JP2004318957A - 記録及び/又は再生装置、光学ヘッド、トラック誤差信号検出方法 - Google Patents

記録及び/又は再生装置、光学ヘッド、トラック誤差信号検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プッシュプル法によるトラック誤差信号が良好に得られない光記録媒体から良好なトラック誤差信号を検出する。
【解決手段】回折光学素子17によって、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する方向に、それぞれ±n・Tp/2だけシフトした位置に一対の副スポットが形成され、且つ互いの極性が逆向きとなる非点収差が付与された一対の副光束を、記録トラックと直交する方向に対応する分割線で2分割された受光面を有する一対の副受光部19,20によって受光し、これら一対の副受光部19,20が受光して出力する光検出信号に基づいてトラック誤差信号を生成する。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に対して信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置、並びにそのような記録及び/又は再生装置が備える光学ヘッド、並びに、そのような光学ヘッドを用いたトラック誤差信号検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体に対して、音声信号や画像信号、プログラム等の情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置は、光学ヘッドを備え、この光学ヘッドは、光源から出射された光束を対物レンズにより光記録媒体の記録トラック上に集光させながら照射することで、光記録媒体に対する情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行っている。
【0003】
また、記録及び/又は再生装置では、光学ヘッドが光記録媒体の記録トラック上を走査する際に、対物レンズにより集光された光束のスポットを記録トラック上に位置させるための光学ヘッドの駆動制御、いわゆるトラッキングサーボを行っている。具体的に、このトラッキングサーボでは、対物レンズが記録トラックと直交する方向に変位し、これによって変化する記録トラックからの反射光束を光検出素子により受光し、この光検出素子が受光して出力する光検出信号に基づいて、対物レンズにより集光された光束のスポットが記録トラック上にあるかどうかを推定するトラック誤差信号(トラッキングエラー信号ともいう。)を検出している。そして、記録及び/又は再生装置では、このトラック誤差信号に基づいて、対物レンズにより集光された光束のスポットを記録トラック上に位置させる光学ヘッドのトラッキング制御を行っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−56568号公報(第3−4頁、第22図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した記録及び/又は再生装置では、一般的に書き込みが可能な光記録媒体に対して、(差動)プッシュプル法によって得られるプッシュプル信号をトラック誤差信号として用いている。
【0006】
すなわち、この書き込み可能な光記録媒体には、通常、グルーブと呼ばれる案内溝がディスク基板に形成されており、このグルーブで反射回折された反射光束から得られるプッシュプル信号に基づいて、光学ヘッドのトラッキングサーボが行われる。なお、グルーブとグルーブの間の部分は、一般にランドと呼ばれている。
【0007】
プッシュプル信号は、グルーブで反射回折された反射光束を、記録トラックと平行な方向に対応する分割線で2分割された受光面を有する光検出素子で受光し、この分割された2つの受光面からの出力の差分をとることで得ている。また、プッシュプル信号は、光源から出射された光束の波長をλとしたときに、溝の位相深さがλ/8程度で最大となる一方、溝の位相深さがλ/4となるときには、このようなプッシュプル信号を得ることはできない。
【0008】
このため、CDやMD等の光記録媒体では、溝の位相深さがλ/4程度で最大となる3ビーム法によって得られるラジアルコントラスト信号をトラック誤差信号として一般的に用いている。なお、ラジアルコントラスト(Radial Contrast)とは、標準状態において記録トラックを横切ったときの反射光束の総和信号レベルの変化幅のことであり、ランド上における光量をllとし、グルーブ上における光量をlgとしたときに、
Radial Contrast=2|(ll−lg)|/(ll+lg)
として表される。
【0009】
一方、DVD−ROM等の再生専用の光記録媒体では、差動位相差(DPD:Differential Phase Detection)法やヘテロダイン法によって得られる信号をトラック誤差信号として用いている。この場合、ディスクに記録されたピットの位相深さがλ/4程度で最良の信号を得ることができる。
【0010】
ところで、DVD+R/RWや、DVD−R/RW、DVD−RAM等の書き込み可能な光記録媒体では、記録トラックの溝深さがλ/6〜λ/12程度に設定されているため、トラック誤差信号としては、上述したプッシュプル信号が一般的に用いられている。
【0011】
これに対して、上述したDVD−ROM等の再生専用の光記録媒体では、ピットの位相深さがλ/4付近に設定されているために、上述したDPD法やヘテロダイン法によるトラック誤差信号の検出が必須となっている。
【0012】
このため、記録及び/又は再生装置では、これら位相深さの違いによって、再生専用の光記録媒体に対しては、上述したプッシュプル信号を用いた光学ヘッドのトラッキングサーボができないばかりでなく、ROM型のディスクプレーヤにおいて、上述した書き込み可能な光記録媒体を再生するためには、記録後の記録マークからDPD法によるトラック誤差信号が生成できるように、記録膜に特殊な条件を必要とするといった問題があった。
【0013】
また、上述したDVD−RAM等の光記録媒体では、高記録密度化を図るために、従来のランド若しくはグループの一方のみに記録トラックを形成する方式ではなく、ランド及びグループの双方に記録トラックを形成するランドグルーブ記録方式が採用されている。
【0014】
しかしながら、このようなランドグルーブ記録方式を採用した光記録媒体では、記録再生特性を最適にするために、通常、ランドとグルーブとが互いに略々同じ幅に設定されている。このため、記録及び/又は再生装置では、光束がランド上に照射されるときとグルーブ上に照射されるときとで光量がほぼ等しくなってしまい、光束がランド上にあるかグルーブ上にあるかを判別するためのトラック判別信号を生成することが困難となるといった問題があった(例えば、特許文献1を参照。)。
