14aを開放することにより、炊飯器1から脱着できる構造であり、給水口16より水タンク14に水Waを入れることができる(図3参照)。
【0034】
また、蒸気発生手段13により発生する蒸気Stを加熱する蒸気加熱手段17は、蒸気発生手段13の水タンク14と連通し、蒸気Stを鍋2内へ案内する蒸気通路18と、蒸気通路18を加熱する蒸気通路加熱手段19(本実施例では蒸気通路18を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成)を有している。蒸気加熱手段17は蓋6の内部に取り付けられており、蒸気通路18の先端は加熱板7を通して鍋2内の上部に配置されている。
【0035】
次に、上記構成において動作を説明する。
【0036】
使用者はまず、炊飯を行う米とその米量に対応する水Wを鍋2に入れ、炊飯器1に収納する。さらに、水タンク14に所定量以上の水Waを供給して所定位置に装着する。そうして、炊飯開始スイッチ(図示せず)を押すと、制御手段5が炊飯開始スイッチからの入力を受け、炊飯工程を実行する。鍋温度検知手段4は鍋2の底面の温度を検知し、制御手段5へと信号を送る。鍋温度検知手段4からの信号に基づき、制御手段5は主に浸水、炊き上げ、むらしの3つの工程に大分された炊飯工程を行う。
【0037】
ここで各工程を詳しく述べる。使用者が炊飯開始スイッチを押すと、図4(a)に示すように、まず、第一の所定時間t1になるまで浸水工程Aが行われる。浸水工程Aでは、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第一の所定温度T1になるように、制御手段5は鍋加熱手段3および蒸気発生手段13の水タンク加熱手段115への通電量を制御する。
【0038】
この浸水工程Aでは、鍋加熱手段4に通電することにより、鍋2が加熱されるので、鍋2内にある米および水Wを鍋2の底部Pおよび側部Qから加熱することができる。
【0039】
また、蒸気発生手段13の水タンク加熱手段15に通電することにより、水タンク14内にある水Waが加熱される。水タンク14内の水Waが加熱されると、蒸気Stが発生する。発生した蒸気Stは、図1および図2に示す矢印に従って蒸気通路18を通過し、鍋2内へ供給され、鍋2内の水Wと接触し、水Wを加熱することになる。そして、蒸気Stにより加熱された水Wにより、鍋2の中央部R近傍にある米が加熱されることになる。
【0040】
以上より、浸水工程Aにおいて、鍋2内の米および水Wは、鍋加熱手段3により鍋2の底部Pおよび側部Qから加熱されるだけでなく、鍋2の上方からも加熱されることになる。
【0041】
次に、第一の所定時間t1を経過すると、炊き上げ工程Bが行われる。この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になるまで、制御手段5は鍋加熱手段3への通電量を制御する。
【0042】
また、この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが、図4(a)に示す第二の所定温度T2(水の沸点(大気圧下で100℃))になると、鍋2内の水Wが沸騰し、水蒸気となって加熱板蒸気口9および蓋蒸気口10を介して炊飯器1外へ排出されるが、このとき、米から澱粉が溶出した液体、いわゆるおねばが泡となって鍋2から加熱板蒸気口9および蓋蒸気口10を介して炊飯器1外へ出て行こうとする現象、すなわちふきこぼれが発生する。そこで、図4(a)に示す沸騰維持工程B1を行う。この工程では、制御手段5は、鍋加熱手段3への供給電力を減らしたり、鍋加熱手段3へ通電したり非通電にしたりして、鍋加熱手段3への通電量を減らすことで、鍋2内の水Wの沸騰を行ったり沸騰を停止させたりして、おねばが蓋蒸気口10から炊飯器1外へふきこぼれないようにする。
【0043】
鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になると、第二の所定時間t2になるまで、むらし工程Cが行われる。この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが図4(a)に示す第二の所定温度T2近傍を維持するように、制御手段5は鍋加熱手段3や蓋加熱手段8への通電量を制御する。
【0044】
第二の所定時間t2になるとむらし工程Cおよび炊飯工程を終了し、引き続き保温工程が行われる。
【0045】
上記で述べた浸水工程A、炊き上げ工程B、むらし工程Cのうち浸水工程Aは、米が水Wを吸収する工程であり、第一の所定温度T1は、米の糊化が開始されない温度に設定されている。そして、この第一の所定温度T1が高いほど、米が水Wを吸収しやすくなったり、米が所定量の水Wを吸収する時間が短くなったりするので、第一の所定時間t1までの時間(浸水工程Aの時間)を短縮することができる。同時に、次の炊き上げ工程Bで、鍋2内の温度Tbや鍋温度検知手段4の検知温度Taをより早く第二の所定温度T2に到達させることができるので、第二の所定時間t2までの時間(炊飯工程時間)を短縮することができる。
