JP2005206824A - ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット - Google Patents

ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット Download PDF

Info

Publication number
JP2005206824A
JP2005206824A JP2004372430A JP2004372430A JP2005206824A JP 2005206824 A JP2005206824 A JP 2005206824A JP 2004372430 A JP2004372430 A JP 2004372430A JP 2004372430 A JP2004372430 A JP 2004372430A JP 2005206824 A JP2005206824 A JP 2005206824A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polybutadiene
molded article
resin
bonding
contact angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004372430A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Furuichi
稔 古市
Nobuyuki Toyoda
暢之 豊田
Akio Aoyama
彰夫 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2004372430A priority Critical patent/JP2005206824A/ja
Publication of JP2005206824A publication Critical patent/JP2005206824A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】ポリブタジエン成形品と極性樹脂成形品との接合(接着)力を向上させ、また、これらの成形品の溶剤を選ぶ(組み合わせる)ことで、さらに接合力を向上させる。
【解決手段】(1)ポリブタジエン成形品を、オゾン処理、電子線処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線レーザー処理、または化学処理して、該成形品表面の水接触角を低減させる工程と、(2)水接触角が低減されたポリブタジエン成形品を極性樹脂成形品と接着する工程、とを含むポリブタジエン成形品の接着方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材および輸液セットに関する。
近年、可塑剤を使用しないPVC(塩化ビニル系樹脂)代替材料として、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(RB)に代表されるポリブタジエンが注目されており、本発明者らは、RBチューブとRBコネクターを接着した医療用部材(特許文献1:特開2004−321788号公報)などを提案している。
ところで、輸液セットは、チューブとコネクターを溶剤接合(接着)し商品化されている。これまで、上記輸液セットとしては、PVCチューブ/溶剤(極性溶剤)/極性樹脂コネクターで商品化されている。しかしながら、近年、脱PVCの動きが顕著化し、PVCチューブに換え、上記のように、RBの検討が増えている。ところが、RBは極性に乏しく、用途によっては、極性溶剤/極性樹脂での接合が不十分な場合がある。
特に、日本や米国では、輸液セットを用いて、患者に点滴するに際し、ポンプを用いる場合があり、この場合には、輸液セットに圧力がかかるため、例えばチューブとコネクターとの接合部より液洩れを生じる恐れがある。
特開2004−321788号公報
本発明は、ポリブタジエン成形品と極性樹脂成形品との接合(接着)力を向上させ、また、これらの成形品の溶剤を選ぶ(組み合わせる)ことで、さらに接合力を向上させることを目的としている。
本発明は、
(1)ポリブタジエン成形品の表面の水接触角を低減させる工程(以下「(1)工程」ともいう)と、
(2)上記水接触角が低減されたポリブタジエン成形品を極性樹脂成形品と接着する工程(以下「(2)工程」ともいう)、
とを含むポリブタジエン成形品の接着方法に関する。
ここで、上記ポリブタジエンとしては、結晶化度が5%以上のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンが好ましい。
また、上記(1)工程としては、オゾン処理、電子線処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、放射線(X線,γ線、β線)処理、紫外線処理、紫外線レーザー処理、および化学処理の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
上記(1)工程により得られる水接触角が低減されたポリブタジエン成形品の水接触角(CABR)は、80度以下である。
上記極性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアルキルアクリレート樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデン樹脂の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
上記(1)工程により得られた水接触角が低減されたポリブタジエン成形品の水接触角(CABR)と極性樹脂成形品の水接触角(CAPR)との差(ΔCA)は、+60度〜−15度である。
上記(2)工程における接着としては、有機溶剤による接着が好ましい。
上記有機溶剤としては、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、および酢酸エチルの群から選ばれた少なくとも1種が好ましく挙げられる。
(2)工程における接着に際しては、(1)工程により得られた水接触角が低減されたポリブタジエン成形品および極性樹脂成形品を、あらかじめ、上記有機溶剤で処理することが好ましい。
次に、本発明は、上記ポリブタジエン成形品の接着方法により得られるポリブタジエン複合成形品に関する。
また、本発明は、上記ポリブタジエン複合成形品を少なくとも含む医療用部材に関する。
さらに、本発明は、上記医療用部材を構成要素とする輸液セットに関する。
本発明によれば、該上記ポリブタジエン成形品の表面に極性基を植え付け、あるいは、粗面化することにより、ポリブタジエン成形品の表面の水接触角を低減させることで、極性樹脂成形品との接合(接着)力を向上させ、また、これらの成形品の溶剤を選ぶ(組み合わせる)ことで、さらに接合力を向上させることができる。
ポリブタジエン成形品
本発明のチューブなどのポリブタジエン成形品を構成するポリブタジエンとしては、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン単独で、あるいは、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンおよび(B)その他の熱可塑性ポリマーとの組成物が好ましく用いられる。この(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、結晶化度が5%以上、好ましくは10〜40%の結晶性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンであり、その融点は、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは60〜140℃の範囲にある。結晶化度・融点がこの範囲にあることにより、引張強度、引裂強度などの力学強度と柔軟性のバランスに優れる結果となる。
なお、結晶化度が5〜25質量%程度までのシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(以下「低結晶RB」ともいう)は、柔軟性に優れるので、チューブ本体として用いられる。しかしながら、この低結晶化度RBは、融点が低いので(融点=約70〜95℃)、耐蒸気滅菌性に劣る。このため、後述するように、電子線照射により、架橋させて耐熱性を付与することが望ましい。
