JP3858800B2 - 炊飯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な炊飯器の構成を図9に示す。本体24内に鍋25を着脱自在に内装し、鍋上面を覆う開閉自在の蓋26を設ける。また鍋25内の米と水を加熱するため鍋加熱手段27を鍋25の底部に配置しさらに蓋26内に蓋加熱手段28を配置する。さらに米飯の加熱状態を制御するため、鍋25底部に鍋25温度を検知する鍋温度検知手段29、さらに鍋25上面の温度を検知する蓋温度検知手段30を配置する。制御手段31はこの鍋温度検知手段29、蓋温度検知手段30の検知温度を元に鍋加熱手段27、蓋加熱手段28を適時動作させるものである。
【0003】
以上の構成において、動作を説明する。鍋25に炊飯を行う量の米と米量に適した水を入れる。一般的な炊飯器の炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らし工程に分類され、以上の工程を経て米はご飯となる。使用者が炊飯を開始させると、制御手段31は鍋温度検知手段29、蓋温度検知手段30の検知温度を元に鍋25内の米、水を前述の浸水、炊き上げ、蒸らし工程に必要な温度・時間に維持するものである。
【0004】
この炊飯工程中の米がご飯に変化する割合を示す糊化度の変化を示したものが図10である。この図10より米を加熱し煮るための炊き上げ工程において、加熱量を増加させるに従って糊化度が急速に増加することがわかる。しかし鍋25内の水が無くなり炊き上げ工程が終了すると、米飯が焦げることを避けるため特に鍋加熱手段27の加熱量を減少させなければならない。
【0005】
米を蒸気の充満する雰囲気中に置くことで、米一粒一粒が均等な条件下で水分と熱を受けながら炊飯を行う蒸気炊飯がある。
【0006】
蒸気を用いる炊飯装置は特開平02−283328号公報に示すようなものである。図11に示す蒸気炊飯装置について説明する。本体32は、内部中央部付近に炊飯トレイ33を係止し、その底部は米粒が通過できない多数の孔が開けられた仕切板34が設けられている。上部には給水シャワー35が設けられ、セットされた米粒に水を均一に噴射する。下部には蒸気供給部36が設けられ、給水ポンプ37から供給される水を蒸気化して下から蒸気を噴射する。
【0007】
以上の構成において米に対して適時下方から蒸気を噴射、上方から水を噴射しながら炊飯を行うものである。
【0008】
以上のように米粒に対して、水、熱の供給のため非常に大がかりな装置となるのが一般的である。
【0009】
【特許文献1】
特開平02−283328号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な家庭用の炊飯器において、鍋内の米と水を加熱するために鍋底部に配置した鍋加熱手段が主となり、蓋内の加熱手段は鍋内の米、水の上方の空間を介するため、適切な加熱が難しい。加熱量が不足したり、または加熱量が多すぎると上面だけ乾燥してしまい鍋内の米、水を均一な加熱をすることが困難である。
【0011】
さらに、蒸らし工程において、米飯の焦げを防止するため特に鍋加熱手段の加熱量を減少させなければならない。
【0012】
また、以上の課題を解決する蒸気炊飯装置は米粒を加熱する蒸気以外に、米粒に対して蒸気炊飯では供給不足となる水分を補う給水手が必要となる。従って蒸気炊飯装置は構成が非常に複雑となり家庭用の炊飯器として応用することが困難である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、鍋加熱手段による加熱に加えて鍋上方からの蒸気を噴射し鍋の上方から米飯、水の加熱を行う構成とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、蒸気発生手段と、前記鍋の開口部から前記鍋内に蒸気を投入する蒸気投入孔とを備え、前記蒸気発生手段は水タンクと水タンク加熱手段を有し、前記蒸気発生手段から発生する蒸気を加熱して100℃を超える過熱蒸気とする蒸気加熱手段を設け、蒸らし工程において、前記蒸気投入孔より前記過熱蒸気を前記鍋内に投入する炊飯器とすることで、蒸気のみの炊飯では不足する炊飯に必用な水分を、鍋内に初めからセットすることで、水分の補給手段を別途設ける必要がなく、炊飯時の米と水の加熱を上方から補う。さらに蒸らし時に米を焦がすことなく加熱することができ、より食味の良い米飯を得ることができるものである。
【0015】
さらに、鍋内に100℃を越える過熱蒸気を噴射することにより、エネルギ供給を効率よく実施することができるものである。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、水タンクを着脱自在とすることで、炊飯後に水タンクを洗い清潔に保つことが容易にできるものである。
【0017】
【実施例】
(実施例1)
