JP2004309355A - 鋼材の焼入れ深さ測定装置 - Google Patents

鋼材の焼入れ深さ測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さを非破壊で簡単に精度良く測定することができる鋼材の焼入れ深さ測定装置を提供する。
【解決手段】鋼材1の表面に接触して電流を供給する一対の電流探針と、電流探針と異なる位置に接触して異なる二つの電圧を検出する二対の検出探針とを有する6探針プローブ11、電流探針に電流を供給する励磁手段12、検出した二つの電圧を取り込み交互に出力する切換手段13、出力された各電圧を増幅する増幅手段15、16、増幅された各電圧を記憶し、焼入深さd及び焼入れ層の抵抗率ρと母材の抵抗率ρとの抵抗比α(=ρ/ρ)を未知数とし、次式
【数1】
Figure 2004309355

で表される前記二つの電圧の連立方程式を演算し、焼入れ深さdを算出する演算手段18、算出された焼入れ深さdを表示する表示手段19を備えた構成としたものである。
【選択図】 図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さを非破壊で測定する鋼材の焼入れ深さ測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車部品としてのクランクシャフトやコンロッド等の鋼製部品においては、耐摩耗性、疲労特性を向上させるために高周波焼き入れにより鋼材の表面硬化が施されている。鋼材の表面に生成した焼入れ層(硬化層)の深さ(以下「焼入深さ」という)を評価する場合、従来からビッカース硬さ試験、ブルネル硬さ試験、ロックウエル硬さ試験、ショア硬さ試験、マクロ組織試験法等の破壊方式が採用されている。硬さ試験による焼入深さの測定方法は、焼入された部品を焼入れ層に垂直に切断し、切断面を研磨仕上げ後ダイヤモンド等の非常に硬いものにより所定の荷重を加えて前記仕上げ面に凹みをつけ、この凹みの一辺の長さを測定して硬さ推移曲線からビッカース硬さにより有効焼入れ層の深さを、又は凹みの深さを測定して硬さ推移曲線からブルネル硬さにより有効焼入れ層の深さを、算出するものである。マクロ組織試験法は、試料の切断面を腐食させて低倍率の拡大鏡で観察し、焼入れ層の深さを測定するものである。
【0003】
また、渦電流を利用して焼入深さを測定する非破壊検査方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
「非破壊検査第49巻1号」(社)日本非破壊検査協会出版平成12年1月1日発行P.55〜65
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ビッカース硬さ試験、ブルネル硬さ試験、ロックウエル硬さ試験、ショア硬さ試験、或いはマクロ組織試験法等の非破壊検査による評価方法は、非常に手間がかかり、大変な労力を要するばかりでなく、材料を無駄にする、抜き取り破壊検査のため実サンプルでない、全数検査をすることができない等の多くの問題がある。
【0006】
また、渦電流を利用して焼入深さを測定する検査方法においては、鋼材に導電率と透磁率の2つのパラメータが存在するために測定が難しいという問題がある。
また、4探針プローブを用いた電位差法によって焼入れ層の深さを非破壊で評価することが可能であることが古くから知られているが未だに実用とされていない。その理由は、評価精度が明らかとされていないこと、精度と作業性の両方を考慮したプローブの検討がなされていないこと等が考えられる。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さを非破壊で簡単に且つ精度良く測定することが可能な鋼材の焼入れ深さ測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さを測定する鋼材の焼入深さ測定装置であって、前記鋼材の表面に接触して電流を供給する一対の電流探針と、前記鋼材表面の前記電流探針と異なる位置に接触して異なる二つの電圧を検出する二対の検出探針とを有する6探針プローブと、前記電流探針に電流を供給する励磁手段と、前記検出した二つの電圧を取り込み、交互に出力する切換手段と、前記出力された各電圧を増幅する増幅手段と、前記増幅された各電圧を記憶し、焼入深さd及び焼入れ層の抵抗率ρと母材の抵抗率ρとの抵抗比α(=ρ/ρ)を未知数とし、次式
