JP2004307843A - 樹脂成形品およびその加工品 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性と硬度とに優れるとともに、耐蒸気滅菌性に優れ、輸液用チューブ、輸液用容器、およびカテーテルなどの医療用途に有用な樹脂成形品を得る。
【解決手段】(A)結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100〜60質量部、ならびに(B)他の熱可塑性ポリマー0〜40質量部を含有する樹脂成形品を電子線照射して得られる成形品であって、電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)が電子線照射前の50%応力(50%M:M1)の1.01〜2.5倍であり、かつ耐蒸気滅菌性を有する樹脂成形品。
【選択図】なし
【解決手段】(A)結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100〜60質量部、ならびに(B)他の熱可塑性ポリマー0〜40質量部を含有する樹脂成形品を電子線照射して得られる成形品であって、電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)が電子線照射前の50%応力(50%M:M1)の1.01〜2.5倍であり、かつ耐蒸気滅菌性を有する樹脂成形品。
【選択図】なし
Description
本発明は、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン含有組成物からなる樹脂成形品を電子線照射して得られる成形品に関する。さらに詳しくは、柔軟性と硬度とに優れ、かつ耐蒸気滅菌性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン含有成形品に関する。
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、プラスチック(硬度)とゴム(弾性、柔軟性)との性質を併せ持つ熱可塑性エラストマーであり、一定の結晶性を持ちながら、汎用されているポリマー加工機によって容易に成形することが可能であるため、各種工業用品に用いられるようになっている。
特に、耐ガス透過性、透明性に優れ、可塑剤を多量に必要とする塩化ビニル系樹脂などに較べ、可塑剤無添加で成形加工でき、柔軟かつ自己粘着性を適度に有するので、輸液用チューブ、およびカテーテルなどの医療用途への応用が拡大しつつある。
特に、耐ガス透過性、透明性に優れ、可塑剤を多量に必要とする塩化ビニル系樹脂などに較べ、可塑剤無添加で成形加工でき、柔軟かつ自己粘着性を適度に有するので、輸液用チューブ、およびカテーテルなどの医療用途への応用が拡大しつつある。
しかし、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、結晶化度が低い場合には、融点が70〜95℃と低く、これを輸液用チューブや輸液容器、およびカテーテルなどの医療用具に用いて、蒸気滅菌すると、耐熱性に乏しく、実用上問題となることがあった。
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの、プラスチック(硬度)とゴム(弾性、柔軟性)との性質を併せ持つ熱可塑性エラストマーであるという特性を保持しつつ、性能バランスの不足を解消する方法として、限定された波長の紫外線を照射することにより成形物の表層のみを架橋させて硬化させる方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、医療用部材としての、柔軟性、透明性および耐熱性(耐高圧蒸気滅菌性)の性能バランスの向上の点では相応の効果を発揮するものである。
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの、プラスチック(硬度)とゴム(弾性、柔軟性)との性質を併せ持つ熱可塑性エラストマーであるという特性を保持しつつ、性能バランスの不足を解消する方法として、限定された波長の紫外線を照射することにより成形物の表層のみを架橋させて硬化させる方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、医療用部材としての、柔軟性、透明性および耐熱性(耐高圧蒸気滅菌性)の性能バランスの向上の点では相応の効果を発揮するものである。
また、より硬質な表面を得るため、電子線を照射する方法も種々提案されている。これらの方法は、耐傷付き性については一定の効果を発揮するものである。
しかしながら、上記公報に開示された方法により得られる成形物は、限定された領域の波長の紫外線照射によって表層のみを架橋するものであるため、例えば医療用チューブの内部の耐熱性については、必ずしも十分に満足し得るものではない。また、従来の電子線を用いる方法は、成形物の内部をも過剰に硬質化してしまい、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンが有する1つの性質である柔軟性がほとんど失われてしまうという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、輸液用チューブ、輸液用容器、およびカテーテルなどの医療用途などに有用な、柔軟性と硬度とに優れるとともに、耐蒸気滅菌性に優れたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン含有成形品を提供することを目的とする。
本発明は、(A)結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100〜60質量部、ならびに(B)ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの水素化物(SEBS、またはSEPS)、上記シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン以外のポリブタジエン(BR)、ABS樹脂、ポリイソプレン、ポリエチレン(LLDPE、ULDPE、またはLDPE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマーの群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性ポリマー0〜40質量部[ただし、(A)+(B)=100質量部]を含有する樹脂成形品を電子線照射して得られる成形品であって、電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)が電子線照射前の50%応力(50%M:M1))の1.01〜2.5倍であり、かつ耐蒸気滅菌性を有することを特徴とする樹脂成形品に関する。
