JP2004313048A - 液状マルチ資材及びマルチ敷設方法 - Google Patents

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Shuichi Ogura
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Abstract

【課題】貯蔵安定性が良好で、形成されたマルチ皮膜が保温性、透水性、通気性、雑草繁殖防止機能に優れた液状マルチ資材と、低環境負荷の液状マルチ資材。マルチ敷設が省力化され、使用後に撤去の必要がないマルチ敷設方法。
【解決手段】高分子エマルジョンと顔料とフミン酸塩類よりなり、高分子エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、顔料0.1〜40重量部、フミン酸塩類0.1〜20重量部を含有する液状マルチ資材。生分解性プラスチックエマルジョンを用いた低環境負荷の液状マルチ資材。また、液状マルチ資材を圃場の土壌表面に散布し、土壌表面にマルチ皮膜を形成するマルチ敷設方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状マルチ資材及びマルチ敷設方法に関し、さらに詳しくは、圃場の土壌表面に散布するだけで、保温性、透水性、通気性、雑草繁殖防止機能などに優れたマルチ皮膜を形成することができる液状マルチ資材、及び液状マルチ資材を用いたマルチ敷設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平10−84789号公報
【特許文献2】特開2000−4687号公報
【0003】
従来から、寒冷地や気温の低い春先の農作では、マルチシートで圃場の土壌表面を被覆し、地温低下を防止するマルチが行われてきた。また、雑草繁殖防止や土壌水分保持を目的として行われることもある。通常、このマルチは、ポリエチレンフィルム等のマルチシートを手作業又は専用の敷設機械を用いて敷設すると同時に、敷設シートが風で飛ばされないように重しとして周辺の土壌を乗せる作業を行う。作物を収穫した後には不要となったマルチシートを撤去する。このように、従来のマルチシートは、敷設や撤去作業にかなり労力を必要とし、また、産業廃棄物とされた回収マルチシートは、野焼きが禁止されており、そのリサイクルもコスト面から容易ではなかった。
【0004】
従来のプラスチックフィルムに代わるものとして、生分解性プラスチックフィルムが注目されている。この生分解性プラスチックフィルムは、作物の収穫後にそのまま圃場にすき込むことができる利点があるが、敷設作業に手間がかかる点は改善されていない。また、土壌との接触面で土中のバクテリアによって急速な分解を受け、特に温度の高い地方では分解が速く、風害によるフィルムの飛散が発生するなどフィルム特性のコントロ−ルが難しい。さらに、通常のプラスチックフィルムより高価で経済性にも問題がある。このほか、特許文献1に記載されているように、生分解性の紙マルチシートも知られているが、やはり高価であること、敷設に際して手間がかかることなどの問題がある。
【0005】
一方、プラスチックフィルムを使用しないマルチ敷設方法も提案されている。特許文献2には、石油アスファルトをエマルジョン化したアスファルト乳剤を散布し、土壌表面にアスファルト皮膜を形成する方法が記載されている。この方法によると、アスファルト乳剤を散布機を用いて散布するだけでよく、マルチシートに比べて著しく省力化ができる。また、土壌表面の凹凸に関係なく皮膜を形成することができ、さらに、散布量を調整することによって、任意の厚さの皮膜を形成することが可能となった。このアスファルト皮膜は、通気性に優れ、外気温が高いときには水蒸気を放出して地温を低下させ、また、皮膜と土壌表面間に水蒸気や水滴が溜まることがないという効果をもつ。
【0006】
しかしながら、このアスファルト皮膜は、プラスチックフィルムほどの遮蔽力がなく、雑草繁殖防止効果が小さいという問題がある。アスファルト乳剤を厚く散布することで、雑草繁殖防止効果を期待できるが、皮膜の通気性が低下するので好ましくない。また、アスファルト乳剤を長期間保存すると、外気温の変化や重力作用等によりエマルジョン破壊が起って、アスファルト分が沈降分離することがある。いったん分離したアスファルト分は、再エマルジョン化することが非常に難しいなど問題があった。しかも、本質的に黒色のアスファルトは、他の色に着色することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、敷設作業が簡便でわずかな労力ですみ、形成された皮膜が保温性、透水性、通気性、雑草繁殖防止機能などに優れ、且つ、任意の色に着色でき、長期間保存しても沈降分離することがない液状マルチ資材を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、農作物の収穫後に土壌にすき込むだけで自然に分解され、したがって撤去の必要がない低環境負荷の液状マルチ資材を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の別の目的は、敷設作業が簡便で省力化されたマルチ敷設方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アスファルト乳剤に代えて、高分子エマルジョンに顔料とフミン酸塩類を含有させた液状マルチ資材を用いることによって、前記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成した。
