JP6629338B2 - 光変調器及び光変調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入射光を面で受けて変調する光変調器、及びかかる光変調器を組み込んだ光変調装置に関する。
近年、大容量光通信・光インターコネクトシステムでは、高速かつ低コストの光変調/スイッチ素子が求められている。従来では、例えば、素子の基板面に平行な方向に光を伝搬するスロットを有するとともにスロットに充填された電気光学ポリマーに側方から電圧を印加して位相差を生じさせるスロット型の導波路型光変調器が提案されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、上記非特許文献1のような光変調器では、導波路が前提となっており構造的な制約が多いだけでなく光の進行方向に小型化することが容易でない。特に、多アレイ化に伴い、素子サイズとコストとが増大するという問題がある。
一方で、光センシング・イメージングの分野では、光ビーム波面を合成するための空間光波変調器(SLM)への関心が高まっているが、従来用いられている液晶やマイクロマシン(MEMS)型素子は、可変速度がミリ秒程度と遅く、適用範囲が限られるという問題がある。
なお、面発光レーザー等に利用される垂直入射型の反射鏡として、周囲に対して高屈折率差を有する直線格子を周期が波長以下となるように配置したものが公知となっている(特許文献1参照)。特許文献1では、2つの反射鏡の間隔をメカニカルに調整して、共振波長のチューニングを連続的に行っている(FIG.7−9等参照)。
米国特許第7304781号明細書 S. Koeber, et al., "Femtojoule electro-optic modulation using a silicon-organic hybrid device" Light: Science & Applications (2015) 4, e255; doi:10.1038/lsa.2015.28 [online]、2015年2月27日
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、小型で高性能の光変調器を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記光変調器を組み込んだ光変調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る光変調器は、第1屈折率材料で形成された下地層と、下地層上に、第1屈折率材料と異なる屈折率を有するとともに導電性を有する第2屈折率材料で形成された複数の部分を有するパターン部と、第2屈折率材料と異なる屈折率を有し電界下で屈折率が変化する第3屈折率材料で形成されるとともにパターン部の複数の部分間を充填する可変屈折率部とを備え、パターン部が延在する面に交差する方向から光が入射し、可変屈折率部は印加される電界に対応した電界方向に沿って予め配向させた内部分極構造を有し、パターン部の空間的な周期を使用波長以下にすることによって可変屈折率部は共振特性を有する。ここで、導電性を有するとは、電気抵抗率が1.0×10−1〔Ω・m〕以下であること意味する。
上記光変調器によれば、パターン部に電圧を印加して可変屈折率部に電界を形成することにより、電気光学効果で可変屈折率部の屈折率が変化し、パターン部が延在する面に交差する方向から入射する光の反射及び透過を正確に制御することができる。また、対象とする光を交差方向(具体的には、例えば垂直方向)から入射させる構造であるため、光変調器を省スペースで2次元的にアレイ化することができる。また、上記構造を有する光変調器は、MEMSプロセス等で容易に作製することができる。なお、光を交差方向から入射させるため、光変調器に入射する光は、パターン部の面に垂直な方向の光だけでなく、パターン部の面に対して斜め方向の光も含む。
また、パターン部の空間的な周期が使用波長以下であることにより、高次の回折光が発生せずに、明確な共振特性を得ることができる。これにより、効率良く光を変調することができる。
本発明の具体的な側面によれば、上記光変調器において、第2屈折率材料は、第1屈折率材料よりも高い屈折率を有する誘電体及び金属のいずれかであり、第3屈折率材料は、第2屈折率材料よりも低い屈折率を有する材料及び第1屈折率材料と同等の屈折率を有する材料のいずれかである。つまり、第2屈折率材料で形成された複数の部分は、周囲の下地層や可変屈折率部よりも高屈折率となっている。この場合、垂直入射型の光変調を達成しやすくなる。
本発明の別の側面によれば、下地層及び可変屈折率部は、絶縁性を有する。ここで、絶縁性を有するとは、電気抵抗率が1.0×10−1〔Ω・m〕より大きいこと意味する。
本発明のさらに別の側面によれば、パターン部は、高ドープ半導体及び金属のいずれかで形成されている。この場合、目標とする屈折率及び導電性を達成しやすい。
本発明のさらに別の側面によれば、可変屈折率部は、電気光学ポリマーで形成されている。電気光学ポリマーは、一般に屈折率変化が大きく応答速度を速くできる。このため、小型で高速動作する光変調器を得ることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、パターン部は、下地層の面に沿って配列されている。つまり、パターン部は、2次元的に配列されている。
本発明のさらに別の側面によれば、パターン部は、周期的構造を有する。
本発明のさらに別の側面によれば、複数の部分は、同一形状を有する。この場合、パターン部が作製しやすくなる。
本発明のさらに別の側面によれば、パターン部は、格子状の形状を有する。この場合、パターン部を例えば直線格子状の電極とすることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、複数の部分は、複数の部分に交互に逆向きの電圧を印加する。例えば、パターン部を一対のくし歯が交互にかみ合うように配置した場合、可変屈折率部を交互に逆向きに分極させることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、可変屈折率部により、強度変調及び位相変調のいずれか一方を行う。
