JP2004316662A - 水素供給・貯蔵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広範囲の用途あるいは条件に対応可能な水素供給・貯蔵装置を提供する。
【解決手段】水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体と、水素と反応してその水素を貯蔵する芳香族化合物から成る水素貯蔵体との間における脱水素反応または水素付加反応を利用して水素の供給または貯蔵を行う水素供給・貯蔵装置14であって、触媒41を備えた反応部34,35,36と、水素供給体または水素貯蔵体を供給する液供給部33とを上下方向に積み重ねた構造とし、反応部34,35,36および液供給部33を、相互に配置変換可能なユニットとしている。
【選択図】 図3
【解決手段】水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体と、水素と反応してその水素を貯蔵する芳香族化合物から成る水素貯蔵体との間における脱水素反応または水素付加反応を利用して水素の供給または貯蔵を行う水素供給・貯蔵装置14であって、触媒41を備えた反応部34,35,36と、水素供給体または水素貯蔵体を供給する液供給部33とを上下方向に積み重ねた構造とし、反応部34,35,36および液供給部33を、相互に配置変換可能なユニットとしている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を供給または貯蔵可能な水素供給・貯蔵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、主として、火力発電および原子力発電が電気エネルギーの供給方法であるが、かかる方法は、地球環境への影響、安全面および残留量など、種々の問題を抱えている。また、自動車は、主として、ガソリン、軽油、プロパンガス等の炭化水素系の燃料を用いているが、かかる燃料は、地球環境に悪影響を与えるという問題を抱えている。
【0003】
上記問題に鑑みて、発電用の燃料として水素が注目されてきている。水素は、水の電気分解により生成できるため、ほぼ無尽蔵に存在すると共に、燃焼後に二酸化炭素を発生させないクリーンなエネルギー源でもある。
【0004】
一方、同じ炭素数を有する環状炭化水素として、ベンゼンとシクロヘキサンが知られている。前者のベンゼンは、炭素同士の結合が部分的に二重結合となっている不飽和炭化水素であるのに対し、後者のシクロヘキサンは、炭素同士の結合に二重結合を持たない飽和炭化水素である。このため、ベンゼンに水素を付加させると、シクロヘキサンが得られ、シクロヘキサンから水素の一部を除くと、ベンゼンが得られる。同様に、ナフタレンの水素付加反応によりデカリンが得られ、デカリンの脱水素反応によりナフタレンが得られる。このように、これらの炭化水素の水素付加反応と脱水素反応とを利用することにより、水素の貯蔵および供給が可能となる。かかる水素の貯蔵あるいは供給の技術は、自動車の動力としても期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−187702号公報(要約書など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、飽和炭化水素と不飽和炭化水素との間における脱水素反応および水素付加反応を利用した水素の供給および貯蔵を実用化するには、当該反応を行う装置が広範囲の用途・条件に対応できることが望まれている。具体的には、使用する飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素の種類、水素の供給もしくは貯蔵量、または反応温度に適した装置に変更容易とすることが望まれている。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、広範囲の用途あるいは条件に対応可能な水素供給・貯蔵装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑み、水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体と、水素と反応してその水素を貯蔵する芳香族化合物から成る水素貯蔵体との間における脱水素反応または水素付加反応を利用して水素の供給または貯蔵を行う水素供給・貯蔵装置であって、脱水素反応または水素付加反応に必要な触媒を備え、脱水素反応または水素付加反応を行う反応部と、水素供給体または水素貯蔵体を供給する液供給部と、を上下方向に積み重ねた構造を有し、反応部および液供給部は、相互に配置変換可能なユニットであることを特徴としている。
【0009】
上述の発明によれば、脱水素反応または水素付加反応をさせるための反応部と、水素供給体または水素貯蔵体を供給する液供給部とが相互に配置変換可能なユニットで構成されている。したがって、液供給部と反応部とを交互に配置して、物質の反応効率を高くすることができると共に、各部の修繕および触媒の補給等の作業が容易となる。
【0010】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、気体状態にある水素供給体または水素貯蔵体を冷却して液化させる冷却部を、さらに液供給部および反応部の上下方向に積み重ね、反応部、液供給部および冷却部は、相互に配置変換可能なユニットであることを特徴としている。
【0011】
上述の発明によれば、冷却部をさらに液供給部および反応部の上下方向に積み重ねたため、反応せずに気化してしまった未反応物質が、再度冷却部で冷却されて液体に戻され触媒に接触し、反応するため反応効率が向上する。また、冷却部も反応部、液供給部と相互に配置変換可能となっており、各部の修繕および触媒の補給等の作業が容易となる。
【0012】
他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、ユニットを、全て同一の外観形状とし、各ユニットを必要に応じて自在に配置することが可能であることを特徴としている。
【0013】
上述の発明によれば、各ユニットが全て同一の外観形状となるため、ユニット同士の入れ替えが自在となり、用途に応じて適宜各ユニットを配置することができる。したがって、さらに、物質の反応効率を高くすることが可能である。
【0014】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、反応部に、触媒を加熱するためのヒータまたは燃焼触媒を有することを特徴としている。
【0015】
上述の発明によれば、触媒がヒータおよび燃焼触媒によって加熱されるため、反応効率が向上する。
【0016】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、触媒を担持する担持部材を備え、その担持部材は、パンチングによりあけられた穴を有し、パンチング前の状態よりも表面積が大きいことを特徴としている。
【0017】
上述の発明によれば、触媒を担持させた担持部材にパンチ穴をあけることにより、パンチ穴内の壁面を有効に使って、触媒を担持させる表面積を稼いでいる。この結果、物質の反応効率を向上させることができる。
【0018】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、水素供給体または水素貯蔵体を燃焼させることによって加熱された熱媒体を通す管路を備え、熱媒体によって触媒を加熱することを特徴としている。
【0019】
上述の発明によれば、当該水素供給・貯蔵装置により生成された水素供給体または水素貯蔵体が、熱媒体を加熱するために有効に活用される。
【0020】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、熱媒体は、循環ポンプによって循環されることを特徴としている。
【0021】
上述の発明によれば、熱媒体が循環されるため、効率よく反応部ユニット内の触媒を加熱することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水素供給・貯蔵装置の実施の形態を、図1から図7に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、以下に説明する各実施の形態に共通する仕組みを説明するための図である。具体的には、芳香族化合物の水素付加反応を利用した水素の貯蔵と、その水素付加反応により生成した化合物(以後、有機ハイドライドという)の脱水素反応を利用した水素の供給の原理を示す図である。
【0024】
ベンゼン等の芳香族化合物1は、水の電気分解等により生成した水素2と水素付加反応をして、シクロヘキサン等の有機ハイドライド3となる。具体的には、芳香族化合物1の炭素間の二重結合に水素2が付加する。すなわち、水素2は、有機ハイドライド3の形で貯蔵されることになる。
【0025】
また、有機ハイドライド3は、脱水素反応により、芳香族化合物1と水素2とに分解する。なお、このように供給した水素2は、酸素4と共に燃料電池5に供給される。この燃料電池5は、水の電気分解と逆の原理で、電気を供給する。
【0026】
このように、芳香族化合物1は水素2を貯蔵できる水素貯蔵体として機能し、有機ハイドライド3は水素2を供給させる水素供給体として機能する。このため、芳香族化合物1と有機ハイドライド3とのサイクルを利用した水素供給・貯蔵システムが形成できる。
【0027】
次に、図1に示す原理を利用した水素供給・貯蔵システムの一例について、図2を用いて説明する。なお、以後、有機ハイドライド等の原料に、番号を付さない。また、図2で示した水素供給・貯蔵システムの一部となる水素供給・貯蔵装置14は、本発明の実施の形態における装置である。
【0028】
図2は、エネルギー自立型の家庭用自家発電を例とした水素貯蔵・供給システムを模式的に示す図である。本発明の水素供給・貯蔵装置は、このシステムの一部として機能する。
【0029】
家屋10に設けた水素貯蔵・供給システムは、主に、屋根等に設置した太陽電池11と、風力発電機12と、電解装置13と、水素供給・貯蔵装置14と、燃料電池30とを備えている。
【0030】
水素供給・貯蔵装置14は、シクロヘキサンに代表される有機ハイドライドの脱水素反応を利用して水素を発生させ、この水素を当該水素供給・貯蔵装置14の外部へ供給することが可能な装置である。また、水素供給・貯蔵装置14は、ベンゼンに代表される芳香族化合物と水素を反応させて、水素を当該水素供給・貯蔵装置14内に貯蔵することが可能なものとなっている。
【0031】
