JP2004315700A - タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(i)ジエン系ゴム100重量部、(ii)窒素吸着比表面積が130〜250(×103 m2 /kg)で且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック90〜150重量部、(iii)オイル分70〜110重量部及び(iv)パラベンゾキノンジイミン系化合物0.1〜5.0重量部を含んでなるタイヤトレッド用ゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、更に詳しくはゴム組成物にパラベンゾキノンジイミン系化合物(QDI)(特にN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミン(6QDI))を配合することにより混合及び走行時の分子鎖切断並びにそれによるグリップやウェット制動性能の経時変化を防止したタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムにN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミンを配合して、ゴムの耐熱老化性、加工性を改善する技術は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等に記載されている。この6QDIは混合時の主鎖の分子鎖切断を抑制する働きを有するが、小粒径のカーボンブラック及び高オイル配合系のような高性能タイヤのキャップコンパウンドにQDIを配合する先行技術は知られていない。
【0003】
更にスチレンブタジエン共重合体(SBR)にQDIを配合し耐熱老化性、加工性を改善した例はないが、我々の実験で、QDIをSBR系に配合しても天然ゴムの時と同様の効果が得られることを確認している。
【0004】
【特許文献1】
特開平2002−60551号公報
【特許文献2】
特開平2001−26681号公報
【特許文献3】
特開平2001−192506号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
QDIはゴム組成物の混合時に起こる主鎖の分子鎖切断や過剰なゲル(ポリマーゲルやCBゲル)の生成を抑制することが知られている。この混合時に起こる分子鎖切断は混合条件やカーボンブラックのグレードの影響が大きく、例えば高温混合やカーボンブラックの小粒径化もしくはハイストラクチャー化により混合時の分子鎖の切断が著しくなる。また、SAF級カーボンブラックが多量配合されているトレッドコンパウンドでは走行時に受ける剪断により分子鎖切断が起こり易く、ポリマーラジカルが発生し、この発生したポリマーラジカルがポリマー−ポリマー/ポリマー−カーボンブラックの反応を引起こし、走行時のタイヤ表面の架橋密度を増加させグリップ力を低下させてしまい、その結果架橋密度が増加してグリップ力が低下するという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、ゴム組成物の混合時やタイヤ走行時に発生するゴム分子鎖の切断並びにそれによるグリップ及びウェット制動性能の経時点低下を防止することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、(i)ジエン系ゴム100重量部、(ii)窒素吸着比表面積が130〜250(×103 m2 /kg)で且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック90〜150重量部、(iii)オイル分70〜110重量部及び(iv)パラベンゾキノンジイミン系化合物0.1〜5.0重量部を含んでなるタイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。
【0008】
本発明に従えば、また、(i)ジエン系ゴム100重量部、(ii)窒素吸着比表面積80〜130未満(×103 m2 /kg)且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック50〜90重量部、シリカ10〜50重量部、オイル分40〜90重量部及びパラベンゾキノンジイミン系化合物0.1〜5.0重量部を含んでなるタイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。
【0009】
前記パラベンゾキノンジイミン系化合物としては、好ましくはN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミンをあげることができる。
【0010】
本発明の第一の態様によれば、ジエン系ゴム100重量部に窒素吸着比表面積が130〜250(×103 m2 /kg)、好ましくは130〜220(×103 m2 /kg)で且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)、好ましくは110〜130(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック(即ちSAF級以上のカーボンブラック)90〜150重量部(好ましくは90〜120重量部)及びオイル分70〜110重量部(好ましくは70〜100重量部)を含有した系にQDIを0.1〜5.0重量部(好ましくは0.5〜2.0重量部)配合することにより、混合時の主鎖の切断及びゲル化を抑制し、走行時の架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集を抑制し、グリップ性能の低下を抑制する効果が向上させることができた。