本発明のさらに別の側面によれば、下地層のパターン部とは反対側に形成された反射膜を有する。この場合、光の強度を変えずに位相のみを変化させることができ、効率の良い位相変調器を実現することができる。このような光変調器は、光波面を高速で制御するSLM(Spatial Light Modulator)等への利用に適する。
上記目的を達成するため、本発明に係る光変調装置は、上述した光変調器と、光変調器のパターン部に電圧を供給する電圧印加部と、を備える。
上記光変調装置によれば、上述した光変調器を用いているので、光変調器の入射面に交差する方向からの光の反射及び透過を正確に制御することができる。また、光変調器を省スペースで2次元的にアレイ化することができるので、小型で多様な機能を持った光変調装置を提供することができる。
本発明の具体的な側面によれば、上記光変調装置において、電圧印加部からパターン部に供給する電圧を変化させる制御部をさらに備える。この場合、透過光及び反射光の少なくともいずれか一方の波長特性が変化し、この波長特性を利用することにより、波長選択スイッチや可変フィルター等の多様な機能が得られる。
本発明の別の側面によれば、光変調器に傾斜光を入射させる。
本発明のさらに別の側面によれば、並列型の光送信、並列型の光受信、及び波面合成のいずれかの用途に用いられる。
第1実施形態に係る光変調器を組み込んだ光変調装置について説明する概念図である。 図2Aは光変調器の断面の構造を説明する図であり、図2Bは光変調器の平面の構造を説明する図である。 図3A〜3Dは図2Aに示す光変調器の製造方法の一例を説明する概念図である。 図4A〜4Dは図2Aに示すタイプの実施例1の光変調器の特性を説明する図である。 図2A等に示す光変調器の変形例を説明する断面図である。 図6A〜6Dは図5に示すタイプの実施例3の光変調器の特性を説明する図である。 図7A〜7Cは第2実施形態に係る光変調器を説明する断面図である。 第3実施形態に係る光変調器を説明する断面図である。 図1等に示す光変調器を組み込んだ第4実施形態に係る光送信装置を説明する図である。 図1等に示す光変調器を組み込んだ第5実施形態に係る光受信装置を説明する図である。 図1等に示す光変調器を組み込んだ第5実施形態に係る画像検出装置を説明する図である。 図11に示す画像検出装置の応用例を説明する図である。 図5に示す光変調器を組み込んだ第6実施形態に係る波面合成装置を説明する図である。 図13に示す波面合成装置を組み込んだ観察装置を説明する図である。 図15A及び15Bは図2Aに示すタイプの実施例2の光変調器の特性を説明する図である。 図16A及び16Bは図5に示すタイプの実施例4の光変調器の特性を説明する図である。
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る光変調器及びこれを組み込んだ光変調装置について説明する。
図1に示す光変調装置100は、反射率又は透過率の調整によって入射光を変調することにより、射出光として反射変調光又は透過変調光を得る装置である。光変調装置100は、光変調器10と、電圧印加部20と、制御部30とを備える。
ここで、光変調器10は、垂直入射型の光変調器である。具体的には、光変調器10の入射面ISに垂直な法線方向から入射した入射光は、反射光又は透過光として、入射面ISに垂直な法線方向に射出される。図1に示す光変調器10は、主に強度変調器として用いられる。なお、本明細書において、垂直入射型とは、入射面ISに厳密に垂直な方向から光を入射させる場合に限らず、入射面ISに対して斜め方向から光を入射させる場合も含むものとする。
図2Aに示すように、光変調器10は、支持体である基板層12と、基板層12上にあって第1屈折率材料で形成された下地層14と、下地層14上に第1屈折率材料よりも高屈折率を有する誘電体及び金属のいずれかの第2屈折率材料でそれぞれ形成された複数の線状部分16aを有するパターン部16と、第2屈折率材料よりも低屈折率を有する材料及び第1屈折率材料と同等の屈折率を有する材料のいずれかの第3屈折率材料で形成されるとともにパターン部16の複数の線状部分16a間を充填する可変屈折率部18とを備える。つまり、パターン部16を構成する各線状部分16aは、相対的に高屈折率であり、その縦横の周囲を対象波長に関して相対的に低屈折率の材料で囲まれた状態となっている。なお、「同等」とは、第2屈折率材料の屈折率が第1及び第3屈折率材料の屈折率よりも大きく異なれば、第1及び第3屈折率材料の屈折率が同じ場合以外にも、第3屈折率材料の屈折率が第1屈折率材料の屈折率より多少高くても低くてもよいことを意味する。
基板層12は、光変調器10の対象波長に対応する入射光に対して透過性を有する材料で形成された平行平板状の層である。基板層12の屈折率は、下地層14の屈折率に対して大きくても小さくてもよいが、本実施形態の場合、基板層12の屈折率の方が下地層14の屈折率よりも大きくなっている。基板層12は、対象波長が例えば赤外線である場合、Si等の光透過性を有する材料で形成される。なお、光変調器10が反射型の素子として用いられる場合、基板層12が透過性を有することは必須でない。
下地層14は、光変調器10の対象波長に対応する入射光に対して透過性を有する材料で形成された一様な厚みを有する平行平板状の薄膜層である。下地層14は、比較的屈折率の小さい第1屈折率材料で形成され、対象波長が例えば赤外線である場合、SiO等の光透過性を有する材料で形成される。また、下地層14の屈折率n1は、例えば1〜3程度に設定される。下地層14の厚みは、例えば上記対象波長程度以上、具体的には1μm以上とするが、目的や用途に応じて適宜に設定される。
なお、下地層14は、パターン部16による可変屈折率部18への電界形成を邪魔しない観点で、十分な絶縁性を有する材料で形成される。
