JP2004308501A - 水冷式内燃機関の冷却構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラジエータ、ラジエータとシリンダヘッドのウオータジャケットとを結ぶ冷却水通路、冷却水通路とシリンダヘッドのウオータジャケットとの間に挿入され所定の冷却水温になると開弁するサーモスタット弁、サーモスタット弁の下流側に設けたウオーターポンプ、シリンダヘッドのウオータジャケットを循環した冷却水をシリンダブロックのウオータジャケットへ流通させる通水孔を備えたガスケット、シリンダブロックのウオータジャケットを循環した冷却水を上記ラジエータへ戻す冷却水通路、シリンダヘッドのウオータジャケットの下流端近傍に設けられ、冷却水を上記ウオーターポンプの上流に戻すバイパス通路、サーモスタット弁の開閉動作に連動して、サーモスタット弁が開弁する時にバイパス通路を閉弁するバイパス通路開閉弁とから構成する。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷式内燃機関の冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のピストンのスムーズな運転のためには、潤滑油の粘度が低いことが粘性抵抗の低減のために必要である。しかしながら、運転初期において、シリンダブロックがまだ低温の時には、潤滑油の粘度が高い。更に、水冷式の場合は、運転初期には冷却水の温度も低い。このため、運転開始後すぐにシリンダブロックに低温の冷却水を循環させることは、潤滑油の粘度を下がりにくくすることであるため、冷却水の温度が低い運転初期には、シリンダブロックには冷却水を循環させないほうが良い。運転初期にシリンダブロックを冷却しないと、シリンダブロックが比較的早く温度上昇し、潤滑油の粘度が早く低下するので、スムーズな運転が早まる。また、運転初期には、シリンダヘッドにのみ冷却水を循環させて、冷却水の温度をある程度高めた後、シリンダブロックへ循環させることによって、暖機時間を短縮することができる。
【0003】
従来、上記目的を達成するために、サーモスタット弁を2個備え、循環する冷却水の温度を3段階に分けて、冷却水の温度に応じて循環対象を次のようにしている例がある(例えば、特許文献1参照。)。
冷却水低温時:ウオーターポンプ→シリンダヘッド→ウオーターポンプ。
冷却水中温時:ウオーターポンプ→シリンダヘッド→ラジエータ→ウオーターポンプ。
冷却水高温時:ウオーターポンプ→シリンダブロック→シリンダヘッド→ラジエータ→ウオーターポンプ。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−97959号公報(図1〜図9)。
【0005】
【解決しようとする課題】
上記従来技術のように、冷却水温度を3段階に分け、サーモスタット弁を2個備えた構成とすると、内燃機関の冷却構造が複雑となり、重量も増加するので、この構成は小型車両に搭載される内燃機関の冷却構造としては適していない。本発明は、サーモスタット弁を1個とし、冷却水温度を低温と高温の2段階として構成を簡単化することによって、前述の目的に沿い、かつ、小型車両搭載に適した水冷式内燃機関の冷却構造を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、水冷式内燃機関の冷却構造において、ラジエータと、上記ラジエータとシリンダヘッドのウオータジャケットの上流端とを結ぶ冷却水通路と、上記冷却水通路とシリンダヘッドのウオータジャケットの上流端との間に挿入され所定の冷却水温になると開弁するサーモスタット弁と、上記サーモスタット弁の下流側に設けたウオーターポンプと、シリンダヘッドのウオータジャケットを循環した冷却水をシリンダブロックのウオータジャケットへ流通させる通水孔を備えシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に装着されるガスケットと、上記シリンダブロックのウオータジャケットを循環した冷却水を上記ラジエータへ戻す冷却水通路と、上記シリンダヘッドのウオータジャケットの下流端近傍に設けられ冷却水を上記ウオーターポンプの上流に戻すバイパス通路と、上記サーモスタット弁の開閉動作に連動してサーモスタット弁が開弁する時に上記バイパス通路を閉弁するバイパス通路開閉弁とからなることを特徴とする水冷式内燃機関の冷却構造に関するものである。
