JP2005034999A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができ、記録画像の品質を向上させることができるインクジェットプリンタとする。
【解決手段】インクタンク2からサブインクタンク6に供給されて貯留されたインクを、記録ヘッド8から記録媒体99に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタ1である。記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプ10と、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁11と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサ12と、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて、記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部20とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】インクタンク2からサブインクタンク6に供給されて貯留されたインクを、記録ヘッド8から記録媒体99に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタ1である。記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプ10と、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁11と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサ12と、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて、記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部20とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに係り、特にはインクタンクからサブインクタンクに供給されて貯留されたインクを、記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等に接続される記録端末として、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写式プリンタ、熱昇華式プリンタ等の種々のプリンタが開発されている。中でもインクジェットプリンタは、他の方式のプリンタに比べて記録時の音が静かであり、色彩豊かな記録を容易かつ安価に行える等の利点を有するため、プリンタの主流となっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには多数の吐出口を有する記録ヘッドが配設されており、インクジェットプリンタは画像信号に基づき記録ヘッドの各吐出口からインクを吐出して記録媒体に画像を記録している。そして、画像の記録動作に伴い記録ヘッドからインクが次々に吐出されると、記録ヘッドに一時的に貯留されたインクが順次消費されるので、通常のインクジェットプリンタでは、大容量のインクを貯留したインクタンクが予め所定位置に設置され、ポンプによりインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
さらに、このようなインクジェットプリンタの中には、記録ヘッドへのインクの供給がスムーズに行われるように、前記インクタンクと記録ヘッドの間にサブインクタンクを備えているものがある。
【0005】
【特許文献1】
特許第2980476号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したようなインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドのノズル面に形成されるメニスカスを正常な形状に保つために、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に保つ必要があり、そのため、前記サブインクタンクは、記録ヘッドに対して所定の下方位置に配置しなければならなかった。
【0007】
しかしながら、前記したような記録ヘッドに対する下方位置には、記録媒体の搬送面があり、これを避けるために、サブインクタンクを記録ヘッドから離れた位置に配置しなければならなかった。特にシリアル方式のインクジェットプリンタでは、記録ヘッドはキャリッジに搭載されるが、記録媒体の搬送面を避けるとサブインクタンクはキャリッジに搭載できないため、サブインクタンクをキャリッジ外に配置し、当該位置から記録ヘッドにインクを供給しなければならなかった。
【0008】
そして、キャリッジが移動することを考慮すると、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路は長くしなければならず、また、キャリッジの位置によってはインク供給路が湾曲したりすることになる。これにより、配管抵抗が増大したり、インク供給路内に残留するエアーも多くなって除去し難くなったりして、記録ヘッドからの正常なインク吐出に悪影響を与えることとなり、インク吐出不良やインク出射曲がりを発生させて記録画像の品質を低下させる可能性が生じていた。
【0009】
そこで、本発明の課題は、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができ、これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
インクタンクからサブインクタンクに供給されて貯留されたインクを、記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタであって、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、
前記圧力センサによる測定圧力に基づき前記背圧減圧用ポンプと前記大気連通弁を動作させて、前記記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部と、
