JP2004319250A - 燃料電池 - Google Patents
燃料電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004319250A JP2004319250A JP2003111389A JP2003111389A JP2004319250A JP 2004319250 A JP2004319250 A JP 2004319250A JP 2003111389 A JP2003111389 A JP 2003111389A JP 2003111389 A JP2003111389 A JP 2003111389A JP 2004319250 A JP2004319250 A JP 2004319250A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel cell
- doped
- type impurity
- compound semiconductor
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Fuel Cell (AREA)
- Inert Electrodes (AREA)
Abstract
【解決手段】燃料ガス4に接する陰極1と、酸素ガスを含むガスである空気5に接する陽極3と、陰極1と陽極3との間を連結する電解質を含む電解質層2とを有する燃料電池において、陰極1がp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体、例えば、p型不純物である炭素をドープしたGaAs、AlGaAsまたはInGaAsもしくはp型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN、AlGaNまたはInGaNを構成要素とすることを特徴とする燃料電池を構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−305001号公報
【非特許文献1】「ホームページ“燃料電池自動車納入式”(平成14年12月2日)http://www.kantei.go.jp/jp/koizumiphoto/2002/12/02nenryo.html」
【非特許文献2】「論文“Annealing effect on C−doped InGaAs grown by metalorganic chemical vapor deposition,”N. Watanabe, et al., J. Crystal Growth Vol. 195 (1998), pp. 48−53」
【非特許文献3】「論文“Thermal Annealing Effects on P−Type Mg−Doped GaN Films,”S. Nakamura, et al., Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 31 (1992), pp. L139−L142」
【非特許文献4】「論文“Highly resistive CH−doped GaN grown by plasma−assisted metalorganic chemical vapor deposition,”M. Sato, Appl. Phys. Lett. Vol. 68 (1996), p. 935」
燃料電池は、高い発電効率が得られると共に、排熱を空調や給湯などに使用することによって、総合的なエネルギー利用効率が高くなることから、省エネルギー発電システムの構成要素として注目されている。燃料電池は、燃料ガスとして水素ガスを用いる場合に、水素と空気中の酸素を反応させてエネルギーを生みだすため、排出されるものは水のみである。窒素酸化物などの有害ガスの生成も極めて少ない。このような環境に優しい特性も高く評価されている。
【0003】
燃料電池は、エンジンやタービンで発電機を駆動するシステムと異なり、高速回転する部分がない。そのため運転に伴う騒音や振動がほとんどなく、設置にあたって制約が少ない。
【0004】
燃料電池が適応できる分野は広い。空調や給湯で多くの熱源を必要とするホテルや病院等の施設に設置する、新規開発地域への温水と電気を供給するプラントを構築する等、熱と電気の両方を活用する方式が検討・実施されている。燃料電池の低価格化が進めば、一般家庭にも普及し、発電と給湯や暖房に用いられるようになっていくと期待されている。
【0005】
燃料使用効率が良く、排気ガスの環境負荷が小さいことより、燃料電池を用いた自動車が開発されている。上記非特許文献1にあるように、平成14年12月に2台の燃料電池自動車が国にリース販売され、実用化への大きな前進が示された。
【0006】
携帯電話やノート型パソコンなどの携帯端末の電源としての応用も期待されている。リチウムイオン電池のような充電式の電池と比べ、同じ容積あたりの発電量を大きくできる可能性がある上、従来充電に要していた時間を燃料補給の僅かな時間に短縮できる利点がある。携帯端末の電源としては、小型であることと低温で動作することが必須である。
【0007】
燃料電池の発電の原理は、水素を燃料とする場合、水の電気分解の逆反応に基づく。
【0008】
図1に燃料電池の単一セルの概略図を示す。図において、1は陰極、2は電解質層、3は陽極、4は燃料ガス、5は空気、6は燃料ガス供給口、7は空気供給口、8は排気ガス排出口、9は電力負荷、10は電圧計である。
【0009】
ここでは、燃料ガス4が水素ガス(H2)であるとして、燃料電池の動作原理について説明する。燃料ガス供給口6から供給される燃料ガス4(水素)は陰極1(水素極あるいは燃料極とも称される)で陽子と電子とに分解し、電子(図中、e−で示す)は陰極1の導電性の部分に渡される。陰極1で発生した陽子(図中、H+で示す)は電解質層2内を拡散して陽極3(空気極とも称される)に達する。陽極3に達した陽子は、陰極1から外部回路を通して陽極3に達した電子を受け取り、空気供給口7から供給される空気5中の酸素(O2)と反応して水(H2O)となる。このようにして、陰極1より陽極3への、外部回路を通しての電子の流れが生じ、このセルは電池として機能する。陽極3で発生した水は空気5とともに排気ガス排出口8から外部に排出される。なお、外部回路には電力負荷9が設けられ、電池の端子電圧は電圧計10で測定される。
【0010】
燃料電池は電解質の種類により、固体高分子膜型、リン酸型、アルカリ型、溶融塩型などに分類されている。溶融塩型は動作温度が700℃以上と高いため、燃料ガスの分解に特殊な触媒を必要としない。動作温度が低くできる他の燃料電池は、効率的に水素ガスを陽子と電子に分解するために触媒を必要としている。
【0011】
従来の方法においては、白金が触媒として用いられている。白金は貴金属であり、非常に高価である。白金の価格が燃料電池の低価格化の大きな阻害要因となっているばかりでなく、燃料電池の普及につれて資源が枯渇してしまう心配もされている。
【0012】
