JP7055704B2 - 土壌流出防止材及び土壌流出防止方法 - Google Patents
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Description
そこで、耕作地の周囲に土壌流出を抑制するための植生帯(グリーンベルト)を設置して、表層を流れた土壌をグリーンベルトで捕まえ土壌の流出を減少させる方法が取られてきた。
しかしながら、グリーンベルトによる土壌の流出防止では耕作面積が減少し、耕作者にとって不利益になることから、採用されていない。
この水溶性エマルジョンを製造するに当たっては、酢酸ビニルと疎水性の高い上記ビニル系単量体を安定に共重合するために、アニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤等の乳化剤の使用、若しくはポリビニルアルコール(以下、PVA)等の水溶性高分子の保護コロイドの使用が必要であった(特許文献1参照)。
しかしながら、合成樹脂によって土壌表面に皮膜を形成すると、作物の根圏への給水が抑制され作物の生育が抑制乃至枯死するため、耕作地で採用できない(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献2は、腐植酸について記載がない。
しかしながら、特許文献3は、土壌侵食防止剤について記載がない。
完熟堆肥またはピートモス腐植酸質資材の微粉末と、永久陰荷電を有するアルミノ珪酸塩鉱物の微粉末とを主成分とし、これらに粘土質資材の微粉末、およびモンモリロナイト、カルボキシメチルセルローズ、ポリビニルアルコール、リグニンのいずれかからなるバインダーを加え、混練、造粒してなることを特徴とする作物栽培用用土が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献4は、用途が作物栽培用用土であり、土壌侵食防止剤ではない。
本発明は、下記(1)~(3)の実施形態を示す土壌流出防止材である。
(1)合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
(2)合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
(3)ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
た若年炭の硝酸酸化物(以下、腐植酸粗製物という)と、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれた1価又は2価のアルカリの少なくとも一つを含む無機化合物と、水との混合物を、40~90℃で、0.5~1時間攪拌した後、固液分離工程を行うことにより、液状物として得られる。無機化合物は、pH5~8の範囲になるように、水に添加する。腐植酸抽出液の製法は、特開2017-71522号公報に記載されている。本実施形態では、水で希釈した土壌流出防止材を散布するため、腐植酸抽出液が好ましい。
抽出液の全有機炭素(TOC)濃度の測定方法は、次のように定義される。腐植酸粗製物の抽出液を、3,000×gで遠心分離した上澄み液を、全有機体炭素計(島津製作所製TOC-L)を用いて燃焼触媒酸化方式で測定した値である。肥料成分である尿素等の非腐植物質を含む場合は、国際腐植物質学会法(藤嶽、HumicSubstances Research Vol3、P1-9)に準じて分別したもの(腐植酸及びフルボ酸画分)を上記の手法にて定量し、抽出液の全有機炭素(TOC)濃度を測定する。
合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合や、合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合、腐植酸の使用量は、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部がより好ましく、0.1~3質量部が最も好ましい。
ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合(特に合成樹脂エマルジョンを使用しない場合)、腐植酸の使用量は、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。
合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合、PVAの使用量は、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。
合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合、土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸の含有量は、以下の通りである。合成樹脂エマルジョンの含有量は、80~98.5質量%が好ましく、93~98質量%がより好ましい。ポリビニルアルコールの含有量は、0.3~20質量%が好ましく、2~7質量%がより好ましい。腐植酸の含有量は、0.005~8質量%が好ましく、0.5~2質量%がより好ましい。
本実施形態は、赤土の流出を防止することにより、河川や海洋の汚染を防止すると共に、植栽物の生育を保護し、厳しい気象条件下での耐久性、耐候性、施工性、土壌流出防止効果を向上できる。
赤土が酸性である場合。例えば、赤土のpHが4以上6以下である場合。
赤土が鉄分を多く含有する場合。例えば、酸化第二鉄の含有量が、5質量% 以上15質量%以下である場合。
赤土がアルミニウム分を多く含有する場合。例えば、酸化アルミニウムの含有量が、10質量%以上20質量%以下である場合。
以下、本発明の参考形態の例を付記しておく。
1.
合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
2.
合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
3.
ポリビニルアルコールの使用量が、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部である2.記載の土壌流出防止材。
4.
合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である1.又は2記載の土壌流出防止材。
5.
腐植酸の使用量が、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である1.~4のうちの1つ記載の土壌流出防止材。
6.
ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
7.
腐植酸の使用量が、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である6.記載の土壌流出防止材。
8.
腐植酸が腐植酸抽出液である1.~7のうちの1つ記載の土壌流出防止材。
9.
土壌が赤土である1.~8のうちの1つ記載の土壌流出防止材。
10.
赤土が酸性である9.記載の土壌流出防止材。
11.
土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、合成樹脂エマルジョンの含有量が80~98.5質量%であり、ポリビニルアルコールの含有量が0.3~20質量%であり、腐植酸の含有量が0.005~8質量%である2.記載の土壌流出防止材。
12.
1.~11の何れか1つに記載の土壌流出防止材を土壌に散布する土壌流出防止方法。
13.