図3は、水素供給・貯蔵装置14の一構成例を示す図である。なお、以下、水素供給・貯蔵装置14が脱水素反応により水素を供給する場合について、主に説明する。ただし、この水素供給・貯蔵装置14では、有機ハイドライドタンク15内に水素貯蔵体となる芳香族化合物を投入し、反応装置16内へ水素を投入することにより、水素付加反応を利用した水素の貯蔵を行うこともできる。
【0032】
図3に示す水素供給・貯蔵装置14は、有機ハイドライドの脱水素反応を利用して水素と芳香族化合物とに分解し、水素を当該水素供給・貯蔵装置14の水素取出口19から外部へ送ると共に、芳香物化合物を回収することが可能である。
【0033】
水素供給・貯蔵装置14は、有機ハイドライドが貯蔵されている有機ハイドライドタンク15と、有機ハイドライドを脱水素反応させるための反応装置16と、反応装置16内の触媒41を加熱させるための加熱システム17と、水素以外の未反応物および反応生成物を回収するための回収タンク18と、脱水素反応により発生した水素を取り出すための水素取出口19と、を有している。回収タンク18は、反応装置16と直接連通され、反応装置16内に液体で残留する未反応物および反応生成物を回収することができるものである。
【0034】
なお、水素付加反応を行う場合、有機ハイドライドタンク15には、水素貯蔵体である芳香族化合物が貯蔵される。また、水素付加反応をさせる場合、反応装置16内には、図示しないバルブから水素が投入される。回収タンク18は、反応装置16内での水素付加反応により生成される有機ハイドライドを回収する。
【0035】
有機ハイドライドタンク15は、管20によって反応装置16に接続されている。管20には、有機ハイドライドを有機ハイドライドタンク15から反応装置16へ送るためのポンプ21が設けられている。
【0036】
また、有機ハイドライドタンク15は、管22によってバーナー23に接続されている。有機ハイドライドタンク15に貯蔵されている有機ハイドライドは、主として、水素供給体として反応装置16に供給されるが、有機ハイドライドの一部はバーナー23に送られる。バーナー23に送られた有機ハイドライドは、バーナー23の燃料として消費される。一方、熱媒タンク25には、液体の熱媒体が入れられている。バーナー23で熱せられた熱媒体は、反応装置16内の触媒41を加熱するため、循環ポンプ26によって第1反応部ユニット34、第2反応部ユニット35および第3反応部ユニット36と熱媒タンク25との間で循環する。
【0037】
なお、本実施の形態では、触媒を加熱するために、熱媒体を用いているが、特に、この方法に限定されるものではない。たとえば、各反応部ユニット34,35,36内に、触媒41を加熱するためのカートリッジヒータを内蔵するようにしても良い。また、上述の熱媒体を第1反応部ユニット34、第2反応部ユニット35および第3反応部ユニット36にそれぞれ送り、さらに上述のカートリッジヒータを、各反応部ユニット34,35,36に内蔵するようにしても良い。
【0038】
反応装置16は、有機ハイドライドタンク15から送られてきた有機ハイドライドを、触媒41に接触させて脱水素反応を起こし、水素を供給する装置である。この反応装置16は、管20によって有機ハイドライドタンク15と接続された第1の冷却部ユニット31と、管27aによって第1の冷却部ユニット31と接続された第2の冷却部ユニット32と、管27bによって第2の冷却部ユニット32と接続された液供給部ユニット33を有している。
【0039】
また、反応装置16は、熱媒タンク25と連通する管28a,29aにそれぞれ接続され、熱媒タンク25との間で熱媒を循環する流路34dを内部に有する第1の反応部ユニット34と、熱媒タンク25と連通する管28b,29bにそれぞれ接続され、熱媒タンク25との間で熱媒を循環する流路35dを内部に有する第2の反応部ユニット35と、熱媒タンク25と連通する管28c,29cにそれぞれ接続され、熱媒タンク25との間で熱媒を循環する流路36dを内部に有する第3の反応部ユニット36と、を有している。
【0040】
反応装置16は、最上部から下方に向かって、第1の冷却部ユニット31、第3の反応部ユニット36、第2の冷却部ユニット32、第2の反応部ユニット35、液供給部ユニット33および第1の反応部ユニット34の順に配置されている。これらの各ユニット31〜36は、ほぼ同一の外観形状を有しており、各ユニット31〜36を必要に応じて自在に入れ換えて配置することが可能である。各ユニット31〜36の上下方向端部に設けられた端板の周壁から外方へ突出するように設けられたフランジ部分は、互いに上下方向に隣接するユニット31〜36への取り付け部となる。
【0041】
第1の冷却部ユニット31は、図3における上下方向端部に配置される端板31a,31bと、周囲を覆う周壁面31cから構成されており、内部には空間が形成されている。端板31a,31bは、周壁面31cよりも外方に突出しており、この突出した部分が他のユニットに対する取り付け用のフランジ部となる。第1の冷却部ユニット31は、熱媒を循環しておらず常温の有機ハイドライドを内部に通過させているため、図3において下部に配置される第1の反応部ユニット34、第2の反応部ユニット35および第3の反応部ユニット36で気化された未反応の有機ハイドライドを冷却し液化すると共に、供給する有機ハイドライドの予熱も行う。
【0042】
第1の冷却部ユニット31の内部には、有機ハイドライドを流す導通管31dが通っている。導通管31dの一端は、周壁面31cの外部に突出しており、この突出部分が管20の端部と接続されている。また、導通管31dの他端は、図1における左右方向反対側の周壁面31cの外側に突出しており、この突出部分が管27aの端部と接続されている。
【0043】
端板31aは、脱水素反応により発生した水素等を反応装置16の外部へ送出するための送出口31eを備えている。すなわち、反応部ユニット34,35,36における脱水素反応によって発生した水素は、送出口31eを通って反応装置16の外部に送られる。
【0044】
送出口31eには、管29dの一端が接続されている。管29dの他端は、気液分離装置40aに接続されている。この気液分離装置40aは、連結された冷却器40bによって送られてきた水素、未反応の有機ハイドライドおよび反応生成物である芳香族化合物(以後、未反応有機ハイドライド等という)を冷却し液化する。これによって、気液分離装置40aに設けられた水素取り出し口19からは、純度の高い水素を取り出すことができる。また、この気液分離装置40aでトラップされた未反応有機ハイドライド等は、回収タンク18にて回収される。なお、反応装置16内における脱水素反応によって水素と分離し底部へ落下した未反応有機ハイドライド等は、反応装置16から、直接、回収タンク18へ送られる。
【0045】
また、端板31bは、中央部分に通過口(図示省略)を有している。この通過口は、図3における下部の反応部ユニット34,35,36で生成した水素等を第1の冷却部ユニット31内に取り込む部分である。未反応有機ハイドライド等は、第1の冷却部ユニット31内に配置された導通管31dで液化し、導通管31dから、通過口を通って、第3の反応部ユニット36側に滴下する。また、端板31bは、下部の第3の反応部ユニット36との取り付け板としての役割も有している。
【0046】
第2の冷却部ユニット32は、上述の第1の冷却部ユニット31と同様、図3における上下方向端部に配置される端板32a,32bと、周囲を覆う周壁面32cから構成されており、内部には空間が形成されている。端板32a,32bは、周壁面32cよりも外方に突出しており、この突出した部分が他のユニットに対する取り付け用のフランジ部となる。第2の冷却部ユニット32は、熱媒を循環しておらず常温の有機ハイドライドを内部に通過させている。このため、第1の反応部ユニット34および第2の反応部ユニット35で生成した未反応有機ハイドライド等は、ここで冷却され液化する。また、供給する有機ハイドライドの予熱も行われる。
【0047】
第2の冷却部ユニット32の内部には、有機ハイドライドを通す導通管32dが通っている。導通管32dの一端は、周壁面32cの外部に突出しており、この突出部分が管27aの端部と接続されている。また、導通管32dの他端は、図3における左右方向反対側の周壁面32cの外側に突出しており、この突出部分が管27bの端部と接続されている。
【0048】
端板32aは、上方から落下してくる未反応有機ハイドライド等を第2の冷却部ユニット32内へ取り込むと共に、反応部ユニット34,35で生成した水素等を、上方へ送出するための通過口(図示省略)を備えている。この端板32aは、上部の第3の反応部ユニット36との取り付け板としての役割も有している。
【0049】
また、端板32bは、中央部分に通過口を有している。この通過口は、図3における下部の反応部ユニット34,35で生成した水素等を第2の冷却部ユニット32内に取り込む部分である。未反応有機ハイドライド等は、第2の冷却部ユニット32内に配置された導通管32dで液化し、導通管32dから、通過口を通って、第2の反応部ユニット35側に滴下する。また、端板32bは、下部の第2の反応部ユニット35との取り付け板としての役割も有している。
【0050】
液供給部ユニット33は、上述の第1の冷却部ユニット31および第2の冷却部ユニット32と同様、図3における上下方向端部に配置される端板33a,33bと、周囲を覆う周壁面33cから構成されており、内部には空間が形成されている。端板33a,33bは、周壁面33cよりも外方に突出しており、この突出した部分が他のユニットに対する取り付け用のフランジ部となる。液供給部ユニット33は、第1の反応部ユニット34で生成した未反応有機ハイドライド等を冷却し液化する冷却部としての役割も有している。
【0051】
液供給部ユニット33の内部には、多数の穴(図示省略)が設けられた導通管33dが通っている。導通管33dの一端は、周壁面33cの外部に突出しており、この突出部分が管27bの端部と接続されている。
【0052】
端板33aは、上方から落下してくる未反応有機ハイドライド等を液供給部ユニット33内へ取り込むと共に、第1の反応部ユニット34で生成した水素等を、上方へ送出するための通過口(図示省略)を備えている。この端板33aは、上部の第2の反応部ユニット35との取り付け板としての役割も有している。
【0053】
また、端板33bは、図3における下部に配置された第1の反応部ユニット34で生成した水素等を液供給部ユニット33内に取り込むと共に、導通管33dの穴から落下した有機ハイドライドを、第1の反応部ユニット34側へ通過させるための通過口(図示省略)を有している。この端板33bは、下部の第1の反応部ユニット34との取り付け板としての役割も有している。
【0054】