一方、結晶化度が25〜40質量%程度のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(以下「高結晶RB」ともいう)は、融点が比較的高い(融点=約105〜140℃)が、一方、硬度が高く柔軟性に劣るので、コネクターとして好ましく用いることができる。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、例えば、1,2−結合含有量が70%以上のものであり、例えば、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られるものであるが、この製造方法に限定されるものではない。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのブタジエン結合単位における1,2−結合含有量は、通常、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。1,2−結合含有量が70%以上であることにより、当該1,2−ポリブタジエンが良好な熱可塑性エラストマーとしての性質が発揮される。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、ブタジエン以外の共役ジエンが少量共重合していてもよい。ブタジエン以外の共役ジエンとしては、1,3−ペンタジエン、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
このうち、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体としては、1−ペンチル−1,3−ブタジエン、1−ヘキシル−1,3−ブタジエン、1−ヘプチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
ここで、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シクロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンのなかで、ブタジエンと共重合される好ましい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中のブタジエンの含有量は50モル%以上、特には70モル%以上が好ましい。
本発明で用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、上述したように、例えば、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られる。上記コバルト化合物としては、好ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩を挙げることができる。このコバルトの有機酸塩の具体例として、酪酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチルヘキシル酸などのオクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリル酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキル、アラルキル、アリル置換安息香酸塩やナフトエ酸塩、アルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ酸塩を挙げることができる。これらのうち、2−エチルヘキシル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸塩、安息香酸塩が、炭化水素溶媒への優れた溶解性のために好ましい。
上記アルミノオキサンとしては、例えば下記一般式(I)または一般式(II)で表されるものを挙げることができる。
この一般式(I)あるいは(II)で表されるアルミノオキサンにおいて、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。アルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げることができ、メチルアルミノオキサンが特に好ましい。
重合触媒は、上記コバルト化合物とアルミノオキサン以外に、ホスフィン化合物を含有することが極めて好ましい。ホスフィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造および結晶性の制御に有効な成分であり、好ましくは下記一般式(III)で表される有機リン化合物を挙げることができる。
P(Ar)n(R')3−n……(III)
一般式(III)中、Arは下記で示される基を示す。
(上記基において、R,R,Rは、同一または異なって、水素原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルコキシ基または炭素数が好ましくは6〜12のアリール基を表す。)
また、一般式(III)中、R'はシクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。
一般式(III)で表されるホスフィン化合物としては、具体的に、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィン)、トリ−(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−エチルフェニルホスフィン)などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましいものとしては、トリフェニルホスフィン、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。
また、コバルト化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることができる。
上記一般式(IV)で表される化合物は、塩化コバルトに対し上記一般式(III)においてnが3であるホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。このコバルト化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトとホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの1,2−結合の量、結晶化度の制御を行なうことができる。
上記一般式(IV)で表されるコバルト化合物の具体例としては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−イソプロピルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−t−ブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチル−5−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−フェニルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4,5−トリメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ドデシルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどを使用することができる。
これらのうち、特に好ましいものとしては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどが挙げられる。
触媒の使用量は、ブタジエン単独重合の場合は、ブタジエン1モル当たり、共重合する場合は、ブタジエンとブタジエン以外の共役ジエンとの合計量1モル当たり、コバルト化合物を、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度使用する。また、ホスフィン化合物の使用量は、コバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)として、通常、0.1〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜20である。さらに、アルミノオキサンの使用量は、コバルト化合物のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比(Al/Co)として、通常、4〜10、好ましくは10〜10である。なお、一般式(IV)で表される錯体を用いる場合は、ホスフィン化合物の使用量がコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)が2であるとし、アルミノオキサンの使用量は、上記の記載に従う。
