JP2004313923A - 膜分離活性汚泥法を用いた処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】汚水を処理槽11内へ供給する供給経路20に、汚水に高分子凝集剤を添加して混合させる混合部21と、この混合部21の下流側に位置して汚水から汚濁物質を分離する固液分離装置22とが設けられ、供給経路20を流れる汚水の一部を混合部21の上流側から分岐させて固液分離装置22の下流側へ合流させる補助供給経路44が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理液を処理槽内に導入して活性汚泥処理しつつ、上記槽内の活性汚泥混合液を上記槽内に浸漬設置された膜分離装置により固液分離する膜分離活性汚泥法を用いた処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の膜分離活性汚泥法を用いた処理システムとしては、例えば図2,図3に示すように、下水等の有機性汚水(被処理水の一例)を処理槽11内に導入して活性汚泥処理しつつ、上記槽11内に浸漬設置された膜分離装置12によって槽11内の活性汚泥混合水を固液分離するものがある。
【0003】
上記膜分離装置12は、図3に示すように、上下が開口した箱枠状の膜ケース13の内部に、上下方向に配置された平板状の膜カートリッジ14が所定間隔をおいて複数配列され、同じく上下が開口した箱枠状の散気ケース15の内部に散気管16が設けられ、膜ケース13と散気ケース15とを互いに上下に配置した構成を有しており、槽11内の活性汚泥混合水をその水頭を駆動圧として(或いは膜カートリッジ14に吸引圧を作用させて)各膜カートリッジ14の濾過膜17により濾過し、上記濾過膜17を透過した透過水を導出管18により槽11の外部へ導出するものである。
【0004】
また、図2に示すように、上記汚水を処理槽11内へ供給する供給経路20には、汚水に高分子凝集剤(有機性ポリマー等)を添加して混合させる混合部21と、この混合部21の下流側に位置して汚水から汚濁物質を分離する固液分離装置22とが設けられている。尚、上記供給経路20は配管で形成され、また、上記混合部21には攪拌機23が設けられている。さらに、上記固液分離装置22は沈殿分離式又は濾過分離式のものが用いられる。
【0005】
これによると、混合部21において、供給経路20を流れる汚水に対して凝集剤が添加され混合されることにより、汚水中の濁質が凝集してフロックが形成され、その後、固液分離装置22によって固液分離されることにより、汚水中の濁質がケーキ化されて分離除去される。このようにして上記濁質がある程度だけ除去されるとともに、この際に固液分離装置22で分離された分離水は、供給経路20を通って処理槽11に導入され、処理槽11内で活性汚泥処理されながら、上記膜分離装置12によって固液分離される。
【0006】
上記のように、処理槽11内で活性汚泥処理される前の段階で、固液分離装置22によって汚水中の濁質がある程度除去されて減少するため、上記処理槽11における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置12の固液分離負荷が軽減されるといったメリットがあり、その分、処理槽11の容量や膜分離装置12を小型化でき、散気管16による曝気時の動力エネルギーを小さくし得る。
【0007】
しかしながら上記の処理システム25では、混合部21において添加された凝集剤の一部が、フロックを形成せずに、固液分離装置22から処理槽11に導入される分離水中に残留し、そのまま処理槽11に導入されて膜分離装置12の濾過膜17を目詰まりさせてしまうといった問題があった。すなわち、処理槽11内に導入される分離水中の濁質の濃度はすでに固液分離装置22によって除去されて低減しているため、処理槽11に導入された残留凝集剤は、凝集作用を起こし難く、未作用のまま濾過膜17に付着して目詰まりを起こすといった問題がある。これにより、膜分離装置12を頻繁に逆洗して、上記濾過膜17を洗浄する必要があった。
【0008】
上記のような問題の対策として、例えば、図4に示すように、第1活性汚泥槽28内に膜分離装置12を浸漬設置し、第1活性汚泥槽28内で発生した余剰汚泥を引き抜いて高分子凝集剤を混合した後、脱水機29によって脱水し、脱水濾液を第2活性汚泥槽30に供給して活性汚泥処理し、槽30の外部に流出する脱水濾液処理水を上記第1活性汚泥槽28へ返送する返送経路31を備えた処理システム32がある。
【0009】
このように、第2活性汚泥槽30から流出する脱水濾液処理水を返送経路31で第1活性汚泥槽28へ返送することにより、上記脱水濾液処理水中に残留している凝集剤も第1活性汚泥槽28へ返送される。この際、第1活性汚泥槽28内の汚水は膜分離装置12で濾過される前のものであり濁質の濃度が高いため、上記第1活性汚泥槽28へ返送された脱水濾液処理水中の残留凝集剤が第1活性汚泥槽28内の汚水中の濁質と容易に凝集作用を起こしてフロックが形成される。これにより、脱水濾液処理水中の残留凝集剤が第1活性汚泥槽28内で十分に消費されるため、残留凝集剤が膜分離装置12の濾過膜17に付着して目詰まりを起こすことを防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−57799号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図4に示した従来の処理システム32では、図2に示した従来の処理システム25のように第1活性汚泥槽28内で活性汚泥処理される前の段階で汚水中の濁質をある程度除去しておくことはできず、したがって、上記第1活性汚泥槽28における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置12の固液分離負荷を軽減することはできないといった問題がある。