図2Bに示すように、パターン部16は、下地層14の平面に沿って2次元的に配列されており、周期的構造を有している。具体的には、パターン部16は、2つのくし歯状部分16i,16jを逆方向から噛み合わせたような構造を有する。各くし歯状部分16i,16jは、高い導電性を有する細長い複数の線状部分16aを周期的に配列した構造を有し、パターン部16全体としても、多数の線状部分16aをストライプ状又は直線格子状に配列した構造を有する。ここで、周期的構造とは、厳密には、パターン部16の線状部分16aの横幅sと、後述する可変屈折率部18の線状部分18aの横幅s'とを合わせた周期間隔(つまり、空間的な周期)や線状部分16a,18aの形状が同じであることであるが、下地層14の位置に応じて一定の割合で線状部分16a,18aの形状や周期間隔が変動するものも含む。一定の割合で形状や周期間隔が変動する場合、局所的な周期的構造と言える。パターン部16の厳密な意味での周期的構造は、平面波を有するビームを入射する場合に特に有効である。一方、ガウシアンビーム等の平面波とは異なるビームを入射する場合、入射するビーム形状に合わせて、下地層14の位置によって周期間隔等を変化させることが好ましい。
一方のくし歯状部分16iは、複数の第1電極51aと、これらの第1電極51aを電気的に接続する共通の第1導電部52aとを備え、他方のくし歯状部分16jは、複数の第2電極51bと、これらの第2電極51bを電気的に接続する共通の第2導電部52bとを備える。見方を変えれば、パターン部16は、複数の線状部分16aとして、複数の第1電極51aと、複数の第2電極51bとを有し、両電極51a,51bを交互に配置することによって形成されている。複数の第1電極51aと第1導電部52aとは、異なる導電性材料又は同一の導電性材料で形成され、複数の第2電極51bと第2導電部52bとは、異なる導電性材料又は導電性材料で形成される。また、第1電極51aと第2電極51bとは、同一の導電性材料で形成することが原則であるが、別の材料で形成することもできる。第1及び第2電極51a,51bのy方向の長さは、光変調器10の有効領域ARの一辺をカバーできるように設定されている(図1参照)。各電極51a,51b(つまり各線状部分16a)の導電率は、下地層14の導電率に比較して極めて高く、金属に近い高い導電率を有している。具体的には、電極51a,51bすなわち線状部分16aを高濃度で不純物をドープした半導体材料で形成することによって、高導電性を確保することができる。
本実施形態の具体例において、各電極51a,51bすなわち各線状部分16aのx方向の横幅sは、光学的特性を揃えるため共通の一定値に設定されるとともに、各電極51a,51bすなわち各線状部分16aのz方向の厚みtは、光学的特性を揃えるため共通の一定値に設定されている。つまり、複数の線状部分16aは、同一形状を有している。これにより、パターン部16が作製しやすくなる。また、特に、入射光が平面波の場合、変調効率が最大となる。また、これらの電極51a,51bすなわち各線状部分16aのx方向の空間的な周期Λも、光学的特性を揃えるため共通の一定値に設定されている。結果的に、任意の隣接する一対の電極51a,51b間の間隔は、光学的特性を揃えるとともに可変屈折率部18に同一電界を形成するため、共通の一定値に設定されている。
パターン部16は、高い導電性を有するだけでなく、周囲と異なる屈折率を有する。すなわち、パターン部16は、下地層14及び可変屈折率部18のいずれとも異なる屈折率を有し、より詳細には、パターン部16を構成する各線状部分16aは、上述のように下地層14及び可変屈折率部18を形成している第1及び第3屈折率材料のいずれよりも高い屈折率を有する第2屈折率材料で形成されている。具体的には、パターン部16の屈折率n2は、例えば3〜4程度に設定され、下地層14の屈折率n1との差は、例えば1〜2程度に設定される。パターン部16は、対象波長が例えば赤外線である場合、Si等の本来光透過性を有する材料で形成される。
パターン部16が導電性を有する場合、導電性を有するパターン部16の屈折率は、虚数成分に起因して導電性を有しないパターン部16の屈折率とは異なるものとなる。この場合、パターン部16の屈折率を対象波長の光に関して屈折率の絶対値で考えて下地層14等と比較すればよい。
なお、既述のように、パターン部16又はこれを構成する線状部分16aは、誘電体(例えば、高ドープ半導体等の半導体材料)に限らず、金属材料で形成することもできる。パターン部16が金属材料で形成される場合も、パターン部16の屈折率を対象波長の光に関して屈折率の絶対値で考えて下地層14等と比較すればよい。
可変屈折率部18は、光変調器10の対象波長に対応する入射光に対して透過性を有するとともに適度な絶縁性を有する材料で形成され、パターン部16を構成する複数の線状部分16a間に充填される線状部分18aと、パターン部16や線状部分18aを覆う被覆部18bとを有する。線状部分18aは、パターン部16の線状部分16aに対してこれを反転した相補的な形状を有している。すなわち、線状部分18aは、x方向に線状部分16aと同じ空間的な周期Λで繰り返され、y方向にパターン部16の線状部分16aと同じ長さを有する。線状部分18aのx方向の横幅s'は、線状部分16aの空間的な周期Λからの線状部分16aの横幅sを引いた値Λ−sとなっている。
なお、被覆部18bは、必須のものでなく、省略することができる。この場合、各線状部分16aの上面を露出させることになる。
可変屈折率部18は、ホストポリマー鎖中に内部分極構造をドープ又はブランチさせたEOポリマーで形成されている。ここで、内部分極構造は、電子供与基と電子受容基とをπ共役で連結したものであり、例えばポリマー中にEO色素分子を分散することによって得られる。EOポリマー(電気光学ポリマー)に高温下で高電界を印加することで、EO色素分子等の内部分極構造を電界に沿って配向させることができる(ポーリング処理)。その後、EOポリマーを常温に戻すことで、EO色素分子等の内部分極構造の配向状態が凍結される。つまり、EOポリマー内で、EO色素分子等が強く分極又は配向した状態で固定される。この状態で、EOポリマーに対してEO色素分子等の内部分極構造の分極又は配向方向DEに沿って電界を加えると、EOポリマーの屈折率が、加えた電界の強度に応じた電気光学効果として、EO色素分子等の内部分極構造の分極又は配向方向DEに関して変化する。つまり、可変屈折率部18のうち、線状部分18aは、予め±x方向に交互に分極又は配向されており、電気光学定数は、線状部分18aの分極率に比例するものとなっている。よって、線状部分18aに対して分極に対応させて±x方向に電界を加えることで、±x方向に分極率に比例する屈折率変化を生じさせることができる。