【0015】
この場合、特に、外部記憶装置や業務用映像記録、編集装置などの用途において頻繁に行われる高速シーク動作時に、所定の記録トラックに一度でアクセスすることが困難となり、アクセス時間が長くなってしまう。
【0016】
また、上述したランドグルーブ方式ではなく、グルーブ方式を採用したDVD+R/RWやDVD−R/RW、また、発光波長が405nm付近の短波長光源と開口数(NA)が0.85程度の高NA対物レンズを用いることで、更なる高記録密度化を図った新たな光ディスクフォーマットであるBlu−ray Disc等の書き込み可能な光記録媒体でも、高速アクセスに対する要求から、光束がランド上にあるかグルーブ上にあるかのトラック判別が求められてきている。
【0017】
しかしながら、近年の狭トラックピッチ化によって、ランドとグルーブとの幅に差がつけにくくなると、スポット内で強度変調される範囲が狭くなることから、光束がランド上に照射されるときとグルーブ上に照射されるときとで光量がほぼ等しくなってしまう。
【0018】
このため、グルーブ方式を採用した光記録媒体でも、上述したトラック判別信号を生成することが困難となるといった問題が発生してしまう。さらに、浅グルーブ化によって強度変調がされにくくなる場合も同様に、トラック判別信号を生成することが困難となるといった問題が発生してしまう。
【0019】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、プッシュプル法によるトラック誤差信号が良好に得られない光記録媒体に対しても、差動位相差法以外の方法による良好なトラック誤差信号を検出すると共に、トラック判別信号の検出を含めた位相深さの異なる光記録媒体に対する総合的な記録及び/又は再生特性の向上を可能とした記録及び/又は再生装置、光学ヘッド並びにトラック誤差信号検出方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る記録及び/又は再生装置は、光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、光出射手段から出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、光出射手段から出射された光束の集光手段に至る光路中に配置され、光束を、光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成し且つ記録トラックと直交する方向における主スポットと一対の副スポットとのスポット中心間の距離が、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となる一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束に対して互いの極性が逆向きとなる非点収差を付与する回折光学素子と、光記録媒体で反射された反射光束のうち、主光束を受光する主受光部と、一対の副光束を受光し且つその受光面が記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも2分割された一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッドと、一対の副受光部が一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、トラック誤差信号を生成する信号処理手段と、信号処理手段により生成されたトラック誤差信号に基づいて、主スポットを記録トラック上に位置させるための光学ヘッドの駆動制御を行う駆動制御手段とを備えることを特徴としている。
【0021】
以上のように、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、回折光学素子によって、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する方向に、それぞれ±n・Tp/2だけシフトした位置に一対の副スポットが形成され、且つ互いの極性が逆向きとなる非点収差が付与された一対の副光束を、記録トラックと直交する方向に対応する分割線で2分割された受光面を有する一対の副受光部によって受光し、これら一対の副受光部が受光して出力する光検出信号に基づいて、信号処理手段がトラック誤差信号を生成することから、このトラック誤差信号に基づいて、主スポットを記録トラック上に位置させるための光学ヘッドの駆動制御を駆動制御手段によって適切に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る光学ヘッドは、光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、光出射手段から出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、光出射手段から出射された光束の集光手段に至る光路中に配置され、光束を、光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成し且つ記録トラックと直交する方向における主スポットと一対の副スポットとのスポット中心間の距離が、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となる一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束に対して互いの極性が逆向きとなる非点収差を付与する回折光学素子と、光記録媒体で反射された反射光束のうち、主光束を受光する主受光部と、一対の副光束を受光し且つその受光面が記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも2分割された一対の副受光部とを有する光検出手段とを備え、一対の副受光部が一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、主スポットを記録トラック上に位置させるためのトラック誤差信号が生成されることを特徴としている。
【0023】
