JP2004317234A - 電流検出装置および電流の誤差の補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】精度の高い電流検出装置を提供する。
【解決手段】正側の履歴減少電流hys_pnは、負方向に流れる電流Ib_n(=負方向に流れる電流Ib)に応じた電流値を有する。負側の履歴減少電流hys_npは、正方向に流れる電流Ib_p(=正方向に流れる電流Ib)に応じた電流値を有する。正側の電流履歴hys_pは、負側の履歴減少電流hys_npによって減少されるように演算され、負側の電流履歴hys_nの絶対値は、正側の履歴減少電流hys_pnによって減少されるように演算される。そして、正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが演算されると、電流Ibは、k(hys_p+hys_n)+Ibによって補正される。
【選択図】 図3
【解決手段】正側の履歴減少電流hys_pnは、負方向に流れる電流Ib_n(=負方向に流れる電流Ib)に応じた電流値を有する。負側の履歴減少電流hys_npは、正方向に流れる電流Ib_p(=正方向に流れる電流Ib)に応じた電流値を有する。正側の電流履歴hys_pは、負側の履歴減少電流hys_npによって減少されるように演算され、負側の電流履歴hys_nの絶対値は、正側の履歴減少電流hys_pnによって減少されるように演算される。そして、正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが演算されると、電流Ibは、k(hys_p+hys_n)+Ibによって補正される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電流が流れたときの残留磁気に基づいて誤差を補正して電流を検出する電流検出装置および電流の誤差の補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が大きな注目を集めている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
【0003】
このハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、ハイブリッド自動車は、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0004】
また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。そして、電気自動車は、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0005】
このように、ハイブリッド自動車および電気自動車においては、インバータは、直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によってモータを駆動する。そして、インバータは、モータが所定のトルクを出力するようにパルス幅変調(Pulse Width Modulation)により直流電圧を交流電圧に変換する。つまり、インバータは、PWM制御によりモータを駆動する。
【0006】
インバータがパルス幅変調により直流電圧を交流電圧に変換する場合、モータの各相に流れているモータ電流を検出する必要がある。そして、インバータが電流を直流から制御する必要があるなどの理由により、モータ電流を検出する電流検出装置としてホール素子が使用されている。
【0007】
しかし、ホール素子は、鉄心を有しているために、残留磁気およびヒステリシスの影響が問題である。そこで、ホール素子のヒステリシスとオフセットを補償する技術が特開平6−222083号公報に開示されている。図15は、特開平6−222083号公報に開示された補償部の構成図である。
【0008】
図15を参照して、補償部100は、極性判別部110と、特性記憶部120と、合成記憶部130とを備える。極性判別部110は、ベクトル演算部140からの電流指令I_comに基づいて、PWM制御における次回制御時において誘導電動機170に流す電流の極性を判別し、その判別した判別結果を特性記憶部120へ出力する。
【0009】
特性記憶部120は、ホール素子160に接続され、ホール素子160の特性を記憶する。より具体的には、特性記憶部120は、図16に示すようなヒステリシス特性を記憶する。そして、特性記憶部120は、極性判別部110からの極性に応じてヒステリシスΔVまたは−ΔVを図16に示すヒステリシス特性から検出して合成記憶部130へ出力する。
【0010】
合成記憶部130は、オフセット記憶部131と、合成部132とを含む。オフセット記憶部131は、スイッチ133を有する。合成部132は、加算器136を有する。
【0011】
オフセット記憶部131は、ホール素子160に接続される。そして、オフセット記憶部131は、インバータ150の制御が遮断状態にあるとき、すなわち、スイッチ133がインバータ150の制御を遮断する制御遮断指令に応じて接点134に接続されると、ホール素子160のオフセット値を読込む。また、オフセット記憶部131は、インバータ150が制御状態にあるとき、すなわち、スイッチ133がインバータ150を制御する制御指令に応じて接点135に接続されると、ホール素子160のオフセット値の読込みを中止する。
【0012】
合成部132の加算器136は、特性記憶部120からのヒステリシスΔVまたは−ΔVとオフセット記憶部131からのオフセット値とを加算し、その加算結果をベクトル演算部140へ出力する。
【0013】
インバータ150が制御遮断状態にあると、スイッチ133は接点134に接続され、オフセット記憶部131は、ホール素子160のオフセット値を読込む。そして、インバータ150の制御指令が出されると、スイッチ133は接点135に接続され、オフセット記憶部131は、ホール素子160のオフセット値の読込みを中止する。
【0014】
一方、ベクトル演算部140は、電流指令I_comを極性判別部110へ出力する。極性判別部110は、ベクトル演算部140からの電流指令I_comに基づいて、次回演算時における電流極性が正か負かを判別する。そして、極性判別部110は、電流極性が正であると判別すると、ΔVのヒステリシスを検出して加算器136へ出力し、電流極性が負であると判別すると、−ΔVのヒステリシスを検出して加算器136へ出力する。
【0015】
そうすると、加算器136は、特性記憶部120からのヒステリシスΔVまたは−ΔVとオフセット記憶部131からのオフセット値とを加算する。すなわち、ヒステリシスΔVまたは−ΔVと、ホール素子160のオフセット値とが補償された電流がベクトル演算部140へ出力される。
【0016】
ベクトル演算部140は、補償された電流に基づいて、次回制御時における電流指令を演算し、その演算した電流指令をインバータ150へ出力する。そして、インバータ150は、ベクトル演算部140からの電流指令に基づいて、誘導電動機170を駆動する。
【0017】
【特許文献1】
特開平6−222083号公報
【0018】
【特許文献2】
特開2002−207052号公報
【0019】
【特許文献3】
特開2002−207053号公報
【0020】
【特許文献4】
特開2001−327002号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平6−222083号公報に開示された技術は、残留磁気(ヒステリシス履歴)の電流値への影響を考慮してホール素子によって検出された電流を補償するものではないため、補償の精度が低いという問題がある。
【0022】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、精度の高い電流検出装置を提供することである。
【0023】
また、この発明の別の目的は、電流の誤差の精度の高い補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によれば、電流検出装置は、測定される電流の磁気により電流を検出する電流検出装置であって、誤差検出手段と、補正手段とを備える。誤差検出手段は、電流が流れたときの残留磁気に基づいて電流の誤差を検出する。補正手段は、誤差検出手段により検出された誤差に基づいて電流を補正する。
【0025】
好ましくは、誤差検出手段は、電流が正方向に流れたときの正側残留磁気と電流が負方向に流れたときの負側残留磁気とに基づいて誤差を検出する。
【0026】
好ましくは、誤差検出手段は、正側残留磁気と負側残留磁気との和に応じた大きさを有する誤差を検出する。
【0027】
好ましくは、誤差検出手段は、正方向に流れた電流値に応じて負側残留磁気を検出し、負方向に流れた電流値に応じて正側残留磁気を検出する。
【0028】
好ましくは、誤差検出手段は、第1および第2の残留磁気検出手段と、演算手段とを含む。第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に基づいて負側残留磁気を減少させる負側減少磁気を検出し、その検出した負側減少磁気に基づいて負側残留磁気を検出する。第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に基づいて正側残留磁気を減少させる正側減少磁気を検出し、その検出した正側減少磁気に基づいて正側残留磁気を検出する。演算手段は、正側残留磁気と負側残留磁気とに基づいて誤差を演算する。
【0029】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、検出した負側減少磁気と正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気との関係に応じて負側残留磁気を検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、検出した正側減少磁気と負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気との関係に応じて正側残留磁気を検出する。
【0030】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きいとき、正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を負側減少磁気として検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さいとき、負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を正側減少磁気として検出する。
【0031】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と負側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された負側残留磁気との和を負側残留磁気として検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と正側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された正側減少磁気との和を正側残留磁気として検出する。
【0032】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きくないとき、既に検出された負側残留磁気を負側残留磁気として検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さくないとき、既に検出された正側残留磁気を正側残留磁気として検出する。
【0033】
また、この発明によれば、測定される電流の磁気により検出された電流の誤差の補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、電流が流れたときの残留磁気に基づいて誤差を検出する第1のステップと、検出された誤差に基づいて電流を補正する第2のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0034】
好ましくは、第1のステップは、電流が正方向に流れたときの正側残留磁気を検出する第1のサブステップと、電流が負方向に流れたときの負側残留磁気を検出する第2のサブステップと、検出された正側残留磁気および負側残留磁気とに基づいて誤差を検出する第3のサブステップとを含む。
【0035】
好ましくは、第3のサブステップは、正側残留磁気と負側残留磁気との和に応じた大きさを有する誤差を検出する。
【0036】
好ましくは、第1のサブステップは、正側残留磁気を減少させる正側減少磁気を検出するステップAと、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と検出された正側減少磁気との関係に応じて正側残留磁気を検出するステップBとを含む。
【0037】
また、第2のサブステップは、負側残留磁気を減少させる負側減少磁気を検出するステップCと、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と検出された負側減少磁気との関係に応じて負側残留磁気を検出するステップDとを含む。
【0038】
好ましくは、ステップBは、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さくないとき、既に検出された正側残留磁気を正側残留磁気として検出するステップB1と、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さいとき、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と正側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された正側残留磁気との和を正側残留磁気として検出するステップB2とを含む。
【0039】
また、ステップDは、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きくないとき、既に検出された負側残留磁気を負側残留磁気として検出するステップD1と、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きいとき、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と負側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された負側残留磁気との和を負側残留磁気として検出するステップD2とを含む。
【0040】
好ましくは、第1のサブステップは、正側減少磁気が負であるとき正側減少磁気を零に設定するステップEをさらに含む。第2のサブステップは、負側減少磁気が正であるとき負側減少磁気を零に設定するステップFをさらに含む。
【0041】
好ましくは、ステップAは、負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を正側減少磁気として検出する。ステップCは、正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を負側減少磁気として検出する。
【0042】
好ましくは、第1のステップは、負方向に流れる電流に対応する磁気が負側残留磁気よりも小さいとき、負方向に流れる電流に対応する磁気を負側残留磁気と設定する第4のサブステップと、正方向に流れる電流に対応する磁気が正側残留磁気よりも大きいとき、正方向に流れる電流に対応する磁気を正側残留磁気と設定する第5のサブステップとをさらに含む。
【0043】
この発明においては、残留磁気の電流への影響を考慮して、検出された電流値が補正される。
【0044】
より具体的には、負方向に流れた電流に応じて正側の残留磁気を減少させ、正方向に流れた電流に応じて負側の残留磁気を減少させることにより、正側の残留磁気および負側の残留磁気を演算する。そして、演算された正側の残留磁気および負側の残留磁気に基づいて誤差を演算することにより残留磁気の電流への影響が考慮される。そして、誤差を用いて電流値が補正される。
【0045】
したがって、この発明によれば、電流検出装置の精度を向上できる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0047】
図1は、この発明による電流検出装置の機能ブロック図である。図1を参照して、電流検出装置10は、電流検出手段1と、誤差検出手段2と、補正手段3とを備える。電流検出装置10は、ホール素子型電流センサーからなる。そして、電流検出装置10は、たとえば、直流電圧を出力するバッテリ側に設けられる。
【0048】
電流検出手段1は、バッテリ(図示せず)の電源ラインに流れる電流Ibを検出し、その検出した電流Ibを誤差検出手段2および補正手段3へ出力する。
【0049】
誤差検出手段2は、電流検出手段1からの電流Ibに基づいて、後述する方法によって電流Ibの誤差ΔIbを検出し、その検出した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0050】
補正手段3は、誤差検出手段2からの誤差ΔIbに基づいて、次式により電流検出手段1からの電流Ibを補正し、補正した電流Ib_compを出力する。
【0051】
Ib_comp=ΔIb+Ib・・・(1)
図2は、図1に示す誤差検出手段2の機能ブロック図である。図2を参照して、誤差検出手段2は、判定手段21と、残留磁気検出手段22,23と、演算手段24とを含む。
【0052】
判定手段21は、電流検出手段1から電流Ibを受け、その受けた電流Ibが正方向に流れる電流であるか負方向に流れる電流であるかを判定する。そして、判定手段21は、電流Ibが正方向に流れる電流であると判定したとき、正方向に流れる電流Ib_pを残留磁気検出手段22へ出力する。また、判定手段21は、電流Ibが負方向に流れる電流であると判定したとき、負方向に流れる電流Ib_nを残留磁気検出手段23へ出力する。
【0053】
残留磁気検出手段22は、電流Ib_pに応じて、後述する方法によって電流が正方向に流れたときの負側の電流履歴hys_n(負側の残留磁気を意味する。)を検出し、その検出した電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する。また、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_p(正側の残留磁気を意味する。)よりも大きいとき電流Ib_pを正側の電流履歴hys_pとして検出し、その検出した電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する。
【0054】
残留磁気検出手段23は、電流Ib_nに応じて、後述する方法によって電流が負方向に流れたときの正側の電流履歴hys_pを検出し、その検出した電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する。また、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さいとき(電流Ib_nの絶対値が電流履歴hys_nの絶対値よりも大きいとき)電流Ib_nを電流履歴hys_nとして検出し、その検出した電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する。
【0055】
演算手段24は、残留磁気検出手段22,23から受けた電流履歴hys_n,hys_pに基づいて、次式により誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0056】
ΔIb=k(hys_n+hys_p)・・・(2)
ただし、kは定数である。
【0057】
図3は、電流Ib、電流履歴hys_n,hys_pおよび履歴減少電流hys_np,hys_pnのタイミングチャートである。図3を参照して、電流Ibは、時間の経過とともに正方向および負方向に流れる。履歴減少電流hys_npは、正方向に流れた電流Ib_pに応じて負側の電流履歴hys_nを減少させる電流である。また、履歴減少電流hys_pnは、負方向に流れた電流Ib_nに応じて正側の電流履歴hys_pを減少させる電流である。
【0058】
履歴減少電流hys_npは、正方向に流れる電流Ib_pが大きくなるとともに増加し、電流Ib_pがピーク値P1を通過すると電流Ibの極性が正方向から負方向に切換わるタイミングt1までピーク値P1を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、電流Ibの極性がタイミングt2で負方向から正方向に切換わると、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P2を通過すると電流Ibの極性が正方向から負方向に切換わるタイミングt3までピーク値P2を保持する。以後、履歴減少電流hys_npは、同様にして正方向に流れる電流Ib_pに応じた電流値を有する。
【0059】
履歴減少電流hys_pnは、負方向に流れる電流Ib_nが減少するとともに減少(絶対値が増加)し、すなわち、電流Ib_nの絶対値が大きくなるとともに減少し(絶対値が増加)、電流Ib_nがピーク値P3を通過すると電流Ibの極性が負方向から正方向に切換わるタイミングt2までピーク値P3を保持する。そして、履歴減少電流hys_pnは、電流Ibの極性がタイミングt3で正方向から負方向に切換わると、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少(絶対値が増加)し、電流Ib_nがピーク値P4を通過すると、電流Ibの極性が負方向から正方向に切換わるタイミングt4までピーク値P4を保持する。以後、履歴減少電流hys_pnは、同様にして負方向に流れる電流Ib_nに応じた電流値を有する。