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。
重合温度は、通常、−50〜120℃で、好ましくは−20〜100℃である。
重合反応は、回分式でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。
また、重合体を製造するために、本発明の触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥して本発明に用いられるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの重量平均分子量は、好ましくは1万〜500万、さらに好ましくは1万〜150万、特に好ましくは5万〜100万である。重量平均分子量が1万未満では流動性が極端に高く、加工が非常に困難となり、また成形品(医療用部材)がべたつくため好ましくなく、一方、500万を超えると流動性が極端に低く、加工が非常に困難となり好ましくない。
一方、(B)熱可塑性ポリマーとしては、上記(A)成分以外の熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの水素化物(SEBS、SEPS)、上記シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン以外のポリブタジエン(BR)、ABS樹脂、ポリイソプレン、各種ポリエチレン(LLDPE、ULDPE、LDPE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマーの群から選ばれた少なくとも1種である。
(B)成分の配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100質量部中に、40質量部以下、好ましくは0〜35質量部である。40質量部を超えると、(A)成分の使用割合が少なくなり、(A)成分本来の柔軟性が失われる。
なお、本発明に用いられる組成物において、上記(A)〜(B)成分以外に、必要に応じて、滑剤、フィラーまたは発泡剤などの添加剤を含有してもよい。上記添加剤の具体例としては、パラフィンオイル、シリコンオイル、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドなどの滑剤のほか、タルク、シリカ、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラス、カーボンファイバー、ガラスバルーンなどのフィラー、および、松本油脂社製のマイクロスフェア、ADCA、OBSH、重曹、AIBNなどの発泡剤を挙げることができる。
なお、滑剤の使用量は、樹脂成分、すなわち(A)〜(B)成分の合計100質量部に対して10質量部以下、好ましくは0.01〜8質量部である。10質量部を超えると、滑剤が製品からブリードアウトし、使用薬剤に溶出するので、好ましくない。
また、電子線照射による耐熱性と柔軟性とのバランスを向上させるために、その他の添加剤、例えば、トリメチルプロパントリメタクリレートなどの多官能モノマー、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの光重合開始剤、ベンゾフェノンなどの光増感剤などを、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100質量部に対して5質量部以下含有させてもよい。
組成物の調製と成形
本発明にポリブタジエン成形品に用いられる組成物は、上記(A)成分単独、あるいは、(A)〜(B)成分、これらにさらに必要に応じて、上記添加剤などを添加して、加熱軟化させて、混練し成形する。混練と成形は、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの軟化温度ないし溶融温度以上の成形性の良好な温度範囲で行い、均質な成形品(チューブなどの医療用部材)にする。このため、成形温度は、90〜170℃程度が良い。チューブ、コネクターなどの成形品を得るには、プレス成形、押し出し成形、射出成形、ブロー成形、異形押し出し成形、Tダイフィルム成形、インフレーション成形、パウダースラッシュ成形、回転成形などが利用され、チューブなどやチューブ接続部を有するコネクターに成形される。
電子線照射
本発明のポリブタジエン成形品のうち、チューブは柔軟性を必要とするため、低結晶RBが用いられるが、融点が低いため、耐蒸気滅菌性を発現させるために、次いで電子線を照射し、架橋することができる。電子線を照射すると、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのビニル基のラジカル重合により三次元架橋構造となり、成形品(チューブ)の耐熱性を付与させる。電子線は、合成樹脂に対して透過性があり、その透過の程度は、成形品の厚みと、電子線の運動エネルギーに依存する。
その照射厚みに従って厚み方向に均一に透過可能に電子線のエネルギーを調節すると、厚み方向で架橋度を均一にした成形品(チューブ)とすることができる。
なお、コネクターについても、電子線照射してもよい。
また、電子線照射は、チューブとコネクターとの接着前でも、接着後でもよい。
電子線エネルギーは、上記のチューブなどのポリブタジエン成形品(医療用部材)に対して、電子線加速電圧が、好ましくは50〜3,000kV、さらに好ましくは300〜2,000kVとするが、50kVより小さいと、表層部で捕獲吸収される電子の割合が相対的に多くなって、成形品を透過する電子線が少なくなり、表層部に比して内部の架橋が遅れて、架橋度に差が生じるので、好ましくない。一方、3,000kVより大きいと、架橋度が大きくなり過ぎて、硬質となるとともに弾力性や伸びが小さくなり好ましくない。
また、この際の電子線の照射量は、好ましくは1〜100Mrad(SI単位系で、10〜1,000kGyに相当する)、さらに好ましくは1〜50Mradの範囲で照射して架橋硬化させる。1Mradより少ないと、1,2−ポリブタジエンの架橋度が小さく、一方、100Mradを超えると、架橋度が大きくなり過ぎて、硬質となるので、弾力性や伸びが小さいので好ましくない。
電子線照射による架橋は、電子線加速電圧と照射量の積で表すことができ、本発明においては、電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、好ましくは2,000〜20,000(kV・Mrad)、さらに好ましくは5,000〜16,000(kV・Mrad)とする。2,000(kV・Mrad)より小さいと、表層部で捕獲吸収される電子の割合が相対的に多くなって、ポリブタジエン成形品(医療用部材)を透過する電子線が少なくなり、表層部に比して内部の架橋が遅れて、架橋度に差が生じるので、好ましくない。一方、20,000(kV・Mrad)より大きいと、架橋度が大きくなり過ぎて、硬質となるので、弾力性や伸びが小さいので好ましくない。
本発明のポリブタジエン成形品(チューブなどの医療用部材)に、上記のような電子線照射を施すことにより、電子線照射後の医療用部材の50%伸びにおける弾性率(M250)を電子線照射前の50%伸びにおける弾性率(M150)の好ましくは1.1〜2.5倍、さらに好ましくは1.1〜2.0倍とすることができる。M250/M150が1.1未満では、電子線架橋が進んでおらず、耐蒸気滅菌性に劣る、一方、2.5を超えると、架橋されたポリブタジエン成形品(チューブなどの医療用部材)が硬くなりすぎ、柔軟性が失われ好ましくない。M250/M150は、上記電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、2,000〜20,000(kV・Mrad)とすることにより、容易に調整することができる。
また、このようにして得られる電子線照射後の架橋されたチューブなどのポリブタジエン成形品(医療用部材)は、耐蒸気滅菌性を有し、例えば、本発明の架橋された輸液チューブを用いて、100〜121℃で10〜20分間程度、蒸気滅菌しても、変形することもない。