ここで、樹脂成形品のヘイズ値は、50以下の透明性を有するものが好ましい。
また、電子線照射後の樹脂成形品のトルエン不溶分は、通常、50〜99質量%である。
さらに、電子線照射量は、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)である。
樹脂成形品の具体例としては、チューブ、シート、フィルム、バッグ、およびコネクターの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
これらの樹脂成形品は、ハロゲン原子の含有量が50ppm以下であることが好ましい。
本発明の樹脂成形品は、特に医療用途に応用される。
さらに、本発明は、上記樹脂成形品を加工して得られる食品用途、履き物用途、車両用途、電線被覆用途などの加工品に関する。
ここで、樹脂成形品のヘイズ値は、50以下の透明性を有するものが好ましい。
また、電子線照射後の樹脂成形品のトルエン不溶分は、通常、50〜99質量%である。
さらに、電子線照射量は、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)である。
樹脂成形品の具体例としては、チューブ、シート、フィルム、バッグ、およびコネクターの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
これらの樹脂成形品は、ハロゲン原子の含有量が50ppm以下であることが好ましい。
本発明の樹脂成形品は、特に医療用途に応用される。
さらに、本発明は、上記樹脂成形品を加工して得られる食品用途、履き物用途、車両用途、電線被覆用途などの加工品に関する。
本発明の樹脂成形品は、柔軟性と硬度とに優れ、かつ耐蒸気滅菌性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン含有成形品であり、輸液用チューブ、輸液用容器、およびカテーテルなどの医療用途に有用である。
(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、結晶化度が5%以上、好ましくは10〜40%の結晶性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンであり、その融点は、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃の範囲にある。結晶化度・融点がこの範囲にあることにより、引張強度、引裂強度などの力学強度と柔軟性に優れる結果となる。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、結晶化度が5%以上、好ましくは10〜40%の結晶性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンであり、その融点は、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃の範囲にある。結晶化度・融点がこの範囲にあることにより、引張強度、引裂強度などの力学強度と柔軟性に優れる結果となる。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、例えば、1,2−結合含有量が70%以上のものであり、例えば、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られるものであるが、この製造方法に限定されるものではない。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのブタジエン結合単位における1,2−結合含有量は、通常、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。1,2−結合含有量が70質量%以上であることにより、当該1,2−ポリブタジエンが良好な熱可塑性エラストマーとしての性質が発揮される。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、ブタジエン以外の共役ジエンが少量共重合していてもよい。ブタジエン以外の共役ジエンとしては、1,3−ペンタジエン、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。このうち、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体としては、1−ペンチル−1,3−ブタジエン、1−ヘキシル−1,3−ブタジエン、1−ヘプチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
ここで、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シクロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンのなかで、ブタジエンと共重合される好ましい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中のブタジエンの含有量は50モル%以上、特には70モル%以上が好ましい。