【0060】
このように、履歴減少電流hys_npは、電流Ibの極性が負方向から正方向に切換わるとリセットされ、正方向に流れる電流Ib_pの増加に伴って増加する。また、履歴減少電流hys_pnは、電流Ibの極性が正方向から負方向に切換わるとリセットされ、負方向に流れる電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対体の増加)に伴って減少(絶対値が増加)する。
【0061】
図4は、正方向に流れる電流Ib_pおよび履歴減少電流hys_npのタイミングチャートである。図4を参照して、履歴減少電流hys_npの他の特徴について説明する。履歴減少電流hys_npは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値PAを通過するとピーク値PAを保持する。その後、電流Ib_pがピーク値PBを通過するが、ピーク値PBはピーク値PAよりも小さいので、履歴減少電流hys_npは、ピーク値PAを保持したままである。そして、その後、電流Ib_pがピーク値PCまで増加すると、ピーク値PCはピーク値PAよりも大きいので、履歴減少電流hys_npは、電流Ib_pがピーク値PAを超えると電流Ib_pの増加に伴ってピーク値PCまで増加し、ピーク値PCを保持する。
【0062】
このように、履歴減少電流hys_npは、電流Ibが正方向で増減する場合、電流Ib_pの増加に伴って最初のピーク値まで増加して最初のピーク値を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、最初のピーク値よりも小さい範囲で電流Ib_pが増減してピーク値が現れても最初のピーク値を継続して保持し、最初のピーク値を越えるピーク値が現れると、電流Ib_pの増加に伴って増加し、最初のピーク値を越えるピーク値を保持する。
【0063】
図5は、負方向に流れる電流Ib_nおよび履歴減少電流hys_pnのタイミングチャートである。図5を参照して、履歴減少電流hys_pnの他の特徴について説明する。履歴減少電流hys_pnは、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少(絶対値が増加)し、電流Ib_nがピーク値PDを通過するとピーク値PDを保持する。その後、電流Ib_nがピーク値PEを通過するが、ピーク値PEはピーク値PDよりも大きいので、履歴減少電流hys_pnは、ピーク値PDを保持したままである。そして、その後、電流Ib_nがピーク値PFまで減少すると、ピーク値PFはピーク値PDよりも小さいので、履歴減少電流hys_pnは、電流Ib_nがピーク値PDよりも減少すると電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴ってピーク値PFまで減少し、ピーク値PFを保持する。
【0064】
このように、履歴減少電流hys_pnは、電流Ibが負方向で増減する場合、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って最初のピーク値まで減少して最初のピーク値を保持する。そして、履歴減少電流hys_pnは、最初のピーク値よりも大きい範囲で電流Ib_nが増減してピーク値が現れても最初のピーク値を継続して保持し、最初のピーク値よりも小さいピーク値が現れると、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少し、最初のピーク値よりも小さいピーク値を保持する。
【0065】
再び、図3を参照して、電流履歴hys_pは、電流Ibが正方向に流れたときに履歴として残る電流であり、電流履歴hys_nは、電流Ibが負方向に流れたときに履歴として残る電流である。そして、履歴減少電流hys_pnは、電流履歴hys_pを減少させ、履歴減少電流hys_npは、電流履歴hys_nを減少させる。
【0066】
電流減少電流hys_pnは、タイミングt1まで零であるので、電流履歴hys_pは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P1を通過すると、ピーク値P1を保持する。タイミングt1からタイミングt2までの間、電流Ibが負方向に流れるので、電流履歴hys_pは、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって減少する。
【0067】
より具体的には、電流履歴hys_pは、タイミングt1の後、履歴減少電流hys_pnの減少に伴って減少し、履歴減少電流hys_pnがピーク値P3に到達すると、履歴減少電流hys_pnがピーク値P3を保持することに応じて一定値を保持する。
【0068】
そして、電流Ibは、タイミングt2からタイミングt3までの間、正方向に流れるので、電流履歴hys_pは、一定値を保持する。その後、電流Ibがタイミングt3で正方向から負方向に切換わると、電流履歴hys_pは、履歴減少電流hys_pnの減少に伴って減少し、履歴減少電流hys_pnがピーク値P4に到達すると、履歴減少電流hys_pnがピーク値P4を保持することに応じて一定値を保持する。
【0069】
タイミングt4の後、電流履歴hys_pは、同様にして履歴減少電流hys_pnによって減少させられる。そして、正方向に流れる電流Ib_pがタイミングt5で電流履歴hys_pを越えると、電流履歴hys_pは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P5に到達するとピーク値P5を保持する。
【0070】
その後、電流Ibがタイミングt6からタイミングt7までの間、負方向に流れると、電流履歴hys_pは、履歴減少電流hys_pnの減少に伴って減少し、履歴減少電流hys_pnがピーク値P6に到達すると一定値を保持する。そして、正方向に流れる電流Ib_pがタイミングt8で電流履歴hys_pを越えると、電流履歴hys_pは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P7に到達するとピーク値P7を保持する。
【0071】
一方、電流減少電流hys_npは、タイミングt1からタイミングt2まで零であるので、電流履歴hys_nは、電流Ib_nの減少に伴って減少し、電流Ib_nがピーク値P3を通過すると、ピーク値P3を保持する。タイミングt2からタイミングt3までの間、電流Ibが正方向に流れるので、電流履歴hys_nは、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって増加する。つまり、電流履歴hys_nの絶対値は、タイミングt2からタイミングt3までの間、履歴減少電流hys_npによって減少する。
【0072】
より具体的には、電流履歴hys_nの絶対値は、タイミングt2の後、履歴減少電流hys_npの増加に伴って減少し、履歴減少電流hys_npがピーク値P2に到達すると、履歴減少電流hys_npがピーク値P2を保持することに応じて一定値を保持する。
【0073】
そして、電流Ibは、タイミングt3からタイミングt4までの間、負方向に流れるので、電流履歴hys_nは、一定値を保持する。その後、電流Ibがタイミングt4で負方向から正方向に切換わると、電流履歴hys_nの絶対値は、履歴減少電流hys_npの増加に伴って減少し、履歴減少電流hys_npがピーク値P8に到達すると、履歴減少電流hys_npがピーク値P8を保持することに応じて一定値を保持する。
【0074】
その後、電流履歴hys_nの絶対値は、同様にして履歴減少電流hys_npによって減少させられる。そして、負方向に流れる電流Ib_nがタイミングt9で電流履歴hys_nを越えると、電流履歴hys_nは、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少(絶対値が増加)し、電流Ib_nがピーク値P6に到達するとピーク値P6を保持する。
【0075】
このように、電流履歴hys_pは、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって減少させられ、電流履歴hys_nの絶対値は、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって減少させられる。
【0076】
したがって、この発明においては、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって負側の電流履歴hys_nを減少させ、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって正側の電流履歴hys_pを減少させることを特徴とする。
【0077】
図6は、図3に示す領域Aの拡大図である。図6を参照して、履歴減少電流hys_npは、電流Ibがタイミングt2で負方向から正方向に切換わると、電流Ib_pの増加に伴って増加する。この場合、履歴減少電流hys_npは、電流Ib_pに追従するので、同じタイミングにおいては電流Ib_pよりも小さい。
【0078】
負側の電流履歴hys_nの絶対値は、履歴減少電流hys_npがタイミングt2で増加し始めると、履歴減少電流hys_npの増加に応じて減少する。そして、負側の電流履歴hys_nは、履歴減少電流hys_npがピーク値P2に到達すると、一定値を保持する。
【0079】
図7は、図6に示す領域Bの拡大図である。図7を参照して、タイミングt2で電流Ibは負方向から正方向に切換わり、電流Ib_pは、ステップ状に増加する。
【0080】
タイミングt2で電流Ib_pが一定量増加し、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−1まで従来の値を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−1で電流Ib_p1に一致する。
【0081】
そうすると、電流差ΔIb_p1=Ib_p1−hys_npが、タイミングt2−1で演算され、負側の電流履歴hys_nに加算される。これにより、電流履歴hys_nの絶対値は、電流差ΔIb_p1分だけ減少する。
【0082】
その後、電流Ib_pは、タイミングt2−2で一定量増加し、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−3まで従来の値を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−3で電流Ib_p2に一致する。
【0083】
そうすると、電流差ΔIb_p2=Ib_p2−hys_np(=Ib_p1)が、タイミングt2−3で演算され、負側の電流履歴hys_nに加算される。これにより、電流履歴hys_nの絶対値は、電流差ΔIb_p2分だけ減少する。
【0084】
それ以後、同様にして電流差ΔIb_p3,ΔIb_p4が演算され、それぞれ、タイミングt2−5,t2−7で負側の電流履歴hys_nに加算される。そして、電流履歴hys_nの絶対値は、電流差ΔIb_p3,ΔIb_p4だけ減少する。
【0085】
このようにして、負側の電流履歴hys_nの絶対値は、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって減少させられる。正側の電流履歴hys_pについても負側の電流履歴hys_nと同様に演算される。
【0086】
そして、上述した方法によって正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが演算される。正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが演算されると、正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが式(2)に代入され、誤差ΔIbが演算される。
【0087】
図8は、電流Ibの誤差を補正する動作を説明するためのフローチャートである。図8を参照して、一連の動作が開始されると、判定手段21は、電流検出手段1により検出された電流Ibが正か否かを判定する(ステップS1)。そして、判定手段21は、電流Ibが正であると判定すると、電流Ib_pを残留磁気検出手段22へ出力する。
【0088】
残留磁気検出手段22は、正方向に流れる電流Ib_pを受けると、正側の履歴減少電流hys_pnを零に設定し(ステップS2)、電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きいか否かを判定する(ステップS3)。電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きくないとき、一連の動作はステップS8へ移行する。
【0089】
一方、電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きいとき、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pと負側の履歴減少電流hys_npとの電流差Ib_p−hys_npを演算し、その演算した電流差Ib_p−hys_npを負側の電流履歴hys_nに加算する。そして、残留磁気検出手段22は、負側の電流履歴hys_nに電流差Ib_p−hys_npを加算した結果hys_n+Ib_p−hys_npを新たな負側の電流履歴hys_nとして設定し、新たな負側の電流履歴hys_n+Ib_p−hys_npを演算手段24へ出力する(ステップS4)。この場合、負側の電流履歴hys_nに電流差Ib_p−hys_npを加算することは、図7において説明したように、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって負側の電流履歴hys_nの絶対値を減少させることに相当する。
【0090】
そして、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pを履歴減少電流hys_npとする(ステップS5)。これは、図7において説明したように、履歴減少電流hys_npがタイミングt2−2,t2−3,t2−5,t2−7においてそれぞれ電流Ib_p1,Ib_p2,Ib_p3,Ib_p4に一致することに相当する。
【0091】
その後、残留磁気検出手段22は、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいか否かを判定し(ステップS6)、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きくないとき、一連の動作はステップS8へ移行する。
【0092】
一方、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいとき、残留磁気検出手段22は、負側の電流履歴hys_nを零に設定し、零に設定した負側の電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する(ステップS7)。負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいときに負側の電流履歴hys_nを零に設定することにしたのは、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいことは負側の電流履歴hys_nが正であることを意味し、負側の電流履歴hys_nが電流軸を負から正へ超えて履歴減少電流hys_npによって減少されることがないようにするためである。
【0093】
つまり、ステップS4において、残留磁気検出手段22は、電流差Ib_p−hys_npを負側の電流履歴hys_nに加算した結果hys_n+Ib_p+hys_npを新たな負側の電流履歴hys_nと設定するが、このステップS4の動作を繰返すことにより、新たな負側の電流履歴hys_nが増加して(絶対値が減少して)負から正に変化することも想定される。したがって、負側の電流履歴hys_nが正になることがないようにするために、ステップS4において演算された新たな負側の電流履歴hys_nが正であると判定されたとき、新たな負側の電流履歴hys_nを零に設定することにしたものである。
【0094】
ステップS3において電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS7の後、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。
【0095】
ステップS3において電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きくないと判定されたとき、ステップS5を実行せずに負側の履歴減少電流hys_npを一定に保持することにしたのは、電流Ib_pが負側の履歴減少電流hys_np以下であるので、負側の履歴減少電流hys_npを電流Ib_pに応じて変える必要がないためである。そして、負側の履歴減少電流hys_npが一定に保持される結果、負側の電流履歴hys_nは変化しないので、ステップS4を実行しないことにしたものである。また、負側の電流履歴hys_nが一定に保持されると、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きくなることはないので、ステップS6およびS7も実行しないことにしたものである。
【0096】
ステップS8において、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きくないと判定されたとき、一連の動作はステップS10へ移行する。一方、ステップS8において、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きいと判定されたとき、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pを正側の電流履歴hys_pとして設定し、電流Ib_pからなる正側の電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する(ステップS9)。これは、図3において、電流Ib_pがピーク値P5またはP7に到達する場合に相当する。このように、正方向に流れる電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pを超えた場合に、正方向に流れる電流Ib_pを正側の電流履歴hys_pとして設定することにしたのは、正方向に流れる電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pを超えると、それまでの電流履歴が電流Ib_pによって消去され、新たな電流履歴が電流Ib_pによって生じるためである。
【0097】
そして、ステップS8において電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きくないと判定されたとき、演算手段24は、ステップS4またはS7において残留磁気検出手段22から受けた負側の電流履歴hys_nと、後述するステップS11〜S16の経路で検出された正側の電流履歴hys_pとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0098】
また、ステップS9の後、演算手段24は、ステップS4またはS7において残留磁気検出手段22から受けた負側の電流履歴hys_nと、ステップS9において残留磁気検出手段22から受けた正側の電流履歴hys_pとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0099】
そうすると、補正手段3は、電流検出手段1からの電流Ibと誤差検出手段2からの誤差ΔIbとを式(1)に代入して電流Ib_compを演算し、電流Ibを補正する(ステップS10)。これにより、一連の動作を一旦終了する。
【0100】
一方、ステップS1において、判定手段21は、電流Ibが負であると判定すると、電流Ib_nを残留磁気検出手段23へ出力する。
【0101】
残留磁気検出手段23は、負方向に流れる電流Ib_nを受けると、負側の履歴減少電流hys_npを零に設定し(ステップS11)、電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さいか否かを判定する(ステップS12)。電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さくないとき、一連の動作はステップS17へ移行する。
【0102】
一方、電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さいとき、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nと正側の履歴減少電流hys_pnとの電流差Ib_n−hys_pnを演算し、その演算した電流差Ib_n−hys_pnを正側の電流履歴hys_pに加算する。そして、残留磁気検出手段23は、正側の電流履歴hys_pに電流差Ib_n−hys_pnを加算した結果hys_p+Ib_n−hys_pnを新たな正側の電流履歴hys_pとして設定し、新たな正側の電流履歴hys_p+Ib_n−hys_pnを演算手段24へ出力する(ステップS13)。この場合、正側の電流履歴hys_pに電流差Ib_n−hys_pnを加算することは、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって正側の電流履歴hys_pを減少させることに相当する。
【0103】
そして、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nを履歴減少電流hys_pnとする(ステップS14)。これは、上述したステップS5における動作に対応する動作である。
【0104】
