JP2004317540A - 光学素子及び光学デバイス - Google Patents

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Atsushi Sakai
篤 坂井
Ikuo Kato
幾雄 加藤
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Abstract

【課題】対象波長以下の周期を持つ凹凸形状からなる微細周期構造を有する光学素子において、特定領域に一定電界を印加でき、安定した屈折率変化が可能な光学素子を提供する。
【解決手段】基板2とこの基板2に形成された微細周期構造3とを有する光学素子1であって、凹凸形状の凹部3aに電圧が印加される導電性部材4を充填することで、凸部3b部分に大きな電界を印加することができ、凸部3bに設けた電気光学効果を有する材料に、大きな電気光学効果を生じさせることができ、これにより、屈折率を大きく変化させることができるようにした。これにより、電気光学効果を用いた小型の光変調器、光アッテネータ等を実現でき、さらに、微細周期構造3全体若しくは一部に、選択的に一定の電界を印加することが可能となり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象となる波長以下の周期を持つ凹凸形状からなる微細周期構造を有して、光変調器、光アッテネータ、光ルータ、光偏向器等の各種光学デバイスに利用可能な光学素子及び光学デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
微細周期構造を有する光学部品は様々な面での応用が実現若しくは期待されている。
【0003】
例えば、分布帰還型(Distributed Feedback:DFB)レーザや分布反射型(Distributed Bragg Reflector:DBR)レーザ、回折格子型光学フィルタによる光の波長程度の周期構造を持つ1次元の微細周期構造を有する光学素子や、人工光学結晶であるフォトニック結晶による2次元、3次元の微細周期構造を持つ光学素子が、微細周期構造を有する光学部品として数多くの研究若しくは実用化がなされている。
【0004】
このような光学素子は、屈折率が光学性能を決定する大きな要因の一つであるために、屈折率を制御できれば、様々な光制御素子となる可能性がある。
【0005】
屈折率変化を利用した微細周期構造を有する光学素子の提案は、学術論文、特許出願等により多く発表されている。
【0006】
1次元の周期構造ではDBRレーザの回折格子部分に電流注入することにより、屈折率変化を生じさせレーザ共振波長を変化させる方法が実用化されている。この方法では回折格子全体の広い面積に電圧を印加することで、屈折率変化をさせている。
【0007】
また、液晶を反転オパール中に満たし、液晶の屈折率変化を使ったチューナブルなフォトニック結晶が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
実験結果としては、微細円孔でフォトニック結晶を形成し、そこに液晶を充填し、温度変化による液晶の屈折率変化による波長に対する透過率変化の観測に成功している(例えば、非特許文献2参照)。
【0009】
このように屈折率変化させることで、フォトニックバンドギャップが変化する現象を利用した応用に関して、その他数多くの論文や特許出願等により提案されている。
【0010】
屈折率変化させるために使う方法として、このような温度変化の他に電界印加による電気光学効果、音響光学効果を用いる方法もある。
【0011】
例えば、特許文献1によれば、屈折率変化により周期構造の構成を大きく変化させることで、光素子の特性を変化させる光素子が提案されている。この提案例は、フォトニック結晶構造を想定しており、例えば特許文献中の図1等に示されるように、屈折率n1の媒質に対して、屈折率n2,n3を持つ媒質が屈折率変化を起こすことで、フォトニック結晶構造をダイナミックに切り替えるようにしている。この方式を使うことで、チューナブルな光導波路や光スイッチを実現できるとされている。
【0012】
また、特許文献2によれば、周期構造上に電極を配置して電界を印加する方法が提案されている。即ち、特許文献2中の図9等に示されるように、電気光学材料を電極で挟み込み、上部の電極をパターンニングすることで、電界印加されたところの屈折率変化を用いて、光導波路等の光素子を実現するように構成されている。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−91912公報
【特許文献2】
特開2002−131715公報
【非特許文献1】
E.Yablonovitch,Nature,vol.40(7),539(1999)
【非特許文献2】
S.W.Lenard,Phys.Rev.B,vol.61(4),61(2000)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に示される方式では、電界を利用した電気光学材料を用いる場合の具体的な電圧印加方法が記載されていない。
【0015】
この点、特許文献2によれば、電圧印加方法が示されているものの、特許文献2に示される構成では電界を広げずに周期構造の特定領域に電界を印加することは困難であり、電界の広がりの影響は微細構造に強電界を加えた場合には、さらに顕著になってしまう。また、光導波路を構成するときに、光導波路となる部分に吸収体である電極が存在すると、光吸収が起こり、導波損失の大きな原因となってしまう。
【0016】
本発明の目的は、対象波長以下の周期を持つ凹凸形状からなる微細周期構造を有する光学素子において、特定領域に一定電界を印加することができ、安定した屈折率変化を与えることが可能な光学素子を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、加えて、凹凸形状の屈折率差を保つことである。
【0018】
本発明の目的は、特定領域に対して等電圧を印加することができる微細周期構造を有する光学素子への電圧印加手段を持つ光学デバイスを提供することである。
【0019】