【0011】
請求項1記載の発明は、必須成分として高分子エマルジョン、顔料及びフミン酸塩類を含有し、高分子エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、顔料が0.1〜40重量部、フミン酸塩類が0.1〜20重量部であることを特徴とする液状マルチ資材として構成されている。
【0012】
請求項2記載の発明は、高分子エマルジョンが、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリルアミドエマルジョンから選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の液状マルチ資材として構成されている。
【0013】
請求項3記載の発明は、高分子エマルジョンが、少なくとも一種の生分解性プラスチックエマルジョンである請求項1記載の液状マルチ資材として構成されている。
【0014】
請求項4記載の発明は、顔料が、カーボンブラック、鉄黒、木炭粉末から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の液状マルチ資材として構成されている。
【0015】
請求項5記載の発明は、フミン酸塩類が、土壌、若年炭類、風化した石炭類、レオナダイト類、草炭、若しくは泥炭をアルカリ抽出して得られる高分子有機酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、若年炭類、草炭、若しくは泥炭を硝酸で酸化分解して得られる高分子有機酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の液状マルチ資材として構成されている。
【0016】
請求項6記載の発明は、フミン酸塩類の水溶液に顔料を分散懸濁し、得られた懸濁液と高分子エマルジョンを混合することを特徴とする液状マルチ資材の製造方法として構成されている。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の液状マルチ資材を圃場の土壌表面に散布し、土壌表面にマルチ皮膜を形成することを特徴とするマルチ敷設方法として構成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の液状マルチ資材は、皮膜形成剤としての高分子エマルジョンに、特定量の着色顔料や体質顔料等の顔料と、特定量のフミン酸塩類を分散剤として配合した液状物である。この液状マルチ資材を動力散布機や手動散布機などで圃場に散布するだけで、土壌表面に優れた性能を有するマルチ皮膜が形成され、しかもこの皮膜は表面土壌と接着しているので、風害防止の土乗せが不要であり、マルチ敷設作業をきわめて効率的に行うことを可能とした。特に、皮膜形成剤として生分解性プラスチックエマルジョンを用いると、マルチ皮膜に生分解性を付与することができ、使用後これを土壌にすき込むと分解されるので、環境負荷が大幅に低下する。
【0019】
液状マルチ資材の皮膜形成剤として用いる高分子エマルジョンは、含有水分が蒸発などで失われたとき、耐水性の皮膜を形成することができる高分子物質を含有するものであれば使用可能である。この高分子物質は、通常のプラスチックでもよいが、生分解性プラスチックが好ましい。
【0020】
通常のプラスチックエマルジョンとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリルアミドエマルジョンなどの一種又は二種以上が挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニルエマルジョン等の塩素含有プラスチックのエマルジョンは、環境負荷の観点から好ましくない。
【0021】
また、生分解性プラスチック系のエマルジョンとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン・ブチレンサクシネ−ト、ポリブチレンサクシネ−ト、ポリブチレンサクシネ−ト・アジペ−ト、ポリブチレンサクシネ−ト・カ−ボネ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト・サクシネ−ト、ポリブチレンアジペ−ト・テレフタレ−ト、ポリテトラメチレンアジペ−ト・テレフタレ−ト、ポリブチレンアジペ−ト・テレフタレ−ト、ポリエチレンサクシネ−ト、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルアルコール−エチレン・ビニルアルコールコポリマー、ポリグリコ−ル酸等の高分子エマルジョンの一種又は二種以上が挙げられる。