を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部とを備えているため、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができる。これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、例えばキャリッジ上にサブインクタンクを配置することも可能となり、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路の配管抵抗を低減させることができ、インク供給路内に残留するエアーも減少させることができる。従って、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であるため、具体的に請求項1に記載の発明の効果を奏することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱手段を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱手段により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、インクが30℃で10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有し、記録ヘッドがインクを30℃以上150℃以下に加熱して一滴当たり2pl以上20pl以下のインク滴として記録媒体に吐出するため、記録媒体に高精細な画像を記録することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクが、光が照射されることにより硬化する光硬化型インクであり、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体がインクに対して非吸収性であるため、インクが記録媒体に滲むのを防止することができる。また、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の概略側面図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、筐体(図示省略)の内部に、大容量のインクを貯留可能なインクタンク2を備えている。
前記インクタンク2は、その内部に外光が侵入しないように、例えば遮光性を有する樹脂等で形成されている。なお、図1においては、インクタンク2は1つしか図示していないが、インクジェットプリンタ1で使用するインクの色の数だけインクタンク2を備えているものとする。以下、サブインクタンク6や記録ヘッド8等についても、図示している数に拘らずインクジェットプリンタ1で必要な数だけ備えているものとする。
【0024】
前記筐体の内部には、インクタンク2に貯留されたインクを送り出すポンプ装置3が配設されている。本実施の形態では、ポンプ装置3が作動すると、インクタンク2に貯留されたインクは、インクタンク2からインク供給チューブ4を介してサブインクタンク6に送り出されるようになっている。
【0025】
また、インクジェットプリンタ1にはキャリッジ5が配設されている。前記キャリッジ5は、図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に延在する長尺なガイドレール7に跨った状態で支持されており、ガイドレール7にガイド(案内)されながら図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に移動自在となっている。
【0026】
キャリッジ5の背面側(図1中の左側)には、小容量のインクを一時的に貯留するサブインクタンク6が搭載されており、キャリッジ5の正面側(図1中の右側)には、インクを記録媒体99に向かって吐出する記録ヘッド8が搭載されている。このキャリッジ5において、サブインクタンク6と記録ヘッド8はチューブ状のインク供給路9を介して互いに接続されており、記録ヘッド8のノズル面8a(記録媒体99に対向する面)に配置された吐出口(図示省略)からのインクの吐出に伴いインク供給路9を介してサブインクタンク6から記録ヘッド8にインクが供給されるようになっている。
【0027】
また、キャリッジ5において、サブインクタンク6と記録ヘッド8とは略同一の水平位置に設けられている。これにより、記録ヘッド8の下方に位置する記録媒体99の搬送面に対して支障をきたすことがない。なお、サブインクタンク6の配置箇所は、記録媒体99の搬送面に対する不具合が生じなければ、前記した記録ヘッド8と略同一の水平位置に限るものではなく、例えば記録ヘッド8より上方の位置に配置されていても良い。
【0028】
またさらに、前記サブインクタンク6及び記録ヘッド8は、前記したようにキャリッジ5にそれぞれ搭載されていることから、キャリッジ5の移動によって同時に移動するようになっている。このため、サブインクタンク6と記録ヘッド8とを繋ぐインク供給路9は短くて良く、さらにキャリッジ5の移動によってインク供給路9が湾曲したりすることがない。
【0029】
また、本発明に係るインクジェットプリンタ1には、記録ヘッド8におけるインク背圧を調整するための背圧調整機構が設けられている。本実施の形態では、キャリッジ5に、前記記録ヘッド8におけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプ10と、前記記録ヘッド8におけるインク背圧を増圧させるための電磁弁などからなる大気連通弁11と、前記記録ヘッド8におけるインク背圧を測定する圧力センサ12とが備えられており、これらはサブインクタンク6に接続されている。なお、本実施の形態においては、前記圧力センサ12がサブインクタンク6内の圧力を測定することにより、その測定結果に基づき制御部20が記録ヘッド8におけるインク背圧を推定するようになっている。
【0030】
また、前記記録ヘッド8の内部には、記録ヘッド8内部のインクを所定温度まで加熱する加熱手段(図示省略)が設置されている。この加熱手段がインクを30℃以上150℃以下に加熱することにより、記録ヘッド8は、加熱により低粘度化したインクを吐出するようになっている。
【0031】
さらに、記録ヘッド8のノズル面8aには、インクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出する多数のノズルにおける吐出口が配設されている。また、記録ヘッド8の両側部には記録媒体99に着弾したインクの各液滴に光を照射する光照射装置13が1つずつ配設されている。ただし、図1では2つの光照射装置13のうち図1の紙面の表側に配設された一方の光照射装置13だけが図示されている。各光照射装置13に設けられる光源としては、紫外線を照射する光源、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED(Light Emitting Diode)等を適用することができる。
【0032】