本発明の第1の実施例について図1を参照しながら説明する。図1に示す1は炊飯器の本体を示し、着脱自在の鍋2を内装する。さらに鍋2の上面を覆う蓋3が開閉自在に設置されている。また鍋2を加熱する鍋加熱手段4と鍋2の温度を検知する鍋温度検知手段5を本体1内部に配置する。本体1内部には水タンク6を内装しており、水タンク6には水タンク加熱手段7を有し、水タンク6と水タンク加熱手段7により蒸気発生手段38を構成する。
【0018】
さらに蒸気管8により蒸気発生手段38と鍋2の上面の一部が接続され、鍋2上面の開口部を蒸気孔9とする。また、鍋2より本体1外へ蒸気が放出される蒸気筒には開閉弁10が設置されているものである。さらに本体1内部には、鍋温度検知手段5の出力をもとに鍋加熱手段4、水タンク加熱手段7、さらに開閉弁10を制御する開閉弁制御手段11を有するものである。
【0019】
上記の構成において動作を説明する。炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2入れ、本体1の所定の状態に内装する。さらに本体1に設けられた水タンク6内に所定量の水を入れ、炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分されている。それぞれの工程において、鍋2内部の水と米の状態が適正値として設定された温度や所定時間維持される。そのため、鍋温度検知手段5の出力を検出しながら鍋加熱手段4、水タンク加熱手段7を駆動させる。
【0020】
水タンク加熱手段7が駆動することにより、水タンク内の水が加熱され、蒸気を生成する。この蒸気は蒸気管8内を移動して、鍋2の上面の一部から鍋2内部に放出される。鍋2内部の水と米は、鍋加熱手段4により鍋2底から加熱され、さらに上面を鍋2に放出される蒸気により加熱される。蒸気を上面からの加熱源として用いることで、浸水工程においては、従来の鍋加熱手段4の加熱に比べ米の糊化が開始されない温度まで均一かつ短時間で上昇する。鍋2内の米全体を目的の温度に均一に維持することで、米の吸水条件が均一でかつ、短時間で炊き上げに必要となる水分量を吸水するものである。また炊き上げ工程においても、均一かつ短時間で沸点に到達するものである。
【0021】
さらに炊き上げ工程の沸騰状態が維持されている間において、米からでんぷんが溶出した液体(おねば)が泡を含んで体積膨張した状態で鍋2から放出される現象、いわゆる吹きこぼれが現れようとする。この吹きこぼれの防止対策として、鍋2上方に膨張するおねばに対して、蒸気をあてることでおねばに含まれる泡を破壊し体積膨張を抑制する。
【0022】
したがって、沸騰維持中の沸騰状態を停止させることなしに吹きこぼれを防止することが可能となる。沸騰状態を維持しながら吹きこぼれを防止できることで、米が吸水しながら加熱され米飯へ変化する糊化現象の進行が抑制されることがなく、炊飯工程を終了した米飯がより糊化度の高いものとなる。
【0023】
また、むらし工程においては、炊飯開始時に鍋に入れた水が米に吸水、蒸発してほとんど無くなった状態となる。しかし、鍋2内の底部に水分が多く残留する傾向がある。その余分な水分を除去することと米の糊化を促進させるために、蒸らし工程においても鍋2を加熱する。しかしながら水分が少ないため、鍋2底から加熱すると鍋2の加熱される面付近の米は焦げる。また鍋2上面の米は水分の蒸発が活発となるので乾燥しやすい状態となる。したがって蒸らし工程においても上面からの蒸気による加熱を行うことで、鍋全体の加熱の局部的な温度上昇と上面とその近傍の米の乾燥を防止することができるものである。
【0024】
各工程において、蒸気筒に設けられた開閉弁10を開閉弁制御手段11により適時開閉するものである。閉時には、投入された蒸気は本体1外へ逃げられないので、水米に対する接触の機会が増加し、短時間で水の加熱、さらに水がなくなった後の米の層内部まで蒸気の熱が伝わり、より全体を効果的な加熱することができるものである。
【0025】
なお、炊飯器においては、蓋3からの加熱を行う加熱手段をもつものも存在する。しかしながら鍋2の上面に配置される蓋3の一部を加熱することで、鍋2内のご飯を加熱するものである。したがって鍋上面の空間を介するため前述のような効果が得られない。蓋加熱手段12をもつ炊飯器においても、本発明の構成を配置することで、同様の効果を得られるものである。また、水タンク6を着脱自在とすることで使用者がより扱いやすい形態となる。
【0026】
また、水タンク加熱手段7を炊飯器のもつ加熱手段として鍋加熱手段4と併用することが可能であり、上記の内容と同様の効果を得られるものである。また、図2に示すように蓋加熱手段12を有する場合には、特に蓋3内の構成を容易にかつ小型化することができるものである。
【0027】
さらに、図3に示すように、鍋2内の上方に着脱自在の着脱水タンク13を配置し、蓋内に着脱水タンク加熱手段14を設け、着脱水タンク13と着脱水タンク加熱手段14により、蒸気発生手段39を構成するものである。この構成においては、着脱水タンク13の設置空間を蓋3内に設ける必要がないため、より蓋3内の構成を容易にかつ小型化することができる。その上、鍋2内の温度上昇にしたがって着脱水タンク13内の水も温度上昇するため着脱水タンク13の加熱効率も向上することとなる。