その後、残留磁気検出手段23は、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さいか否かを判定し(ステップS15)、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さくないとき、一連の動作はステップS17へ移行する。
【0105】
一方、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さいとき、残留磁気検出手段23は、正側の電流履歴hys_pを零に設定し、零に設定した正側の電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する(ステップS16)。正側の電流履歴hys_nが零よりも小さいときに正側の電流履歴hys_pを零に設定することにしたのは、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さいことは正側の電流履歴hys_pが負であることを意味し、正側の電流履歴hys_pが電流軸を正から負へ超えて履歴減少電流hys_pnによって減少されることがないようにするためである。
【0106】
つまり、ステップS13において、残留磁気検出手段23は、電流差Ib_n−hys_pnを正側の電流履歴hys_pに加算した結果hys_p+Ib_n+hys_pnを新たな正側の電流履歴hys_pと設定するが、このステップS13の動作を繰返すことにより、新たな正側の電流履歴hys_pが減少して正から負に変化することも想定される。したがって、正側の電流履歴hys_pが負になることがないようにするために、ステップS13において演算された新たな正側の電流履歴hys_pが負であると判定されたとき、新たな正側の電流履歴hys_pを零に設定することにしたものである。
【0107】
ステップS12において電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS16の後、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さいか否かを判定する(ステップS17)。
【0108】
ステップS12において電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さくないと判定されたとき、ステップS14を実行せずに正側の履歴減少電流hys_pnを一定に保持することにしたのは、電流Ib_nが正側の履歴減少電流hys_pn以下であるので、正側の履歴減少電流hys_pnを電流Ib_nに応じて変える必要がないためである。そして、正側の履歴減少電流hys_pnが一定に保持される結果、正側の電流履歴hys_pは変化しないので、ステップS13を実行しないことにしたものである。また、正側の電流履歴hys_pが一定に保持されると、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さくなることはないので、ステップS15およびS16も実行しないことにしたものである。
【0109】
ステップS17において、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくないと判定されたとき、一連の動作はステップS10へ移行する。一方、ステップS17において、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さいと判定されたとき、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nを負側の電流履歴hys_nとして設定し、電流Ib_nからなる負側の電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する(ステップS18)。これは、図3において、電流Ib_nがピーク値P6に到達する場合に相当する。このように、負方向に流れる電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくなった場合に、負方向に流れる電流Ib_nを負側の電流履歴hys_nとして設定することにしたのは、負方向に流れる電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくなると、それまでの電流履歴が電流Ib_nによって消去され、新たな電流履歴が電流Ib_nによって生じるためである。
【0110】
そして、ステップS17において電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくないと判定されたとき、演算手段24は、ステップS13またはS16において残留磁気検出手段23から受けた正側の電流履歴hys_pと、上述したステップS2〜S7の経路で検出された負側の電流履歴hys_nとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0111】
また、ステップS18の後、演算手段24は、ステップS13またはS16において残留磁気検出手段23から受けた正側の電流履歴hys_pと、ステップS18において残留磁気検出手段23から受けた負側の電流履歴hys_nとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0112】
そうすると、補正手段3は、電流検出手段1からの電流Ibと誤差検出手段2からの誤差ΔIbとを式(1)に代入して電流Ib_compを演算し、電流Ibを補正する(ステップS10)。そして、一連の動作が一旦終了する。
【0113】
上述したステップS1〜S18を繰返し実行することにより、検出された電流Ibが補正される。
【0114】
上述したように、ステップS3において、正方向に流れる電流Ib_pが負側の履歴減少電流hys_npよりも大きいか否かを判定し、その判定結果に応じて負側の電流履歴hys_nを検出することは、正方向に流れる電流Ib_pと負側の履歴減少電流hys_npとの関係に応じて負側の電流履歴hys_n(=負側の残留磁気)を検出することに相当する。
【0115】
そして、正方向に流れる電流Ib_pが負側の履歴減少電流hys_npよりも大きいとき、ステップS5において正方向に流れる電流Ib_pを負側の履歴減少電流hys_npと設定することは、正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を負側の履歴減少電流hys_np(=負側減少磁気)として検出することに相当する。
【0116】
また、ステップS12において、負方向に流れる電流Ib_nが正側の履歴減少電流hys_pnよりも小さいか否かを判定し、その判定結果に応じて正側の電流履歴hys_pを検出することは、負方向に流れる電流Ib_nと正側の履歴減少電流hys_pnとの関係に応じて正側の電流履歴hys_p(=正側の残留磁気)を検出することに相当する。
【0117】
そして、負方向に流れる電流Ib_nが正側の履歴減少電流hys_pnよりも小さいとき、ステップS14において負方向に流れる電流Ib_nを正側の履歴減少電流hys_pnと設定することは、負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を正側の履歴減少電流hys_pn(=正側減少磁気)として検出することに相当する。
【0118】
なお、誤差検出手段2および補正手段3における電流Ibの誤差を補正する動作は、実際にはCPU(Central Processing Unit)によって実行され、CPUは、図8に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図8に示すフローチャートに従って電流Ibの誤差を補正する。したがって、ROMは、図8に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
【0119】
また、図8に示すステップS10においては、演算手段24は、検出された正側の電流履歴hys_pと負側の電流履歴hys_nとの和hys_p+hys_nをk倍したものを誤差ΔIbとして演算するが、演算手段24は、誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係をマップとして保持していてもよい。
【0120】
図9は、誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係図である。図9を参照して、誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係は直線k1によって表わされる。演算手段24は、直線k1をマップとして保持しており、正側の電流履歴hys_pと負側の電流履歴hys_nとを受けると、和hys_p+hys_nを演算し、その演算した和hys_p+hys_nに対応する誤差ΔIbをマップ(直線k1)を参照して抽出してもよい。
【0121】
さらに、演算手段24は、図10に示す直線k2をマップとして保持していてもよい。図10は、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nと、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nによる影響との関係図である。
【0122】
図10を参照して、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nによる影響と、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nとの関係は、直線k2によって表わされる。演算手段24は、直線k2をマップとして保持している。そして、演算手段24は、正側の電流履歴hys_pと負側の電流履歴hys_nとを受けると、マップ(直線k2)を参照して正側の電流履歴hys_pによる影響度合V1と負側の電流履歴hys_nによる影響度合V2とを抽出し、その抽出した影響度合V1,V2の和V1+V2を誤差ΔIbとして演算する。
【0123】
さらに、上記においては、電流履歴hys_p,hys_nは、電流値として保持するとして説明したが、この発明においては、これに限らず、残留磁気による出力への影響に変換して保持してもよい。
【0124】
さらに、正側の電流履歴hys_pは、「正側残留磁気」を意味し、負側の電流履歴hys_nは、「負側残留磁気」を意味する。
【0125】
さらに、正側の履歴減少電流hys_pnは、「正側減少磁気」を意味し、負側の履歴減少電流hys_npは、「負側減少磁気」を意味する。
【0126】
この発明によれば、電流検出装置は、残留磁気が電流に与える誤差を検出する誤差検出手段と、誤差検出手段によって検出された誤差に基づいて電流値を補正する補正手段とを備えるので、残留磁気が電流に与える影響を考慮して電流値を補正できる。その結果、電流検出装置の検出精度を向上させることができる。
【0127】
[応用例]
以下、上述した電流検出装置10を用いた応用例について説明する。
【0128】
図11は、この発明による電流検出装置10を用いたモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【0129】
図11を参照して、モータ駆動装置200は、直流電源Bと、電圧センサー10Aと、温度センサー10Bと、システムリレーSR1,SR2と、コンデンサC1,C2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14,31と、電流センサー18,25,28と、制御装置30とを備える。
【0130】
交流モータM1,M2は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。あるいは、このモータはエンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
【0131】
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。リアクトルL1の一方端は直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。NPNトランジスタQ1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。そして、NPNトランジスタQ1のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタQ2のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配置されている。
【0132】
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17は、電源ラインとアースとの間に並列に設けられる。
【0133】
U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8から成る。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
【0134】
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。なお、モータとしては、3相の永久磁石モータの他には種々の公知なモータシステム、たとえば、直流モータ、交流インダクションモータなどを置換えてもよいことは言うまでもない。
【0135】
インバータ31は、インバータ14と同じ構成からなる。そして、インバータ31の各相アームの中間点は、交流モータM2の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM2も、交流モータM1と同じように、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がインバータ31のNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がインバータ31のNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がインバータ31のNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
【0136】
電流センサー18,25,28は、上述した電流検出装置10から成る。
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。電圧センサー10Aは、直流電源Bから出力される電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。温度センサー10Bは、直流電源Bの温度Tbを検出し、その検出した温度Tbを制御装置30へ出力する。
【0137】
システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からのH(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、制御装置30からのL(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。
【0138】
コンデンサC1は、直流電源Bから供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。
【0139】
昇圧コンバータ12は、コンデンサC1から供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWUを受けると、信号PWUによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。この場合、NPNトランジスタQ1は、信号PWUによってオフされている。
【0140】
また、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWDを受けると、コンデンサC2を介してインバータ14(または31)から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bを充電する。
【0141】
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12からの直流電圧をノードN1,N2を介して受ける。そして、コンデンサC2は、受けた直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14(または31)へ供給する。電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧Vcp(すなわち、昇圧コンバータ12の出力電圧=インバータ14,31への入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した電圧Vcpを制御装置30へ出力する。
【0142】
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMI1に基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TR1によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ14は、モータ駆動装置200が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMC1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0143】
インバータ31は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMI2に基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM2を駆動する。これにより、交流モータM2は、トルク指令値TR2によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ31は、モータ駆動装置200が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM2が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMC2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0144】
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0145】
電流センサー18は、直流電源Bを充放電するときの電流を検出する。そして、電流センサー18は、検出した電流を上述した方法により補正し、その補正した電流BCRTを制御装置30へ出力する。
【0146】
また、電流センサー25は、交流モータM1に流れるモータ電流を検出する。そして、電流センサー25は、検出したモータ電流を上述した方法により補正し、その補正したモータ電流MCRT1を制御装置30へ出力する。
【0147】
さらに、電流センサー28は、交流モータM2に流れるモータ電流を検出する。そして、電流センサー28は、検出したモータ電流を上述した方法により補正し、その補正したモータ電流MCRT2を制御装置30へ出力する。
【0148】
制御装置30は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数MRN1,MRN2を受け、電圧センサー10Aから電圧Vbを受け、電圧センサー13から出力電圧Vcpを受け、電流センサー25からモータ電流MCRT1を受け、電流センサー28からモータ電流MCRT2を受ける。そして、制御装置30は、出力電圧Vcp、モータ電流MCRT1およびトルク指令値TR1に基づいて、後述する方法によりインバータ14が交流モータM1を駆動するときにインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMI1を生成し、その生成した信号PWMI1をインバータ14へ出力する。
【0149】
また、制御装置30は、出力電圧Vcp、モータ電流MCRT2およびトルク指令値TR2に基づいて、後述する方法によりインバータ31が交流モータM2を駆動するときにインバータ31のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMI2を生成し、その生成した信号PWMI2をインバータ31へ出力する。
【0150】
さらに、制御装置30は、インバータ14(または31)が交流モータM1(またはM2)を駆動するとき、電圧Vb、出力電圧Vcp、トルク指令値TR1(またはTR2)、およびモータ回転数MRN1(またはMRN2)に基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWUを生成し、その生成した信号PWUを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0151】
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータM1またはM2で発電された交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMC1またはPWMC2を生成し、その生成した信号PWMC1をインバータ14へ出力し、信号PWMC2をインバータ31へ出力する。この場合、インバータ14,31のNPNトランジスタQ3〜Q8は、それぞれ信号PWMC1,PWMC2によってスイッチング制御される。これにより、インバータ14は、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給し、インバータ31は、交流モータM2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0152】
