JP2004314839A - 自動車用デッキボードの端末構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用デッキボードの端末に、デッキボードを持ち上げる際の把手となるウェビングベルトを、車体側の部材との干渉を抑え、かつ常にデッキボードの上方へと延びるように取り付ける。
【解決手段】デッキボード1の端末に、斜め下方に面する傾斜面7が形成されており、ウェビングベルト10が、この傾斜面に沿って斜め上方にデッキボード1の上面上まで延びるように、ねじ11によって固定して取り付けられている。デッキボード1は、表側外壁2と裏側外壁3の間が中空の構造を有しており、傾斜面7の内面と表側外壁2の内面との間に両者をつなぐ取付リブ5が形成され、この取付リブ5にねじ11がねじ込んで取り付けられている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の座席後方からバックドアまでの間の、荷物の載置部として通常利用される部分の床面上に配設されるデッキボードの端末構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、特にワゴン、ハッチバックなどの、バックドアを有する形式の自動車では、通常、乗員が着座する座席の背後からバックドアに至るまでの間のデッキ部を荷物の載置部として利用している。
【0003】
乗用自動車の場合、デッキ部の床面上には、一般的に、比較的剛性のある、成形によって形成した、または非成形の板状体が配設されており、本明細書では、このような板状体をデッキボードと称する。デッキボードは、その上に荷物を載置し、また、その下に、荷物を収容する空間を設けるなどして、デッキ部を多様に利用可能とする働きをしている。また、デッキボードには、通常、その表面に表皮材が貼着されて意匠性が付与され、それによって、デッキボードは、デッキ部の意匠性を高める働きもしている。
【0004】
デッキ部へバックドア側からアクセスできる自動車では、デッキボードは、バックドア側に近い端末を持ち上げて開閉可能な構成とされ、それによって、デッキボードの下方の空間を好便に利用可能としている。この際、デッキボードのバックドア側の部分などを部分的に折り畳み可能な構成とし、折り畳むことによってその部分だけ開閉可能とすることもある。
【0005】
従来、利用者がデッキボードの端未を持ち上げる操作を容易にする構成として、デッキボードの端末に帯紐状の部材を取り付け、これを把手として利用可能とした構成が知られている。
【0006】
このような従来技術は、例えば特許文献1に開示されている。図4に示すように、同文献に開示されたデッキボード50は、その端部の一部を折り畳んで、その下方に設けられた、工具などの荷物を収容する空間の上方を開くことができるようになっている。この折り畳むことができる部分の末端には、帯状のひも51が取り付けられており、このひも51をつかんでこの部分を開閉できるようになっている。ひも51は、両端部がデッキボード50の上面と下面にそれぞれ固定され、ループ状になっている。デッキボード50を閉めた状態では、ひも51は、その一部がデッキボードの端末と車体の内壁との間を通り、デッキボード50上に出た状態にされる。
【0007】
また、別の従来技術が特許文献2に開示されている。図5に示すように、同文献に開示されたデッキボード60では、デッキボードの開操作時に把手として利用されるストラップテープ61が、デッキボード60の裏面に突出して形成された取付用ボス62にビス63によって取り付けられている。デッキボード60には、取付用ボス62の近くに挿通孔64が形成されており、ストラップテープ61は、この挿通孔64を通ってデッキボード60の上方に引き出されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−81628号公報(特願平7−81628号)
【特許文献2】
特開平10−119650号公報(特願平8−278250号)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
デッキボードは、見栄えを良くし、また良好な遮音効果が得られるようにするために、その端末が車体の壁にできるだけ密接するように構成する必要がある。このため、上述の特許文献1に開示された構成では、ひも51がデッキボード50の端末に設けられているので、デッキボード51を閉める時に、ひも51が車体の壁に干渉しやすくなる。そこで、ひも51として、硬いものや、厚さの厚いもの、弾性の高いものを用いた場合、デッキボード50を閉める時に、ひも51が車体の壁と干渉することによって、円滑な操作が阻害される可能性がある。
【0010】
一方、ひも51を柔らかい素材から形成すれば、干渉は緩和される。しかし、柔らかい素材はこしがないので、デッキボード50を閉める際に、ひも51を注意して持っているなどしなければ、ひも51は下方に垂れ下がり、デッキボー50の下方に隠れてしまう可能性がある。このようになった場合、その後、デッキボード60を持ち上げる際にひも51を利用できなくなってしまうという不都合が生じる。