【0028】
また、鍋2と着脱水タンク13をセットで移動させることが容易となるため、米と水を鍋2に入れる動作を一連の流れで完了させることができ、使用者の着脱水タンク13に対する使い勝手も向上し、着脱水タンク13へ水の入れ忘れを防止する効果も得られるものである。
【0029】
(実施例2)
本発明の第2の実施例について図8を参照しながら説明する。図8に示す水タンク6から発生する蒸気をさらに加熱する蒸気加熱手段22を有する。さらに、浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に対して必要とされる温度の過熱蒸気を生成するために蒸気加熱手段22を制御する蒸気温度制御手段23を有するものである。
【0030】
以上の構成について動作を説明する。図1と同様に、水タンク6内の水が水タンク加熱手段7により加熱されて蒸気を発生する。発生した蒸気は蒸気加熱手段20によりさらに加熱され常圧で100℃を超える過熱蒸気となり鍋2内に放出される。通常の蒸気に比べ、より高い熱エネルギを有するため、鍋2内の加熱の均一かつ短時間加熱が可能となるものである。また、過熱蒸気制御手段23により炊き上げ工程に対して過熱蒸気の温度をさらに上昇させることで、より短時間での鍋2内温度の昇温が可能となる。さらに蒸らし工程においては、米を乾燥させない程度の温度に制御することで、米を乾燥、さらには焦がすことなく、短時間で米の加熱を行うことができるものである。
【0031】
なお、実施例1〜4に記載の鍋加熱手段4、蓋加熱手段12、水タンク加熱手段7、着脱水タンク加熱手段、水タンク加熱手段18、21、さらに蒸気加熱手段22は、電気ヒータ加熱、誘導加熱、ハロゲンヒータ加熱、マイクロ波加熱、またはガス加熱などの加熱手段において同様の効果を得ることができるものである。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、鍋内の米、水の加熱において不足する上方からの加熱を行い。かつ上方の乾燥を防止することで、食味を非常によくし、さらに小型の蒸気炊飯を実現する炊飯器を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図2】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図3】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図4】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図5】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図6】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図7】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図8】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図9】 従来の炊飯器の断面図
【図10】 炊飯における糊化度変化図
【図11】 従来の蒸気炊飯の断面図
【符号の説明】
1 本体
2 鍋
3 蓋
4 鍋加熱手段
5 鍋温度検知手段
6 水タンク
7 水タンク加熱手段
8 蒸気管
9 蒸気孔
10 開閉弁
11 開閉弁制御手段
12 蓋加熱手段
13 着脱水タンク
14 着脱水タンク加熱手段
15 延長蒸気管
16 分割蒸気管
17 水タンク
18 水タンク加熱手段
19 孔
20 貯水部
21 貯水部加熱手段
22 蒸気加熱手段
23 蒸気温度制御手段
38 蒸気発生手段
Claims (2)
- 鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、蒸気発生手段と、前記鍋の開口部から前記鍋内に蒸気を投入する蒸気投入孔とを備え、前記蒸気発生手段は水タンクと水タンク加熱手段を有し、前記蒸気発生手段から発生する蒸気を加熱して100℃を超える過熱蒸気とする蒸気加熱手段を設け、蒸らし工程において、前記蒸気投入孔より前記過熱蒸気を前記鍋内に投入する炊飯器。
- 水タンクを着脱自在とする請求項1記載の炊飯器。
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JP2002293873A JP3858800B2 (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 炊飯器 |
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