記録ヘッド8の下方であって記録ヘッド8のノズル面8aに対向する位置には、記録媒体99を平面状に支持するプラテン14が配設されている。図1においてプラテン14の上流側および下流側には記録媒体99を搬送するための記録媒体搬送機構15の搬送用ローラ15a,15bがそれぞれ配設されている。各搬送用ローラ15a,15bは互いに同一方向に回転するようになっており、具体的には図1において時計回り方向に回転するようになっている。各搬送用ローラ15a,15bが回転すると、記録媒体99は非記録面(記録面の反対側の面)をプラテン14により支持された状態でインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって搬送されるようになっている。
【0033】
次に、図2を参照しつつ本実施形態における制御構成について説明する。
本実施形態において、インクジェットプリンタ1には、図2に示すように、キャリッジ駆動機構5a、記録媒体搬送機構15、記録ヘッド8、光照射装置13、背圧減圧用ポンプ10、大気連通弁11等を制御する制御部20が設けられている。なお、制御部20は、図示しないCPU、RAM、ROM等で構成されており、インターフェイス(図示省略)を介してキャリッジ駆動機構5a、記録媒体搬送機構15、記録ヘッド8、光照射装置13、背圧減圧用ポンプ10、大気連通弁11、入力部30、圧力センサ12等と接続されている。
【0034】
制御部20は、キャリッジ5を主走査方向に往復移動させるとともに、キャリッジ5の動作に合わせて記録媒体99の搬送と停止とを繰り返し、記録媒体99を間欠的に副走査方向に搬送させるように、キャリッジ駆動機構5a及び記録媒体搬送機構15の動作を制御するようになっている。
【0035】
また、制御部20は、光照射装置13から紫外線を発生させるように光照射装置13を制御するようになっている。
【0036】
さらに、制御部20には、画像情報を入力するスキャナや画像記録条件を入力するキーボード等からなる入力部30及び記録ヘッド8が接続されており、制御部20は、入力部30から入力された所定の信号に基づいて記録ヘッド8を動作させ、記録媒体99上にインクを吐出させて所定の画像を記録させるようになっている。
【0037】
また、制御部20では、記録ヘッド8におけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御している。具体的には、前記圧力センサ12による測定圧力、本実施の形態ではサブインクタンク6内の圧力を受信し、これに基づき推定したインク背圧が高い場合には背圧減圧用ポンプ10を動作させてインク背圧を減圧し、インク背圧が低い場合には電磁弁等からなる大気連通弁11を動作させてインク背圧を大気圧に近づけることにより増圧して、インク背圧を所定の目標圧力に維持するように制御する。
なお、前記インク背圧の目標圧力としては、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下とするのが好ましく、さらに−980.67Pa以上−98.07Pa以下とするのがより好ましい。
【0038】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を少なくとも含み、さらには30℃において10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有するものである。
【0039】
前記光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるけれども、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ここで、ラジカル重合系インクに比べてカチオン重合系インクは、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないためインクの硬化に必要な照度を低減できる。このようなことから本実施形態ではインクとしてカチオン重合系の光硬化型インクを用いている。
【0040】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体99」について説明する。
記録媒体99としては、非吸収性記録媒体、吸収性記録媒体のいずれも用いることが可能である。ここで、非吸収性とは、インク組成物(単にインクという。)を吸収しないということであるが、本発明においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が0.1ml/mm2未満である場合、実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性記録媒体とし、それ以外の記録媒体を吸収性記録媒体とする。
【0041】
非吸収性記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PEフィルム、TACフィルムが挙げられる。その他のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。そして、これら非吸収性記録媒体として好ましいものは、表面エネルギーが35mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものであるが、さらに好ましいものは、40mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものである。
吸収性記録媒体としては、例えば普通紙(コピー用紙)、上質紙などが挙げられる。
【0042】
続いてインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
まず、インクジェットプリンタ1の制御部20に対して、入力部30から画像情報が送られると共に各種画像記録条件の設定情報が送られると、制御部20は、画像の記録を開始させる。具体的には、記録媒体搬送機構15の各搬送用ローラ15a,15bを駆動させて、各搬送用ローラ15a,15bが所定量の回転と停止とを繰り返し、記録媒体99がプラテン14により非記録面を支持された状態でプラテン14の上部をインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって間欠的に搬送される。
【0043】
そして、各搬送用ローラ15a,15bが停止する毎に、キャリッジ駆動機構5aによってキャリッジ5が作動して記録媒体99の直上を図1の紙面の表側から裏側へ又は図1の紙面の裏側から表側へと往復移動する。これに伴いキャリッジ5に搭載されたサブインクタンク6、記録ヘッド8及び光照射装置13も、キャリッジ5の移動に伴い記録媒体99の直上を往復移動する。
【0044】