【0046】
以上、述べたように、鍋温度検知手段4の検知温度Taが図4(a)に示すようになるように、鍋加熱手段3を制御手段5が制御することにより、鍋2内の温度Tbは、図4(b)に示すように温度推移していく。すなわち、浸水工程Aでは、鍋2内の温度Tbは、第一の所定温度T1まで上昇し、炊き上げ工程Bでは、第二の所定温度T2に上昇する。そして、沸騰維持工程B1で第二の所定温度T2近傍の温度を維持し、さらに、むらし工程Cでも第二の所定時間t2まで、第二の所定温度T2近傍の温度を維持するものである。
【0047】
このように本実施例によれば、浸水工程Aにおいて、制御手段5が鍋加熱手段3に通電して鍋温度検知手段4の検知温度Taが、図4(a)に示すように、第一の所定温度T1になるまで鍋2が加熱されることにより、鍋2は図1に示す鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米および水Wを第一の所定温度T1で加熱するので、鍋2の底部Pおよび側部Q近傍にある米および水Wを第一の所定温度T1とほぼ同等の温度にすることができる。同時に、蒸気発生手段13を構成する水タンク加熱手段15に制御手段5が通電することにより、水タンク14内にある水Waが蒸発して蒸気Stを発生する。そして、発生した蒸気Stは、図1および図2の矢印に示すように、蒸気通路18を介して鍋2の上方に供給され、鍋2内の水Wと接触するので、鍋2の中央部R近傍にある水Wが蒸気Stにより加熱される。それゆえ、鍋2の中央部R近傍にある米も、水Wを介して鍋2の上方から第一の所定温度T1まで加熱されることになる。
【0048】
以上より、米に水Wを吸収させる浸水工程Aにおいて、鍋加熱手段3により鍋2の底部Pおよび側部Qから鍋2内の米および水Wを加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段13により、米や水Wよりも高い温度の蒸気Stを、鍋2の上方から、鍋加熱手段3だけでは第一の所定時間t1内に第一の所定温度T1まで加熱しにくい鍋2の中央部R近傍に供給することができるので、鍋2内の米および水Wを、鍋2の上方からも第一の所定温度T1まで均一に加熱することができる。それゆえ、浸水工程Aで鍋2内の米を第一の所定温度T1に均一に加熱された水Wに浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。それゆえ、炊き上げ工程Bで、全ての米を、水Wを介して米の表面から加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米が内部に吸収した水Wを介して米の内部からも加熱して米の糊化を促進することができるので、炊飯工程終了時には、鍋2内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができる。その結果、炊きムラを改善することができ、炊飯性能を向上させることができる。
【0049】
なお、蒸気発生手段13から鍋2内へ供給される蒸気Stの温度が第一の温度T1以上であっても、米は米の上部にある水Wを媒体として蒸気Stにより加熱される、すなわち、蒸気Stは米の上部にある水Wに直接接触し、米には直接接触しないので、浸水工程A中に、米が蒸気Stと接触して第一の所定温度T1よりも高くなって、米の澱粉成分が流出してしまったり、米が傷んでしまったりするという問題は生じないものである。
【0050】
また、浸水工程Aにおいて、蒸気発生手段13から鍋2内に投入される蒸気Stの量や蒸気Stの温度は、鍋2内の米および水Wが第一の所定温度T1になるように制御手段5により制御されることは言うまでもない。
【0051】
また、鍋加熱手段3は、鍋収納部2aの底部または側底部に配置されているが、鍋収納部2aの側中央部や側上部に配置してもよい。また、鍋加熱手段3は本実施例では誘導加熱コイルで説明したが、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータまたはガス等で鍋2を加熱するようにしてもよい。
【0052】
また、鍋温度検知手段4は、鍋2の底面と当接するように説明したが、鍋2の温度を検知できるのであれば、鍋2の底面に限定するものではなく、任意の位置に配置してもよい。
【0053】
また、蓋加熱手段8も鍋加熱手段3と同様に、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータ等で加熱板7を加熱してもよい。また、加熱板7に真空層を設けて鍋2内の熱が炊飯器1外へ逃げていくのを低減するようにしてもよい。また、この場合は、加熱板7の断熱性がよいので蓋加熱手段8をなくしてもよい。
【0054】
また、水タンク加熱手段15も鍋加熱手段3と同様に、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータ、ガス等で水タンク14を加熱してもよい。