白金を有効に用いるため、グラファイトなどの化学的に安定な導電性の材料に白金の微粒子を担持させたものが電極として用いられている。白金の微粒子化や担持方法の最適化により、比表面積を大きくし、白金の使用量を少なくする試みがなされている。また、白金と併せて金を含む微粒子を触媒として用いて白金使用量を少なくする手法が、上記特許文献1に記載されている。高価な白金に代わる触媒の探索もなされているが、有効な触媒は報告されていない。
【0013】
白金微粒子を有効に担持させるため、および、白金表面で水素ガスの分解により生成する陽子を効率的に電解質に移動させるため、電極には多孔質の材料が用いられている。そのため、電解質層は水素を含む燃料ガスや空気と部分的に接する。アルカリ型燃料電池の電解質は、二酸化炭素や窒素酸化物と反応すると急速に劣化する問題がある。他の電解質層を用いた燃料電池においても、不純物ガスと電解質の反応により、陽子の移動に寄与しない塩類が形成されることは問題である。
【0014】
燃料電池の燃料となる水素ガスを供給する手法にも様々なものがある。上記非特許文献1に記載された燃料電池自動車は高圧の水素ガスボンベより燃料電池に水素を供給している。熱電供給プラントなどで燃料電池を設置する場合には、改質器を用いて天然ガスを改質し、水素ガスを得る手法が取られている。既存の都市ガス供給のインフラ構成が活用できるため、インフラ整備に要するコストを抑えることができる。貯蔵が容易なLPGを改質して用いる手法も実現している。燃料電池自動車など、固定式でない燃料電池の場合には、メタノールなどの液体燃料を改質して水素を得る手法が検討されている。水素ガスを直接供給する以外の燃料電池システムには燃料改質機構が必要であり、改質機構に相当の設備コストを要している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
発電の高効率化に加え排熱の利用を可能とし、環境を汚染する物質を排出しない燃料電池において、比較的低温で動作する従来手法の燃料電池では電極に触媒として高価な白金が使用されており、白金の使用が燃料電池の低価格化を妨げる大きな要因となっている。
【0016】
本発明は、この問題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、白金を含まない電極を用いて構成した安価で小型化も可能な燃料電池を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、請求項1に記載したように、
燃料ガスに接する陰極と、酸素ガスを含むガスに接する陽極と、前記陰極と前記陽極との間を連結する電解質とを有する燃料電池において、前記陰極がp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体を構成要素とすることを特徴とする燃料電池を構成する。
【0018】
また、本発明においては、請求項2に記載したように、
上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体がGaAs基板上に成長した、p型不純物である炭素をドープしたGaAsまたはAlGaAsもしくはInP基板上に成長した、p型不純物である炭素をドープしたInGaAsであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池を構成する。
【0019】
また、本発明においては、請求項3に記載したように、
上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体がサファイア基板上あるいはSiC基板上に成長した、p型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN、AlGaNまたはInGaNであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池を構成する。
【0020】
また、本発明においては、請求項4に記載したように、
上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体がGaAs基板上に成長した後に該基板から剥離した、p型不純物である炭素をドープしたGaAs層またはAlGaAs層、InP基板上に成長した後に該基板から剥離した、p型不純物である炭素をドープしたInGaAs層もしくはサファイア基板上あるいはSiC基板上に成長した後に該基板から剥離した、p型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN層、AlGaN層またはInGaN層であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池を構成する。
【0021】
また、本発明においては、請求項5に記載したように、
上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体が多孔質のセラミックス上に成長させたp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池を構成する。
【0022】
また、本発明においては、請求項6に記載したように、
上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体が多孔質の耐熱性有機高分子材料上に成長させたp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池を構成する。
【0023】
また、本発明においては、請求項7に記載したように、
上記多孔質の耐熱性有機高分子材料が多孔質のポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池を構成する。
【0024】
また、本発明においては、請求項8に記載したように、
上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体が、p型不純物である炭素をドープしたGaAs、AlGaAsまたはInGaAsもしくは、p型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN、AlGaNまたはInGaNであることを特徴とする請求項5、6または7に記載の燃料電池を構成する。
【0025】
また、本発明においては、請求項9に記載したように、
上記多孔質のセラミックス、多孔質の耐熱性有機高分子材料または多孔質のポリテトラフルオロエチレンの細孔に電解質が充填されていることを特徴とする請求項5、6、7または8に記載の燃料電池を構成する。
【0026】
また、本発明においては、請求項10に記載したように、
上記細孔に電解質が充填された多孔質のセラミックス、多孔質の耐熱性有機高分子材料または多孔質のポリテトラフルオロエチレンが上記陽極と直接接し、上記細孔に充填された電解質が上記陰極と上記陽極との間を連結していることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池を構成する。
【0027】
また、本発明においては、請求項11に記載したように、
