JP2004315432A - 排出症状及び蓄尿症状の治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の新しい治療薬の提供。
【解決手段】ナフトピジル又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の新しい治療薬。
【効果】本発明の化合物は、遊離状態、あるいはその塩を人に投与した場合、排出症状の改善に加え頻尿など蓄尿症状にも有効であり、臨床現場において、実用に耐える、優れた神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の新しい治療薬である。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】ナフトピジル又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の新しい治療薬。
【効果】本発明の化合物は、遊離状態、あるいはその塩を人に投与した場合、排出症状の改善に加え頻尿など蓄尿症状にも有効であり、臨床現場において、実用に耐える、優れた神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の新しい治療薬である。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬とりわけ神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
神経因性膀胱は、下部尿路を支配する神経系の異常により、下部尿路機能が障害される病態である。下部尿路機能は尿の排出と蓄尿であるので、神経因性膀胱における排尿障害の病態も排出障害と蓄尿障害に大別される。そしてこの排尿障害により生じる臨床症状である排尿症状は、尿閉や排尿困難でまとめられる排尿時のいきみ、尿線の減弱、排尿時間の延長などの排出症状と、昼間あるいは夜間の頻尿、尿意切迫感などの蓄尿症状とに分けられる。排出症状は尿道の閉塞や排尿筋の収縮力低下などによって引き起こされると考えられている。一方、蓄尿症状は、排尿筋の過反射や機能的膀胱容量の減少、尿道内圧の低下などにより引き起こされると考えられている。
【0003】
神経因性膀胱の原因となる主な疾患には、痴呆・脳血管障害・脳外傷・脳炎・脳腫瘍・多発性硬化症・パーキンソン病・オリーブ橋小脳萎縮症などの脳障害、脊髄損傷・脊髄腫瘍・脊髄炎・ミエロパシー・脊髄血管障害・脊椎の疾患(頸椎症、椎間板ヘルニア、頸部後縦靱帯骨化症等)・二分脊椎・多発性硬化症などの脊髄障害、糖尿病・骨盤腔内手術(子宮癌、直腸癌根治療)・脊椎の疾患(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離、すべり症)・ギランバレー症候群・骨盤骨折・馬尾神経腫瘍などの末梢神経障害が挙げられる。
【0004】
神経因性膀胱に伴う排出症状の治療薬としては、膀胱頸部から尿道の平滑筋に豊富に分布するα受容体を介して交感神経系を抑制するα1受容体遮断薬フェノキシベンザミン、ウラピジルが知られており(特許文献1参照)、塩酸タムスロシンにも同様の効果を期待する先行文献が知られている。(特許文献2参照)。
【0005】
また蓄尿症状である頻尿の治療薬としては、副交感神経の支配を受けている排尿筋のムスカリン受容体に作用して、膀胱の不随意収縮を抑制して、膀胱容量を増加させることにより改善する抗コリン薬が知られている。この様に、排出症状、または蓄尿症状のいずれかの治療薬しか開発されていないのは、神経因性膀胱の病態を的確に反映する適切な動物モデルが未だ存在していないためであり、神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状を幅広く改善しうる有用な医薬品は開発されていない。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−8795
【特許文献2】
特開2000−80032号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状に有効な、新しい作用機序の治療薬を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明者は神経因性膀胱に伴う排出症状に有効であり、同時に昼間や夜間の頻尿などの蓄尿症状の改善作用をも示し、かつ安全に用いることができる治療薬を鋭意検討した結果、ナフトピジルまたはその塩が神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療に有効であることを見い出した。即ち、本発明は、ナフトピジルまたはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療剤に関する。ナフトピジルの化学名はナフトピジル((±)−1−[4−(2−methoxyphenyl)piperazinyl]−3−(1−naphthyloxy) propan−2−olであり、ドイツのベーリンガー・マンハイム社(現ロシュ社)において創製された化1に示す物質であり、その製薬学的に許容される塩と共に、特許文献3において最初に開示され、良性前立腺肥大における排尿困難症の治療に用いることができることは、すでに特許文献4に開示されている。
【0009】
【特許文献3】
特公昭60−29712号公報
【特許文献4】
特公平6−2673号公報
【0010】
【化1】
【0011】
また非特許文献1に示すようにナフトピジルは血管に比べて前立腺及び尿道部への選択性が高く、血圧への影響が少なく安全に用いられることが報告されている。
【0012】
【非特許文献1】
生垣一郎著
前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬ナフトピジルの薬効薬理
日本薬理雑誌 2000年 116巻 63−69頁
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。ナフトピジル及びその製薬学的に許容される塩は特許文献3に記載された製法により、或いはそれに準じて容易に入手可能である。ナフトピジルは広範囲の無機及び有機の酸あるいは塩基との製薬学的に許容しうる酸及び塩基付加塩を形成しうる。このような塩も、本発明の一部をなす。例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸との塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩等が挙げられる。