本発明で用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、上述したように、例えば、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られる。上記コバルト化合物としては、好ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩を挙げることができる。このコバルトの有機酸塩の具体例として、酪酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチル−ヘキシル酸などのオクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリル酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキル、アラルキル、アリル置換安息香酸酸塩やナフトエ酸塩、アルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ酸塩を挙げることができる。これらのうち、2−エチルヘキシル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸塩、安息香酸塩が、炭化水素溶媒への優れた溶解性のために好ましい。
上記アルミノオキサンとしては、例えば下記一般式(I)または一般式(II)で表されるものを挙げることができる。
この一般式(I)あるいは(II)で表されるアルミノオキサンにおいて、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。アルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げることができ、メチルアルミノオキサンが特に好ましい。
重合触媒は、上記コバルト化合物とアルミノオキサン以外に、ホスフィン化合物を含有することが極めて好ましい。ホスフィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造および結晶性の制御に有効な成分であり、好ましくは下記一般式(III)で表される有機リン化合物を挙げることができる。
P(Ar)n(R´)3-n ……(III)
一般式(III)中、Arは下記で示される基を示す。
一般式(III)中、Arは下記で示される基を示す。
(上記基において、R1,R2,R3は、同一または異なって、水素原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルコキシ基または炭素数が好ましくは6〜12のアリール基を表す。)
また、一般式(III)中、R´はシクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。
また、一般式(III)中、R´はシクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。
一般式(III)で表されるホスフィン化合物としては、具体的に、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィン)、トリ−(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−エチルフェニルホスフィン)などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましいものとしては、トリフェニルホスフィン、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。
また、コバルト化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることができる。
上記一般式(IV)で表される化合物は、塩化コバルトに対し上記一般式(III)においてnが3であるホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。このコバルト化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトとホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの1,2−結合の量、結晶化度の制御を行なうことができる。
上記一般式(IV)で表されるコバルト化合物の具体例としては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−イソプロピルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−t−ブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチル−5−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−フェニルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4,5−トリメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ドデシルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどを使用することができる。
これらのうち、特に好ましいものとしては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどが挙げられる。
触媒の使用量は、ブタジエンの単独重合の場合は、ブタジエン1モル当たり、共重合する場合は、ブタジエンとブタジエン以外の共役ジエンとの合計量1モル当たり、コバルト化合物を、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度使用する。また、ホスフィン化合物の使用量は、コバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)として、通常、0.1〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜20である。さらに、アルミノオキサンの使用量は、コバルト化合物のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比(Al/Co)として、通常、4〜107、好ましくは10〜106である。なお、一般式(IV)で表される錯体を用いる場合は、ホスフィン化合物の使用量がコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)が2であるとし、アルミノオキサンの使用量は、上記の記載に従う。