ここで、第1導電部52aと第2導電部52bとの間にDC電圧を印加した場合、隣接する一対の線状部分18a間には、図示のように+x方向と−x方向とに互い違いに逆向きで同じ強度の電界が形成される。つまり、可変屈折率部18の線状部分18aを加熱してEOポリマー内でEO色素分子等が強く分極又は配向した状態を形成する際には、分極方向DEに相当するx方向に関して同様に互い違いの逆向きで同じ強度の電界が形成される。同様に、分極又は配向の固定後の常温の線状部分18aに対してEO効果を生じさせる際にも、分極方向DEに相当するx方向に関して同様に互い違いの逆向きで同じ強度の電界が形成される。つまり、隣接する一対の線状部分18a間に印加する電圧は、方向に関して一致性を持たせたものになっており、第1及び第2導電部52a,52b間に交流的又は直流的な電圧を与えた場合、一連の線状部分18aは、x方向に関して略等しい屈折率変化が生じることになる。第1及び第2導電部52a,52b間に付与する電圧によって線状部分18a全体の屈折率をx方向に関して変化させる屈折率変調を行うことができる。よって、例えば光変調器10にx方向に電界が一致するように偏光させた入射光を入射させた場合、線状部分18aの空間的な周期Λが対象波長程度かそれ以上であれば、反射光又は透過光である回折光の強度や位相や方向を第1及び第2導電部52a,52b間に付与する電圧によって制御することができる。その一方で、線状部分18aの空間的な周期Λが対象波長よりも十分小さければ、反射光又は透過光である非回折光の強度や位相を第1及び第2導電部52a,52b間に付与する電圧によって制御することができる。なお、光変調器10に照射する入射光の偏光方向を、分極方向DEに相当するx方向とすることにより、変調に必要な電圧を比較的小さくすることができる。
図1に戻って、電圧印加部20は、光変調器10の第1及び第2導電部52a,52b間に用途に応じた所定の電圧を供給する。第1及び第2導電部52a,52b間には、例えばパルス電圧、高周波信号、直流的信号等の各種電圧信号が印加される。
制御部30は、コンピューターその他のデジタル回路であり、電圧印加部20の動作を制御している。制御部30は、電圧印加部20からパターン部16に供給する電圧を変化させる。制御部30は、電圧印加部20が光変調器10に印加する電圧パターンにデジタルデータ等を乗せることができ、光変調器10の透過率、反射率等を所望の状態に調整する。
図3A〜3Dを参照して、図2Aに示す光変調器10の製造方法の一例について説明する。
図3Aに示すように、Si等からなる板状の基板層12を準備し、この基板層12上にSiO等からなる下地層14を物理蒸着その他によって一様に成膜し、この下地層14上に高ドープSi等からなる導電層116を物理蒸着その他によって成膜する。
次に、図3Bに示すように、高ドープSi等からなる導電層116をエッチングしてパターン部16を形成する。導電層116のエッチングには、半導体製造工程で多用されているフォトリソグラフィ法等を用いることができ、これにより、精密に加工された線状部分16aを有するパターン部16を形成することができる。なお、パターン部16を一括して形成するのではなく、第1及び第2電極51a,51bと、第1及び第2導電部52a,52bとに分けて形成することができる。特に第1及び第2導電部52a,52bについては、後述するEOポリマー層118の作製後に形成することができる。この場合、結線のため、EOポリマー層118の作製後に電極51a,51bの一端を露出させておく必要がある。
次に、図3Cに示すように、パターン部16の隙間16c(図3B参照)を充填してパターン部16全体を覆うようにEOポリマー層118を形成する。EOポリマー層118は、例えば予め準備したEOポリマー材料をパターン部16上にスピンコートし、溶媒の蒸発等によってEOポリマー材料を硬化させることによって形成される。
その後、図3Dに示すように、パターン部16上にEOポリマー層118を形成した前駆体2を加熱槽4に搬入して加熱しつつ、DC電源6からパターン部16の第1及び第2導電部52a,52b間に所期の分極に必要な所定の電圧を印加する。その後、第1及び第2導電部52a,52b間に電圧をかけたままで前駆体2を常温まで冷却してEOポリマーの分極を固定することで、EOポリマー層118が可変屈折率部18として機能し、前駆体2から光変調器10を得ることができる。
(実施例1)
図4A及び4Bは、図2Aに示すタイプの実施例1の光変調器10の共振特性を説明するチャートである。図4Aは、実施例1の光変調器10の反射光強度を示し、図4Bは、同光変調器10の反射光位相を示す。両チャートにおいて、横軸は波長〔nm〕を示し、縦軸は相対的な反射強度又は位相変化を示す。なお、実線はEOポリマーの屈折率nEOが1.600の場合であり、点線はEOポリマーの屈折率nEOが1.605の場合である。光変調器10に照射する入射光は、光変調器10が延びるxy面に対して法線方向である+z方向から入射させ、入射光の偏光方向は、分極方向DEに相当するx方向とした。
図4C及び4Dは、図2Aに示すタイプの実施例1の光変調器10の波長1546nmにおける動作特性を説明する図である。図4Cは、実施例1の光変調器10の反射光強度を示し、図4Dは、同光変調器10の反射光位相を示す。両チャートにおいて、横軸は印加電圧によって変化する屈折率を示し、縦軸は相対的な反射強度又は位相変化を示す。
上記共振特性及び動作特性を得るため、光変調器10は、以下のような特性を有するものとした。具体的には、基板層12を省略し、下地層14が十分厚いとした。パターン部16を構成する線状部分16aのx方向(横断方向)における空間的な周期Λを0.9μmとし、線状部分16aのx方向(横断方向)における占有率s/Λを0.7とし、線状部分16aのz方向(高さ方向)における厚みtを2.27μmとした。また、可変屈折率部18のEOポリマーの屈折率nEOは、電圧を印加しない状態で1.600であるとし、規定の電圧を印加した状態で1.605であるとした。パターン部16の線状部分16aは、Siであり、屈折率nSiを3.48とし、下地層14をSiOとし、屈折率nSiOを1.44とした。EO係数r33が100pm/Vであるとして、第1及び第2導電部52a,52b間に印加する電圧を6.5Vとすると、屈折率変化量Δnは約0.005となる。なお、被覆部18bの厚みtは、無限に厚いとした。