【0014】
本発明の薬剤は、経口または非経口投与に適した有機又は無機の担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、常法に従って経口固形製剤、経口液状製剤または注射剤として調製することができる。好ましいのは患者が自ら容易に服用でき且つ保存、持ち運びに便利な経口固形製剤であり、具体的には錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤等である。
【0015】
このような固形製剤においては、活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、微結晶セルロース、澱粉、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、澱粉、高分散性シリカのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤、ツイーン80、トリアセチンのような可塑剤、酸化チタン、三二酸化鉄のような着色剤を含有していてもよい。
【0016】
錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、寒天、ペクチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣または胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
【0017】
本発明において好ましいのは持続放出型の徐放化製剤である。徐放化製剤は公知方法によって錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤とすることができる。徐放化製剤はたとえば油脂類、ポリグリセリンの脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースなどを常法に従って錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤にコーティングすることによって得られる。
【0018】
また本発明において更に好ましいのは口腔内崩壊製剤である。ナフトピジルに担体を添加せしめ、ナフトピジルが溶解しない溶媒にて混濁後、型に流し込んで成形し、凍結乾燥等により乾燥することなどによって水無しで違和感なく、例えば不快な味やざらつきを感じることなく服用できる口腔内崩壊製剤を得ることができる。
【0019】
ナフトピジル又はその製薬学的に許容される塩の投与量は、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。通常経口投与の場合成人1人当たり有効成分約10乃至100mg/日、最も好ましくは10乃至50mg/日であり、これを1日1回乃至2回食後に経口投与される。
【0020】
以下に調合例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0021】
ナフトピジルを有効成分とする25mg製剤の調合例を示す。
【0022】
ナフトピジル25.0mg
ラクトース一水和物110.0mg
ポリ−(1−ビニル−2−ピロリドン)MG25000 3.0mg
微結晶セルロース15.0mg
高分散性シリカ1.5mg
ポリー(O−カルボキシメチル)−澱粉ナトリウム塩 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 160.0mg
【0023】
【試験例】
神経因性膀胱に伴う排尿諸症状に対する臨床例
表1に示すように神経因性膀胱に伴う排尿症状を訴える患者3例にナフトピジル錠剤を1日50mg、1年2ヶ月〜3年5ヶ月間経口投与した。その結果、医師の印象による判定は、3例中2例が「改善」、1例が「やや改善」であり、いずれの患者もナフトピジル投与により排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0024】
[試験例1]
患者1は排尿困難、昼・夜間の頻尿、1回排尿量の減少などの排尿症状が見られていたが、ナフトピジルの投与により排尿時間の短縮、昼・夜間の排尿回数の減少、1回排尿量が増加して排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0025】
[試験例2]
患者2は排尿困難、尿意切迫感、切迫性尿失禁などの排尿症状が見られていたが、ナフトピジルの投与により尿意切迫感、夜間の排尿回数の減少、1回排尿量の増加により排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0026】
[試験例3]
患者3は排尿困難、切迫性尿失禁、多量の残尿(430ml)などの排尿症状が見られていたが、ナフトピジルの投与により残尿量の減少、昼・夜間排尿回数の減少、尿失禁量の減少が認められ排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
従来、α1受容体遮断薬による神経因性性膀胱に伴う排尿症状の治療においては排出症状の改善のみであったが、本発明の化合物は、遊離状態あるいはその塩を人に投与した場合、排出症状の改善に加え頻尿など蓄尿症状にも有効であり、かつ高い安全性を示した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬とりわけ神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
神経因性膀胱は、下部尿路を支配する神経系の異常により、下部尿路機能が障害される病態である。下部尿路機能は尿の排出と蓄尿であるので、神経因性膀胱における排尿障害の病態も排出障害と蓄尿障害に大別される。そしてこの排尿障害により生じる臨床症状である排尿症状は、尿閉や排尿困難でまとめられる排尿時のいきみ、尿線の減弱、排尿時間の延長などの排出症状と、昼間あるいは夜間の頻尿、尿意切迫感などの蓄尿症状とに分けられる。排出症状は尿道の閉塞や排尿筋の収縮力低下などによって引き起こされると考えられている。一方、蓄尿症状は、排尿筋の過反射や機能的膀胱容量の減少、尿道内圧の低下などにより引き起こされると考えられている。
【0003】
