JP2004314477A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インクタンク内で光硬化型インクが硬化することを防止するインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクタンクに貯留された光硬化型のインクを記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタである。インクタンクは、インクを貯留する貯留部と、インクを貯留部に注入するための注入口と、貯留部内の空気を外部に抜くための通気口とを備えている。通気口の貯留部側には、空気の流路となる空気流路が、少なくとも1つの屈折部を有するように形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】インクタンクに貯留された光硬化型のインクを記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタである。インクタンクは、インクを貯留する貯留部と、インクを貯留部に注入するための注入口と、貯留部内の空気を外部に抜くための通気口とを備えている。通気口の貯留部側には、空気の流路となる空気流路が、少なくとも1つの屈折部を有するように形成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに係り、特に光硬化型インクを適用したインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等に接続される記録端末として、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写式プリンタ、熱昇華式プリンタ等の種々のプリンタが開発されている。中でもインクジェットプリンタは、他の方式のプリンタに比べて記録時の音が静かであり、色彩豊かな記録を容易かつ安価に行える等の利点を有するため、プリンタの主流となっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには多数のノズル(吐出口)を有する記録ヘッドが配設されており、インクジェットプリンタは画像信号に基づき記録ヘッドの各ノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を記録している。そして、画像の記録動作に伴い記録ヘッドからインクが次々に吐出されると、記録ヘッドに一時的に貯留されたインクが順次消費されるので、通常のインクジェットプリンタでは、大容量のインクを貯留したインクタンクが予め所定位置に設置され、ポンプによりインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するようになっている。このようなインクタンクには、インクの補充及びインクの流出がスムーズに行われるように通気口が設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平7−16434号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、非吸収性の記録媒体に対しても画像を記録できるように、光硬化型のインクで記録媒体上に画像を記録し、その後、光を照射することによりインクを硬化、定着させるインクジェットプリンタが開発されているが、このインクジェットプリンタに上記のインクタンクを適用すると、通気口から侵入した外光によってインクが硬化してしまう可能性があった。
【0006】
本発明の課題は、インクタンク内で光硬化型インクが硬化することを防止するインクジェットプリンタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
インクタンクに貯留された光硬化型のインクを記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタにおいて、
前記インクタンクは、
前記インクを貯留する貯留部と、
前記貯留部の外部及び前記貯留部を連通させて、前記インクを前記貯留部に注入するための注入口と、
前記貯留部の外部及び前記貯留部を連通させて、前記貯留部内の空気を外部に抜くための通気口とを備え、
前記通気口の前記貯留部側には、空気の流路となる空気流路が、少なくとも1つの屈折部を有するように形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、空気流路が少なくとも1つの屈折部を有するように形成されているので、通気口から入射した外光は屈折部によって遮られ、貯留部内のインクが外光によって硬化することを防止できる。
また、このようにインクタンクに通気口が設けられているので、貯留部から記録ヘッドにインクを供給する際や、注入口から貯留部にインクを注入する際には、通気口によって貯留部内の圧力を安定させることができ、インクの移動を安定させることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記空気流路には、複数の屈折部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、空気流路には複数の屈折部が設けられているので、外光が貯留部内のインクにまで至ることをより防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記通気口及び前記空気流路の断面積は、0.008cm2以上12cm2以下に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、通気口及び空気流路の断面積が、0.008cm2以上12cm2以下に設定されているので、前記断面積が0.008cm2以上であることによりスムーズな通気を可能とし、前記断面積が12cm2以下であることにより空気流路の大型化を防ぐことができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱部材を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱部材により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴としている。
【0016】
ここで、インク滴一滴あたりのインク量が20plを超えると高精細画像記録が難しく、また、2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。このため、請求項5記載の発明のように、記録ヘッドがインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出すれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。
また、吐出時においてはインクが30℃以上150℃以下に加熱されているので、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴としている。
【0018】
ここで、カチオン重合系の光硬化型インクは、ラジカル重合系の光硬化型インクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないため、請求項6記載の発明のように、インクとしてカチオン重合系の光硬化型インクが用いられていれば、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴としている。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。図1はインクジェットプリンタ1の概略側面図である。
【0022】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、各種構成部材を覆った筐体2を有している。ただし、図1では筐体2は背面側(図1中の左側)だけが図示されており、それ以外の部分が省略されている。筐体2の内部であって筐体2の下部には支持台3が配設されており、支持台3の上部には大容量のインクを貯留可能なインクタンク4が配設されている。
【0023】
インクタンク4は、その内部に外光が侵入しないように、例えば遮光性を有する樹脂から形成されている。図2はインクタンク4の概略側面図であり、このインクタンク4の内部は、インクを貯留する貯留部41が設けられている。また、インクタンク4の上部には、貯留部41の外部及び貯留部41を連通させて、インクを貯留部41に注入するための注入口42が設けられている。注入口42は、貯留部41の外部に向けて伸び出すように略筒状に形成されており、筐体2の外部から注入口5を介してインクタンク4にインクを補充できるようになっている。この注入口42の先端部には開閉自在な蓋43が設けられている。
【0024】
また、インクタンク4の上部における注入口42の反対側には、貯留部41の外部及び貯留部41を連通させて、貯留部41内の空気を外部に抜くための通気口44が設けられている。通気口44の貯留部41側には、空気の流路となる空気流路Aが設けられており、この空気流路Aは遮光性を有する複数の遮光部材45によって形成されている。具体的に説明すると、本実施形態の空気流路Aは、インクタンク4内部で通気口44に対向するように配置された遮光部材45aと、インクタンク4の内側面に所定間隔空けて水平に固定された遮光部材45b,45c,45dと、遮光部材45b,45c,45dの間に配置されるように遮光部材45aの通気口44側に水平に固定された遮光部材45e,45fとによって形成されている。つまり、空気流路Aは、通気口44から貯留部41まで至る間に、遮光部材45bの先端付近、遮光部材45eの先端付近、遮光部材45cの先端付近、遮光部材45fの先端付近、遮光部材45dの先端付近の計5箇所で、180度方向転換する屈折部を有するようになっている。このように、空気流路Aが複数の屈折部を有しているので、通気口44に対して直交するように入射する外光であっても、遮光部材45によって遮られることとなり、外光が貯留部41内のインクにまで至ることをより防止することができる。なお、空気流路に1つ屈折部が設けられていれば外光を遮ることが可能である。
ここで、通気口44及び空気流路Aの断面積は、通気の円滑化及びインクタンクの小型化を図るために、0.008cm2以上12cm2以下に設定されていることが好ましい。
【0025】
図1に示すように、筐体2の内部であってインクタンク4の上方には、インクタンク4に貯留されたインクを吸入・吐出するポンプ装置8が配設されている。ポンプ装置8は、バルブ9を介したチューブ10によりインクタンク4に接続されている。またポンプ装置8にはバルブ11を介したチューブ12が接続されている。本実施形態ではポンプ装置8が作動すると、インクタンク4に貯留されたインクは、インクタンク4からチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され(吸い上げられ)、ポンプ装置8からチューブ12に吐出されるようになっている。
【0026】
インクジェットプリンタ1の正面側(図1中の右側)にはキャリッジ13が配設されている。キャリッジ13は、図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に延在する長尺なガイドレール14に跨った状態で支持されており、ガイドレール14にガイド(案内)されながら図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に移動自在(走査自在)となっている。
【0027】
キャリッジ13の背面側には小容量のインクを一時的に貯留するサブタンク15が搭載されており、キャリッジ13の正面側にはインクを記録媒体16に向かって吐出する記録ヘッド17が搭載されている。キャリッジ13においてサブタンク15と記録ヘッド17はチューブ18を介して互いに接続されており、記録ヘッド17からのインクの吐出に伴いチューブ18を介してサブタンク15から記録ヘッド17にインクが供給されるようになっている。
【0028】
なお、上記サブタンク15及び記録ヘッド17は、上記の通りキャリッジ13にそれぞれ搭載されていることからキャリッジ13の移動に順次追従するようになっている。
