JP2004307281A - フッ素添加石英ガラス物品の製造方法 - Google Patents
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- C03B37/01—Manufacture of glass fibres or filaments
- C03B37/012—Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments
- C03B37/014—Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments made entirely or partially by chemical means, e.g. vapour phase deposition of bulk porous glass either by outside vapour deposition [OVD], or by outside vapour phase oxidation [OVPO] or by vapour axial deposition [VAD]
- C03B37/01446—Thermal after-treatment of preforms, e.g. dehydrating, consolidating, sintering
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- C03B2203/10—Internal structure or shape details
- C03B2203/22—Radial profile of refractive index, composition or softening point
Abstract
【課題】焼結炉の個体差による屈折率分布プロファイルの相違を無くし、同一ガス組成、同一嵩密度の多孔質ガラス母材であれば、フッ素ドープ状態の同じ石英ガラス体を得ることのできる、フッ素添加石英ガラス物品の製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気下の加熱ゾーン中を移動させて焼結し、フッ素ドープ透明ガラスを製造する方法であって、1000℃以上に加熱された加熱ゾーン中をL/V[L;ヒーター長(mm)、V;移動速度(mm/min)]の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行うことを特徴としており、加熱ゾーンの温度は、好ましくは透明ガラス化温度である。また、フッ素ガス処理を1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンで行い、次いで加熱ゾーンの温度を上げて透明ガラス化するようにしてもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気下の加熱ゾーン中を移動させて焼結し、フッ素ドープ透明ガラスを製造する方法であって、1000℃以上に加熱された加熱ゾーン中をL/V[L;ヒーター長(mm)、V;移動速度(mm/min)]の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行うことを特徴としており、加熱ゾーンの温度は、好ましくは透明ガラス化温度である。また、フッ素ガス処理を1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンで行い、次いで加熱ゾーンの温度を上げて透明ガラス化するようにしてもよい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用ファイバの製造に好適なフッ素添加ガラス物品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信用ファイバのなかには、所定の伝送特性を得るために、クラッド部にフッ素をドープした多孔質ガラス母材を製造し、これを線引きして屈折率分布の調整を行ったフッ素添加光ファイバが使用されている。
【0003】
フッ素を添加した石英ガラスの製造には、多孔質ガラス母材を形成する際にフッ素をドープする方法と、多孔質ガラス母材を加熱・焼結して透明ガラス化する際にフッ素をドープする方法とが、一般的に行われている。
例えば、下記の特許文献1乃至3には、多孔質ガラス母材にフッ素を均一にドープする方法が提案されている。
【0004】
特許文献1は、屈折率分布が長手方向に均一なフッ素添加ガラス物品を得るために、多孔質ガラス母材をその先端から順次フッ素化合物ガス雰囲気炉内に挿入し、ヒートゾーンでの多孔質ガラス母材の移動速度を徐々に遅くすることを提案している。
【0005】
また、フッ素をガラスの中心部まで均一に添加するために、特許文献2は、多孔質ガラス母材の嵩密度を0.2〜0.7g/cm3、比表面積を10〜50m2/gとすることを提案し、特許文献3は、外周部の嵩密度を中心部の嵩密度よりも高くした多孔質ガラス母材を作製してフッ素を添加することを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2002−47013号公報
【特許文献2】特開2002−60228号公報
【特許文献3】特開2002−114522号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
