JP2004308851A - 動圧軸受モータおよび回転装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされたシャフト2,スリーブ5,及びステータ4,マグネット9からなる駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面の少なくとも一方を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜12A,12B,12Cでコーティングすると共に、前記潤滑膜12A,12B,12Cでコーティングしたシャフト2,スラストメインプレート6,スラストフランジ8をオーステナイト系ステンレスで構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として情報処理分野で使用されるディスクドライブ装置やレーザービーム型プリンタ装置等に搭載される動圧軸受モータおよび回転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディスクドライブ装置やレーザービーム型プリンタ装置のモータ部の軸受として、玉軸受が用いられていた。近年、データ転送の高速化やプリントの高速化の要求によるモータの高速回転に伴い、これらの軸受にはモータの高速回転に対応できるように従来の玉軸受ではなく、動圧軸受が使用されるようになってきた。
【0003】
図4は、従来の動圧軸受を示す。シャフト101の下端に設けられたスラストフランジ102とスリーブ103の下端を閉塞するスラストプレート104とが対向する隙間105でスラスト動圧軸受が形成され、シャフト101とスリーブ103との隙間106でラジアル動圧軸受が形成される。シャフト101に取り付けられたハブ107には、駆動モータMのロータ用の磁石108が設けられている。スリーブ103が取り付けられたベース109には、磁石108に対向して駆動モータMのステータ110が設けられている。ステータ110に通電して駆動モータMを所定の回転速度で回転させると、シャフト101及びスラストフランジ102はスリーブ103及びスラストプレート104との間に隙間106,105を保って非接触で回転する。
【0004】
動圧軸受は一般に、非接触で回転するため、振動や騒音が少なく、高速回転が可能となるという優れた性能を持つ。
しかし、動圧軸受特有の問題の一つに、隙間106,105等の対向面の接触による軸受面の劣化がある。動圧軸受は、所定の回転速度で回転しているとき(定常回転時)は動圧の発生により対向面は非接触であるが、停止状態から所定の回転速度に達するまでの起動・加速時や、所定の回転速度から停止状態に至るまでの減速時には十分な動圧が発生しないため対向面が接触し、損傷に至る。
【0005】
すなわち、回転の起動・加速時と減速時にはシャフト101とスリーブ103が接触して摺れ合い、表面が摩擦して軸受面の損傷が発生する。また、スラストフランジ102とスラストプレート104とが接触して摩擦し、同様の損傷が発生する。外乱が加わると、定常回転時でもシャフト101とスリーブ103やスラストフランジ102とスラストプレート104が接触し、損傷を来たす。
【0006】
軸受面が損傷すると軸受性能が劣化するため、軸受面にDLC(Diamond Like Carbon)をコーティングする方法がとられているが、軸受面の接触によってDLC層が剥離することがあり、軸受がロックし、モータが回転できない等の不具合が出ている。
【0007】
この問題への対処法としては一般に、DLC層などのコーティング層を高硬度材料に設けることで、密着力を向上できると言われている。たとえば図5に示すように、シャフト101に表面硬度がHv600以上の基材(表面処理により前記硬度を持たせたものでもよい)を用い、その表面にDLC膜101aを形成することにより、DLC膜101aの密着強度を向上して、剥離を防ぐ方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。111は潤滑流体である。
【0008】
同様に、材料の硬度を向上させる処理を施した母材にDLCをコーティングすることや(図示省略)、ヤング率が300GPa以上のセラミックスにDLCをコーティングすること(図示省略)が提案されている(例えば特許文献2,3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−61654号公報(第6頁、第2図)
【0010】
【特許文献2】
特開2002−188642号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平8−93752号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基材全体あるいは基材表面の硬度やヤング率を高めることでDLC層との密着強度の向上を図っても(特許文献1,2,3)、軸受にかかる負荷に対して十分な強度が得られているとは言えず、例えば高速回転中に軸受面が接触するような状態でDLC層の剥離等が発生し、軸受の信頼性に課題を残している。
【0013】
また、軸受材料に高硬度材や高ヤング率材料を用いる方法(特許文献1,3)では、切削加工時の抵抗が大きくなるため、加工時間の長時間化や切削精度の低下を招き、軸受特性のさらなる向上が困難になるだけでなく、加工費も高くなりコストアップにつながる。軸受材料の表面を高硬度にする方法(特許文献1,2)でも、表面処理工程のための加工時間や加工費がかかり、コストアップにつながる。
【0014】
本発明は上記問題を解決するもので、モータの起動・加速時及び減速時や高速回転時の外乱によって軸受面が接触してもその表面のDLC層が剥離せず、高い信頼性を有した動圧軸受モータ及びそれを用いた装置を容易に構成できるようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面の少なくとも一方を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした軸受部材をオーステナイト系ステンレスで構成したものである。