【0029】
記録ヘッド17の内部には、記録ヘッド17内部のインクを加熱する加熱部材(図示省略)が設置されている。この加熱部材がインクを30℃以上150℃以下に加熱することにより、記録ヘッド17は、加熱により低粘度化したインクを吐出するようになっている。
【0030】
記録ヘッド17の吐出面(記録媒体16に対向する面)にはインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出する多数のノズル(吐出口)が配設されている。また、記録ヘッド17の両側部には記録媒体16に着弾したインクの各液滴に光を照射する光照射装置19が1つずつ配設されている。ただし、図1では2つの光照射装置19のうち図1の紙面の表側に配設された一方の光照射装置19だけが図示されている。各光照射装置19に設けられる光源としては、紫外線を照射する光源、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED(Light Emitting Diode)等を適用することができる。
【0031】
記録ヘッド17の下方であって記録ヘッド17の各ノズルに対向する位置には、記録媒体16を平面状に支持するプラテン20が配設されている。図1においてプラテン20の上流側および下流側には記録媒体16を搬送するための搬送用ローラ21,22がそれぞれ配設されている。各搬送用ローラ21,22は互いに同一方向に回転するようになっており、具体的には図1において時計回り方向に回転するようになっている。各搬送用ローラ21,22が回転すると、記録媒体16は非記録面(記録面の反対側の面)をプラテン20により支持された状態でインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって搬送されるようになっている。
【0032】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を少なくとも含み、さらには30℃において10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有するものである。
【0033】
上記光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるけれども、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ここで、ラジカル重合系インクに比べてカチオン重合系インクは、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないためインクの硬化に必要な照度を低減できる。このようなことから本実施形態ではインクとしてカチオン重合系の光硬化型インクを用いている。
【0034】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体16」について説明する。
記録媒体16としては、非吸収性記録媒体であっても吸収性記録媒体のいずれかを用いることが可能である。ここで、非吸収性とは、インク組成物(単にインクという。)を吸収しないということであるが、本発明においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が、0.1ml/mm2未満である場合、実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性記録媒体とし、それ以外の記録媒体を吸収性記録媒体とする。
【0035】
非吸収性記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PEフィルム、TACフィルムが挙げられる。その他のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。そして、これら非吸収性記録媒体として好ましいものは、表面エネルギーが35mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものであるが、さらに好ましいものは、40mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものである。
吸収性記録媒体としては、例えば普通紙(コピー用紙)、上質紙などが挙げられる。
【0036】
続いてインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、各搬送用ローラ21,22が駆動されて各搬送用ローラ21,22が所定量の回転と停止とを繰り返し、記録媒体16がプラテン20により非記録面を支持された状態でプラテン20の上部をインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって間欠的に搬送される。
【0037】
そうして各搬送用ローラ21,22が停止する毎に、キャリッジ13が作動して記録媒体16の直上を図1の紙面の表側から裏側へ又は図1の紙面の裏側から表側へと往復移動する。これに伴いキャリッジ13に搭載されたサブタンク15、記録ヘッド17及び光照射装置19も、キャリッジ13の移動に追従するように記録媒体16の直上を往復移動する。
【0038】
このとき、記録ヘッド17がサブタンク15からインクの供給を受けながら記録媒体16の記録面に向かって各ノズルからインクを吐出するとともに、各光照射装置19が点灯する。これにより記録ヘッド17から吐出されたインクは、記録媒体16の記録面に着弾してその直後に各光照射装置19から紫外線を照射される。そうして紫外線の照射を受けたインクは硬化して記録媒体16の記録面上に定着する。
【0039】
以後、インクジェットプリンタ1が上記した各動作を繰り返し、複数のドットからなる所望の画像が記録媒体16の記録面に順次記録される。
【0040】