【0007】
本発明は上記のように構成されているので、運転初期の、冷却水が所定温度に達するまでは、冷却水はシリンダブロックの方へは循環しないので、シリンダブロックは冷却されない。このため比較的早く温度が上昇して潤滑油粘度が低下し、早急にスムーズな運転が可能となる。また、冷却水が所定温度に達するまでは、冷却水を、バイパス通路を介してシリンダヘッド内にのみ循環させ、冷却水が温度上昇してからシリンダブロックへ循環させるので、暖機時間を短縮することができる。冷却水が所定温度に達した後には、シリンダヘッドとシリンダブロックを循環して高温になった冷却水はラジエータで冷却される。本発明は上記の作用を実現するために、サーモスタット弁を1個とし、冷却水温度を低温と高温の2段階として、構成を簡単化しているので、小型車両搭載に適した水冷式内燃機関の冷却構造を提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る水冷式4ストロークサイクル内燃機関1を搭載した自動二輪車2の側面図である。この自動二輪車2の車体は、前方上部から後方下部に傾斜しているメインフレーム3と、メインフレーム3の前方上部に前端部が一体に結合されたダウンチューブ4と、メインフレーム3の後方下部に一体に結合され斜後上方へ指向した後部フレーム5と、メインフレーム3の前端に一体に結合されたヘッドパイプ6とからなっている。水冷式4ストロークサイクル内燃機関1は、シリンダ軸線が水平よりやや上方に傾き前方へ指向した姿勢で、メインフレーム3とダウンチューブ4とに取付けられている。
【0009】
ヘッドパイプ6にはステアリングシャフト7が左右に旋回自在に嵌装され、ステアリングシャフト7の下端に設けられたフロントフォーク8の下端には前輪9が回転自在に取付けられている。メインフレーム3の後方下部にリヤフォーク10の前端が上下へ揺動自在に枢支され、リヤフォーク10の後端には後輪11が回転自在に取付けられている。後部フレーム5とリヤフォーク10の後端との間にはダンパ12が介装されている。
【0010】
ステアリングシャフト7の上端にバーハンドル13が一体に装着されている。ダウンチューブ4の上部前方にラジエータ14が配置されている。フロントフォーク8にフロントフェンダ15が一体に装着され、後部フレーム5にリアフェンダ16が装着されている。内燃機関の排気ポートには排気管17および消音器18が接続されている。後部フレームの上方に乗車用シート19が設けてある。
【0011】
図2は上記内燃機関の横断面を車載状態で上から見た図である。図において、この内燃機関の外殻は左クランクケース20、右クランクケース21、左クランクケースカバー22、右クランクケースカバー23、シリンダブロック24、シリンダヘッド25、シリンダヘッドカバー26から構成されている。クランク軸27は左右の部分からなり、クランクピン28によって一体化されている。クランク軸27は、左クランクケース20と右クランクケース21にそれぞれころがり軸受29、30を介して回転可能に支持されている。クランクピン28にはコンロッド31を介してピストン32が接続され、同ピストン32はシリンダ孔33の中でシリンダ軸線方向に往復運動をする。シリンダヘッド25の下面に燃焼室34が形成されている。シリンダヘッド25には図示していない点火プラグが装着され、その先端は上記燃焼室34に臨んでいる。シリンダヘッド25の中には動弁機構のカムシャフト35が回転可能に支持されている。
【0012】
上記のように組立てられた内燃機関の左側部に、カムシャフト35の左端部空間から左クランクケース20の内部までを貫通するカムチェーン室36が設けてある。クランク軸27の左側部分に駆動スプロケット37が設けられ、カムシャフト35の左端部には従動スプロケット38が固定され、この両スプロケットには、カムチェーン39が架け渡されている。これによって、クランク軸27の回転駆動力をカムシャフト35へ伝達し、シリンダヘッド25に配置されている吸排気弁を所定タイミングで駆動することができる。
【0013】