上記陽極がp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体を構成要素とすることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の燃料電池を構成する。
【0028】
また、本発明においては、請求項12に記載したように、
上記燃料ガスが水素ガスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池を構成する。
【0029】
また、本発明においては、請求項13に記載したように、
上記燃料ガスが、少なくともメタン、エタンまたはプロパンと水蒸気とを含む混合ガスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池を構成する。
【0030】
また、本発明においては、請求項14に記載したように、
上記燃料ガスがメタノール蒸気と水蒸気との混合ガスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池を構成する。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に係る燃料電池の特徴は、p型不純物をドープした化合物半導体を電極として用いることにある。
【0032】
燃料として水素を用いる燃料電池の陰極では、水素ガス分子を水素ラジカルに分解し、水素ラジカルを電子と陽子に解離させ、電子を電極材料に伝達し、陽子を電解質に伝達する反応を、連続して速やかに生じさせることが必要である。低温では、無触媒の場合、水素ガス分子の分解速度は小さく、ラジカルの再結合も生じるので、上記の反応速度は極めて遅い。
【0033】
本発明は、p型不純物をドープした化合物半導体が水素ガス分子の分解によって生じる水素ラジカルを速やかに吸収することを発見し、この発見に基づいてなされたものである。水素ラジカルの速やかな吸収により水素ラジカルの再結合が抑制されるため、p型不純物をドープした化合物半導体は水素ガス分子分解の触媒となる。吸収された水素ラジカルは、p型不純物原子に電子を渡し、陽子となって半導体中に存在する。この陽子を、水素ガスが接している面と反対側の面において、電解質に伝達させれば、半導体中で陽子が飽和することなく、反応は連続的に進む。また、電子はp型不純物原子間をトンネル効果により伝導していき、電流を取り出す端子まで移動する。このような原理により、p型不純物をドープした化合物半導体は、燃料電池の電極として機能する。
【0034】
上記発見は、水素が半導体に与える影響を研究する過程において得られたものである。化合物半導体を用いたデバイスを作製する分野においては、砒化物半導体および窒化物半導体に対して、以下のような知見が得られている。
【0035】
化合物半導体中に浸透した水素原子はキャリア濃度を変化させるため、電気特性に影響する。特にp型半導体においては、水素原子の浸透の影響が顕著となる。p型不純物濃度を高くした化合物半導体においては、その結晶成長中に水素原子が取り込まれ、水素原子は陽子と電子に解離した後にp型不純物に電子を渡す。このようにしてp型不純物は電気的に不活性となり、目的とした電気的特性が得られない。このような現象は、p型不純物として炭素をドープしたGaAsで問題視され始めた。GaAsよりも高速で動作する電子デバイスとして、InPを基板とするInGaAsが注目されているが、炭素をドープしたInGaAsの場合、炭素不純物の90%もが水素により不活性化することが上記非特許文献2に報告されている。一般的に、炭素をp型不純物として用いた化合物半導体は水素の影響を受けやすく、水素は電子デバイスなどの特性や信頼性に悪影響を与えている。
【0036】
青色発光ダイオードや紫外光レーザー等、GaN等の窒化物半導体を用いたデバイスが実用化されている。窒化物半導体を用いたデバイスの実用化には、高濃度のp型半導体の実現が必要であった。上記非特許文献3に記載されているように、GaNに、p型不純物であるマグネシウムをドープし、窒素雰囲気中で熱処理することによりp型半導体が実現し、デバイスの実用化に道を拓いた。熱処理前のp型不純物は水素で不活性化されていたと報告されている。GaNの場合、炭素をドープすると水素を伴い高抵抗となり、熱処理では水素は脱離しないことが、上記非特許文献4に記載されている。
【0037】
p型不純物をドープした化合物半導体を燃料電池の電極として用いることは、本発明により初めてなされたものであり、これにより白金触媒を用いない燃料電池が実現した。
【0038】
p型不純物をドープした化合物半導体の膜は、原理上、水素以外の原子を透過しない。従って、水素ガスに含まれる不純物が電解質と接し、電解質の劣化の原因となることを完全に防ぐことができる。このようにして、燃料電池を長期間にわたり、性能を維持したまま運転することが可能となる。
【0039】
天然ガスやアルコールを燃料とする燃料電池に適応した場合、p型不純物をドープした化合物半導体は改質反応中に発生する水素ラジカルのみを速やかに吸収するため、改質反応を促進する効果を併せ持つ。そのため改質器を必要とせず、水素以外の燃料を供給しても効率的に動作する。この利点も本発明により実証されたものである。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の実施の形態を実施例によって説明する。
【0041】
以下の実施例におけるp型不純物をドープした半導体は、有機金属を用いた気相成長法(MOCVD法)により成長した。キャリアガスとして水素ガスを、III族元素であるAl、Ga、Inの原料としてトリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムをそれぞれ用いた。V族元素であるAsの原料としてアルシンを、窒化物成長に際してはNの原料としてアンモニアを用いた。p型不純物となる炭素の原料としては四臭化炭素を、同じくp型不純物となるマグネシウムの原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを用いた。これらの原料はMOCVD法により電子デバイスを作製する際に、一般的に用いられるものである。
【0042】
炭素をドープしたGaAs、AlGaAs、InGaAsの成長は基板温度500℃、マグネシウムをドープしたGaN、AlGaN、InGaNの成長は基板温度900℃でそれぞれ行った。
【0043】
図1に概略を示したような燃料電池の単一セルを用い、電解質としてリン酸を用いて、燃料電池としての特性を測定した。
【0044】
図1において、1は陰極であり、以下の実施例においては、p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体を構成要素とする陰極である。2は陰極1と陽極3との間を連結する電解質を含む電解質層、3は陽極、4は燃料ガス、5は空気、6は燃料ガス供給口、7は空気供給口、8は排気ガス排出口、9は電力負荷、10は電圧計である。
【0045】
