JP2004307789A - 樹脂、樹脂組成物、およびその製造方法、並びにそれを用いた成形体 - Google Patents

樹脂、樹脂組成物、およびその製造方法、並びにそれを用いた成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、光学特性及び力学特性に優れた熱可塑性樹脂とその製造方法、並びにそれを用いた成形体を得る。
【解決手段】樹脂中に含まれる高分子が1分子中に下記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を含み、かつ数平均分子量が2000以上であることを特徴とする樹脂。
【化1】
Figure 2004307789

(一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、光学特性及び力学特性に優れた熱可塑性樹脂とその製造方法、並びにそれを用いた成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明材料として広い分野で使用されている。しかしながら、重くて破損しやすいこと、生産性が悪いことなどの問題点があり、近年、無機ガラスに変わる透明性ポリマーの開発が盛んに行われている。透明性ポリマーとして、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などは、透明性、機械特性に優れ、かつ、加工性、成形性にも優れることから、成形材料として、機械、自動車、光学機器や電気・電子分野等に使用されている。しかしながら、これまでの透明ポリマーは、充分な耐熱性を有しているとはいえない。例えば、ポリカーボネートのガラス転移点は150℃であるが、自動車や電気・電子分野の光学材料には150℃以上の耐熱性が求められているものもある。そのため、耐熱性の高いポリアリレート(PAR)やポリエーテルスルホン(PES)などの研究が盛んに行われているが、芳香族基の含有量が多いため、共役系がのびることに起因する着色の問題を有するものや、配向時に光学的に異方性を生じるため複屈折が大きくなるなどの問題点がある。光学特性のみに着目すれば、屈折率の小さく主分極率差も小さくなる脂肪族が芳香族より一般に優れている。しかしながら、脂肪族を含むと高分子主鎖や側鎖の自由度が増し、ガラス転移点が低下するため耐熱性という観点からは不十分であった。近年、脂肪族環構造を有するシクロオレフィンポリマー(COP)の開発が盛んに行われている。COPの例として日本ゼオンのZEONEXや日本合成ゴムのARTONがあげられる。これらは、脂肪族環構造を有しているので複屈折が低く、ガラス転移点も140℃〜170℃と比較的高い。しかしながら、COPの重合方法はメタセシス開環重合法であるため、主鎖にエチレン基を有するため、さらに高いガラス転移点を示す樹脂を得るという課題には不十分である。
【0003】
そこで、本発明者らは、耐熱性が高く、光学的な特性にも優れたスピロ環構造を有するリン系重合体に着眼した。
【0004】
このスピロ環を有するリン酸エステルは、合成樹脂の難燃剤として有用であることは良く知られており、数多くの研究がなされている(例えば、特許文献1〜3)。そこには、下記一般式(5)のごときモノマーやそれを含む組成物が記載されており、該モノマー等は難燃効果が高いことは開示されている。
【0005】
【化9】
Figure 2004307789
【0006】
(ここで、Rはアルキル基またはアリール基。)
しかし、該文献においては、該モノマー等は主に難燃剤として用いられるに留まり、耐熱性成形体や光学用途に実用的であることは開示されていない。これは、係る従来技術に係るリン含有スピロ環構造を有したモノマーや組成物は、高分子量体として得ることができず、また、着色するため光学用途に向くものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第3,090,799号明細書
【0008】
【特許文献2】
米国特許第4,178,281号明細書
【0009】
【特許文献3】
特開昭60−133049号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題とするところは、リン含有スピロ環構造を有するポリマーとして、各種成形品用途に適用可能に高分子量化をはかり、かつ、着色が少ない樹脂を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有するものである。すなわち、1分子中に下記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を含み、かつ、数平均分子量が2000以上である高分子を含有する樹脂を本旨とし、また、種々の改良された態様を提供するものである。
【0012】
【化10】
Figure 2004307789
【0013】
(一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。)
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂は、次の一般式(1)で示される構造単位(残基)を含んでなる。
【0015】
【化11】
Figure 2004307789
【0016】
一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。
【0017】
前記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基の環員数はそれぞれ4〜8員環が採用されるが、環安定性を考慮すると6員環(すなわち、n+m=2)が好ましく採用される。特に好ましくは、n=1、m=1である。
【0018】
前記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基中のYは酸素、硫黄、メチレン基から選ばれるものであるが、ペンタエリスリトールとオキシ塩化リンを出発原料にして合成される3,9−ジクロロ−2,4,8,10−テトラオキサ3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジオキサイド(以下、SUPOCと略すことがある)、すなわち、Rが水素原子、X、Yが共に酸素であるものが好ましく採用される。該化合物自体は、公知の物質であり、例えばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ(Journal of Organic Chemistry)vol.28、1608−1612頁にその製造方法が記載されている。すなわち、ペンタエリスリトール1モルに対し、約2倍モルのオキシ塩化リンを反応させて得られる化合物である。また、オキシ塩化リンの代わりに、三塩化リン、チオホスホリルクロリド、オキシ臭化リン、三臭化リン等が用いることができる。
【0019】
また、これらスピロ環を有する2価リン酸エステル残基については、Xが非共有電子対を含むものである場合は、樹脂の耐酸化性を付与することができるため好ましいが、光学特性等の特性安定性を考慮すると、その含有比率は50モル%以下が好ましく、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0020】
前記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を有する化合物やオリゴマーは、従来より主たる用途が難燃剤として用いられていた。そのため、高分子量体である必要はなく、また、着色していても、難燃剤への用途には何ら影響はなかった。しかしながら、本発明のポリマーは成形体やフィルムとして十分な力学特性と良好な光学特性を併せ持つ。
【0021】
本発明の樹脂は、1分子中に前記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を含み、該樹脂の数平均分子量は2000以上である。かかる範囲とすることで成形体やフィルムとして十分な力学特性を持つことができる。好ましくは10000以上である。上限は成形性や流動性を損なう等の問題が生じない限り特に制限はないが、通常は1000000以下が好ましく採用される。
【0022】
本発明のポリマーの分子量を調節する方法としては、重合時に一官能の物質を添加して行うことができる。ここで言う分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げられる。
【0023】
