JP2004314476A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インク補充時にインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止するインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】このインクジェットプリンタは、外部から補充されたインクを記録ヘッドに供給するために貯留するインクタンクと、廃棄されるインクを貯留する廃インクタンクとを備えている。そして、このインクジェットプリンタは、インクタンクの所定位置から廃インクタンクまで配設されて、インクの流路になるオーバフロー機構を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】このインクジェットプリンタは、外部から補充されたインクを記録ヘッドに供給するために貯留するインクタンクと、廃棄されるインクを貯留する廃インクタンクとを備えている。そして、このインクジェットプリンタは、インクタンクの所定位置から廃インクタンクまで配設されて、インクの流路になるオーバフロー機構を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに係り、特にインク補充時にインクが装置内に溢れ出ることを防止できるインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等に接続される記録端末として、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写式プリンタ、熱昇華式プリンタ等の種々のプリンタが開発されている。中でもインクジェットプリンタは、他の方式のプリンタに比べて記録時の音が静かであり、色彩豊かな記録を容易かつ安価に行える等の利点を有するため、プリンタの主流となっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには多数のノズル(吐出口)を有する記録ヘッドが配設されており、インクジェットプリンタは画像信号に基づき記録ヘッドの各ノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を記録している。そして、画像の記録動作に伴い記録ヘッドからインクが次々に吐出されると、記録ヘッドに一時的に貯留されたインクが順次消費されるので、通常のインクジェットプリンタでは、大容量のインクを貯留したインクタンクが予め所定位置に設置され、ポンプによりインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するようになっている(例えば特許文献1参照)。このようなインクジェットプリンタにおいては、一般的にインクタンクが交換自在に設置されているため、インクタンク内にインクが無くなったとしてもインクタンクを交換すれば、長期にわたって画像記録を継続することができる。
【0004】
【特許文献1】
実公平7−46535号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したインクジェットプリンタのようにインクタンクが交換自在であったとしても、インクタンク内のインクが完全に無くなってから交換することは困難であり、大抵の場合、廃棄されるインクタンクには僅かながらもインクが残留してしまう。インクが残留したままであると、インクが無駄になってしまうだけでなく廃棄上の面からもコストがかかってしまい好ましくない。近年、インクが無駄とならないように、インクタンクをインクジェットプリンタ自体に据え付けてインクタンクに直接インクを補充する手法が考えられているが、このような手法であると、補充する際に作業者がその場にいなければインクタンクから装置内部にインクが溢れ出てしまうおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、インク補充時にインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止するインクジェットプリンタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
インクを記録媒体に吐出する記録ヘッドと、
前記インクが注入される注入口を有し、前記注入口を介して外部から補充された前記インクを前記記録ヘッドに供給するために貯留するインクタンクと、
廃棄される前記インクを貯留する廃インクタンクと、
前記インクタンクの所定位置から前記廃インクタンクまで配設されて、前記インクの流路になるオーバフロー機構とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、オーバフロー機構がインクタンクの所定位置から廃インクタンクまで配設されているので、インクタンクにインクが補充されて所定位置まで満たされると、それ以上流入するインクはオーバフロー機構を介して廃インクタンクに流れ込むこととなる。したがって、インク補充時に作業者がその場にいなくてもインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止できる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記オーバフロー機構の流路部分の断面積は、前記注入口の断面積よりも大きくなるように設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、オーバフロー機構の流路部分の断面積の方が、注入口の断面積よりも大きいので、インクタンク内に流れ込むインク量よりもオーバフロー機構から流れ出るインク量の方が多くなり、インクタンクから装置内にインクが溢れ出ることを確実に防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記流路部分の断面積は、0.12cm2以上20cm2以下に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、オーバフロー機構の流路部分の断面積が、0.12cm2以上20cm2以下に設定されているので、例えば、一般的なインクよりも粘度の高い高粘度インクが使用されている場合においても、流路部分の断面積が0.12cm2以上であれば詰まることなくスムーズにインクを流すことができる。一方、流路部分の断面積が20cm2以下に設定されていることで、オーバフロー機構の大型化を防ぐことができ、結果として装置の小型化を進めることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは光が照射されることにより硬化する光硬化型インクであり、