このとき、記録ヘッド8がサブインクタンク6からインクの供給を受けながら記録媒体99の記録面に向かって各吐出口からインクを吐出するとともに、各光照射装置13が点灯する。これにより記録ヘッド8から吐出されたインクは、記録媒体99の記録面に着弾してその直後に各光照射装置13から紫外線を照射される。そして、紫外線の照射を受けたインクは硬化して記録媒体99の記録面上に定着する。
【0045】
以後、インクジェットプリンタ1が前記した各動作を繰り返し、複数のドットからなる所望の画像が記録媒体99の記録面に順次記録される。
【0046】
このとき、制御部20は、記録ヘッド8におけるインク背圧が常に一定の範囲内、すなわち目標圧力に維持されるように制御している。具体的には、制御部20は、圧力センサ12による測定圧力を監視し、この値に基づき、インク背圧が高い場合には背圧減圧用ポンプ10を動作させてインク背圧を減圧し、インク背圧が低い場合には電磁弁等からなる大気連通弁11を所定時間、開状態にしてインク背圧を大気圧に近づけることにより増圧して、インク背圧を目標圧力に維持するように制御している。
【0047】
そして、全ての画像が記録された後、記録媒体99が、記録媒体搬送機構15により搬送されて、排出トレイ(図示省略)に排出される。
【0048】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタによれば、記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部とを備えているため、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができる。これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、例えばキャリッジ上にサブインクタンクを配置することも可能となり、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路の配管抵抗を低減させることができ、インク供給路内に残留するエアーも減少させることができる。従って、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であるため、具体的に前記した効果を奏することができる。
【0050】
さらに、本実施の形態では、インクが30℃で10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有し、記録ヘッドがインクを30℃以上150℃以下に加熱して一滴当たり2pl以上20pl以下のインク滴として記録媒体に吐出するため、記録媒体に高精細な画像を記録することができる。
【0051】
またさらに、本実施の形態では、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、記録媒体がインクに対して非吸収性であるため、インクが記録媒体に滲むのを防止することができる。また、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、本実施の形態では、インクジェットプリンタとしてシリアル方式のインクジェットプリンタを用いていたが、本発明はこれに限るものではなく、インクジェットプリンタとしてラインプリンタを用いても良い。
【0055】
また、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は、前記の通り、紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよいし、さらに、光硬化型インクでないインクでも良い。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線等の電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、図1に示す光照射装置13に代えてその光を照射する光照射装置を適用しなければならない。
【0056】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部とを備えているため、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができる。これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、例えばキャリッジ上にサブインクタンクを配置することも可能となり、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路の配管抵抗を低減させることができ、インク供給路内に残留するエアーも減少させることができる。従って、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができる。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であるため、具体的に請求項1に記載の発明の効果を奏することができる。
【0058】
請求項3に記載の発明によれば、インクが30℃で10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有し、記録ヘッドがインクを30℃以上150℃以下に加熱して一滴当たり2pl以上20pl以下のインク滴として記録媒体に吐出するため、記録媒体に高精細な画像を記録することができる。
【0059】
請求項4に記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0060】
請求項5に記載の発明によれば、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0061】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体がインクに対して非吸収性であるため、インクが記録媒体に滲むのを防止することができる。また、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタを示す概略側面図である。
【図2】本実施の形態のインクジェットプリンタにおける主要な制御構成を示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 インクタンク
3 ポンプ装置
4 インク供給チューブ
5 キャリッジ
5a キャリッジ駆動機構
6 サブインクタンク
7 ガイドレール
8 記録ヘッド
8a ノズル面
9 インク供給路
10 背圧減圧用ポンプ
11 大気連通弁
12 圧力センサ
13 光照射装置
14 プラテン
15 記録媒体搬送機構
15a,15b 搬送用ローラ
20 制御部
30 入力部