図4A及び4Bから明らかなように、光変調器10は、高い共振感度を有しており、共振波長の周辺では、大きな強度変調又は位相変調が得られることが分かる。また、EOポリマーの屈折率nEOをΔn=0.005程度変化させることによって、共振波長を1nm程度以上変化させ得ることが分かる。
図4C及び4Dから明らかなように、光変調器10は、屈折率の変動に応じて反射光の強度又は位相を大きく変化させることが分かる。例えば、図4Cに示す例では、0.001程度の屈折率変化によって反射光のON及びOFFを切り換え可能であることが分かる。また、図4Dに示す例では、0.003程度の屈折率変化によって反射光の位相を殆ど反転させ得ることが分かる。
(実施例2)
図15A及び15Bは、反射型強度変調器である実施例2の光変調器10の反射特性を説明する図である。図15Aは、光変調器10の反射スペクトルを示す。図15Aにおいて、横軸は波長〔nm〕を示し、縦軸は相対的な反射率(反射強度)を示す。また、図15Bは、光変調器10の波長1550nmにおける反射強度変化を示す。図15Bにおいて、横軸は可変屈折率部18の屈折率変化量を示し、縦軸は反射率の対数を示す。
実施例2の光変調器10は、図2A等に示す実施例1の光変調器10と基本的な構造が一致するが、寸法条件等において異なるものとなっている。具体的には、基板層12を省略し、SiO製の下地層14と、Si製のパターン部16と、EOポリマー製の可変屈折率部18とを有する構成とした。パターン部16を構成する線状部分16aのx方向(横方向)における空間的な周期Λを588nmとし、線状部分16aのx方向における占有率s/Λを0.5とし、線状部分16aのz方向(高さ方向)における厚みtを856nmとした。また、可変屈折率部18のEOポリマーの屈折率は、電圧を印加しない状態で1.600(つまり、屈折率変化量Δn=0)であるとし、規定の電圧を印加した状態で屈折率変化量Δnが−0.01〜0.01となるように変化させた。第1及び第2導電部52a,52b間に印加する変調信号電圧を0.5Vpp以下の範囲で変化させた。
図15Aに示すように、5×10以上のQ値を有する共振波長が屈折率変化とともにシフトしていることが分かる。これにより、光変調器10によって、特定の波長のみを反射させることができる。
図15Bに示すように、屈折率変化量|Δn|=3.8×10−4で反射率が約10dB下がることが分かる。つまり、わずか10−4のオーダーの屈折率変化で、約10dBの強度変調が得られる。
図5は、図2Aに示す光変調器10の変形例を説明する側方断面図である。図5に示す光変調器110は、反射型の変調器であり、図2Aに示す光変調器10の基板層12を反射膜112に置き換えたものとなっている。このため、光変調器10への入射光は、変調された反射光の射出光として光変調器10から逆方向に射出される。反射膜112は、例えばAu等の金属で形成される。図5に示す光変調器110は、主に位相変調器として用いられる。
(実施例3)
図6A及び6Bは、図5に示すタイプの実施例3の光変調器110の共振特性を説明するチャートである。図6Aは、実施例3の光変調器110の反射光強度を示し、図6Bは、同光変調器110の反射光位相を示す。横軸は波長〔nm〕を示し、縦軸は相対的な反射強度又は位相変化を示す。なお、実線はEOポリマーの屈折率nEOが1.600の場合であり、点線はEOポリマーの屈折率nEOが1.605の場合である。図6Aでは、波長や屈折率に関わらず反射率が1.0となっており、光強度を変化させずに、位相のみを変化させる位相変調器になっている。
図6C及び6Dは、図5に示すタイプの実施例3の光変調器110の動作特性を説明する図である。図6Cは、実施例3の光変調器110の反射光強度を示し、図6Dは、同光変調器110の反射光位相を示す。横軸は印加電圧によって変化する屈折率を示し、縦軸は相対的な反射強度又は位相変化を示す。
以上において、光変調器10に照射する入射光は、光変調器10が延びるxy面に対して法線方向である+z方向から入射させ、入射光の偏光方向は、分極方向DEに相当するx方向とした。
上記共振特性及び動作特性を示す図5の構造を有する実施例3の光変調器110は、下地層14、パターン部16、及び可変屈折率部18に関して、図2Aに示す光変調器10と同一の構造を有する。すなわち、空間的な周期Λ、占有率s/Λ、厚みt、屈折率nSi,nSiO、EO係数r33等のパラメータは同じとした。なお、この光変調器110の場合、下地層14のz方向(高さ方向)における厚みhを1.23μmとした。
図6Bから明らかなように、光変調器110は、高い共振感度を有しており、共振波長の周辺では、大きな位相変調が得られることが分かる。また、EOポリマーの屈折率nEOをΔn=0.005程度変化させることによって、共振波長を1nm程度以上変化させ得ることが分かる。
図6Dから明らかなように、光変調器110は、屈折率の変動に応じて反射光の位相を大きく変化させることが分かる。例えば、図6Dに示す例では、0.003程度の屈折率変化によって反射光の位相を殆ど反転させ得ることが分かる。
(実施例4)
図16A及び16Bは、全反射型位相変調器である実施例4の光変調器110の反射及び位相特性を説明する図である。図16Aにおいて、上段は光変調器110の反射特性を示し、下段は位相特性を示す。図16Aにおいて、横軸は波長〔nm〕を示し、縦軸は相対的な反射率(反射強度)又は反射光位相〔rad〕を示す。また、図16Bは、光変調器110の波長1550nmにおける位相変化を示す。図16Bにおいて、横軸は可変屈折率部18の屈折率変化量を示し、縦軸は相対的な反射光位相〔rad〕を示す。
実施例4の光変調器110は、図5に示す実施例3の光変調器110と基本的な構造が一致するが、寸法条件等において異なるものとなっている。具体的には、SiO製の下地層14と、Si製のパターン部16と、EOポリマー製の可変屈折率部18とを有する構成とした。また、下地層14のパターン部16の反対側の面に、Ag製の反射膜112を設けた。パターン部16を構成する線状部分16aのx方向(横方向)における空間的な周期Λを588nmとし、線状部分16aのx方向における占有率s/Λを0.5とし、線状部分16aのz方向(高さ方向)における厚みtを856nmとした。また、可変屈折率部18のEOポリマーの屈折率は、電圧を印加しない状態で1.600(つまり、屈折率変化量Δn=0)であるとし、規定の電圧を印加した状態で屈折率変化量Δnが−0.01〜0.01となるように変化させた。第1及び第2導電部52a,52b間に印加する変調信号電圧を1Vpp以下の範囲で変化させた。