ここで本実施形態では、所定数の画像が記録媒体16に記録される毎にキャリッジ13が所定位置(ホームポジション)で停止してサブタンク15へのインクの供給処理が行われる。インクの供給処理中においてはポンプ装置8が作動して、インクタンク4に貯留されたインクがチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され、吸入されたインクがポンプ装置8からチューブ12に吐出される。インクタンク4のインク減少に伴って、外気が通気口44から空気流路Aを介して貯留部41まで進入し、貯留部41内部の圧力を安定させる。そして、吐出されたインクはチューブ12及びバルブ11を介してサブタンク15に供給される。
【0041】
このようなインクの供給処理が複数回にわたって行われると、インクタンク4に貯留されたインクは消費されて残量が次第に減少し、インクタンク4にインクの補充が必要となる。インクタンク4にインクを補充する際においては、作業者は、インクタンク4の蓋43を外して、注入口42を開放してから、補充用のインクが充填された補充タンク30の流出口31をインクタンク4の注入口5に接続して、インクの補充を行う。ここで、バルブ9が閉じられていたとしても、貯留部41内部の空気が空気流路Aを介して通気口44から排出されるので、貯留部41内部の圧力を安定させることができる。インクの補充が完了すると、作業者は、インクタンク4の注入口42から補充タンク30を取り外して、注入口42に蓋43を取り付けて、注入口42を密閉する。
【0042】
以上のように、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1によれば、空気流路Aが少なくとも1つの屈折部を有するように形成されているので、通気口44から入射した外光は屈折部によって遮られ、貯留部41内のインクが外光によって硬化することを防止できる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更を行ってもよい。
例えば、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は、上記の通り、紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよい。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線等の電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、図1に示す光照射装置19に代えてその光を照射する光照射装置を適用しなければならない。
【0044】
また、本実施形態では、水平方向に180度方向転換する屈折部を複数有した空気流路Aを例示したが、通気口44から入射する外光を貯留部41まで至らないように遮るのであれば空気流路の形状は如何様でもよく、例えば上下方向に180度方向転換する屈折部を少なくとも1つ有する空気流路や、屈折角度が180度以外の空気流路などが挙げられる。また、本実施形態の空気流路Aは、通気口44が上側で空気流路Aの出口部分(遮光部材45dの先端付近)が下側に配置されるように形成されているが、通気口44と前記出口部分とが水平となるように配置されていてもよい。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、通気口から入射した外光は屈折部によって遮られ、貯留部内のインクが外光によって硬化することを防止できる。
また、貯留部から記録ヘッドにインクを供給する際や、注入口から貯留部にインクを注入する際には、通気口によって貯留部内の圧力を安定させることができ、インクの移動を安定させることができる。
【0046】
請求項2記載の発明によれば、空気流路には複数の屈折部が設けられているので、外光が貯留部内のインクにまで至ることをより防止することができる。
【0047】
請求項3記載の発明によれば、通気口及び空気流路の断面積が0.008cm2以上であることによりスムーズな通気を可能とし、前記断面積が12cm2以下であることにより空気流路の大型化を防ぐことができる。
【0048】
請求項4記載の発明によれば、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
請求項5記載の発明によれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。また、吐出時においてはインクが30℃以上150℃以下に加熱されているので、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
請求項6記載の発明によれば、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
請求項7記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの概略側面図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタに備わるインクタンクの機略側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
4 インクタンク
17 記録ヘッド
19 光照射装置
41 貯留部
42 注入口
A 空気流路
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに係り、特に光硬化型インクを適用したインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等に接続される記録端末として、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写式プリンタ、熱昇華式プリンタ等の種々のプリンタが開発されている。中でもインクジェットプリンタは、他の方式のプリンタに比べて記録時の音が静かであり、色彩豊かな記録を容易かつ安価に行える等の利点を有するため、プリンタの主流となっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには多数のノズル(吐出口)を有する記録ヘッドが配設されており、インクジェットプリンタは画像信号に基づき記録ヘッドの各ノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を記録している。