JP2012022702A - 圧力レギュレータ及び除振装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧力レギュレータ41は、サーボ弁11によって、気体供給源10から供給される気体の等温化圧力容器13への流入流量を規制し、等温化圧力容器13内の圧力を一定に保持する。ここで、サーボ弁11を操作する圧力制御手段(コンピュータ46)は、圧力計14で計測した等温化圧力容器13内の圧力をフィードバック制御する圧力制御系をメインループとし、その内側に、流入流量を制御する流入流量制御系を構成すると共に、圧力微分計15で計測した等温化圧力容器13内の圧力微分値に基づいて等温化圧力容器13における流入流量と流出流量との差である流入出流量差を推定するオブザーバを構成し、推定した流入出流量差を流入流量制御系にフィードバックするモデル追従制御系を構成する。
【選択図】図4
Description
このために、例えば、圧力容器の下流側にも流量計を配置して、圧力容器から流出する流出流量を計測する方法が考えられるが、配置した下流側の流量計によって圧力損失が発生するため、精密に圧力制御を行うことは困難であった。
また、本発明の他の目的は、高速な応答と高精度な位置整定が可能な空気バネ式の除振装置を提供することである。
この等温化圧力容器内の圧縮性流体を所定の圧力に制御するために、サーボ弁によって、圧縮性流体供給源から供給される圧縮性流体の等温化圧力容器への流入流量を規制する。このとき、圧力レギュレータは、等温化圧力容器内の圧縮性流体の圧力をフィードバック制御する圧力制御系をメインループとする圧力制御手段によって、サーボ弁を操作して流入流量を規制し、等温化圧力容器内の圧縮性流体を所定の圧力に制御する。
請求項2に記載の発明によれば、排気量を少なくすることができるため、環境負荷を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、高速に応答する圧力微分計を用いるため、圧力レギュレータの応答性を更に向上することができる。
請求項4に記載の発明によれば、下流での流出流量のわずかな変化に対応して圧力制御が行われ、外乱に強い高応答の圧力レギュレータを構成することができる。
請求項5に記載の発明によれば、圧力レギュレータによって空気バネに供給される空気の供給源の圧力が高応答で高精度に保持されるため、除振装置は、定盤の位置を迅速にかつ高精度に整定することができる。
請求項6に記載の発明によれば、除振装置の使用による環境負荷を低減することができる。
(第1実施形態)
<圧力レギュレータの構成>
図1は、本発明の第1実施形態の圧力レギュレータの構成を模式的に示す構成図である。
図1に示した圧力レギュレータ1は、サーボ弁11と、流量計12と、等温化圧力容器13と、圧力計14と、圧力微分計15と、コンピュータ16と、A/D(アナログ/デジタル)変換器17と、D/A(デジタル/アナログ)変換器18とを備える。各圧力機器の間は、導管19a、19b、19c、19dで連絡されている。
なお、本発明の第1実施形態においては、圧縮性流体として、空気を例に説明するが、空気以外の、例えば、窒素、水素、二酸化炭素等の気体を代表とする圧縮性流体に適用することができる。
fc : カットオフ周波数[Hz]
Gin : 流入流量[kg/s]
Gout : 流出流量[kg/s]
Kgi : 積分ゲイン [Pa・s/kg]
Kp : 圧力制御ループの比例ゲイン[kg/(Pa・s)]
Kv : スプール型サーボ弁の電圧−流量ゲイン[kg/(Pa・s)]
L : 円筒型スリット流路の長さ[m]
P : 等温化圧力容器内の圧力[Pa]
Pc : 圧力微分計の容器内の圧力[Pa]
Pj : 圧力微分計の差圧計にかかる差圧[Pa]
Pref : 目標設定圧力[Pa]
Ps : 気体供給源から供給される空気の供給圧力[Pa]
R : ガス定数[J/(kg・K)]
r1 : スリット流路の外径(半径)[m]
r2 : スリット流路の内径(半径)[m]
T : 時定数[s]
V : 等温化圧力容器の容積[m3]
Vd : 圧力微分計の容器の容積[m3]
θ : 等温化圧力容器内の空気の温度[K]
μ : 空気の粘度[Pa・s]
ρa : 空気の密度[kg/m3]