かかる一般式(1)で示される残基の樹脂全体に対する含有量としては、0.5モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、5モル%以上であり、特に好ましくは、10モル%である。他のポリマー成分等が含まれた場合は、樹脂組成物の全体に対して、かかる一般式(1)で示される残基の含有量として0.5モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、5モル%以上であり、特に好ましくは、10モル%である。また、他の化合物と混合し、樹脂組成物とする場合においては、該樹脂組成物中に占める割合として上記の範囲になるように調製し、用いることが好ましい。
【0024】
また、本発明の樹脂においては、一般式(2)で表されるジオール残基を含有していることが好ましい。
【0025】
【化12】
Figure 2004307789
【0026】
一般式(2)中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、6〜40のアリーレン基を表し、樹脂中にRの異なるアルキレン基またはアリーレン基を2種以上含んでもよい。
【0027】
かかる残基を与えるジオールとしては、一般式HO−R−OHで表すことができる化合物であり、Rは炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキレン基または炭素数6〜40のアリレン基である。具体的には、例えば、炭素数2〜8のアルキレン基を有するジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
【0028】
炭素数6〜40のアリーレン基を有するジオールの例としては、カテコール、ハイドロキノン、およびレゾルシノールなどのジヒドロキシベンゼン類、該ジヒドロキシベンゼン類の炭素数1〜10のアルキル置換体、例えばメチルハイドロキノン、2−メチルレゾルシノールなど、ジヒドロキシナフチレン類、ビスフェノール類、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−secブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフローレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−〔1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)〕−ビス(2−メチルフェノール)、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−ブタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジsecブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルエステル、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4ーヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸エチルエステル、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−1−イソプロピルメタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−1−イソプロピルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、6,6’−ジヒドロキシ−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−2,2’,スピロビクロマン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。これらジオールは得られるポリマーの性能に応じて用いることができる。
【0029】
また、本発明の樹脂は、一般式(2)で示される残基の樹脂全体に対する含有量が、0.5モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、5モル%以上であり、特に好ましくは、10モル%以上である。
【0030】
また、本発明のポリマーは必ずしも直鎖状である必要はなく、得られるポリマーの性能に応じて多価フェノールを共重合することができる。このような多価フェノールを具体的に例示すると、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−メチルフェニル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−〔(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2−〔ビス(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、3,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、3−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、2,4,6−〔トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1,2,2−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,4−〔〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、4−〔1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕アニリン、(2,4−ジヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、1,3,3−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0031】
上記ジオール成分と一般式(1)の残基を与える成分との共重合成分として用いられるモノマーは、例えば、二価カルボン酸、二価スルホン酸、二価リン酸ジアルキル、二価亜リン酸ジアルキル、ホスホン酸、亜ホスホン酸、または上記酸成分の誘導体、あるいは、カーボネート誘導体(酸誘導体あるいはカーボネート誘導体としてはそれらのハロゲン化物、酸無水物、エステル等が用いられるが特に限定されない。)であるが、ホスホン酸誘導体、亜ホスホン酸誘導体、カーボネート誘導体が好ましく採用される。上記共重合成分は1種類でも、複数種併用することもできる。
【0032】
また、共重合に好適な化合物としては一般式(3)で示される残基を与える化合物である。
【0033】
【化13】
Figure 2004307789
【0034】
一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基、ハロゲン置換芳香族基、水酸基、アルコキシ基およびフェノキシ基からなる群から選ばれる官能基、Zは酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。樹脂中にはRおよび/またはZの異なる置換基を含んでもよい。
【0035】
係る一般式(3)で表されるリン原子上の置換基Rの具体例としては、フェニル、ハロ置換フェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル等のアルキル、ビニル、アリル、ベンジル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ置換アルキル、アルキルサルファイド基等が挙げられる。