99 記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに係り、特にはインクタンクからサブインクタンクに供給されて貯留されたインクを、記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等に接続される記録端末として、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写式プリンタ、熱昇華式プリンタ等の種々のプリンタが開発されている。中でもインクジェットプリンタは、他の方式のプリンタに比べて記録時の音が静かであり、色彩豊かな記録を容易かつ安価に行える等の利点を有するため、プリンタの主流となっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには多数の吐出口を有する記録ヘッドが配設されており、インクジェットプリンタは画像信号に基づき記録ヘッドの各吐出口からインクを吐出して記録媒体に画像を記録している。そして、画像の記録動作に伴い記録ヘッドからインクが次々に吐出されると、記録ヘッドに一時的に貯留されたインクが順次消費されるので、通常のインクジェットプリンタでは、大容量のインクを貯留したインクタンクが予め所定位置に設置され、ポンプによりインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
さらに、このようなインクジェットプリンタの中には、記録ヘッドへのインクの供給がスムーズに行われるように、前記インクタンクと記録ヘッドの間にサブインクタンクを備えているものがある。
【0005】
【特許文献1】
特許第2980476号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したようなインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドのノズル面に形成されるメニスカスを正常な形状に保つために、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に保つ必要があり、そのため、前記サブインクタンクは、記録ヘッドに対して所定の下方位置に配置しなければならなかった。
【0007】
しかしながら、前記したような記録ヘッドに対する下方位置には、記録媒体の搬送面があり、これを避けるために、サブインクタンクを記録ヘッドから離れた位置に配置しなければならなかった。特にシリアル方式のインクジェットプリンタでは、記録ヘッドはキャリッジに搭載されるが、記録媒体の搬送面を避けるとサブインクタンクはキャリッジに搭載できないため、サブインクタンクをキャリッジ外に配置し、当該位置から記録ヘッドにインクを供給しなければならなかった。
【0008】
そして、キャリッジが移動することを考慮すると、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路は長くしなければならず、また、キャリッジの位置によってはインク供給路が湾曲したりすることになる。これにより、配管抵抗が増大したり、インク供給路内に残留するエアーも多くなって除去し難くなったりして、記録ヘッドからの正常なインク吐出に悪影響を与えることとなり、インク吐出不良やインク出射曲がりを発生させて記録画像の品質を低下させる可能性が生じていた。
【0009】
そこで、本発明の課題は、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができ、これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
インクタンクからサブインクタンクに供給されて貯留されたインクを、記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタであって、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、
前記圧力センサによる測定圧力に基づき前記背圧減圧用ポンプと前記大気連通弁を動作させて、前記記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部と、
を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部とを備えているため、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができる。これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、例えばキャリッジ上にサブインクタンクを配置することも可能となり、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路の配管抵抗を低減させることができ、インク供給路内に残留するエアーも減少させることができる。従って、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であるため、具体的に請求項1に記載の発明の効果を奏することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱手段を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱手段により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、インクが30℃で10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有し、記録ヘッドがインクを30℃以上150℃以下に加熱して一滴当たり2pl以上20pl以下のインク滴として記録媒体に吐出するため、記録媒体に高精細な画像を記録することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクが、光が照射されることにより硬化する光硬化型インクであり、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体がインクに対して非吸収性であるため、インクが記録媒体に滲むのを防止することができる。また、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の概略側面図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、筐体(図示省略)の内部に、大容量のインクを貯留可能なインクタンク2を備えている。
前記インクタンク2は、その内部に外光が侵入しないように、例えば遮光性を有する樹脂等で形成されている。なお、図1においては、インクタンク2は1つしか図示していないが、インクジェットプリンタ1で使用するインクの色の数だけインクタンク2を備えているものとする。以下、サブインクタンク6や記録ヘッド8等についても、図示している数に拘らずインクジェットプリンタ1で必要な数だけ備えているものとする。