気体供給源(圧縮性流体供給源)10は、圧縮性流体である空気を供給する供給源であり、供給する空気を高圧に充填したボンベを用いることができる。また、コンプレッサ等のポンプ類を用いて圧縮空気を供給するようにしてもよい。
サーボ弁11は、気体供給源10から導管19aを介して供給される空気の等温化圧力容器13への流入流量を規制すると共に、等温化圧力容器13から逆流する空気の流出流量(負の流入流量)を規制する流量制御型サーボ弁である。好適には、圧力損失が少ないスプール型サーボ弁を用いることができる。
なお、例えば、毒性、引火性、臭気等があり、大気中に排気するのが好ましくない気体を用いる場合には、排気ポート11bは、大気に開放せず、適宜導管を接続して排気される気体を回収し、人体等に影響がないように廃棄処理するようにすればよい。
流量計(流入流量取得手段)12は、気体供給源10からサーボ弁11を通って等温化圧力容器13に供給される空気の流入流量を計測するものである。計測された空気の流入流量に関する検出信号は、A/D変換器17を介して、コンピュータ16に送信される。
なお、等温化圧力容器13内の空気がサーボ弁11の排気ポート11bから流出する場合には、負の流入流量として計測される。以降は、等温化圧力容器13への“流入流量”とは、この負の流入流量の場合も含めたものとして説明する。
また、層流型流量計としては、例えば、本願発明者等が参考文献1において提案した層流型流量計を用いることができる。
(参考文献1)
舩木達也、川嶋健嗣、香川利春、“高速応答を有する気体用層流流量計の特性解析”、計測自動制御学会論文集、Vol.40、No.10、pp.1008-1013 (2004)
等温化圧力容器13は、導管19cを通って流入口13aから流入する気体を等温状態に保持するものである。この等温化圧力容器13は、通常、金属で形成される。
この等温化圧力容器13の形状は、円筒状、多角柱体、球体、楕円体など種々の形状を採用することができる。例えば、円筒状の形状の場合は、何れか一方の底面側に設けた流入口13aから空気を流入させ、他方の底面に設けた流出口13bから空気を流出させる。このとき、空気の流入方向の奥行き(円筒の高さ)は、断面の最大幅(底面の直径)の2倍以下とすることが好ましい。円筒の高さ(奥行き)がこの範囲にあると空気の流入時における、圧力勾配の発生を抑えることができる。また、多角柱体の形状の場合、断面中の最大幅、楕円体であれば奥行き方向の中心の断面における直径である。
圧力計(圧力検出手段)14は、等温化圧力容器13内の空気の圧力Pを計測し、その計測結果(圧力値)に関する検出信号を、A/D変換器17を介してコンピュータ16に送信するものである。この圧力計14は、空気の圧力値を電気信号として出力できるものであれば、特に制限されない。例えば、半導体式圧力センサ等を用いることができる。そして、圧力計14の測定可能範囲は、大気圧〜気体供給源10から供給される空気の供給圧力Psの範囲をカバーすることが好ましい。
圧力微分計(圧力微分値検出手段)15は、等温化圧力容器13内の空気の圧力Pの微分値dP/dtを計測し、その計測結果(圧力微分値)に関する検出信号を、A/D変換器17を介してコンピュータ16に送信するものである。
(参考文献2)
特開2005−98991号公報
以下、図2を参照して、本発明の第1実施形態における圧力微分計15の構成について説明する。
なお、図2は、本発明の第1実施形態の圧力微分計の構成を模式的に示す断面図である。
また、熱伝導性材料は、等温化圧力容器13と同様の材料を同様の体積比で充填して用いることができる。
このほか、例えば、ベローズを用いた差圧計のように、他の方式の差圧計を用いてもよい。
測定圧力Pが変化すると、空気はスリット流路152を通り等温化圧力容器151へ流れ、等温化圧力容器151内の圧力Pcがわずかに遅れて変化する。このとき発生する差圧Pj(=P−Pc)を測定すると、圧力微分値dP/dtと差圧Pjは式(1)のような一次遅れの関係で表される(参考文献3)。
(参考文献3)
川嶋健嗣、藤田壽憲、香川利春、“容器内圧力変化による圧縮性流体の流量計測法”、計測自動制御学会論文集、Vol.32、No.11、pp.1485-1492 (1996)
以上より、カットオフ周波数fcは式(3)のようになる。
(導管)