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14または31から供給された直流電圧を降圧するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1またはM2が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。この場合、制御装置30は、電流センサー18からの電流BCRTに基づいて、直流電源Bの残容量を後述する方法により演算する。そして、制御装置30は、演算した残容量に基づいて直流電源Bを充電可能な電力を演算し、直流電源Bに供給可能な電力が直流電源Bを充電可能な電力よりも小さい場合に信号PWDを生成する。
【0153】
図12は、図11に示す制御装置30の機能ブロック図である。図12を参照して、制御装置30は、モータトルク制御手段301と、電圧変換制御手段302とを含む。モータトルク制御手段301は、トルク指令値TR1,2、直流電源Bの出力電圧Vb、モータ電流MCRT1,2、モータ回転数MRN1,2および昇圧コンバータ12の出力電圧Vcpに基づいて、交流モータM1またはM2の駆動時、後述する方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWUと、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMI1と、インバータ31のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMI2とを生成し、その生成した信号PWUを昇圧コンバータ12へ出力し、信号PWMI1をインバータ14へ出力し、信号PWMI2をインバータ31へ出力する。
【0154】
電圧変換制御手段302は、回生制動時、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、電流センサー18からの電流BCRTと温度センサー10Bからの温度Tbとに基づいて、直流電源Bの残容量を演算する。そして、電圧変換制御手段302は、演算した残容量に基づいて、直流電源Bを充電可能な電力Pchgを演算する。また、電圧変換制御手段302は、電圧Vcp,Vbに基づいて、直流電源Bに供給可能な電力Pchb=C((Vcp)2−(Vb)2)/2(C:コンデンサC2の容量)を演算する。
【0155】
そうすると、電圧変換制御手段302は、電力Pchbを電力Pchgと比較し、電力Pchbと電力Pchgとの関係に応じて、電力Pchbのうち、直流電源Bを充電できる電力だけを直流電源Bに供給するように昇圧コンバータ12およびインバータ14,31を制御する。
【0156】
より具体的には、電圧変換制御手段302は、電力Pchbが電力Pchg以下であるとき、電力Pchbの全てを直流電源Bに供給するように昇圧コンバータ12およびインバータ14,31を制御し、電力Pchbが電力Pchgよりも大きいとき、電力Pchbのうち、電力Pchgに等しい電力を直流電源Bに供給するように昇圧コンバータ12およびインバータ14,31を制御する。
【0157】
したがって、電圧変換制御手段302は、信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータM1,M2が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMC1,2を生成してそれぞれインバータ14,31へ出力する。また、電圧変換制御手段302は、インバータ14,31から供給された直流電圧を降圧するための信号PWDを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。このように、昇圧コンバータ12は、直流電圧を降圧するための信号PWDにより電圧を降下させることもできるので、双方向コンバータの機能を有するものである。
【0158】
図13は、図12に示すモータトルク制御手段301の機能ブロック図である。図13を参照して、モータトルク制御手段301は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42と、インバータ入力電圧指令演算部50と、フィードバック電圧指令演算部52と、デューティー比変換部54とを含む。
【0159】
モータ制御用相電圧演算部40は、昇圧コンバータ12の出力電圧Vcp、すなわち、インバータ14,31への入力電圧を電圧センサー13から受け、交流モータM1,M2の各相に流れるモータ電流MCRT1,2をそれぞれ電流センサー25,28から受け、トルク指令値TR1,2を外部ECUから受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部40は、これらの入力される信号に基づいて、交流モータM1,M2の各相のコイルに印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部42へ供給する。インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40から受けた計算結果に基づいて、実際にインバータ14,31の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWMI1,2を生成し、その生成した信号PWMI1,2をそれぞれインバータ14,31の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
【0160】
これにより、インバータ14,31の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1,M2が指令されたトルクを出力するように交流モータM1,M2の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TR1,2に応じたモータトルクが出力される。
【0161】
一方、インバータ入力電圧指令演算部50は、トルク指令値TR1,2およびモータ回転数MRN1,2に基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)、すなわち、電圧指令を演算し、その演算した電圧指令をフィードバック電圧指令演算部52へ出力する。
【0162】
フィードバック電圧指令演算部52は、電圧センサー13からの電圧Vcpと、インバータ入力電圧指令演算部50からの電圧指令とに基づいて、フィードバック電圧指令を演算し、その演算したフィードバック電圧指令をデューティー比変換部54へ出力する。
【0163】
デューティー比変換部54は、電圧センサー10Aからのバッテリ電圧Vbと、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令とに基づいて、電圧センサー13からの電圧Vcpを、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令に設定するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比に基づいて昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWUを生成する。そして、デューティー比変換部54は、生成した信号PWUを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
【0164】
なお、昇圧コンバータ12の下側のNPNトランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルL1における電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のNPNトランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインの電圧が下がる。そこで、NPNトランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインの電圧を直流電源Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御可能である。
【0165】
直流電源Bの残容量を求める方法について説明する。電圧変換制御手段302は、電流センサー18からの電流BCRTを積算し、その積算値に基づいて直流電源Bの現在の容量SOC(State Of Charge)を推定する。そして、電圧変換制御手段302は、積算した積算値を温度センサー10Bからの温度Tbによって補正することにより直流電源Bの残容量を検出する。
【0166】
電流センサー18からの電流BCRTを積算した積算値を温度Tbにより補正するのは次の理由による。直流電源Bの出力電圧Vbおよび容量SOCは、図14に示す関係を満たす。すなわち、出力電圧Vbと容量SOCとの関係は、直流電源Bの温度Tbによって曲線k3〜k5のように変化する。特に、容量SOCが満充電量の20〜80%になるときの電圧Vbと容量SOCとの関係は直流電源Bの温度Tbによって大きく変化する。したがって、電流BCRTを積算した積算値は、電流BCRTが直流電源Bから流れ出るときは直流電源Bから放電された容量を意味し、電流BCRTが直流電源Bに供給されるときは直流電源Bが充電された容量を意味するので、積算値から推定した現在の容量SOCが満充電量の20〜80%の範囲に入るとき、その推定した現在の容量SOCが曲線k3〜k5のいずれの曲線にのるかを温度Tbによって補正する必要があるからである。
【0167】
電圧変換制御手段302は、図14に示す電圧Vbと容量SOCとの曲線k3〜k5をマップとして保持しており、電流センサー18からの電流BCRTを積算し、その積算した積算値を温度Tbによって補正して直流電源Bの残容量を求める。そして、電圧変換制御手段302は、その求めた残容量と満充電量との差を、直流電源Bを充電可能な電力Pchgとして演算する。
【0168】
再び、図11を参照して、モータ駆動装置200における全体動作について説明する。全体の動作が開始されると、制御装置30は、Hレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,2へ出力し、システムリレーSR1,2がオンされる。直流電源Bは直流電圧をシステムリレーSR1,SR2を介して昇圧コンバータ12へ出力する。
【0169】
電圧センサー10Aは、直流電源Bから出力される電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。また、電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧Vcpを検出し、その検出した電圧Vcpを制御装置30へ出力する。さらに、電流センサー18は、直流電源Bから流出または流入する電流BCRTを検出して制御装置30へ出力し、温度センサー10Bは直流電源Bの温度Tbを検出して制御装置30へ出力する。さらに、電流センサー25は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRT1を検出して制御装置30へ出力し、電流センサー28は、交流モータM2に流れるモータ電流MCRT2を検出して制御装置30へ出力する。そして、制御装置30は、外部ECUからトルク指令値TR1,2、およびモータ回転数MRN1,2を受ける。
【0170】
そうすると、制御装置30は、電圧Vcp,Vb、モータ電流MCRT1、トルク指令値TR1およびモータ回転数MRN1に基づいて、上述した方法により信号PWMI1を生成し、その生成した信号PWMI1をインバータ14へ出力する。また、制御装置30は、電圧Vcp,Vb、モータ電流MCRT2、トルク指令値TR2およびモータ回転数MRN2に基づいて、上述した方法により信号PWMI2を生成し、その生成した信号PWMI2をインバータ31へ出力する。さらに、制御装置30は、インバータ14(または31)が交流モータM1(またはM2)を駆動するとき、電圧Vcp,Vb、トルク指令値TR1(またはTR2)、およびモータ回転数MRN1(またはMRN2)に基づいて、上述した方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWUを生成し、その生成した信号PWUを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0171】
そうすると、昇圧コンバータ12は、信号PWUに応じて、直流電源Bからの直流電圧を昇圧し、その昇圧した直流電圧をノードN1,N2を介してコンデンサC2に供給する。そして、インバータ14は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を制御装置30からの信号PWMI1によって交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。また、インバータ31は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を制御装置30からの信号PWMI2によって交流電圧に変換して交流モータM2を駆動する。これによって、交流モータM1は、トルク指令値TR1によって指定されたトルクを発生し、交流モータM2は、トルク指令値TR2によって指定されたトルクを発生する。
【0172】
また、モータ駆動装置200が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、制御装置30は、外部ECUから信号RGEを受け、その受けた信号RGEに応じて、信号PWMC1,2を生成してそれぞれインバータ14,31へ出力し、信号PWDを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
【0173】
そうすると、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を信号PWMC1に応じて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。また、インバータ31は、交流モータM2が発電した交流電圧を信号PWMC2に応じて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。そして、昇圧コンバータ12は、コンデンサC2からの直流電圧をノードN1,N2を介して受け、その受けた直流電圧を信号PWDによって降圧し、その降圧した直流電圧を直流電源Bに供給する。これにより、交流モータM1またはM2によって発電された電力が直流電源Bに充電される。
【0174】
電流センサー18,25,28は、モータ駆動装置200が交流モータM1,M2を駆動するとき、それぞれ、電流BCRT、モータ電流MCRT1およびモータ電流MCRT2を、ヒステリシスによる誤差を補正して検出する。そして、制御装置30は、電流センサー18からの電流BCRTに基づいて、直流電源Bの残容量を演算し、モータ電流MCRT1に基づいてインバータ14を駆動するときの信号PWMI1を生成し、モータ電流MCRT2に基づいてインバータ31を駆動する信号PWMI2を生成する。
【0175】
したがって、直流電源Bに入出力する電流、交流モータM1,M2に流れるモータ電流を、上述した方法により精度良く検出することにより、モータ駆動装置200は、交流モータM1,M2を正確に駆動できる。
【0176】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による電流検出装置の機能ブロック図である。
【図2】図1に示す誤差検出手段2の機能ブロック図である。
【図3】電流Ib、電流履歴hys_n,hys_pおよび履歴減少電流hys_np,hys_pnのタイミングチャートである。
【図4】正方向に流れる電流Ib_pおよび履歴減少電流hys_npのタイミングチャートである。
【図5】負方向に流れる電流Ib_nおよび履歴減少電流hys_pnのタイミングチャートである。
【図6】図3に示す領域Aの拡大図である。
【図7】図6に示す領域Bの拡大図である。
【図8】電流の誤差を補正する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係図である。
【図10】正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nと、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nによる影響との関係図である。
【図11】この発明による電流検出装置を用いたモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【図12】図11に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図13】図12に示すモータトルク制御手段の機能ブロック図である。
【図14】図11に示す直流電源の出力電圧と電池容量との関係図である。
【図15】特開平6−222083号公報に開示された補償部の構成図である。
【図16】ホール素子のヒステリシス特性を示す図である。
【符号の説明】
1 電流検出手段、2 誤差検出手段、3 補正手段、10 電流検出装置、10A,13 電圧センサー、10B 温度センサー、12 昇圧コンバータ、14,31,150 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17W相アーム、18,25,28 電流センサー、21 判定手段、22,23残留磁気検出手段、24 演算手段、30 制御装置、100 補償部、110 極性判別部、120 特性記憶部、130 合成記憶部、131 オフセット記憶部、132 合成部、133 スイッチ、134,135 接点、136加算器、140 ベクトル演算部、160 ホール素子、170 誘導電動機、200 モータ駆動装置、301 モータトルク制御手段、302 電圧変換制御手段、SR1,SR2 システムリレー、L1 リアクトル、C1,C2 コンデンサ、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード、M1,M2 交流モータ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電流が流れたときの残留磁気に基づいて誤差を補正して電流を検出する電流検出装置および電流の誤差の補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が大きな注目を集めている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
【0003】
このハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、ハイブリッド自動車は、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0004】
また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。そして、電気自動車は、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0005】
このように、ハイブリッド自動車および電気自動車においては、インバータは、直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によってモータを駆動する。そして、インバータは、モータが所定のトルクを出力するようにパルス幅変調(Pulse Width Modulation)により直流電圧を交流電圧に変換する。つまり、インバータは、PWM制御によりモータを駆動する。
【0006】
インバータがパルス幅変調により直流電圧を交流電圧に変換する場合、モータの各相に流れているモータ電流を検出する必要がある。そして、インバータが電流を直流から制御する必要があるなどの理由により、モータ電流を検出する電流検出装置としてホール素子が使用されている。
【0007】
しかし、ホール素子は、鉄心を有しているために、残留磁気およびヒステリシスの影響が問題である。そこで、ホール素子のヒステリシスとオフセットを補償する技術が特開平6−222083号公報に開示されている。図15は、特開平6−222083号公報に開示された補償部の構成図である。
【0008】
図15を参照して、補償部100は、極性判別部110と、特性記憶部120と、合成記憶部130とを備える。極性判別部110は、ベクトル演算部140からの電流指令I_comに基づいて、PWM制御における次回制御時において誘導電動機170に流す電流の極性を判別し、その判別した判別結果を特性記憶部120へ出力する。
【0009】
特性記憶部120は、ホール素子160に接続され、ホール素子160の特性を記憶する。より具体的には、特性記憶部120は、図16に示すようなヒステリシス特性を記憶する。そして、特性記憶部120は、極性判別部110からの極性に応じてヒステリシスΔVまたは−ΔVを図16に示すヒステリシス特性から検出して合成記憶部130へ出力する。
【0010】
合成記憶部130は、オフセット記憶部131と、合成部132とを含む。オフセット記憶部131は、スイッチ133を有する。合成部132は、加算器136を有する。
【0011】
オフセット記憶部131は、ホール素子160に接続される。そして、オフセット記憶部131は、インバータ150の制御が遮断状態にあるとき、すなわち、スイッチ133がインバータ150の制御を遮断する制御遮断指令に応じて接点134に接続されると、ホール素子160のオフセット値を読込む。また、オフセット記憶部131は、インバータ150が制御状態にあるとき、すなわち、スイッチ133がインバータ150を制御する制御指令に応じて接点135に接続されると、ホール素子160のオフセット値の読込みを中止する。
【0012】