電極面積1cm2あたり100mAの一定電流を流した際の電圧(電圧計10で測定される)を起電力と定義し、特性の評価値として記述する。
【0046】
陽極3は、以下の実施例において、特に記載がない場合には、多孔質のグラファイトで構成されている。
【0047】
燃料ガス4は、以下の実施例において、特に記載がない場合には、99%以上の純度を持つ水素ガスである。
【0048】
また、全ての実施例において、陰極1は燃料ガス4に接し、陽極3は酸素ガスを含むガスである空気5に接している。
【0049】
(実施例1)
GaAs基板上に、p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体である、炭素をドープしたGaAsおよびAlGaAs(III族元素に占めるAl量が約30%)をエピタキシャル成長させて、燃料電池の陰極1の構成要素とした。炭素不純物濃度をGaAs、AlGaAsともに8×1019cm−3とし、GaAs厚を2μm、AlGaAs厚を0.1μmとした。エピタキシャル成長後にウエハーを0.2mm厚となるまで研磨し、エピタキシャル表面および基板裏面の全面にレジストを塗布した後に、基板側(エピタキシャル表面の反対側)のみ5mm間隔で直径3mmの円形の孔が開くようにレジストを除去した。このウエハーをアンモニアと過酸化水素の混合溶液でウエットエッチングした後に、全てのレジストを有機溶剤で除去することにより、炭素をドープしたAlGaAsの面が基板側に露出し、エピタキシャル層が有孔GaAs基板で保持されている状態の構造体を得た。炭素をドープしたAlGaAsは、エッチングが炭素ドープGaAs層まで進行しないようにするストッパーの役割も果たしている。
【0050】
この構造体を陰極1とし、エピタキシャル層の基板側が燃料ガス4と接しエピタキシャル面側が電解質層2と接するように取付け、燃料電池としての動作を確認した。起電力は、動作温度を300℃とした場合に0.71V、350℃とした場合に0.73V、400℃とした場合に0.74Vであった。
【0051】
GaAs厚を5μmとしても、起電力に差は生じなかった。基板側に開けた孔径を3.5mmとすることにより、動作温度を300℃とした場合に起電力は0.73Vに向上した。このことは、炭素をドープした半導体と燃料ガス4が接する面積が電極の特性に大きく影響することを示している。
【0052】
なお、上記の燃料電池において、p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体として、p型不純物である炭素をドープしたGaAsおよびAlGaAsを、それぞれ単独で用いることもできる。
【0053】
(実施例2)
InP基板上に、p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体である、炭素をドープしたInGaAs(III族元素に占めるIn量が約50%)をエピタキシャル成長させて、燃料電池の陰極1の構成要素とした。炭素不純物濃度を8×1019cm−3とし、InGaAs厚を2μmとした。実施例1に記述したものと同様の手法で、炭素をドープしたInGaAsの面がInP基板側に露出した構造体を作製し、これを陰極1として用いた。ウエットエッチングには塩酸を用いた。塩酸はInP基板を溶解するが、InGaAsを溶解しないのでエッチングストッパー層は必要でない。
【0054】
作製した陰極1を、実施例1と同様に、基板側が燃料ガス4と接し、エピタキシャル層が電解質層2と接するように取付け、燃料電池としての動作を確認した。起電力は、動作温度を300℃とした場合に0.73V、350℃とした場合に0.74V、400℃とした場合に0.75Vであった。
【0055】
InGaAs厚を5μmとしても、起電力に差は生じなかった。基板側に開けた孔径を3.5mmとすることにより、動作温度を300℃とした場合に起電力は0.74Vに向上した。
【0056】
(実施例3)
GaAs基板上にAlAsを2μm、炭素をドープしたGaAsを5μmエピタキシャル成長させ、80℃に加温した純水中で保持してAlAsを溶解させて、炭素ドープGaAs層を基板から剥離させた。GaAs中の炭素不純物濃度は8×1019cm−3とした。この炭素ドープGaAs層(5μmの薄膜)は、このままでは燃料電池の電極として実用に供するためには強度が充分ではないが、これを網状の支持体あるいは格子状の支持体等で保持することによって、実用的な燃料電池の電極の構成要素とすることができる。この5μmの薄膜を燃料電池の陰極1の構成要素として用いて起電力を測定した。動作温度を300℃とした場合に起電力として0.73Vが得られた。
【0057】
AlAsを溶解してGaAsエピタキシャル層を剥離させた後のGaAs基板は、再度エピタキシャル成長に用いることができる。高価な基板を繰り返し使用でき、コストを下げるメリットがある上、燃料電池で使用する有毒な砒素の量を低減することができる。
【0058】
なお、上記の燃料電池において、炭素ドープGaAs層に代えて、炭素ドープAlGaAs層を用いても同様の結果が得られる。
【0059】
(実施例4)
実施例3に記したAlAsを溶解する工程の前に、炭素ドープGaAs上に20μmの多孔質シリカ層を、プラズマを用いたCVD法にて形成し、その後にAlAsを溶解して基板から剥離することにより、多孔質のシリカで補強された炭素ドープGaAs層を得、これを燃料電池の陰極1とした。
【0060】
この陰極1を、炭素ドープGaAs層が電解質層2に接するように取付け、動作温度を300℃とした場合に、起電として0.73Vが得られた。
【0061】
なお、シリカ層に代えて窒化シリコン層を形成してもGaAs層を補強する効果が得られ、同程度の起電力が得られた。
【0062】
(実施例5)
InP基板上にAlAsを0.5μm、炭素をドープしたInGaAsを5μmエピタキシャル成長させ、80℃に加温した純水中で保持してAlAsを溶解させて、炭素ドープInGaAs層を基板から剥離させた。InGaAs中の炭素不純物濃度は8×1019cm−3とした。このInGaAs層(薄膜)は、燃料電池の電極として実用に供するためには強度が充分ではないが、これを網状の支持体あるいは格子状の支持体等で保持することによって、実用的な燃料電池の電極の構成要素とすることができる。この薄膜を燃料電池の陰極1の構成要素として用いて起電力を測定した。動作温度を300℃とした場合に起電力として0.74Vが得られた。
【0063】
AlAsを溶解してInGaAsエピタキシャル層を剥離させた後のInP基板は、再度エピタキシャル成長に用いることができる。高価な基板を繰り返し使用でき、コストを下げるメリットがある。
【0064】
(実施例6)
実施例5に記したAlAsを溶解する工程の前に、炭素ドープInGaAs上に20μmのシリカ層を、プラズマを用いたCVD法にて形成し、その後にAlAsを溶解して基板から剥離することにより、多孔質のシリカで補強された炭素ドープInGaAs層を得、これを燃料電池の陰極1とした。
【0065】
この陰極1を、InGaAs層が電解質層2に接するように取付け、動作温度を300℃とした場合に、起電力として0.74Vが得られた。