ここで、耐蒸気滅菌性とは、具体的には、輸液チューブなどの樹脂成形品(例えば、内径3mmφ、外径4.4mmφ、肉厚0.7mmのチューブ、チューブ長20cm)を高圧蒸気滅菌器に入れ、121℃で20分間、蒸気滅菌した場合、滅菌前の円形が保たれ、変形が観察されないことを意味する。
さらに、本発明の電子線を照射されたポリブタジエン成形品(チューブなどの医療用部材)のヘイズ値は、好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下である。ヘイズ値は、透明性の尺度であり、その値が小さくなる程、透明性がよくなる。このヘイズ値は、ASTM D−1003に準拠して測定した。
また、電子線照射後の本発明のポリブタジエン成形品(チューブなどの医療用部材)は、トルエン不溶分が、通常、50〜99質量%、好ましくは80〜95質量%である。トルエン不溶分は、当該ポリブタジエン成形品を電子線照射することにより、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン中の二重結合がどの程度架橋しているかを示すバロメーターである。
ここで、トルエン不溶分は、本発明のポリブタジエン成形品(医療用部材)[(a)g]を100mlのトルエンに浸漬させ、30℃で48時間放置後、100メッシュ金網を用いて濾過し、濾過液の一部[(c)ml]を採取後、蒸発乾燥固化させ、得られた残存固形分[トルエン可溶分:(b)g]を秤量し、下式によりゲル含有量を算出した。
ゲル含有量(質量%)=[{a−b×(100/c)}/a]×100
トルエン不溶分が50質量%未満では、電子線照射による架橋が不充分であり、耐熱性が劣り、耐蒸気滅菌性に劣る。一方、99質量%を超えると、電子線照射による架橋が進みすぎて、医療用部材が硬くなりすぎ、柔軟性が失われ好ましくない。
上記トルエン不溶分は、上記電子線加速電圧(kV)と照射線量(Mrad)の積を、2,000〜20,000(kV・Mrad)とすることにより、容易に調整することができる。
さらに、本発明のポリブタジエン成形品(チューブなどの医療用部材)は、ハロゲン原子の含有量が好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。このハロゲン原子の含有量は、例えば、上記のように、重合溶媒として非ハロゲン系の不活性有機溶媒を用いることにより、得られる1,2−ポリブタジエン中のハロゲン原子の含有量を好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下にすることができる。また、触媒系において、非ハロゲン系の化合物のみを用いることは、ポリブタジエン成形品(医療用部材)中のハロゲン原子の含有量をさらに低減させることができ好ましい。
このようにして電子線照射されたポリブタジエン成形品は、柔軟性と硬度に優れ、また耐蒸気滅菌性を有するので、チューブのほか、コネクターにも有用である。
本発明に用いられるポリブタジエン成形品とは、上記のような1,2−ポリブタジエンからなるチューブ、1,2−ポリブタジエンとスチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)とのブレンドからなるチューブ、1,2−ポリブタジエンとゴムとのブレンドからなるチューブ、1,2−ポリブタジエンとオレフィン樹脂とのブレンドからなるチューブをさす。この中で、スチレン−イソプレンブロック共重合体との組み合わせについては、水素添加したスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンでもよく、部分水素添加品でもよい。ゴムとの組み合わせについては種々のゴムを使用することができるが、イソプレンゴムおよび天然ゴムが好ましい。オレフィン樹脂との組み合わせについては、LDPE、L−LDPE、EVAが好ましい樹脂として挙げられる。
極性樹脂
次に、本発明の極性樹脂成形品に用いられる極性樹脂としては、熱可塑性プラスチックとして、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸アルキルエステル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂などのポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリロニトリル、アセタール樹脂、ポリオキシメチレン、イオノマー、塩素化ポリエチレン、クマロン・インデン樹脂、再生セルロース、石油樹脂、セルロース誘導体、アルカリセルロース、セルロースエステル、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースザンテート、セルロースニトレート、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテルエステル、フッ素樹脂、FEP、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン6,6、ナイロン4,6などのポリポリアミド樹脂、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリフェニレンテレフタルアミド、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリカーボネート、CR−39、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリケイ皮酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル、ポリメチルビニルエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレートなどを、また熱硬化性プラスチックとして、アミノ樹脂、アニリン樹脂、尿素樹脂、ポリスルホンアミド、メラミン樹脂、アリル樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、レゾルシノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、低収縮不飽和ポリエステル、フラン樹脂などが挙げられる。
このうち、好ましい極性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂が挙げられる。
なお、極性樹脂の溶解度パラメーター(SP値)は、好ましくは9〜13、さらに好ましくは9.5〜12である。
ここで、溶解度パラメーターは、John Wiley&Son社出版「ポリマーハンドブック」1999年、第4版、セクションVII第682〜685頁)に記載のグループ寄与法でSmallのグループパラメーターを用いて算出した値である。例えば、ポリメタクリル酸メチル(繰返単位分子量100g/モル、密度=1.19g/cmとして(以下、単位省略))9.25(cal/cm1/2、ポリアクリル酸ブチル(繰返単位分子量128、密度1.06として)8.97(cal/cm1/2、ポリメタクリル酸ブチル(繰返単位分子量142、密度1.06として)9.47(cal/cm1/2、ポリスチレン(繰返単位分子量104、密度1.05として)9.03(cal/cm1/2、ポリアクリロニトリル(繰返単位分子量53、密度1.18として)12.71(cal/cm1/2である。なお、各重合体の密度は、VCH社出版の「ウルマンズ エンサイクロペディア オブ インダストリアル ケミストリー(ULLMANN’S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY)」1992年、第A21巻、第169頁記載の値を用いた。また、共重合体の溶解度パラメーターδcは、質量分率5%未満の場合は主成分の値を用い、質量分率5%以上の場合では質量分率で加成性が成立するとした。すなわち、m種類の単量体からなる共重合体を構成する個々の単量体の単独重合体の溶解度パラメーターδnとその質量分率Wnとから次の式(1)により算出できる。
例えば、スチレン75質量%とアクリロニトリル25質量%からなる共重合体の溶解度パラメーターは、ポリスチレンの溶解度パラメーター 9.03(cal/cm1/2、とポリアクリロニトリルの溶解度パラメーター 12.71(cal/cm1/2を用いて式(1)に代入して9.95(cal/cm1/2の値が得られる。
また、ビニル系単量体を2段階以上で、かつ各段階においてビニル系単量体の種類を変えて重合してえられるビニル系重合体の溶解度パラメーターδsは、最終的に得られたビニル系重合体の全質量を各段階で得られたビニル系重合体の質量で割った値、すなわち質量分率で加成性が成立するとした。すなわち、q段階で重合し、各段階で得られた重合体の溶解度パラメーターδiとその質量分率Wiとから次の式(2)により算出できる。