本発明の目的は、電圧源の両端を割り当てることで特定領域に対して電圧を印加することができる微細周期構造を有する光学素子への電圧印加手段を持つ光学デバイスを提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、対象となる波長以下の周期を持つ凹凸形状からなる微細周期構造を有する光学素子において、前記微細周期構造の特定部分に電圧が印加される導電性部材を有する。
【0021】
従って、微細周期構造の特定部分に電圧が印加される導電性部材を有することにより、この導電性部材を介して電界を印加することで微細周期構造の特定部分の電気光学効果による屈折率変調を安定して行わせることができる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部であり、この凹部に光学的に透明な前記導電性部材が充填されている。
【0023】
従って、凹凸形状からなる微細周期構造を有する光学素子の凹部に導電性部材を充填しているので、凸部部分に大きな電界を印加することができ、凸部に設けた電気光学効果を有する材料に、大きな電気光学効果を生じさせることができる。これにより、屈折率を大きく変化させることができ、電気光学効果を用いた小型の光変調器、光アッテネータ等を実現できる。さらに、微細周期構造全体若しくは一部に、選択的に一定の電界を印加することが可能となり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現可能となる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部内壁面であり、この凹部内壁面を光学的に透明な前記導電性部材が被覆している。
【0025】
従って、微細周期構造の特定部分を凹凸形状の凹部内壁面として光学的に透明な導電性部材が被覆することにより、凹凸形状の凹部の材料として、導電性部材以外の材料を選ぶことが可能となり、その凹部の屈折率を制御できるようになり、凸部に低屈折率の電気光学材料を用いた場合でも、凹部と凸部との屈折率差を大きくすることにより、フォトニック結晶のバンドを開くことが可能となり、よって、高速の電気光学材料からなるフォトニック結晶の屈折率を変化させることで、小型で高速の光変調器、光アッテネータ等を実現可能となる。さらに、微細周期構造全体若しくは一部に選択的に一定の電界を印加できるようになり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現可能となる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部底面と凸部頂面との少なくとも一方であり、これらの凹部底面又は凸部頂面に導電性部材が設けられている。
【0027】
従って、凹凸形状の凹部底面や凸部頂面なる平坦部に導電性部材を設けているため、スパッタや蒸着等のステップカバレジの低い成膜プロセスにおいても良好な形状の導電部材を設けることができ、品質の安定した歩留まりの高い小型で高速な光変調器、光アッテネータ、さらには、光ルータ、光偏向器等も実現可能となる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凸部であり、この凸部中に光学的に透明な前記導電性部材が充填された微小細線又は微小孔が設けられている。
【0029】
従って、凹凸形状の凸部部分を特定部分としてこの凸部中に光学的に透明な導電性部材が充填された微小細線又は微小孔を設けているので、その凹部の屈折率を制御できるようになり、かつ、微小な導電性部材により周期方向に大きな電界強度が印加可能となるため、フォトニック結晶のバンドを大きく変化させることが可能となり、光変調器、光アッテネータ、さらには、光ルータ、光偏向器等に利用可能な波長帯域を大きくすることができる。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部及び凸部であり、この凸部中に光学的に透明な前記導電性部材が充填された微小細線又は微小孔が設けられ、かつ、前記凹部に光学的に透明な前記導電性部材が充填されている。
【0031】
従って、請求項4及び5記載の発明の作用を併せ持つ。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、前記凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填され、前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の前記凹部に充填された光学材料頂面であり、この光学材料頂面に前記導電性部材が設けられている。
【0033】
従って、凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填されているので、当該凹部部分での光吸収が少なくて済み、このような凹部に充填された光学材料頂面に導電性部材が設けられているので、簡単に構成することができる。
【0034】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された導電層と対象となる波長とほぼ同一の膜厚を有する薄膜層とを備え、当該薄膜層に前記微細周期構造を有する光学素子であって、前記微細周期構造の特定部分が凸部頂面であり、この凸部頂面に前記導電性部材が設けられている。
【0035】
従って、薄膜層をその上下に配置した導電層と導電性部材とで挟み込み、電圧を印加することにより、凸部部分に安定した電界を印加させて屈折率変化を生じさせることができる。
【0036】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された導電層と対象となる波長とほぼ同一の膜厚を有する薄膜層とを備え、当該薄膜層に前記微細周期構造を有する光学素子であって、前記凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填され、前記微細周期構造の特定部分が凸部頂面であり、この凸部頂面に前記導電性部材が設けられている。
【0037】