前記インクタンク及び前記オーバフロー機構の少なくとも一方は、外光が内部まで侵入しないように遮光処理が施されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、インクタンク及びオーバフロー機構の少なくとも一方は、外光が内部まで侵入しないように遮光処理が施されているので、インクとして光硬化型インクを使用した場合においても、インクタンクやオーバフロー機構内でインクが硬化することを防止することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱部材を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱部材により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴としている。
【0018】
ここで、インク滴一滴あたりのインク量が20plを超えると高精細画像記録が難しく、また、2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。このため、請求項6記載の発明のように、記録ヘッドがインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出すれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。
また、吐出時においてはインクが30℃以上150℃以下に加熱されているので、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴としている。
【0020】
ここで、カチオン重合系の光硬化型インクは、ラジカル重合系の光硬化型インクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないため、請求項7記載の発明のように、インクとしてカチオン重合系の光硬化型インクが用いられていれば、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項4〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴としている。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。図1はインクジェットプリンタ1の概略側面図である。
【0024】
図1に示す通り、インクジェットプリンタ1は、各種構成部材を覆った筐体2を有している。ただし、図1では筐体2は背面側(図1中の左側)だけが図示されており、それ以外の部分が省略されている。筐体2の内部であって筐体2の下部には支持台3が配設されており、支持台3の上部には大容量のインクを貯留可能なインクタンク4が配設されている。インクタンク4は、例えば樹脂から形成されており、その内部に外光が侵入しないように遮光処理が施されている。このインクタンク4には、インクタンク4内部にインクを注入するための注入口5が配設されている。注入口5は筐体2の外部に引き出されており、筐体2の外部から注入口5を介してインクタンク4にインクを補充できるようになっている。
【0025】
筐体2の内部であってインクタンク4の上方には、インクタンク4に貯留されたインクを吸入・吐出するポンプ装置8が配設されている。ポンプ装置8は、バルブ9を介したチューブ10によりインクタンク4に接続されている。またポンプ装置8にはバルブ11を介したチューブ12が接続されている。本実施形態ではポンプ装置8が作動すると、インクタンク4に貯留されたインクは、インクタンク4からチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され(吸い上げられ)、ポンプ装置8からチューブ12に吐出されるようになっている。
【0026】
インクジェットプリンタ1の正面側(図1中の右側)にはキャリッジ13が配設されている。キャリッジ13は、図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に延在する長尺なガイドレール14に跨った状態で支持されており、ガイドレール14にガイド(案内)されながら図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に移動自在(走査自在)となっている。
【0027】
キャリッジ13の背面側には小容量のインクを一時的に貯留するサブタンク15が搭載されており、キャリッジ13の正面側にはインクを記録媒体16に向かって吐出する記録ヘッド17が搭載されている。キャリッジ13においてサブタンク15と記録ヘッド17はチューブ18を介して互いに接続されており、記録ヘッド17からのインクの吐出に伴いチューブ18を介してサブタンク15から記録ヘッド17にインクが供給されるようになっている。
【0028】
なお、上記サブタンク15及び記録ヘッド17は、上記の通りキャリッジ13にそれぞれ搭載されていることからキャリッジ13の移動に順次追従するようになっている。
【0029】
記録ヘッド17の内部には、記録ヘッド17内部のインクを加熱する加熱部材(図示省略)が設置されている。この加熱部材がインクを30℃以上150℃以下に加熱することにより、記録ヘッド17は、加熱により低粘度化したインクを吐出するようになっている。
【0030】
記録ヘッド17の吐出面(記録媒体16に対向する面)にはインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出する多数のノズル(吐出口)が配設されている。また、記録ヘッド17の両側部には記録媒体16に着弾したインクの各液滴に光を照射する光照射装置19が1つずつ配設されている。ただし、図1では2つの光照射装置19のうち図1の紙面の表側に配設された一方の光照射装置19だけが図示されている。各光照射装置19に設けられる光源としては、紫外線を照射する光源、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED(Light Emitting Diode)等を適用することができる。
【0031】
記録ヘッド17の下方であって記録ヘッド17の各ノズルに対向する位置には、記録媒体16を平面状に支持するプラテン(図示省略)が配設されている。図1においてプラテンの上流側および下流側には記録媒体16を搬送するための搬送用ローラ20,21がそれぞれ配設されている。各搬送用ローラ20,21は互いに同一方向に回転するようになっており、具体的には図1において時計回り方向に回転するようになっている。各搬送用ローラ20,21が回転すると、記録媒体16は非記録面(記録面の反対側の面)をプラテンにより支持された状態でインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって搬送されるようになっている。
【0032】