そして、画像の記録動作に伴い記録ヘッドからインクが次々に吐出されると、記録ヘッドに一時的に貯留されたインクが順次消費されるので、通常のインクジェットプリンタでは、大容量のインクを貯留したインクタンクが予め所定位置に設置され、ポンプによりインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するようになっている。このようなインクタンクには、インクの補充及びインクの流出がスムーズに行われるように通気口が設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平7−16434号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、非吸収性の記録媒体に対しても画像を記録できるように、光硬化型のインクで記録媒体上に画像を記録し、その後、光を照射することによりインクを硬化、定着させるインクジェットプリンタが開発されているが、このインクジェットプリンタに上記のインクタンクを適用すると、通気口から侵入した外光によってインクが硬化してしまう可能性があった。
【0006】
本発明の課題は、インクタンク内で光硬化型インクが硬化することを防止するインクジェットプリンタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
インクタンクに貯留された光硬化型のインクを記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタにおいて、
前記インクタンクは、
前記インクを貯留する貯留部と、
前記貯留部の外部及び前記貯留部を連通させて、前記インクを前記貯留部に注入するための注入口と、
前記貯留部の外部及び前記貯留部を連通させて、前記貯留部内の空気を外部に抜くための通気口とを備え、
前記通気口の前記貯留部側には、空気の流路となる空気流路が、少なくとも1つの屈折部を有するように形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、空気流路が少なくとも1つの屈折部を有するように形成されているので、通気口から入射した外光は屈折部によって遮られ、貯留部内のインクが外光によって硬化することを防止できる。
また、このようにインクタンクに通気口が設けられているので、貯留部から記録ヘッドにインクを供給する際や、注入口から貯留部にインクを注入する際には、通気口によって貯留部内の圧力を安定させることができ、インクの移動を安定させることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記空気流路には、複数の屈折部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、空気流路には複数の屈折部が設けられているので、外光が貯留部内のインクにまで至ることをより防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記通気口及び前記空気流路の断面積は、0.008cm2以上12cm2以下に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、通気口及び空気流路の断面積が、0.008cm2以上12cm2以下に設定されているので、前記断面積が0.008cm2以上であることによりスムーズな通気を可能とし、前記断面積が12cm2以下であることにより空気流路の大型化を防ぐことができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱部材を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱部材により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴としている。
【0016】
ここで、インク滴一滴あたりのインク量が20plを超えると高精細画像記録が難しく、また、2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。このため、請求項5記載の発明のように、記録ヘッドがインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出すれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。
また、吐出時においてはインクが30℃以上150℃以下に加熱されているので、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴としている。
【0018】
ここで、カチオン重合系の光硬化型インクは、ラジカル重合系の光硬化型インクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないため、請求項6記載の発明のように、インクとしてカチオン重合系の光硬化型インクが用いられていれば、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴としている。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。図1はインクジェットプリンタ1の概略側面図である。
【0022】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、各種構成部材を覆った筐体2を有している。ただし、図1では筐体2は背面側(図1中の左側)だけが図示されており、それ以外の部分が省略されている。筐体2の内部であって筐体2の下部には支持台3が配設されており、支持台3の上部には大容量のインクを貯留可能なインクタンク4が配設されている。
【0023】