以上のように、本発明に係る光学ヘッドでは、回折光学素子によって、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する方向に、それぞれ±n・Tp/2だけシフトした位置に一対の副スポットが形成され、且つ互いの極性が逆向きとなる非点収差が付与された一対の副光束を、記録トラックと直交する方向に対応する分割線で2分割された受光面を有する一対の副受光部によって受光し、これら一対の副受光部が受光して出力する光検出信号に基づいて、トラック誤差信号が生成されることから、このトラック誤差信号に基づいて、主スポットを記録トラック上に位置させるための当該光学ヘッドの駆動制御を適切に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係るトラック誤差信号検出方法は、光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、光出射手段から出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、光出射手段から出射された光束の集光手段に至る光路中に配置され、光束を、光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成し且つ記録トラックと直交する方向における主スポットと一対の副スポットとのスポット中心間の距離が、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となる一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束に対して互いの極性が逆向きとなる非点収差を付与する回折光学素子と、光記録媒体で反射された反射光束のうち、主光束を受光する主受光部と、一対の副光束を受光し且つその受光面が記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも2分割された一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッドが光記録媒体の記録トラック上を走査する際に、一対の副受光部が一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、主スポットを記録トラック上に位置させるためのトラック誤差信号を検出することを特徴としている。
【0025】
以上のように、本発明に係るトラック誤差信号検出方法では、回折光学素子によって、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する方向に、それぞれ±n・Tp/2だけシフトした位置に一対の副スポットが形成され、且つ互いの極性が逆向きとなる非点収差が付与された一対の副光束を、記録トラックと直交する方向に対応する分割線で2分割された受光面を有する一対の副受光部によって受光し、これら一対の副受光部が受光して出力する光検出信号に基づいて、トラック誤差信号を検出することから、このトラック誤差信号に基づいて、主スポットを記録トラック上に位置させるための光学ヘッドの駆動制御を適切に行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した記録及び/又は再生装置、光学ヘッド並びにトラック誤差検出方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
本発明を適用した記録及び/又は再生装置は、例えば種類の異なる複数の光ディスクの中から選定された光ディスクに対して、情報信号の記録及び再生を行う光記録媒体記録再生装置である。
【0028】
具体的に、この光記録媒体記録再生装置は、図1に示すように、光記録媒体である光ディスク101を回転駆動する回転駆動手段となるスピンドルモータ1を備えている。スピンドルモータ1は、駆動軸に図示しないディスクテーブルが取付けられ、このディスクテーブル上に光ディスク101が装着されることによって、この光ディスク101をディスクテーブルと一体に回転駆動する。スピンドルモータ1は、駆動制御手段となるサーボ制御回路5及びシステムコントローラ7によって制御され、所定の回転数で駆動される。
【0029】
光学ピックアップ装置2は、スピンドルモータ1によって回転駆動される光ディスク101に対して、情報信号の書き込み及び読み出しを行う光学ヘッドである。この光学ピックアップ装置2は、送りモータ3によって、ディスクテーブル上に装着された光ディスク101の径方向に移動操作される。これら光学ピックアップ装置2及び送りモータ3も、サーボ制御回路5によって制御されて駆動される。
【0030】
光学ピックアップ装置2は、光ディスク101の信号記録面に光束を照射し、この光束の反射光束を検出することによって、光ディスク101の記録トラック上を走査しながら情報信号を読み出す。光学ピックアップ装置2によって光ディスク101から読み出された信号は、プリアンプ4により増幅されて、信号処理手段となる信号変復調及びECCブロック6及びサーボ制御回路5に送られる。
【0031】
信号変復調及びECCブロック6は、再生する光記録媒体の種類に応じて、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。また、信号変復調及びECCブロック6は、送られた信号に基づき、フォーカスエラー信号、トラック誤差信号、トラック判別信号、RF信号等を生成する。サーボ制御回路5は、信号変復調及びECCブロック6にて生成されるフォーカスエラー信号、トラック誤差信号、トラック判別信号に基づいて、光学ピックアップ装置2を制御する。
【0032】
信号変復調及びECCブロック6において復調された信号は、この信号が例えばコンピュータのデータストレージ用のデータであれば、インターフェイス8aを介して、外部コンピュータ9a等に送出される。この場合、外部コンピュータ9a等は、光ディスク101に記録された信号を、再生信号として受け取ることができる。
【0033】
また、光ディスク101に記録された情報信号が、いわゆる「オーディオ・ビジュアル」(音響再生及び画像再生)用の信号である場合には、信号変復調及びECCブロック6において復調された信号は、D/A,A/D変換器8bにおいてデジタル/アナログ変換されて、オーディオ・ビジュアル処理部9bに送出される。このオーディオ・ビジュアル処理部9bにおいてオーディオ・ビデオ処理を行われた信号は、オーディオ・ビジュアル信号入出力部9cを介して、図示しない外部の映像・映写機器に伝送される。
【0034】
また、光学ピックアップ装置2は、信号変復調及びECCブロック6から送られる信号に基づいて、回転操作される光ディスク101の所定の記録トラックに対して光束の照射を行う。このような光束の照射によって光ディスク101に対する情報信号の書き込みが行われる。
【0035】
光学ピックアップ装置2は、図2に示すように、各光学部品が図示しない光学ブロック部内に個別にマウントされて支持された構造を有している。
【0036】
具体的に、この光学ピックアップ装置2は、光出射手段となる光源部10を備え、この光源部10は、光束を出射する少なくとも1つの光源を有している。本例では、図3に示すように、1つの光源10aを有しており、この光源10aは、保持台部10dにより支持されて、パッケージ10e内に収納されている。