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。
重合温度は、通常、−50〜120℃で、好ましくは−20〜100℃である。
重合反応は、回分式でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。
また、重合体を製造するために、本発明の触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥して本発明に用いられるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
重合反応は、回分式でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。
また、重合体を製造するために、本発明の触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥して本発明に用いられるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの重量平均分子量は、好ましくは1万〜500万、さらに好ましくは1万〜150万、特に好ましくは5万〜100万である。重量平均分子量が1万未満では流動性が極端に高く、加工が非常に困難となり、また成形品がべたつくため好ましくなく、一方、500万を超えると流動性が極端に低く、加工が非常に困難となり好ましくない。
(B)熱可塑性ポリマー
(B)熱可塑性ポリマーとしては、上記(A)成分以外の熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの水素化物(SEBS、SEPS)、上記シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン以外のポリブタジエン(BR)、ABS樹脂、ポリイソプレン、各種ポリエチレン(LLDPE、ULDPE、LDPE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマーの群から選ばれた少なくとも1種である。
(B)熱可塑性ポリマーとしては、上記(A)成分以外の熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの水素化物(SEBS、SEPS)、上記シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン以外のポリブタジエン(BR)、ABS樹脂、ポリイソプレン、各種ポリエチレン(LLDPE、ULDPE、LDPE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマーの群から選ばれた少なくとも1種である。
(B)成分の配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100質量部中に、40質量部以下、好ましくは0〜35質量部である。40質量部を超えると、(A)成分の使用割合が少なくなり、柔軟性や硬度と透明性が失われる。
なお、本発明に用いられる組成物において、上記(A)〜(B)成分以外に、必要に応じて、滑剤、フィラー、オイルまたは発泡剤などの添加剤を含有してもよい。上記添加剤の具体例としては、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの滑剤、タルク、シリカ、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラス、カーボンファイバー、ガラスバルーンなどのフィラー、パラフィンオイル、シリコンオイル、エクスパンセル発泡剤(日本フィライト社取り扱いビーズ型発泡剤マイクロスフェアー:成形加工時にビーズが40倍以上に膨張)、ADCA(Azodicarbanamide)、OBSH(p,p'−oxybisbenzensulfonylhydrazine)、重曹、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)などの発泡剤を挙げることができる。
また、電子線照射による耐熱性と柔軟性を向上させるために、その他の添加剤、例えば、トリメチルプロパントリメタクリレートなどの多官能モノマー、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの光重合開始剤、ベンゾフェノンなどの光増感剤などを、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100質量部に対して5質量部以下含有させてもよい。
組成物の調製と成形
本発明に用いられる組成物は、上記(A)〜(B)成分、これらにさらに必要に応じて、上記添加剤などを添加して、加熱軟化させて、混練し成形する。混練と成形は、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの軟化温度ないし溶融温度以上の成形性の良好な温度範囲で行い、均質な成形品にする。
このため、成形温度は、90〜170℃程度が良い。成形品を得るには、プレス成形、押し出し成形、射出成形、ブロー成形、異形押し出し成形、Tダイフィルム成形、インフレーション成形、パウダースラッシュ成形、回転成形などが利用される。
本発明に用いられる組成物は、上記(A)〜(B)成分、これらにさらに必要に応じて、上記添加剤などを添加して、加熱軟化させて、混練し成形する。混練と成形は、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの軟化温度ないし溶融温度以上の成形性の良好な温度範囲で行い、均質な成形品にする。
このため、成形温度は、90〜170℃程度が良い。成形品を得るには、プレス成形、押し出し成形、射出成形、ブロー成形、異形押し出し成形、Tダイフィルム成形、インフレーション成形、パウダースラッシュ成形、回転成形などが利用される。
電子線照射
本発明の樹脂成形品は、次いで電子線を照射して得られる。電子線を照射すると、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのビニル基のラジカル反応により三次元架橋構造となり、成形品を硬化させるとともに、耐熱性を付与させる。
