JP2004310478A - 高速気体圧力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気圧サーボ弁の応答特性における非線形性が吸収されるとともに、接続する空気圧管路等の無駄時間特性によるゲイン低下が防止され、空気圧の高速制御が可能となる高速圧力制御装置を提供する。
【解決手段】空気圧サーボ弁の気体出口に配置された流量センサ1によって測定される気体流量に応じて第1の制御信号を空気圧サーボ弁に出力するとともに、当該流量センサ1の下流に配置された圧力センサ2によって測定される空気圧に応じて第2の制御信号を空気圧サーボ弁に出力し、空気圧サーボ弁を制御するカスケード制御機構を備える高速気体圧力制御装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速気体圧力制御装置に関し、特に空気圧機器等における圧力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧力容器または空気圧機器の管路内の空気圧を制御する装置として、空気圧サーボ弁を用いる制御装置がある。この制御装置は、対象となる圧力容器または管路内の空気圧を圧力センサを用いて検出し、その検出信号を圧力制御演算器にフィードバックして目標圧力との差を計算する。そして、その差がなくなるようにPID制御(P:比例、I:積分、D:微分)演算を行って、空気圧サーボ弁の作動部に制御電圧を入力するものである(特許文献1、2等参照)。
【0003】
【特許文献1】
特表2001−517820号公報
【特許文献2】
特表2001−517821号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、空気圧サーボ弁は、応答特性が非線形性を有し、また負荷として接続する空気圧管路の無駄時間特性によりゲインの低下を起こしてしまう。さらに、空気圧サーボ弁は、いわゆるオーバーラップ特性と呼ばれる特性を示すため、中立点近傍で空気流が流れない領域では、制御性の劣化が著しくなる。そのため、圧力センサによる圧力検出信号をフィードバックして空気圧サーボ弁を制御する従来の制御装置は、高速で空気圧を制御できなかった。
【0005】
そこで、本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気圧サーボ弁の応答特性における非線形性が吸収されるとともに、接続する空気圧管路等の無駄時間特性によるゲイン低下が防止され、空気圧の高速制御が可能となる高速圧力制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、空気圧サーボ弁を通じて流通する空気の圧力を制御する高速気体圧力制御装置であって、前記空気圧サーボ弁の気体出口に配置された流量センサと、当該流量センサの下流に配置された圧力センサとを備え、前記流量センサによって測定される気体流量に応じて第1の制御信号を前記空気圧サーボ弁に出力するとともに、前記圧力センサによって測定される空気圧に応じて第2の制御信号を前記空気圧サーボ弁に出力し、前記第1の制御信号と第2の制御信号によって前記空気圧サーボ弁を制御するカスケード制御機構を備える高速気体圧力制御装置を発明の構成とする。
【0007】
この高速気体圧力制御装置では、流量センサによって測定される気体流量に応じてマイナーループ制御を行うことにより、空気圧サーボ弁の応答特性における非線形性が吸収される。また、接続する空気圧管路等の無駄時間特性によるゲイン低下が防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る高速気体圧力制御装置の構成を示すブロック図である。
【0009】
図1に示す高速気体圧力制御装置は、流量センサ1と、圧力センサ2と、第1の制御手段3と、第2の制御手段4とを含むカスケード制御機構を備えるものである。
【0010】
流量センサ1は、空気圧サーボ弁6の気体出口7に流路6bを介して連絡され、空気圧サーボ弁6から流出する空気の流量を測定するように構成される。また、流量センサ1は、信号伝送線1aを介して第1の制御手段3に接続されている。さらに、この流量センサ1は、流路1bに連絡されている。この流量センサ1は、空気圧サーボ弁6を通って気体出口7より流路6bに流出する空気の流量を検出し、その流量に関する検出信号を信号伝送線1aを介して第1の制御手段3に出力するものである。