【0037】
そして、この光源10aから出射された光束は、回折光学素子17によって回折され、0次光束及び±1次回折光束を含む光束に分離される。
【0038】
このうち、0次光束は、光源10aから出射されてそのまま進行し、光ディスク101に対して情報信号の記録再生を行うための主スポットを記録トラック上に形成する主光束となる。+1次回折光束は、光源10aからずれた第1の仮想光源10bから出射された光束に等しく、第1の副スポットを形成する第1の副光束となる。−1次回折光束は、光源10aからずれた第2の仮想光源10cから出射された光束に等しく、第2の副スポットを形成する第2の副光束となる。また、一対の副光束が形成する各副スポットは、光ディスク101の信号記録面上において、主光束が形成する主スポットを挟んで互いに離間した位置に形成される。
【0039】
回折光学素子17は、図4に示すように、非点収差を生じさせるホログラムパターン(ホログラム光学素子)として構成されており、一対の副光束に対して、互いの極性が逆向き(逆符号)で、且つ、光ディスク101の信号記録面上に形成される記録トラックの接線方向に対して、略々45°の角度をなす非点収差を付与する。
【0040】
また、この回折光学素子17は、光軸回りに回転操作されることによって、主スポットの合焦位置を変動させることなく、各副スポットと光ディスク101の記録トラック上における主スポットとの位置関係を変化させることが可能となっている。そして、記録トラックと直交する方向における主スポットと一対の副スポットとのスポット中心間の距離は、トラックピッチをTpとし、nを0以上の整数としたときに、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となるように設定されている。すなわち、一対の副スポットは、光ディスク101の記録トラック上に形成された主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する方向に、それぞれ±n・Tp/2だけシフトした位置に形成されている。
【0041】
なお、n=0のとき、主スポットと副スポットとが全て同一記録トラック上に形成されるため、この場合には、トラックピッチの異なる複数の光ディスクに対しても、常に副スポットの記録トラックに対する関係を同じ状態にすることができる。
【0042】
なお、ここで言う「トラックピッチ(Tp)」とは、「ランドグルーブ方式」を採用し光記録媒体上のランド及びグループの双方に情報信号を記録する場合であっても、「ランドから次のランドまでの距離」(または、グループから次のグループまでの距離」)のことである。
【0043】
この光学ピックアップ装置2を用いて光記録媒体からの情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行う場合には、この光源部10から射出された各光束は、図2に示すように、偏光ビームスプリッタプリズム11に入射され、この偏光ビームスプリッタプリズム11が有する誘電体多層膜に対してS偏光状態であることにより該誘電体多層膜によって略々全光量が反射されて、1/4波長板12に入射する。1/4波長板12に入射された光束は、この1/4波長板12を透過することにより円偏光状態となされ、コリメータレンズ13を透過して平行光束となされて、集光手段となる対物レンズ14に入射する。
【0044】
偏光ビームスプリッタプリズム11は、−般に、互いに貼り合わせられて立方体を形成する一対の三角プリズムと、これらの三角プリズムの間に蒸着やスパッタリングによって形成された誘電体多層膜とによって構成されている。この偏光ビームスプリッタプリズム11に対する入射光束は、誘電体多層膜に対するP偏光成分が該誘電体多層膜を透過し、該誘電体多層膜に対するS偏光成分が該誘電体多層膜によって反射される。
【0045】
対物レンズ14は、図示しない二軸アクチュエータによって、図2中矢印Fで示すフオーカス方向及び図2中矢印Tで示すトラッキング方向に移動操作可能に支持されており、入射された各光束を光ディスク101の信号記録面上に集光させる。このとき、3つの仮想的な光源10a,10b,10cから射出された光束が信号記録面上に集光される。
【0046】
光ディスク101の信号記録面上に照射されて、この信号記録面で反射された3本の反射光束は、対物レンズ14、コリメータレンズ13及び1/4波長板12を経て、直線偏光状態となって偏光ビームスプリッタプリズム11に至る。この偏光ビームスプリッタプリズム11において、反射光束は、誘電体多層膜に対してP偏光状態となっていることにより略々全光量が該誘電体多層膜を透過し、光源部10に戻る光路より分離されて、光分岐素子23及びマルチレンズ15を経て光検出手段となる光検出素子16に入射する。マルチレンズ15は、凹面とシリンドリカル面とが組み合わされたレンズであって、反射光束の集光点までの距離を延長するとともに、該反射光束に非点収差を生じさせる。
【0047】
光検出素子16は、図5に示すように、主スポットからの主反射光束を受光する主受光部18と、第1の副スポットからの第1の副反射光束を受光する第1の副受光部19と、第2の副スポットからの第2の副反射光束を受光する第2の副受光部20とを有して構成されている。
【0048】
主受光部18は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面a,b,c,dを有し、これら4つの受光面a,b,c,dは、中心部分を介して放射状に配列され、このうち、受光面a,c及び受光面b,dが、互いに主受光部18の中心部分を介して対角で対向配置されている。そして、これら4つの受光面a,b,c,dからは、それぞれ独立的した光検出信号a,b,c,dが出力される。
【0049】
第1の副受光部19は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面e,f,g,hを有し、これら4つの受光面e,f,g,hは、中心部分を介して放射状に配列され、このうち、受光面e,g及び受光面f,hが、互いに第1の副受光部19の中心部分を介して対角で対向配置されている。そして、これら4つの受光面e,f,g,hからは、それぞれ独立的した光検出信号e,f,g,hが出力される。
【0050】
第2の副受光部20は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面i,j,k,lを有し、これら4つの受光面i,j,k,lは、中心部分を介して放射状に配列され、このうち、受光面i,k及び受光面j,lが、互いに第2の副受光部20の中心部分を介して対角で対向配置されている。そして、これら4つの受光面i,j,k,lからは、それぞれ独立的した光検出信号i,j,k,lが出力される。