【0012】
本発明は、処理槽における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置の固液分離負荷を軽減することができ、この際、残留した凝集剤が膜分離装置の膜面を目詰まりさせてしまうのを防止することができる膜分離活性汚泥法を用いた処理システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本第1発明は、被処理液を処理槽内に導入して活性汚泥処理しつつ、上記槽内に浸漬設置された膜分離装置によって上記槽内の活性汚泥混合液を固液分離する膜分離活性汚泥法を用いた処理システムであって、被処理液を処理槽内へ供給する供給経路に、被処理液に凝集剤を添加して混合させる混合部と、この混合部の下流側に位置して被処理液から汚濁物質を分離する固液分離装置とが設けられ、上記供給経路を流れる被処理液の一部を混合部の上流側から分岐させて固液分離装置の下流側へ合流させる補助供給経路が形成されているものである。
【0014】
これによると、混合部において、供給経路を流れる被処理液に対して凝集剤が添加され、これにより、被処理液中の濁質が凝集してフロックが形成される。その後、固液分離装置によって被処理液中の濁質がケーキ化されて分離除去される。
【0015】
これにより被処理液中の濁質がある程度除去されて減少するとともに、上記固液分離装置によって分離された分離液は、処理槽に導入され、処理槽内で活性汚泥処理されながら、膜分離装置によって固液分離される。これにより、処理槽における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置の固液分離負荷を軽減することができる。
【0016】
この際、被処理液の一部が、混合部の上流側から分岐して補助供給経路を流れ、固液分離装置の下流側へ合流して処理槽に流れ込む。上記のような混合部の上流側における被処理液は、固液分離装置によって濁質を減少させる前のものであるため、濁質の濃度が高い。したがって、固液分離装置から処理槽に導入される分離液中に残留した残留凝集剤は、上記補助供給経路を流れて固液分離装置の下流側へ合流した被処理液中の濁質と容易に凝集作用を起こして、フロックが形成される。これにより、処理槽に導入された上記分離液中の残留凝集剤が十分に消費されるため、残留凝集剤が膜分離装置の膜面に付着して目詰まりを起こすのを防止することができる。
【0017】
このように、処理槽における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置の固液分離負荷を軽減することと、残留した凝集剤が膜分離装置の膜面に付着して目詰まりを起こすのを防止することとが共に可能となる。
【0018】
また、本第2発明は、供給経路に、固液分離装置で分離された分離液に酸化剤を添加して分離液中の凝集剤を分解する分解処理部と、この分解処理部の下流側において上記分離液に還元剤を添加して分離液を無害化する無害化処理部とが設けられ、補助供給経路は、供給経路を流れる被処理液の一部を混合部の上流側から分岐させて上記無害化処理部の下流側へ合流させているものである。
【0019】
これによると、分解処理部において、酸化剤が固液分離装置で分離された分離液に添加され、分離液中に含まれている凝集剤が分解される。その後、無害化処理部において、還元剤が上記分離液に添加され、これにより、残存している酸化剤が消費されて分離液の酸化力が調節され、分離液が無害化される。尚、上記酸化剤を添加しても分離液中の凝集剤を全て分解することは困難であり、一部の凝集剤が分解されずに残留してしまうが、このような残留凝集剤は、補助供給経路を流れて無害化処理部の下流側へ合流した被処理液中の濁質と容易に凝集作用を起こして、十分に消費される。上記のように、分解処理部において、酸化剤を添加して凝集剤を分解することにより、処理槽に導入される分離液中の凝集剤の残留濃度が低減されるため、処理槽に導入された分離液中の残留凝集剤がさらに十分に消費される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態を図1に基づいて説明する。尚、従来と同一の部材については、同じ符号を付記して説明を省略する。
【0021】
供給経路20には、汚水に高分子凝集剤(有機性ポリマー等)を添加して混合させる混合部21と、この混合部21の下流側に位置して汚水から汚濁物質を分離する固液分離装置22と、固液分離装置22で得られた分離水に酸化剤を添加して分離水中の凝集剤を酸化分解する分解処理部40と、この分解処理部40の下流側において上記分離水に還元剤を添加して分離水を無害化する無害化処理部41とが設けられている。
【0022】
尚、上記分解処理部40と無害化処理部41とにはそれぞれ攪拌機42,43が設けられている。また、上記酸化剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸、硫酸等が用いられる。
【0023】
また、上記供給経路20を流れる汚水の一部を混合部21の上流側から分岐させて上記無害化処理部41の下流側へ合流させている補助供給経路44が形成されている。