【0009】
【数2】
Figure 2004309355
【0010】
で表される前記二つの電圧の連立方程式を演算し、前記焼入れ深さdを算出する演算手段と、前記算出された焼入れ深さdを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
6探針プローブの三対の探針が鋼材の表面に接触され、励磁回路から一対の電流探針間に電流が供給されると、二対の検出探針間に夫々異なる電圧が発生する。これらの異なる二つの電圧は、切換手段に取り込まれ交互に出力されて増幅手段により増幅される。プローブは、2本の電流探針と4本の検出探針とで6探針構成とすることで測定を1回で済ませることができ、測定誤差、間違いを軽減することができる。演算手段は、前記増幅された各電圧を記憶し、焼入深さd及び焼入れ層の抵抗率ρと母材の抵抗率ρとの抵抗比α(=ρ/ρ)を未知数とし、演算式で表される前記二つの電圧の連立方程式を演算し、前記焼入れ深さdを算出して、表示手段により表示する。これにより、鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さdを精度良く、迅速且つ簡単に測定することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる鋼材の焼入れ深さ測定装置を図面により詳細に説明する。
先ず、焼入れ深さの測定方法の原理について説明する。鋼材の表面に焼入れをした場合、焼入れ層の抵抗率が母材(母層)の抵抗率と異なり、焼入れ層の抵抗率が母材の抵抗率よりも高くなる。そこで、母材と焼入れ層の抵抗率が異なることに着目して実用的な電位差法を用いて焼入れ深さの測定を行うものである。
【0012】
図1に示すように十分大きな試料(鋼材)1の母材2の表面に焼入れ層3が生成されている場合、母材2の抵抗率をρ、焼入れ層3の抵抗率をρ、焼入れ深さをdとする。そして、この試料1の表面に測定プローブ5を接触させる。6探針プローブ5は、三対(6本の)電極探針(以下、単に「探針」という)A〜Fを有し、一対の探針A―Dを電極探針としてこれらの探針A−D間に電流Iを供給し、一対の探針E―F、及び一対の探針B−Cを夫々検出探針としてこれらの検出探針E−F間、B−C間の各電位差VEF、VBCを測定する。各探針A〜Fは、不図示のスプリングのばね力により先端が焼入れ層3の表面に一定圧で接触可能とされている。探針A〜Fは、プローブの中心位置に対して左右対称に一列に配置されており、探針A−E、F−Dの間隔を夫々r、探針A−B、C−Dの間隔を夫々rとしている。このとき電位差Vは、次式で表される。
【0013】
【数3】
Figure 2004309355
【0014】
電位差VEF、VBCは測定可能であり、電流I、探針総隔値S、探針間隔r、rは既知であるから、母材2の抵抗率ρが予め分かっていれば、未知数はρとdだけとなり、電位差VEFとVBCとを表す2つの式より2つの未知数ρ、dを連立して求めることが可能となる。
電位差から焼入れ深さdと抵抗率の比α(ρ/ρ)を求める方法は、測定した電位差VEF、VBCを満たすdとαの関係により求める。即ち、VEFを満たすdとαの関係をdEF(α)、VBCを満たすdとαの関係をdBC(α)とし、これを満たすdとαを求める。具体的には図2に示す2本の曲線の交点を求めて、dとαを求める。
【0015】
電位差の測定値には通常誤差が含まれる。従って、二つの電位差から数式3に基づいて値dとαを求める過程において誤差がdとαに拡大して伝播する。この誤差伝播の特性は、プローブの探針総間隔S、検出探針間隔r、rの取り方で変化する。そこで、誤差伝播のシミュレーションを実施し、その結果に基づいて評価精度明らかにすると共に、精度が最も良い探針間隔を決定する。即ち、測定精度が最も良いプローブの設計を誤差伝播解析に基づいて行う。
【0016】