インクタンク4は、その内部に外光が侵入しないように、例えば遮光性を有する樹脂から形成されている。図2はインクタンク4の概略側面図であり、このインクタンク4の内部は、インクを貯留する貯留部41が設けられている。また、インクタンク4の上部には、貯留部41の外部及び貯留部41を連通させて、インクを貯留部41に注入するための注入口42が設けられている。注入口42は、貯留部41の外部に向けて伸び出すように略筒状に形成されており、筐体2の外部から注入口5を介してインクタンク4にインクを補充できるようになっている。この注入口42の先端部には開閉自在な蓋43が設けられている。
【0024】
また、インクタンク4の上部における注入口42の反対側には、貯留部41の外部及び貯留部41を連通させて、貯留部41内の空気を外部に抜くための通気口44が設けられている。通気口44の貯留部41側には、空気の流路となる空気流路Aが設けられており、この空気流路Aは遮光性を有する複数の遮光部材45によって形成されている。具体的に説明すると、本実施形態の空気流路Aは、インクタンク4内部で通気口44に対向するように配置された遮光部材45aと、インクタンク4の内側面に所定間隔空けて水平に固定された遮光部材45b,45c,45dと、遮光部材45b,45c,45dの間に配置されるように遮光部材45aの通気口44側に水平に固定された遮光部材45e,45fとによって形成されている。つまり、空気流路Aは、通気口44から貯留部41まで至る間に、遮光部材45bの先端付近、遮光部材45eの先端付近、遮光部材45cの先端付近、遮光部材45fの先端付近、遮光部材45dの先端付近の計5箇所で、180度方向転換する屈折部を有するようになっている。このように、空気流路Aが複数の屈折部を有しているので、通気口44に対して直交するように入射する外光であっても、遮光部材45によって遮られることとなり、外光が貯留部41内のインクにまで至ることをより防止することができる。なお、空気流路に1つ屈折部が設けられていれば外光を遮ることが可能である。
ここで、通気口44及び空気流路Aの断面積は、通気の円滑化及びインクタンクの小型化を図るために、0.008cm2以上12cm2以下に設定されていることが好ましい。
【0025】
図1に示すように、筐体2の内部であってインクタンク4の上方には、インクタンク4に貯留されたインクを吸入・吐出するポンプ装置8が配設されている。ポンプ装置8は、バルブ9を介したチューブ10によりインクタンク4に接続されている。またポンプ装置8にはバルブ11を介したチューブ12が接続されている。本実施形態ではポンプ装置8が作動すると、インクタンク4に貯留されたインクは、インクタンク4からチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され(吸い上げられ)、ポンプ装置8からチューブ12に吐出されるようになっている。
【0026】
インクジェットプリンタ1の正面側(図1中の右側)にはキャリッジ13が配設されている。キャリッジ13は、図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に延在する長尺なガイドレール14に跨った状態で支持されており、ガイドレール14にガイド(案内)されながら図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に移動自在(走査自在)となっている。
【0027】
キャリッジ13の背面側には小容量のインクを一時的に貯留するサブタンク15が搭載されており、キャリッジ13の正面側にはインクを記録媒体16に向かって吐出する記録ヘッド17が搭載されている。キャリッジ13においてサブタンク15と記録ヘッド17はチューブ18を介して互いに接続されており、記録ヘッド17からのインクの吐出に伴いチューブ18を介してサブタンク15から記録ヘッド17にインクが供給されるようになっている。
【0028】
なお、上記サブタンク15及び記録ヘッド17は、上記の通りキャリッジ13にそれぞれ搭載されていることからキャリッジ13の移動に順次追従するようになっている。
【0029】
記録ヘッド17の内部には、記録ヘッド17内部のインクを加熱する加熱部材(図示省略)が設置されている。この加熱部材がインクを30℃以上150℃以下に加熱することにより、記録ヘッド17は、加熱により低粘度化したインクを吐出するようになっている。
【0030】
記録ヘッド17の吐出面(記録媒体16に対向する面)にはインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出する多数のノズル(吐出口)が配設されている。また、記録ヘッド17の両側部には記録媒体16に着弾したインクの各液滴に光を照射する光照射装置19が1つずつ配設されている。ただし、図1では2つの光照射装置19のうち図1の紙面の表側に配設された一方の光照射装置19だけが図示されている。各光照射装置19に設けられる光源としては、紫外線を照射する光源、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED(Light Emitting Diode)等を適用することができる。
【0031】
記録ヘッド17の下方であって記録ヘッド17の各ノズルに対向する位置には、記録媒体16を平面状に支持するプラテン20が配設されている。図1においてプラテン20の上流側および下流側には記録媒体16を搬送するための搬送用ローラ21,22がそれぞれ配設されている。各搬送用ローラ21,22は互いに同一方向に回転するようになっており、具体的には図1において時計回り方向に回転するようになっている。各搬送用ローラ21,22が回転すると、記録媒体16は非記録面(記録面の反対側の面)をプラテン20により支持された状態でインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって搬送されるようになっている。
【0032】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を少なくとも含み、さらには30℃において10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有するものである。
【0033】
