JP5066777B2 - 樹脂および成型体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に低分散かつ高屈折率であり、更には難燃性を有する樹脂と、それを含有する成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
無色透明材料は光学レンズ、機能性光学フィルム、ディスク基板などその多様な用途に応じて種々の材料が適用されているが、ヘルスケアやエレクトロニクスなどの急速な発展に伴い、材料自体に要求される機能・性能もますます精密かつ優れたものとなってきている。
【0003】
光学用材料のヘルスケア用途として眼鏡レンズが上げられるが、薄型化、軽量化、ファッション性等の観点から活発な材料開発が行われており、現在では耐衝撃性、軽量性等の利点から、市場の90%は樹脂レンズが占めるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の眼鏡レンズ用樹脂はCR39、アクリル、ウレタンの3つに大別され、低分散、高屈折を目指して多くの樹脂が開発実用化されている。これらの樹脂はすべて熱硬化性であるため、光学レンズへの成形は注型重合が用いられるが、この方法は重合時間が長く、その後のアニーリングプロセスなど、製造コストが高いという問題点がある。ポリカーボネートのような熱可塑性樹脂をレンズに適用すれば、成形性がよく、熱硬化性樹脂に比べ格段にレンズ製造コストを安くできるという利点があるが、屈折率が低いため(1.58)視力矯正眼鏡用途としての性能は不十分である。またポリカーボネート以上の屈折率を有する熱可塑性樹脂も数多く知られているが、高分散性、着色性等の問題があり、光学レンズ用途には適用するには問題があった。
【0005】
一方、ポリカーボネートのような無色透明の熱可塑性樹脂は、エレクトロニクス用途としても広く用いられており、位相差フィルムなどの光学フィルムやディスク用基板等の用途が挙げられる。特に位相差フィルムは、反射型カラー液晶ディスプレイのコントラストを決める重要な構成部材のひとつであるが、現在用いられているポリカーボネートが例えば、特開平4−204503号公報、特開平9−304619号公報に教示されているが、これらは十分な波長分散特性を有しているとはいえない。反射型液晶ディスプレイの高コントラスト化のためには、位相差フィルムとして用いる樹脂フィルムの波長分散特性の向上がひとつの技術課題となっている。
【0006】
本発明は、無色透明で高屈折、低分散など優れた光学特性を有し、また難燃性をも併せ持つ樹脂、および成型体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有するものである。すなわち、カーボネート残基、下記構造式(1)で示されるホスホン酸残基、および下記構造式(2)で示される2価フェノール残基より構成されており、ホスホン酸残基とカーボネート残基のモル分率が式(3)を満足することを特徴とする樹脂である。
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
[構造式(1)中、R1は有機基、X1は酸素、硫黄を表し、樹脂中にR1あるいはX1の異なるホスホン酸残基を2種以上含んでもよい。構造式(2)中、R2は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜8の整数、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基からなる群から選ばれる。Y1はシクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、フルオレン基からなる群から選ばれる。樹脂中にR2あるいはY1の異なる2価フェノール残基を2種以上含んでもよい。]
1>(a)/{(a)+(b)}≧0.5 (3)
[式(3)中、(a)はホスホン酸残基、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。]
また、本発明は、下記構造式(4)で示されるホスホン酸残基、および下記構造式(5)で示される2価フェノール残基より構成されており、ホスホン酸残基の代わりに一部ホスホナイト残基により構成され、その置換比率が50%以下であることを特徴とする樹脂。
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】
[構造式(4)中、R3は有機基、X2は硫黄を表し、樹脂にR3あるいはX2の異なるホスホン酸残基を2種以上含んでもよい。構造式(5)中R4は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p、qはp+q=0〜8の整数、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基からなる群から選ばれる。Y2はシクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、フルオレン基からなる群から選ばれる。樹脂中にR4あるいはY2の異なる2価フェノール残基を2種以上含んでもよい。]
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、高屈折率で低分散な熱可塑性樹脂を見出すべく鋭意検討した結果、5価のリン原子を有する構造、中でもホスホン酸構造をポリマーの主鎖に導入することによって、無色透明で高屈折、低分散な熱可塑性樹脂が得られることを見いだした。式(3)はホスホン酸残基の共重合分率を表す式であり、すなわち、(a)は構造式(1)に示すホスホン酸残基のモル数であり、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。構造式(1)で示されるホスホン酸残基のモル分率が0.5未満である場合には、ポリマーの高屈折性が発現せず、本発明の効果が得られ難い。さらに、ホスホン酸残基のモル分率が
〔(a)/{(a)+(b)}〕≧0.75の範囲にあることが好ましい。
【0015】
一方、光学物質の光の分散の度合いを表す指標としては一般にアッベ数が用いられ、次式(6)によって算出される。
【0016】
アッベ数(νd)=(nd−1)/(nf−nc) (6)
(ここで、nd:d線屈折率(波長587.6nm)、nf:f線屈折率(波長656.3nm)、nc:c線屈折率(波長486.1nm))
すなわちその数値が大きいほど低分散であることを示している。
【0017】