多孔質ガラス母材中へのフッ素ガスの拡散は、温度と時間の関数で決まると考えられる。一方、これには多孔質ガラス母材の嵩密度が大きく影響し、多孔質ガラス母材の中心部までフッ素を添加するには、嵩密度が小さい方が良いとされる。また、多孔質ガラス母材が太径化すると中心部までフッ素が入りにくくなる(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、同じ条件で作製した多孔質ガラス母材を、同じフッ素ガス分圧、同じ焼結ガス条件で透明ガラス化を行っても、焼結炉が異なると、多孔質ガラス母材の嵩密度や太径化とは関係なく、フッ素ドープの状態が異なるという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、焼結炉の個体差による屈折率分布プロファイルの相違を無くし、同一ガス組成、同一嵩密度の多孔質ガラス母材であれば、フッ素ドープ状態の同じ石英ガラス体を得ることのできる、フッ素添加石英ガラス物品の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法は、多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気下の加熱ゾーン中を移動させて焼結し、フッ素ドープ透明ガラスを製造する方法であって、1000℃以上に加熱された加熱ゾーン中をL/V[L;ヒーター長(mm)、V;移動速度(mm/min)]の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行うことを特徴としており、加熱ゾーンの温度は、好ましくは透明ガラス化温度である。
【0011】
また、フッ素ガス処理を1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンで行い、次いで加熱ゾーンの温度を上げて透明ガラス化するようにしてもよい。このとき、1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンを移動速度V1で移動させ、次いで該加熱ゾーンを透明ガラス化する温度に上げて移動速度V2で移動させ、L/V1+L/V2の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行う。
なお、多孔質ガラス母材の形態は、中実体又は中空体、あるいはコアロッドにガラス微粒子を堆積したものであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気下で透明ガラス化した際に、使用した焼結炉の個体差により、製造されたフッ素添加石英ガラス体の屈折率分布プロファイルが異なることに着目し、これには、フッ素ガス雰囲気にある加熱ゾーンの温度と該加熱ゾーンでの多孔質ガラス母材の滞在時間が大きく関与していることを見出し、上記課題を解決したものである。
【0013】
すなわち、多孔質ガラス母材のフッ素ガス処理が、1000℃以上に加熱された加熱ゾーンにおいて、L/Vが40分以上となるように、ヒーター長L(mm)を考慮して、多孔質ガラス母材の移動速度V(mm/min)を決めるものである。
【0014】
また、次のようにして、多孔質ガラス母材にフッ素ガスをドープし、焼結・透明ガラス化することもできる。
先ず、1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンを、移動速度V1で多孔質ガラス母材を移動させ、次いで、該加熱ゾーンを透明ガラス化する温度に上げて再び移動速度V2で移動させる。このとき、L/V1+L/V2で定義されるフッ素ガスの通算処理時間が40分以上となるように、移動速度V1,V2が設定される。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されず、様々な態様が可能である。
先ず、表1に示したガス供給条件で、外径100mm、内径15mm、長さ500mmの石英多孔質体のチューブを作製し、下記の実施例1〜5、比較例1,2に供した。
【0016】
【表1】
【0017】
(実施例1)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1100℃で脱水後、加熱ゾーン(ヒーター長L=140mm)のヒーター温度を1350℃に上昇させ、12mol%フッ素ガス雰囲気とし、石英多孔質体のフッ素処理時間L/Vが47分となるように、移動速度Vを3mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを図1に示した。図からフッ素が径方向に均一にドープされていることが分かる。なお、横軸は、コアを中心とする径方向長であり、縦軸は、比屈折率差である。
【0018】
(実施例2)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1000℃で脱水後、炉内雰囲気を12mol%フッ素ガス雰囲気に変更し、同じ1000℃で、移動速度V1=4.5mm/minとしてフッ素ガス処理を行った。その後、フッ素ガス分圧を維持してヒーター温度を1350℃まで上昇させ、通算フッ素ガス処理時間[L/V1+L/V2]が62分となるように、移動速度V2を4.5mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルは、実施例1と同様、図1に示すような屈折率分布プロファイルが得られた。
【0019】