上記光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるけれども、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ここで、ラジカル重合系インクに比べてカチオン重合系インクは、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないためインクの硬化に必要な照度を低減できる。このようなことから本実施形態ではインクとしてカチオン重合系の光硬化型インクを用いている。
【0034】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体16」について説明する。
記録媒体16としては、非吸収性記録媒体であっても吸収性記録媒体のいずれかを用いることが可能である。ここで、非吸収性とは、インク組成物(単にインクという。)を吸収しないということであるが、本発明においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が、0.1ml/mm2未満である場合、実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性記録媒体とし、それ以外の記録媒体を吸収性記録媒体とする。
【0035】
非吸収性記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PEフィルム、TACフィルムが挙げられる。その他のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。そして、これら非吸収性記録媒体として好ましいものは、表面エネルギーが35mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものであるが、さらに好ましいものは、40mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものである。
吸収性記録媒体としては、例えば普通紙(コピー用紙)、上質紙などが挙げられる。
【0036】
続いてインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、各搬送用ローラ21,22が駆動されて各搬送用ローラ21,22が所定量の回転と停止とを繰り返し、記録媒体16がプラテン20により非記録面を支持された状態でプラテン20の上部をインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって間欠的に搬送される。
【0037】
そうして各搬送用ローラ21,22が停止する毎に、キャリッジ13が作動して記録媒体16の直上を図1の紙面の表側から裏側へ又は図1の紙面の裏側から表側へと往復移動する。これに伴いキャリッジ13に搭載されたサブタンク15、記録ヘッド17及び光照射装置19も、キャリッジ13の移動に追従するように記録媒体16の直上を往復移動する。
【0038】
このとき、記録ヘッド17がサブタンク15からインクの供給を受けながら記録媒体16の記録面に向かって各ノズルからインクを吐出するとともに、各光照射装置19が点灯する。これにより記録ヘッド17から吐出されたインクは、記録媒体16の記録面に着弾してその直後に各光照射装置19から紫外線を照射される。そうして紫外線の照射を受けたインクは硬化して記録媒体16の記録面上に定着する。
【0039】
以後、インクジェットプリンタ1が上記した各動作を繰り返し、複数のドットからなる所望の画像が記録媒体16の記録面に順次記録される。
【0040】
ここで本実施形態では、所定数の画像が記録媒体16に記録される毎にキャリッジ13が所定位置(ホームポジション)で停止してサブタンク15へのインクの供給処理が行われる。インクの供給処理中においてはポンプ装置8が作動して、インクタンク4に貯留されたインクがチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され、吸入されたインクがポンプ装置8からチューブ12に吐出される。インクタンク4のインク減少に伴って、外気が通気口44から空気流路Aを介して貯留部41まで進入し、貯留部41内部の圧力を安定させる。そして、吐出されたインクはチューブ12及びバルブ11を介してサブタンク15に供給される。
【0041】
このようなインクの供給処理が複数回にわたって行われると、インクタンク4に貯留されたインクは消費されて残量が次第に減少し、インクタンク4にインクの補充が必要となる。インクタンク4にインクを補充する際においては、作業者は、インクタンク4の蓋43を外して、注入口42を開放してから、補充用のインクが充填された補充タンク30の流出口31をインクタンク4の注入口5に接続して、インクの補充を行う。ここで、バルブ9が閉じられていたとしても、貯留部41内部の空気が空気流路Aを介して通気口44から排出されるので、貯留部41内部の圧力を安定させることができる。インクの補充が完了すると、作業者は、インクタンク4の注入口42から補充タンク30を取り外して、注入口42に蓋43を取り付けて、注入口42を密閉する。
【0042】
以上のように、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1によれば、空気流路Aが少なくとも1つの屈折部を有するように形成されているので、通気口44から入射した外光は屈折部によって遮られ、貯留部41内のインクが外光によって硬化することを防止できる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更を行ってもよい。
例えば、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は、上記の通り、紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよい。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線等の電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、図1に示す光照射装置19に代えてその光を照射する光照射装置を適用しなければならない。