実際に導入される焼入れ層3の焼入深さは1〜7mm程度である。また、最も良く使われる鋼材としてはS45C、SCM435があり、自動車部品等の高周波焼き入れに用いられる部品の約8割がこれらの鋼材が占めている。S45Cでは理想的に焼入れをした場合、α(=ρ/ρ)が約1.3である。そこで、αの値を典型的な焼入れ鋼の場合の値α=1.3として、1<d<7mmの焼入れ層3に対して探針間隔が異なる2つのプローブを適用した場合について、夫々電位差の測定誤差|ΔV/V|が±0.5%の場合に現れる焼入れ深さdの評価誤差|Δd|(mm)と、αの相対評価誤差|Δα|/α(%)の伝播をシミュレートした。その結果を図3、図4、及び図5に示す。Δdは、dを真値としたときに、真値dから電位差が±0.5%変化した時のdの値を引いた値を、Δαは、αを真値としたときに、真値αから電位差が±0.5%変化した時のαの値を引いた値である。
【0017】
図3は、図1に示す6探針プローブ5においてr=1mm、r=4mm、S=15mmに設定した場合を、図4は、r=5mm、r=10mm、S=25mmに設定した場合を、図5は、r=2mm、r=6mm、S=25mmに設定した場合を示す。図3乃至図5において太線は|Δd|(mm)を、細線は|Δα|/α(%)を示す。これにより、探針総間隔S、検出探針間隔r、rによって誤差伝播の特性が大きく異なることが明らかとなった。特に、図5に示すプローブを使用した場合、αの誤差が5%以下(5%を超えると評価できなくなる)で、焼入れ深さdが1〜5mmにおいて誤差±0.5mmの範囲で評価可能であることが明らかとなった。
【0018】
図5において誤差±0.5%の範囲内のdの最小値が約1.7mm、最大値が約4.8mmであり、dの有効範囲は、約1.7〜4.8mmである。そこで、rを2mmに固定してrを変化させ、誤差±0.5%以内におけるdの最小値、最大値をシミュレートした結果、dの有効範囲は、図6の曲線IaとIbの間の領域[I]となった。同様にr=1mmに固定してrを変化させた場合dの有効範囲は、曲線IIaとIIbの間の領域[II]、r=3mmに固定してrを変化させた場合dの有効範囲は曲線IIIaとIIIbの間の領域[III]の範囲となった。
【0019】
具体的には、rを1mmとし、rを10mmとした場合dの有効測定範囲は約1.0mm〜6.5mm、rを6mmとした場合dの有効測定範囲は約1.1mm〜5.4mmである。また、rを3mmとし、rを10mmとした場合dの有効測定範囲は約2.2mm〜5.5mm、rを6mmとした場合dの有効範囲は約2.0mm〜3.6mmである。
【0020】
同様に図3において誤差±0.5%の範囲内のdの最小値が約1.2mm、最大値が約4.0mmであり、dの有効範囲は、約1.2mm〜4mmである。そこで、rを1mmに固定してrを変化させ、誤差±0.5%以内におけるdの最小値、最大値をシミュレートした結果、dの有効範囲は、図7の曲線IVaとIVbの間の領域[IV]となった。同様にr=2mmに固定してrを変化させた場合dの有効範囲は、曲線VaとVbの間の領域[V]となった。
【0021】
具体的には、rを1mmとし、rを7mmとした場合dの有効測定範囲は約1.0mm〜4.7mm、rを5mmとした場合dの有効測定範囲は約1.0mm〜4.3mmである。また、rを2mmとし、rを7mmとした場合dの有効測定範囲は約1.5mm〜4.3mm、rを5mmとした場合dの有効範囲は約1.4mm〜3.6mmである。
【0022】
従って、探針の総間隔S、検出探針の間隔r、rを変えることで、種々の仕様に対応することが可能である。尚、これらの間隔S、r、rをプローブ定数と称することとする。
さて、図1に示すプローブにおいて、探針間隔をsとすると、式(1)は、次式で表される。
【0023】
【数4】
Figure 2004309355
【0024】
ここに、FBC、FEFは無次元の係数である。
上式(2)、(3)において電流I、抵抗率ρ、探針間隔sが既知であり、従って、電位差VEF、VBCを測定することで、1/FEF、1/FBCが求まる。例えば、探針間隔が等間隔sの場合、1/FEF、1/FBCは、次式で表される。