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、ジエン系ゴム100重量部、窒素吸着比表面積が80〜130(×103 m2 /kg)未満、好ましくは80〜120(×103 m2 /kg)で且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)、好ましくは110〜130(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック50〜90重量部、シリカ10〜50重量部(好ましくは15〜50重量部)及びオイル分40〜90重量部(好ましくは40〜80重量部)を配合した系に、QDIを0.1〜5.0重量部(好ましくは0.5〜2.0重量部)を配合することにより、混合時の主鎖切断及びゲル化を抑制し、加工性を改善することができ、また走行時の架橋密度の増加及びカーボンブラックの凝集を抑制し、グリップやウェット制動性能の経時変化を抑制することができた。
【0012】
本発明に係るゴム組成物に配合することができるジエン系ゴムとしては、例えばタイヤ用原料ゴムとして使用することができる任意のジエン系ゴムを含み、代表的なジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)などをあげることができる。これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。特にSBRを用いるのがグリップ性能の点から好ましい。
【0013】
本発明の第一の態様に係るゴム組成物に配合することができるカーボンブラックは窒素吸着比表面積が130〜250(好ましくは130〜220)(×103 m2 /kg)でかつDBP吸油量が100〜140(好ましくは110〜130)(×10−5m3 /kg)のものと用いる必要があり、その配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、90〜150重量部(好ましくは90〜120重量部)である。このようなカーボンブラックとしては例えば市販のSAF級以上のカーボンブラックを好適に用いることができます。
【0014】
本発明に使用するカーボンブラックの窒素吸着比表面積が多過ぎると混合時の主鎖切断が起こりやすく、またゲル化を促進するため、加工性が悪化し、更に走行時の架橋密度増加やカーボンブラックの凝集が起こりやすくなり、経時でのウェット制動性能低下をまねくので好ましくない。逆に少な過ぎると初期のグリップ性能や補強性が低下してしまうので好ましくない。またカーボンブラックのDBP吸油量が大き過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こりやすくなって加工性が悪化し、また走行時に架橋密度の増加とカーボンブラックの凝集が起こり、経時でのウェット制動性能が低下するので好ましくない。逆に小さ過ぎると初期のグリップ性能や補強性が低下するので好ましくない。カーボンブラックの配合量が多過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こりやすくなって加工性が悪化し、また走行時に架橋密度の増加とカーボンブラックの凝集が起こり、経時でのウェット制動性能が低下するので好ましくない。逆に少な過ぎると初期のグリップ性能や補強性が低下するので好ましくない。
【0015】
本発明の第二の態様に係るゴム組成物に配合することができるカーボンブラックは窒素吸着比表面積が80〜130未満(好ましくは80〜120)(×103 m2 /kg)でかつDBP吸油量が100〜140(好ましくは110〜130)(×10−5m3 /kg)のものと用いる必要があり、その配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、50〜90重量部(好ましくは50〜80重量部)である。このようなカーボンブラックとしては例えば市販のHAF〜SAF級カーボンブラックを好適に用いることができる。
【0016】
本発明に使用するカーボンブラックの窒素吸着比表面積が多過ぎると、混合時の主鎖切断やゲル化が起こるため加工性が悪化し、また走行時に架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集が起こり、経時でのウェット制動性能が低下するので好ましくない。逆に少な過ぎると初期のグリップ性能や補強性が低下するので好ましくない。またカーボンブラックのDBP吸油量が大き過ぎると、混合時に主鎖切断やゲル化が起こるため加工性が悪化し、また走行時に架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集が起こり、経時でのウェット制動性能が低下するので好ましくない。逆に小さ過ぎると初期のグリップ性能や補強性が低下するので好ましくない。カーボンブラックの配合量が多過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こるため加工性が悪化し、また走行時に架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集が起こり、経時でのウェット制動性能が低下するので好ましくない。逆に少な過ぎると初期のグリップ性能や補強性が低下するので好ましくない。
【0017】