【0066】
なお、シリカ層に代えて窒化シリコン層を形成してもInGaAs層を補強する効果が得られ、同程度の起電力が得られた。
【0067】
(実施例7)
サファイア基板上にエピタキシャル成長したマグネシウムドープGaN、AlGaN(III族元素に占めるAl量が約10%)、InGaN(III族元素に占めるIn量が約10%)を陰極1の構成要素として用いた。マグネシウム不純物濃度は5×1018cm−3とした。エピタキシャル膜厚を5μmとした。エピタキシャル成長後、リアクティブイオンエッチングにより基板側に実施例1に記述したものと同様の孔をあけ、マグネシウムドープした窒化物半導体の面がサファイア基板側の面に露出した燃料電池の電極を作製た。
【0068】
この電極を陰極1として用い、基板側が燃料ガス4と接し、エピタキシャル層が電解質層2と接するように取付け、燃料電池としての動作を確認した。起電力は、動作温度を300℃とした場合に0.62V、350℃とした場合に0.64V、400℃とした場合に0.66V、450℃とした場合に0.68Vあった。III族元素の違いによる差はほとんど認められなかった。
【0069】
SiCを基板として用いた場合にも、まったく同様の結果が得られた。
【0070】
(実施例8)
サファイア基板上にスパッタ法により厚さ2μmのZnO膜を形成し、その上にマグネシウムドープGaN層、AlGaN層(III族元素に占めるAl量が約10%)、InGaN層(III族元素に占めるIn量が約10%)を5μmエピタキシャル成長した。成長後に塩酸でZnO膜を溶解し、窒化物半導体薄膜を基板から剥離し、燃料電池の陰極1の構成要素として使用した。
【0071】
起電力は、動作温度を300℃とした場合に0.64V、350℃とした場合に0.66V、400℃とした場合に0.68V、450℃とした場合に0.69Vあった。III族元素の違いによる差はほとんど認められなかった。
【0072】
実施例7および本実施例に記載した手法によれば、有毒な砒素を一切使用しないで燃料電池が作製できる。
【0073】
本実施例においても、実施例4および6に示した、シリカあるいは窒化シリコンによるエピタキシャル膜の補強は有効である。
【0074】
SiCを基板として用いた場合にも、まったく同様の結果が得られた。
【0075】
(実施例9)
厚さ1mmで代表的な細孔径が2μm、5μm、10μm、20μmのアルミナを主成分とするセラミックス板11上に炭素ドープGaAs、InGaAs(III族元素に占めるIn量が約50%)12を成長して構成した電極を陰極1とした。同一成長条件でGaAsまたはInP基板上に成長させた場合の炭素不純物濃度を8×1019cm−3とし、膜厚を5μmとした。セラミックスには明確な結晶面が存在しないため、その上に成長させた半導体は多結晶あるいはアモルファス状になっている。図2に、この陰極1を用いた燃料電池の断面の模式図を示す。図において、11はセラミックス板、12はp型不純物をドープした化合物半導体、13はセラミックス板11中の細孔である。この陰極1を、p型不純物をドープした化合物半導体12が電解質層2と接するように取付けた。
【0076】
細孔径が20μmのセラミックス板11を基板とした場合には、細孔13の多くが半導体12で充填されず、燃料ガス4と電解質層2からの電解質が細孔13を通して接する現象が見られた。
【0077】
細孔径が10μm以下の場合には、細孔13が半導体12で充填され、燃料ガス4と電解質層2からの電解質が接することはなく、燃料電池の動作は安定した。細孔径の差による特性の差は少なかった。
【0078】
炭素ドープGaAsを用い、動作温度を300℃とした場合に起電力としては0.71Vが得られた。また、炭素ドープInGaAsを用い、動作温度を300℃とした場合に起電力としては0.72Vが得られた。
【0079】
本実施例の電極は強固であり、急激な温度変動にも耐えた。
【0080】
本実施例によれば、電極に使用する砒素量を少なくすることができる。また、電極の形状に制限がなくなるため、波状にして実効的な膜面積を大きくするといった工夫により高性能化が可能である。
【0081】
なお、本実施例における上記の化合物半導体に代えて、炭素をドープしたAlGaAsを用いても、同様の結果が得られる。
【0082】
(実施例10)
実施例9に記したセラミックス板11上に、GaN、AlGaN(III族元素に占めるAl量が約10%)、InGaN(III族元素に占めるIn量が約10%)を成長し、燃料電池の陰極1とした。同一成長条件でサファイア基板上に成長させた場合のマグネシウム不純物濃度を5×1018cm−3とし、膜厚を5μmとした。実施例9と同様に、この陰極1を、p型不純物をドープした化合物半導体12が電解質層2と接するように取付けた。
【0083】
細孔径が20μmのセラミックス板11を基板とした場合には、細孔13の多くが半導体12で充填されず、燃料ガス4と電解質層2からの電解質が細孔13を通して接する現象が見られた。
【0084】
細孔径が10μm以下の場合には、細孔13が半導体12で充填され、燃料ガス4と電解質層2からの電解質が接することはなく、燃料電池の動作は安定した。細孔径の差による特性の差は少なかった。
【0085】
起電力は、動作温度を300℃とした場合に0.62V、400℃とした場合に0.66Vであった。III族元素の組成の違いによる差はほとんど認められなかった。
【0086】
本実施例によれば、強固で砒素をまったく含まない電極の作製が可能である。
【0087】
(実施例11)
厚さ1mmで代表的な細孔径が2μm、5μm、10μm、20μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン板をセラミックス板11の代わりに用い、この多孔質ポリテトラフルオロエチレン板上に炭素ドープGaAs、InGaAs(III族元素に占めるIn量が約50%)を成長し、燃料電池の陰極1とした。同一成長条件でGaAsまたはInP基板上に成長させた場合の炭素不純物濃度を8×1019cm−3とし、膜厚を5μmとした。この陰極1を、p型不純物をドープした化合物半導体12が電解質層2と接するように取付けた。
【0088】
細孔径が20μmのセラミックス板11を基板とした場合には、細孔13の多くが半導体で充填されず、燃料ガス4と電解質層2からの電解質が細孔13を通して接する現象が見られた。
【0089】
細孔径が10μm以下の場合には、燃料ガス4と電解質層2からの電解質が接することはなく、燃料電池の動作は安定した。細孔径の差による特性の差は少なかった。
【0090】
炭素ドープGaAsを用い、動作温度を300℃とした場合に起電力としては0.71Vが得られた。また、炭素ドープInGaAsを用い、動作温度を300℃とした場合に起電力としては0.72Vが得られた。
【0091】
本実施例によれば電極に使用する砒素量を少なくすることができる。また、電極の形状に制限がなくなるため、波状にして実効的な膜面積を大きくするといった工夫により高性能化が可能である。
【0092】