上述したように、第3の反応部ユニット36を挟んで配置された第1の冷却部ユニット31と第2の冷却部ユニット32とは、管27aを介して連通され、第2の反応部ユニット35を挟んで配置された第2の冷却部ユニット32と液供給部ユニット33とは、管27bを介して連通されている。なお、これらは、並列に接続されていても良い。このような構成から、有機ハイドライドタンク15から送られてきた有機ハイドライドは、第1の冷却部ユニット31に配置された導通管31dを通過した後、管27aを通って第2の冷却部ユニット32へ送られる。さらに、有機ハイドライドは、第2の冷却部ユニット32に配置された導通管32dを通過した後、管27bを通って液供給部ユニット33へ送られる。
【0055】
図4は、第3の反応部ユニット36の内部構成を示す断面図である。図5は、図4に示す第3の反応部ユニット36を上方から見た平面図である。なお、他の反応部ユニット34,35は、第3の反応部ユニット36とほぼ同一の外観形状および内部構造を有している。
【0056】
第3の反応部ユニット36は、上述の各冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33および他の反応部ユニット34,35と同様、上下方向端部に配置される端板36a,36bと、周囲を覆う周壁面36cから構成されており、内部には空間が形成されている。第3の反応部ユニット36の内部空間には、熱媒タンク25から送られてくる熱媒を通過させるための流路36dが配置されている。
【0057】
図4および図5に示すように、流路36dの一端は、周壁面36cの外部に突出しており、この突出部分が管28cの端部と接続されている。また、流路36cの他端は、図4における左右方向反対側の周壁面36cの外側に突出しており、この突出部分が管29cの端部と接続されている。管28c,29cの他端は、それぞれ熱媒タンク25に接続され、熱媒タンク25の熱媒は、循環ポンプ26の作用により、熱媒タンク25、管28c、流路36d、管29c、熱媒タンク25の順に循環する。
【0058】
流路36dは、図4における紙面手前側および紙面奥側(図5における上側および下側)に管28c,29cと平行に伸びる2本の平行流路部分36d1,36d2と、この平行流路部分36d1,36d2を連結するように通る9本の直交流路部分36d3,36d4,36d5,36d6,36d7,36d8,36d9,36d10,36d11と、から構成されている。各直交流路部分36d3,36d4,36d5,36d6,36d7,36d8,36d9,36d10,36d11のそれぞれ隣接するもの同士の間には、仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8がそれぞれ配置されている。
【0059】
そして、各仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8には、それぞれ流路36dに直交する方向(図4において上下方向、図5において紙面前後方向)に、穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8が設けられている。これらの穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8は、各仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8にそれぞれ等間隔で複数(図4においては3つずつ)形成されている。穴36f1,36f2,36f3,36f4,365,36f6,36f7,36f8は、流路36dの上下方向に、気化された水素および反応物等のガスを挿通させるためのガス抜き用の穴である。
【0060】
上述のように構成された流路36dおよび各仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8の上下面に接する位置には、シクロヘキサンに代表される有機ハイドライドを脱水素反応させるための触媒41を担持した平板状金属部材(以下、この平板状金属部材を符号41で示す)が配置されている。上述したように、上面側から見て梯子形状に構成された流路36dを、反応部ユニット36内に設け、この流路36dに熱媒を流しているため、触媒が均一に加熱される。この結果、脱水素反応の効率が向上する。この実施の形態では、触媒として、平面形状の活性炭素地に白金触媒を担持させたものが用いられている。なお、水素付加反応時には、この触媒41の表面において、芳香族化合物と水素とが反応して、有機ハイドライドが生成する。
【0061】
図6は、図4に示す反応部ユニット内の触媒を担持する平板状金属部材41を示す平面図である。図6に示すように、触媒を担持させた平板状金属部材41には、多数のパンチ穴43が形成されている。これらのパンチ穴43は、パンチングにより形成されたものである。
【0062】
図7は、パンチングにより平板状金属部材41から打ち抜かれた部分を示す斜視図である。図7に示す平面A2は、パンチングにより打ち抜かれた部分の仮想平面部に相当する。また、図7に示す外壁面A3の表面積は、パンチングにより形成されたパンチ穴43の内壁面の表面積に相当する。以下、平面A2を仮想平面部として、外壁面A3を穴内部の壁面として説明する。
【0063】
パンチングにより打ち抜かれた部分の仮想平面部43aの表面積は、π((1/2)φ)2となる。一方、パンチングによって形成された穴内部の壁面の表面積は、πφt(板厚寸法)となる。
【0064】
本実施の形態では、パンチングにより打ち抜かれた部分の仮想平面部43aの表面積π((1/2)φ)2より、パンチングによって形成されたパンチ穴43の内壁面の表面積πφt(板厚寸法)の方が大きく設定されている。すなわち、下記の数式1が成立するように、パンチ穴43の寸法が設定される。
【0065】
【数1】
πφt>π・((1/2)φ)2
【0066】
このことから、t>φ/4の関係が成り立つ。すなわち、板厚寸法tが、直径φの1/4より大きくなるように、パンチ穴43が設けられている。
【0067】
このように設定されたパンチ穴43を備えた平板状金属部材41に触媒を担持させることにより、パンチ穴43内の壁面を有効に使って、担持面積を稼ぐことができる。すなわち、パンチ穴43内の壁面の表面積が、パンチ穴43によって打ち抜かれた仮想平面部43aの面積よりも大きいと、パンチ穴43の無い平板状金属部材と比べ、平板状金属部材自体の表面積が増加する。これによって、平板状金属部材41の触媒を担持する面積も増加する。この結果、有機ハイドライド及び水素が、反応部ユニット34,35,36内における平板状金属部材41上に担持された触媒と接触する面積が増え、有機ハイドライドの脱水素反応の効率が向上する。
【0068】
次に、反応装置16内で生じている反応について説明する。図8は、液供給部ユニット33に送られていた有機ハイドライドが、第1の反応部ユニット34に供給されて脱水素反応を起こし、その後、生成された化合物および水素が上昇していく様子を示した図である。以下、図8を利用する説明においては、有機ハイドライドに符号D、反応によって生成する化合物に符号N、水素に符号H、触媒に符号C1,C2,C3を付して説明する。
【0069】
有機ハイドライドタンク15内の有機ハイドライドDは、第1の冷却部ユニット31および第2の冷却部ユニット32を通過して、液供給部ユニット33に到達し、液供給部ユニット33内の導通管33dの下面に形成された穴から落下する(落下部位を黒点にて表示)。これにより、有機ハイドライドDは、第1の反応部ユニット34に配置された触媒C1に接触して脱水素反応を起こす。
【0070】
脱水素反応によって発生した水素Hおよび化合物Nは、気体となって、第1の反応部ユニット34から、その上部の液供給部ユニット33側へと上昇する。また、脱水素されなかった未反応物質(有機ハイドライドD)も、気体となって、水素Hおよび化合物Nと共に液供給部ユニット33側へと上昇する。
【0071】
液供給部ユニット33内の導通管33d内には、常温の有機ハイドライドDが流れている。このため、上昇してきた水素H、未反応物質(有機ハイドライドD)と混合状態の化合物Nは、導通管33dによって冷却される。
【0072】
この冷却によって、未反応物質(有機ハイドライドD)と混合状態の化合物Nの一部は、液化し落下する。落下してきた化合物Nの一部は、第1反応部ユニット34内の触媒C1に接触する。未反応物質(有機ハイドライドD)は、再び脱水素を起こし、気体となって上昇する。また、落下してきた化合物Nは、触媒C1に接触して加熱され反応し、気体となって上昇していく。
【0073】
水素は、冷却されても液化しないため、気体のまま上昇していく。そして、水素Hは、図3に示す、反応装置16の最上部に形成された送出口31eから気液分離装置40a側へ送られ、水素取出口19から水素供給・貯蔵装置14の外部へ送り出される。
【0074】
液供給部ユニット33の導通管33cで液化されずに気体のまま上昇していった未反応物質(有機ハイドライドD)は、第2の反応部ユニット35内の平板状金属部材41に担持された触媒C2と接触する。これにより、触媒C2に気体の未反応物質(有機ハイドライドD)が接触し、脱水素反応を起こす。この脱水素反応により生成した水素Hと化合物Nは、気体となって上昇していく。
【0075】
第2の冷却部ユニット32内の導通管32dは、上述した導通管33dと同様に、未反応物質(有機ハイドライドD)を冷却する役割を有している。そのため、下部にある第1の反応部ユニット34および第2の反応部ユニット35内で脱水素反応せずに気体の状態で上昇してきた未反応物質(有機ハイドライドD)は、液化して落下する。落下した未反応物質(有機ハイドライドD)は、下部の第2の反応部ユニット35またはさらに下部の第1の反応部ユニット34で脱水素反応を起こす。
【0076】
上述の未反応物(有機ハイドライドD)等の脱水素反応および冷却による液化は、上述したように、▲1▼液供給部ユニット33からの滴下、▲2▼第1反応部ユニット34での反応(気化)、▲3▼液供給部ユニット33及び2つの冷却部ユニット31,32での冷却による液化と落下、▲4▼反応部ユニット34,35,36での反応(気化)、というように何度も繰り返される。そして、その間に供給した水素は、液化されずに上昇し、反応装置16の最上部に形成された送出口31eから気液分離装置40a側へ送られ、水素取出口19から水素供給・貯蔵装置14の外部へ送り出される。また、液化されなかった一部の化合物Nおよび有機ハイドライドDは、送出口31eから気液分離装置40a側に送られ、気液分離装置40aで液化されて回収タンク18に回収される。このように、本実施の形態では、液供給部ユニット33から滴下させた有機ハイドライドの脱水素反応を何度も起こすことにより、水素の生成率を向上させることができる。
【0077】