【0025】
【数5】
Figure 2004309355
【0026】
これらの式(4)、(5)において、αをパラメータとし、d/sを変化させると、1/FEF、1/FBCは、図8、図9のように表される。
上述したように測定した電位差VEFと、既知の電流I、抵抗率ρ、探針間隔sとにより1/FEFが求まるから、図8において前記求めた1/FEFの値における各特性曲線との各交点の各αと各d/sとを読み取り、図10に示すように横軸をα、縦軸をd/sとして特性曲線VIを描く。同様にして図9において1/FBCの値と各特性曲線との交点の各αと各d/sとを読み取り、図10に特性曲線VIIを描く。そして、これらの2本の特性曲線VIとVIIとの交点が求める値αと、d/sとなる。値sは、既知であり、従って、dを求めることができる。
【0027】
前述した(2)式、(3)式は、試料が無限に広い平らな表面と無限の厚さを持つ場合(以下「半無限体」という)に成り立つ関係式である。従って、有限の大きさを持つ現実の試料にプローブを当てて測定した電位差を夫々Vef、Vbcとするときこれに形状補正係数1/Cef、1/Cbcを掛けて次式に示すように試料が半無限体の場合に測定される電位差VEF、VBCに補正する。
【0028】
【数6】
Figure 2004309355
【0029】
そして、これらの補正した値VEF、VBCを前記(2)式、(3)式の電位差として代入して焼入深さの評価を行う。尚、形状補正係数1/Cef、1/Cbcは鋼材の形状に応じて予め求める。以下に焼入深さの評価の実施例を示す。
【0030】
【実施例】
(1)試料:SCM435、φ48mm、長さ300mm
(2)エッチングによって評価した焼入れ深さd=3.7mm
(3)測定プローブ:図1に示す6探針プローブを使用
探針総間隔S=15mm、r=1mm、r=4mmに設定した。
(4)信頼限界=標本平均±k(不偏分散/データ数)1/2で表し、kの値を、データ数30未満のときt分布表より、データ数30以上のとき正規分布表より求めた。
(5)信頼限界90%の区間で評価した測定結果を以下に示す。
(i)データ数=30のとき
d=3.55±0.31mm
α=1.23±0.007
(ii)データ数=10のとき
d=3.46±0.57mm
α=1.24±0.016
(iii)データ数=10のとき
d=3.58±0.62mm
α=1.22±0.011
(iv)データ数=10のとき
d=3.60±0.66mm
α=1.23±0.011
以上の各評価結果から、α(ρ/ρ)の誤差が5%以下で、焼入れ深さdが1<d<7mmにおいて誤差±0.5mmの範囲で評価可能であり、十分に実用的であることが明らかとなった。
【0031】
尚、上記測定方法において6探針プローブ5は、電流探針AとDの内側に検出探針EとF、BとCを配置した構成としたが、これに限るものではなく、図11に示す6探針プローブ6のように電流探針AとDの内側に検出探針BとCを、外側に検出探針EとFとを配置した構成としてもよく、或いは図12に示す6探針プローブ7のように、電流探針AとDの外側に検出探針BとCを配置し、検出探針BとCの外側に検出探針EとFとを配置する構成としてもよい。
【0032】
また、これらの6探針プローブ5、6、7においては6本の探針A〜Fを一直線上に一列に配置したがこれに限るものではない。即ち、検出探針EとF、BとCは、電流探針AとDにより材料に電流を供給したときに異なる2つの電位差を検出できればよく、従って、電流探針AとD、検出探針EとF、及びBとCの配置や、各探針の間隔等は、被測定対象物の形状や測定個所等に応じて最適な配置や間隔に設定すればよい。
【0033】
次に、本発明に係る鋼材の焼入れ深さ測定装置について説明する。
図13は、鋼材の焼入れ深さ測定装置の実施形態を示すブロック図である。図13において材料1は、例えば、S45Cの丸棒鋼で母材2の表面に深さdの焼入れ層3が生成されている。そして、母材2の抵抗率がρ、焼入層3の抵抗率がρであるとする。
【0034】