プラテンの一側方(図1の紙面における表側若しくは裏側)には、記録ヘッド17の吐出面及びノズルに対してメンテナンスを行うメンテナンスユニット22が配設されている。メンテナンスユニット22には、キャリッジ13の走査によって対峙した記録ヘッド17の吐出面を密着するように覆う昇降自在なキャップ部材23と、キャップ部材23にチューブ24を介して接続されるポンプ装置25とが備えられている。メンテナンスユニット22は、キャップ部材23が吐出面を覆った際に、ポンプ装置25によってキャップ部材23内部を負圧にして吐出面に付着したインク及びノズル内のインクを吸引除去することで、吐出面及びノズルのメンテナンスを行うようになっている。
【0033】
メンテナンスユニット22の下方には、ポンプ装置25から排出される廃インクを貯留する廃インクタンク26が、インクタンク4の所定位置よりも下方に位置するように配設されている。この廃インクタンク26は、バルブ27を介したチューブ28によりポンプ装置25に接続されている。バルブ27には、インクタンク4の所定位置に配設されたチューブ29が接続されており、インクタンク4の所定位置から溢れるインクは、チューブ29からバルブ27を介してチューブ28を通過して廃インクタンク26に流れ込むようになっている。つまり、本実施形態においては、インクタンク4の所定位置から廃インクタンク26まで配設されてインクの流路となるオーバフロー機構が、チューブ28,29及びバルブ27によって構成されていることになる。上記したように、廃インクタンク26がインクタンク4の所定位置よりも下方に位置しているので、インクタンク4から廃インクタンク26にインクをスムーズに流すことができ、かつ廃インクタンク26からインクタンク4にインクが逆流することを防止している。なお、本実施形態では、複数の部材から構成されたオーバフロー機構を例示しているが、オーバフロー機構は1つの部材から構成されるものであってもよく、こうした場合、例えば単一のチューブを、インクタンク4の所定位置から廃インクタンク26まで配設すればよい。
【0034】
ここで、オーバフロー機構の流路部分、つまりインクの流れる部分の断面積は、0.12cm2以上20cm2以下の範囲で注入口5の断面積よりも大きくなるように設定されている。このように、オーバフロー機構の流路部分の断面積の方が、注入口5の断面積よりも大きいと、インクタンク4内に流れ込むインク量よりもオーバフロー機構から流れ出るインク量の方が多くなり、インクタンク4から装置内にインクが溢れ出ることを確実に防止することができる。また、例えば一般的なインクよりも粘度の高い高粘度インクが使用されている場合においても、流路部分の断面積が0.12cm2以上であれば詰まることなくスムーズにインクを流すことができ、流路部分の断面積が20cm2以下に設定されていることで、オーバフロー機構の大型化を防ぐことができ、結果として装置の小型化を進めることができる。
【0035】
また、チューブ10,12,18,24,28,29及びバルブ9,11,27等からなるインク流路は、インクタンク4と同様に遮光処理が施されている。ここで、遮光処理とは、インク硬化の防止のため各部材(インク流路をなす部材及びインクタンク4)の内部に外光が侵入しないような処理のことであり、例えば、遮光性を有した遮光材料で各部材を形成する方法や、遮光性を有した材料によって各部材を被覆若しくは被膜する方法等が挙げられる。このようにインク流路に遮光処理が施されているので、インク流路内部での詰まりや固着を防止することができる。
【0036】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を少なくとも含み、さらには30℃において10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有するものである。
【0037】
上記光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるけれども、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ここで、ラジカル重合系インクに比べてカチオン重合系インクは、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないためインクの硬化に必要な照度を低減できる。このようなことから本実施形態ではインクとしてカチオン重合系の光硬化型インクを用いている。
【0038】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体16」について説明する。
記録媒体16としては、非吸収性記録媒体であっても吸収性記録媒体のいずれかを用いることが可能である。ここで、非吸収性とは、インク組成物(単にインクという。)を吸収しないということであるが、本発明においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が、0.1ml/mm2未満である場合、実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性記録媒体とし、それ以外の記録媒体を吸収性記録媒体とする。
【0039】
非吸収性記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PEフィルム、TACフィルムが挙げられる。その他のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。そして、これら非吸収性記録媒体として好ましいものは、表面エネルギーが35mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものであるが、さらに好ましいものは、40mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものである。
吸収性記録媒体としては、例えば普通紙(コピー用紙)、上質紙などが挙げられる。
【0040】
続いてインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、各搬送用ローラ20,21が駆動されて各搬送用ローラ20,21が所定量の回転と停止とを繰り返し、記録媒体16がプラテンにより非記録面を支持された状態でプラテンの上部をインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって間欠的に搬送される。
【0041】
そうして各搬送用ローラ20,21が停止する毎に、キャリッジ13が作動して記録媒体16の直上を図1の紙面の表側から裏側へ又は図1の紙面の裏側から表側へと往復移動する。これに伴いキャリッジ13に搭載されたサブタンク15、記録ヘッド17及び光照射装置19も、キャリッジ13の移動に追従するように記録媒体16の直上を往復移動する。
【0042】
このとき、記録ヘッド17がサブタンク15からインクの供給を受けながら記録媒体16の記録面に向かって各ノズルからインクを吐出するとともに、各光照射装置19が点灯する。これにより記録ヘッド17から吐出されたインクは、記録媒体16の記録面に着弾してその直後に各光照射装置19から紫外線を照射される。そうして紫外線の照射を受けたインクは硬化して記録媒体16の記録面上に定着する。
【0043】
以後、インクジェットプリンタ1が上記した各動作を繰り返し、複数のドットからなる所望の画像が記録媒体16の記録面に順次記録される。
【0044】
そして、所定数の画像記録が行われると、記録ヘッド17とキャップ部材23とが対峙するようにキャリッジ13が作動する。その後、キャップ部材23が上昇して記録ヘッド17の吐出面に密着し、前記吐出面を覆うと、ポンプ装置25が作動して吐出面及びノズルのメンテナンスを行う。ここで、メンテナンスにより排出されたインクがチューブ29に流入しないようにバルブ27はチューブ29との接続部分を閉じておく。そして、メンテナンスが終了すると、キャップ部材23は待機位置まで下降する。
【0045】
ここで本実施形態では、所定数の画像が記録媒体16に記録される毎にキャリッジ13が所定位置(ホームポジション)で停止してサブタンク15へのインクの供給処理が行われる。インクの供給処理中においてはポンプ装置8が作動して、インクタンク4に貯留されたインクがチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され、吸入されたインクがポンプ装置8からチューブ12に吐出される。吐出されたインクはチューブ12及びバルブ11を介してサブタンク15に供給される。
【0046】
このようなインクの供給処理が複数回にわたって行われると、インクタンク4に貯留されたインクは消費されて残量が次第に減少し、インクタンク4にインクの補充が必要となる。インクタンク4にインクを補充する際においては、作業者が、補充用のインクが充填された補充タンク30の流出口31をインクタンク4の注入口5に接続することにより、インクの補充が行われる。この際、バルブ27によってチューブ29との接続部分は開放されているのでインクタンク4にインクが補充されて所定位置まで満たされると、それ以上流入するインクは、チューブ29からバルブ27及びチューブ28を通過し、廃インクタンク26に流れ込むこととなる。
【0047】
以上のように、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1によれば、オーバフロー機構(チューブ28,29、バルブ27)によってインクタンク4から溢れるインクは廃インクタンク26に導かれるので、インク補充時に作業者がその場にいなくてもインクが装置内に溢れ出ることを防止できる。また、インクタンク4にインクが大量に残っているにもかかわらず、作業者が誤ってインク補充をした場合においても、インクタンク4の所定位置以上流入するインクは、廃インクタンク26に流れ込むことになる。したがって、誤補充されたとしてもインクが装置内に溢れ出ることを防止できる。
【0048】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更を行ってもよい。
例えば、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は、上記の通り、紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよい。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線等の電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、図1に示す光照射装置19に代えてその光を照射する光照射装置を適用しなければならない。
【0049】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、インクタンクにインクが補充されて所定位置まで満たされると、それ以上流入するインクはオーバフロー機構を介して廃インクタンクに流れ込むこととなる。したがって、インク補充時に作業者がその場にいなくてもインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止できる。
【0050】
請求項2記載の発明によれば、インクタンク内に流れ込むインク量よりもオーバフロー機構から流れ出るインク量の方が多くなり、インクタンクから装置内にインクが溢れ出ることを確実に防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、オーバフロー機構の流路部分の断面積が、0.12cm2以上20cm2以下に設定されているので、例えば、一般的なインクよりも粘度の高い高粘度インクが使用されている場合においても、流路部分の断面積が0.12cm2以上であれば詰まることなくスムーズにインクを流すことができる。一方、流路部分の断面積が20cm2以下に設定されていることで、オーバフロー機構の大型化を防ぐことができ、結果として装置の小型化を進めることができる。
【0051】
請求項4記載の発明によれば、インクとして光硬化型インクを使用した場合においても、インクタンクやオーバフロー機構内でインクが硬化することを防止することができる。
請求項5記載の発明によれば、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
請求項6記載の発明によれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。また、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
【0052】
請求項7記載の発明によれば、インクとしてカチオン重合系の光硬化型インクが用いられているので、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
請求項8記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの概略側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
4 インクタンク
5 注入口
17 記録ヘッド
19 光照射装置
26 廃インクタンク
27 バルブ(オーバフロー機構)
28 チューブ(オーバフロー機構)
29 チューブ(オーバフロー機構)
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに係り、特にインク補充時にインクが装置内に溢れ出ることを防止できるインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等に接続される記録端末として、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写式プリンタ、熱昇華式プリンタ等の種々のプリンタが開発されている。中でもインクジェットプリンタは、他の方式のプリンタに比べて記録時の音が静かであり、色彩豊かな記録を容易かつ安価に行える等の利点を有するため、プリンタの主流となっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには多数のノズル(吐出口)を有する記録ヘッドが配設されており、インクジェットプリンタは画像信号に基づき記録ヘッドの各ノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を記録している。そして、画像の記録動作に伴い記録ヘッドからインクが次々に吐出されると、記録ヘッドに一時的に貯留されたインクが順次消費されるので、通常のインクジェットプリンタでは、大容量のインクを貯留したインクタンクが予め所定位置に設置され、ポンプによりインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するようになっている(例えば特許文献1参照)。このようなインクジェットプリンタにおいては、一般的にインクタンクが交換自在に設置されているため、インクタンク内にインクが無くなったとしてもインクタンクを交換すれば、長期にわたって画像記録を継続することができる。
【0004】
【特許文献1】
実公平7−46535号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したインクジェットプリンタのようにインクタンクが交換自在であったとしても、インクタンク内のインクが完全に無くなってから交換することは困難であり、大抵の場合、廃棄されるインクタンクには僅かながらもインクが残留してしまう。インクが残留したままであると、インクが無駄になってしまうだけでなく廃棄上の面からもコストがかかってしまい好ましくない。近年、インクが無駄とならないように、インクタンクをインクジェットプリンタ自体に据え付けてインクタンクに直接インクを補充する手法が考えられているが、このような手法であると、補充する際に作業者がその場にいなければインクタンクから装置内部にインクが溢れ出てしまうおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、インク補充時にインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止するインクジェットプリンタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
インクを記録媒体に吐出する記録ヘッドと、
前記インクが注入される注入口を有し、前記注入口を介して外部から補充された前記インクを前記記録ヘッドに供給するために貯留するインクタンクと、
廃棄される前記インクを貯留する廃インクタンクと、
前記インクタンクの所定位置から前記廃インクタンクまで配設されて、前記インクの流路になるオーバフロー機構とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、オーバフロー機構がインクタンクの所定位置から廃インクタンクまで配設されているので、インクタンクにインクが補充されて所定位置まで満たされると、それ以上流入するインクはオーバフロー機構を介して廃インクタンクに流れ込むこととなる。したがって、インク補充時に作業者がその場にいなくてもインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止できる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記オーバフロー機構の流路部分の断面積は、前記注入口の断面積よりも大きくなるように設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、オーバフロー機構の流路部分の断面積の方が、注入口の断面積よりも大きいので、インクタンク内に流れ込むインク量よりもオーバフロー機構から流れ出るインク量の方が多くなり、インクタンクから装置内にインクが溢れ出ることを確実に防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記流路部分の断面積は、0.12cm2以上20cm2以下に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、オーバフロー機構の流路部分の断面積が、0.12cm2以上20cm2以下に設定されているので、例えば、一般的なインクよりも粘度の高い高粘度インクが使用されている場合においても、流路部分の断面積が0.12cm2以上であれば詰まることなくスムーズにインクを流すことができる。一方、流路部分の断面積が20cm2以下に設定されていることで、オーバフロー機構の大型化を防ぐことができ、結果として装置の小型化を進めることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは光が照射されることにより硬化する光硬化型インクであり、
前記インクタンク及び前記オーバフロー機構の少なくとも一方は、外光が内部まで侵入しないように遮光処理が施されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、インクタンク及びオーバフロー機構の少なくとも一方は、外光が内部まで侵入しないように遮光処理が施されているので、インクとして光硬化型インクを使用した場合においても、インクタンクやオーバフロー機構内でインクが硬化することを防止することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、光照射装置によって記録媒体上に着弾した光硬化型インクが硬化させられるので、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱部材を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱部材により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴としている。
【0018】
ここで、インク滴一滴あたりのインク量が20plを超えると高精細画像記録が難しく、また、2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。このため、請求項6記載の発明のように、記録ヘッドがインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出すれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。
また、吐出時においてはインクが30℃以上150℃以下に加熱されているので、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴としている。
【0020】
ここで、カチオン重合系の光硬化型インクは、ラジカル重合系の光硬化型インクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないため、請求項7記載の発明のように、インクとしてカチオン重合系の光硬化型インクが用いられていれば、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項4〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴としている。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。図1はインクジェットプリンタ1の概略側面図である。
【0024】
図1に示す通り、インクジェットプリンタ1は、各種構成部材を覆った筐体2を有している。ただし、図1では筐体2は背面側(図1中の左側)だけが図示されており、それ以外の部分が省略されている。筐体2の内部であって筐体2の下部には支持台3が配設されており、支持台3の上部には大容量のインクを貯留可能なインクタンク4が配設されている。インクタンク4は、例えば樹脂から形成されており、その内部に外光が侵入しないように遮光処理が施されている。このインクタンク4には、インクタンク4内部にインクを注入するための注入口5が配設されている。注入口5は筐体2の外部に引き出されており、筐体2の外部から注入口5を介してインクタンク4にインクを補充できるようになっている。
【0025】
筐体2の内部であってインクタンク4の上方には、インクタンク4に貯留されたインクを吸入・吐出するポンプ装置8が配設されている。ポンプ装置8は、バルブ9を介したチューブ10によりインクタンク4に接続されている。またポンプ装置8にはバルブ11を介したチューブ12が接続されている。本実施形態ではポンプ装置8が作動すると、インクタンク4に貯留されたインクは、インクタンク4からチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され(吸い上げられ)、ポンプ装置8からチューブ12に吐出されるようになっている。
【0026】
インクジェットプリンタ1の正面側(図1中の右側)にはキャリッジ13が配設されている。キャリッジ13は、図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に延在する長尺なガイドレール14に跨った状態で支持されており、ガイドレール14にガイド(案内)されながら図1の紙面において表側から裏側(又は裏側から表側)に移動自在(走査自在)となっている。
【0027】
キャリッジ13の背面側には小容量のインクを一時的に貯留するサブタンク15が搭載されており、キャリッジ13の正面側にはインクを記録媒体16に向かって吐出する記録ヘッド17が搭載されている。キャリッジ13においてサブタンク15と記録ヘッド17はチューブ18を介して互いに接続されており、記録ヘッド17からのインクの吐出に伴いチューブ18を介してサブタンク15から記録ヘッド17にインクが供給されるようになっている。
【0028】
なお、上記サブタンク15及び記録ヘッド17は、上記の通りキャリッジ13にそれぞれ搭載されていることからキャリッジ13の移動に順次追従するようになっている。
【0029】
記録ヘッド17の内部には、記録ヘッド17内部のインクを加熱する加熱部材(図示省略)が設置されている。この加熱部材がインクを30℃以上150℃以下に加熱することにより、記録ヘッド17は、加熱により低粘度化したインクを吐出するようになっている。
【0030】
記録ヘッド17の吐出面(記録媒体16に対向する面)にはインクを2pl以上20pl以下のインク滴として吐出する多数のノズル(吐出口)が配設されている。また、記録ヘッド17の両側部には記録媒体16に着弾したインクの各液滴に光を照射する光照射装置19が1つずつ配設されている。ただし、図1では2つの光照射装置19のうち図1の紙面の表側に配設された一方の光照射装置19だけが図示されている。各光照射装置19に設けられる光源としては、紫外線を照射する光源、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED(Light Emitting Diode)等を適用することができる。
【0031】
記録ヘッド17の下方であって記録ヘッド17の各ノズルに対向する位置には、記録媒体16を平面状に支持するプラテン(図示省略)が配設されている。図1においてプラテンの上流側および下流側には記録媒体16を搬送するための搬送用ローラ20,21がそれぞれ配設されている。各搬送用ローラ20,21は互いに同一方向に回転するようになっており、具体的には図1において時計回り方向に回転するようになっている。各搬送用ローラ20,21が回転すると、記録媒体16は非記録面(記録面の反対側の面)をプラテンにより支持された状態でインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって搬送されるようになっている。
【0032】
プラテンの一側方(図1の紙面における表側若しくは裏側)には、記録ヘッド17の吐出面及びノズルに対してメンテナンスを行うメンテナンスユニット22が配設されている。メンテナンスユニット22には、キャリッジ13の走査によって対峙した記録ヘッド17の吐出面を密着するように覆う昇降自在なキャップ部材23と、キャップ部材23にチューブ24を介して接続されるポンプ装置25とが備えられている。メンテナンスユニット22は、キャップ部材23が吐出面を覆った際に、ポンプ装置25によってキャップ部材23内部を負圧にして吐出面に付着したインク及びノズル内のインクを吸引除去することで、吐出面及びノズルのメンテナンスを行うようになっている。
【0033】
メンテナンスユニット22の下方には、ポンプ装置25から排出される廃インクを貯留する廃インクタンク26が、インクタンク4の所定位置よりも下方に位置するように配設されている。この廃インクタンク26は、バルブ27を介したチューブ28によりポンプ装置25に接続されている。バルブ27には、インクタンク4の所定位置に配設されたチューブ29が接続されており、インクタンク4の所定位置から溢れるインクは、チューブ29からバルブ27を介してチューブ28を通過して廃インクタンク26に流れ込むようになっている。つまり、本実施形態においては、インクタンク4の所定位置から廃インクタンク26まで配設されてインクの流路となるオーバフロー機構が、チューブ28,29及びバルブ27によって構成されていることになる。上記したように、廃インクタンク26がインクタンク4の所定位置よりも下方に位置しているので、インクタンク4から廃インクタンク26にインクをスムーズに流すことができ、かつ廃インクタンク26からインクタンク4にインクが逆流することを防止している。なお、本実施形態では、複数の部材から構成されたオーバフロー機構を例示しているが、オーバフロー機構は1つの部材から構成されるものであってもよく、こうした場合、例えば単一のチューブを、インクタンク4の所定位置から廃インクタンク26まで配設すればよい。
【0034】