リン系官能基を含有する樹脂は種々知られているが、特にホスホン酸エステル基を主鎖に含む樹脂はポリホスホネートと呼ばれ(K. S. Kim, J. Appl. Polym. Sci., 28, 1119 (1983); Y. Imai et al, Makromol. Chem., Rapid Commun., 1, 419 (1980); USP3719727)、難燃機能などを目指し精力的な研究が行われている。これら公知のポリホスホネート系樹脂の光学特性や力学特性などの諸物性については詳細な知見がなかったため、本発明者らはそれらを合成し物性評価を行った。結果として、それら公知のポリホスホネート系樹脂は、低分子量体ゆえに力学特性が不十分であったり、屈折率や光分散特性が不十分であった。本発明者らはそれらの特性を向上すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。また、本発明者らは、本発明樹脂を含有するガット、プレートあるいはフィルム状成型体は、優れた難燃性をも具備していることを見出した。
【0018】
さらに本発明者らは、本発明樹脂を光学異方体に成型した場合、位相差フィルム(別称として、位相差板、λ/4板、あるいは円偏光板)用途において、優れた複屈折/波長分散特性を示すことを見出した。一般的な樹脂の光学異方体、例えば一軸延伸したフィルムに光を透過させた場合、その光の波長が短いほど複屈折率が大きくなり、その度合いは波長の短い領域ほど大きいという傾向がある。位相差フィルム用途においては、複屈折率と波長の関係に関して次の条件を満たすものが光学的に理想であるといえる。すなわち、
(1)数百ミクロン以下のフィルムにおいて十分な大きさの複屈折率を有すること、
(2)このとき複屈折率の波長による変化が一定、すなわち複屈折率と波長の関係が比例関係(一次の関係)であること、である。
【0019】
これらの条件を満たし、複屈折/波長分散特性の異なる2種の光学異方フィルムを組み合わせることによって理想的な位相差フィルムを作成することができる。本発明者らは、本発明樹脂を製膜して得られたフィルムを延伸することによって光学異方体とした場合、従来の樹脂に比べ複屈折と波長の関係がより一次の関係に近くなること、またこの本発明の延伸フィルムと従来のポリアルカン系樹脂の光学異方フィルムとを組み合わせることにより、優れた波長分散特性を有する位相差フィルムが得られることを見出した。
【0020】
上記構造式(1)または(4)で表される化合物のリン原子上の置換基R1またはR3の具体例としては、フェニル、ハロ置換フェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ置換アルキル、アルキルサルファイド基等が挙げられる。このようなホスホン酸残基を構成するホスホン酸を具体的に例示すると、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、イソブチルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、n−ペンチルホスホン酸、ネオペンチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、クロロメチルホスホン酸、ジクロロメチルホスホン酸、ブロモメチルホスホン酸、ジブロモメチルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、1,2−ジクロロエチルホスホン酸、2−ブロモエチルホスホン酸、1,2−ジブロモエチルホスホン酸、3−クロロプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロプロピルホスホン酸3−ブロモプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモプロピルホスホン酸、2−クロロー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジクロロー1−メチルエチルホスホン酸、2−ブロモー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジブロモー1−メチルエチルホスホン酸、4−クロロブチルホスホン酸、3,4−ジクロロブチルホスホン酸、4−ブロモブチルホスホン酸、3,4−ジブロモブチルホスホン酸、3−クロロー1−メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロ−1−メチルプロピルホスホン酸、3−ブロモ−1メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモ−1−メチルホスホン酸、1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−クロロー1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモ−1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、5−クロロペンチルホスホン酸、4,5−ジクロロペンチルホスホン酸、5−ブロモペンチルホスホン酸、4,5−ジブロモペンチルホスホン酸、1−ヒドロキシメチルホスホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸、3−ヒドロキシプロピルホスホン酸、4−ヒドロキシブチルホスホン酸、5−ヒドロキシペンチルホスホン酸、1−アミノメチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、3−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノブチルホスホン酸、5−アミノペンチルホスホン酸、メチルチオメチルホスホン酸、メチルチオエチルホスホン酸、メチルチオプロピルホスホン酸、メチルチオブチルホスホン酸、エチルチオメチルホスホン酸、エチルチオエチルホスホン酸、エチルチオプロピルホスホン酸、プロピルチオメチルホスホン酸、プロピルチオエチルホスホン酸、ブチルチオメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−クロロフェニルホスホン酸、3,4−ジクロロフェニルホスホン酸、3,5−ジクロロフェニルホスホン酸、4−ブロモフェニルホスホン酸、3,4−ブロモフェニルホスホン酸、3,5−ブロモフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、3,4−ジメトキシフェニルホスホン酸、1−ナフチルホスホン酸、2−ナフチルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、4−ブロモフェニルメチルホスホン酸、3,4−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、3,5−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、2−(4−ブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,4−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,5−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、3−フェニルプロピルホスホン酸、3−(4−ブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,4−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,5−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、4−フェニルブチルホスホン酸、4−(4−ブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,4−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,5−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、2−ピリジルホスホン酸、3−ピリジルホスホン酸、4−ピリジルホスホン酸、1−ピロリジノメチルホスホン酸、1−ピロリジノエチルホスホン酸、1−ピロリジノプロピルホスホン酸、1−ピロリジノブチルホスホン酸、ピロール−1−ホスホン酸、ピロール−2−ホスホン酸、ピロール−3−ホスホン酸、チオフェン−2−ホスホン酸、チオフェン−3−ホスホン酸、ジチアン−2−ホスホン酸、トリチアン−2−ホスホン酸、フラン−2−ホスホン酸、フラン−3−ホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などが挙げられ、またこれらのリン原子に2重結合で結合している酸素原子が硫黄原子に置換されたチオホスホン酸も同様に挙げられる。これらは1種類でも、複数種併用することもできる。また、これらホスホン酸はその酸塩化物、エステル、アミドなどのホスホン酸誘導体であってもよい。
【0021】
またこれらホスホン酸残基については、それぞれ対応する3価のリン官能基であるホスホナイト残基に一部置き換えてもよい。これにより樹脂の耐酸化性を付与することができるが、光学特性等の特性安定性を考慮すると、その置換比率は50%以下が好ましく、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下である。構造式(4)で表される化合物においては、ホスホン酸残基の代わりに一部ホスホナイト残基により構成され、その置換比率が50%以下であることが必須である。
【0022】
また、構造式(2)または(5)で表される2価フェノール残基を構成する2価フェノールを具体的に例示すると、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビスフェノールフローレン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。これら2価フェノールは得られるポリマーの性能に応じて用いることができる。
【0023】
また、ジヒドロキシベンゼンを本発明の効果が損なわれない範囲で用いることができ、これらジヒドロキシベンゼンとしては、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,2−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0024】
また、本発明のポリマーは必ずしも直鎖状である必要はなく、得られるポリマーの性能に応じて多価フェノールを共重合することができる。このような多価フェノールを具体的に例示すると、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−メチルフェニル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−〔(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2−〔ビス(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、3,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、3−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、2,4,6−〔トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1,2,2−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,4−〔〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、4−〔1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕アニリン、(2,4−ジヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、1,3,3−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0025】
本発明のポリマーの一般的な製造方法としては、酸ハライドと2価のフェノールを有機溶剤中で反応させる溶液重合法(A. Conix, Ind. Eng. Chem., 51, 147 (1959)、特公昭37−5599号公報)、酸ハライドと2価のフェノールを塩化マグネシウム等の触媒存在下で加熱する溶融重合法、2価の酸と2価のフェノールをジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法(特公昭38−26299号公報)、水と相溶しない有機溶剤に溶解せしめた2価の酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解せしめた2価のフェノールとを混合する界面重合法(W. M. Eareckson, J. Poly. Sci., XL 399 (1959)、特公昭40−1959号公報)等が挙げられるが、特に溶液重合法が好適に採用される。溶液重合法について一例を説明すると、ホスホン酸残基の前駆体分子であるホスホン酸誘導体と、2価フェノールをトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して反応させ、続いてカーボネート残基の前駆体分子、たとえばトリホスゲンなどを添加して縮合重合することによって本発明の樹脂を得ることができる。このとき、ホスホン酸誘導体とトリホスゲンを同時に添加し反応させるのではなく、トリホスゲンをホスホン酸誘導体添加後に添加することによって、より高分子量体を得ることができる。ホスホン酸誘導体あるいはカーボネート誘導体としてはそれらのハロゲン化物、酸無水物、エステル等が用いられるが特に限定されない。