鋼材の焼入深さ測定装置10のプローブ11は、図1に示すような探針間隔が等間隔Sの6探針プローブとされ、各探針A〜Fは、不図示のスプリングのばね力により先端が焼入れ層3の表面に一定圧で接触可能とされている。探針AとDが電流探針とされ、探針EとF、BとCが夫々電位差Vef、Vbcを検出する検出探針とされている。電流探針AとDは、励磁回路12に接続されて材料1に電流(直流電流)Iを供給(通電)し、検出探針EとFは、電位差(以下「電圧」という)Vefを検出し、検出探針BとCは、電位差(以下「電圧」という)Vbcを検出する。これらの検出探針EとF、BとCは、切換回路13に接続されている。
【0035】
切換回路13は、後述する演算手段としてのコンピュータ18により切換制御されて、電圧VefとVbcを交互に取り込んで出力する。プローブ11を2本の電流探針と4本の検出探針とで6探針構成とすることで測定を1回で済ませることができ、測定誤差、間違いを軽減することができる。また、切換回路13により4本の検出探針EとF、BとCから差動入力方式で2つの電圧を切り換えて交互に取り込み出力することで、装置の安定化、小型化が可能となる。
【0036】
入力手段としての操作キー14は、コンピュータ18に各種のパラメータを入力する。パラメータとしては、鋼材の形状(丸棒、パイプ、角棒等)に依存する形状補正係数(1/Cef、1/Cbc )、プローブ11の探針の総間隔S、探針間隔r、r等のプローブ定数、供給する電流値I、母材2の抵抗率ρ、メモリ番号等がある。メモリ番号とは、ユーザによって測定すべき材料の形状、寸法、探針位置及び電流値が特定している場合において、これらの情報をメモリに記憶させたときに、これらの情報の組合せについて付ける番号である。この番号を入力することで、これらの情報の入力の手間が省ける。
【0037】
前段増幅回路15、後段増幅回路16は、切換回路13から交互に出力された電圧Vef、Vbcを増幅して所定の電圧として出力する。負帰還回路17は、前段増幅回路15、後段増幅回路16に接続されており、接点電圧即ち、検出された電圧Vef、Vbc、増幅回路15、16の残留電圧を、負帰還を掛けて測定前の0(零)値を取るためのものである。
【0038】
コンピュータ18は、励磁回路12を制御して電流探針A、Dに加える電流Iの方向を所定時間毎に電極探針A→D、D→Aへと所定回数例えば、10回切り換え、その都度検出探針EとF間の電圧Vef 、検出探針BとC間の電圧Vbcを測定してその平均値(以下「平均電圧」という)Vefm、Vbcmを算出する。また、コンピュータ18は、探針A〜Fの材料1への接触時及び離隔時にアークの発生を防止するために、測定開始時に6本の探針が全て材料1の表面に接触した後に電流探針A、D間に通電させ、所定回測定後電流を遮断する。
【0039】
また、コンピュータ18は、前段増幅回路15、後段増幅回路16の各増幅率を最適な値に切換制御して後段増幅器16から所定の電圧を出力させる。電源回路20は、前記各回路12、13、15〜18に所定の電源を供給する。
以下に測定の動作を説明する。
コンピュータ18は、測定に際して検出探針EとFとの間、BとCとの間を短絡させてゼロ調節する。また、電流探針AとDとの間の電流Iが0(開放時)のときに前段増幅回路15と後段増幅回路16の各オフセット電圧をキャンセルして、測定前のゼロを取る。
【0040】
プローブ11の探針A〜Fの先端が材料1の表面に押し付けられて接触し、電流探針AからDに電流Iが供給されると、検出探針EとF間に電圧Vefが発生し、探針BとCとの間に電圧Vbcが発生する。コンピュータ18は、電流探針AとDとの間の電流Iの方向を前述したように10回切り換えて切換回路13から交互に出力されて前段増幅回路15及び後段増幅回路16で増幅された各電圧Vef、Vbcを入力する。
【0041】