従って、凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填されているので、当該凹部部分での光吸収が少なくて済み、かつ、薄膜層をその上下に配置した導電層と導電性部材とで挟み込み、電圧を印加することにより、凸部部分に安定した電界を印加させて屈折率変化を生じさせることができる。
【0038】
請求項10記載の発明の光学デバイスは、請求項1ないし7の何れか一記載の光学素子と、当該光学素子の導電性部材により形成された電極間に各々個別に接続された抵抗と、この抵抗を介して前記各電極間に等電圧を印加する電圧印加手段と、を備える。
【0039】
従って、導電性部材を通じて特定領域に等電圧を印加させることができる。
【0040】
請求項11記載の発明の光学デバイスは、請求項1ないし7の何れか一記載の光学素子と、当該光学素子の導電性部材により形成された各々の電極間に交互に電圧源の両端を割り当てて電圧を印加する電圧印加手段と、を備える。
【0041】
従って、導電性部材により形成された各々の電極間に交互に電圧源の両端を割り当てて電圧を印加することにより導電性部材を通じて特定領域に電圧を印加することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を数例挙げて説明する。
【0043】
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1及び図2は本実施の形態の光配線基板構成の光学素子1の構成例を示し、図1は拡大して示す原理的な断面図、図2(a)は1次元の回折格子による周期構造例を示す概略平面図、図2(b)は2次元のフォトニック結晶による周期構造例を示す概略平面図である。
【0044】
本実施の形態の光学素子1は、電圧印加により屈折率が変化する材料による基板2と、この基板2表面に対象となる波長以下の周期を持つ凹部3aと凸部3bとの繰返しによる凹凸形状からなる微細周期構造3とを有するものである。このような微細周期構造3は図2(a)に示すような1次元の回折格子による周期構造でもよく、図2(b)に示すような2次元のフォトニック結晶による周期構造でもよい。このため、図1は図2(a)又は図2(b)のA−B線断面図を拡大して表している。
【0045】
このような基本構成において、本実施の形態では、微細周期構造3の特定部分として各凹部3a内には導電性部材4が各々充填されている。この導電性部材4は各凹部3a毎に独立して電圧が印加されるようにその上部側は各々分離されている。また、この導電性部材4としては、光学的に透明な導電性材料によるものであって、光吸収が少ない媒質を用いて光吸収による損失を抑制し得ることが好ましい。これらの導電性部材4の頂面には電源(図示せず)からの電圧をこれらの導電性部材4に個別に供給するための電気配線5による電極処理が施されている。このような電気配線5は、低コストで低抵抗の場合、光吸収があるため、光が透過する部分(図中、微細周期構造3の左右方向)から離すために各凸部3b上に光学材料で構成された保護層6を設けることが好ましい。
【0046】
このような構成において、例えば、図1中のX部分(凸部3bの一つ)を微細周期構造3の特定部分としてその両側の凹部3aに充填された導電性部材4a,4b間に電位差を持たせた電圧を印加すると、特定部分Xに対して電界を作用させることが可能となる。このように凹凸形状が形成されている方向と平行な方向に電界を印加させることができるので、全体に安定的な電圧印加が可能であり、微細周期構造3の所望の特定部分Xに電界印加できれば、光学素子1に関して局所的な屈折率変化を生じさせることが可能となる。特に、このような微細周期構造3を形成する凸部3b同士の間隔(周期)は対象となる光の波長以下であるので、波長以下の領域に電界を印加させることができる。
【0047】
これは、例えば図2(b)に示すような2次元のフォトニック結晶スラブ導波路のコア部分の屈折率変化をさせる場合でも、点欠陥導波路であれば、少なくとも10μm以下、好ましくは1μm以下の領域に電圧を効果的に印加することができる。2次元のフォトニック結晶であれば電界を印加する部分が、ピラー間である場合もあるし、ピラー内である場合もある。
【0048】
なお、本実施の形態のような光学素子1の作製方法としては、電気光学材料からなる基板2に保護層6となる絶縁膜を塗布し、半導体プロセスによるリソグラフィーとエッチングにより波長と同程度の溝(凹部3a)を形成する。形成された溝(凹部3a)内に導電性部材4を埋め込み、マスクを剥離することで、個々の溝を独立させる。配線5は用途に応じて再びリソグラフィーとエッチングのパターンニングで行うことで、図1に示すような構造を形成することができる。絶縁膜は電気配線5が光の透過部分にかかることで、光吸収による損失増加を防ぐ役割を果たす。
【0049】
本実施の形態の場合、電気光学材料としては、ネマッチックやスメクチック構造を有する液晶、アゾ色素、スチルベンゼン色素、DAST等の有機分子または有機結晶や、ニオブ酸リチウム(LN)やニオブ酸チタン(LT)、KTP等の無機結晶、PZT、PLZT等のセラミックスを用いることができる。
【0050】
ちなみに、図1において、導電性部材4a,4b間に、0.18μmのCMOSプロセスで駆動可能な1.5Vを電位差として印加した場合、その凸部3bの厚さを250nmに作製した場合、5×10(V/m)なる非常に大きな電界強度を印加することができる。このとき、PLZT(Pb:Zr:Ti組成比=10:53:47)を、電気光学材料として用いた場合、Δnとして、約0.01という非常に大きな屈折率変化が、わずか1.5Vで実現できるようになる。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、凹凸形状からなる微細周期構造3を有する光学素子1の凹部3aに導電性部材4を充填しているので、凸部3b部分に大きな電界を印加することができ、凸部3bに設けた電気光学効果を有する材料に、大きな電気光学効果を生じさせることができる。これにより、屈折率を大きく変化させることができ、電気光学効果を用いた小型の光変調器、光アッテネータ等を実現することができる。さらに、微細周期構造3全体若しくは一部に、選択的に一定の電界を印加することが可能となり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現可能となる。