またこれら一般式(3)ホスホン酸残基を与えるホスホン酸を具体的に例示すると、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、イソブチルホスホン酸、t―ブチルホスホン酸、n−ペンチルホスホン酸、ネオペンチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、クロロメチルホスホン酸、ジクロロメチルホスホン酸、ブロモメチルホスホン酸、ジブロモメチルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、1,2−ジクロロエチルホスホン酸、2―ブロモエチルホスホン酸、1,2−ジブロモエチルホスホン酸、3−クロロプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロプロピルホスホン酸3−ブロモプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモプロピルホスホン酸、2−クロロ−1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジクロロ−1−メチルエチルホスホン酸、2−ブロモ−1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジブロモ−1−メチルエチルホスホン酸、4−クロロブチルホスホン酸、3,4−ジクロロブチルホスホン酸、4−ブロモブチルホスホン酸、3,4−ジブロモブチルホスホン酸、3−クロロ−1―メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロ−1−メチルプロピルホスホン酸、3−ブロモ−1メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモ−1−メチルホスホン酸、1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−クロロ−1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモ−1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、5−クロロペンチルホスホン酸、4,5−ジクロロペンチルホスホン酸、5−ブロモペンチルホスホン酸、4,5−ジブロモペンチルホスホン酸、1−ヒドロキシメチルホスホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸、3−ヒドロキシプロピルホスホン酸、4−ヒドロキシブチルホスホン酸、5−ヒドロキシペンチルホスホン酸、1−アミノメチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、3−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノブチルホスホン酸、5−アミノペンチルホスホン酸、メチルチオメチルホスホン酸、メチルチオエチルホスホン酸、メチルチオプロピルホスホン酸、メチルチオブチルホスホン酸、エチルチオメチルホスホン酸、エチルチオエチルホスホン酸、エチルチオプロピルホスホン酸、プロピルチオメチルホスホン酸、プロピルチオエチルホスホン酸、ブチルチオメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−クロロフェニルホスホン酸、3,4−ジクロロフェニルホスホン酸、3,5−ジクロロフェニルホスホン酸、4−ブロモフェニルホスホン酸、3,4−ブロモフェニルホスホン酸、3,5−ブロモフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、3,4−ジメトキシフェニルホスホン酸、1―ナフチルホスホン酸、2―ナフチルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、4−ブロモフェニルメチルホスホン酸、3,4−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、3,5−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、2−(4−ブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,4−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,5−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、3−フェニルプロピルホスホン酸、3−(4−ブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,4−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,5−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、4−フェニルブチルホスホン酸、4−(4−ブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,4−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,5−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、2―ピリジルホスホン酸、3−ピリジルホスホン酸、4−ピリジルホスホン酸、1−ピロリジノメチルホスホン酸、1―ピロリジノエチルホスホン酸、1−ピロリジノプロピルホスホン酸、1−ピロリジノブチルホスホン酸、ピロール−1−ホスホン酸、ピロール−2―ホスホン酸、ピロール−3−ホスホン酸、チオフェン−2―ホスホン酸、チオフェン−3―ホスホン酸、ジチアン−2―ホスホン酸、トリチアン−2―ホスホン酸、フラン−2―ホスホン酸、フラン−3―ホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、2−ノルボルニルホスホン酸などが挙げられ、またこれらのリン原子に2重結合で結合している酸素原子が硫黄原子に置換されたチオホスホン酸も同様に挙げられる。これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0036】
また、これらホスホン酸はその酸塩化物、エステル、アミドなどのホスホン酸誘導体であってもよい。
【0037】
また、これらホスホン酸残基において、Zが非共有電子対である場合は、樹脂に耐酸化性を付与することができ、好ましいが、多すぎると光学特性等の特性安定性に悪影響が生じうるので、樹脂中の全分子におけるZに対し、非共有電子対とする比率は50モル%以下が好ましく、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0038】
また、別な共重合成分として好適な化合物は、一般式(4)で示される残基を与える化合物である。
【0039】
【化14】
Figure 2004307789
【0040】
このような、化合物としては、例えば、ホスゲン、トリホスゲン、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなど)、ポリカーボネート類(オリゴマー、環状物も含む)などが挙げられる。
【0041】
また、一般式(3)ないし一般式(4)の構造単位を与える化合物を用いた場合のその量的な範囲は、下記式(I)を満足するものであることが好ましい。
【0042】
0.01≦((a)/((a)+(b)+(c)))<1 (I)
(a)、(b)、(c)はそれぞれ一般式(1)、一般式(3)、一般式(4)に相当する残基のモル数を示す。
【0043】
(I)式において、0.01未満である場合には、ポリマーの耐熱性への寄与が小さく、本発明の効果が得られ難い。好ましくは、
0.1≦(a)/[(a)+(b)+(c)]<1 の範囲である。
【0044】
また、本発明の樹脂においては、本発明の目的を損なわない限り、上記樹脂以外の樹脂や添加剤がブレンドされていても構わない。このような樹脂の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポリスルフィド等が挙げられる。また、添加剤として、樹脂にヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、チオエーテル系、燐系の各種抗酸化剤を添加することができる。
【0045】
一方、光学物質の光の分散の度合いを表す指標としては一般にアッベ数が用いられ、次式(II)によって算出される。
【0046】
アッベ数(νd)=(nd−1)/(nf−nc) (II)
(ここで、nd:d線(波長587.6nm)屈折率、nf:f線(波長486.1nm)屈折率、nc:c(波長656.3nm)線屈折率)
すなわちその数値が大きいほど低分散であることを示している。
【0047】
通常アッベ数と屈折率は負の相関関係があり、それぞれの特性をともに向上させるのは容易ではない。本発明の樹脂は、従来のポリカーボネート以上の高屈折率を維持しつつ高いアッベ数を有した樹脂であり、例えば眼鏡レンズ用途に用いる樹脂においてはアッベ数は30以上であることが好ましく、より好ましくは31以上である。
【0048】
また、d線屈折率としては、1.57以上であることが好ましく、より好ましくは1.58以上である。
【0049】
本発明の樹脂は、その樹脂から得られる厚さ100μmのフィルムとした時の、全光線透過率として50%以上、かつ黄色度30以下であり、好ましくは全光線透過率が70%以上、かつ黄色度20以下、特に好ましくは全光線透過率が80%以上、かつ黄色度10以下である。
【0050】