この実施の形態では、各冷却部ユニット31,32および液供給部ユニット33は、ほぼ同様の構成をしているが、図3において上側にそれぞれ配置される端板31a,32a,33aの各構成に異なる点がある。具体的に述べると、第1の冷却部ユニット31の端板31aには、送出口31eが設けられているが、第2の冷却部ユニット32の端板32aおよび液供給部ユニット33の端板33aには、送出口が設けられていない。また、第2の冷却部ユニット32の端板32aおよび液供給部ユニット33の端板33aには、通過口が設けられているが、第1の冷却部ユニット31の端板31aには、通過口が設けられていない。なお、各冷却部ユニット31,32及び液供給部ユニット33の外観形状を同一化し、必要に応じて通過口を塞ぐ蓋または送出口31eを塞ぐ蓋を用いるようにしても良い。
【0078】
また、この実施の形態では、有機ハイドライドタンク15に連通された冷却部ユニット31,32を、内部に有機ハイドライドが単に通過していく導通管31d,32dを配置した構成としている。しかし、各導通管31d,32dの下面にも穴を設け、第1及び第2の冷却部ユニット31,32からも、液供給部ユニット33内の導通管33d同様、有機ハイドライドが穴から下方へ落下する構成としても良い。
【0079】
図2に示す家屋10では、太陽電池11または風力発電機12により作られた電気は、インバータ51を経由して交流に変換される。変換された電気は、家庭用の電気機器52に使用されるか、電気機器52を使用していないときには、電解装置13に供給される。電解装置13では、水の電気分解により水素(H2)と酸素(O2)が発生する。発生した水素は、水素供給・貯蔵装置14に送られ、芳香族化合物との水素付加反応により有機ハイドライドの形で、水素供給・貯蔵装置14に貯蔵される。
【0080】
なお、水素付加反応を利用して水素供給・貯蔵装置14内に水素を貯蔵する場合には、図示しないバルブを開放して上述の反応装置16内に水素を投入すると共に、水素取り出し口19を塞ぐ。また、有機ハイドライドタンク15には、芳香族化合物が貯蔵されている。
【0081】
一方、図3を用いて説明したように、脱水素反応を利用して水素供給・貯蔵装置14で水素を供給させる場合には、有機ハイドライドが有機ハイドライドタンク15内に貯蔵されており、上述のバルブは閉じられ、水素取り出し口19は開放されている。
【0082】
太陽電池11または風力発電機12により作られた電気が過剰な場合、すなわち、家庭用の電気機器52によって使用される電気以上の発電がなされている場合にも、余分な電気は電解装置13に送られる。そして、電解装置13で発生した水素は、水素供給・貯蔵装置14に送られる。そして、水素は、芳香族化合物との水素付加反応により有機ハイドライドの形で、水素供給・貯蔵装置14に貯蔵される。
【0083】
電解装置13から水素を水素供給・貯蔵装置14の反応装置16へ送り、水素を貯蔵する場合、有機ハイドライドタンク15に予め貯蔵された芳香族化合物を、ポンプ21で反応装置16へ送る。反応装置16内では、芳香族化合物の液体は、導通管33dから触媒41の上に滴下する。一方、熱媒は、熱媒タンク25から反応装置16の各流路34d,35d,36dに送られてくる。これにより、触媒41の上に落下してきた芳香族化合物は加熱され、水素付加反応が起こる。これにより、芳香化合物は、反応装置16の最上部に形成された送出口31eから気液分離装置40a側へ送られ、気液分離装置40aで液化されて回収タンク18に回収される。
【0084】
また、家屋10内で使用する電力が足りない場合、水素供給・貯蔵装置14内の有機ハイドライドを脱水素反応させ、水素を取り出して燃料電池30へ供給する。燃料電池30では、水素供給・貯蔵装置14から送られてくる水素と空気中から供給される酸素との反応により、電気が発生する。この電気は、家庭用の電気機器52用に使用される他、電気自動車53の動力に使用される。このように、水素供給・貯蔵装置14は、家庭の電力の需要に応じて、シクロへキサンのような水素供給体の形でエネルギーを保存したり、水素供給体の脱水素反応によりエネルギーを作り出す。
【0085】
水素供給・貯蔵装置14で水素を供給させる場合、有機ハイドライドタンク15に貯蔵された有機ハイドライド(水素供給体)を、ポンプ21により反応装置16へ送る。反応装置16内では、有機ハイドライドの液体が、導通管33dから触媒41の上に落下する。一方、熱媒タンク25から熱媒が、反応装置16の各流路34d,35d,36dへ送られてくる。これにより、触媒41の上に滴下してきた有機ハイドライド(水素供給体)が加熱され、脱水素反応が起こる。有機ハイドライドは、反応装置16内で、気化と液化とを繰り返しながら高効率で脱水素反応される。
【0086】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施の形態では、冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33および反応部ユニット34,35,36の外観形状を全てほぼ同一としたが、全てを同一とする必要はない。各ユニット31〜36は、それぞれ単体で交換可能であると共に、配置変換を行えるのであれば、外観形状が全て同一でなくても良い。
【0087】
また、上述の実施の形態では、冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33と反応部ユニット34,35,36とが交互に配置されるように構成されている。しかし、冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33と反応部ユニット34,35,36との配置は、交互としなくても良い。
【0088】
また、上述の実施の形態では、各反応部ユニット34,35,36内にそれぞれ流路34d,35d,36dを設け、熱媒タンク25から循環ポンプ26によって熱媒を流路34d,35d,36dへ送り、反応部ユニット34,35,36内の触媒41を加熱している。しかし、加熱方法は、上述したように、他の方法であっても良い。また、3つの反応部ユニット34,35,36に全て流路34d,35d,36dを設けるのではなく、一部に設けるようにしても良い。この場合、流路の無い反応部ユニット、もしくは全ての反応部ユニット34,35,36内に加熱用のヒータを設けても良い。
【0089】
また、上述の実施の形態では、各流路34d,35d,36dをそれぞれ仕切る仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8に、それぞれ流路34d,35d,36dに直交する方向(図4において上下方向、図5において紙面前後方向)に、穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8が設けられている。しかし、これらの穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8を設けない構成としても良い。
【0090】
また、上述の実施の形態では、触媒を担持する平板状金属部材41にパンチングによって形成されたパンチ穴43を設けている。そして、このパンチ穴43は、パンチングによって打ち抜かれた仮想平面部A2の面積より、パンチングによって形成されたパンチ穴43の内部の壁面の表面積の方が大きく形成されている。しかし、パンチ穴43の構成は、特にこのように設定されていなくても良い。例えば、各パンチ穴43が、上述の数式1の条件を満たさなくても、全パンチ穴43を総合したときに、穴部分の平面部面積よりも穴内部の壁面の表面積が大きくなるようにしても良い。また、パンチ穴43を有していない平板状金属部材に触媒41が担持されていても良い。
【0091】
また、上述の実施の形態では、水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体としては、シクロヘキサンの他に、デカリンを用いても良い。デカリンを用いる場合、脱水素反応によりナフタレンと水素が生成される。一方、ナフタレンと水素とを水素付加反応させると、デカリンが生成される。また、シクロヘキサンおよびデカリンの他に、メチルシクロヘキサンなども、水素供給体として使用することができる。
【0092】
また、上述の実施の形態では、水素付加反応により水素と反応して水素を貯蔵する水素貯蔵体としてベンゼンを用いているが、ベンゼンの他に、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、ビフェニル、フェナスレンおよびそれらのアルキル置換体のうちのいずれか1つ、あるいは複数の混合体などを、水素貯蔵体として用いても良い。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水素供給・貯蔵装置によれば、広範囲の用途あるいは条件に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素供給・貯蔵装置を利用する水素貯蔵・供給システムの根幹をなす原理を示す図で、芳香族化合物の水素付加反応と、その芳香族化合物の水素付加反応により生成した化合物(有機ハイドライド)の脱水素反応とを利用して水素を貯蔵あるいは供給させる流れを示す図である。
【図2】本発明に係る水素供給・貯蔵装置の実施の形態を利用するシステムを示す図で、エネルギー自立型の家屋用自家発電を例とした水素貯蔵・供給システムを示す図である。
【図3】本発明に係る水素供給・貯蔵装置の実施の形態の構成概要図である。
【図4】図3に示す水素供給・貯蔵装置の反応装置の一部を構成する反応部ユニットのうちの1つにおける内部構成を示す断面図である。
【図5】図4に示す反応部ユニットを上方から見た平面図である。
【図6】図4に示す反応部ユニット内の触媒を担持する平板状金属部材を示す平面図である。
【図7】図6に示す平板状金属部材から、パンチングにより打ち抜かれた部分を示した斜視図で、パンチングによって形成されたパンチ穴の構成を説明するための図である。
【図8】図3に示す反応装置内における水素、未反応物質および反応によって生成された化合物の流れを示す図である。
【符号の説明】
14 水素供給・貯蔵装置
25 熱媒タンク
31 第1の冷却部ユニット(冷却部)
32 第2の冷却部ユニット(冷却部)
33 液供給部ユニット(液供給部)
34 第1の反応部ユニット(反応部)
34d 流路
35 第2の反応部ユニット(反応部)
35d 流路
36 第3の反応部ユニット(反応部)
36d 流路
41 触媒(触媒を担持させた平板状金属部材)
43 パンチ穴
A2 仮想平面部
A3 パンチ穴の内部の壁面