【0052】
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態を図3に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一又は相当する部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。
【0053】
図3は本実施の形態の光学素子11の構成例を拡大して示す原理的な断面図である。本実施の形態の光学素子11も、基本的には、基板2と微細周期構造3とにより構成されているが(1次元タイプでも2次元タイプでもよい)、微細周期構造3の特定部分を凹部3aの内壁面3cとし、この内壁面3cを被覆するように導電性部材12が設けられている。なお、凸部3bの頂部上には保護層6が設けられ、また、その上面には各導電性部材12毎に独立した電気配線13が電極処理として施されている。
【0054】
このように、本実施の形態においては、導電性部材12が層構成で各凹部3aの内壁面3cに設けられているので、対をなす導電性部材12間に電圧を印加することによりその間の凸部3b部分を特定部分として電界を作用させ、屈折率変化を生じさせることができる。この際、凹部3a内に導電性部材12を充填させる場合と異なり、内壁面3cに層構成で被覆するように設けているので、当該導電性部材12の材料による屈折率差の低減を防ぐことができる。
【0055】
図2(b)の場合のように、基板2にフォトニック結晶による微細周期構造3を形成して、フォトニックバンドギャップを利用する光学素子1の場合、凹部3aと凸部3bとの屈折率差がフォトニック結晶の特性を決定する大きな要因である。つまり、フォトニックバンドギャップを大きく開かせるためには、フォトニック結晶を構成する微細周期構造3の屈折率差を十分に取る必要がある。例えば、屈折率3.0程度の半導体基板で微細周期構造を形成し、屈折率2.0の透明電極部材で溝部分(凹部)を埋めると、屈折率差が空気境界面の場合と比較して1/2になる。さらに、屈折率2.2のニオブ酸リチウムと透明電極部材とでは、屈折率差が空気界面との場合と比較して1/6に減少してしまう。
【0056】
この点、本実施の形態のような導電性部材12の構成例によれば、空気境界面との屈折率差を保ちながら、局所的な電界印加が可能となる。
【0057】
凹部3aの内壁面3cを被覆する導電性部材12の材料としては、光学的に透明であって、光吸収が少ない媒質を用いるが、凹部3aを覆う導電性部材12の層厚が凹部3aの幅よりも十分に狭いので、光吸収による損失増加を抑制できる。さらに、ニオブ酸リチウムを基板2に用いた場合、透明電極(導電性部材12)とニオブ酸リチウムの屈折率差がほとんど無いことから、透明電極(導電性部材12)を形成したことによる光原子に与える影響が逆に少なくなり、設計上の不都合も回避することができる。
【0058】
本実施の形態の光学素子11の作製方法としては、溝(凹部3a)をリソグラフィーとエッチングとにより形成し、溝(凹部3a)内に透明電極(導電性部材12)を充填して、再びわずかに狭い溝のパターンニングをし、透明電極(導電性部材12)をエッチングすることで作製できる。この際、透明電極(導電性部材12)を掘り抜いたことにより、幅が狭い構造が溝(凹部3a)の底面にできる可能性があるが、光のビーム径よりも深い溝であれば、光信号が受ける影響は少ない。
【0059】
図2において、凸部3bを挟む透明電極(導電性部材12)間に、0.18μmのCMOSプロセスで駆動可能な1.5Vを電位差として印加した場合、その凸部3bの厚さを250nmに作製した場合、5×10(V/m)の非常に大きな電界強度を印加することができる。このとき、PLZT(Pb:Zr:Ti組成比=10:53:47)を、電気光学材料として用いた場合、Δnとして、約0.01という非常に大きな屈折率変化がわずか1.5Vの電圧印加で実現することができる。
【0060】
この構成を、凹凸形状からなる微細周期構造3としてフォトニック結晶を実現した場合、このn=0.01の屈折率変化により、波長を固定した場合には、20dB以上の消光比の光変調を1μs以下の高速で実現することができる。このときの光の進行方向の光路長は、波長の長さの数倍以下でよく、より具体的には、850nmの波長の場合では、10μm以内の非常に小さな高速光変調器が実現できる。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、微細周期構造3の特定部分を凹凸形状の凹部3aの内壁面3cとして光学的に透明な導電性部材12で被覆することにより、凹凸形状の凹部3aの材料として、導電性部材12以外の材料を選ぶことが可能となり、その凹部3aの屈折率を制御することができる。よって、凸部3b(基板2)に低屈折率の電気光学材料を用いた場合でも、凹部3aと凸部3bとの屈折率差を大きくすることにより、フォトニック結晶のバンドを開くことが可能となる。よって、高速の電気光学材料からなるフォトニック結晶の屈折率を変化させることで、小型で高速の光変調器、光アッテネータ等を実現することができる。さらに、微細周期構造3全体若しくは一部に選択的に一定の電界を印加できるようになり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現することができる。
【0062】
[第三の実施の形態]
本発明の第三の実施の形態を図4に基づいて説明する。図4は本実施の形態の光学素子14の構成例を拡大して示す原理的な断面図である。本実施の形態の光学素子14も、基本的には、基板2と微細周期構造3とにより構成されているが(1次元タイプでも2次元タイプでもよい)、微細周期構造3の特定部分を凹部3aの底面3d及び凸部3bの頂面3eとし、これらの底面3d及び頂面3e上に導電性部材15,16が設けられている。
【0063】