電子線は、合成樹脂に対して透過性があり、その透過の程度は、成形品の厚みと、電子線の運動エネルギーに依存する。
その照射厚みに従って厚み方向に均一に透過可能に電子線のエネルギーを調節すると、厚み方向で架橋度を均一にした成形品とすることができる。
本発明の樹脂成形品は、次いで電子線を照射して得られる。電子線を照射すると、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのビニル基のラジカル反応により三次元架橋構造となり、成形品を硬化させるとともに、耐熱性を付与させる。
電子線は、合成樹脂に対して透過性があり、その透過の程度は、成形品の厚みと、電子線の運動エネルギーに依存する。
その照射厚みに従って厚み方向に均一に透過可能に電子線のエネルギーを調節すると、厚み方向で架橋度を均一にした成形品とすることができる。
電子線のエネルギーは、上記の成形品に対して、好ましくは20〜5,000kV、さらに好ましくは50〜3,000kV、さらにより好ましくは100〜2,000kVとする。20kVより小さいと、表層部で捕獲吸収される電子の割合が相対的に多くなって、成形品を透過する電子線が少なくなり、表層部に比して内部の架橋が遅れて、架橋度に差が生じるので、好ましくない。一方、5,000kVより大きいと、架橋度が大きくなり過ぎて、硬質となるので、弾力性や伸びが小さいので好ましくない。
また、この際の電子線の照射量は、好ましくは0.1〜200Mrad(SI単位系で、1〜2,000kGyに相当する)、さらに好ましくは0.5〜100Mradの範囲で照射して架橋硬化させる。0.1Mradより少ないと、1,2−ポリブタジエンの架橋度が小さく、一方、200Mradを超えると、架橋度が大きくなり過ぎて、硬質となるので、弾力性や伸びが小さいので好ましくない。
電子線照射による架橋は、電子線エネルギーと照射量の積で表すことができ、本発明においては、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、好ましくは2〜1,000,000(kV・Mrad)、さらに好ましくは25〜300,000(kV・Mrad)、さらにより好ましくは50〜100,000(kV・Mrad)とする。2(kV・Mrad)より小さいと、表層部で捕獲吸収される電子の割合が相対的に多くなって、成形品を透過する電子線が少なくなり、表層部に比して内部の架橋が遅れて、架橋度に差が生じるので、好ましくない。一方、1,000,000(kV・Mrad)より大きいと、架橋度が大きくなり過ぎて、硬質となるので、弾力性や伸びが小さいので好ましくない。
本発明の成形品に、上記のような電子線照射を施すことにより、M2/M1の比を、好ましくは1.01〜2.5倍、さらに好ましくは1.02〜2.0倍とすることができる。ここでM2、M1は、電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)、電子線照射前の50%応力(50%M:M1)を意味する。1.01未満では、電子線架橋が進んでおらず、耐蒸気滅菌性に劣る。一方、2.5を超えると、架橋成形品が硬くなりすぎ、柔軟性が失われ好ましくない。M2/M1は、上記電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、好ましくは2〜1,000,000(kV・Mrad)、さらに好ましくは25〜300,000(k・Mrad)、さらにより好ましくは50〜100,000(kV・Mrad)とすることにより、容易に調整することができる。
また、このようにして得られる電子線照射後の架橋成形品は、耐蒸気滅菌性を有し、例えば、本発明の架橋成形品の一形態である輸液チューブを用いて、90〜140℃で10〜20分間程度、蒸気滅菌しても、変形することもない。
ここで、耐蒸気滅菌性とは、たとえば、輸液チューブなどの樹脂成形品(一例:内径3mmφ、外径4.4mmφ、肉厚0.7mmのチューブ、チューブ長20cm)を高圧蒸気滅菌器に入れ、121℃で20分間、蒸気滅菌した場合、滅菌前の形状が保たれ、変形が観察されないことを意味する。
ここで、耐蒸気滅菌性とは、たとえば、輸液チューブなどの樹脂成形品(一例:内径3mmφ、外径4.4mmφ、肉厚0.7mmのチューブ、チューブ長20cm)を高圧蒸気滅菌器に入れ、121℃で20分間、蒸気滅菌した場合、滅菌前の形状が保たれ、変形が観察されないことを意味する。
さらに、本発明の電子線を照射された樹脂成形品のヘイズ値は、50以下、好ましくは30以下である。ヘイズ値は、透明性の尺度であり、その値が小さくなる程、透明性がよくなる。このヘイズ値は、ASTM D−1003に準拠して測定される値である。
また、電子線照射後の本発明の樹脂成形品は、トルエン不溶分が、通常、50〜99質量%、好ましくは80〜95質量%である。トルエン不溶分は、樹脂成形品を電子線照射することにより、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン中の二重結合がどの程度架橋しているかを示すバロメーターである。
ここで、トルエン不溶分は、本発明の樹脂成形品[(a)g]を100mlのトルエンに浸漬させ、30℃で48時間振とう後、100メッシュ金網を用いて濾過し、濾過液の一部[(c)ml]を採取後、蒸発乾燥固化させ、得られた残存固形分[トルエン可溶分:(b)g]を秤量し、下式によりゲル含有量を算出した。
ゲル含有量(質量%)=[{a−b×(100/c)}/a]×100
トルエン不溶分が50質量%未満では、電子線照射による架橋が不充分であり、耐熱性が劣り、耐蒸気滅菌性に劣る。一方、99質量%を超えると、電子線照射による架橋が進みすぎて、樹脂成形品が硬くなりすぎ、柔軟性が失われ好ましくない。
上記トルエン不溶分は、上記電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、好ましくは2〜1,000,000(kV・Mrad)、さらに好ましくは25〜300,000(kV・Mrad)、さらにより好ましくは50〜100,000(kV・Mrad)とすることにより、容易に調整することができる。