図16Aの上段に実線で示すように、屈折率が変化しても反射率は95%以上であり、屈折率に関係なく全反射することが分かる。また、図16Aの下段に点線で示すように、屈折率変化とともに位相が変化することが分かる。これにより、光変調器110によって、反射光の強度をほとんど変化させずに、位相のみを変化させることができる。
図16Bに示すように、屈折率変化量|Δn|=5.4×10−4で位相が約πシフトしていることが分かる。つまり、わずか10−4のオーダーの屈折率変化で、約πの位相変調が得られる。
以上で説明した光変調器10によれば、パターン部16に電圧を印加して可変屈折率部18に電界を形成することにより、電気光学効果で可変屈折率部18の屈折率が変化し、パターン部16が延在する面に交差する垂直方向等から入射する光の反射及び透過を正確に制御することができる。また、対象とする入射光を垂直方向等から入射させる構造であるため、光変調器10を省スペースで2次元的にアレイ化することができる。また、上記構造を有する光変調器10は、MEMSプロセス等で容易に作製することができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る光変調器及びこれを組み込んだ光変調装置について説明する。なお、第2実施形態に係る光変調器等は、第1実施形態を変形したものであり、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であり説明を省略する。
本実施形態は、第1実施形態のパターン部16及び可変屈折率部18の形状等を変化させたものである。例えば、同じ周期間隔でパターン部16の線状部分16aの横幅s及び可変屈折率部18の線状部分18aの横幅s'の少なくとも一方の配分を変化させる。線状部分16a,18aの横幅s,s'については、線状部分16a,18aの長手方向及び短手方向の少なくともいずれかを変化させる。
図7Aに示すように、光変調器210は、可変屈折率部18の線状部分18aのx方向の横幅s'が長手のy方向の位置に応じて徐々に変化するものとなっている。この結果、線状部分16aに印加されるx方向の電界強度がy方向の位置に応じて徐々に変化するものとなる。つまり、線状部分18aに生じさせる電気光学効果がバラツキを有するものとなって、屈折率変化量Δnが広がりを有するものとなり、図4A及び4B等に示す光変調器10の共振特性を滑らかで緩やかなものとできる。
また、図7Bに示すように、光変調器210は、可変屈折率部18の線状部分18aのx方向の横幅s'が縦のz方向の位置に応じて徐々に変化するものとなっている。具体的には、線状部分18aのxz断面は台形状となっている。この結果、線状部分16aに印加されるx方向の電界強度がz方向の位置に応じて徐々に変化するものとなる。つまり、線状部分18aに生じさせる電気光学効果がバラツキを有するものとなって、屈折率変化量Δnが広がりを有するものとなり、図4A及び4B等に示す光変調器10の共振特性を滑らかで緩やかなものとできる。
また、パターン部16及び可変屈折率部18は、下地層14の位置によって周期間隔を変化させてもよい。なお、線状部分16a,18aのいずれか一方の横幅s,s'が同じでも、他方の線状部分18a,16aのいずれかの横幅s',sが異なることで周期間隔が変化する場合がある。図7Cに示すように、光変調器210は、可変屈折率部18の線状部分18aの配列間隔が周期的に増減している。この結果、線状部分16aに印加されるx方向の電界強度がx方向の位置に応じて徐々に変化するものとなる。つまり、線状部分18aに生じさせる電気光学効果がバラツキを有するものとなって、屈折率変化量Δnが広がりを有するものとなり、図4A及び4B等に示す光変調器10の共振特性を滑らかで緩やかなものとできる。また、入射するビーム形状に合わせて周期間隔を変化させることにより、共振特性を最適なものにすることもできる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る光変調器及びこれを組み込んだ光変調装置について説明する。なお、第3実施形態に係る光変調器等は、第1実施形態を変形したものであり、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であり説明を省略する。
図8に示す光変調器310は、下地層14とパターン部16と可変屈折率部18とを一組とする変調層10aを複数積層した構造を有する。図示の例では、下側の変調層10aと上側の変調層10aとで、線状部分16aの延びる方向が交差(具体的には直交)しており、各変調層10aの分極の方向も交差するものとなっている。本実施形態においても、変調層10aを構成するパターン部16は、下地層14の平面に沿ってそれぞれ配列されている。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る並列型の光送信装置について説明する。なお、第4実施形態に係る光送信装置は、第1実施形態の光変調器又は光変調装置を組み込んだものであり、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であり説明を省略する。
図9に示す光送信装置91は、マトリクス状に2次元配置された多数の光源71aを含む光源部71と、マトリクス状に2次元配置された多数の光変調器10を含む変調部72とを備える。光源部71を構成する各光源71aは、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)と呼ばれる面発光レーザーであり、板状の光源部71の法線方向に光源光を出力する。変調部72において、変調部72を構成する各光変調器10は、図2A等に示す構造を有する垂直入射型の透過光変調器である。各光変調器10は、各光源71aに対向して配置されており、各光源71aからの光源光を変調して信号光LS1を形成する。