合成部132の加算器136は、特性記憶部120からのヒステリシスΔVまたは−ΔVとオフセット記憶部131からのオフセット値とを加算し、その加算結果をベクトル演算部140へ出力する。
【0013】
インバータ150が制御遮断状態にあると、スイッチ133は接点134に接続され、オフセット記憶部131は、ホール素子160のオフセット値を読込む。そして、インバータ150の制御指令が出されると、スイッチ133は接点135に接続され、オフセット記憶部131は、ホール素子160のオフセット値の読込みを中止する。
【0014】
一方、ベクトル演算部140は、電流指令I_comを極性判別部110へ出力する。極性判別部110は、ベクトル演算部140からの電流指令I_comに基づいて、次回演算時における電流極性が正か負かを判別する。そして、極性判別部110は、電流極性が正であると判別すると、ΔVのヒステリシスを検出して加算器136へ出力し、電流極性が負であると判別すると、−ΔVのヒステリシスを検出して加算器136へ出力する。
【0015】
そうすると、加算器136は、特性記憶部120からのヒステリシスΔVまたは−ΔVとオフセット記憶部131からのオフセット値とを加算する。すなわち、ヒステリシスΔVまたは−ΔVと、ホール素子160のオフセット値とが補償された電流がベクトル演算部140へ出力される。
【0016】
ベクトル演算部140は、補償された電流に基づいて、次回制御時における電流指令を演算し、その演算した電流指令をインバータ150へ出力する。そして、インバータ150は、ベクトル演算部140からの電流指令に基づいて、誘導電動機170を駆動する。
【0017】
【特許文献1】
特開平6−222083号公報
【0018】
【特許文献2】
特開2002−207052号公報
【0019】
【特許文献3】
特開2002−207053号公報
【0020】
【特許文献4】
特開2001−327002号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平6−222083号公報に開示された技術は、残留磁気(ヒステリシス履歴)の電流値への影響を考慮してホール素子によって検出された電流を補償するものではないため、補償の精度が低いという問題がある。
【0022】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、精度の高い電流検出装置を提供することである。
【0023】
また、この発明の別の目的は、電流の誤差の精度の高い補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によれば、電流検出装置は、測定される電流の磁気により電流を検出する電流検出装置であって、誤差検出手段と、補正手段とを備える。誤差検出手段は、電流が流れたときの残留磁気に基づいて電流の誤差を検出する。補正手段は、誤差検出手段により検出された誤差に基づいて電流を補正する。
【0025】
好ましくは、誤差検出手段は、電流が正方向に流れたときの正側残留磁気と電流が負方向に流れたときの負側残留磁気とに基づいて誤差を検出する。
【0026】
好ましくは、誤差検出手段は、正側残留磁気と負側残留磁気との和に応じた大きさを有する誤差を検出する。
【0027】
好ましくは、誤差検出手段は、正方向に流れた電流値に応じて負側残留磁気を検出し、負方向に流れた電流値に応じて正側残留磁気を検出する。
【0028】
好ましくは、誤差検出手段は、第1および第2の残留磁気検出手段と、演算手段とを含む。第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に基づいて負側残留磁気を減少させる負側減少磁気を検出し、その検出した負側減少磁気に基づいて負側残留磁気を検出する。第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に基づいて正側残留磁気を減少させる正側減少磁気を検出し、その検出した正側減少磁気に基づいて正側残留磁気を検出する。演算手段は、正側残留磁気と負側残留磁気とに基づいて誤差を演算する。
【0029】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、検出した負側減少磁気と正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気との関係に応じて負側残留磁気を検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、検出した正側減少磁気と負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気との関係に応じて正側残留磁気を検出する。
【0030】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きいとき、正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を負側減少磁気として検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さいとき、負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を正側減少磁気として検出する。
【0031】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と負側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された負側残留磁気との和を負側残留磁気として検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と正側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された正側減少磁気との和を正側残留磁気として検出する。
【0032】
好ましくは、第1の残留磁気検出手段は、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きくないとき、既に検出された負側残留磁気を負側残留磁気として検出する。また、第2の残留磁気検出手段は、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さくないとき、既に検出された正側残留磁気を正側残留磁気として検出する。
【0033】
また、この発明によれば、測定される電流の磁気により検出された電流の誤差の補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、電流が流れたときの残留磁気に基づいて誤差を検出する第1のステップと、検出された誤差に基づいて電流を補正する第2のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0034】
好ましくは、第1のステップは、電流が正方向に流れたときの正側残留磁気を検出する第1のサブステップと、電流が負方向に流れたときの負側残留磁気を検出する第2のサブステップと、検出された正側残留磁気および負側残留磁気とに基づいて誤差を検出する第3のサブステップとを含む。
【0035】
好ましくは、第3のサブステップは、正側残留磁気と負側残留磁気との和に応じた大きさを有する誤差を検出する。
【0036】
好ましくは、第1のサブステップは、正側残留磁気を減少させる正側減少磁気を検出するステップAと、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と検出された正側減少磁気との関係に応じて正側残留磁気を検出するステップBとを含む。
【0037】
また、第2のサブステップは、負側残留磁気を減少させる負側減少磁気を検出するステップCと、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と検出された負側減少磁気との関係に応じて負側残留磁気を検出するステップDとを含む。
【0038】
好ましくは、ステップBは、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さくないとき、既に検出された正側残留磁気を正側残留磁気として検出するステップB1と、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が正側減少磁気よりも小さいとき、負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と正側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された正側残留磁気との和を正側残留磁気として検出するステップB2とを含む。
【0039】
また、ステップDは、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きくないとき、既に検出された負側残留磁気を負側残留磁気として検出するステップD1と、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が負側減少磁気よりも大きいとき、正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と負側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された負側残留磁気との和を負側残留磁気として検出するステップD2とを含む。
【0040】
好ましくは、第1のサブステップは、正側減少磁気が負であるとき正側減少磁気を零に設定するステップEをさらに含む。第2のサブステップは、負側減少磁気が正であるとき負側減少磁気を零に設定するステップFをさらに含む。
【0041】
好ましくは、ステップAは、負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を正側減少磁気として検出する。ステップCは、正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を負側減少磁気として検出する。
【0042】
好ましくは、第1のステップは、負方向に流れる電流に対応する磁気が負側残留磁気よりも小さいとき、負方向に流れる電流に対応する磁気を負側残留磁気と設定する第4のサブステップと、正方向に流れる電流に対応する磁気が正側残留磁気よりも大きいとき、正方向に流れる電流に対応する磁気を正側残留磁気と設定する第5のサブステップとをさらに含む。
【0043】
この発明においては、残留磁気の電流への影響を考慮して、検出された電流値が補正される。
【0044】
より具体的には、負方向に流れた電流に応じて正側の残留磁気を減少させ、正方向に流れた電流に応じて負側の残留磁気を減少させることにより、正側の残留磁気および負側の残留磁気を演算する。そして、演算された正側の残留磁気および負側の残留磁気に基づいて誤差を演算することにより残留磁気の電流への影響が考慮される。そして、誤差を用いて電流値が補正される。
【0045】
したがって、この発明によれば、電流検出装置の精度を向上できる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0047】
図1は、この発明による電流検出装置の機能ブロック図である。図1を参照して、電流検出装置10は、電流検出手段1と、誤差検出手段2と、補正手段3とを備える。電流検出装置10は、ホール素子型電流センサーからなる。そして、電流検出装置10は、たとえば、直流電圧を出力するバッテリ側に設けられる。
【0048】
電流検出手段1は、バッテリ(図示せず)の電源ラインに流れる電流Ibを検出し、その検出した電流Ibを誤差検出手段2および補正手段3へ出力する。
【0049】
誤差検出手段2は、電流検出手段1からの電流Ibに基づいて、後述する方法によって電流Ibの誤差ΔIbを検出し、その検出した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0050】
補正手段3は、誤差検出手段2からの誤差ΔIbに基づいて、次式により電流検出手段1からの電流Ibを補正し、補正した電流Ib_compを出力する。
【0051】
Ib_comp=ΔIb+Ib・・・(1)
図2は、図1に示す誤差検出手段2の機能ブロック図である。図2を参照して、誤差検出手段2は、判定手段21と、残留磁気検出手段22,23と、演算手段24とを含む。
【0052】
判定手段21は、電流検出手段1から電流Ibを受け、その受けた電流Ibが正方向に流れる電流であるか負方向に流れる電流であるかを判定する。そして、判定手段21は、電流Ibが正方向に流れる電流であると判定したとき、正方向に流れる電流Ib_pを残留磁気検出手段22へ出力する。また、判定手段21は、電流Ibが負方向に流れる電流であると判定したとき、負方向に流れる電流Ib_nを残留磁気検出手段23へ出力する。
【0053】
残留磁気検出手段22は、電流Ib_pに応じて、後述する方法によって電流が正方向に流れたときの負側の電流履歴hys_n(負側の残留磁気を意味する。)を検出し、その検出した電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する。また、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_p(正側の残留磁気を意味する。)よりも大きいとき電流Ib_pを正側の電流履歴hys_pとして検出し、その検出した電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する。
【0054】
残留磁気検出手段23は、電流Ib_nに応じて、後述する方法によって電流が負方向に流れたときの正側の電流履歴hys_pを検出し、その検出した電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する。また、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さいとき(電流Ib_nの絶対値が電流履歴hys_nの絶対値よりも大きいとき)電流Ib_nを電流履歴hys_nとして検出し、その検出した電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する。
【0055】
演算手段24は、残留磁気検出手段22,23から受けた電流履歴hys_n,hys_pに基づいて、次式により誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0056】
ΔIb=k(hys_n+hys_p)・・・(2)
ただし、kは定数である。
【0057】
図3は、電流Ib、電流履歴hys_n,hys_pおよび履歴減少電流hys_np,hys_pnのタイミングチャートである。図3を参照して、電流Ibは、時間の経過とともに正方向および負方向に流れる。履歴減少電流hys_npは、正方向に流れた電流Ib_pに応じて負側の電流履歴hys_nを減少させる電流である。また、履歴減少電流hys_pnは、負方向に流れた電流Ib_nに応じて正側の電流履歴hys_pを減少させる電流である。
【0058】
履歴減少電流hys_npは、正方向に流れる電流Ib_pが大きくなるとともに増加し、電流Ib_pがピーク値P1を通過すると電流Ibの極性が正方向から負方向に切換わるタイミングt1までピーク値P1を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、電流Ibの極性がタイミングt2で負方向から正方向に切換わると、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P2を通過すると電流Ibの極性が正方向から負方向に切換わるタイミングt3までピーク値P2を保持する。以後、履歴減少電流hys_npは、同様にして正方向に流れる電流Ib_pに応じた電流値を有する。
【0059】
履歴減少電流hys_pnは、負方向に流れる電流Ib_nが減少するとともに減少(絶対値が増加)し、すなわち、電流Ib_nの絶対値が大きくなるとともに減少し(絶対値が増加)、電流Ib_nがピーク値P3を通過すると電流Ibの極性が負方向から正方向に切換わるタイミングt2までピーク値P3を保持する。そして、履歴減少電流hys_pnは、電流Ibの極性がタイミングt3で正方向から負方向に切換わると、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少(絶対値が増加)し、電流Ib_nがピーク値P4を通過すると、電流Ibの極性が負方向から正方向に切換わるタイミングt4までピーク値P4を保持する。以後、履歴減少電流hys_pnは、同様にして負方向に流れる電流Ib_nに応じた電流値を有する。
【0060】
このように、履歴減少電流hys_npは、電流Ibの極性が負方向から正方向に切換わるとリセットされ、正方向に流れる電流Ib_pの増加に伴って増加する。また、履歴減少電流hys_pnは、電流Ibの極性が正方向から負方向に切換わるとリセットされ、負方向に流れる電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対体の増加)に伴って減少(絶対値が増加)する。
【0061】
図4は、正方向に流れる電流Ib_pおよび履歴減少電流hys_npのタイミングチャートである。図4を参照して、履歴減少電流hys_npの他の特徴について説明する。履歴減少電流hys_npは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値PAを通過するとピーク値PAを保持する。その後、電流Ib_pがピーク値PBを通過するが、ピーク値PBはピーク値PAよりも小さいので、履歴減少電流hys_npは、ピーク値PAを保持したままである。そして、その後、電流Ib_pがピーク値PCまで増加すると、ピーク値PCはピーク値PAよりも大きいので、履歴減少電流hys_npは、電流Ib_pがピーク値PAを超えると電流Ib_pの増加に伴ってピーク値PCまで増加し、ピーク値PCを保持する。
【0062】
このように、履歴減少電流hys_npは、電流Ibが正方向で増減する場合、電流Ib_pの増加に伴って最初のピーク値まで増加して最初のピーク値を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、最初のピーク値よりも小さい範囲で電流Ib_pが増減してピーク値が現れても最初のピーク値を継続して保持し、最初のピーク値を越えるピーク値が現れると、電流Ib_pの増加に伴って増加し、最初のピーク値を越えるピーク値を保持する。
【0063】
図5は、負方向に流れる電流Ib_nおよび履歴減少電流hys_pnのタイミングチャートである。図5を参照して、履歴減少電流hys_pnの他の特徴について説明する。履歴減少電流hys_pnは、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少(絶対値が増加)し、電流Ib_nがピーク値PDを通過するとピーク値PDを保持する。その後、電流Ib_nがピーク値PEを通過するが、ピーク値PEはピーク値PDよりも大きいので、履歴減少電流hys_pnは、ピーク値PDを保持したままである。そして、その後、電流Ib_nがピーク値PFまで減少すると、ピーク値PFはピーク値PDよりも小さいので、履歴減少電流hys_pnは、電流Ib_nがピーク値PDよりも減少すると電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴ってピーク値PFまで減少し、ピーク値PFを保持する。
【0064】
このように、履歴減少電流hys_pnは、電流Ibが負方向で増減する場合、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って最初のピーク値まで減少して最初のピーク値を保持する。そして、履歴減少電流hys_pnは、最初のピーク値よりも大きい範囲で電流Ib_nが増減してピーク値が現れても最初のピーク値を継続して保持し、最初のピーク値よりも小さいピーク値が現れると、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少し、最初のピーク値よりも小さいピーク値を保持する。
【0065】
再び、図3を参照して、電流履歴hys_pは、電流Ibが正方向に流れたときに履歴として残る電流であり、電流履歴hys_nは、電流Ibが負方向に流れたときに履歴として残る電流である。そして、履歴減少電流hys_pnは、電流履歴hys_pを減少させ、履歴減少電流hys_npは、電流履歴hys_nを減少させる。
【0066】
電流減少電流hys_pnは、タイミングt1まで零であるので、電流履歴hys_pは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P1を通過すると、ピーク値P1を保持する。タイミングt1からタイミングt2までの間、電流Ibが負方向に流れるので、電流履歴hys_pは、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって減少する。
【0067】
より具体的には、電流履歴hys_pは、タイミングt1の後、履歴減少電流hys_pnの減少に伴って減少し、履歴減少電流hys_pnがピーク値P3に到達すると、履歴減少電流hys_pnがピーク値P3を保持することに応じて一定値を保持する。
【0068】
そして、電流Ibは、タイミングt2からタイミングt3までの間、正方向に流れるので、電流履歴hys_pは、一定値を保持する。その後、電流Ibがタイミングt3で正方向から負方向に切換わると、電流履歴hys_pは、履歴減少電流hys_pnの減少に伴って減少し、履歴減少電流hys_pnがピーク値P4に到達すると、履歴減少電流hys_pnがピーク値P4を保持することに応じて一定値を保持する。
【0069】