(比較例1)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1100℃で脱水後、加熱ゾーン(L=140mm)のヒーター温度を1400℃に上昇させ、12mol%フッ素ガス雰囲気とし、石英多孔質体のフッ素処理時間がL/V=35分となるように、移動速度Vを4mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを図2に示した。図からフッ素が径方向に均一にドープされていないことが分かる。
【0020】
(実施例3)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1100℃で脱水後、加熱ゾーン(L=140mm)のヒーター温度を1400℃に上昇させ、12mol%フッ素ガス雰囲気とし、石英多孔質体のフッ素処理時間がL/V=70分となるように、移動速度Vを2mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルは、図1に示す形状を有し、フッ素が径方向に均一にドープされている。
【0021】
(実施例4)
比較例1と同じヒーター温度、同じ移動速度Vで、使用する焼結炉をヒーター長Lが300mmのものに変えて、同様の実験を行った。このときのL/Vで定義されるフッ素処理時間は、75分である。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルは、図1に示す形状を有し、フッ素が径方向に均一にドープされている。
【0022】
(比較例2)
比較例1及び実施例4と同様に、同じヒーター温度、同じ移動速度Vで、ヒーター長Lの短い焼結炉(L=60mm)を使用して、同様の実験を行った。このときのL/Vで定義されるフッ素処理時間は、15分である。この場合、石英多孔質体は透明ガラス化しなかった。
【0023】
(実施例5)
比較例2で使用したのと同じ焼結炉を用いて、同一温度で移動速度を変えてフッ素ガス処理、透明ガラス化を行ったところ、実施例1〜4と同様に、図1に示すようなフッ素が均一にドープされたフッ素添加石英ガラスが得られた。
なお、実施例1〜5、比較例1,2の焼結条件を表2にまとめて示した。評価基準は、全体に均一にフッ素ガスがドープされたものを○印で、中心部がドープされにくかったものを△印で、全くガラス化しなかったものを×印で、それぞれ表示した。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる焼結炉を使用してフッ素ガス処理及び透明ガラス化処理を行った場合であっても、同一ガス組成、同一嵩密度の多孔質ガラス母材であれば、フッ素ドープ状態が同じ、すなわち屈折率分布プロファイルの同じフッ素添加石英ガラス体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜5で得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを示すグラフである。
【図2】比較例1で得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用ファイバの製造に好適なフッ素添加ガラス物品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信用ファイバのなかには、所定の伝送特性を得るために、クラッド部にフッ素をドープした多孔質ガラス母材を製造し、これを線引きして屈折率分布の調整を行ったフッ素添加光ファイバが使用されている。
【0003】
フッ素を添加した石英ガラスの製造には、多孔質ガラス母材を形成する際にフッ素をドープする方法と、多孔質ガラス母材を加熱・焼結して透明ガラス化する際にフッ素をドープする方法とが、一般的に行われている。
例えば、下記の特許文献1乃至3には、多孔質ガラス母材にフッ素を均一にドープする方法が提案されている。
【0004】
特許文献1は、屈折率分布が長手方向に均一なフッ素添加ガラス物品を得るために、多孔質ガラス母材をその先端から順次フッ素化合物ガス雰囲気炉内に挿入し、ヒートゾーンでの多孔質ガラス母材の移動速度を徐々に遅くすることを提案している。
【0005】
また、フッ素をガラスの中心部まで均一に添加するために、特許文献2は、多孔質ガラス母材の嵩密度を0.2〜0.7g/cm3、比表面積を10〜50m2/gとすることを提案し、特許文献3は、外周部の嵩密度を中心部の嵩密度よりも高くした多孔質ガラス母材を作製してフッ素を添加することを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2002−47013号公報
【特許文献2】特開2002−60228号公報
【特許文献3】特開2002−114522号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
多孔質ガラス母材中へのフッ素ガスの拡散は、温度と時間の関数で決まると考えられる。一方、これには多孔質ガラス母材の嵩密度が大きく影響し、多孔質ガラス母材の中心部までフッ素を添加するには、嵩密度が小さい方が良いとされる。また、多孔質ガラス母材が太径化すると中心部までフッ素が入りにくくなる(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、同じ条件で作製した多孔質ガラス母材を、同じフッ素ガス分圧、同じ焼結ガス条件で透明ガラス化を行っても、焼結炉が異なると、多孔質ガラス母材の嵩密度や太径化とは関係なく、フッ素ドープの状態が異なるという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、焼結炉の個体差による屈折率分布プロファイルの相違を無くし、同一ガス組成、同一嵩密度の多孔質ガラス母材であれば、フッ素ドープ状態の同じ石英ガラス体を得ることのできる、フッ素添加石英ガラス物品の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法は、多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気下の加熱ゾーン中を移動させて焼結し、フッ素ドープ透明ガラスを製造する方法であって、1000℃以上に加熱された加熱ゾーン中をL/V[L;ヒーター長(mm)、V;移動速度(mm/min)]の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行うことを特徴としており、加熱ゾーンの温度は、好ましくは透明ガラス化温度である。