このような構成において、底面3d上の導電性部材15と頂面3e上の導電性部材16との間に電位差を持たせた電圧を印加することにより、これらの導電性部材15,16間の凸部3bに電界を作用させてその屈折率を変化させることができる。この場合、電界方向は凹部3aや凸部3bに平行、つまり凹凸構造が形成されている方向(左右方向)に対して直交する垂直方向に印加されることになる。
【0064】
なお、電界を作用させる対象が微細周期構造3部分であるので、電極(導電性部材4)としては底面3d上の導電性部材15のみ、或いは、頂面3e上の導電性部材16のみとしても、凸部3bに対して電界を作用させることができる。
【0065】
本実施の形態の光学素子14の作製方法としては、溝(凹部3a)をリソグラフィーとエッチングとにより形成し、電極材料(導電性部材15,16)を蒸着などにより垂直に堆積することで底面3d上と頂面3e上とに分離して形成することができる。
【0066】
従って、本実施の形態によれば、凹凸形状の凹部3aの底面3dや凸部3bの頂面3eなる平坦部に導電性部材15,16を設けているため、スパッタや蒸着等のステップカバレジの低い成膜プロセスにおいても良好な形状の導電性部材15,16を設けることができ、品質の安定した歩留まりの高い小型で高速な光変調器、光アッテネータ、さらには、光ルータ、光偏向器等も実現可能となる。
【0067】
[第四の実施の形態]
本発明の第四の実施の形態を図5及び図6に基づいて説明する。図5及び図6は本実施の形態の光配線基板構成の光学素子21の構成例を示し、図5は拡大して示す原理的な断面図、図6(a)は1次元の回折格子による周期構造例を示す水平断面図、図6(b)(c)は2次元のフォトニック結晶による周期構造例を示す水平断面図である。
【0068】
本実施の形態の光学素子21は、基板22と、この基板22表面に対象となる波長以下の周期を持つ凹部23aと凸部23bとの繰返しによる凹凸形状からなる微細周期構造23とを有するものである。このような微細周期構造23は図6(a)に示すような1次元の回折格子による周期構造でもよく、図6(b)(c)に示すような2次元のフォトニック結晶による周期構造でもよい。このため、図6(a)〜(c)は図5のC−D線水平断面図を表している。
【0069】
このような基本構成において、本実施の形態では、微細周期構造23の特定部分が凸部23bとされ、この凸部23b中に光学的に透明な導電性部材24が充填された微小孔(又は、微小細線)25が設けられている。また、凸部23bの頂部にはこのような導電性部材24に電気的に導通させた電気配線26の電極処理が施されている。また、この凸部23b・電気配線26間には、低コストで低抵抗の電気配線26の場合、光吸収があるため、光が透過する部分から離すために光学材料で構成された保護層27が設けられている。
【0070】
なお、本実施の形態の光学素子21においては、基板22として電界印加により屈折率が変化する電気光学材料を用いてもよく、或いは、凹部23a内に電界印加により屈折率が変化する電気光学材料28を充填させてもよい。また、微小孔25の形状は、その大きさが凹部23aよりも小さければ、任意形状でよく、円形でも矩形でもよい。
【0071】
このような構造をとることで、電界を溝(凹部23a)に垂直に印加することが可能となり、各々の特定部分に対して個別に電界を印加できる。
【0072】
本実施の形態例は、微細周期構造23が図6(a)に示すような1次元でも、図6(b)(c)に示すような2次元でも適用可能である。ちなみに、図6(b)は基板22自体が屈折率変化する場合の構成例を示し、図6(c)は凹部23aに充填された電気光学材料28が屈折率変化する場合の構成例を示す。
【0073】
従って、本実施の形態の光学素子21によれば、凹凸形状の凸部23b部分を特定部分としてこの凸部23b中に光学的に透明な導電性部材24が充填された微小孔25を設けているので、その凹部23aの屈折率を制御できるようになり、かつ、微小な導電性部材24により周期方向に大きな電界強度が印加可能となるため、フォトニック結晶のバンドを大きく変化させることが可能となり、光変調器、光アッテネータ、さらには、光ルータ、光偏向器等に利用可能な波長帯域を大きくすることができる。
【0074】
[第五の実施の形態]
本発明の第五の実施の形態を図7に基づいて説明する。図7は本実施の形態の光学素子31の構成例を拡大して示す原理的な断面図である。本実施の形態の光学素子31も、基本的には、基板22と微細周期構造23とにより構成され(1次元タイプでも2次元タイプでもよい)、凸部23b中に導電性部材24が充填された微小孔25が形成されているが、加えて、凹部23aの内壁面23cが光学的に透明であって光吸収が少ない媒質を用いた導電性部材32(導電性部材12と同様)により被覆されている。33は電極処理された電気配線である。
【0075】
このような構成において、例えば凸部23b中のX部分を特定部分とした時、電極として作用する導電性部材24,32a間に電位差を持たせた電圧を印加すると、導電性部材32a,32b間に電位差を持たせた電圧を印加する場合に比して半分の電圧で同等の電界を作用させることができる。
【0076】
従って、本実施の形態によれば、第三及び第四の実施の形態の場合の作用・効果を併せ持つ。
【0077】
[第六の実施の形態]
本発明の第六の実施の形態を図8に基づいて説明する。図8は本実施の形態の光学素子34の構成例を拡大して示す原理的な断面図である。本実施の形態の光学素子34は、基本的には、基板2と微細周期構造3とにより構成されているが(1次元タイプでも2次元タイプでもよい)、凹部3a内に凸部3b(基板2)よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料である絶縁材料35が充填され、この充填された絶縁材料35の頂面36を特定部分として、各頂面36上には導電性部材37(電気配線兼用)が設けられている。この絶縁材料35としては光学的に透明であり、光吸収が少ない材料が用いられる。波長850nmではエポキシ系材料が好ましく、波長1.3μmではフッ素化ポリイミド材料が好ましい。導電性部材37は光吸収が少なく、光学的に透明である導電性材料が好ましいが、光学材料で構成された保護層6を設ければ、光が透過する部分から導電性部材37を離せるために、低コストで低抵抗な電気配線を導電性部材37に使うことができる。