【0024】
前記筐体の内部には、インクタンク2に貯留されたインクを送り出すポンプ装置3が配設されている。本実施の形態では、ポンプ装置3が作動すると、インクタンク2に貯留されたインクは、インクタンク2からインク供給チューブ4を介してサブインクタンク6に送り出されるようになっている。
【0025】
また、インクジェットプリンタ1にはキャリッジ5が配設されている。前記キャリッジ5は、図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に延在する長尺なガイドレール7に跨った状態で支持されており、ガイドレール7にガイド(案内)されながら図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に移動自在となっている。
【0026】
キャリッジ5の背面側(図1中の左側)には、小容量のインクを一時的に貯留するサブインクタンク6が搭載されており、キャリッジ5の正面側(図1中の右側)には、インクを記録媒体99に向かって吐出する記録ヘッド8が搭載されている。このキャリッジ5において、サブインクタンク6と記録ヘッド8はチューブ状のインク供給路9を介して互いに接続されており、記録ヘッド8のノズル面8a(記録媒体99に対向する面)に配置された吐出口(図示省略)からのインクの吐出に伴いインク供給路9を介してサブインクタンク6から記録ヘッド8にインクが供給されるようになっている。
【0027】
また、キャリッジ5において、サブインクタンク6と記録ヘッド8とは略同一の水平位置に設けられている。これにより、記録ヘッド8の下方に位置する記録媒体99の搬送面に対して支障をきたすことがない。なお、サブインクタンク6の配置箇所は、記録媒体99の搬送面に対する不具合が生じなければ、前記した記録ヘッド8と略同一の水平位置に限るものではなく、例えば記録ヘッド8より上方の位置に配置されていても良い。
【0028】
またさらに、前記サブインクタンク6及び記録ヘッド8は、前記したようにキャリッジ5にそれぞれ搭載されていることから、キャリッジ5の移動によって同時に移動するようになっている。このため、サブインクタンク6と記録ヘッド8とを繋ぐインク供給路9は短くて良く、さらにキャリッジ5の移動によってインク供給路9が湾曲したりすることがない。
【0029】
また、本発明に係るインクジェットプリンタ1には、記録ヘッド8におけるインク背圧を調整するための背圧調整機構が設けられている。本実施の形態では、キャリッジ5に、前記記録ヘッド8におけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプ10と、前記記録ヘッド8におけるインク背圧を増圧させるための電磁弁などからなる大気連通弁11と、前記記録ヘッド8におけるインク背圧を測定する圧力センサ12とが備えられており、これらはサブインクタンク6に接続されている。なお、本実施の形態においては、前記圧力センサ12がサブインクタンク6内の圧力を測定することにより、その測定結果に基づき制御部20が記録ヘッド8におけるインク背圧を推定するようになっている。
【0030】
また、前記記録ヘッド8の内部には、記録ヘッド8内部のインクを所定温度まで加熱する加熱手段(図示省略)が設置されている。この加熱手段がインクを30℃以上150℃以下に加熱することにより、記録ヘッド8は、加熱により低粘度化したインクを吐出するようになっている。
【0031】
さらに、記録ヘッド8のノズル面8aには、インクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出する多数のノズルにおける吐出口が配設されている。また、記録ヘッド8の両側部には記録媒体99に着弾したインクの各液滴に光を照射する光照射装置13が1つずつ配設されている。ただし、図1では2つの光照射装置13のうち図1の紙面の表側に配設された一方の光照射装置13だけが図示されている。各光照射装置13に設けられる光源としては、紫外線を照射する光源、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED(Light Emitting Diode)等を適用することができる。
【0032】
記録ヘッド8の下方であって記録ヘッド8のノズル面8aに対向する位置には、記録媒体99を平面状に支持するプラテン14が配設されている。図1においてプラテン14の上流側および下流側には記録媒体99を搬送するための記録媒体搬送機構15の搬送用ローラ15a,15bがそれぞれ配設されている。各搬送用ローラ15a,15bは互いに同一方向に回転するようになっており、具体的には図1において時計回り方向に回転するようになっている。各搬送用ローラ15a,15bが回転すると、記録媒体99は非記録面(記録面の反対側の面)をプラテン14により支持された状態でインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって搬送されるようになっている。
【0033】
次に、図2を参照しつつ本実施形態における制御構成について説明する。
本実施形態において、インクジェットプリンタ1には、図2に示すように、キャリッジ駆動機構5a、記録媒体搬送機構15、記録ヘッド8、光照射装置13、背圧減圧用ポンプ10、大気連通弁11等を制御する制御部20が設けられている。なお、制御部20は、図示しないCPU、RAM、ROM等で構成されており、インターフェイス(図示省略)を介してキャリッジ駆動機構5a、記録媒体搬送機構15、記録ヘッド8、光照射装置13、背圧減圧用ポンプ10、大気連通弁11、入力部30、圧力センサ12等と接続されている。
【0034】
制御部20は、キャリッジ5を主走査方向に往復移動させるとともに、キャリッジ5の動作に合わせて記録媒体99の搬送と停止とを繰り返し、記録媒体99を間欠的に副走査方向に搬送させるように、キャリッジ駆動機構5a及び記録媒体搬送機構15の動作を制御するようになっている。
【0035】
また、制御部20は、光照射装置13から紫外線を発生させるように光照射装置13を制御するようになっている。
【0036】
さらに、制御部20には、画像情報を入力するスキャナや画像記録条件を入力するキーボード等からなる入力部30及び記録ヘッド8が接続されており、制御部20は、入力部30から入力された所定の信号に基づいて記録ヘッド8を動作させ、記録媒体99上にインクを吐出させて所定の画像を記録させるようになっている。
【0037】