【0011】
圧力センサ2は、前記流量センサ1の後流側の流路1bに圧力導入管2bを介して接続され、流路1bにおける空気圧を測定するように構成される。また、圧力センサ2は、信号伝送線2aを介して第2の制御手段4に接続されている。
この圧力センサ2は、流路1bにおける空気圧を検出し、その空気圧に関する検出信号を信号伝送線2aを介して第2の制御手段4に出力するものである。
【0012】
第1の制御手段3は、信号伝送線1aを介して流量センサ1と接続され、さらに信号伝送線3aを介して空気圧サーボ弁6に接続されている。この第1の制御手段3は、流量センサ1から信号伝送線1aを介して出力される流量に関する検出信号を受信して、その検出信号に基づいてPID制御演算を行う。そして、その演算結果に基づいて、空気圧サーボ弁6を制御する信号(第1の制御信号)を信号伝送線3aを介して空気圧サーボ弁6に出力するものである。
【0013】
第2の制御手段4は、信号伝送線2aを介して圧力センサ2と接続され、さらに信号伝送線4aを介して空気圧サーボ弁6に接続されている。この第2の制御手段4は、圧力センサ2から信号伝送線2aを介して出力される圧力に関する検出信号を受信して、その検出信号に基づいてPID制御演算を行う。そして、その演算結果に基づいて、空気圧サーボ弁6を制御する信号(第2の制御信号)を信号伝送線4aを介して空気圧サーボ弁6に出力するものである。
【0014】
この高速気体圧力制御装置において、流量センサ1と、信号伝送線1aと、第1の制御手段3と、信号伝送線3aとによってマイナーループの制御機構が構成されている。さらに、流量センサ1と、その流量センサ1と信号伝送線1aを介して接続された第1の制御手段3と、信号伝送線3aと、流量センサ1の後流側に配置した圧力センサ2と、信号伝送線2aと、第2の制御手段4と、信号伝送線4aとによってカスケード制御機構が構成される。
【0015】
次に、この図1に示す高速気体圧力制御装置による空気圧の制御方法について説明する。
【0016】
図1に示す装置において、空気圧サーボ弁6には、図示しない空気圧供給源から流路5を通って空気が供給される。そして、空気圧サーボ弁6の気体出口7より流路6bを通って流出する空気の流量が、流量センサ1によって検出される。流量に関する検出信号は、信号伝送線1aを介して第1の制御手段3に入力される。
【0017】
第1の制御手段3は、流量センサ1より入力された流量に関する信号に基づいてPID制御演算を行う。そして、その演算結果に基づいて、空気圧サーボ弁6を制御する信号(第1の制御信号)を信号伝送線3aを介して空気圧サーボ弁6に出力する。この流量センサ1による流量の検出、その流量に関する検出信号に基づく第1の制御手段における制御信号の演算、さらに、その制御信号による空気圧サーボ弁6の制御により、マイナーループ制御が行われる。
【0018】
この第1の制御手段3におけるPID制御演算は、流量センサ1で検出された流量と目標流量とを比較対照して偏差を求め、その偏差によって、例えば、下記式(1)によって空気圧サーボ弁6の制御量を求める演算である。また、場合によっては、不完全微分演算式によって制御量を求めることが必要とされる。そして、その制御量に関する信号(第1の制御信号)は、空気圧サーボ弁に電圧信号として出力される。
制御量=Kp×偏差+Ki×偏差の累積値+Kd×前回偏差との差 (1)
Kp:比例ゲイン
Ki:積分の比例係数
Kd:微分の比例係数
【0019】
また、圧力センサ2においては、流路1b内の空気圧が検出され、その空気圧に関する検出信号が、信号伝送線2aを介して第1の制御手段4に出力される。
【0020】
第2の制御手段4は、圧力センサ2より入力された圧力に関する検出信号に基づいてPID制御演算を行う。そして、その演算結果に基づいて、空気圧サーボ弁6を制御する信号(第2の制御信号)を信号伝送線4aを介して空気圧サーボ弁6に出力する。この第2の制御手段4におけるPID制御演算は、圧力センサ2で検出された圧力と目標圧力とを比較対照して偏差を求め、その偏差によって、例えば、前記式(1)と同様にして空気圧サーボ弁6の制御量を求める演算である。そして、その制御量に関する信号(第2の制御信号)は、空気圧サーボ弁6に電圧信号として出力される。
【0021】