【0011】
これに対して、特許文献2に開示された構成では、ストラップ61が挿通孔64を通って上面上に引き出されているので、裏面側には落ちにくく、ストラップ61を、確実にデッキボード上に位置させておくことができる。しかしながら、この構成では、ストラップテープ61が、明らかに、デッキボード60の上面の、端末より内側の位置で引き出されているため、デッキボード60上の、荷物を載置するのに利用できる面積が狭くなってしまう。すなわち、ストラップ61が引き出されている部分の上に荷物を載置したのでは、荷物の安定性が悪くなることが考えられ、また、ストラップ61を利用できなくなってしまう。
【0012】
さらに、特許文献2に開示された構成では、デッキボード60の裏面にボス60が形成され、また、ストラップテープ61が引き回されているため、デッキボード60の裏面に凹凸が生じ、裏面側の荷物収容容積がその分減少してしまう。また、荷物がこれらのボス60やストラップテープ61に引っ掛かってしまうことも考えられる。また、挿通孔64を形成するために穴あけ加工を実施する必要が生じるのに加えて、ストラップテープ61も、裏面側を引き回した上に表面側に引き出す分、長めにする必要があり、コスト面でも不利である。
【0013】
また、自動車が大型化するのに伴い、デッキボードもまた大型化され、耐荷重性を高めるために厚肉化されてきている。このような厚肉のデッキボードでは重量も相応して大きくなり、これを持ち上げるのには大きな力が必要となる。そこで、デッキボードの取り扱いを容易にするため、強度を高く保ちながら軽量化することができる方法として、デッキボードを、ブロー成形などを利用して、内部が中空の構造にすることが知られている。しかしながら、この構成では、把手となる帯紐状の部材を取り着ける、特にねじなどによって取り付ける、すなわち螺着するのに必要な、取付部の肉厚を確保しにくくなってしまう。また、軽量化するにしても、把手が取り付けられる、デッキボードの端末には、開操作時に比較的大きな力がかかり、この部分を補強する必要があるという課題もある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、自動車の座席後方からバックドア側にわたる部分の床面上に配設されるデッキボードの端末構造として、把手となる帯紐状の部材とバックドアなどの車体側の部材との間に干渉が生じるのを抑え、かつ、帯状部材を、利用者が利用しやすいように、デッキボードの上方に上向きに常に位置させることができる端末構造を提供することにある。また、本発明の他の目的は、さらに、帯紐状の部材の取付部の強度を高くすることが可能な端末構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の自動車用デッキボードの端末構造は、自動車の座席後方からバックドアまでの部分の床面上に配設されるデッキボードの端未構造であって、デッキボードの端末に、斜め下方に面する傾斜面が形成され、ウェビングベルトが傾斜面に沿って斜め上方にデッキボードの上面上まで延びるように取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、ウェビングベルトは、傾斜面に沿って斜めに立ち上がるように延びているので、水平に延びている場合に比べて比較的やわらかいものであっても、安定して立ち上がった状態に維持することができる。したがって、利用者が特に注意していなくても、デッキボードを床面上に配設した状態でウェビングベルトが常にデッキボード上に出ている状態となり、利用者は、このウェビングベルトを、デッキボ−ドを持ち上げるのにいつでも利用することができる。また、ウェビングベルトは斜め上方に延びているので、水平に延びている場合に比べて、車体の壁の内面との干渉も小さい。
【0017】
ウェビングベルトは、傾斜面にねじによって固定するのが好ましい。それによって、ウェビングベルトを傾斜面に密着させて支持することができ、ウェビングベルトは、斜めに立ち上がった状態に安定して維持されやすくなる。
【0018】
傾斜面は、上面側が車体壁の内面に近接するように位置させるのが好ましい。それによって、床面全体が隙間無くデッキボードに覆われた状態にすることが可能となり、見栄えを良くし、また、デッキボードによる遮音効果を効果的に得ることができる。一方、傾斜面の下面側は、車体壁の内面から離間して位置させることができる。それによって、ねじの頭部を、傾斜面と車体壁との間に位置させることができ、ねじのために意匠性が損なわれるのを防止することができる。また、ねじの頭部が、デッキボードの裏面側に出っ張らないようにでき、デッキボードの下方に形成される、荷物を載置する空間が狭くなったり、荷物や利用者の衣服などがねじの頭部に引っ掛かったりするのを防止することができる。
【0019】
本発明は、中空のデッキボードにも好適に適用することができる。この場合、傾斜面の内面には、デッキボードの上面側の壁側へと延びる取付リブを形成するのが好ましい。それによって、ねじを取付リブにねじ込んで、安定して取り付けることができる。また、取付リブは、デッキボードを持ち上げる際に比較的大きな応力が加わる、ウェビングベルトの取付部を補強する働きもする。