【0011】
また、フッ素ガス処理を1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンで行い、次いで加熱ゾーンの温度を上げて透明ガラス化するようにしてもよい。このとき、1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンを移動速度V1で移動させ、次いで該加熱ゾーンを透明ガラス化する温度に上げて移動速度V2で移動させ、L/V1+L/V2の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行う。
なお、多孔質ガラス母材の形態は、中実体又は中空体、あるいはコアロッドにガラス微粒子を堆積したものであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気下で透明ガラス化した際に、使用した焼結炉の個体差により、製造されたフッ素添加石英ガラス体の屈折率分布プロファイルが異なることに着目し、これには、フッ素ガス雰囲気にある加熱ゾーンの温度と該加熱ゾーンでの多孔質ガラス母材の滞在時間が大きく関与していることを見出し、上記課題を解決したものである。
【0013】
すなわち、多孔質ガラス母材のフッ素ガス処理が、1000℃以上に加熱された加熱ゾーンにおいて、L/Vが40分以上となるように、ヒーター長L(mm)を考慮して、多孔質ガラス母材の移動速度V(mm/min)を決めるものである。
【0014】
また、次のようにして、多孔質ガラス母材にフッ素ガスをドープし、焼結・透明ガラス化することもできる。
先ず、1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンを、移動速度V1で多孔質ガラス母材を移動させ、次いで、該加熱ゾーンを透明ガラス化する温度に上げて再び移動速度V2で移動させる。このとき、L/V1+L/V2で定義されるフッ素ガスの通算処理時間が40分以上となるように、移動速度V1,V2が設定される。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されず、様々な態様が可能である。
先ず、表1に示したガス供給条件で、外径100mm、内径15mm、長さ500mmの石英多孔質体のチューブを作製し、下記の実施例1〜5、比較例1,2に供した。
【0016】
【表1】
【0017】
(実施例1)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1100℃で脱水後、加熱ゾーン(ヒーター長L=140mm)のヒーター温度を1350℃に上昇させ、12mol%フッ素ガス雰囲気とし、石英多孔質体のフッ素処理時間L/Vが47分となるように、移動速度Vを3mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを図1に示した。図からフッ素が径方向に均一にドープされていることが分かる。なお、横軸は、コアを中心とする径方向長であり、縦軸は、比屈折率差である。
【0018】
(実施例2)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1000℃で脱水後、炉内雰囲気を12mol%フッ素ガス雰囲気に変更し、同じ1000℃で、移動速度V1=4.5mm/minとしてフッ素ガス処理を行った。その後、フッ素ガス分圧を維持してヒーター温度を1350℃まで上昇させ、通算フッ素ガス処理時間[L/V1+L/V2]が62分となるように、移動速度V2を4.5mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルは、実施例1と同様、図1に示すような屈折率分布プロファイルが得られた。
【0019】
(比較例1)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1100℃で脱水後、加熱ゾーン(L=140mm)のヒーター温度を1400℃に上昇させ、12mol%フッ素ガス雰囲気とし、石英多孔質体のフッ素処理時間がL/V=35分となるように、移動速度Vを4mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを図2に示した。図からフッ素が径方向に均一にドープされていないことが分かる。
【0020】
(実施例3)
石英多孔質体を塩素雰囲気下1100℃で脱水後、加熱ゾーン(L=140mm)のヒーター温度を1400℃に上昇させ、12mol%フッ素ガス雰囲気とし、石英多孔質体のフッ素処理時間がL/V=70分となるように、移動速度Vを2mm/minに設定して透明ガラス化した。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルは、図1に示す形状を有し、フッ素が径方向に均一にドープされている。