図示の光送信装置91は、光通信又は光インターコネクト分野において、並列通信技術に応用可能である。光源71aの出力を直接変調する場合、変調速度を高めることが容易でないが、光変調器10によって外部変調を行うことにより、高速度での光変調が可能になる。
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係る並列型の光受信装置等について説明する。なお、第5実施形態に係る光受信装置等は、第1実施形態の光変調器又は光変調装置を組み込んだものであり、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であり説明を省略する。
図10に示す光受信装置92は、マトリクス状に2次元配置された多数の光検出器171aを含む受光部171と、マトリクス状に2次元配置された多数の光変調器10を含む変調部72とを備える。光検出器171aを構成する各光検出器171aは、例えば2次元配列型のフォトダイオードであり、板状の変調部72の法線方向から入射した信号光を検出する。変調部72において、変調部72を構成する各光変調器10は、図2A等に示す構造を有する垂直入射型の透過光変調器である。各光変調器10は、各光検出器171aに対向して配置されており、各光検出器171aに入射する信号光LS2に対して透過光波長を高速に切り替える可変フィルターとなっている。変調部72をマトリックス状のゲート又はスイッチとして用いることで、光検出器171aの動作速度を維持した迅速で省電力な受信波長の切り替えが可能になる。
図10に示す光受信装置92は、例えば波長多重パッシブ光ネットワーク(WDM−PON)システムの受光素子として用いることができる。
図11に示す画像検出装置94は、マトリクス状に2次元配置された多数の検出画素271aを含む受光部271と、マトリクス状に2次元配置された多数の光変調器10を含む変調部272とを備える。画像検出装置94も光受信装置として機能する。なお、図示の例では、3×3個の画素のみを示すが、通常は縦又は横の一列が100〜1000以上の画素からなる。また、説明の便宜上、入射側の結像レンズや偏光フィルターについては説明を省略している。
受光部271は、CCD又はCMOS撮像素子及びその駆動回路で構成される。変調部272は、可変フィルターアレイである。変調部272において、変調部272を構成する各光変調器10は、図2A等に示す構造を有する垂直入射型の透過光変調器である。各光変調器10は、各検出画素271aに対向して配置されており、各検出画素271aに入射する画像光に対して透過波長を規定する波長フィルターとなっている。変調部272の前段には、偏光フィルターを配置することもできる。なお、各光変調器10は、一辺がサブミクロン〜数ミクロンの矩形窓になっており、そのパターン部16には、10周期分程度以上の格子を形成する線状部分16aを設けている。
この画像検出装置94では、画像を維持したままで受光部271に入射する画像光の波長を調整できる。つまり、対象について特定の波長成分のみのイメージングを行うことができ、駆動電圧の調整によってイメージング波長を多段かつ連続的に切り換えることができる。
図12は、図11に示す画像検出装置94の応用例を説明する図である。図11に示す例では、変調部272全体で透過波長を変更することを前提としていたが、画素単位で透過波長を変更することもできる。図12に示す例では、第1列C1が第1波長のフィルターとして機能し、第2列C2が第2波長のフィルターとして機能し、第3列C3が第3波長のフィルターとして機能している。第1波長、第2波長、第3波長は互いに異なり、3色のフィルターを一組として像検出を行うことができる。ここで、第1波長、第2波長、第3波長は、例えば赤色、緑色、及び青色とすることができ、この場合、カラー画像を取得することができる。
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態に係る波面合成装置について説明する。なお、第6実施形態に係る波面合成装置は、第1実施形態の反射型光変調器(図5参照)を組み込んだものである。
図13に示す波面合成装置95は、マトリクス状に2次元配置された多数の反射型光変調器10を含む変調部372を備える。なお、図示の例では、3×3個の画素のみを示すが、通常は縦又は横の一列が100〜1000以上の画素からなる。また、説明の便宜上、結像レンズ等については省略している。
変調部372において、変調部372を構成する各光変調器10は、図5に示す構造を有する垂直入射型の反射型光変調器である。各光変調器10は、一辺がサブミクロン〜数ミクロンの矩形窓になっており、そのパターン部16には、10周期分程度以上の格子を形成する線状部分16aを設けている。
この波面合成装置95では、変調部372に入射する照明光L1の位相を、各光変調器10のセル毎に独立に調整し、出力光L2として反射する。つまり、サブミクロン〜数ミクロンの空間解像度で任意の波面を合成することができ、駆動電圧の調整によって高速に切り換えることができる。
図14は、図13に示す波面合成装置95を観察装置96に応用した例を説明する図である。
図14に示す例では、波面合成装置95において、照明光L1のビーム波面を所望の状態に変更した出力光L2を形成する。集光光学系84は、サンプルSAに出力光L2を照射し、対物光学系85は、サンプルSAからの画像光L3を画像検出装置86の検出面上に結像する。画像検出装置86は、CCD又はCMOS撮像素子及びその駆動回路で構成される。
ここで、波面合成装置95は、入力情報に基づく波面合成を可能にし、予めキャンセルすべき波面情報又は位相情報を出力光L2から除く補償によってサンプルSA中の対象部分の映像を波長以下の空間分解能で画像検出装置86の検出面上に形成する。この観察装置(光イメージング装置)96は、バイオセンシング、生体イメージング等の各種分野に応用可能である。
なお、図14では、波面合成装置95に照明光L1を斜め入射させているが、ビームスプリッターを用いれば波面合成装置95に照明光L1を垂直入射させることもできる。