なお、全光線透過率と黄色度は以下に定義される。試料をデジタルカラーコンピューター(スガ試験機(株)社製:SM−7CH)を用いて透過法により3刺激値(X、Y、Z)を求めた。なお、全光線透過率はYの値として定義される。黄色度(ΔYI)は、試料を装着してX、Y、Zを求め、式(III)によりYI値(YI)を求めた後、試料を外した状態で同様にX、Y、Zを求め、同様にリファレンス値YIを求め、式(IV)より算出した。
【0051】
YI=100×(1.28X−1.06Z)/Y (III)
X、Y、Z:標準光Cにおける試料の三刺激値
ΔYI=YI−YI (IV)
ΔYI:黄色度
YI:リファレンス値
YI:試料の測定値
なお、種々の厚みのフィルムやシートの全光線透過率は、ランベルト・ベールの法則を適用することで、厚さ100μmのフィルムの全光線透過率に換算可能である。
【0052】
次に本発明の樹脂を得る方法について、その例を挙げて説明する。もちろん、本発明がかかる記載に限定されるものではない。
【0053】
ポリリン酸エステルの製造方法は、米国特許第3,159,602号に開示されているが、該方法は無溶媒中での固体溶融重合、あるいはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドを用いての溶液重合である。溶融重合では反応が不均一であり、高分子量体を得ることが難しい。また、両重合方法とも170℃以上の高温での重合であるため、副反応に起因する高分子量化の妨げや着色の問題も有する。従って、該方法によって得られたスピロ環を有するポリリン酸エステルは分子量が低く、成形体として用いることは困難である。
【0054】
また、特開2000−290288号公報には、該スピロ環を有するポリリン酸エステルの製造方法が開示されているが該方法においても平均重合度が4未満であり高分子量体とは言い難い。さらに、該公報に記載されている用途は難燃剤としての用途であり、耐熱性、光学特性については全く開示されていない。
【0055】
また、ポリメリック・マテリアルズ・サイエンス アンド エンジニアリング(Polymeric Materials Science and Engineering)1996年、74巻、147−148頁には、該スピロ環を有するリン酸エステルとビスフェノールAを縮合重合させたポリリン酸エステルの重合についての記述がある。該文献には高分子量体を得たとの記述はあるが、具体的に数平均分子量の記述がない。そこで本発明者らは、該文献の実験を再現したところ、数平均分子量は700であった。溶液中における2価フェノール単位の濃度が0.02mol/Lと低いため、高分子量体を得ることが困難であると考えられる。また、該文献のポリリン酸エステルも難燃用途であり、難燃用途としては分子量が比較的高めではあるが、本発明の樹脂と比較すると分子量が低く、成形体やフィルムとして用いることは困難である。
【0056】
すなわち、上記の開示されているスピロ環を有するポリリン酸エステルはいずれも低分子量で、他の樹脂とのブレンドとして、難燃効果を高める用途のみであり、本発明とは根本的に異なる。
【0057】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明のポリリン酸エステルの製造方法として、スルホランやハロゲン系溶媒中、低温で縮合重合することによって高分子量体を得ることに成功した。従来の方法では、高温での重合を行っていたが、極性溶媒中、高温重合を行うと副反応を伴い、高分子量化の妨げとなっていた。また、有機溶媒を用いない溶融重合や非反応性の有機溶媒を用いての高温重合の場合(特開2000−290288号公報)においても、重合度が向上してはいるものの、成形体としては不十分な分子量である。本発明においては、低温で非反応性の極性溶媒、すなわち、スルホランやハロゲン系溶媒を用いることにより、該樹脂の高分子量化に至った。
【0058】
本発明の樹脂の製造方法についてその一例を説明すると、スルホランやハロゲン系溶媒中、100℃以下で、SUPOCなどの前記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーと、2価フェノール成分をトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して反応させ、縮合重合することによって本発明の樹脂を得ることができる。用いる有機溶媒はスルホランやハロゲン系化合物(具体例を示すと塩化メチレン、二塩化エタンなど脂肪族ハロゲン化炭化水素が挙げられる)であるが、スルホラン、ジクロロメタンが好ましい。また、重合温度は着色や副反応を考慮すると100℃以下で重合することが好ましい。さらに好ましくは60℃以下、特に好ましくは30℃以下である。
【0059】
共重合の場合は、前記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーと、2価フェノール成分をトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して反応させた後に、例えば、ホスホン酸残基の前駆体分子であるホスホン酸誘導体やカーボネート残基の前駆体分子、たとえばトリホスゲンなどを添加して縮合重合することによって得ることができる。なお、本発明の製造方法でいう2価フェノール成分とは2価フェノールモノマー及び2価フェノール残基を言う。
【0060】
本発明の製造方法においては、スピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーを添加し、引き続いて行う重合反応中、系中の2価フェノール成分の濃度は収率ならびに重合度に関して極めて重要であり、該成分の濃度は0.1mol/L以上に維持して反応せしめることが好ましく、0.2mol/L以上とすることが更に好ましい。なお、ここで言う2価フェノール成分の濃度とは、
(2価フェノール成分のモル数(mol))/(溶媒の体積(L))
として定義される。
【0061】
さらに、より高分子量体を得るためには次の方法を用いることが好ましい。すなわち、有機溶媒中、一般式(1)以外の残基を与える共重合成分(例えば、ホスホン酸残基やカーボネート残基を与える成分やジオール成分)をトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して、予め重縮合させ溶媒への溶解性を高めた後、一般式(1)の構造単位を与える成分(例えば、SUPOC)を加え、重縮合工程を継続して重合を行うことで好適に高分子量の重合体を得ることができる。また、別の方法では、一部の一般式(1)以外の残基を与える共重合成分(例えば、ホスホン酸残基やカーボネート残基、ジオール残基を与える成分など)をトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して、予め重縮合させ、次いで一般式(1)の構造単位を与える成分(例えば、SUPOC)を加え、重縮合工程を継続し、さらに、残りの一般式(1)以外の残基を与える共重合成分を添加する工程を採用することで、更により一層の高分子量体を得ることができる。スピロ環を有する2価リン酸エステル誘導体やホスホン酸誘導体としては、それらのハロゲン化物、酸無水物、エステル等が挙げられ、中では、それらハロゲン化物が好適である。カーボネート誘導体としてはそれらのハロゲン化物、酸無水物、エステル等が用いられるが特に限定されない。
【0062】
また、反応活性化剤あるいは塩化水素捕捉剤である塩基共存下で反応を行うことが好ましく、用いる塩基としては、トリエチルアミンなどの有機塩基が特に好ましく用いられる。
【0063】
本発明中、共重合成分としてカーボネート基を導入する場合、ホスゲンやトリホスゲンなどのホスゲン誘導体を用いるのが一般的であるが、ホスゲンやホスゲン誘導体は、毒性が高く、大気中で不安定であるため、取扱いが容易ではない。また、不安定な化合物であるため、分解して不純物が生成することもあり、この不純物が該樹脂の着色原因であったり、該樹脂の高分子量化を妨げることもある。
【0064】
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討を重ねた結果、2価フェノール類のカーボネートポリマーあるいはオリゴマーをカーボネート残基の原料とし、それがトリエチルアミンなどの塩基存在下2価フェノールモノマーにより容易に結合のクラッキングが進行することを見出し、更に、クラッキング反応に続いて一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーを高濃度で作用させることにより、スピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーでの主鎖延長が可能となることを見出した。