土壌流出防止材の使用量が圃場1m 2 あたり200~5000g/m 2 であり、水で希釈して使用する12.に記載の土壌流出防止方法。
合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)、PVA5質量部(固形分)、腐植酸0.5質量部(固形分)混合し、得られた土壌流出防止材につき、以下に記載した試験を行い、その評価を表1に示した。ここで、合成樹脂エマルジョンはデンカEVAテックス50(固形分55質量%、エチレン/酢酸ビニル(質量比)=20/80、ガラス転移温度0℃、デンカ株式会社製)、PVA水溶液はデンカポバールB-24N(平均重合度2400,ケン化度88モル%、デンカ株式会社製)、腐植酸は腐植酸抽出液(固形分濃度13質量%、pH6~7、全炭素量50000mg/L)を使用した。
本実施形態の土壌流出防止材250g(固形分)を水で8倍に希釈した。水で希釈した土壌流出防止材を500g/m2(固形分)の割合で均等になるように、ジョウロで圃場に散布した。圃場の土壌は、赤土である。
◎:施工性良好(ジョウロから均質に土壌流出防止材が排水できる)
○:施工性やや良好(ジョウロから均質に土壌流出防止材が排水できない場合がある)
△:施工性不良(ジョウロから土壌流出防止材が排水するのが困難)
土壌含有量は、枡3の内部に流入した流出水2Aを撹拌機で撹拌して均質にした後、1リットルのポリ瓶に採取し、「昭和46年環境庁告示第59号 付表9」に従い、測定した。
○:流出水の濁り薄い(流出水2A中の土壌含有量が100ppm未満)
△:流出水の濁りやや濃い(流出水2A中の土壌含有量が100ppm以上200ppm未満)
×:流出水の濁り濃い(流出水2A中の土壌含有量が200ppm以上)
圃場にサトウキビの苗を定植後、表1の組成を示す土壌流出防止材を水で8倍に希釈し、500g/m2(固形分)の割合で均等になるように、ジョウロで圃場に散布した。収量指数は、土壌流出防止材不使用の慣行区の収量100に対する収量として算出した。
○:サトウキビの生育・収量良好(土壌流出防止材不使用の慣行区に比べ収量指数が103以上)
△:サトウキビの生育・収量並み(土壌流出防止材不使用の慣行区に比べ収量指数が103未満95以上)
×:サトウキビの生育・収量並み(土壌流出防止材不使用の慣行区に比べ収量指数が95未満)
実施例2~6は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表1に示す量に変更したものである。これらの実施例についても、実施例1と同一の試験を行い、その評価結果を表1に示した。
比較例1は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表1に示したものに変更したものである。比較例1についても、実施例1と同一の試験を行い、その評価結果を表1に示した。
実施例7は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表1に示したものに変更したものである。実施例7についても、実施例1と同一の試験を行い、その評価結果を表1に示した。
PVA100質量部(固形分)、腐植酸1質量部(固形分)混合し、得られた土壌流出防止材につき、実施例1と同一の試験を行い、その評価を表2に示した。実施例8は、合成樹脂エマルジョンは使用しなかった。
比較例2~3は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表2に示す量に変更したものである。これらの実施例についても、実施例8と同一の試験を行い、その評価結果を表2に示した。
合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する本実施形態は、作物の収穫量を増大する(実施例1~7と比較例1との対比)。合成樹脂エマルジョン及び腐植酸に加え、PVAを使用すると、施工性が大きくなり、土壌流出を防止する効果も向上する(実施例1~6と実施例7との対比)。土壌流出防止材の使用量を300~1000g/m2にすることにより、効果が大きくなる(実施例1~4と実施例5~6との対比)。
ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する本実施形態は、作物の収穫量を増大し、土壌流出を防止する効果を有する(実施例8と比較例2~3との対比)。
本実施形態の土壌流出防止材は土壌の流出を防止するだけではなく、農地での作物の生産性を向上する。
2、2A 流出水
3 枡
4 土壌
11 圃場
Claims (11)
- 合成樹脂エマルジョン及び腐植酸抽出液を含有し、
前記合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である土壌流出防止材。 - 合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸抽出液を含有し、
前記合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である土壌流出防止材。 - 前記ポリビニルアルコールの使用量が、前記合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部である請求項2記載の土壌流出防止材。
- 前記腐植酸の使用量が、前記合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である請求項1~3のうちの1項記載の土壌流出防止材。
- ポリビニルアルコール及び腐植酸抽出液を含有し、
前記腐植酸抽出液は、若年炭の硝酸酸化物をpH5~7の範囲で抽出した抽出液である土壌流出防止材。 - 腐植酸の使用量が、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である請求項5記載の土壌流出防止材。
- 前記土壌が赤土である請求項1~6のうちの1項記載の土壌流出防止材。
- 前記赤土が酸性である請求項7記載の土壌流出防止材。
- 土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、前記合成樹脂エマルジョンの含有量が80~98.5質量%であり、前記ポリビニルアルコールの含有量が0.3~20質量%であり、前記腐植酸抽出液の含有量が0.005~8質量%である請求項2記載の土壌流出防止材。
- 請求項1~9の何れか1項に記載の土壌流出防止材を土壌に散布する土壌流出防止方法。
- 土壌流出防止材の使用量が圃場1m2あたり200~5000g/m2であり、水で希釈して使用する請求項10に記載の土壌流出防止方法。
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