【0020】
本発明を中空のデッキボードに適用する場合の他の態様として、デッキボードには、上面側の壁の内面と傾斜面の内面との間に、両者を連結するリブを形成するのが好ましい。この構成によれば、ウェビングベルトの取付部に、断面で見て、デッキボードの上面側の壁と傾斜面とリブとによって小さな三角形が形成され、各辺同士が支え合う、強度の高い構造が形成される。このリブは、ウェビングベルトを固定するねじをねじ込む部分として利用することができる。
【0021】
本発明において、ウェビングベルトは、利用者が把手として利用するものであり、このように利用しやすい、自動車のバックドア側の端末に取り付けるのが好適である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のデッキボード1を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図を示している。図2は、デッキボード1を持ち上げる際の把手となるウェビングベルト10が取り付けられた部分の拡大図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は斜視図である。図3は、自動車に取り付けられた状態のデッキボード1を示す図であり、図3(a)は、自動車のバックドア30側から見た斜視図、図3(b)は、一部を破断して示す斜視図である。
【0023】
本実施形態のデッキボード1は、表側外壁2と裏側外壁3の間に、高さ5〜20mm程度の中空部が設けられた構造を有している。図1(b)などに示すように、表側外壁2と裏側外壁3の間には、耐荷重性を高め、反りなどの変形が生じないように、両者をつなぐ複数のリブ4を形成するのが好ましい。リブ4としては、図には、好ましい例として、自動車の幅方向に平行に複数本の線状のものを形成した構成を示している。このような構造のデッキボード1は、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂から公知のブロー成形法によって形成することができる。デッキボード1には、特に表側外壁2の表面に、所望の意匠を有する不織布などの表皮材を貼着し、意匠性を高めるのが好ましい。
【0024】
図3に示すように、デッキボード1は、自動車の座席32の後方からバックドア30に至る、荷物の載置部として通常利用される部分の床面を覆う大きさを有している。デッキボード1は、このように床面を覆うように配設した状態で、左右の端末が、自動車の両側のデッキサイドトリム21にぴったり沿い、後方の端末が、自動車の、バックドアトリム31によって覆われる後方開口の下端を形成するリヤエンドガーニシュ20にぴったり沿う大きさおよび形状とするのが好ましい。それによって、見栄えを良くし、またデッキボード1が良好な遮音効果を果たすようにすることができる。
【0025】
このデッキボード1には、自動車の後方の端末にウェビングベルト10が取り付けられている。このようにウェビングベルト10を取り付けるのに好適な構成として、デッキボード1には、後方の部分を上方に折り曲げることができるようにするヒンジ6が設けられている。一方、自動車の、デッキボード1の下方の部分には、図3(b)に示すように、デッキボード下方空間40が設けられている。この構成では、ウェビングベルト10をつかみ、デッキボード1の後方の部分をヒンジ6で折り曲げて上方に持ち上げることによって、デッキボード下方空間40の上方を開いて、その中の荷物を出し入れすることができる。
【0026】
図示する例では、ヒンジ6は、そこでデッキボード1を折り曲げることによって、デッキボード下方空間40の後方の一部の上方が開かれる位置と、デッキボード下方空間40の全体の上方が開かれる位置に設けられている。デッキボード下方空間40は、小さな荷物などを収容するのに好適に用いることができ、このような荷物を出し入れする際、通常は、デッキボード1の後方の一部のみを持ち上げれば済むようになっている。そして、荷物をデッキボード下方空間の奥、すなわち自動車の前方側の部分に出し入れする際や、比較的大きい荷物を出し入れする際には、デッキボード下方空間40の上面全体を開くことができるようになっている。
【0027】
ヒンジ6は、表側外壁2と裏側外壁3を近接させ、デッキボード1の厚さを薄くした部分として形成することができる。このような構成のヒンジ6は、ブロー成形の特性を生かして容易に形成することができる。
【0028】
次に、利用者がデッキボード1の開操作、すなわち後方部分を持ち上げる操作を行いやすいように、把手として機能するウェビングベルト10とその取付け部の構成についてさらに詳細に説明する。
【0029】
ウェビングベルト10としては、幅が10〜30mm程度、長さが100〜200mm程度の帯状の形状の、厚手に組繊したナイロン布製ウェビングベルトを用いるのが好ましい。このようなウェビングベルト10は、長手方向に2つに折り返され、重ねられた両端末が、デッキボード1のバックドア30側に面する面に取り着けられている。
【0030】