なお、本実施例における上記の化合物半導体に代えて、炭素をドープしたAlGaAsもしくはマグネシウムをドープしたGaN、AlGaNまたはInGaNを用いても、同様の結果が得られる。
【0093】
さらに、半導体成長時の温度に耐えるものであり、かつ燃料電池の動作温度で長期間安定である耐熱性有機高分子材料であれば、基板となる材料はポリテトラフルオロエチレンに限らない。
【0094】
(実施例12)
実施例9〜11に示した電極基板すなわちセラミックス板11(あるいはポリテトラフルオロエチレン板)の細孔13に電解質を充填させ、セラミックス板11(あるいはポリテトラフルオロエチレン板)が電解質層2と接するように取付けた。すなわち、この場合に、セラミックス板11の面の向きは図2に示したものと反対に(右向きの面が左向きに、左向きの面が右向きに)なっている。ポリテトラフルオロエチレン板の場合も同様である。電解質の充填にあたっては、電極(陰極1)を真空容器に入れて細孔中のガス成分を除き、そこにリン酸を注入する手法をとった。
【0095】
燃料ガス4と半導体とが接する面積が大きくなるため、燃料電池の性能は向上し、実施例9〜11に示した起電力より、それぞれ0.02V程度大きな起電力が得られた。
【0096】
(実施例13)
実施例12に示した、電解質を含浸させた(すなわち、電解質を細孔13に充填した)電極(陰極1)を、そのセラミックス板11あるいはポリテトラフルオロエチレン板が陽極3と直接接するように取付けた構造をもつ燃料電池を作製した。断面の模式図を図3に示す。実施例12と同様に、細孔13には電解質が充填され、電解質を充填した細孔14となっている。セラミックスあるいはポリテトラフルオロエチレンは電子を通さないため、電気的な絶縁は保たれた。
【0097】
本実施例において、実施例12に示したものと等しい起電力が得られた。
【0098】
本実施例においては、セラミックス板11の細孔13あるいはポリテトラフルオロエチレン板の細孔に充填された電解質が陰極1と陽極3との間を連結する電解質としての役割を果たしているので、別個に電解質層を設ける必要はない。従来手法における電解質層の厚みの分だけ燃料電池の単一セルを薄くすることができ、小型化が可能である。
【0099】
(実施例14)
実施例9〜13において陰極1としたものと同じ構造の電極を、実施例1〜13において用いた多孔質グラファイトを構成要素とする陽極に代えて、陽極3として用いた燃料電池を作製した。本実施例では、陽極3において電解質からp型不純物をドープした半導体に陽子が渡される。p型不純物をドープした半導体が空気5と接する面において、陽子と、陰極1から負荷9を介して供給される電子と、空気5中の酸素とが反応して水となる。
【0100】
多孔質グラファイトを構成要素とする陽極を用いる場合と比べ、空気とp型不純物をドープした半導体が接する面積が減少するため、起電力が、実施例1〜13に示した起電力より、それぞれ0.05V程度低下した。
【0101】
本実施例によれば電解質が空気と触れることがなくなるため、空気中に含まれるガスにより電解質が劣化することを防ぐことができる。
【0102】
(実施例15)
実施例1〜14における燃料ガス4は全て水素ガスあるが、この水素ガスをメタンと水蒸気の混合ガスに換えて、燃料電池を動作させた。メタンは水蒸気と反応して水素ガスと二酸化炭素に変化する。この反応の中間体である水素ラジカルを、p型不純物をドープした半導体が速やかに吸収するため、反応は促進される。
【0103】
起電力を測定した結果、実施例1〜14に示した数値とほぼ等しい電圧が得られた。
【0104】
本実施例によれば、メタンを改質して水素ガスとする改質器が不要となり、燃料改質に必要な機構は水蒸気の発生と流量調整のみとなる。このため、メタンガスを主成分とする天然ガスを燃料とする燃料電池システムの簡素化および低価格化が可能となる。
【0105】
メタンに代え、エタンまたはプロパンを用いても、同様の起電力が得られた。同一の燃料電池システムで、プロパンを主成分とするLPGを燃料とすることも可能である。
【0106】
(実施例16)
実施例1〜14における燃料ガス4は全て水素ガスあるが、この水素ガスをメタノール蒸気と水蒸気の混合ガスに換えて、燃料電池を動作させた。メタノールは分解して水素ガスと一酸化炭素となる。また一酸化炭素は水蒸気と反応して、水素ガスと二酸化炭素となる。これら反応の中間体である水素ラジカルを、p型不純物をドープした半導体が速やかに吸収するため、反応は促進される。
【0107】
起電力を測定した結果、実施例1〜14に示した数値とほぼ等しい電圧が得られた。
【0108】
本実施例によれば、メタノールを改質して水素ガスとする改質器が不要となり、メタノールを燃料とする燃料電池システムの簡素化および低価格化が可能となる。
【0109】
以上説明したように、本発明によれば、p型不純物をドープした化合物半導体を構成要素とする電極を用いることにより、高価な白金触媒を用いない燃料電池を実現することができる。本発明により、燃料電池セルの小型化および水秦ガス以外の燃料を用いる場合の燃料改質機構の簡略化が併せて実現する。
【0110】
【発明の効果】
本発明の実施によって、白金を含まない電極を用いて構成した安価で小型化も可能な燃料電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池セルの概略図である。
【図2】本発明に係る、多孔質セラミックス板上にp型不純物をドープした化合物半導体を成長させたものを陰極に用いた燃料電池セルの断面の模式図である。
【図3】本発明に係る、多孔質セラミックス板上にp型不純物をドープした化合物半導体を成長させ、セラミックスの細孔に電解質を充填し、セラミックス板が直接陽極に接するように配置した燃料電池セルの断面の模式図である。
【符号の説明】
1…陰極、2…電解質層、3…陽極、4…燃料ガス、5…空気、6…燃料ガス供給口、7…空気供給口、8…排気ガス排出口、9…電力負荷、10…電圧計、11…セラミックス板、12…p型不純物をドープした化合物半導体、13…細孔、14…電解質を充填した細孔。
Claims (14)
- 燃料ガスに接する陰極と、酸素ガスを含むガスに接する陽極と、前記陰極と前記陽極との間を連結する電解質とを有する燃料電池において、前記陰極がp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体を構成要素とすることを特徴とする燃料電池。