【0078】
このような構成において、電界を作用させる対象が微細周期構造3部分であるので、電極(導電性部材37)としては絶縁材料35の頂面36のみに設けられていても、隣り合う電極(導電性部材37)間に電位差を持たせた電圧を印加することにより、凸部3bに対して電界を作用させることができる。
【0079】
従って、本実施の形態によれば、凹凸形状の凹部3aが凸部3bよりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料35により充填されているので、当該凹部3a部分での光吸収が少なくて済み、このような凹部3aに充填された光学材料35の頂面36に導電性部材37を設けているので、簡単に構成することができる。
【0080】
[第七の実施の形態]
本発明の第七の実施の形態を図9に基づいて説明する。図9は本実施の形態の光学素子41の構成例を拡大して示す原理的な断面図である。本実施の形態の光学素子41は、基本的には、台座基板(基板)42とこの台座基板42に形成された導電層43と対象となる波長とほぼ同一の膜厚を有して電界印加により屈折率が変化する材料による薄膜層44とを備え、当該薄膜層44に対象となる波長以下の周期を持つ凹部45aと凸部45bとの繰返しによる凹凸形状による微細周期構造45を有する構成とされている。ここに、薄膜層44は上下の光閉じ込めを大きくするために、波長以下の厚み、好ましくは波長の1/5以下の厚みを持つ。このような薄膜層44を上下に配置した電極構造(導電性部材)43,46で挟み込み、電圧を印加することで、安定した電界を印加することができる。
【0081】
なお、薄膜層44の上下両面は接着層47と保護層48とで挟み込む構造とされている。接着層47は薄膜層44と導電層43と台座基板42とを接着するため、及び、電極構造(導電層)43による光吸収を避けるために設けられている。また、上部の保護層48も同様に電極構造(導電性部材)46による光吸収を避けるために設けられている。
【0082】
本実施の形態の場合、上下への光の滲み出しは波長の1/10程度であるので、波長程度の間隔に電界を印加することができる。また、電極構造(導電性部材)46は凸部3b毎に設けられているので、電極構造(導電性部材)46には電気配線により別々に電圧を印加することができ、微細周期構造に別々に電界印加が可能となる。
【0083】
従って、本実施の形態によれば、薄膜層44をその上下に配置した導電層43と導電性部材46とで挟み込み、電圧を印加することにより、凸部3b部分に安定した電界を印加させて屈折率変化を生じさせることができる。
【0084】
[第八の実施の形態]
本発明の第八の実施の形態を図10に基づいて説明する。図10は本実施の形態の光学素子51の構成例を拡大して示す原理的な断面図である。本実施の形態の光学素子51は、基本的には、図9の場合と同様に、台座基板42と導電層43と微細周期構造45を有する薄膜層44とにより構成されているが(1次元タイプでも2次元タイプでもよい)、凹部45a中に光学材料52が充填されるとともに、保護層48を介して各凸部45bの頂面53上には導電性部材(電極配線を含む)46が形成されている。
【0085】
本実施の形態の場合も、薄膜層44は上下の光閉じ込めを大きくするために、波長以下の厚み、好ましくは波長の1/5以下の厚みを持つ。また、当該薄膜層44か電界の作用により屈折率変化を起こす材質であってもよく、或いは、光学材料52が電界の作用により屈折率変化を起こす材質であってもよい。
【0086】
従って、本実施の形態によれば、凹凸形状の凹部45aが凸部45bよりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料52により充填されているので、当該凹部45a部分での光吸収が少なくて済み、かつ、薄膜層44をその上下に配置した導電層43と導電性部材46とで挟み込み、電圧を印加することにより、凸部45b部分に安定した電界を印加させて屈折率変化を生じさせることができる。
【0087】
[第九の実施の形態]
本発明の第九の実施の形態を図11に基づいて説明する。本実施の形態は、前述したような各種構成例の光学素子の微細周期構造中の特定部分に対する電圧印加手段を含めた光学デバイス61の構成例を示すものである。ここでは、その一例として、第一の実施の形態中に示したような光学素子1への適用例として説明する。
【0088】
まず、導電性部材4により形成された各電極間(電気配線5間)には、各々等しい抵抗値の抵抗Rが接続されている。また、このような抵抗Rを介して各電極間(電気配線5間)に電圧を印加するための電圧源62が設けられている。この電圧源62は直列接続された抵抗Rの両端間に接続され、かつ、各抵抗R毎に個別にオン・オフスイッチングされるアナログスイッチ等によるスイッチ63が並列に接続され、これらの電圧源62及びスイッチ63により各電極間(電気配線5間)に抵抗Rにより分圧された等電圧の電位差を持たせた電圧を印加する電圧印加手段64が構成されている。
【0089】
このような構成において、例えば全てのスイッチ63を閉じた場合には、電圧源62から供給される電圧を、各々の抵抗Rで分圧された等電圧が各電極間(電気配線5間=導電性部材4間)に印加され、電界を作用させて各々の凸部3b部分に屈折率変化を生じさせることができる。また、任意の所望のスイッチ63のみを閉じ他のスイッチ63を開放させれば閉じられたスイッチ63対応部分のみを特定部分として電圧を印加し電界を作用させることができる。
【0090】
[第十の実施の形態]
本発明の第十の実施の形態を図12に基づいて説明する。本実施の形態も、前述したような各種構成例の光学素子の微細周期構造中の特定部分に対する電圧印加手段を含めた光学デバイス71の構成例を示し、その一例として、第一の実施の形態中に示したような光学素子1への適用例として説明する。
【0091】
本実施の形態の電圧印加手段72は、電圧源73とこの電圧源73の一端側(例えば、+側)が複数の電極(電気配線5=導電性部材4)中の1つ置きの奇数番目電極に配線された+側配線構造74と、電圧源73の他端側(例えば、−側)が複数の電極(電気配線5=導電性部材4)中の1つ置きの偶数番目電極に配線された−側配線構造75と、により構成されている。ここに、一方の配線構造、例えば+側配線構造74の各配線上には個別にオン・オフスイッチングされるアナログスイッチ等によるスイッチ76が介在されている。