【0026】
本発明のポリマーの分子量を調節する方法としては、重合時に一官能の物質を添加して行うことができる。ここで言う分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げられる。
【0027】
本発明のポリマーには、その特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、チオエーテル系、燐系の各種抗酸化剤を添加することができる。
【0028】
また、本発明のポリマーは、有機溶媒に対して高い溶解性を有しており、このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。さらに、本発明のポリマーは非晶性であるが、非晶性であるかどうかは公知の方法、例えば示差走差熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定等により融点が存在しているかどうかを確認すればよい。
【0029】
【実施例】
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中にメチルベンジリデンビスフェノール(40mmol)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率89%で得た。
【0031】
得られた樹脂粉末は下記に示す方法で成型し評価した。すなわちプレス成形の場合は、得られた樹脂粉末を、樹脂のガラス転移温度点以上である250℃に加熱した金型に投入した。金型はφ30mmの円盤状のプレートが成形可能なもの用いた。金型を閉じ、圧力2tにて加圧後、金型を冷却した。金型を分割することによってφ30mm、厚さ3mmの円盤状の樹脂プレートを得た。さらに溶融粘度の低い場合には試験管に封入して溶融成形することもできる。すなわち、得られた樹脂粉末を、外形24mmの試験管に3g投入し試験管内を真空にして、真空下にて樹脂をヒーターにて試験管ごと280℃に加熱した。樹脂の溶融を確認した後、ヒーターを止め試験管を冷却した。試験管冷却後、樹脂の固化を確認して試験管のみを破壊して樹脂の塊を得た。
【0032】
得られた樹脂成形サンプルをサンドペーパー、バフ研磨した。互いに直行する2面を研磨し、それらが鏡面仕上げになるように研磨した。
【0033】
研磨した樹脂サンプルを屈折計(カルニュー光学工業(株)製:KPR−2)にて評価を行い、d線(波長:587.6nm)屈折率(nd)、式(4)より求められるアッベ数(νd)を測定した。
【0034】
さらに、得られた樹脂の力学特性について、幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmの板状に成型し、オリエンテック(株)社製テンシロン(型式RTM−100)を用い、支点間距離22mm、曲げ速度1.5mm/分にて曲げ試験を行った。評価パラメーターは脆さの指標である靭性値(曲げ応力×破断変位)とした。
【0035】
実施例2
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中にメチルベンジリデンビスフェノール(40mmol)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](0.15g)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルチオホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0036】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率90%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0037】
実施例3
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(40mmol)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0038】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率91%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0039】
実施例4
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(40mmol)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](0.15g)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルチオホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0040】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率92%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0041】
実施例5
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(32mmol)、α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(8mmol)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロライド(32mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(4.66ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0042】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率88%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0043】
実施例6
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(36mmol)、α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(4mmol) 、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](0.15g)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルチオホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0044】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率90%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0045】
実施例7
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(40mmol)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液に濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(1.75ml)溶液を滴下した。その後フェニルチオホスホン酸ジクロライド(29.6mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を、続いてベンゼンホスホナスジクロライド(0.4mmol)の 1,2−ジクロロエタン(15ml)溶液を滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(4.08ml)溶液を30分かけて滴下し、その後、12時間室温にて攪拌を行った。その後、反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率94%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0046】
実施例8
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(36mmol)、α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(4mmol) 、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](0.15g)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルチオホスホン酸ジクロライド(27mmol)とベンゼンホスホナスジクロライド(3mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)混合溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0047】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率94%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0048】
実施例9
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(40mmol)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。
【0049】
次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率88%で得た。その後、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0050】
比較例6
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(50ml)中にメチルベンジリデンビスフェノール(20mmol)、およびトリエチルアミン(40mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルチオホスホン酸ジクロライド(20mmol)の1,2−ジクロロエタン(60ml)溶液を35分間かけて滴下し、滴下終了後室温で90分間攪拌した。その後、実施例1と同様に処理(収率95%)し、つづいて同様の方法で成形して評価した。
比較例7
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(50ml)中にビスフェノールA(20mmol)、およびトリエチルアミン(40mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルチオホスホン酸ジクロライド(20mmol)の1,2−ジクロロエタン(60ml)溶液を35分間かけて滴下し、滴下終了後室温で90分間攪拌した。その後、実施例1と同様に処理(収率92%)し、つづいて同様の方法で成形して評価した。
【0051】
参考例1
比較例6で得られた樹脂と市販されているポリカーボネート:“タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を繰り返し単位モル比1対1で溶液混合(濃度0.5mol/lの1,2−ジクロロエタン溶液)し、その後実施例1と同様に処理し、つづいて同様の方法で成型して評価した。
参考例2
比較例7で得られた樹脂と市販されているポリカーボネート:“タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を繰り返し単位モル比1対1で溶液混合(濃度0.5mol/lの1,2−ジクロロエタン溶液)し、その後実施例1と同様に処理し、つづいて同様の方法で成型して評価した。
【0052】
実施例13
実施例11で得られた樹脂と市販されているポリカーボネート:“タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を繰り返し単位モル比1対1で溶液混合(濃度0.5mol/lの1,2−ジクロロエタン溶液)し、その後実施例1と同様に処理し、つづいて同様の方法で成型して評価した。
【0053】
実施例10
実施例7で得られた樹脂を住友ネスタ−ル射出成形機プロマット40/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリンダー温度を250℃の温度に、金型温度を100℃に設定し、1/8インチ燃焼試験片を射出成形して、UL94規格に従って垂直型燃焼テストを行ったところ、全く着火せずV−0に相当することがわかった。