- 上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体がGaAs基板上に成長した、p型不純物である炭素をドープしたGaAsまたはAlGaAsもしくはInP基板上に成長した、p型不純物である炭素をドープしたInGaAsであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体がサファイア基板上あるいはSiC基板上に成長した、p型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN、AlGaNまたはInGaNであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体がGaAs基板上に成長した後に該基板から剥離した、p型不純物である炭素をドープしたGaAs層またはAlGaAs層、InP基板上に成長した後に該基板から剥離した、p型不純物である炭素をドープしたInGaAs層もしくはサファイア基板上あるいはSiC基板上に成長した後に該基板から剥離した、p型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN層、AlGaN層またはInGaN層であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体が多孔質のセラミックス上に成長させたp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体が多孔質の耐熱性有機高分子材料上に成長させたp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 上記多孔質の耐熱性有機高分子材料が多孔質のポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池。
- 上記p型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体が、p型不純物である炭素をドープしたGaAs、AlGaAsまたはInGaAsもしくは、p型不純物であるマグネシウムをドープしたGaN、AlGaNまたはInGaNであることを特徴とする請求項5、6または7に記載の燃料電池。
- 上記多孔質のセラミックス、多孔質の耐熱性有機高分子材料または多孔質のポリテトラフルオロエチレンの細孔に電解質が充填されていることを特徴とする請求項5、6、7または8に記載の燃料電池。
- 上記細孔に電解質が充填された多孔質のセラミックス、多孔質の耐熱性有機高分子材料または多孔質のポリテトラフルオロエチレンが上記陽極と直接接し、上記細孔に充填された電解質が上記陰極と上記陽極との間を連結していることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池。
- 上記陽極がp型不純物をドープしたIII−V族化合物半導体を構成要素とすることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の燃料電池。
- 上記燃料ガスが水素ガスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池。
- 上記燃料ガスが、少なくともメタン、エタンまたはプロパンと水蒸気とを含む混合ガスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池。
- 上記燃料ガスがメタノール蒸気と水蒸気との混合ガスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111389A JP4426205B2 (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111389A JP4426205B2 (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 燃料電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004319250A true JP2004319250A (ja) | 2004-11-11 |
JP4426205B2 JP4426205B2 (ja) | 2010-03-03 |
Family
ID=33471956
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003111389A Expired - Fee Related JP4426205B2 (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4426205B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007037392A1 (ja) | 2005-09-29 | 2007-04-05 | Micro Silitron Inc. | 燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システム |
US7749655B2 (en) * | 2004-06-21 | 2010-07-06 | Korea Electro Technology Research Institute | Anode active material for lithium secondary battery and manufacturing method thereof |
JP2013045696A (ja) * | 2011-08-25 | 2013-03-04 | Sharp Corp | アニオン交換膜型燃料電池システム |
CN105514458A (zh) * | 2016-01-27 | 2016-04-20 | 广州道动新能源有限公司 | 一种燃料生伏特电池 |
ITUA20161691A1 (it) * | 2016-03-15 | 2017-09-15 | Univ Degli Studi Di Milano Bicocca | Metodo per la produzione di elettrodi per dispositivi elettrochimici |
-
2003
- 2003-04-16 JP JP2003111389A patent/JP4426205B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7749655B2 (en) * | 2004-06-21 | 2010-07-06 | Korea Electro Technology Research Institute | Anode active material for lithium secondary battery and manufacturing method thereof |
WO2007037392A1 (ja) | 2005-09-29 | 2007-04-05 | Micro Silitron Inc. | 燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システム |
US8486551B2 (en) | 2005-09-29 | 2013-07-16 | Micro Silitron Inc. | Fuel cell unit, fuel cell unit array, fuel cell module and fuel cell system |
JP2013045696A (ja) * | 2011-08-25 | 2013-03-04 | Sharp Corp | アニオン交換膜型燃料電池システム |