動弁機構の左側にウオータポンプ40が設けてある。ポンプケーシングシング41の中心部に、上記カムシャフト35と共通の中心線をもつが、接続されていないポンプ軸42が回転可能に設けてある。ポンプ軸42には羽根43とポンプ従動用永久磁石44が取付けてあり、同ポンプ軸42と一体的に回転する。上記カムチェーン39で駆動される従動スプロケット38には、ポンプ駆動用永久磁石45が、同従動スプロケット38と一体回転するよう取付けてある。カムチェーン39によって、従動スプロケット38およびカムシャフト35が回転駆動される時、ポンプ駆動用永久磁石45もポンプケーシングシング41の外周で回転し、ポンプケーシングシング41の中のポンプ従動用永久磁石を駆動してウオータポンプ40を作動させる。
【0014】
シリンダヘッド25の燃焼室34の上方に隣接してウオータジャケット46が形成されている。また、シリンダブロック24の燃焼室に近い部分の周囲にウオータジャケット47が形成されている。
【0015】
クランク軸27の一方の端部には交流発電機50が設けてある。クランク軸27の他方の端部には発進クラッチ51が設けてある。52は変速機の切換クラッチ、53は変速機の歯車群である。
【0016】
図3は上記内燃機関の縦断面を左側から見た図である。右クランクケース21の中にクランク軸27があり、クランクピン28に連なるコンロッド31の端にピストン32が設けられ、シリンダブロック24のシリンダ孔33の中でシリンダ軸線に沿って摺動可能である。
【0017】
シリンダヘッド25の、ピストン32に対向する側に燃焼室34が形成され、内燃機関上部から燃焼室34に通じる吸気ポート60が設けてあり、燃焼室34から内燃機関下部へ抜ける排気ポート61が設けてある。吸気ポート60には吸気バルブ62が、排気ポート61には排気バルブ63が設けてある。シリンダヘッド25の中央部に前述のカムシャフト35が設けてある。カムシャフト35に隣接して、一対のロッカーシャフト64、一対のロッカーアーム65およびローラ66が設けてあり、これらによって上記吸気バルブ62、排気バルブ63が駆動される。シリンダヘッド25にはウオータジャケット46が設けてある。シリンダブロック24にはウオータジャケット47が設けてある。
【0018】
図4は、本実施形態に用いるサーモスタット弁70の内部を見えるようにした図である。図5は図4のV−V断面図である。図4、図5共に、サーモスタット弁70を流通する冷却水温度が低い時の弁体の位置を示している。サーモスタット弁70はケーシングシング71と蓋72との中に収納されている。蓋72にはラジエータ戻り水入口73が、ケーシングシング71にはバイパス水入口74が設けてあり、さらにケーシングシング71にはウオーターポンプの流入口に直結する流出口75が設けてある。
【0019】
図5において、サーモスタット弁70の内部には、ブリッジ部77を有する仕切板76がケーシングシング71と蓋72とに挟まれて固定されている。同ブリッジ部77に円筒状可動部78から突出するプランジャ79の一端が保持されている。同プランジャ79の他端部は円筒状可動部78の中に挿入されている。同円筒状可動部78の大径部の内部にはワックスが封入され、感温部として機能する。流通している水の温度が上昇すると、上記プランジャ79を押し出し、プランジャ79の一端がブリッジ部77に保持されているため、その反力によって、同円筒状可動部78自体が動く。
【0020】
円筒状可動部78には第1弁体80と第2弁体81が設けてある。第1弁体80は円筒状可動部78に固定されている。第2弁体81は円筒状可動部78から円錐状コイルばね82で付勢されている。仕切板76に固定されたばね支持部材83と第1弁体80との間にコイルばね84が装着してある。第1弁体の通路が主通路であり、第2弁体の通路がバイパス水の通路である。
【0021】
図5は、運転初期の、流通している水の温度が低い時の、弁体の位置と水流を示している。図の太線矢印は大量の水の流れ、細線矢印は少量の水の流れを示している。水温が低い時には、第1弁体80が閉鎖位置にあり、第2弁体81が開放位置にある。仕切板76には小孔85が設けてあり、第1弁体80が閉鎖位置にある時でも、ラジエータ戻り水入口73から少量の水を流入させるようになっている。水温が低い時には、バイパス水入口74から大量の水が流入して流出口75へ流れ出る。ラジエータ戻り水入口73からは少量の水が流入して、小孔85を通り流出口75へ流れ出る。