空気圧サーボ弁6は、第1の制御手段3から入力される第1の制御信号によって、空気圧サーボ弁6の気体出口7より流出する空気の流量が目標流量になるように弁開度をマイナーループ制御するとともに、第2の制御手段4から入力される第2の制御信号によって、流路1bにおける空気圧が目標圧力になるように弁開度を制御する。この2つの制御信号による空気圧サーボ弁6の制御によって、流路1bにおける空気圧が高速で制御される。特に、前記マイナーループ制御により、空気圧サーボ弁6の応答特性における非線形性が吸収され、また、接続する空気圧管路等の無駄時間特性によるゲイン低下が防止され、空気圧が高速で制御される。
【0022】
なお、図1に示す装置では、第1の制御手段3と第2の制御手段4とが、それぞれ別個独立に構成され、第1の制御手段3からの第1の制御信号と第2の制御手段4から第2の制御信号とがそれぞれ信号伝送線3a、4aを介して別個独立に空気圧サーボ弁6に入力するように構成されている。しかし、本発明の高速気体圧力制御装置は、この構成に限定されず、第1の制御手段3と第2の制御手段4とが各制御手段に対応する制御機構を備え、空気圧サーボ弁6と単一の信号伝送線で接続されている単一の制御手段によって構成されていてもよい。この単一の制御手段は、流量センサ1より流量に関する検出信号が入力されて、前記第1の制御手段3と同様に第1の制御信号を生成して、これを信号伝送線Aを介して空気圧サーボ弁6に出力して空気圧サーボ弁6を制御する。同時に、圧力センサ2より圧力に関する検出信号が入力されて、前記第2の制御手段4と同様に第2の制御信号を生成して、これを信号伝送線を介して空気圧サーボ弁6に出力して空気圧サーボ弁6を制御する。
【0023】
次に、図2は、本発明の高速気体圧力制御装置を用いて、空気を充填するチャンバ8内の空気圧を制御する実施形態を示す概略構成図である。
【0024】
この図2に示す装置は、圧力供給源9に流路10を介して連絡された空気圧サーボ弁11と、その空気圧サーボ弁11の気体出口12に連絡された高速流量センサ14と、高速流量センサ14の下流側に配置され、チャンバ8に接続された圧力センサ15と、パーソナルコンピュータ16(第1の制御手段および第2の制御手段)とから構成される。
【0025】
空気圧サーボ弁11は、信号伝送線16aを介してパーソナルコンピュータ16と接続されている。この空気圧サーボ弁11は、パーソナルコンピュータ16から信号伝送線16aを介して入力する制御信号に基づいて弁を開閉し、圧力供給源9より流路10を通って流入する空気の流量を制御するものである。
【0026】
高速流量センサ14は、流路13を介して空気圧サーボ弁11の気体出口12に連絡し、また、流路17を介してチャンバ8に連絡している。また、高速流量センサ14は、信号伝送線14aを介してパーソナルコンピュータ16と接続されている。この高速流量センサ14は、流路13を通って流入する空気の流量を検出して、その流量に関する検出信号を信号伝送線14aを介してパーソナルコンピュータ16に出力するものである。
【0027】
チャンバ8は、流路17を介して高速流量センサ14の後流側に配置され、気体導入口18より空気が流入して、内部に空気が充填されるものである。このチャンバ8は、流路19を介して電磁弁20に連絡している。また、電磁弁20は、空気排出路21に連絡している。本実施形態は、このチャンバ8内の空気圧を所定の値に維持されるように制御するものである。
【0028】
圧力センサ15は、圧力検出管8aを介してチャンバ8と接続されている。また、圧力センサ15は、信号伝送線15aを介してパーソナルコンピュータ16と接続されている。この圧力センサ15は、圧力検出管8aを介してチャンバ8内の空気圧を検出して、その空気圧に関する検出信号を信号伝送線15aを介してパーソナルコンピュータ16に出力するものである。
【0029】
パーソナルコンピュータ16は、信号伝送線14aを介して流量センサ14と接続され、また、信号伝送線15aを介して圧力センサ15と接続され、さらに信号伝送線16aを介して空気圧サーボ弁11と接続されている。このパーソナルコンピュータ16は、前記図1に示す第1の制御手段3として、信号伝送線14aを介して高速流量センサ14より入力する流量に関する検出信号に基づいて、その流量と目標流量との偏差D1を演算する。そして、求められた偏差D1によって、前記式(1)に示すようにPID制御演算して、空気圧サーボ弁11の動作量を電圧値として導出する。導出された電圧値はD/A(デジタル/アナログ)変換後、制御電圧値V1として信号伝送線16aを介して空気圧サーボ弁11に出力される。