例えば、2段階で重合し、1段階目にスチレン75質量%とアクリロニトリル25質量%からなる共重合体が50質量部得られ、2段階目にメタクリル酸メチルの重合体が50質量部得られたとすると、この2段階の重合で得られた重合体の溶解度パラメーターは、スチレン(75質量%)−アクリロニトリル(25質量%)共重合体の溶解度パラメーター 9.95とポリメタクリル酸メチルの溶解度パラメーター 9.25(cal/cm1/2を用いて式(2)に代入して9.60(cal/cm1/2の値が得られる。
溶解度パラメーターを上記範囲内にすると、オゾン処理、電子線処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、紫外線レーザー処理および化学処理し水接触角が低減されたポリブタジエン複合成形品の水接触角に近接し、極性溶剤にて溶剤接着する際に、高い接着強度が得られるという効果を奏する。
溶解度パラメーターが9未満では、極性溶剤による接着力が不十分となり好ましくない。一方、13を超えると薬物吸着が強くなりコネクター用途には適さない。
このような溶解度パラメーターを満足する極性樹脂としては、上記の好ましい極性樹脂が挙げられる。
なお、本発明に用いられる極性樹脂成形品としては、上記各種の極性樹脂からなる、コネクター、輸液セット補助具などが挙げられる。
本発明のポリブタジエン成形品の接着方法は、(1)ポリブタジエン成形品をまずオゾン処理することにより、ポリブタジエン成形品の表面に後記記載の極性基を導入し、次いで(2)オゾン処理されたポリブタジエン成形品と極性樹脂成形品とを接着する工程を含むものである。
(1)工程(水接触角低減工程)
(1)工程としては、ポリブタジエン成形品の表面の水接触角を低減させる手段であればいかなる方法でもよいが、例えばオゾン処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、エキシマレーザー処理、電子線処理、紫外線処理、あるいは、化学処理が挙げられる。
オゾン処理:
オゾン処理は、ポリブタジエン成形品をオゾンに暴露することによって行われる。暴露方法は、ポリブタジエン成形品を、オゾンが存在する雰囲気に所定時間保持する方法、オゾン気流中に所定時間暴露する方法などの適宜の方法で行うことができる。
ここで、オゾンは、空気、酸素ガス、または酸素添加空気などの酸素含有気体をオゾン発生装置(紫外線照射装置など)に供給することによって発生させることができる。得られたオゾン含有気体を、ポリブタジエン成形品を保持してある容器、漕などに導入して、オゾン処理を行う。オゾン含有気体中のオゾン濃度、暴露時間、暴露温度の諸条件は、極性樹脂成形品種類および表面改質の目的に応じて適宜定めることができる。
オゾン処理の条件は、ポリブタジエン成形品の形状などにより異なる。酸素または空気の気流を用い、流量20〜2,000ml/minで、1〜200mg/lの濃度のオゾンを発生させて、温度0〜80℃、時間1分〜24時間で処理することができる。例えば、オゾン濃度10〜80mg/lで、室温下、20〜30分程度の処理が適当である。また、フィルム形状の場合は、オゾン濃度1〜20mg/l程度で、室温下、30分〜6時間程度の処理が適当である。空気を用いた場合の発生オゾン濃度は酸素を用いた場合の約50%となる。
オゾン処理により、ポリブタジエン成形品の表面には酸化を主とする反応によって、過炭酸基(−C−O−OH)が導入され、その一部は水酸基(−OH)やカルボニル基(C=O)などの官能基に変化すると推定される。
電子線処理は、上記オゾン発生装置に代えて電子線加速器を備えた電子線照射装置を使用し、処理すべきポリブタジエン成形品の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより実施される。上記の電子線照射装置としては、例えば、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置(例えば、エレクトロカーテン型の装置)などを使用することができる。このときの電子線照射線量は、通常、0.5Mrad以上、好ましくは1.5Mrad以上、さらに好ましくは3Mrad以上である。電子線照射線量は、電子線照射装置の入口側における処理フィルムのライン速度に対して設定され、その上限は特に限定されるものではないが、通常、20Mrad程度である。
コロナ放電処理:
コロナ処理は、例えば公知のコロナ放電処理器を用い、不活性気体中で発生させたコロナ雰囲気に処理すべきポリブタジエン成形品を通過させることにより行われる。このときのコロナ放電密度は、通常、10(W・分/m)以上、好ましくは30〜300(W・分/m)である。上記不活性気体としては、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、または窒素の単体あるいはこれらの2種類以上混合気体が挙げられ、特に工業的には窒素が好ましい。上記不活性気体は、気体中の酸素濃度が1容量%以下、好ましくは0.1容量%以下、より好ましくは0.01容量%以下の範囲内で、酸素を含有していてもよい。
プラズマ処理:
プラズマ処理には、低圧プラズマ処理と大気圧プラズマ処理とがある。低圧プラズマ処理は、0.1〜5Torrの低圧状態で200〜1,000Wの出力で上述した不活性気体をプラズマジェットで電子的に励起させた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性気体を、処理すべきポリブタジエン成形品と接触させることにより、実施することができる。このときの処理時間は10〜60秒、好ましくは20〜40秒である。
また、大気圧プラズマ処理は、上述した不活性気体中、電極間に3〜5kHz2〜3000Vの交流電流を印加し、低圧プラズマ処理と同様の励起不活性気体を発生させた後、該励起不活性気体を、処理すべきポリブタジエン成形品と接触させることにより、実施することができる。このときの処理時間は10〜60秒、好ましくは20〜40秒である。
紫外線レーザー処理:
紫外線レーザー光としては、180〜360nm、好ましくは190〜250nmの発振波長を有するレーザーがあり、好ましくはエキシマレーザーである。エキシマレーザーに用いられるガスには、KrF、KrCl、ArF、ArCl、Fなどがあり、それぞれ固有の発振波長を有する。例えば、ArFレーザーは、192nmの発振波長があり、光子エネルギーは148Kcalである。したがって、結合エネルギーが100〜110KcalであるC−H結合を切断することができ、エキシマレーザー照射により励起された水素は、容易に引き抜かれ、代りに共存させた空気中の酸素などにより、例えばカルボニル基、カルボキシル基、水酸基などを導入することができる。
エキシマレーザーの照射量は、エネルギー密度として15〜25mJ/cm、好ましくは18〜22mJ/cmである。すなわち、エネルギー密度が15mJ/cm未満では所望の親水性が得られ難く、一方25mJ/cmを超えてもそれ以上の親水性が向上しないだけでなく、むしろ基材であるポリブタジエン成形品の表面が荒れるからである。
化学処理:
化学処理とは、ポリブタジエン成形品をエッチングあるいは劣化させる処理あるいは表面に官能基を導入する処理であり、その具体例としては、該成形品を、過酸化水素などの過酸化物処理、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム溶液などの無機酸による処理、塩化アルミニウム、塩化鉄のトルエンなどの溶液による処理などが挙げられる。
化学処理の条件としては、酸性、中性、塩基性溶剤(水を含む)下に2〜50重量%濃度の硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸、過マンガン酸カリウムの何れかと、ポリブタジエン成形品を5分〜48時間浸漬させて酸化させる。必要に応じて、30〜50℃に加温する手法も採用することができる。
以上の(1)工程は、上記オゾン処理、電子線処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線レーザー処理、あるいは、化学処理を、単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
例えば、(1)工程は、オゾンの存在下で紫外線レーザー処理することがポリブタジエン成形品の水接触角を低減させる面から好ましい。