【0092】
このような構成によれば、例えば全てのスイッチ76を閉じた場合には、奇数番目と偶数番目とで対をなす電極(電気配線5=導電性部材4)間は、電圧源73に対して何れも並列状態となり、一定電圧印加による一定電界を作用させることができる上に、低電圧印加で済むものとなる。また、任意の所望のスイッチ76のみを閉じ他のスイッチ76を開放させれば閉じられたスイッチ76対応部分のみを特定部分として一定電圧を印加し電界を作用させることができる。
【0093】
なお、光学素子に対する電圧印加方式としては、これらの実施の形態に例示した方式に限らず、例えば、複数個をセットとして非対称に効率よく電界を印加する方式や、交流電圧源の位相ずれを利用した印加方式等であってもよい。
【0094】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、微細周期構造の特定部分に電圧が印加される導電性部材を有するので、この導電性部材を介して電界を印加することで微細周期構造の特定部分の電気光学効果による屈折率変調を安定して行わせることができる。
【0095】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、凹凸形状からなる微細周期構造を有する光学素子の凹部に導電性部材を充填しているので、凸部部分に大きな電界を印加することができ、凸部に設けた電気光学効果を有する材料に、大きな電気光学効果を生じさせることができ、これにより、屈折率を大きく変化させることができ、電気光学効果を用いた小型の光変調器、光アッテネータ等を実現することができ、さらに、微細周期構造全体若しくは一部に、選択的に一定の電界を印加することが可能となり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現することができる。
【0096】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、微細周期構造の特定部分を凹凸形状の凹部内壁面として光学的に透明な導電性部材が被覆することにより、凹凸形状の凹部の材料として、導電性部材以外の材料を選ぶことが可能となり、その凹部の屈折率を制御できるようになり、凸部に低屈折率の電気光学材料を用いた場合でも、凹部と凸部との屈折率差を大きくすることにより、フォトニック結晶のバンドを開くことが可能となり、よって、高速の電気光学材料からなるフォトニック結晶の屈折率を変化させることで、小型で高速の光変調器、光アッテネータ等を実現することができ、さらに、微細周期構造全体若しくは一部に選択的に一定の電界を印加できるようになり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現することができる。
【0097】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、凹凸形状の凹部底面や凸部頂面なる平坦部に導電性部材を設けているので、スパッタや蒸着等のステップカバレジの低い成膜プロセスにおいても良好な形状の導電部材を設けることができ、品質の安定した歩留まりの高い小型で高速な光変調器、光アッテネータ、さらには、光ルータ、光偏向器等も実現することができる。
【0098】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、凹凸形状の凸部部分を特定部分としてこの凸部中に光学的に透明な導電性部材が充填された微小細線又は微小孔を設けたので、その凹部の屈折率を制御できるようになり、かつ、微小な導電性部材により周期方向に大きな電界強度が印加可能となるため、フォトニック結晶のバンドを大きく変化させることが可能となり、光変調器、光アッテネータ、さらには、光ルータ、光偏向器等に利用可能な波長帯域を大きくすることができる。
【0099】
請求項6記載の発明によれば、請求項4及び5記載の発明の効果を併せ持つことができる。
【0100】
請求項7記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填されているので、当該凹部部分での光吸収が少なくて済み、このような凹部に充填された光学材料頂面に導電性部材が設けられているので、簡単に構成することができる。
【0101】
請求項8記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、薄膜層をその上下に配置した導電層と導電性部材とで挟み込み、電圧を印加することにより、凸部部分に安定した電界を印加させて屈折率変化を生じさせることができる。
【0102】
請求項9記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填されているので、当該凹部部分での光吸収が少なくて済み、かつ、薄膜層をその上下に配置した導電層と導電性部材とで挟み込み、電圧を印加することにより、凸部部分に安定した電界を印加させて屈折率変化を生じさせることができる。
【0103】
請求項10記載の発明の光学デバイスによれば、導電性部材を通じて特定領域に等電圧を印加させることができる。
【0104】
請求項11記載の発明の光学デバイスによれば、導電性部材により形成された各々の電極間に交互に電圧源の両端を割り当てて電圧を印加することにより導電性部材を通じて特定領域に電圧を印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の光学素子を示すA−B線部分の拡大断面図である。
【図2】(a)は1次元の微細周期構造例を示す概略平面図、(b)は2次元の微細周期構造例を示す概略平面図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第四の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図6】(a)は1次元の微細周期構造例を示すC−D線による水平断面図、(b)(c)は2次元の微細周期構造例を示すC−D線による水平断面図である。