神経因性膀胱の原因となる主な疾患には、痴呆・脳血管障害・脳外傷・脳炎・脳腫瘍・多発性硬化症・パーキンソン病・オリーブ橋小脳萎縮症などの脳障害、脊髄損傷・脊髄腫瘍・脊髄炎・ミエロパシー・脊髄血管障害・脊椎の疾患(頸椎症、椎間板ヘルニア、頸部後縦靱帯骨化症等)・二分脊椎・多発性硬化症などの脊髄障害、糖尿病・骨盤腔内手術(子宮癌、直腸癌根治療)・脊椎の疾患(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離、すべり症)・ギランバレー症候群・骨盤骨折・馬尾神経腫瘍などの末梢神経障害が挙げられる。
【0004】
神経因性膀胱に伴う排出症状の治療薬としては、膀胱頸部から尿道の平滑筋に豊富に分布するα受容体を介して交感神経系を抑制するα1受容体遮断薬フェノキシベンザミン、ウラピジルが知られており(特許文献1参照)、塩酸タムスロシンにも同様の効果を期待する先行文献が知られている。(特許文献2参照)。
【0005】
また蓄尿症状である頻尿の治療薬としては、副交感神経の支配を受けている排尿筋のムスカリン受容体に作用して、膀胱の不随意収縮を抑制して、膀胱容量を増加させることにより改善する抗コリン薬が知られている。この様に、排出症状、または蓄尿症状のいずれかの治療薬しか開発されていないのは、神経因性膀胱の病態を的確に反映する適切な動物モデルが未だ存在していないためであり、神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状を幅広く改善しうる有用な医薬品は開発されていない。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−8795
【特許文献2】
特開2000−80032号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状に有効な、新しい作用機序の治療薬を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明者は神経因性膀胱に伴う排出症状に有効であり、同時に昼間や夜間の頻尿などの蓄尿症状の改善作用をも示し、かつ安全に用いることができる治療薬を鋭意検討した結果、ナフトピジルまたはその塩が神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療に有効であることを見い出した。即ち、本発明は、ナフトピジルまたはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療剤に関する。ナフトピジルの化学名はナフトピジル((±)−1−[4−(2−methoxyphenyl)piperazinyl]−3−(1−naphthyloxy) propan−2−olであり、ドイツのベーリンガー・マンハイム社(現ロシュ社)において創製された化1に示す物質であり、その製薬学的に許容される塩と共に、特許文献3において最初に開示され、良性前立腺肥大における排尿困難症の治療に用いることができることは、すでに特許文献4に開示されている。
【0009】
【特許文献3】
特公昭60−29712号公報
【特許文献4】
特公平6−2673号公報
【0010】
【化1】
【0011】
また非特許文献1に示すようにナフトピジルは血管に比べて前立腺及び尿道部への選択性が高く、血圧への影響が少なく安全に用いられることが報告されている。
【0012】
【非特許文献1】
生垣一郎著
前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬ナフトピジルの薬効薬理
日本薬理雑誌 2000年 116巻 63−69頁
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。ナフトピジル及びその製薬学的に許容される塩は特許文献3に記載された製法により、或いはそれに準じて容易に入手可能である。ナフトピジルは広範囲の無機及び有機の酸あるいは塩基との製薬学的に許容しうる酸及び塩基付加塩を形成しうる。このような塩も、本発明の一部をなす。例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸との塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩等が挙げられる。
【0014】
本発明の薬剤は、経口または非経口投与に適した有機又は無機の担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、常法に従って経口固形製剤、経口液状製剤または注射剤として調製することができる。好ましいのは患者が自ら容易に服用でき且つ保存、持ち運びに便利な経口固形製剤であり、具体的には錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤等である。
【0015】
このような固形製剤においては、活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、微結晶セルロース、澱粉、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、澱粉、高分散性シリカのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤、ツイーン80、トリアセチンのような可塑剤、酸化チタン、三二酸化鉄のような着色剤を含有していてもよい。
【0016】
錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、寒天、ペクチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣または胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
【0017】
本発明において好ましいのは持続放出型の徐放化製剤である。徐放化製剤は公知方法によって錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤とすることができる。徐放化製剤はたとえば油脂類、ポリグリセリンの脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースなどを常法に従って錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤にコーティングすることによって得られる。