【0022】
図6は、運転開始後時間が経過し、上記サーモスタット弁70を流通する水の温度が高くなった時の、弁体の位置と水流を示している。図の太線矢印は大量の水の流れ、細線矢印は少量の水の流れを示している。水温が高い時には、第1弁体80が開き、第2弁体81が閉じている。円筒状可動部78の温度が上昇すると、内部に充填されているワックスの膨張によって、円筒状可動部78はプランジャ79を押し出す。プランジャ79の先端が固定されているので、反力によって、円筒状可動部78自体がコイルばね84の弾発力に抗して移動する。図では右方へ移動し、第1弁体80を開き、第2弁体81を閉じる。水温が高い時には、ラジエータ戻り水入口73から大量の水が流入して流出口75へ流れ出る。小孔85を通りサーモスタット弁70に流入する少量の水があるが、これは上記大量の水に合流して流出口75から流れ出る。バイパス水入口74からは水は流入しない。
【0023】
図7は上記内燃機関1の冷却水流路系統図であり、各部を左側から見た図である。図にはシリンダヘッド25とシリンダブロック24は離して描いてあるが、実際には接続されており、ウオータジャケット46とウオータジャケット47はガスケット90に設けられた通水孔90aを介して連通している。
【0024】
シリンダヘッド25の左側部に前述のウオーターポンプ40が設けてある。ウオーターポンプ40の流入口48は、ウオーターポンプ40の中心に近いところに開口している。ウオーターポンプ40の吐出口49は中心から離れたところに設けてあり、シリンダヘッド25のウオータジャケット46に連通している。
【0025】
ウオーターポンプ40に隣接して上述のサーモスタット弁70が設けてある。サーモスタット弁70には水の入口が2箇所ある。ラジエータ戻り水入口73とバイパス水入口74である。サーモスタット弁70には流出口75があり、上記ウオーターポンプ40の流入口48に直結している。シリンダヘッド側ウオータジャケット46にはエア出口91が設けてある。シリンダブロック側ウオータジャケット47には冷却水出口92が設けてある。
【0026】
上記冷却水流路系統には、各機器をつなぐ流体通路が、図の左側から順に、次のように4本設けてある。
(1)ラジエータ戻り水通路93:ラジエータ14で冷やされた水が、サーモスタット弁70のラジエータ戻り水入口73へ向かって流れる通路である。
(2)バイパス通路94:シリンダヘッド側ウオータジャケット46の水がサーモスタット弁70のバイパス水入口74へ向かって流れる通路である。
(3)エア抜き通路95:シリンダヘッド側ウオータジャケット46のエア出口91からラジエータ14へつながる内径の小さい通路である。これは内燃機関使用開始前の、ウオータジャケットに冷却水を注入する時に、中にある空気を逃がすための通路であり、空気はラジエータ14の蓋98を開けた開口部から逃げる。機関運転中は、この通路を少量の水が流れる。
(4)シリンダブロック戻り水通路96:シリンダブロック側ウオータジャケット47を経由した水が、冷却水出口92から出てラジエータ14へ向かって流れる通路である。
【0027】
図8は、図7の冷却水流路系統を別な角度から見た図である。左側の図はシリンダヘッド25を後方(燃焼室側)から見た図、右側の図はシリンダブロック24を前方(燃焼室側)から見た図、中央の図はシリンダヘッド25とシリンダブロック24との間に介装されるガスケット90を前方から見た図である。ガスケット90のシリンダ孔周囲部には1個の通水孔90aが設けてある。シリンダヘッド側ウオータジャケット46とシリンダブロック側ウオータジャケット47とはこの通水孔90aを介して連通している。90bは注排水時のための連通孔である。
【0028】
図7と図8の矢印は、運転初期、すなわち、サーモスタット弁70内を流通する水の温度が低い時の、水の流れを示している。図の太線矢印は大量の水の流れ、細線矢印は少量の水の流れを示している。サーモスタット弁70からウオーターポンプ40の流入口48へ送られた水は、吐出口49からシリンダヘッド25のウオータジャケット46へ吐出され、ウオータジャケット46内を一巡して燃焼室34の周辺を冷却し、大部分の水はバイパス通路94からサーモスタット弁70のバイパス水入口74へ戻り、ウオーターポンプ40へ送られる。
【0029】