上記(1)工程により、ポリブタジエン成形品の表面の水接触角を低減させることができる。
この理由は、上記したように、これらの処理により、ポリブタジエン成形品の表面に例えばカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アルデヒド基などの極性基を導入したり、あるいは、該表面を粗面化することにより、水接触角が低減されるものと推定される。
ここで、水接触角は、処理された板状のポリブタジエン成形品に水を静かに一滴乗せたときの接触角を、市販の自動接触角計、例えば協和界面科学社製の自動接触角計により測定することができる。
(1)工程で処理されたポリブタジエン成形品の水接触角は、通常、80度以下、好ましくは75度以下、さらに好ましくは10度〜70度である。80度を超えると、極性樹脂成形品との接着に劣り、また、極性溶剤を使用できない問題が発生する。
なお、上記極性樹脂の水接触角は、通常、80度〜20度、好ましくは78度〜30度、さらに好ましくは75度〜40度である。
したがって、(1)工程により得られた水接触角が低減されたポリブタジエン成形品の水接触角(CABR)と極性樹脂成形品の水接触角(CAPR)との差(ΔCA)は、通常、+60度〜−15度、好ましくは+60度〜−10度、さらに好ましくは+60度〜−5度、特に好ましくは+50度〜0度である。
なお、ポリブタジエン自体の溶解度パラメーターは、通常、8.3〜8.5、好ましくは8.4であるが、(1)工程で処理された後のポリブタジエン成形品の溶解度パラメーターは、通常、9.0〜12.0、好ましくは9.3〜11.0と上昇し、上記極性樹脂の溶解度パラメーターに近づく。したがって、(1)工程は、ポリブタジエンと極性樹脂との溶解度パラメーターを近似させることによって、接着性が向上するということもできる。
以上の(1)工程は、ポリブタジエン成形品と極性樹脂成形品とを接着させる際に、該ポリブタジエン成形品に適用されるが、これに加えて、極性樹脂成形品に適用することも可能である。
この場合、極性樹脂成形品への上記各処理の条件は、ポリブタジエン成形品と同様である。
(2)工程(接着工程)
本発明では、次いで、(1)工程の処理により、水接触角が低減されたポリブタジエン成形品を極性樹脂成形品と接着する。
接着方法としては接着の際に透明性を損ねない、溶剤接着、超音波接着、あるいは高周波接着、接着剤を使用した接着(UV硬化アクリルタイプ瞬間接着剤、シアノアクリレートタイプ瞬間接着剤を含む)などが挙げられるが、好ましくは溶剤接着である。
ここで、溶剤接着は、ポリブタジエン成形品および/または極性樹脂成形品に溶解可能な有機溶剤を用いて、両者を接着するものである。
溶剤接着は、ポリブタジエン成形品および極性樹脂成形品の共通する有機溶剤を用いてもよく、また、それぞれに可溶な有機溶剤を個別に用いてもよい。
上記接着用の有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられる。
この接着の条件としては、ポリブタジエン成形品と極性樹脂成形品の接着個所を接着用溶剤に浸漬したり、接着溶剤を吹き付けたり、接着溶剤を刷毛、端布などで塗布するなどの手段により、実施することができる。
なお、上記の各接着に際しては、上記接着の共通する有機溶剤または個別の有機溶剤を組み合わせて用いて、ポリブタジエン成形品および極性樹脂成形品を、それぞれ、あらかじめ処理することが望ましい。
本発明によれば、(1)工程においてオゾン処理などで処理されたチューブなどのポリブタジエン成形品とコネクターなどの極性樹脂成形品とを接着することにより、接着個所が強固に接着されたポリブタジエン複合成形品が得られる。
次に、本発明のポリブタジエン複合成形品(医療用部材:チューブおよびチューブ接続部を有するコネクター)を用いた輸液セットについて、図1を用いてさらに具体的に説明する。
この輸液セット10は、輸液バッグ12内の輸液排出用管14との結合のための接続部材(コネクター)15と、接続部材15と点滴筒11とを接続する第1のチューブT1と、点滴筒11と穿刺針13とを接続する第2のチューブT2と、輸液速度を調整するためのクレンメ18と、穿刺針13を被包するキャップ16とを有している。なお、符号19は、第2のチューブT2と穿刺針13とを接続するための接合部材である。
ここで、穿刺針13としては、先端に穿刺用刃先を有する中空のステンレス鋼などからなる金属針、合成樹脂製針が使用される。また、クレンメ18としては、ローラークレンメが用いられており、このローラークレンメは、移動可能に設けられたローラ17を備え、このローラ17の穿刺針13側への移動により第2のチューブT2の流路が狭くなり、輸液速度の調整が可能である。点滴筒11内には、万一、輸液剤などに異物が含まれていた場合に備えてフィルター(図示せず)が収納されている。なお、穿刺針13としては、従来より使用されているものが用いられる。
また、本発明においては、接合部材15,点滴筒11,接合部材19は、いずれも、「チューブ接続部を有するコネクター」に該当し、ポリカーボネート、ポリエステル、透明ABS、塩化ビニルなどの極性樹脂が用いられる。
また、チューブT1,T2としては、透明性を有する軟質チューブが好適であり、具体的には、従来より使用の、軟質塩化ビニル樹脂、結晶化度が5〜25%程度の低結晶化度のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、さらに、本発明の結晶化度5%以上、好ましくは結晶化度が5〜25%程度の低結晶化度のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンをオゾン処理したものが用いられる。
ここで、チューブT1,T2の各先端と結合部材15,点滴筒11,接合部材19(いずれも、本発明におけるコネクタに相当)におけるチューブ接続部とは、溶剤接着、超音波接着、あるいは高周波接着により、密着強固に固定されている。
本発明では、オゾン処理されたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンからなるチューブが、ポリカーボネートからなるコネクターと接着されているため、両者が密着強固に固定することができ、液漏れがない。
ここで、溶剤接着としては、上記のようにテトラヒドロフラン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。
なお、本発明において、チューブとチューブ接合部を有するコネクターからなる医療用部材は、上記の輸液セットの構成要素、薬剤投与用カテーテルなどの医療用器具への構成要素としても適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は特に断らない限り、質量基準である。また、実施例中の各種の測定は、以下に従った。
シートの透明性
成形温度150℃
金型温度20℃
2mm厚み射出成形シートの曇価で判定。
曇価はガードナー社製HAZEメーターで測定した。
判定
3未満 :○良好(商品価値有り)
3以上5未満 :△
5以上 :×不良(商品価値無し)
300%引張応力(柔軟性評価)
成形温度150℃で作製した2mm厚みプレス成形シートをJIS3号ダンベルにて打ち抜き、島津製万能引張試験機AG10kNEを用いて応力を測定し柔軟性を判定。
判定
5MPa未満 :○良好(柔軟性が振動を吸収し商品価値有り)
5MPa以上、10MPa未満:△
10MPa以上 :×不良(柔軟性が乏しく振動が伝わり商品価値無し)
オゾン処理および接着テスト用テストピース作製
日本製鋼所社製の射出成形機N−100を用いて幅20mm×長さ100mm×厚み2mm成形品を、1,2ポリブタジエン[JSR社製RB810(1,2−ビニル結合含量=90%、密度=0.901×10kg/m)]は成形温度130℃/金型温度20℃、ポリエステル樹脂(イーストマンケミカル社製EasterDN010)は成形温度270℃/金型温度30℃、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製ユーピロンS−3000R)は成形温度270℃/金型温度30℃、ABS樹脂(テクノポリマー社製テクノABS810)は成形温度240℃/金型温度30℃でそれぞれ成形し接着テスト用テストピースに供した。
オゾン処理
岩崎電気社製の低圧水銀ランプ型 OC2507(25W7灯)を用いて、予め脱脂処理を施したJSR社製のRB810テストピース(幅20mm×長さ100mm×厚み2mm)をオゾン処理した。オゾン処理は、水銀ランプからテストピース表面までの距離を20cm、照射時間3分とした。このとき、波長が254nmの紫外線の強度は18mW/cm、積算光量は7J/cmである。