本発明の第二の態様において使用されるシリカはタイヤ用ゴム組成物に配合することができる任意のシリカを用いることができる。このシリカの、配合量が少な過ぎると初期のWET制動性能が低下するので好ましくなく、逆に多過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こり加工性が悪化するので好ましくない。なお前記本発明の第一の態様においても必要に応じシリカを配合することにより走行時のカーボンブラックの凝集を抑制することができる。
【0018】
本発明の第一の態様及び第二の態様によれば、オイル分として、タイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている任意のオイル、例えばアロマ系オイルのプロセスX−140((株)ジャパンエナジ社製)、ダイアナプロセスAH−24(出光興産)、日石三菱コウモレックス20(日本三菱)を用いることができる。本発明の第一の態様ではオイル分の配合量が少な過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こるため、加工性が悪化する。また、初期のグリップ性能が低下するので好ましくなく、逆に多過ぎると走行時の架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集が起こりやすくなるので好ましくない。本発明の第二の態様ではオイル分の配合量が少な過ぎると混合時に主鎖切断やゲル化が起こるため、加工性が悪化し、また、初期のグリップ性能が低下するので好ましくなく、逆に多過ぎると走行時の架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集が起こりやすくなるので好ましくない。
【0019】
本発明によれば、以下の化学構造を有するパラベンゾキノンジイミン系化合物(QDI):
【0020】
【化1】
【0021】
(式中、R及びR’は独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状炭化水素、シクロヘキシル等の脂環式炭化水素、フェニル基等の芳香族炭化水素基等を表す。)
具体的には
【0022】
【化2】
【0023】
等をゴム組成物に配合する。このQDIの配合量が少な過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こりやすくなるため加工性が悪化し、また走行時の架橋密度の増加、カーボンブラックの凝集がおこり、経時でのグリップ性能やウェット制動性能が低下してしまうので好ましくない。逆に多過ぎると混合時の主鎖切断やゲル化が起こりやすくなるため加工性が悪化し、また走行時の架橋密度の増加やカーボンブラックの凝集がおこり、経時でのグリップ性能やウェット制動性能が低下してしまうので好ましくない。
【0024】
QDIは公知の化合物であり、例えばフレキシス社からQ−FleXQDIなどとして市販されている。
【0025】
本発明に係るゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑性剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は一般的な方法で混練、加硫して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明に係るゴム組成物は、例えばタイヤトレッド用ゴム組成物などとして有用である。特に第二の態様のゴム組成物は競技用タイヤに好適に用いられる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0027】
実施例1〜5及び比較例1〜6
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、165±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを調製した。
以下の方法で得られたゴム組成物及びゴムシートの物性を測定評価した。結果は標準例1の値を100として指数表示し、表Iに示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表I配合物
*1:JSR(株)製HP752
*2:正同化学工業(株)製酸化亜鉛
*3:FLEXSYS(株)製SANTOFLEX 6PPD
*4:大内新興化学工業(株)製ノクラック224
*5:(株)軽井沢製練所(株)製油処理イオウ
*6:大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G
*7:昭和シェル石油(株)製デゾレックス3号
【0030】
*8:表II参照
【0031】
【表2】
【0032】
*9:フレキシス(FLEXSYS)(社)製Q−FLEX QDI
【0033】
表I評価物性測定方法
*10:Mw(重量平均分子量)
未加硫ゴムをTHFに3日間浸漬した後、THF溶解分をメタノールで沈殿精製し、沈殿ポリマーからメタノールを乾燥除去し0.5wt%試料溶液を作製した。この試料溶液をポアサイズ0.5μm/0.1μmのフィルターにてゲル分を除去して測定用試料として用いた。測定に用いたGPCは東ソー製HLC−8020、カラムはPLgel 20μm MIXED−A300×7.5mm×2本である。混合時の分子鎖切断の尺度として用いた、Mwが大きいほど分子鎖切断が抑制されていることを意味する。
*11:Mz(粘度平均分子量)