ラジエータ14の水は、ラジエータ戻り水通路93とサーモスタット弁70の小孔85(図5)を介して、ウオーターポンプ40に吸引されている。このため、ラジエータ14に向かう少量の水流が発生している。第1の少量水流は、シリンダヘッド25のウオータジャケット46のエア出口91から出て、エア抜き通路95を経て、ラジエータ入口97からラジエータ14に入る水流である。第2の少量水流は、シリンダヘッド25のウオータジャケット46から、ガスケット90の通水孔90aを経て、シリンダブロック24のウオータジャケット47へ入り、シリンダ孔33の外周のウオータジャケット47を一巡し、冷却水出口92から出て、シリンダブロック戻り水通路96を経て、ラジエータ14に入る水流である。第1・第2の少量水流はラジエータ14内で合流して冷却され、ラジエータ戻り水通路93を経てサーモスタット弁70に吸い込まれる。
【0030】
シリンダブロック24のウオータジャケット47の水は、運転初期においても、上記第2の少量水量となって流通するので、シリンダブロック内の滞留水が過熱されることによる不具合、例えば冷却が必要になった時、高温滞留水によってシリンダの冷却が遅れ、ノッキングが生じるような事態、を避けることができる。
【0031】
図9と図10は、運転継続時、すなわち、サーモスタット弁70内を流通する水の温度が高い時の、水の流れを示している。図の太線矢印は大量の水の流れ、細線矢印は少量の水の流れを示している。サーモスタット弁70からウオーターポンプ40の流入口48へ送られた水は、吐出口49からシリンダヘッド25のウオータジャケット46へ吐出され、ウオータジャケット46内を一巡して燃焼室34の周辺を冷却する。流通する水が高温の時には、サーモスタット弁70のバイパス水入口74側の弁は閉鎖されるので、水はバイパス通路94の方へ流れることはできない。大部分の水はシリンダヘッド25のウオータジャケット46から、ガスケット90の通水孔90aを経て、シリンダブロック24のウオータジャケット47へ入り、シリンダ孔33の外周のウオータジャケット47内を一巡して、シリンダブロック24を冷却し、水自体は高温となって、冷却水出口92から出て、シリンダブロック戻り水通路96およびラジエータ入口97を経て、ラジエータ14へ入る。
【0032】
上記大量水流の外、シリンダヘッド25のウオータジャケット46のエア出口91から流出し、エア抜き通路95を経てラジエータ14に入る少量水流がある。上記大量水流と少量水流は、ラジエータ14内で合流して冷却され、ラジエータ戻り水通路93をへてサーモスタット弁70に吸い込まれる。
【0033】
以上詳述したように、本実施形態の内燃機関の冷却構造においては、サーモスタット弁を1個備え、冷却水の温度を2段階に分けて、主要冷却水の循環を次のようにしている。
冷却水低温時:ウオーターポンプ→シリンダヘッド→ウオーターポンプ。
冷却水高温時:ウオーターポンプ→シリンダヘッド→シリンダブロック→ラジエータ→ウオーターポンプ。
運転初期の、冷却水が所定温度に達するまでは、冷却水はシリンダブロックの方へは循環しないので、シリンダブロックは冷却されず、比較的早く温度が上昇して潤滑油粘度が低下するので、早急にスムーズな運転が可能となる。また、冷却水が所定温度に達するまでは、冷却水を、バイパス通路を介してシリンダヘッド内にのみ循環させ、特に排気ポート付近の高温によって冷却水が温度上昇してからシリンダブロックへ循環させるので、暖機時間を短縮することができる。冷却水が所定温度に達した後には、シリンダヘッドとシリンダブロックを循環して高温になった冷却水はラジエータで冷却される。本実施形態においては、サーモスタット弁を1個とし、冷却水温度を低温と高温の2段階として構成を簡単化して、上記の作用を実現しているので、小型車両搭載に適した水冷式内燃機関の冷却構造を提供することができる。
【0034】
また、シリンダブロック24のウオータジャケット47の水は、運転初期においても、少量が循環するので、シリンダブロック内の滞留水が過熱されることによる不具合、例えば冷却が必要になった時、高温滞留水によってシリンダの冷却が遅れ、ノッキングが生じるような事態、を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水冷式4ストロークサイクル内燃機関1を搭載した自動二輪車2の側面図である。