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を供給または貯蔵可能な水素供給・貯蔵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、主として、火力発電および原子力発電が電気エネルギーの供給方法であるが、かかる方法は、地球環境への影響、安全面および残留量など、種々の問題を抱えている。また、自動車は、主として、ガソリン、軽油、プロパンガス等の炭化水素系の燃料を用いているが、かかる燃料は、地球環境に悪影響を与えるという問題を抱えている。
【0003】
上記問題に鑑みて、発電用の燃料として水素が注目されてきている。水素は、水の電気分解により生成できるため、ほぼ無尽蔵に存在すると共に、燃焼後に二酸化炭素を発生させないクリーンなエネルギー源でもある。
【0004】
一方、同じ炭素数を有する環状炭化水素として、ベンゼンとシクロヘキサンが知られている。前者のベンゼンは、炭素同士の結合が部分的に二重結合となっている不飽和炭化水素であるのに対し、後者のシクロヘキサンは、炭素同士の結合に二重結合を持たない飽和炭化水素である。このため、ベンゼンに水素を付加させると、シクロヘキサンが得られ、シクロヘキサンから水素の一部を除くと、ベンゼンが得られる。同様に、ナフタレンの水素付加反応によりデカリンが得られ、デカリンの脱水素反応によりナフタレンが得られる。このように、これらの炭化水素の水素付加反応と脱水素反応とを利用することにより、水素の貯蔵および供給が可能となる。かかる水素の貯蔵あるいは供給の技術は、自動車の動力としても期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−187702号公報(要約書など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、飽和炭化水素と不飽和炭化水素との間における脱水素反応および水素付加反応を利用した水素の供給および貯蔵を実用化するには、当該反応を行う装置が広範囲の用途・条件に対応できることが望まれている。具体的には、使用する飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素の種類、水素の供給もしくは貯蔵量、または反応温度に適した装置に変更容易とすることが望まれている。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、広範囲の用途あるいは条件に対応可能な水素供給・貯蔵装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑み、水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体と、水素と反応してその水素を貯蔵する芳香族化合物から成る水素貯蔵体との間における脱水素反応または水素付加反応を利用して水素の供給または貯蔵を行う水素供給・貯蔵装置であって、脱水素反応または水素付加反応に必要な触媒を備え、脱水素反応または水素付加反応を行う反応部と、水素供給体または水素貯蔵体を供給する液供給部と、を上下方向に積み重ねた構造を有し、反応部および液供給部は、相互に配置変換可能なユニットであることを特徴としている。
【0009】
上述の発明によれば、脱水素反応または水素付加反応をさせるための反応部と、水素供給体または水素貯蔵体を供給する液供給部とが相互に配置変換可能なユニットで構成されている。したがって、液供給部と反応部とを交互に配置して、物質の反応効率を高くすることができると共に、各部の修繕および触媒の補給等の作業が容易となる。
【0010】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、気体状態にある水素供給体または水素貯蔵体を冷却して液化させる冷却部を、さらに液供給部および反応部の上下方向に積み重ね、反応部、液供給部および冷却部は、相互に配置変換可能なユニットであることを特徴としている。
【0011】
上述の発明によれば、冷却部をさらに液供給部および反応部の上下方向に積み重ねたため、反応せずに気化してしまった未反応物質が、再度冷却部で冷却されて液体に戻され触媒に接触し、反応するため反応効率が向上する。また、冷却部も反応部、液供給部と相互に配置変換可能となっており、各部の修繕および触媒の補給等の作業が容易となる。
【0012】
他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、ユニットを、全て同一の外観形状とし、各ユニットを必要に応じて自在に配置することが可能であることを特徴としている。
【0013】
上述の発明によれば、各ユニットが全て同一の外観形状となるため、ユニット同士の入れ替えが自在となり、用途に応じて適宜各ユニットを配置することができる。したがって、さらに、物質の反応効率を高くすることが可能である。
【0014】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、反応部に、触媒を加熱するためのヒータまたは燃焼触媒を有することを特徴としている。
【0015】
上述の発明によれば、触媒がヒータおよび燃焼触媒によって加熱されるため、反応効率が向上する。
【0016】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、触媒を担持する担持部材を備え、その担持部材は、パンチングによりあけられた穴を有し、パンチング前の状態よりも表面積が大きいことを特徴としている。
【0017】
上述の発明によれば、触媒を担持させた担持部材にパンチ穴をあけることにより、パンチ穴内の壁面を有効に使って、触媒を担持させる表面積を稼いでいる。この結果、物質の反応効率を向上させることができる。
【0018】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、水素供給体または水素貯蔵体を燃焼させることによって加熱された熱媒体を通す管路を備え、熱媒体によって触媒を加熱することを特徴としている。
【0019】
上述の発明によれば、当該水素供給・貯蔵装置により生成された水素供給体または水素貯蔵体が、熱媒体を加熱するために有効に活用される。
【0020】
また、他の発明は、上述の水素供給・貯蔵装置において、熱媒体は、循環ポンプによって循環されることを特徴としている。
【0021】
上述の発明によれば、熱媒体が循環されるため、効率よく反応部ユニット内の触媒を加熱することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水素供給・貯蔵装置の実施の形態を、図1から図7に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、以下に説明する各実施の形態に共通する仕組みを説明するための図である。具体的には、芳香族化合物の水素付加反応を利用した水素の貯蔵と、その水素付加反応により生成した化合物(以後、有機ハイドライドという)の脱水素反応を利用した水素の供給の原理を示す図である。
【0024】
ベンゼン等の芳香族化合物1は、水の電気分解等により生成した水素2と水素付加反応をして、シクロヘキサン等の有機ハイドライド3となる。具体的には、芳香族化合物1の炭素間の二重結合に水素2が付加する。すなわち、水素2は、有機ハイドライド3の形で貯蔵されることになる。
【0025】
また、有機ハイドライド3は、脱水素反応により、芳香族化合物1と水素2とに分解する。なお、このように供給した水素2は、酸素4と共に燃料電池5に供給される。この燃料電池5は、水の電気分解と逆の原理で、電気を供給する。
【0026】
このように、芳香族化合物1は水素2を貯蔵できる水素貯蔵体として機能し、有機ハイドライド3は水素2を供給させる水素供給体として機能する。このため、芳香族化合物1と有機ハイドライド3とのサイクルを利用した水素供給・貯蔵システムが形成できる。
【0027】
次に、図1に示す原理を利用した水素供給・貯蔵システムの一例について、図2を用いて説明する。なお、以後、有機ハイドライド等の原料に、番号を付さない。また、図2で示した水素供給・貯蔵システムの一部となる水素供給・貯蔵装置14は、本発明の実施の形態における装置である。
【0028】
図2は、エネルギー自立型の家庭用自家発電を例とした水素貯蔵・供給システムを模式的に示す図である。本発明の水素供給・貯蔵装置は、このシステムの一部として機能する。
【0029】
家屋10に設けた水素貯蔵・供給システムは、主に、屋根等に設置した太陽電池11と、風力発電機12と、電解装置13と、水素供給・貯蔵装置14と、燃料電池30とを備えている。
【0030】
水素供給・貯蔵装置14は、シクロヘキサンに代表される有機ハイドライドの脱水素反応を利用して水素を発生させ、この水素を当該水素供給・貯蔵装置14の外部へ供給することが可能な装置である。また、水素供給・貯蔵装置14は、ベンゼンに代表される芳香族化合物と水素を反応させて、水素を当該水素供給・貯蔵装置14内に貯蔵することが可能なものとなっている。
【0031】
図3は、水素供給・貯蔵装置14の一構成例を示す図である。なお、以下、水素供給・貯蔵装置14が脱水素反応により水素を供給する場合について、主に説明する。ただし、この水素供給・貯蔵装置14では、有機ハイドライドタンク15内に水素貯蔵体となる芳香族化合物を投入し、反応装置16内へ水素を投入することにより、水素付加反応を利用した水素の貯蔵を行うこともできる。
【0032】
図3に示す水素供給・貯蔵装置14は、有機ハイドライドの脱水素反応を利用して水素と芳香族化合物とに分解し、水素を当該水素供給・貯蔵装置14の水素取出口19から外部へ送ると共に、芳香物化合物を回収することが可能である。
【0033】
水素供給・貯蔵装置14は、有機ハイドライドが貯蔵されている有機ハイドライドタンク15と、有機ハイドライドを脱水素反応させるための反応装置16と、反応装置16内の触媒41を加熱させるための加熱システム17と、水素以外の未反応物および反応生成物を回収するための回収タンク18と、脱水素反応により発生した水素を取り出すための水素取出口19と、を有している。回収タンク18は、反応装置16と直接連通され、反応装置16内に液体で残留する未反応物および反応生成物を回収することができるものである。
【0034】
なお、水素付加反応を行う場合、有機ハイドライドタンク15には、水素貯蔵体である芳香族化合物が貯蔵される。また、水素付加反応をさせる場合、反応装置16内には、図示しないバルブから水素が投入される。回収タンク18は、反応装置16内での水素付加反応により生成される有機ハイドライドを回収する。
【0035】
有機ハイドライドタンク15は、管20によって反応装置16に接続されている。管20には、有機ハイドライドを有機ハイドライドタンク15から反応装置16へ送るためのポンプ21が設けられている。
【0036】