未加硫ゴムをTHFに3日間浸漬した後、THF溶解分をメタノールで沈殿精製し、沈殿ポリマーからメタノールを乾燥除去し0.5wt%試料溶液を作製した。この試料溶液をポアサイズ0.5μm/0.1μmのフィルターにてゲル分を除去して測定用試料として用いた。測定に用いたGPCは東ソー製HLC−8020、カラムはPLgel 20μm MIXED−A300×7.5mm×2本である。THFに可溶な高分子量成分の分子量を表しており、加工性の尺度としている。Mzは小さいほど加工性は良い。
*12:5×40×2mmの試料片を作製し、歪2%、周波数20Hz、温度60℃の条件でE’,E”,tanδを測定した。数値は標準例を100としたときの指数で表し、値が大きいほど初期のグリップ性能が優れることを表す。
*13:180℃×4時間で老化させた後、*12の方法で測定した。値が大きいほど老化後のグリップ性能が優れることを表す。
【0034】
*14:高速耐久試験後のトレッドの架橋密度及びカーボンブラック分散測定高速耐久試験条件(JIS D 4230)
ドラム径:φ1707mm、荷重:JATMA2002年版記載の最大荷重の80%、空気圧:260Kpa、周囲温度:38±3℃、速度:200km/hの条件で1時間走行させる。
上記高速耐久試験を行った後、トレッドコンパウンドから測定用サンプルを採取し、膨潤法により架橋密度を測定した。試料片を1週間トルエンに浸漬して膨潤させた膨潤ゴムと、膨潤ゴムを120℃のオーブン中で24時間静置してトルエンを除去した後の試験片との体積比Qから、式(1)のFlory−Rhenerの式を用いて試験片の網目鎖濃度(すなわち架橋密度)を測定した。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、νは試験片の網目鎖濃度、Vはトルエンの分子容、gは試験片中のゲルゴムの容積分率、μはSBRとトルエンとの相互作用係数で3.12,VR は膨潤ゲル中のゴムの体積分率である。膨潤ゲル中には、ゲルゴム、シリカ、酸化亜鉛のみが残り、その他の配合剤はトルエン中に溶出するものと考えると、VR は式(2)で表される。
【0037】
【数2】
【0038】
ここで、g‘は膨潤試験片中のゲルゴムの容積分率、VF は膨潤試験片中のフィラーおよび酸化亜鉛の容積分率である。
【0039】
*15:カーボンブラック凝集塊の測定
高速耐久試験条件(JIS D 4230)
ドラム径:φ1707mm、荷重:JATMA2002年版記載の最大荷重の80%、空気圧:260Kpa、周囲温度:38±3℃、速度:200km/hの条件で1時間走行させる。
上記高速耐久試験を行った後、トレッドコンパウンドを採取する。採取したコンパウンドを600℃/真空で1時間の条件でコンパウンドの可燃物(ポリマーなど)を除去する。残査(カーボンブラック、亜鉛華)を乳鉢ですり潰した後に、1,1,2,2−テトラクロロエタン中に入れる。この溶液をカーボン膜をはった銅メッシュ板に一滴(0.2ml)滴らし自然乾燥させた後にTEM観察を行い、得られた画像から、カーボンブラック凝集塊の個数と分布より、分散度を算出し標準例を100として指数化した。この値が小さいほどカーボンブラックの分散性がすぐれる。
【0040】
実施例6〜7及び比較例7〜8:QDI配合量の影響
サンプルの調製
表IIIに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、165±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを調製した。また得られたゴム組成物、をトレッドに用いてタイヤサイズ215/45R17の乗用車用タイヤを作製した。
以下の方法で得られたゴム組成物及びゴムシート、タイヤの物性を測定評価した。結果は標準例2の値を100として指数表示し、表IIIに示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表III配合物
*1:JSR(株)製HP752
*2:正同化学工業(株)製酸化亜鉛
*3:FLEXSYS(株)製SANTOFLEX 6PPD
*4:大内新興化学工業(株)製ノクラック224
*5:(株)軽井沢製練所(株)製油処理イオウ
*6:大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G
*7:Rhodia Silica Korea(株)製ZEOSIL 165GR
*8:昭和シェル石油(株)製デゾレックス3号
【0043】
*9:表IV参照
【0044】
【表4】
【0045】
*10:
【0046】
表III評価物性測定方法
*11:Mw(重量平均分子量)未加硫ゴムをTHFに3日間浸漬した後、THF溶解分をメタノールで沈殿精製し、沈殿ポリマーからメタノールを乾燥除去し0.5wt%試料溶液を作製した。この試料溶液をポアサイズ0.5μm/0.1μmのフィルターにてゲル分を除去して測定用試料として用いた。測定に用いたGPCは東ソー製HLC−8020、カラムはPLgel 20μm MIXED−A300×7.5mm×2本である。混合時の分子鎖切断の尺度として用いた、Mwが大きいほど分子鎖切断が抑制されていることを意味する。
*12:Mz(粘度平均分子量)未加硫ゴムをTHFに3日間浸漬した後、THF溶解分をメタノールで沈殿精製し、沈殿ポリマーからメタノールを乾燥除去し0.5wt%試料溶液を作製した。この試料溶液をポアサイズ0.5μm/0.1μmのフィルターにてゲル分を除去して測定用試料として用いた。測定に用いたGPCは東ソー製HLC−8020、カラムはPLgel 20μm MIXED−A300×7.5mm×2本である。
THFに可溶な高分子量成分の分子量を表しており、加工性の尺度としている。Mzは小さいほど加工性は良い。