導管19a、導管19b、導管19c及び導管19dは、それぞれ、気体供給源10及びサーボ弁11の吸気ポート11a、サーボ弁11の制御ポート11c及び流量計12、流量計12及び等温化圧力容器13の流入口13a、等温化圧力容器13の流出口13b及び、例えば、除振装置等の外部機器を接続する。
A/D変換器17は、流量計12、圧力計14及び圧力微分計15によって検出されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、コンピュータ16に出力するものである。また、D/A変換器18は、コンピュータ16からの、サーボ弁11の開閉又は開度に関するデジタル信号をアナログ信号に変換し、サーボ弁11に出力するものである。
コンピュータ(圧力制御手段)16は、流量計12によって計測された空気の流入流量Ginに関する検出信号と、圧力計14によって計測された等温化圧力容器13内の空気の圧力Pに関する検出信号と、圧力微分計15によって計測された等温化圧力容器13内の圧力の微分値dP/dtに関する検出信号とを、A/D変換器17を介してデジタル信号として受信し、それらの検出信号に基づいて、サーボ弁11を介して等温化圧力容器13に流入する空気の流入流量Gin(サーボ弁11の排気ポート11bから空気を流出する“負の流入流量”の場合も含む)を制御する制御電圧Ei1を、D/A変換器18を介して、サーボ弁11に送信するものである。
次に、図3を参照(適宜図1参照)して、本発明の第1実施形態の圧力レギュレータ1による圧力の制御について説明する。ここで、図3は、本発明の第1実施形態の圧力レギュレータの制御系を示すブロック線図である。
このメインループの内側に、等温化圧力容器13にサーボ弁11を介して流入する空気の流入流量Ginをフィードバック制御する流入流量制御系23を一つのマイナーループとして構成すると共に、流入流量Ginと等温化圧力容器13内の空気の圧力微分値dP/dtとに基づいて等温化圧力容器13から流出する流出流量Goutを推定するオブザーバ(流入流量推定手段)27を構成し、オブザーバ27で推定した流出流量Gout(上にハット)を流入流量制御系23にフィードバックして補償するモデル追従制御系28を他のマイナーループとして構成している。
流入流量制御系23においては、まず、流量計12によって計測された流入流量Ginをフィードバックし、加算接合点231において、制御要素22の出力である流入流量の目標値Grefとの偏差が算出される。また、加算接合点231には、オブザーバ27によって出力される流出流量の推定値Gout(上にハット)が加算され、流出流量の推定値Gout(上にハット)を見込んだ流入流量Ginの偏差が算出される。
Gin = Kv・Ei1 ・・・(4)
従って、流量計12によって流入流量Ginを計測する代わりに、制御電圧Ei1を用い、式(4)によって流入流量Ginを算出して取得することもできる。
そして、圧力制御を高応答かつ高精度に行うためには、圧力制御系20において、この流出流量Goutを補償する必要がある。
まず、サーボ弁11から等温化圧力容器13への流入流量Gin、等温化圧力容器13からの流出流量Goutおよび等温化圧力容器13内の圧力Pとの間の関係について説明する。
気体の状態方程式は、式(5)のようになる。但し、Vは等温化圧力容器13の容積、Wは等温化圧力容器13内の空気の質量を示す。
PV=WRθ ・・・(5)
次に、図1を参照して、圧力レギュレータ1の動作について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態の圧力レギュレータの構成を模式的に示す構成図である。なお、図4において、図1に示す圧力レギュレータ1と同一の機器、部位には、同一の符号を付している。
図4に示した圧力レギュレータ41は、サーボ弁11と等温化圧力容器13の間の導管19bに流量計12が設けられていないこと、コンピュータ46における演算が異なること以外は、第1実施形態の圧力レギュレータ1と同一の構成を有するものである。したがって、以下、サーボ弁11、等温化圧力容器13、圧力計14、圧力微分計15、A/D(アナログ/デジタル)変換器17、D/A(デジタル/アナログ)変換器18、および導管19a、19b、19dについての説明は省略する。
また、本発明の第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、圧縮性流体として、空気を例に説明するが、空気以外の、例えば、窒素、水素、二酸化炭素等の気体を代表とする圧縮性流体に適用することができる。