【0051】
そして、この光検出素子16から出力される光検出信号は、例えば該光検出素子16の半導体基板上に形成された図示しないアンプにより電流−電圧変換された後、演算回路、もしくは、各受光部18,19,20に接続された光検出素子外部の演算回路に送られる。この演算回路においては、以下のようにして、各信号等が演算される。
【0052】
RF(主スポットについてのRF信号)
=(a+b+c+d)の変調成分
PI(プルイン信号:フォーカス引き込み信号:主スポットについての総和信号)
=a+b+c+d
FCS(フォーカスエラー信号(主スポットについての非点収差信号))
=(a+c)−(b+d)
MPP(主スポットについてのプッシュプル信号)
={(a+d)−(b+c)}
SPP1(第1の副スポットについてのプッシュプル信号)
={(e+h)−(f+g)}
SPP2(第2の副スポットについてのプッシュプル信号)
={(i+l)−(j+k)}
SRC1(第1の副スポットについてのラジアルコントラスト信号)
={(e+f)−(h+g)}
SRC2(第2の副スポットについてのラジアルコントラスト信号)
={(i+j)−(l+k)}
SAS1(第1の副スポットについてのたすきがけ演算信号)
={(e+g)−(f+h)}
SAS2(第2の副スポットについてのたすきがけ演算信号)
={(i+k)−(j+l)}
SPI1(第1の副スポットについての総和信号)
=e+f+g+h
SPI2(第2の副スポットについての総和信号)
=i+j+k+l
ところで、この光ピックアップ装置では、図6に示すように、上述した回折光学素子17によって分離された主光束及び一対の副光束のうち、主光束が、光ディスクの記録トラック上に主スポットを形成し、第1の副光束が、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する一の方向に、+n・Tp/2だけシフトした位置に第1の副スポットを形成し、第2の副光束が、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する他の方向に、−n・Tp/2だけシフトした位置に第2の副スポットを形成する。また、これら一対の副スポットに対しては、回折光学素子17によって互いの極性が逆向き且つ記録トラックに対して略45゜の方向となる非点収差が付与されている。
【0053】
この場合、主スポットは、ランド上にあるかグルーブ上にあるかによらず、主受光部18の受光面における光強度分布が等しくなるのに対して、一対の副スポットは、ランド上にあるかグループ上にあるかによって、互いの光強度分布に大きな差異が生じ、しかも、非点収差の方向(符号)によって、ランドとグループとの関係が逆転する。これは、一対の副光束に互いの極性が逆向きとなる非点収差が付与されることによって、第1の副スポットが、第1の副受光部19の受光面e,fに対応した部分と、受光面g,hに対応した部分とが記録トラックを横断する方向と逆方向にシフトしたことに類似した作用を受けると共に、第2の副スポットが、第1の副受光部20の受光面i,jに対応した部分と、受光面k,lに対応した部分とが記録トラックを横断する方向と逆方向にシフトしたことに類似した作用を受けるためである。
【0054】
ここで、上述したDVD−ROM等の再生専用の光記録媒体のように、ピットの位相深さがλ/4がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を図7に模式的に示す。
【0055】
図7に示すように、主スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すと共に、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示す。
【0056】
一方、一対の副スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すのに対して、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで光強度が反転する非対称な光強度分布の変化を示す。
【0057】
この場合、上述した主スポット、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号MPP、SPP1、SPP2は、記録トラックによって変調されないことから、これらの信号からトラッキング誤差に関する情報を得ることはできない。
【0058】
そこで、本発明を適用した光記録媒体記録再生装置では、上述した溝の位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、第1の副受光部19及び第2の副受光部が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック誤差信号を生成する。
【0059】
RCTRK(ラジアルコントラストによるトラック誤差信号)
=SRC1−SRC2
また、上述した位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、主受光部18が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック判別信号を生成する。
【0060】
RCCTS(ラジアルコントラストによるトラック判別信号)
=PIの交流(AC)成分
そして、このようにして得られたトラック誤差信号RCTRKの振幅と、一対の副光束に生じさせる非点収差量との関係を示すグラフを図8に示す。
【0061】
なお、図8に示すグラフでは、フリンジ−ゼルニケの収差多項式におけるZ6を基準にした計算を行った。
【0062】
この「フリンジ−ゼルニケの収差多項式」に関して、簡単に説明しておくと、これは、半径とアジマスの円多項式で定義される単位円の範囲内で直交しているため、波面を表すのに有効であり、干渉計においてよく使われているものである。この多項式を用いて波面を表すと、半径1の単位円に対して、Rを半径方向の距離、Aを回転角度として、
Figure 2004318957
のようになる。
【0063】
また、この計算では、波長λを405nm、光記録媒体のトラックピッチTpを0.32μmとして計算を行った。また、上記(Radial Contrast)は、1.0である。
【0064】
図8に示すように、トラック誤差信号RCTRKの振幅は、Z6が0.23付近でピークを有していることがわかる。
【0065】
一方、上述したDVD−RAM等の光記録媒体においては、グルーブの位相深さがλ/6〜λ/12程度であるため、上述した位相深さがλ/4となる場合とは振る舞いが異なる。代表例として、グルーブの位相深さがλ/8となる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を図9に模式的に示す。