【0030】
また、パーソナルコンピュータ16は、信号伝送線15aを介して圧力センサ15より入力する圧力に関する検出信号に基づいて、その圧力と目標圧力との偏差D2を演算する。そして、求められた偏差D2によって、前記式(1)に示すようにPID制御演算して、空気圧サーボ弁11の動作量を電圧値で導出する。導出された電圧値はD/A変換後、制御電圧値V2として信号伝送線16aを介して空気圧サーボ弁11に出力される。
【0031】
空気圧サーボ弁11は、信号伝送線16aを介してパーソナルコンピュータ16より入力する制御電圧値V1および制御電圧値V2によって、弁開度を制御する。この空気圧サーボ弁11における弁開度の制御により、流路13、17を通ってチャンバ8内に充填される空気量が制御される結果、チャンバ8内の空気圧が目標圧力になるように高速制御される。
【0032】
このとき、高速流量センサ14より入力する流量に関する検出信号に基づいて演算された制御電圧値による空気圧サーボ弁11の制御、いわゆるマイナーループ制御を行うことにより、空気圧サーボ弁11の応答特性における非線形性が吸収され、また、接続する空気圧管路等の無駄時間特性によるゲイン低下が防止され、空気圧が高速で制御される。
【0033】
次に、図3は、本発明の高速気体圧力制御装置および従来の圧力制御装置によって、それぞれチャンバ内に目標圧力となるまで空気の充填したときの空気圧の変化を計算により求めた結果を示す図である。図3において、実線は、図2に示す構成の高速気体圧力制御装置によって空気圧サーボ弁11を制御した場合のチャンバ内の空気圧の変化を示す。また、破線は、圧力センサのみをチャンバ8に接続して空気圧サーボ弁11を制御する従来の圧力制御装置によって空気圧サーボ弁11を制御した場合のチャンバ内の空気圧の変化を示す。
【0034】
図3から分るように、同じ程度の応答速度になるようにゲインを調整すると、従来の制御装置ではオーバーシュートが起き、整定するまでかなり時間がかかる。しかし、本発明の制御装置ではオーバーシュートはほとんどおきず、高速に空気圧が目標値に整定するように制御される。
【0035】
【発明の効果】
本発明の高速気体圧力制御装置は、流量センサによって測定される気体の流量に応じてマイナーループ制御を行うことにより、空気圧サーボ弁の応答特性における非線形性が吸収され、また、接続する空気圧管路等の無駄時間特性によるゲイン低下が防止され、空気圧を高速で制御することができる。そのため、本発明の高速気体圧力制御装置は、電子顕微鏡、半導体製造装置(例えば、フォトリソグラフィーに用いられるウエハ露光装置等)等の精密機械装置に用いられる除振装置に適用して、高い除振能力を付与し、残留振動も短時間で減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る高速気体圧力制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の高速気体圧力制御装置を用いて、空気を充填するチャンバ内の空気圧を制御する実施形態を示す概略構成図である。
【図3】図2に示す実施形態において、チャンバ内の空気圧が目標圧となるまで空気を充填したときの空気圧の変化を計算により求めた結果を示す図である。
【符号の説明】
1 流量センサ
2 圧力センサ
3 第1の制御手段
4 第2の制御手段
5、6b 流路
6 空気圧サーボ弁
7 気体出口
8 チャンバ
9 圧力供給源
10 流路
11 空気圧サーボ弁
12 気体出口
14 高速流量センサ
15 圧力センサ
16 パーソナルコンピュータ

Claims (1)

  1. 空気圧サーボ弁を通じて流通する空気の圧力を制御する高速気体圧力制御装置であって、
    前記空気圧サーボ弁の気体出口に配置された流量センサと、当該流量センサの下流に配置された圧力センサとを備え、前記流量センサによって測定される気体流量に応じて第1の制御信号を前記空気圧サーボ弁に出力するとともに、前記圧力センサによって測定される空気圧に応じて第2の制御信号を前記空気圧サーボ弁に出力し、前記第1の制御信号と第2の制御信号によって前記空気圧サーボ弁を制御するカスケード制御機構を備える高速気体圧力制御装置。
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