【図2】上記内燃機関の横断面を車載状態で上から見た図である。
【図3】上記内燃機関の縦断面を左側から見た図である。
【図4】サーモスタット弁70の内部を見えるようにした図である。
【図5】図4のV−V断面図であり、サーモスタット弁70の冷却水低温状態における弁体の位置を示す図である。
【図6】上記サーモスタット弁70の冷却水高温状態における弁体の位置を示す図である。
【図7】上記内燃機関の冷却水流路系統図であり、冷却水低温状態における水の流れを示す図である。
【図8】図7の冷却水流路系統を別な角度から見た図であり、冷却水低温状態における水の流れを示す図である。
【図9】上記内燃機関の冷却水流路系統図であり、冷却水高温状態における水の流れを示す図である。
【図10】図9の冷却水流路系統を別な角度から見た図であり、冷却水高温状態における水の流れを示す図である。
【符号の説明】
1…水冷式4ストロークサイクル内燃機関、2…自動二輪車、3…メインフレーム、4…ダウンチューブ、5…後部フレーム、6…ヘッドパイプ、7…ステアリングシャフト、8…フロントフォーク、9…前輪、10…リヤフォーク、11…後輪、12…ダンパ、13…バーハンドル、14…ラジエータ、15…フロントフェンダ、16…リアフェンダ、17…排気管、18…消音器、19…乗車用シート、20…左クランクケース、21…右クランクケース、22…左クランクケースカバー、23…右クランクケースカバー、24…シリンダブロック、25…シリンダヘッド、26…シリンダヘッドカバー、27…クランク軸、28…クランクピン、29…ころがり軸受、30…ころがり軸受、31…コンロッド、32…ピストン、33…シリンダ孔、34…燃焼室、35…カムシャフト、36…カムチェーン室、37…駆動スプロケット、38…従動スプロケット、39…カムチェーン、40…ウオータポンプ、41…ポンプケーシングシング、42…ポンプ軸、43…ポンプ羽根、44…ポンプ従動用永久磁石、45…ポンプ駆動用永久磁石、46…シリンダヘッド側ウオータジャケット、47…シリンダブロック側ウオータジャケット、48…ウオーターポンプの流入口、49…ウオーターポンプの吐出口、50…交流発電機、51…発進クラッチ、52…変速切換クラッチ、53…変速機歯車群、60…吸気ポート、61…排気ポート、62…吸気バルブ、63…排気バルブ、64…ロッカーシャフト、65…ロッカーアーム、66…ローラ、67…スタータモータ、70…サーモスタット弁、71…ケーシングシング、72…蓋、73…ラジエータ戻り水入口、74…バイパス水入口、75…流出口、76…仕切板、77…ブリッジ部、78…円筒状可動部、79…プランジャ、80…第1弁体、81…第2弁体、82…円錐状コイルばね、83…ばね支持部材、84…コイルばね、85…小孔、90…ガスケット、90a…ガスケットの通水孔、90b…ガスケットのエア抜き孔、91…エア出口、92…冷却水出口、93…ラジエータ戻り水通路、94…バイパス通路、95…エア抜き通路、96…シリンダブロック戻り水通路、97…ラジエータ入口、98…ラジエータの蓋
Claims (1)
- 水冷式内燃機関の冷却構造において、
ラジエータと、
上記ラジエータとシリンダヘッドのウオータジャケットの上流端とを結ぶ冷却水通路と、
上記冷却水通路とシリンダヘッドのウオータジャケットの上流端との間に挿入され所定の冷却水温になると開弁するサーモスタット弁と、
上記サーモスタット弁の下流側に設けたウオーターポンプと、
シリンダヘッドのウオータジャケットを循環した冷却水をシリンダブロックのウオータジャケットへ流通させる通水孔を備えシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に装着されるガスケットと、
上記シリンダブロックのウオータジャケットを循環した冷却水を上記ラジエータへ戻す冷却水通路と、
上記シリンダヘッドのウオータジャケットの下流端近傍に設けられ冷却水を上記ウオーターポンプの上流に戻すバイパス通路と、
上記サーモスタット弁の開閉動作に連動してサーモスタット弁が開弁する時に上記バイパス通路を閉弁するバイパス通路開閉弁とからなることを特徴とする水冷式内燃機関の冷却構造。
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