【0044】
また、本実施形態では、水平方向に180度方向転換する屈折部を複数有した空気流路Aを例示したが、通気口44から入射する外光を貯留部41まで至らないように遮るのであれば空気流路の形状は如何様でもよく、例えば上下方向に180度方向転換する屈折部を少なくとも1つ有する空気流路や、屈折角度が180度以外の空気流路などが挙げられる。また、本実施形態の空気流路Aは、通気口44が上側で空気流路Aの出口部分(遮光部材45dの先端付近)が下側に配置されるように形成されているが、通気口44と前記出口部分とが水平となるように配置されていてもよい。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、通気口から入射した外光は屈折部によって遮られ、貯留部内のインクが外光によって硬化することを防止できる。
また、貯留部から記録ヘッドにインクを供給する際や、注入口から貯留部にインクを注入する際には、通気口によって貯留部内の圧力を安定させることができ、インクの移動を安定させることができる。
【0046】
請求項2記載の発明によれば、空気流路には複数の屈折部が設けられているので、外光が貯留部内のインクにまで至ることをより防止することができる。
【0047】
請求項3記載の発明によれば、通気口及び空気流路の断面積が0.008cm2以上であることによりスムーズな通気を可能とし、前記断面積が12cm2以下であることにより空気流路の大型化を防ぐことができる。
【0048】
請求項4記載の発明によれば、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
請求項5記載の発明によれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。また、吐出時においてはインクが30℃以上150℃以下に加熱されているので、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
請求項6記載の発明によれば、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
請求項7記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの概略側面図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタに備わるインクタンクの機略側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
4 インクタンク
17 記録ヘッド
19 光照射装置
41 貯留部
42 注入口
A 空気流路
Claims (7)
- インクタンクに貯留された光硬化型のインクを記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタにおいて、
前記インクタンクは、
前記インクを貯留する貯留部と、
前記貯留部の外部及び前記貯留部を連通させて、前記インクを前記貯留部に注入するための注入口と、
前記貯留部の外部及び前記貯留部を連通させて、前記貯留部内の空気を外部に抜くための通気口とを備え、
前記通気口の前記貯留部側には、空気の流路となる空気流路が、少なくとも1つの屈折部を有するように形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記空気流路には、複数の屈折部が設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記通気口及び前記空気流路の断面積は、0.008cm2以上12cm2以下に設定されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱部材を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱部材により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003112644A JP2004314477A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | インクジェットプリンタ |
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JP2003112644A JP2004314477A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | インクジェットプリンタ |
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JP (1) | JP2004314477A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015093428A (ja) * | 2013-11-12 | 2015-05-18 | セイコーエプソン株式会社 | 記録装置 |
JP2016087846A (ja) * | 2014-10-31 | 2016-05-23 | ブラザー工業株式会社 | タンク、及びタンクとボトルのセット |
-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003112644A patent/JP2004314477A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015093428A (ja) * | 2013-11-12 | 2015-05-18 | セイコーエプソン株式会社 | 記録装置 |
JP2016087846A (ja) * | 2014-10-31 | 2016-05-23 | ブラザー工業株式会社 | タンク、及びタンクとボトルのセット |
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