以上の実施形態で説明された構造、形状、大きさ及び配置関係については、本発明を理解できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その思想の範囲内において様々な形態に変更することができる。
例えば、複数の光変調器10で構成される波面合成装置95(図13参照)は、光ビームの空間モード変換に適用できる。具体的には、ある1つの決まった波面の光(例えばガウシアンビーム)が入射されたときに、その波面を調整して高次空間モード(例えば、2つ以上のピークがあるビーム)に変換することができる。このような波面合成装置95又は空間光変調装置は、光路を分岐し動的に切り換える光分岐スイッチとして機能させることができる。
また、光変調器10の各セルの位相を線形に変化させることで、出力光の出射方向を高速に制御することができ、高速な並列光スイッチとして用いることができる。このような並列光スイッチは、データーセンター内ネットワークや、光通信システムにおいて、光の経路を高速に切り替える装置に適用できる。
以上では、全ての第1電極51aに同一の電圧を印加し、全ての第2電極51bに同一の電圧を印加しているが、第1及び第2導電部52a,52bを個別に或いは複数組毎に設けることで、各電極51a,51b又は各組に異なる電圧を印加することができる。
既述のように、可変屈折率部18に入射させる光をパターン部16の面(又は入射面IS)に対して垂直方向に入射させるだけでなく、可変屈折率部18に入射させる光を入射面ISに対して斜め方向に入射させてもよい。つまり、光変調装置100において、光変調器10に傾斜光が入射される。入射光又は傾斜光の傾きは、光変調器10又は光源を傾けることで調整する。入射光の傾きを調整することにより、光変調器10の動作波長を変更することができる。傾き方向については、周期方向と非周期方向とが考えられる。特に、非周期方向、すなわち入射面ISに垂直、かつパターン部16の線状部分16aの長手方向に平行な面に沿って入射光を傾斜させると、広い範囲で動作波長を変更することができる。初期設定で入射角度を波長変化に対する感度が高い所定の角度に傾けておけば、数度の傾きで動作波長を幅広く網羅することができる。
上記実施形態において、光変調器10に照射する入射光の偏光方向を、分極方向DEに相当するx方向とする例を挙げたが、分極方向DEに垂直なy方向としてもよい。これにより、パターン部16の厚みtを薄くすることができ、光変調器10の製造をより容易にすることができる。
上記実施形態において、パターン部16を下地層14の平面に沿って配列させたが、下地層14を湾曲状の面として、その湾曲面上に配列させてもよい。湾曲面としては、例えば、シリンドリカル面や非球面等がある。

Claims (16)

  1. 第1屈折率材料で形成された下地層と、
    前記下地層上に、前記第1屈折率材料と異なる屈折率を有するとともに導電性を有する第2屈折率材料で形成された複数の部分を有するパターン部と、
    前記第2屈折率材料と異なる屈折率を有し電界下で屈折率が変化する第3屈折率材料で形成されるとともに前記パターン部の前記複数の部分間を充填する可変屈折率部とを備え
    前記パターン部が延在する面に交差する方向から光が入射し、
    前記可変屈折率部は印加される電界に対応した電界方向に沿って予め配向させた内部分極構造を有し、
    前記パターン部の空間的な周期を使用波長以下にすることによって前記可変屈折率部は共振特性を有する光変調器。
  2. 前記第2屈折率材料は、前記第1屈折率材料よりも高い屈折率を有する誘電体及び金属のいずれかであり、前記第3屈折率材料は、前記第2屈折率材料よりも低い屈折率を有する材料及び前記第1屈折率材料と同等の屈折率を有する材料のいずれかである、請求項1に記載の光変調器。
  3. 前記下地層及び前記可変屈折率部は、絶縁性を有する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の光変調器。
  4. 前記パターン部は、高ドープ半導体及び金属のいずれかで形成されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の光変調器。
  5. 前記可変屈折率部は、電気光学ポリマーで形成されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の光変調器。
  6. 前記パターン部は、前記下地層の面に沿って配列されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の光変調器。
  7. 前記パターン部は、周期的構造を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の光変調器。
  8. 前記複数の部分は、同一形状を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の光変調器。
  9. 前記パターン部は、格子状の形状を有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の光変調器。
  10. 前記複数の部分は、前記複数の部分に交互に逆向きの電圧を印加する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の光変調器。
  11. 前記可変屈折率部により、強度変調及び位相変調のいずれか一方を行う、請求項1から10までのいずれか一項に記載の光変調器。
  12. 前記下地層の前記パターン部とは反対側に形成された反射膜を有する、請求項11に記載の光変調器。
  13. 請求項1から12までのいずれか一項に記載の光変調器と、
    前記光変調器の前記パターン部に電圧を供給する電圧印加部と、
    を備える光変調装置。
  14. 前記電圧印加部から前記パターン部に供給する電圧を変化させる制御部をさらに備える、請求項13に記載の光変調装置。
  15. 前記光変調器に傾斜光を入射させる、請求項13及び14のいずれか一項に記載の光変調装置。
  16. 並列型の光送信、並列型の光受信、及び波面合成のいずれかの用途に用いられる、請求項13から15までのいずれか一項に記載の光変調装置。
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