【0066】
図9に示すように、主スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すのに対して、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで光強度が反転する非対称な光強度分布の変化を示す。
【0067】
一方、一対の副スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで非対称な光強度分布の変化を示すと共に、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで非対称な光強度分布の変化を示す。
【0068】
この場合、上述した主スポットについてのプッシュプル信号MPPは、記録トラックにより変調されているので、この信号からトラッキング誤差に関する情報を得ることが可能である。また、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号SPP1、SPP2に関しては、付与された非点収差によってスポット内で非対称なトラック変調となるため、プッシュプル演算結果としては、記録トラックによる変調が小さくなる。
【0069】
したがって、本発明を適用した光記録媒体記録再生装置では、上述した位相深さがλ/8となる光記録媒体に対して、以下の演算、いわゆる「差動プッシュプル法」によりトラック誤差信号を生成するが、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号SPP1、SPP2のトラック変調が小さいため、主副スポット間の位置関係によるトラック誤差信号の変化を小さくすることが可能となる。
【0070】
DPPTRK(差動プッシュプル法によるトラック誤差信号)
=MPP−K・(SPP1+SPP2)(Kは比例定数。)
したがって、上述した位相深さがλ/8となる光記録媒体に対しては、このような一対の副スポットの光強度の差異から、第1の副受光部19及び第2の副受光部20が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック判別信号を生成する。
【0071】
ASCTS(たすきがけ演算によるトラック判別信号)
=SAS1−SAS2
なお、本例では、ラジアルコントラストによるトラックエラー信号及びトラック判別信号を得るための副スポットとして、回折光学素子17によって分離された2つのスポットを用いている。様々な外乱による影響を低減するためには、このように2つの副スポットを用いることが望ましいが、1つの副スポットからでも、トラック判別信号を生成することができる。
【0072】
そして、このようにして得られたラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRK、トラック判別信号ASCTS及び一対の副スポットについてのプッシュプル信号SPPと、一対の副光束に生じさせる非点収差量との関係を示すグラフを図10に示す。
【0073】
なお、図10に示すグラフでは、上述した図8に示すグラフと同様に、フリンジ−ゼルニケの収差多項式におけるZ6を基準にした計算を行った。また、この計算では、波長λを405nm、光記録媒体のトラックピッチTpを0.32μmとして計算を行った。また、上記(Radial Contrast)は、0.2である。
【0074】
なお、図10に示すグラフおいて、太線は、ラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKを示し、細線は、トラック判別信号ASCTSを示し、破線は、サイドスポットのプッシュプル信号SPPの変調が非点収差によって小さくなっていく様子を示す。
【0075】
図10に示すように、一対の副スポットについての非点収差を大きくしていくと、Z6が0.23程度のところでトラック判別信号ASCTS及びラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKの振幅が最大となると共に、プッシュプル信号SPPの振幅が低下し、Z6が0.33付近で、副スポットについてのプッシュプル信号SPPが得られなくなることがわかる。
【0076】
そして、一対の副光束に付与する非点収差量は、以下の条件にしたがって決定することができる。
【0077】
先ず、他の光学部品によって発生する非点収差との合成によって、所望の非点収差量からずれることを防止する必要がある。他の光学部品によって発生する非点収差は、経験上、Z6として0.02程度である。したがって、Z6について、下記の条件が必要となる。したがって、Z6≧0.05となることが好ましい。
【0078】
次に、十分なトラック判別信号CTSの振幅を得るためには、Z6=0.05〜0.5となることが好ましい。
【0079】
特に、トラック判別信号CTS及びラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKを最大にするためには、Z6≒0.23となることが好ましい。
【0080】
また、各副スポットについてのプッシュプル信号SPP1,SPP2の振幅を略0とすることで、副スポットの位置(トラック位相の主スポットとの位置関係、通常の差動プッシュプル法では180度である)によるトラック誤差信号TRKの振幅の変動を抑圧するためには、Z6≒0.33となることが好ましい。
【0081】
これらの条件に基づいて、光学系全体のバランスを考慮して、与える収差量を選定することができる。
【0082】
以上のように、本発明を適用した光記録媒体記録再生装置では、プッシュプル信号が得られない場合でも、トラック誤差信号を得ることが可能である。
【0083】
また、通常、ラジアルコントラストを用いてトラック誤差信号を得る場合には、一対の副スポットを±1/4トラックだけずらす3ビーム法が一般的であるが、これは一対の副スポットを±1/2トラックだけずらす差動プッシュプル法とは両立しない。
【0084】
これに対して、本発明では、一対の副スポットを±1/2トラックだけずらした状態で、ラジアルコントラストを用いた最良のトラック誤差信号RCTRKを得ることが可能なことから、上述した溝の位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、ラジアルコントラストを用いたトラック誤差信号を検出し、溝の位相深さがλ/8に近い光記録媒体に対しては、プッシュプル法によるトラック誤差信号を検出することが可能である。
【0085】