タイミングt4の後、電流履歴hys_pは、同様にして履歴減少電流hys_pnによって減少させられる。そして、正方向に流れる電流Ib_pがタイミングt5で電流履歴hys_pを越えると、電流履歴hys_pは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P5に到達するとピーク値P5を保持する。
【0070】
その後、電流Ibがタイミングt6からタイミングt7までの間、負方向に流れると、電流履歴hys_pは、履歴減少電流hys_pnの減少に伴って減少し、履歴減少電流hys_pnがピーク値P6に到達すると一定値を保持する。そして、正方向に流れる電流Ib_pがタイミングt8で電流履歴hys_pを越えると、電流履歴hys_pは、電流Ib_pの増加に伴って増加し、電流Ib_pがピーク値P7に到達するとピーク値P7を保持する。
【0071】
一方、電流減少電流hys_npは、タイミングt1からタイミングt2まで零であるので、電流履歴hys_nは、電流Ib_nの減少に伴って減少し、電流Ib_nがピーク値P3を通過すると、ピーク値P3を保持する。タイミングt2からタイミングt3までの間、電流Ibが正方向に流れるので、電流履歴hys_nは、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって増加する。つまり、電流履歴hys_nの絶対値は、タイミングt2からタイミングt3までの間、履歴減少電流hys_npによって減少する。
【0072】
より具体的には、電流履歴hys_nの絶対値は、タイミングt2の後、履歴減少電流hys_npの増加に伴って減少し、履歴減少電流hys_npがピーク値P2に到達すると、履歴減少電流hys_npがピーク値P2を保持することに応じて一定値を保持する。
【0073】
そして、電流Ibは、タイミングt3からタイミングt4までの間、負方向に流れるので、電流履歴hys_nは、一定値を保持する。その後、電流Ibがタイミングt4で負方向から正方向に切換わると、電流履歴hys_nの絶対値は、履歴減少電流hys_npの増加に伴って減少し、履歴減少電流hys_npがピーク値P8に到達すると、履歴減少電流hys_npがピーク値P8を保持することに応じて一定値を保持する。
【0074】
その後、電流履歴hys_nの絶対値は、同様にして履歴減少電流hys_npによって減少させられる。そして、負方向に流れる電流Ib_nがタイミングt9で電流履歴hys_nを越えると、電流履歴hys_nは、電流Ib_nの減少(電流Ib_nの絶対値の増加)に伴って減少(絶対値が増加)し、電流Ib_nがピーク値P6に到達するとピーク値P6を保持する。
【0075】
このように、電流履歴hys_pは、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって減少させられ、電流履歴hys_nの絶対値は、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって減少させられる。
【0076】
したがって、この発明においては、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって負側の電流履歴hys_nを減少させ、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって正側の電流履歴hys_pを減少させることを特徴とする。
【0077】
図6は、図3に示す領域Aの拡大図である。図6を参照して、履歴減少電流hys_npは、電流Ibがタイミングt2で負方向から正方向に切換わると、電流Ib_pの増加に伴って増加する。この場合、履歴減少電流hys_npは、電流Ib_pに追従するので、同じタイミングにおいては電流Ib_pよりも小さい。
【0078】
負側の電流履歴hys_nの絶対値は、履歴減少電流hys_npがタイミングt2で増加し始めると、履歴減少電流hys_npの増加に応じて減少する。そして、負側の電流履歴hys_nは、履歴減少電流hys_npがピーク値P2に到達すると、一定値を保持する。
【0079】
図7は、図6に示す領域Bの拡大図である。図7を参照して、タイミングt2で電流Ibは負方向から正方向に切換わり、電流Ib_pは、ステップ状に増加する。
【0080】
タイミングt2で電流Ib_pが一定量増加し、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−1まで従来の値を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−1で電流Ib_p1に一致する。
【0081】
そうすると、電流差ΔIb_p1=Ib_p1−hys_npが、タイミングt2−1で演算され、負側の電流履歴hys_nに加算される。これにより、電流履歴hys_nの絶対値は、電流差ΔIb_p1分だけ減少する。
【0082】
その後、電流Ib_pは、タイミングt2−2で一定量増加し、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−3まで従来の値を保持する。そして、履歴減少電流hys_npは、タイミングt2−3で電流Ib_p2に一致する。
【0083】
そうすると、電流差ΔIb_p2=Ib_p2−hys_np(=Ib_p1)が、タイミングt2−3で演算され、負側の電流履歴hys_nに加算される。これにより、電流履歴hys_nの絶対値は、電流差ΔIb_p2分だけ減少する。
【0084】
それ以後、同様にして電流差ΔIb_p3,ΔIb_p4が演算され、それぞれ、タイミングt2−5,t2−7で負側の電流履歴hys_nに加算される。そして、電流履歴hys_nの絶対値は、電流差ΔIb_p3,ΔIb_p4だけ減少する。
【0085】
このようにして、負側の電流履歴hys_nの絶対値は、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって減少させられる。正側の電流履歴hys_pについても負側の電流履歴hys_nと同様に演算される。
【0086】
そして、上述した方法によって正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが演算される。正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが演算されると、正側の電流履歴hys_pおよび負側の電流履歴hys_nが式(2)に代入され、誤差ΔIbが演算される。
【0087】
図8は、電流Ibの誤差を補正する動作を説明するためのフローチャートである。図8を参照して、一連の動作が開始されると、判定手段21は、電流検出手段1により検出された電流Ibが正か否かを判定する(ステップS1)。そして、判定手段21は、電流Ibが正であると判定すると、電流Ib_pを残留磁気検出手段22へ出力する。
【0088】
残留磁気検出手段22は、正方向に流れる電流Ib_pを受けると、正側の履歴減少電流hys_pnを零に設定し(ステップS2)、電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きいか否かを判定する(ステップS3)。電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きくないとき、一連の動作はステップS8へ移行する。
【0089】
一方、電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きいとき、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pと負側の履歴減少電流hys_npとの電流差Ib_p−hys_npを演算し、その演算した電流差Ib_p−hys_npを負側の電流履歴hys_nに加算する。そして、残留磁気検出手段22は、負側の電流履歴hys_nに電流差Ib_p−hys_npを加算した結果hys_n+Ib_p−hys_npを新たな負側の電流履歴hys_nとして設定し、新たな負側の電流履歴hys_n+Ib_p−hys_npを演算手段24へ出力する(ステップS4)。この場合、負側の電流履歴hys_nに電流差Ib_p−hys_npを加算することは、図7において説明したように、正方向に流れた電流Ib_pに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_npによって負側の電流履歴hys_nの絶対値を減少させることに相当する。
【0090】
そして、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pを履歴減少電流hys_npとする(ステップS5)。これは、図7において説明したように、履歴減少電流hys_npがタイミングt2−2,t2−3,t2−5,t2−7においてそれぞれ電流Ib_p1,Ib_p2,Ib_p3,Ib_p4に一致することに相当する。
【0091】
その後、残留磁気検出手段22は、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいか否かを判定し(ステップS6)、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きくないとき、一連の動作はステップS8へ移行する。
【0092】
一方、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいとき、残留磁気検出手段22は、負側の電流履歴hys_nを零に設定し、零に設定した負側の電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する(ステップS7)。負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいときに負側の電流履歴hys_nを零に設定することにしたのは、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きいことは負側の電流履歴hys_nが正であることを意味し、負側の電流履歴hys_nが電流軸を負から正へ超えて履歴減少電流hys_npによって減少されることがないようにするためである。
【0093】
つまり、ステップS4において、残留磁気検出手段22は、電流差Ib_p−hys_npを負側の電流履歴hys_nに加算した結果hys_n+Ib_p+hys_npを新たな負側の電流履歴hys_nと設定するが、このステップS4の動作を繰返すことにより、新たな負側の電流履歴hys_nが増加して(絶対値が減少して)負から正に変化することも想定される。したがって、負側の電流履歴hys_nが正になることがないようにするために、ステップS4において演算された新たな負側の電流履歴hys_nが正であると判定されたとき、新たな負側の電流履歴hys_nを零に設定することにしたものである。
【0094】
ステップS3において電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS7の後、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。
【0095】
ステップS3において電流Ib_pが履歴減少電流hys_npよりも大きくないと判定されたとき、ステップS5を実行せずに負側の履歴減少電流hys_npを一定に保持することにしたのは、電流Ib_pが負側の履歴減少電流hys_np以下であるので、負側の履歴減少電流hys_npを電流Ib_pに応じて変える必要がないためである。そして、負側の履歴減少電流hys_npが一定に保持される結果、負側の電流履歴hys_nは変化しないので、ステップS4を実行しないことにしたものである。また、負側の電流履歴hys_nが一定に保持されると、負側の電流履歴hys_nが零よりも大きくなることはないので、ステップS6およびS7も実行しないことにしたものである。
【0096】
ステップS8において、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きくないと判定されたとき、一連の動作はステップS10へ移行する。一方、ステップS8において、電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きいと判定されたとき、残留磁気検出手段22は、電流Ib_pを正側の電流履歴hys_pとして設定し、電流Ib_pからなる正側の電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する(ステップS9)。これは、図3において、電流Ib_pがピーク値P5またはP7に到達する場合に相当する。このように、正方向に流れる電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pを超えた場合に、正方向に流れる電流Ib_pを正側の電流履歴hys_pとして設定することにしたのは、正方向に流れる電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pを超えると、それまでの電流履歴が電流Ib_pによって消去され、新たな電流履歴が電流Ib_pによって生じるためである。
【0097】
そして、ステップS8において電流Ib_pが正側の電流履歴hys_pよりも大きくないと判定されたとき、演算手段24は、ステップS4またはS7において残留磁気検出手段22から受けた負側の電流履歴hys_nと、後述するステップS11〜S16の経路で検出された正側の電流履歴hys_pとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0098】
また、ステップS9の後、演算手段24は、ステップS4またはS7において残留磁気検出手段22から受けた負側の電流履歴hys_nと、ステップS9において残留磁気検出手段22から受けた正側の電流履歴hys_pとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0099】
そうすると、補正手段3は、電流検出手段1からの電流Ibと誤差検出手段2からの誤差ΔIbとを式(1)に代入して電流Ib_compを演算し、電流Ibを補正する(ステップS10)。これにより、一連の動作を一旦終了する。
【0100】
一方、ステップS1において、判定手段21は、電流Ibが負であると判定すると、電流Ib_nを残留磁気検出手段23へ出力する。
【0101】
残留磁気検出手段23は、負方向に流れる電流Ib_nを受けると、負側の履歴減少電流hys_npを零に設定し(ステップS11)、電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さいか否かを判定する(ステップS12)。電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さくないとき、一連の動作はステップS17へ移行する。
【0102】
一方、電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さいとき、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nと正側の履歴減少電流hys_pnとの電流差Ib_n−hys_pnを演算し、その演算した電流差Ib_n−hys_pnを正側の電流履歴hys_pに加算する。そして、残留磁気検出手段23は、正側の電流履歴hys_pに電流差Ib_n−hys_pnを加算した結果hys_p+Ib_n−hys_pnを新たな正側の電流履歴hys_pとして設定し、新たな正側の電流履歴hys_p+Ib_n−hys_pnを演算手段24へ出力する(ステップS13)。この場合、正側の電流履歴hys_pに電流差Ib_n−hys_pnを加算することは、負方向に流れた電流Ib_nに応じた電流値を有する履歴減少電流hys_pnによって正側の電流履歴hys_pを減少させることに相当する。
【0103】
そして、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nを履歴減少電流hys_pnとする(ステップS14)。これは、上述したステップS5における動作に対応する動作である。
【0104】
その後、残留磁気検出手段23は、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さいか否かを判定し(ステップS15)、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さくないとき、一連の動作はステップS17へ移行する。
【0105】
一方、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さいとき、残留磁気検出手段23は、正側の電流履歴hys_pを零に設定し、零に設定した正側の電流履歴hys_pを演算手段24へ出力する(ステップS16)。正側の電流履歴hys_nが零よりも小さいときに正側の電流履歴hys_pを零に設定することにしたのは、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さいことは正側の電流履歴hys_pが負であることを意味し、正側の電流履歴hys_pが電流軸を正から負へ超えて履歴減少電流hys_pnによって減少されることがないようにするためである。
【0106】
つまり、ステップS13において、残留磁気検出手段23は、電流差Ib_n−hys_pnを正側の電流履歴hys_pに加算した結果hys_p+Ib_n+hys_pnを新たな正側の電流履歴hys_pと設定するが、このステップS13の動作を繰返すことにより、新たな正側の電流履歴hys_pが減少して正から負に変化することも想定される。したがって、正側の電流履歴hys_pが負になることがないようにするために、ステップS13において演算された新たな正側の電流履歴hys_pが負であると判定されたとき、新たな正側の電流履歴hys_pを零に設定することにしたものである。
【0107】
ステップS12において電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS16の後、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さいか否かを判定する(ステップS17)。
【0108】
ステップS12において電流Ib_nが履歴減少電流hys_pnよりも小さくないと判定されたとき、ステップS14を実行せずに正側の履歴減少電流hys_pnを一定に保持することにしたのは、電流Ib_nが正側の履歴減少電流hys_pn以下であるので、正側の履歴減少電流hys_pnを電流Ib_nに応じて変える必要がないためである。そして、正側の履歴減少電流hys_pnが一定に保持される結果、正側の電流履歴hys_pは変化しないので、ステップS13を実行しないことにしたものである。また、正側の電流履歴hys_pが一定に保持されると、正側の電流履歴hys_pが零よりも小さくなることはないので、ステップS15およびS16も実行しないことにしたものである。
【0109】
ステップS17において、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくないと判定されたとき、一連の動作はステップS10へ移行する。一方、ステップS17において、電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さいと判定されたとき、残留磁気検出手段23は、電流Ib_nを負側の電流履歴hys_nとして設定し、電流Ib_nからなる負側の電流履歴hys_nを演算手段24へ出力する(ステップS18)。これは、図3において、電流Ib_nがピーク値P6に到達する場合に相当する。このように、負方向に流れる電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくなった場合に、負方向に流れる電流Ib_nを負側の電流履歴hys_nとして設定することにしたのは、負方向に流れる電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくなると、それまでの電流履歴が電流Ib_nによって消去され、新たな電流履歴が電流Ib_nによって生じるためである。
【0110】
そして、ステップS17において電流Ib_nが負側の電流履歴hys_nよりも小さくないと判定されたとき、演算手段24は、ステップS13またはS16において残留磁気検出手段23から受けた正側の電流履歴hys_pと、上述したステップS2〜S7の経路で検出された負側の電流履歴hys_nとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0111】
また、ステップS18の後、演算手段24は、ステップS13またはS16において残留磁気検出手段23から受けた正側の電流履歴hys_pと、ステップS18において残留磁気検出手段23から受けた負側の電流履歴hys_nとを式(2)に代入して誤差ΔIbを演算し、その演算した誤差ΔIbを補正手段3へ出力する。
【0112】
そうすると、補正手段3は、電流検出手段1からの電流Ibと誤差検出手段2からの誤差ΔIbとを式(1)に代入して電流Ib_compを演算し、電流Ibを補正する(ステップS10)。そして、一連の動作が一旦終了する。
【0113】
上述したステップS1〜S18を繰返し実行することにより、検出された電流Ibが補正される。
【0114】
上述したように、ステップS3において、正方向に流れる電流Ib_pが負側の履歴減少電流hys_npよりも大きいか否かを判定し、その判定結果に応じて負側の電流履歴hys_nを検出することは、正方向に流れる電流Ib_pと負側の履歴減少電流hys_npとの関係に応じて負側の電流履歴hys_n(=負側の残留磁気)を検出することに相当する。
【0115】
そして、正方向に流れる電流Ib_pが負側の履歴減少電流hys_npよりも大きいとき、ステップS5において正方向に流れる電流Ib_pを負側の履歴減少電流hys_npと設定することは、正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を負側の履歴減少電流hys_np(=負側減少磁気)として検出することに相当する。