CN105514458A (zh) * | 2016-01-27 | 2016-04-20 | 广州道动新能源有限公司 | 一种燃料生伏特电池 |
ITUA20161691A1 (it) * | 2016-03-15 | 2017-09-15 | Univ Degli Studi Di Milano Bicocca | Metodo per la produzione di elettrodi per dispositivi elettrochimici |
WO2017157960A1 (en) | 2016-03-15 | 2017-09-21 | Universita' Degli Studi Di Milano Bicocca | Method for the fabrication of indium-gallium nitride electrodes for electrochemical devices |
CN109075312A (zh) * | 2016-03-15 | 2018-12-21 | 米兰比可卡大学 | 用于电化学装置的铟镓氮化物电极的制造方法 |
US10644303B2 (en) | 2016-03-15 | 2020-05-05 | Universitá Degli Studi Di Milano Bicocca | Method for the fabrication of indium-gallium nitride electrodes for electrochemical devices |
CN109075312B (zh) * | 2016-03-15 | 2022-08-05 | 米兰比可卡大学 | 用于电化学装置的铟镓氮化物电极的制造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4426205B2 (ja) | 2010-03-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7585584B2 (en) | Carbon nanotubes for fuel cells, method for manufacturing the same, and fuel cell using the same | |
US8007957B2 (en) | Electrode for fuel cell, fuel cell system comprising the same, and method for preparing the same | |
KR101102905B1 (ko) | 신뢰할 수 있는 연료 전지 전극 설계 | |
JP5242009B2 (ja) | カーボンナノウォールを用いた光起電力素子 | |
TWI353680B (en) | Fuel cell conditioning layer | |
US20070099066A1 (en) | Catalyst layer for polymer electrolyte fuel cell, process for producing the catalyst layer, and polymer electrolyte fuel cell | |
JP2004152759A (ja) | プラズマを使用する燃料電池 | |
WO2007037392A1 (ja) | 燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システム | |
JP4426205B2 (ja) | 燃料電池 | |
US20120015279A1 (en) | Dense thin filim, fuel cell using the same and fabrication methods thereof | |
US8003274B2 (en) | Direct liquid fuel cell | |
JP2014227563A (ja) | 二酸化炭素還元用光化学電極、二酸化炭素還元装置、及び二酸化炭素の還元方法 | |
KR100459060B1 (ko) | 탄소나노튜브를 이용한 연료전지의 전극용 백금촉매제조방법 | |
JP2004199943A (ja) | 固体高分子電解質組成物、固体高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子電解質型燃料電池 | |
EP1855337A1 (en) | Fuel cell structure and method for manufacturing same | |
JP2007123196A (ja) | 固体高分子型燃料電池の電極触媒層、その製造方法および燃料電池 | |
US8110248B2 (en) | Fuel cell structure and method of manufacturing same | |
JP4138553B2 (ja) | 高純度水素ガス発生装置 | |
JP2006196413A (ja) | 燃料電池用膜電極接合体、その製造方法および燃料電池 | |
JP2004192879A (ja) | 燃料電池 | |
JP7343810B2 (ja) | 窒化物半導体光電極の製造方法 | |
WO2005050763A1 (en) | Microfluidic fuel cell system and method for portable energy applications | |
KR102336099B1 (ko) | 이오노머 필름 및 이의 제조 방법 | |
JP2005166486A (ja) | 直接型燃料電池システム | |
KR101125651B1 (ko) | 연료전지용 고분자 막/전극 접합체 및 이를 포함하는연료전지 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050715 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080812 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081007 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081204 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20090515 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20090515 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091208 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20091210 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131218 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |