JP7055704B2 - 土壌流出防止材及び土壌流出防止方法 - Google Patents

土壌流出防止材及び土壌流出防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、土壌流出防止材に関する。本発明は、例えば、作物の生育を促進し、土壌流出を防止する土壌流出防止材及び土壌の流出防止方法に関する。
農耕地では目的とする作物以外の植物は、一般的に雑草として処理するため地表が剥き出しになっている場所が多い。そのような耕作地は降雨等により表面の土壌が侵食され、雨水と同時に表層の土壌が流れるといった、土壌浸食及び土壌流出の課題があった。流出した土壌は水質汚濁や土壌堆積により、河川及び海洋生物の生育を阻害していた。
そこで、耕作地の周囲に土壌流出を抑制するための植生帯(グリーンベルト)を設置して、表層を流れた土壌をグリーンベルトで捕まえ土壌の流出を減少させる方法が取られてきた。
しかしながら、グリーンベルトによる土壌の流出防止では耕作面積が減少し、耕作者にとって不利益になることから、採用されていない。
更に、土木現場等で土壌の流出防止のために土壌の表面に合成樹脂を散布し皮膜を作ることにより、雨水が樹脂表面上を流れ降雨による土壌表面の侵食を防ぐ方法がとられている。
合成樹脂としては、酢酸ビニルと共重合し得るアクリル酸エステル、エチレン等のビニル系単量体を共重合し、内部可塑化された比較的柔軟な皮膜を形成する水溶性エマルジョンが用いられてきた。
この水溶性エマルジョンを製造するに当たっては、酢酸ビニルと疎水性の高い上記ビニル系単量体を安定に共重合するために、アニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤等の乳化剤の使用、若しくはポリビニルアルコール(以下、PVA)等の水溶性高分子の保護コロイドの使用が必要であった(特許文献1参照)。
しかしながら、合成樹脂によって土壌表面に皮膜を形成すると、作物の根圏への給水が抑制され作物の生育が抑制乃至枯死するため、耕作地で採用できない(特許文献1参照)。
合成樹脂エマルジョンを含む土壌侵食防止剤であって、前記エマルジョンは、固形分率が30~70質量%であり、且つ前記エマルジョン中の固形分率が40質量%になるように水分量を調整した上で、30℃で測定した粘度が50mPa・s以下である、土壌侵食防止剤が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2は、腐植酸について記載がない。
pH5.0~7.0の範囲で、全有機炭素濃度が20,000mg/L以上である腐植酸抽出液が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3は、土壌侵食防止剤について記載がない。
完熟堆肥またはピートモス腐植酸質資材の微粉末と、永久陰荷電を有するアルミノ珪酸塩鉱物の微粉末とを主成分とし、これらに粘土質資材の微粉末、およびモンモリロナイト、カルボキシメチルセルローズ、ポリビニルアルコール、リグニンのいずれかからなるバインダーを加え、混練、造粒してなることを特徴とする作物栽培用用土が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献4は、用途が作物栽培用用土であり、土壌侵食防止剤ではない。
特開昭57-59983号公報 国際公開第2015/122333号公報 特開2017-71522号公報 特開昭62-79714号公報
本発明が解決しようとする課題は、作物の収穫量を増大する土壌流出防止材を提供することである。
本発明は、合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材であり、合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材であり、ポリビニルアルコールの使用量が、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部である該土壌流出防止材であり、合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である該土壌流出防止材であり、腐植酸の使用量が、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である該土壌流出防止材であり、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材であり、腐植酸の使用量が、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である該土壌流出防止材であり、腐植酸が腐植酸抽出液である該土壌流出防止材であり、土壌が赤土である該土壌流出防止材であり、赤土が酸性である該土壌流出防止材であり、土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、合成樹脂エマルジョンの含有量が80~98.5質量%であり、ポリビニルアルコールの含有量が0.3~20質量%であり、腐植酸の含有量が0.005~8質量%である該土壌流出防止材であり、該土壌流出防止材を土壌に散布する土壌流出防止方法であり、土壌流出防止材の使用量が圃場1mあたり200~5000g/mであり、水で希釈して使用する該土壌流出防止方法である。
本発明は、作物の収穫量を増大する土壌流出防止材を提供できる。
図1は本発明の試験を実施した圃場の断面模式図である。
以下、本発明の各構成につき詳細に説明する。固形分は、以下、不揮発分ということもある。
本発明は、下記(1)~(3)の実施形態を示す土壌流出防止材である。
(1)合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
(2)合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
(3)ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
本実施形態に使用する合成樹脂エマルジョンとしては、水溶性エマルジョン(以下、水溶性エマルジョンということもある)が好ましい。
水溶性(以下、水性ということもある)エマルジョンに使用する水性樹脂としては、酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ビニリデン樹脂、ポリブテン樹脂、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、(メタ)アクリレート-ブタジエン樹脂、アスファルト、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニルとエチレン性不飽和単量体の共重合体が好ましい。エチレン性不飽和単量体の中では、エチレンが好ましい。これらの中では、酢酸ビニルとエチレン性不飽和単量体の共重合体が好ましく、エチレン-酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
酢酸ビニルと共重合し得るエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド等のハロゲン化オレフィン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの四級化物、(メタ)アクリルアミド系単量体及びそのナトリウム塩、スチレン系単量体、N-ビニルピロリドン、ジエン単量体が挙げられる。これらの中では、エチレンが好ましい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン(以下、EVAエマルジョンという)とは、ポリマーとして、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)を使用したエマルジョンをいう。EVAのポリマーのガラス転移温度は20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。EVAのポリマーのガラス転移温度は-50℃以上が好ましく、-10℃以上がより好ましい。
ここでいうガラス転移とは、高温では液体であるガラス等の物質が温度降下により、ある温度範囲で急激にその粘度を増し、ほとんど流動性を失って非晶質固体になるという変化を指す。ガラス転移温度の測定方法としては特に限定はないが、一般に熱重量測定、示差走査熱量測定、示差熱測定、動的粘弾性測定より算出されたガラス転移温度を指す。これらの中では、動的粘弾性測定が好ましい。
EVAのポリマー組成は、エチレン/酢酸ビニル(質量比)=(5~40)/(95~60)が好ましく、(10~30)/(70~90)がより好ましい。EVAエマルジョンは、通常、液体で使用するが、粉末タイプの使用も可能である。
本実施形態に使用する腐植酸は、腐植酸や腐植酸塩を含む。腐植酸としては、泥炭や風化炭等天然に産出される天然腐植酸、亜炭の硝酸酸化等により人工的に製造される人工腐植酸、及び、天然腐植酸又は人工腐植酸を例えばナトリウム、カリウム、アンモニア、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ物質で中和した腐植酸塩等が挙げられる。腐植酸としては、フミン酸、ニトロフミン酸、フミン酸アンモニウム、フミン酸カルシウム、フミン酸マグネシウム、ニトロフミン酸アンモニウム、ニトロフミン酸カルシウム、ニトロフミン酸マグネシウム等が挙げられる。腐植酸の中では、腐植酸抽出液が好ましい。
腐植酸抽出液とは、亜炭や褐炭等の若年炭の硝酸酸化物をpH5~8の範囲で抽出した抽出液、好ましくはpH5~7の範囲で抽出した抽出液をいう。腐植酸抽出液は、例えば、若年炭を硝酸で酸化分解させて得られ
た若年炭の硝酸酸化物(以下、腐植酸粗製物という)と、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれた1価又は2価のアルカリの少なくとも一つを含む無機化合物と、水との混合物を、40~90℃で、0.5~1時間攪拌した後、固液分離工程を行うことにより、液状物として得られる。無機化合物は、pH5~8の範囲になるように、水に添加する。腐植酸抽出液の製法は、特開2017-71522号公報に記載されている。本実施形態では、水で希釈した土壌流出防止材を散布するため、腐植酸抽出液が好ましい。
腐植酸抽出液の全有機炭素濃度は5,000mg/L以上が好ましい。腐植酸抽出液の全有機炭素濃度は60,000mg/L以下が好ましい。腐植酸抽出液の全有機炭素濃度は、10,000~50,000mg/Lがより好ましい。
抽出液の全有機炭素(TOC)濃度の測定方法は、次のように定義される。腐植酸粗製物の抽出液を、3,000×gで遠心分離した上澄み液を、全有機体炭素計(島津製作所製TOC-L)を用いて燃焼触媒酸化方式で測定した値である。肥料成分である尿素等の非腐植物質を含む場合は、国際腐植物質学会法(藤嶽、HumicSubstances Research Vol3、P1-9)に準じて分別したもの(腐植酸及びフルボ酸画分)を上記の手法にて定量し、抽出液の全有機炭素(TOC)濃度を測定する。
本実施形態は、ポリビニルアルコール(PVA)を使用してもよい。本実施形態のポリビニルアルコール(PVA)は、例えば、水溶性エマルジョンの分散剤として用いられる。PVAの平均重合度は、100~4000が好ましく、1000~3500がより好ましく、2000~3000が最も好ましい。PVAは、平均重合度が大きいほど乳化分散力が高まるので、所望の分散性を有するエマルジョンが得られるように、適切な平均重合度を有するポリビニルアルコールを使用すればよい。ポリビニルアルコールのケン化度は、水溶性を向上する点で、70%以上が好ましく、80~95%がより好ましい。ここでいうPVAの平均重合度やケン化度は、JIS K 6726に準ずる方法で測定される値である。
各成分の使用量は、下記の通りである。
合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合や、合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合、腐植酸の使用量は、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部がより好ましく、0.1~3質量部が最も好ましい。
ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合(特に合成樹脂エマルジョンを使用しない場合)、腐植酸の使用量は、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。
合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合、PVAの使用量は、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。
合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材である場合、土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸の含有量は、以下の通りである。合成樹脂エマルジョンの含有量は、80~98.5質量%が好ましく、93~98質量%がより好ましい。ポリビニルアルコールの含有量は、0.3~20質量%が好ましく、2~7質量%がより好ましい。腐植酸の含有量は、0.005~8質量%が好ましく、0.5~2質量%がより好ましい。
土壌流出防止材は水で希釈して使用する。水で希釈した場合、土壌流出防止材の固形分濃度は、5~45質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。固形分濃度を5質量%以上にすると、効果が大きくなる。固形分濃度を45質量%以下にすると、粘度が低くなり、土壌流出防止材を容易に撒布できる。
本実施形態の土壌流出防止材の使用方法について説明する。土壌流出防止材は、保護すべき土壌に対して単独で使用してもよく、種子や肥料等を混合した土壌に混合して使用してもよい。土壌流出防止材を対象面に使用する方法に特に制限はなく、例えば、散布や吹付等を挙げることができる。
土壌流出防止材の使用量(固形分)は、圃場1m当たり、200~5000g/mが好ましく、300~1000g/mがより好ましい。
本実施形態は、土壌が赤土である場合、優れた効果を有する。例えば、沖縄等の亜熱帯の島々では、強い降雨により、工事現場や農地等の赤土壌が侵食されて河川や海洋に流出し、水質環境へ悪影響を与えるおそれがあった。
本実施形態は、赤土の流出を防止することにより、河川や海洋の汚染を防止すると共に、植栽物の生育を保護し、厳しい気象条件下での耐久性、耐候性、施工性、土壌流出防止効果を向上できる。
例えば、赤土の物性が下記である場合、優れた効果を有する。下記である赤土としては、例えば、国頭マージ土が挙げられる。
赤土が酸性である場合。例えば、赤土のpHが4以上6以下である場合。
赤土が鉄分を多く含有する場合。例えば、酸化第二鉄の含有量が、5質量% 以上15質量%以下である場合。
赤土がアルミニウム分を多く含有する場合。例えば、酸化アルミニウムの含有量が、10質量%以上20質量%以下である場合。
以下、本発明の参考形態の例を付記しておく。
1.
合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
2.
合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
3.
ポリビニルアルコールの使用量が、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部である2.記載の土壌流出防止材。
4.
合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である1.又は2記載の土壌流出防止材。
5.
腐植酸の使用量が、合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である1.~4のうちの1つ記載の土壌流出防止材。
6.
ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する土壌流出防止材。
7.
腐植酸の使用量が、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である6.記載の土壌流出防止材。
8.
腐植酸が腐植酸抽出液である1.~7のうちの1つ記載の土壌流出防止材。
9.
土壌が赤土である1.~8のうちの1つ記載の土壌流出防止材。
10.
赤土が酸性である9.記載の土壌流出防止材。
11.
土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、合成樹脂エマルジョンの含有量が80~98.5質量%であり、ポリビニルアルコールの含有量が0.3~20質量%であり、腐植酸の含有量が0.005~8質量%である2.記載の土壌流出防止材。
12.
1.~11の何れか1つに記載の土壌流出防止材を土壌に散布する土壌流出防止方法。
13.
土壌流出防止材の使用量が圃場1m あたり200~5000g/m であり、水で希釈して使用する12.に記載の土壌流出防止方法。
以下、本実施形態の実験例に基づいて説明する。以下の実験例で言う「圃場」は断りがない限り、実験例を説明するために設けた次の圃場を言う。概略は図1に示す。圃場11とは傾斜3%、幅2.8m、縦30mの枠組みに、栽培のための土壌4を充填し、枠組み下部には降水1により流出水2を溜めることの出来る枡3が備え付けられている。流出水2は、圃場表層を流れる表層流水と、その水により流される土壌とを、含む。圃場の土壌4は、赤土(pH5、酸化第二鉄含有量8質量%、酸化アルミニウム含有量18質量%)である。その圃場では、施工試験や土壌流出防止試験と同時に、サトウキビを栽培し、サトウキビの収穫量も試験した。
実施例1
合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)、PVA5質量部(固形分)、腐植酸0.5質量部(固形分)混合し、得られた土壌流出防止材につき、以下に記載した試験を行い、その評価を表1に示した。ここで、合成樹脂エマルジョンはデンカEVAテックス50(固形分55質量%、エチレン/酢酸ビニル(質量比)=20/80、ガラス転移温度0℃、デンカ株式会社製)、PVA水溶液はデンカポバールB-24N(平均重合度2400,ケン化度88モル%、デンカ株式会社製)、腐植酸は腐植酸抽出液(固形分濃度13質量%、pH6~7、全炭素量50000mg/L)を使用した。
[施工試験]
本実施形態の土壌流出防止材250g(固形分)を水で8倍に希釈した。水で希釈した土壌流出防止材を500g/m(固形分)の割合で均等になるように、ジョウロで圃場に散布した。圃場の土壌は、赤土である。
◎:施工性良好(ジョウロから均質に土壌流出防止材が排水できる)
○:施工性やや良好(ジョウロから均質に土壌流出防止材が排水できない場合がある)
△:施工性不良(ジョウロから土壌流出防止材が排水するのが困難)
[土壌流出防止試験]
土壌含有量は、枡3の内部に流入した流出水2Aを撹拌機で撹拌して均質にした後、1リットルのポリ瓶に採取し、「昭和46年環境庁告示第59号 付表9」に従い、測定した。
○:流出水の濁り薄い(流出水2A中の土壌含有量が100ppm未満)
△:流出水の濁りやや濃い(流出水2A中の土壌含有量が100ppm以上200ppm未満)
×:流出水の濁り濃い(流出水2A中の土壌含有量が200ppm以上)
[サトウキビ収量試験]
圃場にサトウキビの苗を定植後、表1の組成を示す土壌流出防止材を水で8倍に希釈し、500g/m(固形分)の割合で均等になるように、ジョウロで圃場に散布した。収量指数は、土壌流出防止材不使用の慣行区の収量100に対する収量として算出した。
○:サトウキビの生育・収量良好(土壌流出防止材不使用の慣行区に比べ収量指数が103以上)
△:サトウキビの生育・収量並み(土壌流出防止材不使用の慣行区に比べ収量指数が103未満95以上)
×:サトウキビの生育・収量並み(土壌流出防止材不使用の慣行区に比べ収量指数が95未満)
実施例2~6
実施例2~6は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表1に示す量に変更したものである。これらの実施例についても、実施例1と同一の試験を行い、その評価結果を表1に示した。
比較例1
比較例1は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表1に示したものに変更したものである。比較例1についても、実施例1と同一の試験を行い、その評価結果を表1に示した。
実施例7
実施例7は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表1に示したものに変更したものである。実施例7についても、実施例1と同一の試験を行い、その評価結果を表1に示した。
Figure 0007055704000001
実施例8
PVA100質量部(固形分)、腐植酸1質量部(固形分)混合し、得られた土壌流出防止材につき、実施例1と同一の試験を行い、その評価を表2に示した。実施例8は、合成樹脂エマルジョンは使用しなかった。
比較例2~3
比較例2~3は、土壌流出防止材の組成及び土壌流出防止材の散布量を、表2に示す量に変更したものである。これらの実施例についても、実施例8と同一の試験を行い、その評価結果を表2に示した。
Figure 0007055704000002
実験例より、下記が認められる。
合成樹脂エマルジョン及び腐植酸を含有する本実施形態は、作物の収穫量を増大する(実施例1~7と比較例1との対比)。合成樹脂エマルジョン及び腐植酸に加え、PVAを使用すると、施工性が大きくなり、土壌流出を防止する効果も向上する(実施例1~6と実施例7との対比)。土壌流出防止材の使用量を300~1000g/mにすることにより、効果が大きくなる(実施例1~4と実施例5~6との対比)。
ポリビニルアルコール及び腐植酸を含有する本実施形態は、作物の収穫量を増大し、土壌流出を防止する効果を有する(実施例8と比較例2~3との対比)。
本実施形態は、作物の収穫量を増大する。本実施形態は、植生の生育を促進する効果を有し、耐水性に優れ、土壌の流出を抑制し、透水を促す土壌流出防止材を提供できる。本実施形態は、耕作地の土壌流出防止や草勢の整っていない緑地の土壌流出防止に好適である。本実施形態は、耕作物の生育を促進し、生産量(収穫量)が増大することにより、耕作者の生産意欲を向上させる効果を奏するとともに、土壌流出を防止し、環境への負荷を低減できる。本実施形態は、土壌が赤土である場合、優れた効果を有する。
本実施形態の土壌流出防止材は土壌の流出を防止するだけではなく、農地での作物の生産性を向上する。
1 降水
2、2A 流出水
3 枡
4 土壌
11 圃場

Claims (11)

  1. 合成樹脂エマルジョン及び腐植酸抽出液を含有し、
    前記合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である土壌流出防止材。
  2. 合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール及び腐植酸抽出液を含有し、
    前記合成樹脂エマルジョンがエチレン-酢酸ビニル共重合体である土壌流出防止材。
  3. 前記ポリビニルアルコールの使用量が、前記合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.5~20質量部である請求項2記載の土壌流出防止材。
  4. 前記腐植酸の使用量が、前記合成樹脂エマルジョン100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である請求項1~のうちの1項記載の土壌流出防止材。
  5. ポリビニルアルコール及び腐植酸抽出液を含有し、
    前記腐植酸抽出液は、若年炭の硝酸酸化物をpH5~7の範囲で抽出した抽出液である土壌流出防止材。
  6. 腐植酸の使用量が、ポリビニルアルコール100質量部(固形分)に対して、固形分換算で、0.01~5質量部である請求項記載の土壌流出防止材。
  7. 前記土壌が赤土である請求項1~のうちの1項記載の土壌流出防止材。
  8. 前記赤土が酸性である請求項記載の土壌流出防止材。
  9. 土壌流出防止材(固形分)100質量%中における、前記合成樹脂エマルジョンの含有量が80~98.5質量%であり、前記ポリビニルアルコールの含有量が0.3~20質量%であり、前記腐植酸抽出液の含有量が0.005~8質量%である請求項2記載の土壌流出防止材。
  10. 請求項1~の何れか1項に記載の土壌流出防止材を土壌に散布する土壌流出防止方法。
  11. 土壌流出防止材の使用量が圃場1mあたり200~5000g/mであり、水で希釈して使用する請求項10に記載の土壌流出防止方法。
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