本発明の第2実施形態において、コンピュータ(圧力制御手段)46は、圧力計14によって計測された等温化圧力容器13内の空気の圧力Pに関する検出信号と、圧力微分計15によって計測された等温化圧力容器13内の圧力の微分値dP/dtに関する検出信号とを、A/D変換器17を介してデジタル信号として受信し、それらの検出信号に基づいて、サーボ弁11を介して等温化圧力容器13に流入する空気の流入流量Gin(サーボ弁11の排気ポート11bから空気を流出する“負の流入流量”の場合も含む)を制御する制御電圧Ei2を、D/A変換器18を介して、サーボ弁11に送信するものである。
次に、図5を参照(適宜図4参照)して、本発明の第2実施形態の圧力レギュレータ41による圧力の制御について説明する。ここで、図5は、本発明の第2実施形態の圧力レギュレータの制御系を示すブロック線図である。
このメインループの内側に、等温化圧力容器13内の空気の圧力微分値dP/dtに基づいて等温化圧力容器13から流出する流出流量Gout(上にハット)を推定するオブザーバ(流出流量推定手段)57を構成し、オブザーバ57で推定した流出流量Gout(上にハット)を流入流量制御系53にフィードバックして補償するモデル追従制御系58をマイナーループとして構成している。
流入流量制御系53においては、加算接合点531において、制御要素52の出力である流入流量の目標値Grefとの偏差が算出される。また、加算接合点531には、オブザーバ57によって出力される流出流量の推定値Gout(上にハット)が加算され、流出流量の推定値Gout(上にハット)を見込んだ流入流量Ginの偏差が算出される。
Gin = Kv・Ei2 ・・・(4)
従って、制御電圧Ei2を用い、式(4)によって流入流量Ginを算出して取得することができる。
そして、圧力制御を高応答かつ高精度に行うためには、圧力制御系50において、この流出流量Goutを補償する必要がある。
まず、等温化圧力容器13の流入流量Gin、等温化圧力容器13からの流出流量Goutおよび等温化圧力容器13内の圧力Pとの間の関係について説明する。
まず、気体の状態方程式は、前記のとおり、式(5)のようになる。但し、Vは等温化圧力容器13の容積、Wは等温化圧力容器13内の空気の質量を示す。
PV=WRθ ・・・(5)
ここで、等温化圧力容器13内の空気は、等体積変化(dV/dt=0)かつ等温変化(dθ/dt=0)することを考慮すると、等温化圧力容器13に対する流入流量Gin、流出流量Gout及び等温化圧力容器13内の圧力Pの間には、前記式(7)の関係がある。
次に、図4を参照して、圧力レギュレータ41の動作について説明する。
次に、本発明による圧力レギュレータ1を用いて、圧力レギュレータ1の上流側の圧力変動と下流側の流出流量の変動に対する応答を評価した実験結果について説明する。
(圧力レギュレータの構成)
図1に示した圧力レギュレータを構成した。各部の詳細仕様を以下に示す。
スプール型サーボ弁は5ポートのFESTO社製MYPE−5−M5−SAを用いた。使用しない2つのポートは塞ぎ、吸気、排気及び制御の3つのポートを用いた。
(等温化圧力容器13):
東京メータ株式会社製の、容積が1.0×10−3[m3]の容器に線径50[μm]の銅線が容積率にして5%封入されたものを用いた。なお、銅線の表面はコーティングが施されている。
(流量計12):
層流型流量計は外径0.5[mm]、内径0.3[mm]、長さ50[mm]の細管を約320本挿入して層流エレメントを構成したものを用いた(詳細は参考文献1を参照のこと)。
(圧力計14):
圧力計は豊田工機社製の半導体式のPD−64S500Kを用いた。
(圧力微分計15):
図2に示した円筒型スリット流路を設けた圧力微分計を用いた。スリット流路の外径r1=1.0×10−2[m]、内径r2=0.99×10−2[m]、流路長L=2.5×10−2[m]、等温化圧力容器の容量Vd=8.06×10−6[m3]である。カットオフ周波数fcの理論値は、式(3)より、圧力P=300[kPa]において、67[Hz]である。差圧計は、Allsensors社製の測定範囲±1インチH2O(249[Pa])のものを用いた。また、正弦波状の脈動流を発生させた事前実験により、この圧力微分計は、30[Hz]程度まで十分応答することが確かめられている。