接触角測定
エルマ社製のゴニオメーター式接触角測定器G1タイプを使用し、テストピース上に滴下した蒸留水1μlの接触角を測定した。
接着テスト
オゾン処理直後および未処理テストピース(JSR社製のRB810 幅20mm×長さ100mm×厚み2mm)に所定溶剤を1mlシリンジより滴下させ、予め脱脂処理を施した各種コネクターピース(幅20mm×長さ100mm×厚み2mm)と重ね合わせ溶剤接着をした。溶剤接着部分はそれぞれの試験片の端の部分を25mm×12.5mmの矩形となるよう2枚の成形ピースを重ね合わせた。溶剤接着したテストピースは50℃×24時間熱処理を施した後に、室温に戻し2時間静置後、島津製作所社製の万能引張試験機AG10kNEを用いて剪断強度を測定。
判定
8kgf/cm以上 :○良好 (商品価値有り)
7以上〜8kgf/cm未満 :△
7kgf/cm未満 :×不良 (商品価値無し)
薬物吸着テスト
薬剤にニトログリセリン(濃度60μg/ml)を選び、輸液チューブ内を流速70ml/hrでパスさせたときの1時間経過後の薬剤残存率を測定した。
判定
残存率95%以上 :○良好(商品価値有り)
95%未満〜80%以上:△
80%未満 :×不良(商品価値無し)
テストに供したチューブ
RB810(JSR社製)、PVC(日本ゼオン社製101EP/ジオクチルフタレート/エポキシ補助可塑剤/有機スズ安定剤/ステアリン酸亜鉛=100/46/8/2/1)をJSR研究所ラボ押出機(池貝FS40(単軸40mm押出機(L/D=28))にてチューブ(外径/内径/厚み=3.7mm/3mm/0.7mm)を作製。
実施例1、比較例1
表1に、実施例1、比較例1を示す。実施例1は、RBのテストピースにオゾン処理を施したものである。1,720cm−1にカルボニル基の吸収が存在することがわかる。極性基が付与されたため接触角が32度と改善され、極性溶剤であるシクロヘキサノンになじみやすくなり、極性樹脂であるポリカーボネートとの接着が可能となり、接着力が十分発現している内容がわかる。
比較例1は、RBのテストピースがオゾン処理を施されていないため極性溶剤、極性樹脂との相容が思わしくなく結果として接着力が不足していることがわかる。
実施例2、比較例2
表1に、実施例2、比較例2を示す。実施例2は、RBのテストピースにオゾン処理を施したものである。1,720cm−1にカルボニル基の吸収が存在することがわかる。極性基が付与されたため接触角が32度と改善され、極性溶剤であるシクロヘキサノンになじみやすくなり、極性樹脂である透明ABSとの接着が可能となり、接着力が十分発現している内容がわかる。
比較例2はRBのテストピースがオゾン処理を施されていないため極性溶剤、極性樹脂との相容が思わしくなく結果として接着力が不足していることがわかる。
実施例3、比較例3
表1に、実施例3、比較例3を示す。実施例3は、RBのテストピースにオゾン処理を施したものである。1,720cm−1にカルボニル基の吸収が存在することがわかる。極性基が付与されたため接触角が32度と改善され、極性溶剤であるシクロヘキサノンになじみやすくなり、極性樹脂であるポリエステルとの接着が可能となり、接着力が十分発現している内容がわかる。
比較例3はRBのテストピースがオゾン処理を施されていないため極性溶剤、極性樹脂との相容が思わしくなく結果として接着力が不足していることがわかる。
実施例1、比較例4
表1に、実施例1、比較例4を示す。実施例1は、RBのテストピースにオゾン処理を施したものである。1,720cm−1にカルボニル基の吸収が存在することがわかる。極性基が付与されたため接触角が32度と改善され、極性溶剤であるシクロヘキサノンになじみやすくなり、極性樹脂であるポリカーボネートとの接着が可能となり、接着力が十分発現している内容がわかる。さらに輸液チューブ用途として重要な薬物吸着性が無く薬剤の損失がないことがわかる。
比較例4は、PVCを使用したものでオゾン処理を施さなくても極性溶剤、極性樹脂との相容がよく、接着強度は優れる。しかし輸液チューブとして重要な薬物吸着性が高く薬剤の残存量が減少(損失がある)し好ましくない。またPVCに含まれる可塑剤が人体に種々の障害をひき起こす恐れを有しており好ましいものではない。
実施例1、比較例5
表1に、実施例1、比較例5を示す。実施例1は、RBのテストピースにオゾン処理を施したものである。1,720cm−1にカルボニル基の吸収が存在することがわかる。極性基が付与されたため接触角が32度と改善され、極性溶剤であるシクロヘキサノンになじみやすくなり、極性樹脂であるポリカーボネートとの接着が可能となり、接着力が十分発現している内容がわかる。さらに、輸液チューブ用途として重要な透明性(薬液の適正な流れが確認できる)、柔軟性(300%引張応力:柔軟性があることにより、チューブに触れた衝撃が人体とつながる針に伝播しがたく好ましい)を有し優れた特性を有していることがわかる。
比較例5は、PEを使用したもので、極性を持たないため極性溶剤、極性樹脂との相容が悪く接着強度が乏しい。また、輸液チューブとして重要な透明性、柔軟性に乏しく、好ましいものではない。






本発明によれば、医療用途に有用であり、接合部において液洩れがなく、また柔軟性と硬度に優れるとともに、耐蒸気滅菌性に優れ、リサイクル可能であり、さらに塩化ビニル系樹脂を含まないため環境問題にもやさしい、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを主体とする医療用部材とこれを用いた医療用器具を提供するができる。
本発明のポリブタジエン複合成形品(医療用部材)を構成要素とする輸液セットの平面図である。 (a)はコネクターの概略図で、(b)はチューブの概略図である。
符号の説明
10 輸液セット
11 点滴筒
12 輸液バッグ
13 穿刺針
14 輸液排出用管
15 接続部材(コネクター)
16 キャップ
17 ローラ
18 クレンメ
19 接合部材
T1,T2 チューブ

Claims (12)

  1. (1)ポリブタジエン成形品の表面の水接触角を低減させる工程と、
    (2)上記水接触角が低減されたポリブタジエン成形品を極性樹脂成形品と接着する工程、
    とを含むポリブタジエン成形品の接着方法。
  2. ポリブタジエンが、結晶化度5%以上のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンである請求項1記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  3. 上記(1)工程が、オゾン処理、電子線処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線レーザー処理、および化学処理の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  4. 上記(1)工程により得られる水接触角が低減されたポリブタジエン成形品の水接触角(CABR)が80度以下である請求項1〜3いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  5. 極性樹脂がポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアルキルアクリレート樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  6. (1)工程により得られた水接触角が低減されたポリブタジエン成形品の水接触角(CABR)と極性樹脂成形品の水接触角(CAPR)との差(ΔCA)が+60度〜−15度である請求項1〜5いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  7. (2)工程における接着が有機溶剤による接着である請求項1〜6いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  8. 有機溶剤がシクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、および酢酸エチルの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜7いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  9. (1)工程により得られた水接触角が低減されたポリブタジエン成形品および極性樹脂成形品を、あらかじめ、請求項8記載の有機溶剤で処理する請求項1〜8いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法。