【0116】
また、ステップS12において、負方向に流れる電流Ib_nが正側の履歴減少電流hys_pnよりも小さいか否かを判定し、その判定結果に応じて正側の電流履歴hys_pを検出することは、負方向に流れる電流Ib_nと正側の履歴減少電流hys_pnとの関係に応じて正側の電流履歴hys_p(=正側の残留磁気)を検出することに相当する。
【0117】
そして、負方向に流れる電流Ib_nが正側の履歴減少電流hys_pnよりも小さいとき、ステップS14において負方向に流れる電流Ib_nを正側の履歴減少電流hys_pnと設定することは、負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を正側の履歴減少電流hys_pn(=正側減少磁気)として検出することに相当する。
【0118】
なお、誤差検出手段2および補正手段3における電流Ibの誤差を補正する動作は、実際にはCPU(Central Processing Unit)によって実行され、CPUは、図8に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図8に示すフローチャートに従って電流Ibの誤差を補正する。したがって、ROMは、図8に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
【0119】
また、図8に示すステップS10においては、演算手段24は、検出された正側の電流履歴hys_pと負側の電流履歴hys_nとの和hys_p+hys_nをk倍したものを誤差ΔIbとして演算するが、演算手段24は、誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係をマップとして保持していてもよい。
【0120】
図9は、誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係図である。図9を参照して、誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係は直線k1によって表わされる。演算手段24は、直線k1をマップとして保持しており、正側の電流履歴hys_pと負側の電流履歴hys_nとを受けると、和hys_p+hys_nを演算し、その演算した和hys_p+hys_nに対応する誤差ΔIbをマップ(直線k1)を参照して抽出してもよい。
【0121】
さらに、演算手段24は、図10に示す直線k2をマップとして保持していてもよい。図10は、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nと、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nによる影響との関係図である。
【0122】
図10を参照して、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nによる影響と、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nとの関係は、直線k2によって表わされる。演算手段24は、直線k2をマップとして保持している。そして、演算手段24は、正側の電流履歴hys_pと負側の電流履歴hys_nとを受けると、マップ(直線k2)を参照して正側の電流履歴hys_pによる影響度合V1と負側の電流履歴hys_nによる影響度合V2とを抽出し、その抽出した影響度合V1,V2の和V1+V2を誤差ΔIbとして演算する。
【0123】
さらに、上記においては、電流履歴hys_p,hys_nは、電流値として保持するとして説明したが、この発明においては、これに限らず、残留磁気による出力への影響に変換して保持してもよい。
【0124】
さらに、正側の電流履歴hys_pは、「正側残留磁気」を意味し、負側の電流履歴hys_nは、「負側残留磁気」を意味する。
【0125】
さらに、正側の履歴減少電流hys_pnは、「正側減少磁気」を意味し、負側の履歴減少電流hys_npは、「負側減少磁気」を意味する。
【0126】
この発明によれば、電流検出装置は、残留磁気が電流に与える誤差を検出する誤差検出手段と、誤差検出手段によって検出された誤差に基づいて電流値を補正する補正手段とを備えるので、残留磁気が電流に与える影響を考慮して電流値を補正できる。その結果、電流検出装置の検出精度を向上させることができる。
【0127】
[応用例]
以下、上述した電流検出装置10を用いた応用例について説明する。
【0128】
図11は、この発明による電流検出装置10を用いたモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【0129】
図11を参照して、モータ駆動装置200は、直流電源Bと、電圧センサー10Aと、温度センサー10Bと、システムリレーSR1,SR2と、コンデンサC1,C2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14,31と、電流センサー18,25,28と、制御装置30とを備える。
【0130】
交流モータM1,M2は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。あるいは、このモータはエンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
【0131】
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。リアクトルL1の一方端は直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。NPNトランジスタQ1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。そして、NPNトランジスタQ1のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタQ2のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配置されている。
【0132】
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17は、電源ラインとアースとの間に並列に設けられる。
【0133】
U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8から成る。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
【0134】
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。なお、モータとしては、3相の永久磁石モータの他には種々の公知なモータシステム、たとえば、直流モータ、交流インダクションモータなどを置換えてもよいことは言うまでもない。
【0135】
インバータ31は、インバータ14と同じ構成からなる。そして、インバータ31の各相アームの中間点は、交流モータM2の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM2も、交流モータM1と同じように、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がインバータ31のNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がインバータ31のNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がインバータ31のNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
【0136】
電流センサー18,25,28は、上述した電流検出装置10から成る。
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。電圧センサー10Aは、直流電源Bから出力される電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。温度センサー10Bは、直流電源Bの温度Tbを検出し、その検出した温度Tbを制御装置30へ出力する。
【0137】
システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からのH(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、制御装置30からのL(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。
【0138】
コンデンサC1は、直流電源Bから供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。
【0139】
昇圧コンバータ12は、コンデンサC1から供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWUを受けると、信号PWUによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。この場合、NPNトランジスタQ1は、信号PWUによってオフされている。
【0140】
また、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWDを受けると、コンデンサC2を介してインバータ14(または31)から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bを充電する。
【0141】
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12からの直流電圧をノードN1,N2を介して受ける。そして、コンデンサC2は、受けた直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14(または31)へ供給する。電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧Vcp(すなわち、昇圧コンバータ12の出力電圧=インバータ14,31への入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した電圧Vcpを制御装置30へ出力する。
【0142】
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMI1に基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TR1によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ14は、モータ駆動装置200が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMC1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0143】
インバータ31は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMI2に基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM2を駆動する。これにより、交流モータM2は、トルク指令値TR2によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ31は、モータ駆動装置200が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM2が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMC2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0144】
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0145】
電流センサー18は、直流電源Bを充放電するときの電流を検出する。そして、電流センサー18は、検出した電流を上述した方法により補正し、その補正した電流BCRTを制御装置30へ出力する。
【0146】
また、電流センサー25は、交流モータM1に流れるモータ電流を検出する。そして、電流センサー25は、検出したモータ電流を上述した方法により補正し、その補正したモータ電流MCRT1を制御装置30へ出力する。
【0147】
さらに、電流センサー28は、交流モータM2に流れるモータ電流を検出する。そして、電流センサー28は、検出したモータ電流を上述した方法により補正し、その補正したモータ電流MCRT2を制御装置30へ出力する。
【0148】
制御装置30は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数MRN1,MRN2を受け、電圧センサー10Aから電圧Vbを受け、電圧センサー13から出力電圧Vcpを受け、電流センサー25からモータ電流MCRT1を受け、電流センサー28からモータ電流MCRT2を受ける。そして、制御装置30は、出力電圧Vcp、モータ電流MCRT1およびトルク指令値TR1に基づいて、後述する方法によりインバータ14が交流モータM1を駆動するときにインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMI1を生成し、その生成した信号PWMI1をインバータ14へ出力する。
【0149】
また、制御装置30は、出力電圧Vcp、モータ電流MCRT2およびトルク指令値TR2に基づいて、後述する方法によりインバータ31が交流モータM2を駆動するときにインバータ31のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMI2を生成し、その生成した信号PWMI2をインバータ31へ出力する。
【0150】
さらに、制御装置30は、インバータ14(または31)が交流モータM1(またはM2)を駆動するとき、電圧Vb、出力電圧Vcp、トルク指令値TR1(またはTR2)、およびモータ回転数MRN1(またはMRN2)に基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWUを生成し、その生成した信号PWUを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0151】
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータM1またはM2で発電された交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMC1またはPWMC2を生成し、その生成した信号PWMC1をインバータ14へ出力し、信号PWMC2をインバータ31へ出力する。この場合、インバータ14,31のNPNトランジスタQ3〜Q8は、それぞれ信号PWMC1,PWMC2によってスイッチング制御される。これにより、インバータ14は、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給し、インバータ31は、交流モータM2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0152】
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14または31から供給された直流電圧を降圧するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1またはM2が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。この場合、制御装置30は、電流センサー18からの電流BCRTに基づいて、直流電源Bの残容量を後述する方法により演算する。そして、制御装置30は、演算した残容量に基づいて直流電源Bを充電可能な電力を演算し、直流電源Bに供給可能な電力が直流電源Bを充電可能な電力よりも小さい場合に信号PWDを生成する。
【0153】
図12は、図11に示す制御装置30の機能ブロック図である。図12を参照して、制御装置30は、モータトルク制御手段301と、電圧変換制御手段302とを含む。モータトルク制御手段301は、トルク指令値TR1,2、直流電源Bの出力電圧Vb、モータ電流MCRT1,2、モータ回転数MRN1,2および昇圧コンバータ12の出力電圧Vcpに基づいて、交流モータM1またはM2の駆動時、後述する方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWUと、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMI1と、インバータ31のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMI2とを生成し、その生成した信号PWUを昇圧コンバータ12へ出力し、信号PWMI1をインバータ14へ出力し、信号PWMI2をインバータ31へ出力する。
【0154】
電圧変換制御手段302は、回生制動時、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、電流センサー18からの電流BCRTと温度センサー10Bからの温度Tbとに基づいて、直流電源Bの残容量を演算する。そして、電圧変換制御手段302は、演算した残容量に基づいて、直流電源Bを充電可能な電力Pchgを演算する。また、電圧変換制御手段302は、電圧Vcp,Vbに基づいて、直流電源Bに供給可能な電力Pchb=C((Vcp)2−(Vb)2)/2(C:コンデンサC2の容量)を演算する。
【0155】
そうすると、電圧変換制御手段302は、電力Pchbを電力Pchgと比較し、電力Pchbと電力Pchgとの関係に応じて、電力Pchbのうち、直流電源Bを充電できる電力だけを直流電源Bに供給するように昇圧コンバータ12およびインバータ14,31を制御する。
【0156】
より具体的には、電圧変換制御手段302は、電力Pchbが電力Pchg以下であるとき、電力Pchbの全てを直流電源Bに供給するように昇圧コンバータ12およびインバータ14,31を制御し、電力Pchbが電力Pchgよりも大きいとき、電力Pchbのうち、電力Pchgに等しい電力を直流電源Bに供給するように昇圧コンバータ12およびインバータ14,31を制御する。
【0157】
したがって、電圧変換制御手段302は、信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータM1,M2が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMC1,2を生成してそれぞれインバータ14,31へ出力する。また、電圧変換制御手段302は、インバータ14,31から供給された直流電圧を降圧するための信号PWDを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。このように、昇圧コンバータ12は、直流電圧を降圧するための信号PWDにより電圧を降下させることもできるので、双方向コンバータの機能を有するものである。
【0158】
図13は、図12に示すモータトルク制御手段301の機能ブロック図である。図13を参照して、モータトルク制御手段301は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42と、インバータ入力電圧指令演算部50と、フィードバック電圧指令演算部52と、デューティー比変換部54とを含む。
【0159】
モータ制御用相電圧演算部40は、昇圧コンバータ12の出力電圧Vcp、すなわち、インバータ14,31への入力電圧を電圧センサー13から受け、交流モータM1,M2の各相に流れるモータ電流MCRT1,2をそれぞれ電流センサー25,28から受け、トルク指令値TR1,2を外部ECUから受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部40は、これらの入力される信号に基づいて、交流モータM1,M2の各相のコイルに印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部42へ供給する。インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40から受けた計算結果に基づいて、実際にインバータ14,31の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWMI1,2を生成し、その生成した信号PWMI1,2をそれぞれインバータ14,31の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
【0160】
これにより、インバータ14,31の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1,M2が指令されたトルクを出力するように交流モータM1,M2の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TR1,2に応じたモータトルクが出力される。
【0161】
一方、インバータ入力電圧指令演算部50は、トルク指令値TR1,2およびモータ回転数MRN1,2に基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)、すなわち、電圧指令を演算し、その演算した電圧指令をフィードバック電圧指令演算部52へ出力する。
【0162】