ここで、オーバフロー機構の流路部分、つまりインクの流れる部分の断面積は、0.12cm2以上20cm2以下の範囲で注入口5の断面積よりも大きくなるように設定されている。このように、オーバフロー機構の流路部分の断面積の方が、注入口5の断面積よりも大きいと、インクタンク4内に流れ込むインク量よりもオーバフロー機構から流れ出るインク量の方が多くなり、インクタンク4から装置内にインクが溢れ出ることを確実に防止することができる。また、例えば一般的なインクよりも粘度の高い高粘度インクが使用されている場合においても、流路部分の断面積が0.12cm2以上であれば詰まることなくスムーズにインクを流すことができ、流路部分の断面積が20cm2以下に設定されていることで、オーバフロー機構の大型化を防ぐことができ、結果として装置の小型化を進めることができる。
【0035】
また、チューブ10,12,18,24,28,29及びバルブ9,11,27等からなるインク流路は、インクタンク4と同様に遮光処理が施されている。ここで、遮光処理とは、インク硬化の防止のため各部材(インク流路をなす部材及びインクタンク4)の内部に外光が侵入しないような処理のことであり、例えば、遮光性を有した遮光材料で各部材を形成する方法や、遮光性を有した材料によって各部材を被覆若しくは被膜する方法等が挙げられる。このようにインク流路に遮光処理が施されているので、インク流路内部での詰まりや固着を防止することができる。
【0036】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を少なくとも含み、さらには30℃において10mPa・s以上500mPa・s以下の粘度を有するものである。
【0037】
上記光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるけれども、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ここで、ラジカル重合系インクに比べてカチオン重合系インクは、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないためインクの硬化に必要な照度を低減できる。このようなことから本実施形態ではインクとしてカチオン重合系の光硬化型インクを用いている。
【0038】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体16」について説明する。
記録媒体16としては、非吸収性記録媒体であっても吸収性記録媒体のいずれかを用いることが可能である。ここで、非吸収性とは、インク組成物(単にインクという。)を吸収しないということであるが、本発明においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が、0.1ml/mm2未満である場合、実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性記録媒体とし、それ以外の記録媒体を吸収性記録媒体とする。
【0039】
非吸収性記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PEフィルム、TACフィルムが挙げられる。その他のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。そして、これら非吸収性記録媒体として好ましいものは、表面エネルギーが35mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものであるが、さらに好ましいものは、40mN/m〜60mN/mの範囲に収まるものである。
吸収性記録媒体としては、例えば普通紙(コピー用紙)、上質紙などが挙げられる。
【0040】
続いてインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、各搬送用ローラ20,21が駆動されて各搬送用ローラ20,21が所定量の回転と停止とを繰り返し、記録媒体16がプラテンにより非記録面を支持された状態でプラテンの上部をインクジェットプリンタ1の背面側から正面側に向かって間欠的に搬送される。
【0041】
そうして各搬送用ローラ20,21が停止する毎に、キャリッジ13が作動して記録媒体16の直上を図1の紙面の表側から裏側へ又は図1の紙面の裏側から表側へと往復移動する。これに伴いキャリッジ13に搭載されたサブタンク15、記録ヘッド17及び光照射装置19も、キャリッジ13の移動に追従するように記録媒体16の直上を往復移動する。
【0042】
このとき、記録ヘッド17がサブタンク15からインクの供給を受けながら記録媒体16の記録面に向かって各ノズルからインクを吐出するとともに、各光照射装置19が点灯する。これにより記録ヘッド17から吐出されたインクは、記録媒体16の記録面に着弾してその直後に各光照射装置19から紫外線を照射される。そうして紫外線の照射を受けたインクは硬化して記録媒体16の記録面上に定着する。
【0043】
以後、インクジェットプリンタ1が上記した各動作を繰り返し、複数のドットからなる所望の画像が記録媒体16の記録面に順次記録される。
【0044】
そして、所定数の画像記録が行われると、記録ヘッド17とキャップ部材23とが対峙するようにキャリッジ13が作動する。その後、キャップ部材23が上昇して記録ヘッド17の吐出面に密着し、前記吐出面を覆うと、ポンプ装置25が作動して吐出面及びノズルのメンテナンスを行う。ここで、メンテナンスにより排出されたインクがチューブ29に流入しないようにバルブ27はチューブ29との接続部分を閉じておく。そして、メンテナンスが終了すると、キャップ部材23は待機位置まで下降する。
【0045】
ここで本実施形態では、所定数の画像が記録媒体16に記録される毎にキャリッジ13が所定位置(ホームポジション)で停止してサブタンク15へのインクの供給処理が行われる。インクの供給処理中においてはポンプ装置8が作動して、インクタンク4に貯留されたインクがチューブ10及びバルブ9を介してポンプ装置8に吸入され、吸入されたインクがポンプ装置8からチューブ12に吐出される。吐出されたインクはチューブ12及びバルブ11を介してサブタンク15に供給される。
【0046】
このようなインクの供給処理が複数回にわたって行われると、インクタンク4に貯留されたインクは消費されて残量が次第に減少し、インクタンク4にインクの補充が必要となる。インクタンク4にインクを補充する際においては、作業者が、補充用のインクが充填された補充タンク30の流出口31をインクタンク4の注入口5に接続することにより、インクの補充が行われる。この際、バルブ27によってチューブ29との接続部分は開放されているのでインクタンク4にインクが補充されて所定位置まで満たされると、それ以上流入するインクは、チューブ29からバルブ27及びチューブ28を通過し、廃インクタンク26に流れ込むこととなる。
【0047】