また、有機ハイドライドタンク15は、管22によってバーナー23に接続されている。有機ハイドライドタンク15に貯蔵されている有機ハイドライドは、主として、水素供給体として反応装置16に供給されるが、有機ハイドライドの一部はバーナー23に送られる。バーナー23に送られた有機ハイドライドは、バーナー23の燃料として消費される。一方、熱媒タンク25には、液体の熱媒体が入れられている。バーナー23で熱せられた熱媒体は、反応装置16内の触媒41を加熱するため、循環ポンプ26によって第1反応部ユニット34、第2反応部ユニット35および第3反応部ユニット36と熱媒タンク25との間で循環する。
【0037】
なお、本実施の形態では、触媒を加熱するために、熱媒体を用いているが、特に、この方法に限定されるものではない。たとえば、各反応部ユニット34,35,36内に、触媒41を加熱するためのカートリッジヒータを内蔵するようにしても良い。また、上述の熱媒体を第1反応部ユニット34、第2反応部ユニット35および第3反応部ユニット36にそれぞれ送り、さらに上述のカートリッジヒータを、各反応部ユニット34,35,36に内蔵するようにしても良い。
【0038】
反応装置16は、有機ハイドライドタンク15から送られてきた有機ハイドライドを、触媒41に接触させて脱水素反応を起こし、水素を供給する装置である。この反応装置16は、管20によって有機ハイドライドタンク15と接続された第1の冷却部ユニット31と、管27aによって第1の冷却部ユニット31と接続された第2の冷却部ユニット32と、管27bによって第2の冷却部ユニット32と接続された液供給部ユニット33を有している。
【0039】
また、反応装置16は、熱媒タンク25と連通する管28a,29aにそれぞれ接続され、熱媒タンク25との間で熱媒を循環する流路34dを内部に有する第1の反応部ユニット34と、熱媒タンク25と連通する管28b,29bにそれぞれ接続され、熱媒タンク25との間で熱媒を循環する流路35dを内部に有する第2の反応部ユニット35と、熱媒タンク25と連通する管28c,29cにそれぞれ接続され、熱媒タンク25との間で熱媒を循環する流路36dを内部に有する第3の反応部ユニット36と、を有している。
【0040】
反応装置16は、最上部から下方に向かって、第1の冷却部ユニット31、第3の反応部ユニット36、第2の冷却部ユニット32、第2の反応部ユニット35、液供給部ユニット33および第1の反応部ユニット34の順に配置されている。これらの各ユニット31〜36は、ほぼ同一の外観形状を有しており、各ユニット31〜36を必要に応じて自在に入れ換えて配置することが可能である。各ユニット31〜36の上下方向端部に設けられた端板の周壁から外方へ突出するように設けられたフランジ部分は、互いに上下方向に隣接するユニット31〜36への取り付け部となる。
【0041】
第1の冷却部ユニット31は、図3における上下方向端部に配置される端板31a,31bと、周囲を覆う周壁面31cから構成されており、内部には空間が形成されている。端板31a,31bは、周壁面31cよりも外方に突出しており、この突出した部分が他のユニットに対する取り付け用のフランジ部となる。第1の冷却部ユニット31は、熱媒を循環しておらず常温の有機ハイドライドを内部に通過させているため、図3において下部に配置される第1の反応部ユニット34、第2の反応部ユニット35および第3の反応部ユニット36で気化された未反応の有機ハイドライドを冷却し液化すると共に、供給する有機ハイドライドの予熱も行う。
【0042】
第1の冷却部ユニット31の内部には、有機ハイドライドを流す導通管31dが通っている。導通管31dの一端は、周壁面31cの外部に突出しており、この突出部分が管20の端部と接続されている。また、導通管31dの他端は、図1における左右方向反対側の周壁面31cの外側に突出しており、この突出部分が管27aの端部と接続されている。
【0043】
端板31aは、脱水素反応により発生した水素等を反応装置16の外部へ送出するための送出口31eを備えている。すなわち、反応部ユニット34,35,36における脱水素反応によって発生した水素は、送出口31eを通って反応装置16の外部に送られる。
【0044】
送出口31eには、管29dの一端が接続されている。管29dの他端は、気液分離装置40aに接続されている。この気液分離装置40aは、連結された冷却器40bによって送られてきた水素、未反応の有機ハイドライドおよび反応生成物である芳香族化合物(以後、未反応有機ハイドライド等という)を冷却し液化する。これによって、気液分離装置40aに設けられた水素取り出し口19からは、純度の高い水素を取り出すことができる。また、この気液分離装置40aでトラップされた未反応有機ハイドライド等は、回収タンク18にて回収される。なお、反応装置16内における脱水素反応によって水素と分離し底部へ落下した未反応有機ハイドライド等は、反応装置16から、直接、回収タンク18へ送られる。
【0045】
また、端板31bは、中央部分に通過口(図示省略)を有している。この通過口は、図3における下部の反応部ユニット34,35,36で生成した水素等を第1の冷却部ユニット31内に取り込む部分である。未反応有機ハイドライド等は、第1の冷却部ユニット31内に配置された導通管31dで液化し、導通管31dから、通過口を通って、第3の反応部ユニット36側に滴下する。また、端板31bは、下部の第3の反応部ユニット36との取り付け板としての役割も有している。
【0046】
第2の冷却部ユニット32は、上述の第1の冷却部ユニット31と同様、図3における上下方向端部に配置される端板32a,32bと、周囲を覆う周壁面32cから構成されており、内部には空間が形成されている。端板32a,32bは、周壁面32cよりも外方に突出しており、この突出した部分が他のユニットに対する取り付け用のフランジ部となる。第2の冷却部ユニット32は、熱媒を循環しておらず常温の有機ハイドライドを内部に通過させている。このため、第1の反応部ユニット34および第2の反応部ユニット35で生成した未反応有機ハイドライド等は、ここで冷却され液化する。また、供給する有機ハイドライドの予熱も行われる。
【0047】
第2の冷却部ユニット32の内部には、有機ハイドライドを通す導通管32dが通っている。導通管32dの一端は、周壁面32cの外部に突出しており、この突出部分が管27aの端部と接続されている。また、導通管32dの他端は、図3における左右方向反対側の周壁面32cの外側に突出しており、この突出部分が管27bの端部と接続されている。
【0048】
端板32aは、上方から落下してくる未反応有機ハイドライド等を第2の冷却部ユニット32内へ取り込むと共に、反応部ユニット34,35で生成した水素等を、上方へ送出するための通過口(図示省略)を備えている。この端板32aは、上部の第3の反応部ユニット36との取り付け板としての役割も有している。
【0049】
また、端板32bは、中央部分に通過口を有している。この通過口は、図3における下部の反応部ユニット34,35で生成した水素等を第2の冷却部ユニット32内に取り込む部分である。未反応有機ハイドライド等は、第2の冷却部ユニット32内に配置された導通管32dで液化し、導通管32dから、通過口を通って、第2の反応部ユニット35側に滴下する。また、端板32bは、下部の第2の反応部ユニット35との取り付け板としての役割も有している。
【0050】
液供給部ユニット33は、上述の第1の冷却部ユニット31および第2の冷却部ユニット32と同様、図3における上下方向端部に配置される端板33a,33bと、周囲を覆う周壁面33cから構成されており、内部には空間が形成されている。端板33a,33bは、周壁面33cよりも外方に突出しており、この突出した部分が他のユニットに対する取り付け用のフランジ部となる。液供給部ユニット33は、第1の反応部ユニット34で生成した未反応有機ハイドライド等を冷却し液化する冷却部としての役割も有している。
【0051】
液供給部ユニット33の内部には、多数の穴(図示省略)が設けられた導通管33dが通っている。導通管33dの一端は、周壁面33cの外部に突出しており、この突出部分が管27bの端部と接続されている。
【0052】
端板33aは、上方から落下してくる未反応有機ハイドライド等を液供給部ユニット33内へ取り込むと共に、第1の反応部ユニット34で生成した水素等を、上方へ送出するための通過口(図示省略)を備えている。この端板33aは、上部の第2の反応部ユニット35との取り付け板としての役割も有している。
【0053】
また、端板33bは、図3における下部に配置された第1の反応部ユニット34で生成した水素等を液供給部ユニット33内に取り込むと共に、導通管33dの穴から落下した有機ハイドライドを、第1の反応部ユニット34側へ通過させるための通過口(図示省略)を有している。この端板33bは、下部の第1の反応部ユニット34との取り付け板としての役割も有している。
【0054】
上述したように、第3の反応部ユニット36を挟んで配置された第1の冷却部ユニット31と第2の冷却部ユニット32とは、管27aを介して連通され、第2の反応部ユニット35を挟んで配置された第2の冷却部ユニット32と液供給部ユニット33とは、管27bを介して連通されている。なお、これらは、並列に接続されていても良い。このような構成から、有機ハイドライドタンク15から送られてきた有機ハイドライドは、第1の冷却部ユニット31に配置された導通管31dを通過した後、管27aを通って第2の冷却部ユニット32へ送られる。さらに、有機ハイドライドは、第2の冷却部ユニット32に配置された導通管32dを通過した後、管27bを通って液供給部ユニット33へ送られる。
【0055】
図4は、第3の反応部ユニット36の内部構成を示す断面図である。図5は、図4に示す第3の反応部ユニット36を上方から見た平面図である。なお、他の反応部ユニット34,35は、第3の反応部ユニット36とほぼ同一の外観形状および内部構造を有している。
【0056】
第3の反応部ユニット36は、上述の各冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33および他の反応部ユニット34,35と同様、上下方向端部に配置される端板36a,36bと、周囲を覆う周壁面36cから構成されており、内部には空間が形成されている。第3の反応部ユニット36の内部空間には、熱媒タンク25から送られてくる熱媒を通過させるための流路36dが配置されている。
【0057】
図4および図5に示すように、流路36dの一端は、周壁面36cの外部に突出しており、この突出部分が管28cの端部と接続されている。また、流路36cの他端は、図4における左右方向反対側の周壁面36cの外側に突出しており、この突出部分が管29cの端部と接続されている。管28c,29cの他端は、それぞれ熱媒タンク25に接続され、熱媒タンク25の熱媒は、循環ポンプ26の作用により、熱媒タンク25、管28c、流路36d、管29c、熱媒タンク25の順に循環する。