【0024】
以下、上記のような処理システム45における作用を説明する。
混合部21において、供給経路20を流れる汚水に対して高分子凝集剤が添加され、これにより、汚水中の濁質が凝集してフロックが形成される。その後、固液分離装置22によって汚水中の濁質がケーキ化されて分離除去される。
【0025】
これにより汚水中の濁質がある程度除去されて減少するとともに、上記固液分離装置22によって分離された分離水は供給経路20を通って分解処理部40へ流れ込む。そして、分解処理部40において、酸化剤が上記分離水に添加され、分離水中に含まれている凝集剤が分解される。尚、上記酸化剤を添加しても分離水中の凝集剤を全て分解することは困難であり、一部の凝集剤が分解されずに分離水中に残留してしまう。
【0026】
その後、上記分離水は分解処理部40から無害化処理部41に流れ込み、無害化処理部41において、還元剤が上記分離水に添加され、これにより、残存している酸化剤が消費されて分離水の酸化力が調節され、分離水が無害化される。
【0027】
その後、上記分離水は、無害化処理部41から処理槽11内に導入され、処理槽11内で活性汚泥処理されながら、膜分離装置12によって固液分離される。このように、汚水が処理槽11内に導入される前に、固液分離装置22によって汚水中の濁質が減少しているため、処理槽11における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置12の固液分離負荷を軽減することができる。したがって、処理槽11の容量や膜分離装置12を小型化でき、散気管16による曝気時の動力エネルギーも小さくし得る。
【0028】
この際、汚水の一部が、混合部21の上流側から分岐して補助供給経路44を流れ、無害化処理部41の下流側へ合流して処理槽11に流れ込む。上記のような混合部21の上流側における汚水は、固液分離装置22によって濁質を減少させる前のものであるため、濁質の濃度が高い。したがって、無害化処理部41から処理槽11に導入される分離水中に残留した残留凝集剤は、上記補助供給経路44を流れて無害化処理部41の下流側へ合流した汚水中の濁質と容易に凝集作用を起こして、フロックが形成される。これにより、処理槽11に導入された上記分離水中の残留凝集剤が十分に消費されるため、残留凝集剤が膜分離装置12の濾過膜17に付着して目詰まりを起こすのを防止することができ、膜分離装置12の逆洗回数を減らすことができる。
【0029】
このように、処理槽11における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置12の固液分離負荷を軽減することと、残留した凝集剤が濾過膜17に付着して目詰まりを起こすのを防止することとが共に可能となる。
【0030】
また、上記分解処理部40において、酸化剤を添加して凝集剤を分解することにより、処理槽11に導入される分離水中の凝集剤の残留濃度が低減されるため、処理槽11に導入された分離水中の残留凝集剤がさらに十分に消費される。
【0031】
上記実施の形態では、被処理液の一例として下水等の汚水を挙げたが、産業廃水や生活排水の汚水であってもよい。また、凝集剤として、有機系の高分子凝集剤(有機性ポリマー等)を用いたが、無機系の凝集剤を用いてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、処理槽における活性汚泥処理の生物負荷や膜分離装置の固液分離負荷を軽減することと、残留した凝集剤が膜分離装置の膜面に付着して目詰まりを起こすのを防止することとが共に可能となる。したがって、処理槽の容量や膜分離装置を小型化でき、膜分離装置に対する逆洗回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における膜分離活性汚泥法を用いた処理システムの図である。
【図2】従来の膜分離活性汚泥法を用いた処理システムの図である。
【図3】同、処理システムに用いられる膜分離装置の一部切欠き斜視図である。
【図4】従来の膜分離活性汚泥法を用いた処理システムの図であり、返送経路を形成したものである。
【符号の説明】
11 処理槽
12 膜分離装置
20 供給経路
21 混合部
22 固液分離装置
40 分解処理部
41 無害化処理部
44 補助供給経路
45 処理システム
Claims (2)
- 被処理液を処理槽内に導入して活性汚泥処理しつつ、上記槽内に浸漬設置された膜分離装置によって上記槽内の活性汚泥混合液を固液分離する膜分離活性汚泥法を用いた処理システムであって、被処理液を処理槽内へ供給する供給経路に、被処理液に凝集剤を添加して混合させる混合部と、この混合部の下流側に位置して被処理液から汚濁物質を分離する固液分離装置とが設けられ、上記供給経路を流れる被処理液の一部を混合部の上流側から分岐させて固液分離装置の下流側へ合流させる補助供給経路が形成されていることを特徴とする膜分離活性汚泥法を用いた処理システム。
- 供給経路に、固液分離装置で分離された分離液に酸化剤を添加して分離液中の凝集剤を分解する分解処理部と、この分解処理部の下流側において上記分離液に還元剤を添加して分離液を無害化する無害化処理部とが設けられ、補助供給経路は、供給経路を流れる被処理液の一部を混合部の上流側から分岐させて上記無害化処理部の下流側へ合流させていることを特徴とする請求項1記載の膜分離活性汚泥法を用いた処理システム。
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