フィードバック電圧指令演算部52は、電圧センサー13からの電圧Vcpと、インバータ入力電圧指令演算部50からの電圧指令とに基づいて、フィードバック電圧指令を演算し、その演算したフィードバック電圧指令をデューティー比変換部54へ出力する。
【0163】
デューティー比変換部54は、電圧センサー10Aからのバッテリ電圧Vbと、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令とに基づいて、電圧センサー13からの電圧Vcpを、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令に設定するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比に基づいて昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWUを生成する。そして、デューティー比変換部54は、生成した信号PWUを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
【0164】
なお、昇圧コンバータ12の下側のNPNトランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルL1における電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のNPNトランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインの電圧が下がる。そこで、NPNトランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインの電圧を直流電源Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御可能である。
【0165】
直流電源Bの残容量を求める方法について説明する。電圧変換制御手段302は、電流センサー18からの電流BCRTを積算し、その積算値に基づいて直流電源Bの現在の容量SOC(State Of Charge)を推定する。そして、電圧変換制御手段302は、積算した積算値を温度センサー10Bからの温度Tbによって補正することにより直流電源Bの残容量を検出する。
【0166】
電流センサー18からの電流BCRTを積算した積算値を温度Tbにより補正するのは次の理由による。直流電源Bの出力電圧Vbおよび容量SOCは、図14に示す関係を満たす。すなわち、出力電圧Vbと容量SOCとの関係は、直流電源Bの温度Tbによって曲線k3〜k5のように変化する。特に、容量SOCが満充電量の20〜80%になるときの電圧Vbと容量SOCとの関係は直流電源Bの温度Tbによって大きく変化する。したがって、電流BCRTを積算した積算値は、電流BCRTが直流電源Bから流れ出るときは直流電源Bから放電された容量を意味し、電流BCRTが直流電源Bに供給されるときは直流電源Bが充電された容量を意味するので、積算値から推定した現在の容量SOCが満充電量の20〜80%の範囲に入るとき、その推定した現在の容量SOCが曲線k3〜k5のいずれの曲線にのるかを温度Tbによって補正する必要があるからである。
【0167】
電圧変換制御手段302は、図14に示す電圧Vbと容量SOCとの曲線k3〜k5をマップとして保持しており、電流センサー18からの電流BCRTを積算し、その積算した積算値を温度Tbによって補正して直流電源Bの残容量を求める。そして、電圧変換制御手段302は、その求めた残容量と満充電量との差を、直流電源Bを充電可能な電力Pchgとして演算する。
【0168】
再び、図11を参照して、モータ駆動装置200における全体動作について説明する。全体の動作が開始されると、制御装置30は、Hレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,2へ出力し、システムリレーSR1,2がオンされる。直流電源Bは直流電圧をシステムリレーSR1,SR2を介して昇圧コンバータ12へ出力する。
【0169】
電圧センサー10Aは、直流電源Bから出力される電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。また、電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧Vcpを検出し、その検出した電圧Vcpを制御装置30へ出力する。さらに、電流センサー18は、直流電源Bから流出または流入する電流BCRTを検出して制御装置30へ出力し、温度センサー10Bは直流電源Bの温度Tbを検出して制御装置30へ出力する。さらに、電流センサー25は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRT1を検出して制御装置30へ出力し、電流センサー28は、交流モータM2に流れるモータ電流MCRT2を検出して制御装置30へ出力する。そして、制御装置30は、外部ECUからトルク指令値TR1,2、およびモータ回転数MRN1,2を受ける。
【0170】
そうすると、制御装置30は、電圧Vcp,Vb、モータ電流MCRT1、トルク指令値TR1およびモータ回転数MRN1に基づいて、上述した方法により信号PWMI1を生成し、その生成した信号PWMI1をインバータ14へ出力する。また、制御装置30は、電圧Vcp,Vb、モータ電流MCRT2、トルク指令値TR2およびモータ回転数MRN2に基づいて、上述した方法により信号PWMI2を生成し、その生成した信号PWMI2をインバータ31へ出力する。さらに、制御装置30は、インバータ14(または31)が交流モータM1(またはM2)を駆動するとき、電圧Vcp,Vb、トルク指令値TR1(またはTR2)、およびモータ回転数MRN1(またはMRN2)に基づいて、上述した方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWUを生成し、その生成した信号PWUを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0171】
そうすると、昇圧コンバータ12は、信号PWUに応じて、直流電源Bからの直流電圧を昇圧し、その昇圧した直流電圧をノードN1,N2を介してコンデンサC2に供給する。そして、インバータ14は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を制御装置30からの信号PWMI1によって交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。また、インバータ31は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を制御装置30からの信号PWMI2によって交流電圧に変換して交流モータM2を駆動する。これによって、交流モータM1は、トルク指令値TR1によって指定されたトルクを発生し、交流モータM2は、トルク指令値TR2によって指定されたトルクを発生する。
【0172】
また、モータ駆動装置200が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、制御装置30は、外部ECUから信号RGEを受け、その受けた信号RGEに応じて、信号PWMC1,2を生成してそれぞれインバータ14,31へ出力し、信号PWDを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
【0173】
そうすると、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を信号PWMC1に応じて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。また、インバータ31は、交流モータM2が発電した交流電圧を信号PWMC2に応じて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。そして、昇圧コンバータ12は、コンデンサC2からの直流電圧をノードN1,N2を介して受け、その受けた直流電圧を信号PWDによって降圧し、その降圧した直流電圧を直流電源Bに供給する。これにより、交流モータM1またはM2によって発電された電力が直流電源Bに充電される。
【0174】
電流センサー18,25,28は、モータ駆動装置200が交流モータM1,M2を駆動するとき、それぞれ、電流BCRT、モータ電流MCRT1およびモータ電流MCRT2を、ヒステリシスによる誤差を補正して検出する。そして、制御装置30は、電流センサー18からの電流BCRTに基づいて、直流電源Bの残容量を演算し、モータ電流MCRT1に基づいてインバータ14を駆動するときの信号PWMI1を生成し、モータ電流MCRT2に基づいてインバータ31を駆動する信号PWMI2を生成する。
【0175】
したがって、直流電源Bに入出力する電流、交流モータM1,M2に流れるモータ電流を、上述した方法により精度良く検出することにより、モータ駆動装置200は、交流モータM1,M2を正確に駆動できる。
【0176】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による電流検出装置の機能ブロック図である。
【図2】図1に示す誤差検出手段2の機能ブロック図である。
【図3】電流Ib、電流履歴hys_n,hys_pおよび履歴減少電流hys_np,hys_pnのタイミングチャートである。
【図4】正方向に流れる電流Ib_pおよび履歴減少電流hys_npのタイミングチャートである。
【図5】負方向に流れる電流Ib_nおよび履歴減少電流hys_pnのタイミングチャートである。
【図6】図3に示す領域Aの拡大図である。
【図7】図6に示す領域Bの拡大図である。
【図8】電流の誤差を補正する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】誤差ΔIbと和hys_p+hys_nとの関係図である。
【図10】正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nと、正側の電流履歴hys_pまたは負側の電流履歴hys_nによる影響との関係図である。
【図11】この発明による電流検出装置を用いたモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【図12】図11に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図13】図12に示すモータトルク制御手段の機能ブロック図である。
【図14】図11に示す直流電源の出力電圧と電池容量との関係図である。
【図15】特開平6−222083号公報に開示された補償部の構成図である。
【図16】ホール素子のヒステリシス特性を示す図である。
【符号の説明】
1 電流検出手段、2 誤差検出手段、3 補正手段、10 電流検出装置、10A,13 電圧センサー、10B 温度センサー、12 昇圧コンバータ、14,31,150 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17W相アーム、18,25,28 電流センサー、21 判定手段、22,23残留磁気検出手段、24 演算手段、30 制御装置、100 補償部、110 極性判別部、120 特性記憶部、130 合成記憶部、131 オフセット記憶部、132 合成部、133 スイッチ、134,135 接点、136加算器、140 ベクトル演算部、160 ホール素子、170 誘導電動機、200 モータ駆動装置、301 モータトルク制御手段、302 電圧変換制御手段、SR1,SR2 システムリレー、L1 リアクトル、C1,C2 コンデンサ、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード、M1,M2 交流モータ。
Claims (17)
- 測定される電流の磁気により電流を検出する電流検出装置であって、
前記電流が流れたときの残留磁気に基づいて前記電流の誤差を検出する誤差検出手段と、
前記誤差検出手段により検出された誤差に基づいて前記電流を補正する補正手段とを備える電流検出装置。 - 前記誤差検出手段は、前記電流が正方向に流れたときの正側残留磁気と前記電流が負方向に流れたときの負側残留磁気とに基づいて前記誤差を検出する、請求項1に記載の電流検出装置。
- 前記誤差検出手段は、前記正側残留磁気と前記負側残留磁気との和に応じた大きさを有する誤差を検出する、請求項2に記載の電流検出装置。
- 前記誤差検出手段は、前記正方向に流れた電流値に応じて前記負側残留磁気を検出し、前記負方向に流れた電流値に応じて前記正側残留磁気を検出する、請求項2または請求項3に記載の電流検出装置。
- 前記誤差検出手段は、
前記正方向に流れる電流の電流値に基づいて前記負側残留磁気を減少させる負側減少磁気を検出し、その検出した負側減少磁気に基づいて前記負側残留磁気を検出する第1の残留磁気検出手段と、
前記負方向に流れる電流の電流値に基づいて前記正側残留磁気を減少させる正側減少磁気を検出し、その検出した正側減少磁気に基づいて前記正側残留磁気を検出する第2の残留磁気検出手段と、
前記正側残留磁気と前記負側残留磁気とに基づいて前記誤差を演算する演算手段とを含む、請求項4に記載の電流検出装置。 - 前記第1の残留磁気検出手段は、前記検出した負側減少磁気と前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気との関係に応じて前記負側残留磁気を検出し、
前記第2の残留磁気検出手段は、前記検出した正側減少磁気と前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気との関係に応じて前記正側残留磁気を検出する、請求項5に記載の電流検出装置。 - 前記第1の残留磁気検出手段は、前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記負側減少磁気よりも大きいとき、前記正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を前記負側減少磁気として検出し、
前記第2の残留磁気検出手段は、前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記正側減少磁気よりも小さいとき、前記負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を前記正側減少磁気として検出する、請求項6に記載の電流検出装置。 - 前記第1の残留磁気検出手段は、前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と前記負側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された負側残留磁気との和を前記負側残留磁気として検出し、
前記第2の残留磁気検出手段は、前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と前記正側減少磁気との差を演算し、その演算した差と既に検出された正側減少磁気との和を前記正側残留磁気として検出する、請求項7に記載の電流検出装置。 - 前記第1の残留磁気検出手段は、前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記負側減少磁気よりも大きくないとき、既に検出された負側残留磁気を前記負側残留磁気として検出し、
前記第2の残留磁気検出手段は、前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記正側減少磁気よりも小さくないとき、既に検出された正側残留磁気を前記正側残留磁気として検出する、請求項6に記載の電流検出装置。 - 測定される電流の磁気により検出された電流の誤差の補正をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体であって、
前記電流が流れたときの残留磁気に基づいて前記誤差を検出する第1のステップと、
前記検出された誤差に基づいて前記電流を補正する第2のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記第1のステップは、
前記電流が正方向に流れたときの正側残留磁気を検出する第1のサブステップと、
前記電流が負方向に流れたときの負側残留磁気を検出する第2のサブステップと、
前記検出された正側残留磁気および負側残留磁気とに基づいて前記誤差を検出する第3のサブステップとを含む、請求項10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記第3のサブステップは、前記正側残留磁気と前記負側残留磁気との和に応じた大きさを有する誤差を検出する、請求項11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
- 前記第1のサブステップは、
前記正側残留磁気を減少させる正側減少磁気を検出するステップAと、
前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と前記検出された正側減少磁気との関係に応じて前記正側残留磁気を検出するステップBとを含み、
前記第2のサブステップは、
前記負側残留磁気を減少させる負側減少磁気を検出するステップCと、
前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と前記検出された負側減少磁気との関係に応じて前記負側残留磁気を検出するステップDとを含む、請求項11または請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記ステップBは、
前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記正側減少磁気よりも小さくないとき、既に検出された正側残留磁気を前記正側残留磁気として検出するステップB1と、
前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記正側減少磁気よりも小さいとき、前記負方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と前記正側減少磁気との差を演算し、その演算した差と前記既に検出された正側残留磁気との和を前記正側残留磁気として検出するステップB2とを含み、
前記ステップDは、
前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記負側減少磁気よりも大きくないとき、既に検出された負側残留磁気を前記負側残留磁気として検出するステップD1と、
前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気が前記負側減少磁気よりも大きいとき、前記正方向に流れる電流の電流値に対応する磁気と前記負側減少磁気との差を演算し、その演算した差と前記既に検出された負側残留磁気との和を前記負側残留磁気として検出するステップD2とを含む、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記第1のサブステップは、前記正側減少磁気が負であるとき前記正側減少磁気を零に設定するステップEをさらに含み、
前記第2のサブステップは、前記負側減少磁気が正であるとき前記負側減少磁気を零に設定するステップFをさらに含む、請求項13または請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記ステップAは、前記負方向に流れる電流の最小値に対応する磁気を前記正側減少磁気として検出し、
前記ステップCは、前記正方向に流れる電流の最大値に対応する磁気を前記負側減少磁気として検出する、請求項13から請求項15のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記第1のステップは、
前記負方向に流れる電流に対応する磁気が前記負側残留磁気よりも小さいとき、前記負方向に流れる電流に対応する磁気を前記負側残留磁気と設定する第4のサブステップと、
前記正方向に流れる電流に対応する磁気が前記正側残留磁気よりも大きいとき、前記正方向に流れる電流に対応する磁気を前記正側残留磁気と設定する第5のサブステップとをさらに含む、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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---|---|---|---|---|
WO2012046537A1 (ja) * | 2010-10-07 | 2012-04-12 | アルプス・グリーンデバイス株式会社 | 電流センサ |
JP2013092140A (ja) * | 2011-10-27 | 2013-05-16 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
JP2018169217A (ja) * | 2017-03-29 | 2018-11-01 | スズキ株式会社 | 二次電池の充電状態推定装置及び充電状態推定方法 |
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2003
- 2003-04-15 JP JP2003110208A patent/JP2004317234A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012046537A1 (ja) * | 2010-10-07 | 2012-04-12 | アルプス・グリーンデバイス株式会社 | 電流センサ |
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