【0016】
これによれば、オーステナイト系ステンレスを基材とし、その表面に中間層を介してDLC層を形成することで、DLCの密着強度を向上させることができ、DLCの剥離に対する信頼性を確保することができる。基材に用いるオーステナイト系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼に比べると低い硬度Hv300以下を有し、表面を高硬度にする処理工程は必要ないので、軸受部材を容易に安価に構成することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面の一方を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼で構成したことを特徴とするもので、起動・加速時、減速時や回転中の外乱によって発生する軸受面のDLC層の剥離に対して、密着力を向上することができ、動圧軸受を容易に安価に構成することができる。
【0018】
また本発明は、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面の一方を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼で構成し、前記潤滑膜に対向する他方の軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼と熱膨張係数が略等しい材料で構成したことを特徴とするもので、モータが動作する温度環境変化に対して、双方の軸受部材に略同等の動圧軸受特性を維持することができ、軸受信頼性を向上できる。
【0019】
また本発明は、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした各軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼で構成したことを特徴とするもので、対向面双方にDLC層を配したことで、DLC層の剥離方向力である接触時の摩擦力を大きく低減することができ、動圧軸受の信頼性をより向上できる。
【0020】
前記DLC層としてたとえば、アモルファスカーボン、水素化アモルファスカーボン、ダイヤモンド状炭素膜、硬質炭素膜の内の一つを使用することができ、DLC層の剥離方向力の源泉である接触による摩擦力を低減するのに好適である。
【0021】
前記中間層としてたとえば、主成分がシリコン、チタン、タングステンの内の少なくとも一つであるものを使用することができ、オーステナイト系ステンレス鋼に対するDLC層の密着力を向上させるのに好適である。オーステナイト系ステンレス鋼あるいはDLC層への密着力を高めるドープ、たとえばカーボンドープなどを行なったものとしてもよい。
【0022】
前記中間層は2層以上形成するのが好ましく、それにより、軸受基材と中間層との密着の最適化、および、DLC層と中間層との密着の最適化を同時に達成することができ、結果的に、DLC層の剥離強度をより向上させることができる。
【0023】
前記DLC層と中間層との間に炭素含有量が厚み方向に沿って連続的に変化する傾斜層を設けるのが好ましく、それによりDLC層と中間層との間の密着力を高めることができ、結果的に、DLC層の剥離強度をより向上させることができる。
【0024】
上記したいずれかの動圧軸受モータにポリゴンミラー、記録ディスク等の被回転体を装着可能に構成した回転装置は、前記動圧軸受モータの軸受信頼性が高く、高速回転が可能であるため、被回転体を安定して回転させることができる。
【0025】
このような安定した回転装置を搭載することで、高速に応答できる記録ディスク装置が可能になる。また、印刷速度が速いプリンタ装置が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における動圧軸受モータの断面図であり、ハードディスクドライブ用モータに適用した例を示している。
【0026】
動圧軸受モータの基台となるベース1に円筒状のシャフト2が取り付けられており、シャフト2の上端部にスラストサブプレート3が取り付けられている。シャフト2の中空部の内壁に駆動モータMのステータ4が取り付けられている。シャフト2の外側には回転可能にスリーブ5が配されており、スリーブ5の上端部にスラストメインプレート6が取り付けられている。(ここで言う上下はこの紙面における上下方向を意味する。)
スリーブ5は回転軸となるピン7を有し、ピン7にはスラストサブプレート3に対向してスラストフランジ8が取り付けられている。ピン7の外周面にはステータ4と対向して駆動モータMのロータとなる環状のマグネット9が取り付けられており、ステータ4との間に働く磁力によってスリーブ5に回転力を与える。
【0027】
シャフト2とスリーブ5との隙間10(例えば、1〜10μm)においてラジアル動圧軸受が形成され、スラストサブプレート3とスラストメインプレート6との隙間11A(例えば、1〜20μm)、及びスラストフランジ8とスラストサブプレート3との隙間11B(例えば、1〜20μm)においてスラスト動圧軸受が形成される。
【0028】
当該技術分野では既知であるので図示を省略したが、通常、シャフト2の外周とスリーブ5の内面の少なくとも一方の対向面に、ヘリングボーンやスパイラル形状などの動圧発生溝が形成されている。また、スラストメインプレート6、スラストサブプレート3、スラストフランジ8のいずれかの対向面にもヘリングボーンやスパイラル形状の動圧発生溝が形成されている。
【0029】