【図7】本発明の第五の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第六の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第七の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の第八の実施の形態の光学素子を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の第九の実施の形態の光学デバイスを示す拡大断面図である。
【図12】本発明の第十の実施の形態の光学デバイスを示す拡大平面図である。
【符号の説明】
1 光学素子
2 基板
3 微細周期構造
3a 凹部
3b 凸部
3c 内壁面
3d 底面
3e 頂面
4 導電性部材
11 光学素子
12 導電性部材
14 光学素子
15,16 導電性部材
21 光学素子
22 基板
23 微細周期構造
23a 凹部
23b 凸部
24 導電性部材
25 微小孔
31 光学材料
32 導電性部材
34 光学素子
35 光学材料
36 頂面
37 導電性部材
41 光学素子
42 基板
43 導電層
44 薄膜層
45 微細周期構造
45a 凹部
45b 凸部
46 導電性部材
51 光学素子
52 光学材料
53 頂面
61 光学デバイス
64 電圧印加手段
71 光学デバイス
72 電圧印加手段
73 電圧源

Claims (11)

  1. 対象となる波長以下の周期を持つ凹凸形状からなる微細周期構造を有する光学素子において、
    前記微細周期構造の特定部分に電圧が印加される導電性部材を有することを特徴とする光学素子。
  2. 基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、
    前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部であり、この凹部に光学的に透明な前記導電性部材が充填されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、
    前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部内壁面であり、この凹部内壁面を光学的に透明な前記導電性部材が被覆していることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  4. 基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、
    前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部底面と凸部頂面との少なくとも一方であり、これらの凹部底面又は凸部頂面に導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  5. 基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、
    前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凸部であり、この凸部中に光学的に透明な前記導電性部材が充填された微小細線又は微小孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  6. 基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、
    前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の凹部及び凸部であり、
    この凸部中に光学的に透明な前記導電性部材が充填された微小細線又は微小孔が設けられ、かつ、前記凹部に光学的に透明な前記導電性部材が充填されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  7. 基板とこの基板に形成された前記微細周期構造とを有する光学素子であって、
    前記凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填され、
    前記微細周期構造の特定部分が凹凸形状の前記凹部に充填された光学材料頂面であり、この光学材料頂面に前記導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  8. 基板とこの基板に形成された導電層と対象となる波長とほぼ同一の膜厚を有する薄膜層とを備え、当該薄膜層に前記微細周期構造を有する光学素子であって、
    前記微細周期構造の特定部分が凸部頂面であり、この凸部頂面に前記導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  9. 基板とこの基板に形成された導電層と対象となる波長とほぼ同一の膜厚を有する薄膜層とを備え、当該薄膜層に前記微細周期構造を有する光学素子であって、
    前記凹凸形状の凹部が凸部よりも屈折率が低くて光学的に透明な光学材料により充填され、
    前記微細周期構造の特定部分が凸部頂面であり、この凸部頂面に前記導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  10. 請求項1ないし7の何れか一記載の光学素子と、
    当該光学素子の導電性部材により形成された電極間に各々個別に接続された抵抗と、
    この抵抗を介して前記各電極間に等電圧を印加する電圧印加手段と、
    を備える光学デバイス。
  11. 請求項1ないし7の何れか一記載の光学素子と、
    当該光学素子の導電性部材により形成された各々の電極間に交互に電圧源の両端を割り当てて電圧を印加する電圧印加手段と、
    を備える光学デバイス。
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