【0058】
流路36dは、図4における紙面手前側および紙面奥側(図5における上側および下側)に管28c,29cと平行に伸びる2本の平行流路部分36d1,36d2と、この平行流路部分36d1,36d2を連結するように通る9本の直交流路部分36d3,36d4,36d5,36d6,36d7,36d8,36d9,36d10,36d11と、から構成されている。各直交流路部分36d3,36d4,36d5,36d6,36d7,36d8,36d9,36d10,36d11のそれぞれ隣接するもの同士の間には、仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8がそれぞれ配置されている。
【0059】
そして、各仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8には、それぞれ流路36dに直交する方向(図4において上下方向、図5において紙面前後方向)に、穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8が設けられている。これらの穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8は、各仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8にそれぞれ等間隔で複数(図4においては3つずつ)形成されている。穴36f1,36f2,36f3,36f4,365,36f6,36f7,36f8は、流路36dの上下方向に、気化された水素および反応物等のガスを挿通させるためのガス抜き用の穴である。
【0060】
上述のように構成された流路36dおよび各仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8の上下面に接する位置には、シクロヘキサンに代表される有機ハイドライドを脱水素反応させるための触媒41を担持した平板状金属部材(以下、この平板状金属部材を符号41で示す)が配置されている。上述したように、上面側から見て梯子形状に構成された流路36dを、反応部ユニット36内に設け、この流路36dに熱媒を流しているため、触媒が均一に加熱される。この結果、脱水素反応の効率が向上する。この実施の形態では、触媒として、平面形状の活性炭素地に白金触媒を担持させたものが用いられている。なお、水素付加反応時には、この触媒41の表面において、芳香族化合物と水素とが反応して、有機ハイドライドが生成する。
【0061】
図6は、図4に示す反応部ユニット内の触媒を担持する平板状金属部材41を示す平面図である。図6に示すように、触媒を担持させた平板状金属部材41には、多数のパンチ穴43が形成されている。これらのパンチ穴43は、パンチングにより形成されたものである。
【0062】
図7は、パンチングにより平板状金属部材41から打ち抜かれた部分を示す斜視図である。図7に示す平面A2は、パンチングにより打ち抜かれた部分の仮想平面部に相当する。また、図7に示す外壁面A3の表面積は、パンチングにより形成されたパンチ穴43の内壁面の表面積に相当する。以下、平面A2を仮想平面部として、外壁面A3を穴内部の壁面として説明する。
【0063】
パンチングにより打ち抜かれた部分の仮想平面部43aの表面積は、π((1/2)φ)2となる。一方、パンチングによって形成された穴内部の壁面の表面積は、πφt(板厚寸法)となる。
【0064】
本実施の形態では、パンチングにより打ち抜かれた部分の仮想平面部43aの表面積π((1/2)φ)2より、パンチングによって形成されたパンチ穴43の内壁面の表面積πφt(板厚寸法)の方が大きく設定されている。すなわち、下記の数式1が成立するように、パンチ穴43の寸法が設定される。
【0065】
【数1】
πφt>π・((1/2)φ)2
【0066】
このことから、t>φ/4の関係が成り立つ。すなわち、板厚寸法tが、直径φの1/4より大きくなるように、パンチ穴43が設けられている。
【0067】
このように設定されたパンチ穴43を備えた平板状金属部材41に触媒を担持させることにより、パンチ穴43内の壁面を有効に使って、担持面積を稼ぐことができる。すなわち、パンチ穴43内の壁面の表面積が、パンチ穴43によって打ち抜かれた仮想平面部43aの面積よりも大きいと、パンチ穴43の無い平板状金属部材と比べ、平板状金属部材自体の表面積が増加する。これによって、平板状金属部材41の触媒を担持する面積も増加する。この結果、有機ハイドライド及び水素が、反応部ユニット34,35,36内における平板状金属部材41上に担持された触媒と接触する面積が増え、有機ハイドライドの脱水素反応の効率が向上する。
【0068】
次に、反応装置16内で生じている反応について説明する。図8は、液供給部ユニット33に送られていた有機ハイドライドが、第1の反応部ユニット34に供給されて脱水素反応を起こし、その後、生成された化合物および水素が上昇していく様子を示した図である。以下、図8を利用する説明においては、有機ハイドライドに符号D、反応によって生成する化合物に符号N、水素に符号H、触媒に符号C1,C2,C3を付して説明する。
【0069】
有機ハイドライドタンク15内の有機ハイドライドDは、第1の冷却部ユニット31および第2の冷却部ユニット32を通過して、液供給部ユニット33に到達し、液供給部ユニット33内の導通管33dの下面に形成された穴から落下する(落下部位を黒点にて表示)。これにより、有機ハイドライドDは、第1の反応部ユニット34に配置された触媒C1に接触して脱水素反応を起こす。
【0070】
脱水素反応によって発生した水素Hおよび化合物Nは、気体となって、第1の反応部ユニット34から、その上部の液供給部ユニット33側へと上昇する。また、脱水素されなかった未反応物質(有機ハイドライドD)も、気体となって、水素Hおよび化合物Nと共に液供給部ユニット33側へと上昇する。
【0071】
液供給部ユニット33内の導通管33d内には、常温の有機ハイドライドDが流れている。このため、上昇してきた水素H、未反応物質(有機ハイドライドD)と混合状態の化合物Nは、導通管33dによって冷却される。
【0072】
この冷却によって、未反応物質(有機ハイドライドD)と混合状態の化合物Nの一部は、液化し落下する。落下してきた化合物Nの一部は、第1反応部ユニット34内の触媒C1に接触する。未反応物質(有機ハイドライドD)は、再び脱水素を起こし、気体となって上昇する。また、落下してきた化合物Nは、触媒C1に接触して加熱され反応し、気体となって上昇していく。
【0073】
水素は、冷却されても液化しないため、気体のまま上昇していく。そして、水素Hは、図3に示す、反応装置16の最上部に形成された送出口31eから気液分離装置40a側へ送られ、水素取出口19から水素供給・貯蔵装置14の外部へ送り出される。
【0074】
液供給部ユニット33の導通管33cで液化されずに気体のまま上昇していった未反応物質(有機ハイドライドD)は、第2の反応部ユニット35内の平板状金属部材41に担持された触媒C2と接触する。これにより、触媒C2に気体の未反応物質(有機ハイドライドD)が接触し、脱水素反応を起こす。この脱水素反応により生成した水素Hと化合物Nは、気体となって上昇していく。
【0075】
第2の冷却部ユニット32内の導通管32dは、上述した導通管33dと同様に、未反応物質(有機ハイドライドD)を冷却する役割を有している。そのため、下部にある第1の反応部ユニット34および第2の反応部ユニット35内で脱水素反応せずに気体の状態で上昇してきた未反応物質(有機ハイドライドD)は、液化して落下する。落下した未反応物質(有機ハイドライドD)は、下部の第2の反応部ユニット35またはさらに下部の第1の反応部ユニット34で脱水素反応を起こす。
【0076】
上述の未反応物(有機ハイドライドD)等の脱水素反応および冷却による液化は、上述したように、▲1▼液供給部ユニット33からの滴下、▲2▼第1反応部ユニット34での反応(気化)、▲3▼液供給部ユニット33及び2つの冷却部ユニット31,32での冷却による液化と落下、▲4▼反応部ユニット34,35,36での反応(気化)、というように何度も繰り返される。そして、その間に供給した水素は、液化されずに上昇し、反応装置16の最上部に形成された送出口31eから気液分離装置40a側へ送られ、水素取出口19から水素供給・貯蔵装置14の外部へ送り出される。また、液化されなかった一部の化合物Nおよび有機ハイドライドDは、送出口31eから気液分離装置40a側に送られ、気液分離装置40aで液化されて回収タンク18に回収される。このように、本実施の形態では、液供給部ユニット33から滴下させた有機ハイドライドの脱水素反応を何度も起こすことにより、水素の生成率を向上させることができる。
【0077】
この実施の形態では、各冷却部ユニット31,32および液供給部ユニット33は、ほぼ同様の構成をしているが、図3において上側にそれぞれ配置される端板31a,32a,33aの各構成に異なる点がある。具体的に述べると、第1の冷却部ユニット31の端板31aには、送出口31eが設けられているが、第2の冷却部ユニット32の端板32aおよび液供給部ユニット33の端板33aには、送出口が設けられていない。また、第2の冷却部ユニット32の端板32aおよび液供給部ユニット33の端板33aには、通過口が設けられているが、第1の冷却部ユニット31の端板31aには、通過口が設けられていない。なお、各冷却部ユニット31,32及び液供給部ユニット33の外観形状を同一化し、必要に応じて通過口を塞ぐ蓋または送出口31eを塞ぐ蓋を用いるようにしても良い。
【0078】
また、この実施の形態では、有機ハイドライドタンク15に連通された冷却部ユニット31,32を、内部に有機ハイドライドが単に通過していく導通管31d,32dを配置した構成としている。しかし、各導通管31d,32dの下面にも穴を設け、第1及び第2の冷却部ユニット31,32からも、液供給部ユニット33内の導通管33d同様、有機ハイドライドが穴から下方へ落下する構成としても良い。
【0079】
図2に示す家屋10では、太陽電池11または風力発電機12により作られた電気は、インバータ51を経由して交流に変換される。変換された電気は、家庭用の電気機器52に使用されるか、電気機器52を使用していないときには、電解装置13に供給される。電解装置13では、水の電気分解により水素(H2)と酸素(O2)が発生する。発生した水素は、水素供給・貯蔵装置14に送られ、芳香族化合物との水素付加反応により有機ハイドライドの形で、水素供給・貯蔵装置14に貯蔵される。
【0080】