デッキボード1の、ウェビングベルト10が取り付けられた面は、図2(a)などに示すように、後方に向かって斜め下方を向いた傾斜面7になっている。このようにウェビングベルト10を傾斜面7に取り付け、また、ウェビングベルト10としてある程度のこしがあるものを用いることによって、利用者が支えていなくてもウェビング10が斜めに立ち上がった状態になるようにすることができる。したがって、ウェビングベルト10は、デッキボード1を閉じた際に、従来技術におけるように、利用者が注意して支えているなどしなくても、確実にデッキボード1の上方に出た状態になり、利用者は、次にデッキボード1を開ける際に容易にウェビングベルト10をつかむことができる。
【0031】
この際、ウェビングベルト10を傾斜面7に取り付け、したがって斜めに延びるように取り付けることによって、従来技術におけるように、ウェビングベルト10を水平に延びるように取り付ける場合に比べて、バックドアトリム31やリヤエンドガーニッシュ20などの車体パネルとの干渉を小さく抑えることができる。また、ウェビングベルト10を傾斜面7に取り付けた構成では、ウェビングベルト10を下方に曲げる方向に加わる、重力による力の成分が小さくなり、したがって、ウェビングベルト10を比較的柔らかい素材から形成しても、デッキボード1を閉めた際に、ウェビングベルト10が垂れ下がってデッキボード1の下方に挟みこまれてしまうのを回避することが可能となる。ウェビングベルト10を比較的柔らかい素材から形成することによって、車体パネルとの干渉をより小さく抑えることができる。
【0032】
ウェビングベルト10が安定して斜めに立ち上がった状態になるようにするため、傾斜面7の傾斜角度は、水平面に対して45度程度とするのが好ましい。また、ウェビングベルト10の剛軟性は、特に、JIS L 1096に規定される織物の剛軟性を測定する試験方法のうち、A法(カンチレバー法)によって測定して、10mm以上、特には30mm以上とるのが好ましい。
【0033】
ウェビングベルト10の取着態様としては、図2などに示すように、ねじ11によって固定する方法が好適である。ウェビングベルト10をねじ11によって固定することによって、ウェビングベルト10を傾斜面7に密着させて取り付けることができ、それによって、ウェビングベルト10は、傾斜面7に沿って斜め上方に立ち上がった状態になりやすくなる。
【0034】
また、本実施形態の構成では、デッキボード1を持ち上げて開く際にウェビングベルト10に加えられる力は、ねじ11に対しては、主として、傾斜面7に沿ってねじ11に直交する方向に加わり、ねじ11が抜ける方向には加わりにくい。このため、経時的にねじ11が抜けてしまうのを防止することができる。
【0035】
この際、本実施形態のデッキボード1は前述のように中空になっているので、ねじ11を安定して取り付けるために、ウェビング10の取付部には、傾斜面7の裏面に、傾斜面7に実質的に直行する方向へと、すなわち表側外壁2側へと延びる取付リブ5を形成するのが好ましい。取付リブ5は、中実または半中空の、径5〜10mm程度の円柱形状にすることができる。半中空の構成には、ねじ11を、ねじ11によって取付リブ5の内面をねじ切りながら、容易にかつ確実に螺着できる合理性がある。
【0036】
このウェビングベルト10の取付部には、デッキボード1を持ち上げる際に比較的大きな応力が加わる。取付リブ5は、このように大きな応力が加わる取付部を、割れたり、ねじ11の取付強度が低下したりしないように補強する働きもある。取付リブ5による、端末の保強効果を高めるために、取付リブ5は表側外壁2の内面に連結させ、それによって、断面で見て、取付リブ5と傾斜面7と表側外壁とによって、一辺の長さが10〜20mm程度の小三角形が形成されるようにするのが好ましい。
【0037】
本実施形態において、傾斜面7は、図1(b)などに示すように、デッキボード1の表側が、ウェビングベルト10が通る隙間を残してリヤエンドガーニッシュ20に近接して位置し、裏側がリヤエンドガーニッシュ20から離間して、一定の隙間をあけて位置するように形成されている。これによって、デッキボード1を閉じた状態で、ねじ11の頭部を、デッキボード1の傾斜面7とリヤエンドガーニッシュ20との間の隙間内に位置させ、したがって、ねじ11の頭部が目立たないようにでき、また、ねじ11の頭部が荷物や利用者の衣服に引っ掛かるのを防止できる。このような作用をさらに高めるために、デッキボード1の端末を、ウェビングベルト10を取り着ける部分のみに傾斜面7を形成し、他の部分は鉛直面となるように構成することによって、ねじ11の頭部が少なくとも三方を囲まれるようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態の構成では、ウェビングベルト10を確実にデッキボード1の上方に位置するようにするのに、従来技術におけるように開口を形成するなどの特別な加工を必要とせず、すなわちデッキボード1の孔明け加工などの二次加工が不要であり、加工費を安くおさえることが可能である。