【0055】
また、蒸気発生手段13から鍋2へ供給される蒸気Stは、鍋2の中央部R近傍へ向けて供給されるようにすればよりよいことは言うまでもない。
【0056】
また、上記実施例では、蒸気Stを供給して鍋2の上方から加熱するように記載したが、蒸気発生手段13を温風発生手段とし、温風を鍋2内へ送風して鍋2の上方から加熱するようにしてもよい。
【0057】
また、浸水工程Aにおいて、鍋2の中央部R近傍に蒸気ではなく、第一の所定温度T1に加熱された水を投入するようにしてもよいが、この場合は、ポンプや弁等、水を鍋2内へ供給する手段が別途必要になることや、おいしいご飯を炊くための、所定量の米に対する水の量は決まっているので、鍋2内に供給する水の量を計測する手段が別途必要になるので、炊飯器1の構成が複雑になったり、コストが高くなったりするものである。
【0058】
それから、浸水工程Aにおいて、水タンク加熱手段15により水タンク14内の水Waが加熱されて蒸気Stとなった後、蒸気経路18を通過する際に、制御手段5が蒸気加熱手段17の蒸気通路加熱手段19に通電することにより蒸気通路18は加熱されるので、蒸気経路18内を通過する蒸気Stは蒸気通路18により加熱されることになる。その結果、より高温の蒸気Stを鍋2の上方から水Wに供給して水Wを加熱することができる。それゆえ、鍋2内の温度Tbは、図5に示すように、鍋加熱手段3のみで鍋2を加熱した場合(図5(c))に第一の所定温度T1に到達する時間tcや、鍋加熱手段3で鍋2を加熱し且つ水タンク加熱手段15により発生する蒸気Stで鍋2の上方の水Wを加熱する場合(図5(b))に第一の所定温度T1に到達する時間tbよりも、より早く第一の所定温度T1に到達することができる(図5(a)の時間ta)。
【0059】
したがって、より短時間で鍋2内の水Wを第一の所定温度T1に均一に加熱することができ、米をより長い時間、第一の所定温度T1に均一に加熱された水Wに浸けておくことができるので、米の吸水をより向上させて炊飯性能をより向上させたり、また、図5における(tb−ta)時間、または(tc−ta)時間分だけ、浸水工程時間や炊飯時間を短縮させたりすることができる。
【0060】
なお、浸水工程Aにおいて、制御手段5は、水タンク14からの蒸気Stを鍋2内に供給する際に、蓋加熱手段8により加熱板7を加熱して蒸気Stを高温に加熱するようにしてもよい。この場合は、蒸気通路加熱手段19を省略してもよい。
【0061】
また、蒸気通路加熱手段19も鍋加熱手段3と同様に、シーズヒータ、ニクロムヒータ、ハロゲンヒータ等で蒸気通路18を加熱してもよい。
【0062】
それから、浸水工程Aにおいて、鍋2の温度Tbを第一の所定温度T1にするために、制御手段5の鍋加熱手段3への通電方法の一例として、図6(b)に示すように、鍋加熱手段3への通電をVA(例えば1000W)以上にし、鍋加熱手段3へ通電したり非通電にしたりして、図6(a)に示すように、鍋温度検知手段4の検知温度Taを第一の所定温度T1になるように制御する方法がある。
【0063】
一方、浸水工程Aの初期段階では、水タンク14内の水Waの温度は室温とほぼ同等であるので、浸水工程Aの初期段階から鍋2内へ蒸気Stを供給するためには、制御手段5は水タンク加熱手段15への通電を増やして水タンク14内の水Waを加熱し、水Waの温度を、蒸気Stを発生することができる温度に早く到達させる必要がある。
【0064】
そこで、少なくとも水タンク14内の水Waから蒸気Stを発生させて鍋2内へ蒸気Stを供給することができるまでの間は、図6(c)に示すように、鍋加熱手段3への通電がVAの時は、水タンク加熱手段15への通電をVB(VA+VB≦1500W)とし、鍋加熱手段3への通電が0、すなわち、鍋加熱手段3が非通電の時は、水タンク加熱手段15への通電をVBよりも大きいVC(VC≦1500W)となるように、制御手段5は鍋加熱手段3および水タンク加熱手段15への通電を制御する。そうすることで、水タンク加熱手段15への通電を増加させることができるので、水タンク14内の水Waの温度を、蒸気Stを発生させることができる温度により早く到達させることができるので、より早く蒸気Stを発生させて鍋2内に供給することができる。
【0065】
それゆえ、浸水工程Aの初期段階から、鍋2の上方から蒸気Stを投入して鍋2内の水を加熱することができるので、より一層短時間で鍋2内の水Wを第一の所定温度T1に均一に加熱することができ、第一の所定温度T1に均一に加熱された水Wに米を浸けておくことができる。
【0066】
したがって、米の吸水をより一層向上させて炊飯性能をより一層向上させることができたり、浸水工程時間や炊飯時間をより一層短縮させたりすることができる。
【0067】
なお、水タンク加熱手段15への通電を、図7に示すように、鍋加熱手段3への通電が停止しているときにだけ行うものであってもよい。
【0068】
また、制御手段5は、水タンク加熱手段15と蒸気加熱手段19への通電の和がVBやVCとなるように、水タンク加熱手段15や蒸気通路加熱手段19へ通電してもよい。