  10. 請求項1〜9いずれかに記載のポリブタジエン成形品の接着方法により得られるポリブタジエン複合成形品。
  11. 請求項10記載のポリブタジエン複合成形品を少なくとも含む医療用部材。
  12. 請求項11記載の医療用部材を構成要素とする輸液セット。
JP2004372430A 2003-12-26 2004-12-24 ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット Pending JP2005206824A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004372430A JP2005206824A (ja) 2003-12-26 2004-12-24 ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003433773 2003-12-26
JP2004372430A JP2005206824A (ja) 2003-12-26 2004-12-24 ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005206824A true JP2005206824A (ja) 2005-08-04

Family

ID=34914290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004372430A Pending JP2005206824A (ja) 2003-12-26 2004-12-24 ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005206824A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008156057A1 (ja) * 2007-06-18 2008-12-24 Seiko Epson Corporation 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000245851A (ja) * 1999-03-03 2000-09-12 Terumo Corp 医療用コネクターおよび医療用コネクターを備えた医療用具
JP2001162723A (ja) * 1999-12-08 2001-06-19 Tokai Rubber Ind Ltd ゴム・ポリアミド複合体及びその製造方法
WO2003018685A2 (en) * 2001-08-24 2003-03-06 Baxter International Inc. Medical tubing made from polybutadiene
JP2003190274A (ja) * 2001-12-28 2003-07-08 Nippon Zeon Co Ltd 医療用チューブの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000245851A (ja) * 1999-03-03 2000-09-12 Terumo Corp 医療用コネクターおよび医療用コネクターを備えた医療用具
JP2001162723A (ja) * 1999-12-08 2001-06-19 Tokai Rubber Ind Ltd ゴム・ポリアミド複合体及びその製造方法
WO2003018685A2 (en) * 2001-08-24 2003-03-06 Baxter International Inc. Medical tubing made from polybutadiene
JP2003190274A (ja) * 2001-12-28 2003-07-08 Nippon Zeon Co Ltd 医療用チューブの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008156057A1 (ja) * 2007-06-18 2008-12-24 Seiko Epson Corporation 接合方法、接合体、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5688100B2 (ja) 表面改質方法、表面改質弾性体、注射器用ガスケット、注射器およびタイヤ
Desai et al. Surface modification of polyethylene
JP4504813B2 (ja) 促進剤のないラテックス由来の薄い壁のゴム加硫物
JP2007023062A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物、その成形品の接着方法、その成形品を含む複合成形品及びその複合成形品を備える医療用輸液セット
US20090202791A1 (en) Ultraviolet-curable polymer composition, resin molded article and method for producing same
EP0814116A1 (de) Hydrophile Beschichtung von Oberflächen polymerer Substrate
EP1698654A1 (en) Method for adhering polybutadiene formed article, polybutadiene composite formed article manufactured thereby, medical member, and infusion fluid set
JP4561964B2 (ja) 医療用部材および医療用器具
US7579057B2 (en) Resin molding and worked item therefrom
JP2763776B2 (ja) 細孔化コンタクトレンズの製造法
JP2005206824A (ja) ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット
JPH1066721A (ja) ガスクラスターイオンビームによる医療用物品の表面 処理方法
EP1468704B1 (en) Medical member mainly comprising syndiotactic 1,2-polybutadiene
KR20230106748A (ko) 가교된 스타이렌계 블록 공중합체
JP2004307843A (ja) 樹脂成形品およびその加工品
US20070009696A1 (en) Surface treated tube for medical use
JP2006077161A (ja) ポリブタジエン成形品の接着方法、これより得られるポリブタジエン複合成形品、医療用部材、および輸液セット
CA2463691C (en) Layered product and medical supply comprising the layered product
JP2006225561A (ja) 熱可塑性エラストマー成形品の接着方法、これより得られる複合成形品、医療用部材、および輸液セット
Varghese et al. Radiation Processing of Natural Rubber Latex
JP2006161020A (ja) 熱可塑性エラストマー成形品、熱可塑性エラストマー成形品の表面処理方法、医療用チューブ、および輸液セット
JP2005146092A (ja) 靴底成形品の加工方法および靴底加工品
Pal et al. Radiation-induced polymer modification and polymerization
JPH06228349A (ja) 成形品表面の親水化方法
JP2003213042A (ja) パターン付与押出成形品およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071017

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100519

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101027