ここで、トルエン不溶分は、本発明の樹脂成形品[(a)g]を100mlのトルエンに浸漬させ、30℃で48時間振とう後、100メッシュ金網を用いて濾過し、濾過液の一部[(c)ml]を採取後、蒸発乾燥固化させ、得られた残存固形分[トルエン可溶分:(b)g]を秤量し、下式によりゲル含有量を算出した。
ゲル含有量(質量%)=[{a−b×(100/c)}/a]×100
トルエン不溶分が50質量%未満では、電子線照射による架橋が不充分であり、耐熱性が劣り、耐蒸気滅菌性に劣る。一方、99質量%を超えると、電子線照射による架橋が進みすぎて、樹脂成形品が硬くなりすぎ、柔軟性が失われ好ましくない。
上記トルエン不溶分は、上記電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、好ましくは2〜1,000,000(kV・Mrad)、さらに好ましくは25〜300,000(kV・Mrad)、さらにより好ましくは50〜100,000(kV・Mrad)とすることにより、容易に調整することができる。
さらに、本発明の樹脂成形品は、ハロゲン原子の含有量が50ppm以下、好ましくは20ppm以下である。このハロゲン原子の含有量は、例えば、上記のように、重合溶媒として非ハロゲン系の不活性有機溶媒を用いることにより、得られる1,2−ポリブタジエン中のハロゲン原子の含有量を50ppm以下、好ましくは20ppm以下にすることができる。また、触媒系において、非ハロゲン系の化合物のみを用いることは、樹脂成形品中のハロゲン原子の含有量をさらに低減させることができ好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は特に断らない限り、質量基準である。また、実施例中の各種の測定は、以下に従った。
耐蒸気滅菌性:
本文中に記載
透明性(ヘイズ値):
本文中に記載
引張強度、引張破断伸び、引張弾性率:
JIS K6301に準拠し、試験速度200mm/分、つかみ具間距離50mmで測定した。
ゲル分率:
本文中に記載
硬度:
電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)が5MPa以下を硬度が高くなく、良とした。
柔軟性:
電子線照射後の引張破断伸びが100%以上を良とした。
耐蒸気滅菌性:
本文中に記載
透明性(ヘイズ値):
本文中に記載
引張強度、引張破断伸び、引張弾性率:
JIS K6301に準拠し、試験速度200mm/分、つかみ具間距離50mmで測定した。
ゲル分率:
本文中に記載
硬度:
電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)が5MPa以下を硬度が高くなく、良とした。
柔軟性:
電子線照射後の引張破断伸びが100%以上を良とした。
実施例1
1,2―ポリブタジエン(JSR社製、商品名:JSR RB810、結晶化度=18%)100質量部を押出し成形にて、内径3mmφ、外径4.4mmφ、肉厚0.7mmのチューブに成形し、これを電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製、商品名:EPS800−35)を用いて、加速電圧300kV、照射線量20Mradで電子線照射処理を行った。評価結果を表1に示す。
1,2―ポリブタジエン(JSR社製、商品名:JSR RB810、結晶化度=18%)100質量部を押出し成形にて、内径3mmφ、外径4.4mmφ、肉厚0.7mmのチューブに成形し、これを電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製、商品名:EPS800−35)を用いて、加速電圧300kV、照射線量20Mradで電子線照射処理を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、電子線の加速電圧を800kVに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、電子線の加速電圧を800kVに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例2において、電子線の照射線量5Mradに変えたこと以外は、実施例2と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例2において、電子線の照射線量5Mradに変えたこと以外は、実施例2と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例3において、1,2−ポリブタジエンにSIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JSR社製、JSR SIS 5229P)を30質量%ブレンドしたものを用いたこと以外は、実施例3と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例3において、1,2−ポリブタジエンにSIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JSR社製、JSR SIS 5229P)を30質量%ブレンドしたものを用いたこと以外は、実施例3と同様にした。評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、1,2−ポリブタジエン100質量部を押出し成形したチューブを電子線照射せずに評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1において、1,2−ポリブタジエン100質量部を押出し成形したチューブを電子線照射せずに評価した。評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、電子線の加速電圧を30kVに、照射線量0.05Mradに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、電子線の加速電圧を30kVに、照射線量0.05Mradに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例2において、電子線の加速電圧を5000kVに、照射線量300Mradに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例2において、電子線の加速電圧を5000kVに、照射線量300Mradに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