このように構成された動圧軸受モータでは、スリーブ5の定常回転時には隙間10,11A及び11Bに動圧が発生し、スリーブ5はシャフト2に非接触で支持される。しかし動圧軸受モータのスタート時やストップ時には動圧が十分に発生しないため、スリーブ5とシャフト2及びスラストメインプレート6とスラストサブプレート3が接触し、また回転中でも外乱により大きな力が加わると、上記の接触が生じる場合がある。
【0030】
このため、以下に示す構成によって動圧軸受の信頼性を向上させている。
まず、シャフト2,スラストメインプレート6,スラストフランジ8をオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS303やSUS304)で構成している。
【0031】
また、これら軸受部材の一方の対向面、すなわち、隙間1,2A,2Bに臨んだシャフト2の外周面,スラストメインプレート6の下面,スラストフランジ8の上面をそれぞれ、潤滑膜12A,12B,12Cでコーティングしている。
【0032】
潤滑膜12A,12B,12Cはそれぞれ、図2に示すように、DLC層13を中間層14,傾斜層15を介して形成している。
潤滑膜12A,12B,12Cへの対向面を持ったスリーブ5とスラストサブプレート3は、シャフト2,スラストメインプレート6,スラストフランジ8と同様のオーステナイト系ステンレス鋼で形成しており、このため、0℃から85℃の環境下において動圧軸受特性は殆ど変化しない。
【0033】
上記構成における作用を説明する。
オーステナイト系ステンレス鋼は、硬度がHv220〜300程度でありながら、マルテンサイト系ステンレス鋼(例えば、SUS420)と同等の靭性(ヤング率)を有している。したがって、モータの回転体(ここではスリーブ5)の荷重や接触による摩擦力によって各軸受部材の接触箇所に微小変形が生じることがあっても、弾性変形範囲内においては、マルテンサイト系ステンレス鋼と同等であり、劣ることはない。
【0034】
軸受部材どうしの接触でDLC層13の剥離が起こることは前述した通りであるが、この剥離現象は、軸受部材に微小な塑性変形が発生するために起こることが多い。塑性変形に関しては、マルテンサイト系ステンレス鋼では、局部的荷重が加わった場合にその周辺に急峻な変形が発生するが、オーステナイト系ステンレス鋼では滑らかな変形となる。したがって、上記したようにオーステナイト系ステンレス鋼の表面に形成したDLC層13について、クラック発生を緩和し、剥離を防止できる。この剥離防止効果については、硬さ試験機を用いたDLC層の剥離実験で観察し、定量的に確認できている。
【0035】
しかもDLC層13を、オーステナイト系ステンレス鋼からなる軸受部材(シャフト3,スラストメインプレート5,スラストフランジ6)の表面に中間層14と傾斜層15とを介して形成しているため、軸受部材に対して密着させることができる。
【0036】
DLC層13としては、水素化アモルファスカーボンを厚さ50〜500nmにて設けており、それにより硬度Hv1000〜2000を実現している。水素化アモルファスカーボンは、微視的表面粗さが平滑であり、摩擦係数を0.1程度にすることができ、DLC層13の剥離方向力の源泉になる摩擦力を低減できるため、この軸受構造に好適であると言える。しかし、水素化アモルファスカーボンと同様な硬度及び微視的な表面形状を形成できれば特に限定なく使用することができ、たとえばアモルファスカーボン、ダイヤモンド状炭素膜、硬質炭素膜とよばれる材料の使用も可能である。
【0037】
中間層14としては、チタンを真空蒸着法にて厚さ30〜100nm蒸着させている。チタンは、オーステナイト系ステンレス鋼と同等の硬度を有している関係で、オーステナイト系ステンレス鋼に変形が連動するため、好適である。上記した膜厚で十分な密着力が得られることは確認されている。しかしチタンに限定されるものではなく、シリコン、タングステンを設けても同様の好結果が得られる。
【0038】
傾斜層15は、中間層14とDLC層13との間にカーボンの組成割合を連続して変化させて設けた層である。ここでは、中間層14としてのチタンを蒸着する際に、単位時間あたりのチタン蒸発量を被着速度よりも過剰にすることにより、蒸発チタンの相互作用によってチタン層の表面近傍の組織を疎にして設け(たとえば数十nmの厚み)、この疎になった組織にカーボンを注入することで、チタンとカーボンとに所望の傾斜を持たせている。このような傾斜層15は槍状のアンカー効果を持つことになり、DLC層13の密着力が向上する。他の材料からなる傾斜層も同様にして設けることができる。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における動圧軸受モータの断面図である。
【0039】
この動圧軸受モータは、上記した実施の形態1のものとほぼ同様の構成を有しているが、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受を形成している双方の対向面を潤滑膜12A,12B,12C,12D,12E,12Fでコーティングしている点が相違している。
【0040】
具体的には、隙間10に臨んだシャフト2の外周面とスリーブ5の内周面をそれぞれ潤滑膜12A,12Dでコーティングし、隙間11Aに臨んだスラストメインプレート6の下面とスラストサブプレート3の上面をそれぞれ潤滑膜12B,12Fでコーティングし、隙間11Bに臨んだスラストサブプレート3の下面とスラストフランジ8の上面をそれぞれ潤滑膜12E,12Cでコーティングしている。各潤滑膜12A,12B,12C,12D,12E,12FにおけるDLC層13は、実施の形態の1と同様の水素化アモルファスカーボンで形成している。
【0041】
しかるにこの構成では、双方の対向面にDLC層13が存在することで摩擦力は低下するものの、対向面がともに硬度が高い状態で、接触のエネルギーが集中するため、DLC層13のより高い密着力が必要となる。
【0042】