制御パラメータは以下のように設定した。
図3に示したブロック線図において、流入流量Ginの制御は圧力制御よりも十分に速いと仮定すると、圧力制御の伝達関数は式(9)のようになる。
(精密レギュレータ):
SMC社製のIR2010−02Gを用いた。
(電空レギュレータ):
SMC社製のITV2050−212BL5を用いた。
実験1においては、圧力レギュレータ1の上流側に圧力変動を起こし、圧力レギュレータ1によって圧力が整定される様子を計測した。
排気流量Gout_up及びサーボ弁11に供給される空気の圧力Psは、それぞれ流量計31及び圧力計32によって計測した。
図6に示した実験装置において、圧力Pが十分に整定した後、t≧30[s]でサーボ弁11の上流にある分岐管30のハンドバルブを開放し、Gout_up=6.47×10−3[kg]の空気を放出した。その際の供給圧力Psの変化を図7に示す。また、比較対象として、前記した市販の精密レギュレータおよび電空レギュレータを用いて同様の実験を行った。
図8は、実験1の実験結果を示すグラフである。図8において、“A”は、本発明による圧力レギュレータ1を用いた場合、“B”は、精密レギュレータを用いた場合、“C”は、電空レギュレータを用いた場合の圧力変化を示す。
実験2においては、圧力レギュレータ1の下流側に使用流量(流出流量)の変動を起こし、圧力レギュレータ1によって圧力が整定される様子を計測した。
図9に示した実験装置において、圧力レギュレータ1の下流側に設置したサーボ弁33への制御電圧E2を、
t<20[s]のときに、E2 = 6.5[V]
t≧20[s]のときに、E2 = 8.0[V]
とステップ的に変化させ、圧力レギュレータ1の下流側に外乱を発生させた。
図11は、実験2の実験結果を示すグラフである。図11において、“A”は、本発明による圧力レギュレータ1を用いた場合、“B”は、精密レギュレータを用いた場合、“C”は、電空レギュレータを用いた場合の圧力変化を示す。
実験3においては、図9に示した実験装置を用い、式(8)による流出流量の推定値Gout(上にハット)を算出するために、圧力微分計15によって計測される圧力微分値dP/dtの代わりに、圧力計14によって計測される圧力Pを離散微分して求めて圧力微分値を用いた。なお、圧力Pを離散微分するデジタルフィルタは、圧力微分計15と同様に不完全微分器とし、カットオフ周波数fcは67[Hz]とした。
他の実験条件は、実験2と同じである。
図12は、実験3の実験結果を示すグラフである。図12において、“A”は、圧力微分計によって計測した圧力微分値を用いた場合を示し、“B”は、圧力計によって計測した圧力値の離散微分を用いた場合を示す。
次に、図14を参照して、本発明による圧力レギュレータ1の適用例として、圧力レギュレータ1を用いた空気バネ式の除振装置100について説明する。ここで、図14は、本発明の圧力レギュレータを用いた空気バネ式の除振装置の構成を模式的に示す構成図である。
除振装置100は、空気バネ111に対する空気の供給及び排気を、サーボ弁115によって規制することにより、振動などによって変位する定盤112の位置を設定変位に整定するように制御するものである。また、サーボ弁115に供給される空気は、空気供給源10Aから圧力レギュレータ1を介して高精度に一定の圧力に保たれて供給されるように構成されている。
本発明の実施形態では、空気バネ制御部120によって、定盤112の位置及び加速度をフィードバック制御し、サーボ弁115に対する制御電圧E3を算出し、サーボ弁115を操作するように構成されている。
除振台110は、空気供給源10Aと、圧力レギュレータ1と、サーボ弁115と、空気バネ111と、定盤112と、位置検出器113と、加速度検出器114とから構成されている。
サーボ弁115は、空気バネ111に対して空気の供給及び排気を規制できるものであれば、例えば、ノズルフラッパ型サーボ弁を用いることもできるが、特に、排気流量が少ない流量制御型のサーボ弁であるスプール型サーボ弁を用いることが環境負荷を低減するためにも好ましい。
空気バネ111は、サーボ弁115の制御ポート115cと接続され、サーボ弁115の弁の接続方向及び開度に応じて、空気バネ111に対する空気の供給及び排気が行われる。