【0065】
上記のように、カーボネート基の導入にホスゲンやホスゲン誘導体を用いず、2価フェノール類のカーボネートポリマーあるいはオリゴマーを用いることによって、より安定して、高分子量体を得ることが可能となった。また、ホスゲン誘導体の不純物が存在しないため、全光線透過率が高く、黄色度の低い該樹脂を得ることに成功した。
【0066】
本発明の樹脂においては、カーボネート残基を構成する原料として、2価フェノールのカーボネートポリマーあるいはオリゴマーを用いる。このポリマー若しくはオリゴマーは公知の方法で合成される。すなわち、溶液重合法、界面重合法、溶融重合法などが挙げられるが、好ましくはホスゲン等の有毒物質を用いない溶融重合法が好ましく用いられる。溶融重合法におけるカーボネート原料としては、芳香族カーボネート、脂肪族カーボネートなどが用いられ、2価フェノールと混合し、加熱溶融することによってエステル交換して所望のカーボネートポリマー原料を得ることができる。この際、反応を促進するべく触媒を用いてもよい。
【0067】
ついで、該2価フェノールのカーボネートポリマー若しくはオリゴマーを塩基の存在下、2価フェノールモノマーと反応(反応1:クラッキング反応)せしめる。反応は溶媒中で行い、好ましい溶媒としては、塩化メチレンなど含ハロゲン炭化水素、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、スルホランなどのスルホン系溶媒などが挙げられる。また、塩基としては、トリエチルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
【0068】
その後、スピロ環を有する2価リン酸エステル誘導体と反応せしめる(反応2:重合反応)。この時、上記反応1にて生成した反応生成物を単離・精製することなく、引き続きスピロ環を有する2価リン酸エステル誘導体との反応を行うことができる。スピロ環を有する2価リン酸エステル誘導体としては、スピロ環を有する2価リン酸エステルのハロゲン化物が好適であり、より好適にはスピロ環を有する2価リン酸エステルの塩化物である。具体的にはSUPOCが最も好適である。また、さらに高分子量化を行う場合は、反応2に続いて、例えばフェニルホスホン酸ジクロライドのようなホスホン酸誘導体、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライドのような2価カルボン酸誘導体を添加する工程を採用する。
【0069】
係るスピロ環を有する2価リン酸エステル誘導体との反応(反応2)は、2価フェノール単位の濃度として高濃度で行うことが好ましく、反応1に引き続き連続で行うことを考慮すると、反応1の段階で反応濃度を高濃度にしておくことが好ましい。用いる溶媒としては反応1および反応2を連続して行うことを考慮すれば、含ハロゲン溶媒、エーテル系溶媒、スルホン系溶媒などが挙げられ、好ましくは含ハロゲン溶媒、特に好ましく塩化メチレン、二塩化エタンなど脂肪族ハロゲン化溶媒が好ましい。また、反応活性化剤あるいは塩化水素補足剤である塩基共存下で反応を行うことが好ましく、用いる塩基としては反応1にて用いたものと同様のものが好ましく、トリエチルアミンなどの有機塩基が特に好ましく用いられる。反応温度は生成するポリマーの溶媒に対する溶解度にもよるが、分子量分布や着色などを考慮すると、より低温の方が好ましく、好ましくは60℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0070】
該樹脂の製造法は、ビスフェノールAのような一般的ビスフェノールをはじめとする他のビスフェノール、ジオール類にも適用でき、さらに、カーボネート残基の代わりにテレフタル酸やイソフタル酸などのジカルボン酸残基においても同様に適用できる。
【0071】
また、本発明者らは、本発明樹脂を含有するガット、プレートあるいはフィルム状成形体は、優れた難燃性をも具備していることを見出した。
【0072】
本発明の樹脂は、概ね有機溶媒に対して高い溶解性を有しており、このような溶媒としては、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、塩化メチレン、クロロホルム、1 ,1 ,2 ,2 −テトラクロロエタン、1 ,2 −ジクロロエタン、γ−ブチロラクトン、イソホロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
【0073】
さらに、本発明のポリマーは非晶性であり、非晶性であるかどうかは、公知の方法例えば示差走査熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定等により融点が存在しているかどうかを確認すればよい。
【0074】
樹脂組成物とする場合は、所望に応じて、他の難燃剤、難燃助剤、エラストマー成分、安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、離型剤などの各種添加剤、顔料、充填剤、他の樹脂などが適宜配合され得る。配合法は既知の方法を適用できるが、樹脂と添加物を溶融混練し、押出す方法が好適である。
【0075】
本発明の樹脂組成物は、成形材料として、機械、自動車、食品分野に利用することができるだけでなく、皮膜形成用材料として(溶融法やソルベントキャスト法によりフィルムとして、あるいは、塗工液等のバインダーとして)、電気・電子分野や光学機器分野に好ましく利用することができる。
【0076】
また、本発明の樹脂組成物は、耐熱性及び透明性に優れているため、時計、テレビ、ICカード、ワードプロセッサ、パソコン、計器盤及び各種表示盤中の液晶表示部及びエレクトロルミネッセンス表示部の基板、透明導電性フィルム、光ディスクや光カードの表面保護フィルム等へ応用することができる。また、成形性、耐熱性、高透明性を利用して、現行のガラス基板や金属基板の代替材料として用いることができる。
【0077】
本発明に係る樹脂の例えばレンズなどの成形体を得る方法については、公知の方法が採用でき、特に限定されないが、例えば、射出成型法、プレス成型法、圧縮成型法、トランスファ成形法、積層成形法、押し出し成形法などがあげられる。 またフィルム状に成形する場合には、溶液製膜法、溶融押し出し製膜法などが挙げられ、特に溶液製膜が好適に採用される。溶液製膜法においては前記有機溶媒を適宜用いることができるが、好ましくはスルホキシド含有溶媒やアミド含有溶媒であり、特に好ましくはN−メチルピロリドンである。
【0078】
【実施例】
実施例
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。樹脂の評価は以下の方法により行った。
【0079】
〔分子量〕
ゲルパーミュレーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いた絶対検量線法によって、数平均分子量を決定した。GPCの測定条件は以下の通り。
装置:Waters2690(Waters社)
カラム:TOSOH社製、TSK−gel−α4000,TSK−gel−α2500の2本を直列に連結。
溶媒:10mMのリチウムブロマイド含有のNMPフロ−(flow)=0.2ml/min
検出器:UV
試料:0.1重量%のNMP溶液
注入量:10μl。
【0080】
〔耐熱性〕
DSC(Differential Scanning Calorimeter)によって、ガラス転移点を測定し、その値を耐熱性の指標に用いた。
装置:SSC5200(セイコー電子工業株式会社製)
試料:10mg
昇温速度:10℃/min。
【0081】
〔光学特性〕
樹脂を幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmの板状に加熱プレス成型し、その成型品をサンドペーパー、バフにて互いに直行する2面を鏡面仕上げになるように研磨し、屈折計にて評価を行い、d線(波長:587.6nm)屈折率(nd)、式(8)より求められるアッベ数(νd)を測定した。
装置:KPR−2(カルニュー光学工業(株)製)。
【0082】
全光線透過率、黄色度は以下の測定に依った。
【0083】
樹脂を溶液キャスティング法(NMP溶液)によって厚さ100μmのフィルムを作成した。
【0084】
ついで、この試料をデジタルカラーコンピューター(スガ試験機(株)社製:SM−7CH)を用いて透過法により3刺激値(X、Y、Z)を求めた。全光線透過率はYの値をそのまま採用した。ΔYIは、試料を装着した状態でX、Y、Zを求め、式(III)によりYI値(YI)を求めた後、試料を外した状態で同様にX、Y、Zを求め、同様にリファレンス値YIを求め、式(IV)より算出した。
【0085】
YI=100×(1.28X−1.06Z)/Y (III)