また、制御部20では、記録ヘッド8におけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御している。具体的には、前記圧力センサ12による測定圧力、本実施の形態ではサブインクタンク6内の圧力を受信し、これに基づき推定したインク背圧が高い場合には背圧減圧用ポンプ10を動作させてインク背圧を減圧し、インク背圧が低い場合には電磁弁等からなる大気連通弁11を動作させてインク背圧を大気圧に近づけることにより増圧して、インク背圧を所定の目標圧力に維持するように制御する。
なお、前記インク背圧の目標圧力としては、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下とするのが好ましく、さらに−980.67Pa以上−98.07Pa以下とするのがより好ましい。
【0038】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を少なくとも含み、さらには30℃において10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有するものである。
【0039】
前記光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるけれども、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ここで、ラジカル重合系インクに比べてカチオン重合系インクは、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないためインクの硬化に必要な照度を低減できる。このようなことから本実施形態ではインクとしてカチオン重合系の光硬化型インクを用いている。
【0040】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体99」について説明する。
記録媒体99としては、非吸収性記録媒体、吸収性記録媒体のいずれも用いることが可能である。ここで、非吸収性とは、インク組成物(単にインクという。)を吸収しないということであるが、本発明においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が0.1ml/mm2未満である場合、実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性記録媒体とし、それ以外の記録媒体を吸収性記録媒体とする。
【0041】
非吸収性記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PEフィルム、TACフィルムが挙げられる。その他のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。そして、これら非吸収性記録媒体として好ましいものは、表面エネルギーが35mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものであるが、さらに好ましいものは、40mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものである。
吸収性記録媒体としては、例えば普通紙(コピー用紙)、上質紙などが挙げられる。
【0042】
続いてインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
まず、インクジェットプリンタ1の制御部20に対して、入力部30から画像情報が送られると共に各種画像記録条件の設定情報が送られると、制御部20は、画像の記録を開始させる。具体的には、記録媒体搬送機構15の各搬送用ローラ15a,15bを駆動させて、各搬送用ローラ15a,15bが所定量の回転と停止とを繰り返し、記録媒体99がプラテン14により非記録面を支持された状態でプラテン14の上部をインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって間欠的に搬送される。
【0043】
そして、各搬送用ローラ15a,15bが停止する毎に、キャリッジ駆動機構5aによってキャリッジ5が作動して記録媒体99の直上を図1の紙面の表側から裏側へ又は図1の紙面の裏側から表側へと往復移動する。これに伴いキャリッジ5に搭載されたサブインクタンク6、記録ヘッド8及び光照射装置13も、キャリッジ5の移動に伴い記録媒体99の直上を往復移動する。
【0044】
このとき、記録ヘッド8がサブインクタンク6からインクの供給を受けながら記録媒体99の記録面に向かって各吐出口からインクを吐出するとともに、各光照射装置13が点灯する。これにより記録ヘッド8から吐出されたインクは、記録媒体99の記録面に着弾してその直後に各光照射装置13から紫外線を照射される。そして、紫外線の照射を受けたインクは硬化して記録媒体99の記録面上に定着する。
【0045】
以後、インクジェットプリンタ1が前記した各動作を繰り返し、複数のドットからなる所望の画像が記録媒体99の記録面に順次記録される。
【0046】
このとき、制御部20は、記録ヘッド8におけるインク背圧が常に一定の範囲内、すなわち目標圧力に維持されるように制御している。具体的には、制御部20は、圧力センサ12による測定圧力を監視し、この値に基づき、インク背圧が高い場合には背圧減圧用ポンプ10を動作させてインク背圧を減圧し、インク背圧が低い場合には電磁弁等からなる大気連通弁11を所定時間、開状態にしてインク背圧を大気圧に近づけることにより増圧して、インク背圧を目標圧力に維持するように制御している。
【0047】
そして、全ての画像が記録された後、記録媒体99が、記録媒体搬送機構15により搬送されて、排出トレイ(図示省略)に排出される。
【0048】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタによれば、記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部とを備えているため、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができる。これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、例えばキャリッジ上にサブインクタンクを配置することも可能となり、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路の配管抵抗を低減させることができ、インク供給路内に残留するエアーも減少させることができる。従って、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であるため、具体的に前記した効果を奏することができる。
【0050】