【0018】
また本発明において更に好ましいのは口腔内崩壊製剤である。ナフトピジルに担体を添加せしめ、ナフトピジルが溶解しない溶媒にて混濁後、型に流し込んで成形し、凍結乾燥等により乾燥することなどによって水無しで違和感なく、例えば不快な味やざらつきを感じることなく服用できる口腔内崩壊製剤を得ることができる。
【0019】
ナフトピジル又はその製薬学的に許容される塩の投与量は、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。通常経口投与の場合成人1人当たり有効成分約10乃至100mg/日、最も好ましくは10乃至50mg/日であり、これを1日1回乃至2回食後に経口投与される。
【0020】
以下に調合例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0021】
ナフトピジルを有効成分とする25mg製剤の調合例を示す。
【0022】
ナフトピジル25.0mg
ラクトース一水和物110.0mg
ポリ−(1−ビニル−2−ピロリドン)MG25000 3.0mg
微結晶セルロース15.0mg
高分散性シリカ1.5mg
ポリー(O−カルボキシメチル)−澱粉ナトリウム塩 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 160.0mg
【0023】
【試験例】
神経因性膀胱に伴う排尿諸症状に対する臨床例
表1に示すように神経因性膀胱に伴う排尿症状を訴える患者3例にナフトピジル錠剤を1日50mg、1年2ヶ月〜3年5ヶ月間経口投与した。その結果、医師の印象による判定は、3例中2例が「改善」、1例が「やや改善」であり、いずれの患者もナフトピジル投与により排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0024】
[試験例1]
患者1は排尿困難、昼・夜間の頻尿、1回排尿量の減少などの排尿症状が見られていたが、ナフトピジルの投与により排尿時間の短縮、昼・夜間の排尿回数の減少、1回排尿量が増加して排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0025】
[試験例2]
患者2は排尿困難、尿意切迫感、切迫性尿失禁などの排尿症状が見られていたが、ナフトピジルの投与により尿意切迫感、夜間の排尿回数の減少、1回排尿量の増加により排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0026】
[試験例3]
患者3は排尿困難、切迫性尿失禁、多量の残尿(430ml)などの排尿症状が見られていたが、ナフトピジルの投与により残尿量の減少、昼・夜間排尿回数の減少、尿失禁量の減少が認められ排出症状及び蓄尿症状の改善が認められた。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
従来、α1受容体遮断薬による神経因性性膀胱に伴う排尿症状の治療においては排出症状の改善のみであったが、本発明の化合物は、遊離状態あるいはその塩を人に投与した場合、排出症状の改善に加え頻尿など蓄尿症状にも有効であり、かつ高い安全性を示した。
Claims (1)
- ナフトピジル又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性膀胱に伴う排出症状及び蓄尿症状の治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111837A JP2004315432A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 排出症状及び蓄尿症状の治療剤 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003111837A JP2004315432A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 排出症状及び蓄尿症状の治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004315432A true JP2004315432A (ja) | 2004-11-11 |
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ID=33472285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003111837A Withdrawn JP2004315432A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 排出症状及び蓄尿症状の治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004315432A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006132196A1 (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-14 | Asahi Kasei Pharma Corporation | β3作動薬を含有する新規な医薬 |
CN100418529C (zh) * | 2006-06-30 | 2008-09-17 | 南京美瑞制药有限公司 | 萘哌地尔在制备促进泌尿系统结石排出的药物中的应用 |
-
2003
- 2003-04-16 JP JP2003111837A patent/JP2004315432A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006132196A1 (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-14 | Asahi Kasei Pharma Corporation | β3作動薬を含有する新規な医薬 |
CN100418529C (zh) * | 2006-06-30 | 2008-09-17 | 南京美瑞制药有限公司 | 萘哌地尔在制备促进泌尿系统结石排出的药物中的应用 |
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