X、Y、Z:標準光Cにおける試料の三刺激値
ΔYI=YI−YI(IV)
ΔYI:黄色度
YI:リファレンス値
YI:試料の測定値。
【0086】
なお、種々の厚みのフィルムやシートの全光線透過率は、ランベルト・ベールの法則を適用することで、厚さ100μmのフィルムの全光線透過率に換算可能である。
【0087】
〔位相差特性〕
樹脂を塩化メチレンに溶解させ、ガラス板上に製膜、乾燥させることによってキャストフィルムを得た。得られたフィルムのリタデーション(位相差)測定はセルギャップ検査装置を用いて、589nmの波長の位相差を測定した。
装置:RETS−1100(大塚電子(株)製)。
【0088】
〔力学特性〕
樹脂を幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmの板状に加熱プレス成型し、オリエンテック(株)社製テンシロンを用い、支点間距離22mm、曲げ速度1.5mm/分にて曲げ試験を行った。評価パラメーターは脆さの指標である靱性値(曲げ応力×破断変位)とした。
装置:RTM−100(オリエンテック(株)社製テンシロン)。
【0089】
実施例1
窒素雰囲気下、スルホラン(30ml)中に4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル(30mmol)、およびトリエチルアミン(63mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にSUPOC(30mmol)の粉体を投入し、30分間攪拌した。その後、スルホラン(15ml)を投入し、室温にし、5時間攪拌した。得られた反応溶液にNMP(20ml)を加え、0.1N塩酸水溶液(2L)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、水(2L)で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の白色樹脂粉末を定量的に得た。数平均分子量は17700,ガラス転移点は235℃であった。
【0090】
実施例2
窒素雰囲気下、スルホラン(30ml)中に4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル(30mmol)、およびトリエチルアミン(63mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にトリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:1.28ml)を5分間かけて滴下し、20分攪拌した。続いて、SUPOC(22.5mmol)の粉体を投入し、30分間攪拌した。その後、スルホラン(15ml)を投入し、室温にし、1.5時間攪拌した。さらに、トリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:3.00ml)を15分間かけて滴下し、得られた反応溶液にNMP(50ml)を加え、0.1N塩酸水溶液(2L)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、水(2L)で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率99%で得た。数平均分子量は43700、ガラス転移点は216℃であった。
【0091】
実施例3
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(50ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(50mmol)、およびトリエチルアミン(105mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にトリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.557M:7.5ml)を20分間かけて滴下し、1時間攪拌した。続いて、SUPOC(25mmol)の粉体を投入し、2時間30分攪拌した。さらに、トリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.557M:7.5ml)を20分間かけて滴下し、室温にして、30分攪拌した。得られた反応溶液に0.1N塩酸水溶液(50ml)を投入して、有機層を洗浄した。この操作を2回繰り返した。さらに得られた、有機層に水(50ml)を加え、有機層を洗浄した。この操作を2回繰り返した。得られた有機層をエタノール(2L)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、生成したポリマーを乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率80%で得た。数平均分子量は48500、ガラス転移点は222℃、靱性値は11.6kgf/mmであった。
【0092】
実施例4
窒素雰囲気下、スルホラン(40ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(30mmol)、およびトリエチルアミン(63mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にトリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:2.14ml)を5分間かけて滴下し、20分攪拌した。続いて、SUPOC(22.5mmol)の粉体を投入し、1時間攪拌した。その後、室温にし、1.5時間攪拌した。さらに、トリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:2.14ml)を5分間かけて滴下し、30分攪拌した。得られた反応溶液にNMP(50ml)を加え、0.1N塩酸水溶液(2L)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、水(2L)で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率97%で得た。数平均分子量は22100、ガラス転移点は238℃、靱性値は17.3kgf/mm、膜厚75μmのフィルムのリタデーション(位相差)は1.61nm(膜厚100μmのフィルムのリタデーション(位相差)に換算すると2.14nm)であった。
【0093】
実施例5
窒素雰囲気下、スルホラン(40ml)中に4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール(30mmol)、およびトリエチルアミン(63mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にトリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:2.14ml)を5分間かけて滴下し、20分攪拌した。続いて、SUPOC(22.5mmol)の粉体を投入し、1時間攪拌した。その後、室温にし、2時間攪拌した。さらに、トリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:2.14ml)を5分間かけて滴下し、30分攪拌した。得られた反応溶液にNMP(50ml)を加え、0.1N塩酸水溶液(2L)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、水(2L)で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率97%で得た。数平均分子量は34800、ガラス転移点は238℃、膜厚49μmのフィルムのリタデーション(位相差)は1.43nm(膜厚100μmのフィルムのリタデーション(位相差)に換算すると2.92nm)であった。
【0094】
実施例6