さらに、本実施の形態では、インクが30℃で10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有し、記録ヘッドがインクを30℃以上150℃以下に加熱して一滴当たり2pl以上20pl以下のインク滴として記録媒体に吐出するため、記録媒体に高精細な画像を記録することができる。
【0051】
またさらに、本実施の形態では、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、記録媒体がインクに対して非吸収性であるため、インクが記録媒体に滲むのを防止することができる。また、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、本実施の形態では、インクジェットプリンタとしてシリアル方式のインクジェットプリンタを用いていたが、本発明はこれに限るものではなく、インクジェットプリンタとしてラインプリンタを用いても良い。
【0055】
また、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は、前記の通り、紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよいし、さらに、光硬化型インクでないインクでも良い。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線等の電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、図1に示す光照射装置13に代えてその光を照射する光照射装置を適用しなければならない。
【0056】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、圧力センサによる測定圧力に基づき背圧減圧用ポンプと大気連通弁を動作させて記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部とを備えているため、サブインクタンクを記録ヘッドに対する所定の下方位置に配置しなくても、記録ヘッドにおけるインク背圧を所定の圧力に維持することができる。これにより、サブインクタンクの配置に対する自由度が増して、例えばキャリッジ上にサブインクタンクを配置することも可能となり、サブインクタンクから記録ヘッドまでのインク供給路の配管抵抗を低減させることができ、インク供給路内に残留するエアーも減少させることができる。従って、記録ヘッドからのインク吐出不良やインク出射曲がりを防止でき、記録画像の品質を向上させることができる。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であるため、具体的に請求項1に記載の発明の効果を奏することができる。
【0058】
請求項3に記載の発明によれば、インクが30℃で10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有し、記録ヘッドがインクを30℃以上150℃以下に加熱して一滴当たり2pl以上20pl以下のインク滴として記録媒体に吐出するため、記録媒体に高精細な画像を記録することができる。
【0059】
請求項4に記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0060】
請求項5に記載の発明によれば、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0061】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体がインクに対して非吸収性であるため、インクが記録媒体に滲むのを防止することができる。また、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタを示す概略側面図である。
【図2】本実施の形態のインクジェットプリンタにおける主要な制御構成を示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 インクタンク
3 ポンプ装置
4 インク供給チューブ
5 キャリッジ
5a キャリッジ駆動機構
6 サブインクタンク
7 ガイドレール
8 記録ヘッド
8a ノズル面
9 インク供給路
10 背圧減圧用ポンプ
11 大気連通弁
12 圧力センサ
13 光照射装置
14 プラテン
15 記録媒体搬送機構
15a,15b 搬送用ローラ
20 制御部
30 入力部
99 記録媒体
Claims (6)
- インクタンクからサブインクタンクに供給されて貯留されたインクを、記録ヘッドから記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェットプリンタであって、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を減圧させるための背圧減圧用ポンプと、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を増圧させるための大気連通弁と、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧を測定する圧力センサと、
前記圧力センサによる測定圧力に基づき前記背圧減圧用ポンプと前記大気連通弁を動作させて、前記記録ヘッドにおけるインク背圧を目標圧力に維持するように制御する制御部と、
を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドにおけるインク背圧の目標圧力が、−1961.33Pa以上−98.07Pa以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱手段を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱手段により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクが、光が照射されることにより硬化する光硬化型インクであり、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項4に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項4又は5に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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- 2003-07-15 JP JP2003196968A patent/JP2005034999A/ja active Pending
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