コンピュータ18は、10回づつ測定した検出探針EとF間の電圧Vef、検出探針BとC間の電圧Vbcの平均電圧Vefm、Vbcmを算出し、これらの平均電圧Vefm、Vbcmを操作キー14から入力されてメモリに記憶されている形状補正係数1/Cef、1/Cbcにより補正し、材料1が半無限体の場合に測定される電位差VEF(=Vefm/Cef )、VBC(=Vbcm/Cbc )に補正し、これらの補正した電位差VEF、VBCにより前式(2)〜(5)に沿って演算処理して値d/s、αを算出し、これらの値から焼入れ深さd、焼入硬化層3の抵抗率ρを算出する。このように、検出探針EとF間の電圧Vef、検出探針BとC間の電圧Vbcを複数回(10回)づつ測定してその平均電圧Vefm、Vbcmを算出し、これらの平均電圧Vefm、Vbcmを用いてVEF、VBCを補正して(2)式、(3)式の演算を行うことで、演算時間の大幅な短縮を図ることが可能となる。コンピュータ18は、算出した焼入れ深さdを表示回路19に表示する。これにより、焼入れ層3の焼入深さdを迅速、且つ精度よく測定することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、6探針プローブにより鋼材表面の異なる2箇所の電圧を検出し、焼入深さd及び焼入れ層の抵抗率ρと母材の抵抗率ρとの抵抗比α(=ρ/ρ)を未知数として所定の演算式で表される前記二つの電圧の連立方程式を演算することにより、鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さdを非破壊で精度良く、迅速且つ簡単に測定し、表示手段にすることができ、製品検査の作業性の大幅な向上が図られると共に、全数検査を行うことができ、信頼性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋼材の焼入れ深さ測定装置の測定方法を説明する図である。
【図2】図1の測定方法により測定した電位差を満たす焼入れ深さと抵抗率の比との関係を示す図である。
【図3】図1に示す測定方法における誤差の評価の一例を示す図である。
【図4】図1に示す測定方法における誤差評価の一例を示す図である。
【図5】図1に示す測定方法における誤差評価の一例を示す図である。
【図6】図5に示す誤差評価から焼入れ深さの有効範囲と探針間隔との関係の一例を示す図である。
【図7】図3に示す誤差評価から焼入れ深さの有効範囲と探針間隔との関係の一例を示す図である。
【図8】測定した一の電位差から抵抗率比と焼入れ深さとの関係の一例を示す図である。
【図9】測定したもう一つの電位差から抵抗率比と焼入れ深さとの関係の一例を示す図である。
【図10】図8及び図9に示す特性から求めた焼入れ深さと抵抗率比との関係の一例を示す図である。
【図11】図1に示す6探針プローブの他の構成例を示す説明図である。
【図12】図1に示す6探針プローブの他の構成例を示す説明図である。
【図13】本発明に係る鋼材の焼入れ深さ測定装置の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 材料(鋼材)
2 母材
3 焼入れ層
5、6、7、11 6探針プローブ
10 鋼材の焼入れ深さ測定装置
12 励磁回路
13 切換回路
14 操作キー(入力手段)
15、16 増幅回路
17 負帰還回路
18 コンピュータ(演算手段)
19 表示回路(表示手段)
20 電源回路
A、D 電流探針
B、C、E、F 検出探針

Claims (1)

  1. 鋼材の表面に生成された焼入れ層の深さを測定する鋼材の焼入深さ測定装置であって、
    前記鋼材の表面に接触して電流を供給する一対の電流探針と、前記鋼材表面の前記電流探針と異なる位置に接触して異なる二つの電圧を検出する二対の検出探針とを有する6探針プローブと、
    前記電流探針に電流を供給する励磁手段と、
    前記検出した二つの電圧を取り込み、交互に出力する切換手段と、
    前記出力された各電圧を増幅する増幅手段と、
    前記増幅された各電圧を記憶し、焼入深さd及び焼入れ層の抵抗率ρと母材の抵抗率ρとの抵抗比α(=ρ/ρ)を未知数とし、次式
    Figure 2004309355
    で表される前記二つの電圧の連立方程式を演算し、前記焼入れ深さdを算出する演算手段と、
    前記算出された焼入れ深さdを表示する表示手段と
    を備えたことを特徴とする鋼材の焼入れ深さ測定装置。
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