【0022】
その他、天然系生分解性物質としては、例えば、エステル化でんぷん、酢酸セルロ−ス、キトサン・セルロ−ス・でんぷんの複合品、ゼラチンなど、半合成系としては、例えば、メチルセルロ−ズ、カルボキシメチルセルロ−ズ、デキストリンなどの一種又は二種以上が挙げられ、これらのうち、耐水性の皮膜を形成するものであれば、本発明の液状マルチ資材に使用できる。
【0023】
本発明の液状マルチ資材に用いる顔料は、マルチ皮膜に付与する性状に応じて着色顔料であってもよく、体質顔料であってもよく、あるいはその両者であってもよい。任意の種類、任意の色の無機質顔料又は有機質顔料を使用できる。
【0024】
無機質の着色顔料としては、例えば、カ−ボンブラック、鉄黒、木炭粉末等の黒色顔料や、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料や、べんがら、鉛丹、モリブデンレッド等の赤色顔料や、チタンイエロー、亜鉛黄等の黄色顔料や、群青、紺青等の青色顔料などの一種又は二種以上が挙げられる。なお、前記木炭粉末には、間伐材の有効利用としてこれを炭化して得られる木炭粉末も使用できる。また、有機質の着色顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料などの一種又は二種以上が挙げられる。その他、反射光を作物に当てて生育促進する光反射顔料や、アブラムシ等の害虫を忌避する銀色顔料なども、本発明に使用可能である。これらのうち、カ−ボンブラック、鉄黒、木炭粉末等の黒色顔料は、可視光線を遮蔽し赤外線を吸収する性質があり、太陽熱吸収機能と雑草繁殖防止機能を有する黒色液状マルチ資材の顔料として好ましい。
【0025】
また、マルチ皮膜に厚みと剛性を付与するには、体質顔料を配合することが好ましい。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ろう石、カオリンクレー、焼成クレー、カオリン、ゼオライトなどの一種又は二種以上が挙げられる。これらの体質顔料に加えて、トルマリン、サムライト、麦飯石等の遠赤外線放射物質を配合すると、マルチ皮膜の更なる性能改善が期待できる。この体質顔料を配合した液状マルチ資材は、白色系のものが多いので、さらに、カーボンブラック等の黒色顔料を配合し、黒色液状マルチ資材とすることもできる。
【0026】
高分子エマルジョンと顔料の配合割合は、配合する目的と顔料の種類によって異なるが、通常、高分子エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、顔料0.1〜40重量部、好ましくは、0.5〜20重量部がよい。顔料の配合割合が0.1重量部より少ないと着色が困難で、太陽熱吸収機能や雑草繁殖防止機能が低いものしか得られない。これが40重量部を超えると、マルチ皮膜がぜい化しやすくなる。カーボンブラック等の黒色顔料を単独配合する場合は、0.1〜5重量部、炭酸カルシウム等の体質顔料を単独配合する場合は、5〜20重量部がよい。両者を併用する場合は、黒色顔料0.1〜5重量部と体質顔料5〜20重量部程度がよい。
【0027】
本発明の液状マルチ資材に分散剤として用いるフミン酸塩類は、例えば、土壌、亜炭や褐炭等の若年炭類、風化した石炭類、レオナダイト類、若しくは草炭や泥炭等をアルカリ抽出して得られる高分子有機酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩などのほかに、亜炭や褐炭等の若年炭類又は草炭や泥炭等を硝酸で酸化分解して得られる高分子有機酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩などの一種又は二種以上が挙げられる。これらのフミン酸類は、顔料を水や高分子エマルジョンに分散させ、沈降分離を防止する分散剤として、優れた機能を有する。また、土壌に混合すると、土壌環境を作物が生育しやすい状態に改善、維持する土壌改良材としての機能を有する。特に、フミン酸のカリウム塩やアンモニウム塩は、肥料取締法において腐植酸肥料として認められていることから、本発明の液状マルチ資材に配合することが好ましいフミン酸塩である。
【0028】
高分子エマルジョンとフミン酸塩類の配合割合は、配合目的とフミン酸塩類の種類によって異なるが、通常、高分子エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、フミン酸塩類0.1〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部がよい。フミン酸塩類の配合割合が0.1重量部より少ないと、顔料の分散性を改善することができず、顔料が沈降分離しやすくなる。これが10重量部を超えると、マルチ皮膜の性能が低下するおそれがある。
【0029】