【0069】
また、図6や図7では、鍋加熱手段3への通電が停止している間は、水タンク加熱手段15への通電がVCになるように図示したが、図8に示すように、鍋加熱手段3への通電が停止している間でも、水タンク加熱手段15への通電がVCからVBまたは0になってもよく、鍋温度検知手段4の検知温度Taや鍋2内の温度Tbが第一の所定温度T1になるように、制御手段5が鍋加熱手段3や水タンク加熱手段15への通電を制御すればよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、米に水を吸収させる浸水工程において、鍋加熱手段により鍋の底部および側部から鍋内の米および水を加熱することができるだけでなく、蒸気発生手段により、鍋内の米や水よりも高い温度の蒸気を、鍋の上方から、鍋加熱手段だけでは浸水工程での所定温度まで加熱しにくい鍋の中央部近傍に供給することができるので、鍋内の米および水を、鍋の上方からも浸水工程の所定温度まで加熱することができる。それゆえ、浸水工程で所定温度に均一に加熱された水に米を浸けておくことができるので、米は均一の温度で吸水することができ、米の吸水ムラを改善することができる。
【0071】
したがって、鍋内の米は全て、浸水工程で所定量の水を吸収することができるので、炊き上げ工程で、全ての米を、米の表面に存在する水で加熱して米の糊化を促進するだけでなく、米の内部に存在する水でも加熱して米の糊化を促進することができる。そして、炊飯工程終了時には、鍋内の米全てを、内部までふっくらと炊き上がったご飯にすることができ、炊飯性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の蒸気加熱手段近傍の要部断面図
【図3】同炊飯器の水タンクの取り外し状態を示す要部断面図
【図4】(a)同炊飯器の炊飯工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の炊飯工程での鍋内の温度変化を示す図
【図5】(a)同炊飯器の浸水工程で蒸気発生手段および蒸気加熱手段を動作させた場合の鍋内の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段を動作させた場合の鍋内の温度変化を示す図
(c)従来の炊飯器の浸水工程での鍋内の温度変化を示す図
【図6】(a)同炊飯器の浸水工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での鍋加熱手段の通電状態を示す図
(c)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段の通電状態を示す図
【図7】(a)同炊飯器の浸水工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での鍋加熱手段の通電状態を示す図
(c)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段の別の例の通電状態を示す図
【図8】(a)同炊飯器の浸水工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の浸水工程での鍋加熱手段の通電状態を示す図
(c)同炊飯器の浸水工程での蒸気発生手段の他の例の通電状態を示す図
【図9】従来の炊飯器の断面図
【図10】(a)従来の炊飯器の炊飯工程での鍋温度検知手段の温度変化を示す図
(b)同炊飯器の炊飯工程での鍋内の温度変化を示す図
【符号の説明】
1 炊飯器
2 鍋
3 鍋加熱手段
4 鍋温度検知手段
5 制御手段
13 蒸気発生手段
17 蒸気加熱手段
Claims (3)
- 鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度を入力して前記鍋加熱手段への通電を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記鍋温度検知手段の検知温度を米を浸水する所定温度に温度調整する間に、前記蒸気発生手段は前記鍋内へ蒸気を供給する炊飯器。
- 蒸気発生手段から発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段を備え、前記蒸気加熱手段を経由して、前記蒸気発生手段は鍋内へ蒸気を供給する請求項1記載の炊飯器。
- 鍋加熱手段が非通電中に制御手段は蒸気発生手段に通電する、または蒸気発生手段への通電を増加する請求項1または2記載の炊飯器。
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- 2003-04-23 JP JP2003118236A patent/JP2004321374A/ja not_active Withdrawn
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