空気バネ制御部(空気バネ制御手段)120は、フィルタ121と、フィルタ122と、比較器123と、PI補償器124と、減算器125とを備えて構成されており、除振台110の位置検出器113及び加速度検出器114によって計測される定盤112の位置及び加速度をA/D変換器(不図示)を介して受信し、受信した位置及び加速度をフィードバック制御して、サーボ弁115に対する制御電圧E3を算出し、D/A変換器(不図示)を介してサーボ弁115に送信する。これによって、定盤112の位置を目標値である設定変位に整定すると共に、加速度の変化を最小限に抑制するように、サーボ弁115を制御する。
次に、除振装置100の動作について、図14を参照(適宜図1参照)して説明する。
まず、除振装置を起動後に、十分に時間が経過して、定盤112が設定変位に整定された状態であるとする。このとき、サーボ弁115は閉じられた状態であり、空気バネ111に対する空気の流入及び流出は行われない。
10 気体供給源(圧縮性流体供給源)
10A 空気供給源
11 サーボ弁
12 流量計(流入流量取得手段)
13 等温化圧力容器
14 圧力計(圧力検出手段)
15 圧力微分計(圧力微分値検出手段)
16 コンピュータ(圧力制御手段、空気バネ制御手段)
20 圧力制御系
23 流入流量制御系
27 オブザーバ(流出流量推定手段)
28 モデル追従制御系
46 コンピュータ(圧力制御手段)
100 除振装置
110 除振台
111 空気バネ
112 定盤
113 位置検出器(位置検出手段)
114 加速度検出器(加速度検出手段)
115 サーボ弁
120 空気バネ制御部(空気バネ制御手段)
151 等温化圧力容器(圧力室)
152 スリット流路
153 差圧計
Claims (6)
- 圧縮性流体供給源から供給される圧縮性流体の流入流量を規制するサーボ弁と、
前記サーボ弁を介して流入する圧縮性流体を等温状態に保持する等温化圧力容器と、
前記等温化圧力容器内の圧縮性流体の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記等温化圧力容器内の圧縮性流体の圧力微分値を検出する圧力微分値検出手段と、
前記サーボ弁を操作して前記等温化圧力容器内の圧縮性流体を所定の一定圧力に制御する圧力制御手段と、を備え、
前記圧力制御手段は、
前記圧力検出手段によって検出された圧力をフィードバック制御する圧力制御系と、
前記等温化圧力容器へ流入する圧縮性流体の流入流量を制御する流入流量制御系と、
前記圧力微分値検出手段によって検出された圧力微分値から、前記等温化圧力容器に流入する圧縮性流体の流入流量と前記等温化圧力容器から流出する圧縮性流体の流出流量との差である流入出流量差を推定する流入出流量差推定手段と、を有し、
前記圧力制御系の制御ループの内側に構成すると共に、前記流入出流量差推定手段によって推定された流入出流量差を前記流入流量制御系にフィードバックするモデル追従制御系を構成することを特徴とする圧力レギュレータ。
- 前記サーボ弁は、スプール型サーボ弁であることを特徴とする請求項1に記載の圧力レギュレータ。
- 前記圧力微分値検出手段は、圧力室と、ダイヤフラム式差圧計あるいは流速計と、前記等温化圧力容器と前記圧力室とを連通する円筒型のスリット流路とを備えた圧力微分計であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力レギュレータ。
- 定盤と、
前記定盤を支持する空気バネと、
前記空気バネに対する空気の流入流量及び流出流量を規制するサーボ弁と、
空気供給源から供給される空気の圧力を一定に保持して前記サーボ弁に供給する請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の圧力レギュレータと、
前記定盤の位置を検出する位置検出手段と、
前記定盤の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された位置と前記加速度検出手段によって検出された加速度とに基づいて、前記サーボ弁を操作して前記定盤を所定の位置に制御する空気バネ制御手段と、
を備えたことを特徴とする除振装置。 - 前記サーボ弁は、スプール型サーボ弁であることを特徴とする請求項5に記載の除振装置。
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