本発明の液状マルチ資材は、高分子エマルジョンと顔料とフミン酸塩類の3成分が均一に攪拌混合されたものであればよく、その製造方法は任意である。好ましい製造方法としては、まず、フミン酸塩類の水溶液に顔料を分散懸濁し、次いで、得られた懸濁液と高分子エマルジョンを攪拌混合する方法が挙げられる。
【0030】
具体的な製造方法の一例を示すと、フミン酸塩類の一種又は二種以上を3〜20%水溶液とし、このフミン酸塩類水溶液100重量部に一種又は二種以上の顔料15〜60重量部を分散懸濁し、固形分濃度10〜50%の懸濁液(顔料フミン液)を調製し、次に、一種又は二種以上の高分子エマルジョンを原液のまま又は適当な濃度に希釈し、固形分濃度20〜70%の高分子エマルジョン液(樹脂液)を調製し、樹脂液100重量部と顔料フミン液10〜100重量部を攪拌混合することがよい。この際、製造した液状マルチ資材が、高分子エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、顔料0.1〜40重量部、フミン酸塩類0.1〜20重量部となるように各成分を配合することが必要である。
【0031】
必要に応じて、本発明の液状マルチ資材は、予め農薬を添加した農薬配合液状マルチ資材とすることができる。配合する農薬は、液状マルチ資材に均一に分散及び/又は溶解する農薬であればいずれも使用できる。配合する農薬としては、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、植物生育調整剤等の一種又は二種以上が挙げられる。これらのうち、除草剤は、長期間にわたって除草効果が持続するので好ましい。これに対し、殺虫剤、殺菌剤、植物生育調整剤は、対象作物の地上部にある茎、葉、花、果実等には薬効の期待ができないので、土壌の殺虫や殺菌等を目的として、あるいは発芽時期の駆除を目的として配合使用することが好ましい。いずれにせよ、マルチ皮膜に除草機能を持たせることがよく、少なくとも1種類の除草剤を配合し、殺虫剤、殺菌剤、植物生育調整剤の群の中から少なくとも1種類以上を選択して、組み合わせ配合して用いることが好ましい。
【0032】
さらに必要に応じて、本発明の液状マルチ資材は、予め肥料を添加した肥料配合液状マルチ資材とすることができる。配合する肥料としては、液状マルチ資材に分散及び/又は溶解することができる肥料であればいずれも使用できる。適合する。このような肥料としては、各種の液体肥料、化成配合肥料、腐植酸肥料、マンガン、鉄、亜鉛、銅、ホウ素等のミネラル肥料、消石灰、苦土石灰、石灰窒素、魚粉、乾燥牛糞等から選択される一種又は二種以上の肥料が挙げられる。これら配合する肥料の液状マルチ資材への配合割合は、発芽当初に肥料としての効果を発揮する程度で充分である。
【0033】
次に、本発明のマルチ敷設方法は、前記液状マルチ資材を2〜10倍程度に水で希釈し、固形分濃度を3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%に調整し、この液状マルチ資材を圃場の土壌表面に散布することによって、土壌表面にマルチ皮膜を形成させる方法である。液状マルチ資材の散布は、動力散布機や手動散布機など通常の散布機を用いればよい。
【0034】
本発明のマルチ敷設方法は、液状マルチ資材を土壌表面に散布するだけで、表面土壌に接着した堅固なマルチ皮膜を形成できる。したがって、従来のマルチシートに比べて敷設作業が省力化されるのみならず、平畝、半台形畝、半円形畝などあらゆる形状の畝にマルチ敷設が容易にできるほか、畝面の全面にも植栽列の部分のみにも、場合によっては畝の傾斜面や溝にも容易にマルチ敷設ができる。また、散布量を調節することによって、任意の厚みの皮膜を形成できるので、マルチ皮膜の透水性、通気性、寿命などが調整可能である。さらに、除草剤等の農薬や肥料を配合した液状マルチ資材を用いると、マルチ皮膜に除草、殺虫、殺菌、肥効などの機能を付与することが可能である。
【0035】
このマルチ皮膜は、耐水性、耐久性に優れ、雨水や灌水によって流されることなく、作物や人畜にも無害である。作物を収穫した後、マルチ皮膜を土壌にすき込んでおくだけで徐々に分解・崩壊するので、マルチの撤去作業や回収マルチの処分を必要としない。特に、皮膜形成剤として生分解性プラスチックエマルジョンを用いた液状マルチ資材は、マルチ敷設後から徐々に分解が始まり、使用後に土壌にすき込むことにより完全に分解されるので、低環境負荷のマルチとしてきわめて有用である。分解後に残ったフミン酸塩類は、土壌改良材として効果が期待できる。
【0036】
【実施例】
実施例1、比較例1
フミン酸ナトリウム塩(テルナイト社製:CH−02)を水100重量部に8重量部溶解し、この溶液にカ−ボンブラック(三菱化成社製:N−550)を35重量部添加攪拌し、固形分濃度30重量%の均一な懸濁液とした。
次に、ポリ酢酸ビニルエマルジョン(高圧ガス工業社製:ペガ−ル649R、固形分濃度50重量%)100重量部に、懸濁液を10重量部と水所定量を添加攪拌し、液状マルチ資材原液(固形分濃度35重量%、ポリ酢酸ビニルエマルジョン中の固形分100重量部に対し、カ−ボンブラック5重量部、フミン酸ナトリウム塩1重量部)を調製した。