なお、水素付加反応を利用して水素供給・貯蔵装置14内に水素を貯蔵する場合には、図示しないバルブを開放して上述の反応装置16内に水素を投入すると共に、水素取り出し口19を塞ぐ。また、有機ハイドライドタンク15には、芳香族化合物が貯蔵されている。
【0081】
一方、図3を用いて説明したように、脱水素反応を利用して水素供給・貯蔵装置14で水素を供給させる場合には、有機ハイドライドが有機ハイドライドタンク15内に貯蔵されており、上述のバルブは閉じられ、水素取り出し口19は開放されている。
【0082】
太陽電池11または風力発電機12により作られた電気が過剰な場合、すなわち、家庭用の電気機器52によって使用される電気以上の発電がなされている場合にも、余分な電気は電解装置13に送られる。そして、電解装置13で発生した水素は、水素供給・貯蔵装置14に送られる。そして、水素は、芳香族化合物との水素付加反応により有機ハイドライドの形で、水素供給・貯蔵装置14に貯蔵される。
【0083】
電解装置13から水素を水素供給・貯蔵装置14の反応装置16へ送り、水素を貯蔵する場合、有機ハイドライドタンク15に予め貯蔵された芳香族化合物を、ポンプ21で反応装置16へ送る。反応装置16内では、芳香族化合物の液体は、導通管33dから触媒41の上に滴下する。一方、熱媒は、熱媒タンク25から反応装置16の各流路34d,35d,36dに送られてくる。これにより、触媒41の上に落下してきた芳香族化合物は加熱され、水素付加反応が起こる。これにより、芳香化合物は、反応装置16の最上部に形成された送出口31eから気液分離装置40a側へ送られ、気液分離装置40aで液化されて回収タンク18に回収される。
【0084】
また、家屋10内で使用する電力が足りない場合、水素供給・貯蔵装置14内の有機ハイドライドを脱水素反応させ、水素を取り出して燃料電池30へ供給する。燃料電池30では、水素供給・貯蔵装置14から送られてくる水素と空気中から供給される酸素との反応により、電気が発生する。この電気は、家庭用の電気機器52用に使用される他、電気自動車53の動力に使用される。このように、水素供給・貯蔵装置14は、家庭の電力の需要に応じて、シクロへキサンのような水素供給体の形でエネルギーを保存したり、水素供給体の脱水素反応によりエネルギーを作り出す。
【0085】
水素供給・貯蔵装置14で水素を供給させる場合、有機ハイドライドタンク15に貯蔵された有機ハイドライド(水素供給体)を、ポンプ21により反応装置16へ送る。反応装置16内では、有機ハイドライドの液体が、導通管33dから触媒41の上に落下する。一方、熱媒タンク25から熱媒が、反応装置16の各流路34d,35d,36dへ送られてくる。これにより、触媒41の上に滴下してきた有機ハイドライド(水素供給体)が加熱され、脱水素反応が起こる。有機ハイドライドは、反応装置16内で、気化と液化とを繰り返しながら高効率で脱水素反応される。
【0086】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施の形態では、冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33および反応部ユニット34,35,36の外観形状を全てほぼ同一としたが、全てを同一とする必要はない。各ユニット31〜36は、それぞれ単体で交換可能であると共に、配置変換を行えるのであれば、外観形状が全て同一でなくても良い。
【0087】
また、上述の実施の形態では、冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33と反応部ユニット34,35,36とが交互に配置されるように構成されている。しかし、冷却部ユニット31,32、液供給部ユニット33と反応部ユニット34,35,36との配置は、交互としなくても良い。
【0088】
また、上述の実施の形態では、各反応部ユニット34,35,36内にそれぞれ流路34d,35d,36dを設け、熱媒タンク25から循環ポンプ26によって熱媒を流路34d,35d,36dへ送り、反応部ユニット34,35,36内の触媒41を加熱している。しかし、加熱方法は、上述したように、他の方法であっても良い。また、3つの反応部ユニット34,35,36に全て流路34d,35d,36dを設けるのではなく、一部に設けるようにしても良い。この場合、流路の無い反応部ユニット、もしくは全ての反応部ユニット34,35,36内に加熱用のヒータを設けても良い。
【0089】
また、上述の実施の形態では、各流路34d,35d,36dをそれぞれ仕切る仕切り板36e1,36e2,36e3,36e4,36e5,36e6,36e7,36e8に、それぞれ流路34d,35d,36dに直交する方向(図4において上下方向、図5において紙面前後方向)に、穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8が設けられている。しかし、これらの穴36f1,36f2,36f3,36f4,36f5,36f6,36f7,36f8を設けない構成としても良い。
【0090】
また、上述の実施の形態では、触媒を担持する平板状金属部材41にパンチングによって形成されたパンチ穴43を設けている。そして、このパンチ穴43は、パンチングによって打ち抜かれた仮想平面部A2の面積より、パンチングによって形成されたパンチ穴43の内部の壁面の表面積の方が大きく形成されている。しかし、パンチ穴43の構成は、特にこのように設定されていなくても良い。例えば、各パンチ穴43が、上述の数式1の条件を満たさなくても、全パンチ穴43を総合したときに、穴部分の平面部面積よりも穴内部の壁面の表面積が大きくなるようにしても良い。また、パンチ穴43を有していない平板状金属部材に触媒41が担持されていても良い。
【0091】
また、上述の実施の形態では、水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体としては、シクロヘキサンの他に、デカリンを用いても良い。デカリンを用いる場合、脱水素反応によりナフタレンと水素が生成される。一方、ナフタレンと水素とを水素付加反応させると、デカリンが生成される。また、シクロヘキサンおよびデカリンの他に、メチルシクロヘキサンなども、水素供給体として使用することができる。
【0092】
また、上述の実施の形態では、水素付加反応により水素と反応して水素を貯蔵する水素貯蔵体としてベンゼンを用いているが、ベンゼンの他に、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、ビフェニル、フェナスレンおよびそれらのアルキル置換体のうちのいずれか1つ、あるいは複数の混合体などを、水素貯蔵体として用いても良い。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水素供給・貯蔵装置によれば、広範囲の用途あるいは条件に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素供給・貯蔵装置を利用する水素貯蔵・供給システムの根幹をなす原理を示す図で、芳香族化合物の水素付加反応と、その芳香族化合物の水素付加反応により生成した化合物(有機ハイドライド)の脱水素反応とを利用して水素を貯蔵あるいは供給させる流れを示す図である。
【図2】本発明に係る水素供給・貯蔵装置の実施の形態を利用するシステムを示す図で、エネルギー自立型の家屋用自家発電を例とした水素貯蔵・供給システムを示す図である。
【図3】本発明に係る水素供給・貯蔵装置の実施の形態の構成概要図である。
【図4】図3に示す水素供給・貯蔵装置の反応装置の一部を構成する反応部ユニットのうちの1つにおける内部構成を示す断面図である。
【図5】図4に示す反応部ユニットを上方から見た平面図である。
【図6】図4に示す反応部ユニット内の触媒を担持する平板状金属部材を示す平面図である。
【図7】図6に示す平板状金属部材から、パンチングにより打ち抜かれた部分を示した斜視図で、パンチングによって形成されたパンチ穴の構成を説明するための図である。
【図8】図3に示す反応装置内における水素、未反応物質および反応によって生成された化合物の流れを示す図である。
【符号の説明】
14 水素供給・貯蔵装置
25 熱媒タンク
31 第1の冷却部ユニット(冷却部)
32 第2の冷却部ユニット(冷却部)
33 液供給部ユニット(液供給部)
34 第1の反応部ユニット(反応部)
34d 流路
35 第2の反応部ユニット(反応部)
35d 流路
36 第3の反応部ユニット(反応部)
36d 流路
41 触媒(触媒を担持させた平板状金属部材)
43 パンチ穴
A2 仮想平面部
A3 パンチ穴の内部の壁面
Claims (7)
- 水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体と、上記水素と反応してその水素を貯蔵する上記芳香族化合物から成る水素貯蔵体との間における脱水素反応または水素付加反応を利用して水素の供給または貯蔵を行う水素供給・貯蔵装置であって、
上記脱水素反応または上記水素付加反応に必要な触媒を備え、上記脱水素反応または上記水素付加反応を行う反応部と、上記水素供給体または上記水素貯蔵体を供給する液供給部と、を上下方向に積み重ねた構造を有し、
上記反応部および上記液供給部は、相互に配置変換可能なユニットであることを特徴とする水素供給・貯蔵装置。 - 気体状態にある上記水素供給体または上記水素貯蔵体を冷却して液化させる冷却部を、さらに前記液供給部および前記反応部の上下方向に積み重ね、
前記反応部、前記液供給部および上記冷却部は、相互に配置変換可能なユニットであることを特徴とする請求項1記載の水素供給・貯蔵装置。 - 前記ユニットを、全て同一の外観形状とし、各ユニットを必要に応じて自在に配置することが可能であることを特徴とする請求項1または2記載の水素供給・貯蔵装置。
- 前記反応部に、前記触媒を加熱するためのヒータまたは燃焼触媒を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の水素供給・貯蔵装置。
- 前記触媒を担持する担持部材を備え、その担持部材は、パンチングによりあけられた穴を有し、パンチング前の状態よりも表面積が大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の水素供給・貯蔵装置。
- 前記水素供給体または前記水素貯蔵体を燃焼させることによって加熱された熱媒体を通す管路を備え、上記熱媒体によって上記触媒を加熱することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の水素供給・貯蔵装置。
- 前記熱媒体は、循環ポンプによって循環されることを特徴とする請求項6記載の水素供給・貯蔵装置。
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