なお、トラック誤差信号は、上述したラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKや、差動プッシュプル法によるトラック誤差信号DPPTRKに限らず、主受光部18の受光面a,b,c,dを用いて、いわゆる「差動位相差(DPD:Differential Phase Detection)法」により生成することも可能である。
【0086】
また、通常、スポットがランド上にあるかグループ上であるかで、反射光束における光強度分布は異ならない。これは、上述した光記録媒体において、トラック判別信号を生成することが困難となる原因でもある。
【0087】
これに対して、本発明では、一対の副光束に互いの極性が逆向き且つ記録トラックに対して略45゜の方向となる非点収差を付与することによって、一対の副スポットの光強度分布に大きな差異が生じることから、ランドとグループとの戻りの光量がほとんど変化しない光記録媒体に対しても、簡便な構成によって良好なトラック判別信号を検出することが可能である。
【0088】
したがって、本発明を適用した記録及び/又は再生装置では、上述した位相深さの異なる色々な光記録媒体に対して、安定したトラッキングサーボを行うことが可能であり、光学ピックアップ装置の安定且つ高速なシーク動作を行うことが可能である。
【0089】
また、上述した光学ピックアップ装置2では、図11に示すように、回折光学素子17に代わって偏光ホログラム光学素子22を設けた構成としてもよい。
【0090】
この場合、偏光ホログラム光学素子22は、上述した光源部10と偏光ビームスプリッタプリズム11との間ではなく、偏光ビームスプリッタプリズム11と1/4波長板12との間の光路中に配置される。これは、偏光ホログラム光学素子22が光ディスク101に向かう往路の光束に対してホログラムとして作用するが、光ディスクから戻る復路の光束に対しては、なんらの光学的作用を生じないようにするためである。
【0091】
また、上述した光学ピックアップ装置2では、図12に示すように、光検出素子16の主受光部18及び一対の副受光部19,20において、各戻り光スポットの中央部分のみを受光する受光面m,n,oを設けた構成としてもよい。
【0092】
この場合、各受光部18,19,20において、反射光束の中央部分のみを受光する受光面m,n,oを設けることによって、フォーカスエラー信号や、トラック誤差信号、アドレス信号等の安定化を図ることが可能となる。
【0093】
なお、この場合も、上述した各演算方法により、フォーカスエラー信号、トラック誤差信号、トラック判別信号及びRF信号生成することが可能である。
【0094】
また、上述した光検出素子16では、図13に示すように、主反射光束が分岐された光束を独立して受光する他の主受光部21を設けた構成としてもよい。
【0095】
この場合、第2の主受光部21への主反射光束の分岐は、図12に示すように、偏光ビームスプリッタプリズム11及びマルチレンズ15との間に、例えば、ウォラストンプリズムの如き光分岐素子23が設けられていることによって行われる。そして、第2の主受光部21は、図13に示すように、光分岐素子23によって分岐された主スポットからの反射光束を受光する1つの受光面sを有し、この第2の主受光部21が受光して出力される光検出信号がRF信号となる。
【0096】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、簡便な光学ヘッドを用いて、位相深さが異なる色々な光記録媒体に対して、最適なトラック誤差信号やトラック判別信号等の検出を行うことが可能なことから、光学ヘッドの安定したトラッキングサーボを行うと共に、光学ヘッドの安定且つ高速なシーク動作等を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光記録媒体記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光学ピックアップ装置の構成を示す側面図である。
【図3】光源部の構成を示す側面図である。
【図4】回折光学素子の構成を示す正面図である。
【図5】光検出素子の構成を示す正面図である。
【図6】光ディスクの信号記録面上における主スポットと一対の副スポットとの位置関係を示す模式図である。
【図7】位相深さがλ/4がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を示す模式図である。
【図8】ラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKの振幅と、一対の副光束に生じさせる非点収差量との関係を示すグラフである。
【図9】位相深さがλ/8がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を示す模式図である。
【図10】ラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRK、トラック判別信号ASCTS及びサイドスポットのプッシュプル信号SPPと、一対の副光束に生じさせる非点収差量との関係を示すグラフである。
【図11】光学ピックアップ装置の変形例を示すブロック図である。
【図12】光学ピックアップ装置の別の変形例を示すブロック図である。
【図13】光学検出素子の変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 スピンドルモータ、2 光学ピックアップ装置、7 システムコントローラ、10 光源部、11、偏光ビームスプリッタプリズム、12 1/4波長板、13 コリメータレンズ、14 対物レンズ、15 マルチレンズ、16 光検出素子、17 回折光学素子、18 主受光部、19 第1の副受光部、20第2の副受光部、22 偏光ホログラム光学素子

Claims (8)

  1. 光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、上記光出射手段から出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、上記光出射手段から出射された光束の上記集光手段に至る光路中に配置され、上記光束を、上記光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、前記主スポットを挟んで一対の副スポットを形成し且つ上記記録トラックと直交する方向における前記主スポットと前記一対の副スポットとのスポット中心間の距離が、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となる一対の副光束とに分離すると共に、前記一対の副光束に対して互いの極性が逆向きとなる非点収差を付与する回折光学素子と、