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(12ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(22mmol)、およびトリエチルアミン(46.2mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にトリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:0.94ml)を5分間かけて滴下し、20分攪拌した。続いて、SUPOC(5.5mmol)の粉体を投入し、1時間攪拌した。その後、フェニルホスホン酸ジクロライドのジクロロメタン溶液(2.73M:4.03ml)を15分間かけて滴下し、1時間20分攪拌した。さらに、トリホスゲンのジクロロメタン溶液(0.584M:2.20ml)を5分間かけて滴下し、室温にして、30分攪拌した。得られた反応溶液に0.1N塩酸水溶液(100ml)を投入して、有機層を洗浄した。この操作を2回繰り返した。さらに得られた、有機層に水(100ml)を加え、有機層を洗浄した。この操作を2回繰り返した。得られた有機層をエタノール(2L)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、生成したポリマーを乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率80%で得た。数平均分子量は38600、ガラス転移点は180℃、靱性値は40.0kgf/mm、膜厚119μmのフィルムのリタデーション(位相差)は2.62nm(膜厚100μmのフィルムのリタデーション(位相差)に換算すると2.20nm)、屈折率nd=1.594、アッベ数νd=32.5であった。
【0095】
実施例7
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(18ml)中に4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール(31.7mmol)、ポリカーボネート(C6BP−PC、4g)およびトリエチルアミン(70.4mmol)を混合し、容器を水浴に浸して3時間攪拌した。氷冷下、この溶液にSUPOC(27.4mmol)の粉体を投入し、1時間20分攪拌した。その後、氷浴を外し、室温で3時間攪拌した。続いて、フェニルホスホン酸ジクロライド(4.6mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解させた混合溶液を1時間かけて滴下した。1時間攪拌中、塩化メチレンを粘度に合わせて適時、計60ml加える。得られた反応溶液に酢酸(5mL)と塩化メチレン(100mL)を投入して、10分間攪拌した。得られた溶液に水(100mL)を加え、洗浄しこの溶液を70℃の大量の温水に再沈殿した。得られたポリマーを濾取した後、生成したポリマーを乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率95%で得た。数平均分子量は46200,ガラス転移点は223℃であった。得られた樹脂を溶液キャスティング法(NMP溶液)によって厚さ100μmのフィルムを作成し、上記の方法で全光線透過率、黄色度を測定したところ、全光線透過率:88.7%、黄色度:1.93であった。また、膜厚63μmのフィルムのリタデーション(位相差)は1.37nm(膜厚100μmのフィルムのリタデーション(位相差)に換算すると2.18nm)であった。
【0096】
実施例8
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(20ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(C6BP、31.7mmol)、ポリカーボネート(C6BP−PC、4g)およびトリエチルアミン(70.4mmol)を混合し、容器を水浴に浸して3時間攪拌した。氷冷下、この溶液にSUPOC(27.4mmol)の粉体を投入し、1時間20分攪拌した。その後、氷浴を外し、室温で3時間攪拌した。続いて、フェニルホスホン酸ジクロライド(4.6mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解させた混合溶液を1時間かけて滴下した。1時間攪拌中、塩化メチレンを粘度に合わせて適時、計60ml加える。得られた反応溶液に酢酸(5mL)と塩化メチレン(100mL)を投入して、10分間攪拌した。得られた溶液に水(100mL)を加え、洗浄しこの溶液を70℃の大量の温水に再沈殿した。得られたポリマーを濾取した後、生成したポリマーを乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率95%で得た。数平均分子量は57400,ガラス転移点は223℃であった。得られた樹脂を溶液キャスティング法(NMP溶液)によって厚さ100μmのフィルムを作成し、上記の方法で全光線透過率、黄色度を測定したところ、全光線透過率:89.5%、黄色度:2.30であった。
【0097】
実施例9
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(18ml)中に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン(31.7mmol)、ポリカーボネート(C6BP−PC、4g)およびトリエチルアミン(70.4mmol)を混合し、容器を水浴に浸して3時間攪拌した。氷冷下、この溶液にSUPOC(18.3mmol)の粉体を投入し、1時間20分攪拌した。その後、氷浴を外し、室温で2時間攪拌した。続いて、フェニルホスホン酸ジクロライド(13.7mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させた混合溶液を1時間かけて滴下した。1時間攪拌中、塩化メチレンを粘度に合わせて適時、計40ml加える。得られた反応溶液に酢酸(3mL)と塩化メチレン(100mL)を投入して、10分間攪拌した。得られた溶液に水(100mL)を加え、洗浄しこの溶液を70℃の大量の温水に再沈殿した。得られたポリマーを濾取した後、生成したポリマーを乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率92%で得た。数平均分子量は39200,ガラス転移点は165℃、d線屈折率:1.57、アッベ数:33.9であった。また、膜厚55μmのフィルムのリタデーション(位相差)は1.95nm(膜厚100μmのフィルムのリタデーション(位相差)に換算すると3.56nm)であった。
【0098】
上記実施例記載の樹脂を溶液製膜法によって製膜したところ、自己支持性を有し、また実用的な強度、伸度を有したフィルムであり、全光線透過率が高く、黄色度が小さいフィルムであることを確認した。
【0099】
また、上記実施例記載の樹脂を常法により、レンズに成形してみたところ、着色も殆ど気にならず、また光学的に優れたものであることを確認した。
【0100】
比較例1
窒素雰囲気下、NMP(10ml)中に4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル(5mmol)、およびトリエチルアミン(10.5mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にSUPOC(5mmol)の粉体を投入し、1間30分攪拌した。その後、室温にし、5間攪拌した。得られた反応溶液を、0.1N塩酸水溶液(500ml)に投入して再沈殿し、ポリマーを濾取した後、水(500ml)で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率99%で得た。数平均分子量は610であった。
【0101】
比較例2
加熱装置、攪拌機、還流管、導入口および温度計を備えた反応容器にSUPOC(20mmol)、ビスフェノールA(60mmol)、無水塩化アルミニウム(60mg)およびトルエン(25ml)を投入し、95〜105℃まで攪拌しながら昇温し、1時間30分で塩酸ガスが理論量発生したところで冷却した。得られた反応液にSUPOC(30mmol)および無水塩化アルミニウム(60mg)を投入し、再び95〜105℃まで攪拌しながら昇温し、3時間で塩酸ガスが理論量発生したところで反応を終了した。得られた反応液を、冷却した酢酸エチル(100ml)に攪拌しながら、滴下して、析出した白色固体をろ過により回収し、さらにアセトン(100ml)で2回洗浄後、真空乾燥を室温で16時間行い、白色固体の目的物質を収率78%で得た。数平均分子量は1500であった。
【0102】
比較例3
加熱装置、攪拌機、還流管、導入口および温度計を備えた反応容器にSUPOC(50mmol)、ビスフェノールA(60mmol)を投入し、170℃まで攪拌しながら昇温し30分間攪拌後、185℃まで昇温して3時間攪拌した。さらに200℃まで昇温して30分間攪拌して反応を終了した。得られた粘性の反応液を高温のまま取り出し、冷却して21.6gの生成物を得た。数平均分子量は500であった。
【0103】
比較例4
窒素雰囲気下、DMF(10ml)中に4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル(5mmol)、およびSUPOC(5mmol)を混合した。この溶液を170℃まで昇温し、5時間攪拌した。その後、DMFと発生した塩酸を減圧留去し、琥珀色の半透明固体を収率95%で得た。数平均分子量は800であった。