このため、中間層14を2層構造とし、一層目は基材であるステンレス鋼と密着性が高い高密度チタン膜とし、二層目はDLC層13と密着性が高いカーボンドープチタン膜とした。これにより、DLC層13の密着力をより高めることができ、DLC層13の剥離方向力の源泉である接触時の摩擦力を大きく低減することができる。よって、DLC層13が剥離することはなく、動圧軸受、動圧軸受モータの信頼性を向上できる。このことは実機で確認された。
【0043】
実施の形態1,2に示したような動圧軸受モータは、ポリゴンミラーや記録ディスク等の回転体を取り付けて(脱着自在に、あるいは固着して)高速で回転する装置、たとえば記録装置やプリンタ装置の回転駆動源として最適である。
【0044】
なお、上記した実施の形態1,2では、シャフト2の内側にステータ4とマグネット9を配置したインナーモータ形式の動圧軸受モータについて説明したが、ラジアル動圧軸受の外側にステータとマグネットを配置するアウターモータ形式(図4参照)や面対向モータ形式(図示省略)のものであっても、上記した構成を適用して同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、スリーブ5とシャフト2で構成されるラジアル動圧軸受の内側の上部にスラスト動圧軸受として機能する、スラストメインプレート6、スラストサブプレート3及びスラストフランジ8を設けた軸固定型で片持ち形式の動圧軸受構成について説明したが、このような動圧軸受構成に限定されるものではなく、他の構成の動圧軸受を有する動圧軸受モータにも適応可能である。例えば、軸が片持ち形式でなく、両端で支持された動圧軸受モータ(図示省略)にも適用できる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、軸受部材の基材にオーステナイト系ステンレス鋼を用い、この基材とDLC層との間に中間層を配することで、DLC層の密着強度を向上することができる。オーステナイト系ステンレス鋼は、硬度もHv300以下とマルテンサイト系ステンレス鋼に比べ高くなく、表面を高硬度にする処理工程も必要でなく、中間層も蒸着などによって容易に形成できるので、動圧軸受構造を容易に安価に構成できる。よって、DLCの剥離が無い、高信頼性を確保した動圧軸受モータ及びそれを用いた装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における動圧軸受モータの断面図
【図2】図1の動圧軸受モータに設けられた潤滑膜の構成を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態2における動圧軸受モータの断面図
【図4】従来よりある動圧軸受モータの断面図
【図5】図4の動圧軸受モータなどに見られる従来の動圧軸受構成を示す断面図
【符号の説明】
2 シャフト
3 スラストサブプレート
4 ステータ
5 スリーブ
6 スラストメインプレート
7 ピン
8 スラストフランジ
9 マグネット
10 隙間(ラジアル動圧軸受
11A,11B 隙間(スラスト動圧軸受)
12A,12B,12C,12D,12E,12F 潤滑膜
13 DLC層
14 中間層
15 傾斜層
Claims (9)
- ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、
前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面の一方を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼で構成した
動圧軸受モータ。 - ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、
前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面の一方を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼で構成し、前記潤滑膜に対向する他方の軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼と熱膨張係数が略等しい材料で構成した
動圧軸受モータ。 - ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受によって支持され、相対的に回転可能になされた軸、スリーブ及び駆動モータを有する動圧軸受モータにおいて、
前記ラジアル動圧軸受及び前記スラスト動圧軸受を形成するそれぞれの対向面を、DLC層を中間層の上に配した潤滑膜でコーティングすると共に、前記潤滑膜でコーティングした各軸受部材をオーステナイト系ステンレス鋼で構成した
動圧軸受モータ。 - 前記DLC層がアモルファスカーボン、水素化アモルファスカーボン、ダイヤモンド状炭素膜、硬質炭素膜の内の一つである
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の動圧軸受モータ。 - 前記中間層の主成分がシリコン、チタン、タングステンの内の少なくとも一つである
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の動圧軸受モータ。 - 前記中間層を2層以上形成した
請求項5記載の動圧軸受モータ。 - 前記DLC層と中間層との間に炭素含有量が厚み方向に沿って連続的に変化する傾斜層を設けた
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の動圧軸受モータ。 - 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の動圧軸受モータにポリゴンミラー、記録ディスク等の被回転体を装着可能に構成した
回転装置。 - 請求項8記載の回転装置を搭載した記録ディスク装置。
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