    上記光記録媒体で反射された反射光束のうち、上記主光束を受光する主受光部と、上記一対の副光束を受光し且つその受光面が上記記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも2分割された一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッドと、
    上記一対の副受光部が上記一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、トラック誤差信号を生成する信号処理手段と、
    上記信号処理手段により生成された上記トラック誤差信号に基づいて、上記主スポットを上記記録トラック上に位置させるための上記光学ヘッドの駆動制御を行う駆動制御手段とを備える記録及び/又は再生装置。
  2. 上記回折光学素子は、上記一対の副光束に対して、互いの極性が逆向き且つ上記記録トラックに対して略45゜の方向となる非点収差を付与することを特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
  3. 上記主受光部は、上記記録トラックと平行な方向に対応する分割線で少なくとも2分割された受光面を有し、
    上記信号処理手段は、上記主受光部が上記主光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、プッシュプル信号を生成することを特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
  4. 上記一対の副受光部は、上記記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び上記記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも4分割された受光面を有し、
    上記信号処理手段は、上記一対の副受光部が上記一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、トラック判別信号を生成し、
    上記駆動制御手段は、上記信号処理手段により生成された上記トラック判別信号に基づいて、上記主スポットを各記録トラック間で移動させるための上記光学ヘッドの駆動制御を行うことを特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
  5. 上記主受光部及び上記一対の副受光部は、上記記録トラックと平行な方向に対応する分割線で少なくとも2分割された受光面をそれぞれ有し、上記信号処理手段は、上記主受光部及び上記一対の副受光部が上記主光束及び上記一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、他のトラック誤差信号を生成し、
    上記駆動制御手段は、上記信号処理手段により生成された上記他のトラック誤差信号に基づいて、上記主スポットを上記記録トラック上に位置させるための上記光学ヘッドの駆動制御を行うことを特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
  6. 上記光学ヘッドは、上記光出射手段より出射された光束の上記光検出手段に至る光路中に配置された偏光ビームスプリッタと、前記ビームスプリッタと上記集光手段との間の光路中に配置された1/4波長板とを備え、
    上記回折光学素子は、上記ビームスプリッタと上記1/4波長板との間の光路中に配置された偏光ホログラム光学素子であることを特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
  7. 光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、上記光出射手段から出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、上記光出射手段から出射された光束の上記集光手段に至る光路中に配置され、上記光束を、上記光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、前記主スポットを挟んで一対の副スポットを形成し且つ上記記録トラックと直交する方向における前記主スポットと前記一対の副スポットとのスポット中心間の距離が、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となる一対の副光束とに分離すると共に、前記一対の副光束に対して互いの極性が逆向きとなる非点収差を付与する回折光学素子と、
    上記光記録媒体で反射された反射光束のうち、上記主光束を受光する主受光部と、上記一対の副光束を受光し且つその受光面が上記記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも2分割された一対の副受光部とを有する光検出手段とを備え、
    上記一対の副受光部が上記一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、上記主スポットを上記記録トラック上に位置させるためのトラック誤差信号が生成されることを特徴とする光学ヘッド。
  8. 光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、上記光出射手段から出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、上記光出射手段から出射された光束の上記集光手段に至る光路中に配置され、上記光束を、上記光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、前記主スポットを挟んで一対の副スポットを形成し且つ上記記録トラックと直交する方向における前記主スポットと前記一対の副スポットとのスポット中心間の距離が、n・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となる一対の副光束とに分離すると共に、前記一対の副光束に対して互いの極性が逆向きとなる非点収差を付与する回折光学素子と、
    上記光記録媒体で反射された反射光束のうち、上記主光束を受光する主受光部と、上記一対の副光束を受光し且つその受光面が上記記録トラックと直交する方向に対応する分割線で少なくとも2分割された一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッドが上記光記録媒体の記録トラック上を走査する際に、上記一対の副受光部が上記一対の副光束を受光して出力する光検出信号に基づいて、上記主スポットを上記記録トラック上に位置させるためのトラック誤差信号を検出することを特徴とするトラック誤差信号検出方法。
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