【0104】
比較例5
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(50ml)中にビスフェノールA(1mmol)およびトリエチルアミン(1.44mmol)を混合した。この溶液にSUPOC(1mmol)の粉体を投入し、容器を50℃のオイルバスに浸し還流させ、5時間攪拌した。その後、水を容器に加え洗浄し、有機層のジクロロメタンを減圧留去し、ポリマーを乾燥して目的の白色樹脂粉末を収率90%で得た。数平均分子量は700であった。
【0105】
比較例6
市販されているポリカーボネート:”タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を用いて、上記方法で成形して評価した。屈折率nd=1.583、アッベ数νd=30.5であった。
【0106】
比較例7
市販されているポリアリレート:”Uポリマー”(ユニチカ(株)製)を用いて、上記方法でフィルム化して評価した。膜厚95μmのフィルムのリタデーション(位相差)は10.89nm(膜厚100μmのフィルムのリタデーション(位相差)に換算すると16.59nm)であった。
【0107】
比較例より従来の手法を用いての重合では数平均分子量が2000未満であるため、フィルムやレンズに成形できない。成形可能であっても分子量が低いため、脆く実用に供し得ない。これに対して、本発明の樹脂は数平均分子量が高く(2000以上)、成形材料やフィルムとして機械、自動車、電気・電子分野、光学機器分野や食品分野に利用することができる。さらに、得られた成形体の脆さの指標である靱性値も大きいことがわかる。また、ガラス転移点も高く、耐熱性材料として有用である。さらに、比較例から従来の代表的熱可塑性樹脂は高屈折なものは高分散、低分散なものは低屈折となり、レンズなど光学用途に用いるにはとうてい不十分であるが、本発明の樹脂は高屈折、低分散という有用な光学特性を有していることがわかる。さらに、代表的な透明耐熱性樹脂は、主鎖方向に芳香環を多数有するため、未延伸フィルムであっても、リタデーションは大きいが、本発明の樹脂は、主鎖にスピロ環を有するため、リタデーションが小さいことがわかる。また、全光線透過率は高く、黄色度は小さい。
【0108】
【発明の効果】
本発明によるスピロ環を有するリン酸エステル基含有のポリマーを高分子量化させることによって、高耐熱性で光学特性、力学特性に優れた熱可塑性樹脂を提供することができ、この樹脂よりなる成形材料やフィルムは各種分野に用いることができる。

Claims (15)

  1. 1分子中に下記一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を含み、かつ、数平均分子量が2000以上である高分子を含有することを特徴とする樹脂。
    Figure 2004307789
    (一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。)
  2. 一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を該高分子1分子中に0.5モル%以上含む請求項1記載の樹脂。
  3. 該高分子が下記一般式(2)で示されるジオール残基を含む請求項1または2記載の樹脂。
    Figure 2004307789
    (一般式(2)中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、6〜40のアリーレン基を表す。)
  4. 前記高分子は一般式(1)、(2)で示される残基と下記一般式(3)および/または下記一般式(4)で示される構造単位からなり、モル分率が式(I)を満足する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂。
    Figure 2004307789
    Figure 2004307789
    (一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基、ハロゲン置換芳香族基、水酸基、アルコキシ基およびフェノキシ基からなる群から選ばれる官能基、Zは酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。)
    0.01≦[(a)/((a)+(b)+(c))]<1 (I)
    ((a)は一般式(1)、(b)は一般式(3)、(c)は一般式(4)で示される構造単位のモル数をそれぞれ示す。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂と、他の化合物とからなる樹脂組成物であって、一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基の、樹脂組成物中に占める割合が0.5モル%以上である樹脂組成物。
  6. d線屈折率が1.57以上である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂若しくは樹脂組成物。
  7. アッベ数が30以上である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂若しくは樹脂組成物。
  8. 厚さ100μmのフィルムとした時の、全光線透過率が50%以上、かつ、黄色度ΔYIが30以下である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂若しくは樹脂組成物。
  9. 1分子中に一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を含み、かつ、数平均分子量が2000以上である高分子を含む樹脂の製造方法であって、スルホラン及び/またはハロゲン系溶媒中100℃以下で、一般式(1)で表されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーと一般式(2)で表されるジオール残基を与えるジオールとを縮合重合させる工程を含むことを特徴とする樹脂の製造方法。
    Figure 2004307789
    (一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。)
    Figure 2004307789
    (一般式(2)中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、6〜40のアリーレン基を表す。)
  10. 1分子中に一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を含み、かつ、数平均分子量が2000以上である高分子を含む樹脂の製造方法であって、一般式(1)の残基を与えるモノマー以外のモノマー成分を予め重縮合させた後、一般式(1)の残基を与えるモノマーを加え、重縮合を継続し、さらに、前記一般式(1)の残基を与えるモノマー以外のモノマー成分を加え、重縮合を継続する工程を含むことを特徴とする樹脂の製造方法。
    Figure 2004307789
    (一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。)
  11. 溶媒中で2価フェノールのカーボネートポリマー若しくはオリゴマーを塩基存在下に2価フェノールモノマーを反応せしめる工程、次いで、一般式(1)で示されるスピロ環を有する2価リン酸エステル残基を与えるモノマーを加える工程を含み、引き続いて重合反応を行うに際し、重合反応系中の2価フェノール成分の濃度を0.1mol/L以上に維持して反応せしめることを特徴とする樹脂の製造方法。
    Figure 2004307789
    (一般式(1)中、Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜16の整数。Xは各々独立に酸素、硫黄、セレンあるいは非共有電子対を表す。Yはそれぞれ独立に酸素、硫黄およびメチレン基から選ばれる。n,mはn+m=0〜4の整数である。)
  12. 請求項1〜4及び6〜8のいずれか記載の樹脂を含有する成形体。
  13. 請求項1〜4及び6〜8のいずれか記載の樹脂を含有する光学レンズ。
  14. 請求項1〜4及び6〜8のいずれか記載の樹脂を含有するフィルム。
  15. 請求項14記載のフィルムを構成材とするフィルム基板。
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