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、ヒンジ6は省略してもよく、ウェビングベルト10をつかんでデッキボード1全体を持ち上げる構成としてもよい。また、デッキボード1は、必ずしも中空の構造でなくてもよい。ウェビングベルト10は、バックドア31を開けて操作するのに都合のよい、後方側の末端に取り付けられている例を示したが、デッキボード1の側方の一部を横方向に折り曲げられるようにして、この部分の側方の端末に取り付けてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ウェビングベルトをデッキボードの端末に形成した傾斜面に取り付けることによって、常に、デッキボードの上面より上方まで延びるように位置するようにし、デッキボードの下に挟み込んでしまう可能性を可及的に少なくできる。したがって、利用者は、デッキボードを開ける際に、いつでもウェビングベルトを利用することが可能となる。また同時に、ウェビングベルトは斜め上方に延びているため、水平に延びている場合に比べて、バックドアなどとの干渉を小さく抑えることができる。
【0041】
この際、ウェビングベルトは、デッキボードの最端末に取り付けることができるので、デッキボードの表側の面に凹凸を生じさせることはなく、デッキボードの上面全体を、荷物を載置するのに有効に利用することができる。また、デッキボード下方空間を狭くし、また、収容された荷物などに引っ掛かる恐れのある出っ張りがデッキボードの裏面側に生じることはなく、デッキボード下方空間を公的に利用可能とすることができる。
【0042】
また、中空のデッキボードにウェビングベルトを取り付ける場合、取付部に、傾斜面の裏面から表側外壁へと延びる、ねじの固定部として利用可能な取付リブを設けることによって、デッキボードを持ち上げて開く際に比較的大きな応力が加わるこの取付部の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のデッキボードを示す模式図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図である。
【図2】図1のデッキボードの、ウェビングベルトの取付部の拡大図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は斜視図である。
【図3】図1のデッキボードを敷設した自動車の模式図であり、図3(a)は斜視図、図3(b)は一部を破断して示す斜視図である。
【図4】従来例のデッキボードを示す模式図である。
【図5】他の従来例のデッキボードを示す模式図である。
【符号の説明】
1,50,60 デッキボード
2 表側外壁
3 裏側外壁
4 リブ
5 取付リブ
6 ヒンジ
7 傾斜面
10 ウェビングベルト
11 ねじ
20 リヤエンドガーニシュ
21 デッキサイドトリム
30 バックドア
31 バックドアトリム
32 座席
40 デッキボード下方空間
51 ひも
61 ストラップテープ
62 取付用ボス
63 ビス

Claims (7)

  1. 自動車の座席後方からバックドアまでの部分の床面上に配設されるデッキボードの端未構造であって、
    前記デッキボードの端末に、斜め下方に面する傾斜面が形成され、ウェビングベルトが前記傾斜面に沿って斜め上方に前記デッキボードの上面上まで延びるように取り付けられている、自動車用デッキボードの端末構造。
  2. 前記ウェビングベルトはねじによって傾斜面に沿って固定されている、請求項1に記載の、自動車用デッキボードの端末構造。
  3. 前記傾斜面は、上面側が車体壁の内面に近接し、下面側が前記車体壁の内面から離間して位置し、これによって形成された前記傾斜面と前記車体壁との間の隙間に、前記ねじの頭部が位置する、請求項2に記載の、自動車用デッキボードの端末構造。
  4. 前記デッキボードは中空の構造を有しており、前記傾斜面の内面には、前記デッキボードの上面側の壁側へと延びる取付リブが形成され、該取付リブに前記ねじがねじ込まれている、請求項2または3に記載の、自動車用デッキボードの端末構造。
  5. 前記デッキボードは中空の構造を有しており、該デッキボードの上面側の壁の内面と前記傾斜面の内面との間に両者を連結するリブが形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の、自動車用デッキボードの端末構造。
  6. 前記リブに、前記ウェビングベルトを前記傾斜面に固定するねじがねじ込まれている、請求項5に記載の、自動車用デッキボードの端末構造。
  7. 前記ウェビングベルトは、自動車のバックドア側の端末に取り付けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の、自動車用デッキボードの端末構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019056219A (ja) * 2017-09-20 2019-04-11 ヤンマー株式会社 作業車両

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