【0054】
実施例11
実施例7で得られた樹脂(10重量部)と、別途重合したABS(アクリロニトリル:スチレン=7:3、ゴム含有率10%)樹脂(100重量部)をL/D=45の30mmφ2軸押出機を用いて250℃で溶融混練してペレットとした。熱風乾燥後、このペレットを住友ネスタ−ル射出成形機プロマット40/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリンダー温度を250℃の温度に、金型温度を70℃に設定し、1/8インチ燃焼試験片を射出成形して、UL94規格に従って垂直型燃焼テストを行ったところ、V−2レベルの難燃性であった。
【0055】
実施例12
実施例7記載の樹脂を5kg合成し、溶液キャスティング法(1,2−ジクロロエタン溶液)によって幅200mm、厚さ200μmのフィルムを作成した。該フィルムを延伸温度135℃、延伸速度180mm/minにて1.2倍に延伸した。
【0056】
上記条件によって得られたフィルムは、波長550nmにおけるリタデーションを1とした場合、波長450nmのリタデーション比は1.100、波長650nmのそれは0.942を示した。
【0057】
比較例1
市販されているポリカーボネート:“タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を用いて、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
比較例2
市販されているポリメチルメタクリレート:“メタクリル酸メチル(ポリマー)”(東京化成工業(株)製)を用いて、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0058】
比較例3
市販されているポリエーテルスルホンを用いて、実施例1と同様の方法で成型して評価した。
【0059】
比較例4
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(50ml)中にビスフェノールA(20mmol)、およびトリエチルアミン(40mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロライド(20mmol)の1,2−ジクロロエタン(60ml)溶液を35分間かけて滴下し、滴下終了後室温で90分間攪拌した。その後、実施例1と同様に処理(収率85%)し、つづいて同様の方法で成形して評価した。
【0060】
比較例5
比較例4で得られた樹脂と市販されているポリカーボネート:“タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を繰り返し単位モル比1対1で溶液混合(濃度0.5mol/lの1,2−ジクロロエタン溶液)し、その後実施例1と同様に処理し、つづいて同様の方法で成型して評価した。
【0061】
比較例6
市販されているポリカーボネート:“タフロンA2200”(出光石油化学(株)製)を溶液キャスティング法(1,2−ジクロロエタン溶液)によって幅200mm、厚さ200μmのフィルムを作成した。該フィルムを延伸温度135℃、延伸速度180mm/minにて1.2倍に延伸した。
上記条件によって得られたフィルムは、波長550nmにおけるリタデーションを1とした場合、波長450nmのリタデーション比は1.092、波長650nmのそれは0.966を示した。
【0062】
実施例1〜9と比較例1〜7、参考例1〜2の方法で作成した樹脂の評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
比較例から従来の代表的熱可塑性樹脂は高屈折なものは高分散、低分散なものは低屈折となり、レンズなど光学用途に用いるにはとうてい不十分である。また比較例6,7の樹脂は脆いものであるが、既存のポリカーボネートと複合することにそれを補っても高屈折率・高アッベ数を示した(光学特性は複合した樹脂のそれを平均した値になることがわかる)。一方、比較例4はある程度良好な光学特性を示すものの、力学特性が不十分(極めて脆い)であり、ポリカーボネートと複合すると力学特性は向上するが、屈折率が1.6以下となってしまうことがわかる。対して本発明の樹脂は高屈折、低分散という有用な光学特性と力学特性をともに有していることがわかる。また実施例10,11からは本発明の樹脂が優れた難燃性を示すことがわかる。
【0065】
さらに実施例12と比較例6からは本発明の樹脂の光学異方体がポリカーボネートに比べ波長とリタデーションの関係がより直線的な波長分散特性を有していることから、従来のポリカーボネートよりも優れた位相差フィルム用素材であることがわかる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の樹脂は、高屈折率、低分散な特性を有し、併せて優れた難燃性を有する。汎用的な成形体あるいはフィルムの用途など各種分野に用いることができるほか、特にレンズあるいはのフィルムなどにおいて用いることにより優れた効果をより一層発揮するものである。
Claims (11)
- カーボネート残基、下記構造式(1)で示されるホスホン酸残基、および下記構造式(2)で示される2価フェノール残基より構成されており、ホスホン酸残基とカーボネート残基のモル分率が式(3)を満足することを特徴とする樹脂。
1>(a)/{(a)+(b)}≧0.5 (3)
[式(3)中、(a)はホスホン酸残基、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。] - 下記構造式(4)で示されるホスホン酸残基、および下記構造式(5)で示される2価フェノール残基より構成されており、ホスホン酸残基の代わりに一部ホスホナイト残基により構成され、その置換比率が50%以下であることを特徴とする樹脂。
- Y1がシクロアルキリデン基またはフェニルアルキリデン基である請求項1記載の樹脂。
- Y2がシクロアルキリデン基またはフェニルアルキリデン基である請求項2記載の樹脂。
- アッベ数が31以上である請求項1または2に記載の樹脂。
- d線屈折率が1.60以上でかつアッベ数が26以上である請求項1または2に記載の樹脂。
- d線屈折率が1.62以上である請求項1または2に記載の樹脂。
- 請求項1または2に記載の樹脂を含有してなる成型体。
- 請求項8記載の成型体からなる光学レンズ。
- 請求項1または2に記載の樹脂を含有してなるフィルム。
- 請求項10記載のフィルムを構成材とする位相差フィルム。
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