(*1)RB;1,2−ポリブタジエン(JSR社製、商品名:JSR RB810、結晶化度=18%
(*2)SIS;(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JSR社製、JSR SIS 5229P)
(*2)SIS;(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JSR社製、JSR SIS 5229P)
表1に示すように、本発明の電子線照射条件が、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)を満足する実施例1は、照射条件を満足しない比較例1(照射無し)および比較例2(加速電圧:30kV、照射線量:0.05Mrad)に比べ耐熱性(蒸気滅菌性)が向上し、また柔軟性に優れていることが分かる。
また、実施例1における加速電圧300kVを800kVに高めた実施例2でも、耐熱性(蒸気滅菌性)が向上していることが分かる。
さらに、実施例3は、実施例2における照射線量20Mradを5Mradに下げたものであるが、耐熱性(蒸気滅菌性)が向上し、さらに柔軟性に優れた結果となっている。
実施例4は、実施例3における照射条件で、1,2−ポリブタジエンにSIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JSR社製、JSR SIS 5229P)を30質量部ブレンドしたものを用いたものであるが、耐熱性(蒸気滅菌性)と柔軟性に優れた結果となっている。
また、実施例1における加速電圧300kVを800kVに高めた実施例2でも、耐熱性(蒸気滅菌性)が向上していることが分かる。
さらに、実施例3は、実施例2における照射線量20Mradを5Mradに下げたものであるが、耐熱性(蒸気滅菌性)が向上し、さらに柔軟性に優れた結果となっている。
実施例4は、実施例3における照射条件で、1,2−ポリブタジエンにSIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JSR社製、JSR SIS 5229P)を30質量部ブレンドしたものを用いたものであるが、耐熱性(蒸気滅菌性)と柔軟性に優れた結果となっている。
一方、比較例1は、電子線照射を実施していないチューブであり、耐熱性(蒸気滅菌性)が劣る。
比較例2は、電子線照射条件が、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)を下まわっており、耐熱性(蒸気滅菌性)が劣る。
比較例3は、電子線照射条件が、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)を上回っており、柔軟性が劣る。
比較例2は、電子線照射条件が、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)を下まわっており、耐熱性(蒸気滅菌性)が劣る。
比較例3は、電子線照射条件が、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)を上回っており、柔軟性が劣る。
本発明の樹脂成形品は、柔軟性と硬度とに優れ、また耐蒸気滅菌性を有するので、チューブ、シート、フィルム、バッグ、コネクターなどの用途に有用である。特に、輸液チューブ、輸液容器、およびカテーテルなどの医療用途に有用である。
また、本発明の樹脂成形品を同様の電子線照射により加工して得られる加工品は、食品用途、履き物用途、車両用途、電線被覆用途などにも有用である。
また、本発明の樹脂成形品を同様の電子線照射により加工して得られる加工品は、食品用途、履き物用途、車両用途、電線被覆用途などにも有用である。
Claims (9)
- (A)結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100〜60質量部、ならびに(B)ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの水素化物(SEBSまたはSEPS)、上記シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン以外のポリブタジエン(BR)、ABS樹脂、ポリイソプレン、ポリエチレン(LLDPE、ULDPEまたはLDPE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマーの群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性ポリマー0〜40質量部[ただし、(A)+(B)=100質量部]を含有する樹脂成形品を電子線照射して得られる成形品であって、電子線照射後の成形品の50%応力(50%M:M2)が電子線照射前の50%応力(50%M:M1)の1.01〜2.5倍であり、かつ耐蒸気滅菌性を有することを特徴とする樹脂成形品。
- 2mmシートのヘイズ値が50以下の透明性を有する請求項1記載の樹脂成形品。
- 電子線照射後のトルエン不溶分が50〜99質量%である請求項1または2記載の樹脂成形品。
- 電子線照射量が、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積で2〜1,000,000(kV・Mrad)である請求項1〜3いずれかに記載の樹脂成形品。
- 成形品形態がチューブ、シート、フィルム、バッグ、およびコネクターの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4いずれかに記載の樹脂成形品。
- ハロゲン原子の含有量が50ppm以下である請求項1〜5いずれかに記載の樹脂成形品。
- 医療用途である請求項1〜6いずれかに記載の樹脂成形品。
- 請求項1〜7いずれかに記載の樹脂成形品を加工して得られる加工品。
- 食品用途、履き物用途、車両用途、または電線被覆用途である請求項8記載の加工品。
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