マルチ敷設の直前、原液を水で4倍に希釈し、固形分濃度を8.7重量%に調整し、これを液状マルチ資材として使用した。
小松菜を播種した土壌表面に、液状マルチ資材を噴霧器で散布し、マルチ皮膜を形成した散布地区(実施例1)を作り、無散布地区(比較例1)と発芽状態を目視により比較観察した。
播種10日後と15日後の発芽率を表1に示す。なお、表1に示す散布量の単位はg/m、発芽率の単位は%である。
【0037】
実施例2〜3
ポリ酢酸ビニルエマルジョン100重量部に対する懸濁液の配合割合を20重量部(実施例2)と、30重量部(実施例3)にした以外は、実施例1と同様にして液状マルチ資材原液を調製した。
実施例2、3の原液は、固形分濃度35重量%、ポリ酢酸ビニルエマルジョン中の固形分100重量部に対し、カ−ボンブラック10、15重量部、フミン酸ナトリウム塩2、3重量部であった。
上記液状マルチ資材原液を用いて、実施例1と同様な試験を行った結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004313048
【0039】
実施例4〜6
実施例1の黒色顔料、カ−ボンブラック35重量部に代えて、鉄黒(バイエル社製:バイエル318)50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、エマルジョン100重量部に対し、懸濁液10重量部(実施例4)、20重量部(実施例5)、30重量部(実施例6)の液状マルチ資材原液を調製した。
上記液状マルチ資材原液を用いて、実施例1と同様な試験を行った結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 2004313048
【0041】
実施例7〜9
実施例1の酢酸ビニルエマルジョンに代えて、生分解性プラスチックであるポリブチレンサクシネ−ト(昭和高分子社製:ビオノ−レ)のエマルジョンを用いた以外は、実施例1〜3と同様にして、懸濁液10重量部(実施例7)、20重量部(実施例8)、30重量部(実施例9)の液状マルチ資材原液を調製した。
上記液状マルチ資材原液を用いて、実施例1と同様な試験を行った結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 2004313048
【0043】
【発明の効果】
本発明の液状マルチ資材は、貯蔵安定性に優れ、長期間保存しても沈降分離することがない。本発明の液状マルチ資材を用いたマルチ敷設は、通常の散布器で圃場に散布するだけでよく、風害防止用の土乗せも不要であって、マルチ敷設作業の省力化を実現できる。本発明の液状マルチ資材は、培地の表面のみならず、培地の畝面、傾斜面、溝など任意の場所に任意の膜厚に散布することができる。形成されたマルチ皮膜は、優れた保温性、透水性、通気性を有し、しかも、塗布量を変えることによって膜性能を調整することもできる。また、皮膜形成剤として生分解性プラスチックエマルジョンを用いた液状マルチ資材は、低環境負荷のマルチとしてきわめて有用であり、土壌改良効果も期待できる。

Claims (7)

  1. 必須成分として高分子エマルジョン、顔料及びフミン酸塩類を含有し、高分子エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、顔料が0.1〜40重量部、フミン酸塩類が0.1〜20重量部であることを特徴とする液状マルチ資材。
  2. 高分子エマルジョンが、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリルアミドエマルジョンから選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の液状マルチ資材。
  3. 高分子エマルジョンが、少なくとも一種の生分解性プラスチックエマルジョンある請求項1記載の液状マルチ資材。
  4. 顔料が、カーボンブラック、鉄黒、木炭粉末から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の液状マルチ資材。
  5. フミン酸塩類が、土壌、若年炭類、風化した石炭類、レオナダイト類、草炭、若しくは泥炭をアルカリ抽出して得られる高分子有機酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、若年炭類、草炭、若しくは泥炭を硝酸で酸化分解して得られる高分子有機酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の液状マルチ資材。
  6. フミン酸塩類の水溶液に顔料を分散懸濁し、得られた懸濁液と高分子エマルジョンを混合することを特徴とする液状マルチ資材の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の液状マルチ資材を圃場の土壌表面に散布し、土壌表面にマルチ皮膜を形成することを特徴とするマルチ敷設方法。
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