*13:5×40×2mmの試料片を作製し、東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、歪10±2%、周波数20Hz、雰囲気温度60℃の条件で測定。測定結果は、指数(インデックス)表示。数値は標準例を100としたときの指数で示しており、数値が大きいほど初期のグリップ性能が高いことを示す。
*14:180℃×4時間で老化させた5×40×2mmの試料片を東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、歪10±2%、周波数20Hz、雰囲気温度60℃の条件で測定。測定結果は、指数(インデックス)表示。数値は標準例を100としたときの指数で表しており、値が大きいほど老化後のグリップ性能に優れることを意味する。
*15:高速耐久試験後のトレッドの架橋密度及びカーボンブラック分散測定高速耐久試験条件(JIS D 4230)
ドラム径:φ1707mm、荷重:JATMA2002年版記載の最大荷重の80%、空気圧:260Kpa、周囲温度:38±3℃、速度:200km/hの条件で1時間走行させる。
上記高速耐久試験を行った後、トレッドコンパウンドから測定用サンプルを採取し、膨潤法により架橋密度を測定した。試料片を1週間トルエンに浸漬して膨潤させた膨潤ゴムと、膨潤ゴムを120℃のオーブン中で24時間静置してトルエンを除去した後の試験片との体積比Qから、式(1)のFlory−Rhenerの式を用いて試験片の網目鎖濃度(すなわち架橋密度)を測定した。
【0047】
【数3】
【0048】
ここで、νは試験片の網目鎖濃度、Vはトルエンの分子容、gは試験片中のゲルゴムの容積分率、μはSBRとトルエンとの相互作用係数で3.12,VR は膨潤ゲル中のゴムの体積分率である。膨潤ゲル中には、ゲルゴム、シリカ、酸化亜鉛のみが残り、その他の配合剤はトルエン中に溶出するものと考えると、VR は式(2)で表される。
【0049】
【数4】
【0050】
ここで、g‘は膨潤試験片中のゲルゴムの容積分率、VF は膨潤試験片中のフィラーおよび酸化亜鉛の容積分率である。
*16:高速耐久試験条件(JIS D 4230)
ドラム径:φ1707mm、荷重:JATMA2002年版記載の最大荷重の80%、空気圧:260Kpa、周囲温度:38±3℃、速度:200km/hの条件で1h走行させる。
上記高速耐久試験を行った後、トレッドコンパウンドを採取する。採取したコンパウンドを600℃/真空で1hの条件でコンパウンドの可燃物(ポリマーなど)を除去する。残査(CB、亜鉛華)を乳鉢ですり潰した後に、1,1,2,2−テトラクロロエタン中に入れる。この溶液をカーボン膜をはった銅メッシュ板に一滴(0.2ml)滴らし自然乾燥させた後にTEM観察を行い、得られた画像から、カーボンブラック凝集塊の個数と分布より、分散度を算出し標準例を100として指数化した。この値が小さいほどカーボンブラックの分散性がすぐれる。
*17:ウェット
ウェット制動性能
タイヤをFFのABS車輌に装着し撒水したアスファルト路面を初速100km/hで走行し、制動したときの制動距離を測定し、標準例を100として指数表示した。数値が大きい程、制動性が良好であることを示す。
【0051】
実施例8〜9及び比較例9〜10:カーボンブラック配合量の影響
表Vに示す配合に従って実施例6〜7及び比較例7〜8と同様にしてゴム組成物を得、評価した。
結果は表Vに示す。
【0052】
【表5】
【0053】
実施例10〜11及び比較例11〜12:オイル配合量の影響
表VIに示す配合に従って実施例10〜11及び比較例11〜12と同様にしてゴム組成物を得、評価した。
結果は表VIに示す。
【0054】
【表6】
【0055】
実施例12〜13及び比較例13:カーボンブラックの種類の影響
表VIIに示す配合に従って実施例12〜13及び比較例13と同様にしてゴム組成物を得、評価した。
結果は表VIIに示す。
【0056】
【表7】
【0057】
【発明の効果】
本発明に従えば、ゴム組成物の混合時やタイヤ走行時にゴム分子鎖に発生するポリマーラジカルがQDIによってトラップされるため、分子鎖切断や過剰なゲルの生成、そしてタイヤ走行時の架橋密度増加、カーボンブラック粒子の凝集の抑制によりグリップ力の低下の抑制効果を向上させることが可能である。
Claims (5)
- (i)ジエン系ゴム100重量部、(ii)窒素吸着比表面積が130〜250(×103 m2 /kg)で且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック90〜150重量部、(iii)オイル分70〜110重量部及び(iv)パラベンゾキノンジイミン系化合物0.1〜5.0重量部を含んでなるタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (i)ジエン系ゴム100重量部、(ii)窒素吸着比表面積80〜130未満(×103 m2 /kg)且つDBP吸油量が100〜140(×10−5m3 /kg)のカーボンブラック50〜90重量部、シリカ10〜50重量部、オイル分40〜90重量部及びパラベンゾキノンジイミン系化合物0.1〜5.0重量部を含んでなるタイヤトレッド用ゴム組成物。
- 前記パラベンゾキノンジイミン系化合物がN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミンである請求項1又は2に記載のゴム。
- ジエン系ゴムがSBRである請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッドに使用した空気入りタイヤ。
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