以上のように、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1によれば、オーバフロー機構(チューブ28,29、バルブ27)によってインクタンク4から溢れるインクは廃インクタンク26に導かれるので、インク補充時に作業者がその場にいなくてもインクが装置内に溢れ出ることを防止できる。また、インクタンク4にインクが大量に残っているにもかかわらず、作業者が誤ってインク補充をした場合においても、インクタンク4の所定位置以上流入するインクは、廃インクタンク26に流れ込むことになる。したがって、誤補充されたとしてもインクが装置内に溢れ出ることを防止できる。
【0048】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更を行ってもよい。
例えば、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は、上記の通り、紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよい。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線等の電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、図1に示す光照射装置19に代えてその光を照射する光照射装置を適用しなければならない。
【0049】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、インクタンクにインクが補充されて所定位置まで満たされると、それ以上流入するインクはオーバフロー機構を介して廃インクタンクに流れ込むこととなる。したがって、インク補充時に作業者がその場にいなくてもインクがインクタンクから装置内部に溢れ出ることを防止できる。
【0050】
請求項2記載の発明によれば、インクタンク内に流れ込むインク量よりもオーバフロー機構から流れ出るインク量の方が多くなり、インクタンクから装置内にインクが溢れ出ることを確実に防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、オーバフロー機構の流路部分の断面積が、0.12cm2以上20cm2以下に設定されているので、例えば、一般的なインクよりも粘度の高い高粘度インクが使用されている場合においても、流路部分の断面積が0.12cm2以上であれば詰まることなくスムーズにインクを流すことができる。一方、流路部分の断面積が20cm2以下に設定されていることで、オーバフロー機構の大型化を防ぐことができ、結果として装置の小型化を進めることができる。
【0051】
請求項4記載の発明によれば、インクとして光硬化型インクを使用した場合においても、インクタンクやオーバフロー機構内でインクが硬化することを防止することができる。
請求項5記載の発明によれば、記録媒体に対して確実にインクを硬化、定着させることができる。
請求項6記載の発明によれば、小液滴で高精細な画質を形成できる。また、射出安定性の点で好ましい粘度にしてインクを吐出することができる。
【0052】
請求項7記載の発明によれば、インクとしてカチオン重合系の光硬化型インクが用いられているので、記録媒体上に着弾したインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
請求項8記載の発明によれば、記録媒体が非吸収性記録媒体であっても記録媒体上でインクを硬化、定着でき、画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの概略側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
4 インクタンク
5 注入口
17 記録ヘッド
19 光照射装置
26 廃インクタンク
27 バルブ(オーバフロー機構)
28 チューブ(オーバフロー機構)
29 チューブ(オーバフロー機構)
Claims (8)
- インクを記録媒体に吐出する記録ヘッドと、
前記インクが注入される注入口を有し、前記注入口を介して外部から補充された前記インクを前記記録ヘッドに供給するために貯留するインクタンクと、
廃棄される前記インクを貯留する廃インクタンクと、
前記インクタンクの所定位置から前記廃インクタンクまで配設されて前記インクの流路になるオーバフロー機構とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記オーバフロー機構の流路部分の断面積は、前記注入口の断面積よりも大きくなるように設定されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記流路部分の断面積は、0.12cm2以上20cm2以下に設定されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3記載のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは光が照射されることにより硬化する光硬化型インクであり、
前記インクタンク及び前記オーバフロー機構の少なくとも一方は、外光が内部まで侵入しないように遮光処理が施されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項4記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光を照射する光照射装置を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項4又は5記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッド内の前記インクを所定温度まで加熱する加熱部材を備え、
前記インクは、30℃での粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記記録ヘッドは、前記加熱部材により30℃以上150℃以下まで加熱された前記インクを、2pl以上20pl以下のインク滴となるように吐出することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項4〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、前記インクを吸収しない非吸収性記録媒体であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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CN103085478A (zh) * | 2013-01-17 | 2013-05-08 | 南京协力电子科技集团有限公司 | 印刷电路板喷墨印刷机喷墨系统 |
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2003
- 2003-04-17 JP JP2003112642A patent/JP2004314476A/ja active Pending
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