【0021】
(実施例4)
比較例1と同じヒーター温度、同じ移動速度Vで、使用する焼結炉をヒーター長Lが300mmのものに変えて、同様の実験を行った。このときのL/Vで定義されるフッ素処理時間は、75分である。
得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルは、図1に示す形状を有し、フッ素が径方向に均一にドープされている。
【0022】
(比較例2)
比較例1及び実施例4と同様に、同じヒーター温度、同じ移動速度Vで、ヒーター長Lの短い焼結炉(L=60mm)を使用して、同様の実験を行った。このときのL/Vで定義されるフッ素処理時間は、15分である。この場合、石英多孔質体は透明ガラス化しなかった。
【0023】
(実施例5)
比較例2で使用したのと同じ焼結炉を用いて、同一温度で移動速度を変えてフッ素ガス処理、透明ガラス化を行ったところ、実施例1〜4と同様に、図1に示すようなフッ素が均一にドープされたフッ素添加石英ガラスが得られた。
なお、実施例1〜5、比較例1,2の焼結条件を表2にまとめて示した。評価基準は、全体に均一にフッ素ガスがドープされたものを○印で、中心部がドープされにくかったものを△印で、全くガラス化しなかったものを×印で、それぞれ表示した。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる焼結炉を使用してフッ素ガス処理及び透明ガラス化処理を行った場合であっても、同一ガス組成、同一嵩密度の多孔質ガラス母材であれば、フッ素ドープ状態が同じ、すなわち屈折率分布プロファイルの同じフッ素添加石英ガラス体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜5で得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを示すグラフである。
【図2】比較例1で得られたフッ素添加石英ガラスの屈折率分布プロファイルを示すグラフである。
Claims (7)
- 多孔質ガラス母材をフッ素ガス雰囲気の加熱ゾーン中を移動させて焼結し、フッ素添加透明ガラスを製造する方法であって、1000℃以上に加熱された加熱ゾーン中をL/V[L;ヒーター長(mm)、V;移動速度(mm/min)]の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行うことを特徴とするフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
- 加熱ゾーンの温度が、透明ガラス化温度である請求項1に記載のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
- フッ素ガス処理を1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンで行い、次いで加熱ゾーンの温度を上げて透明ガラス化する請求項1に記載のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
- 1000℃以上かつ透明ガラス化しない温度領域にある加熱ゾーンを移動速度V1で移動させ、次いで該加熱ゾーンを透明ガラス化する温度に上げて移動速度V2で移動させ、L/V1+L/V2の値が40分以上となるように、多孔質ガラス母材の移動速度を設定してフッ素ガス処理を行う請求項3に記載のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
- 多孔質ガラス母材が、中実体である請求項1乃至4のいずれかに記載のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
- 多孔質ガラス母材が、中空体である請求項1乃至4のいずれかに記載のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
- 多孔質ガラス母材が、コアロッドにガラス微粒子を堆積したものである請求項1乃至4のいずれかに記載のフッ素添加石英ガラス物品の製造方法。
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CA002463212A CA2463212A1 (en) | 2003-04-08 | 2004-04-05 | Fluorine-doped quartz glass article and manufacturing method thereof |
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JP2013035722A (ja) * | 2011-08-09 | 2013-02-21 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 光ファイバ母材および光ファイバの製造方法 |
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-
2003
- 2003-04-08 JP JP2003104142A patent/JP2004307281A/ja active Pending
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JP2007045643A (ja) * | 2005-08-08 | 2007-02-22 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 光ファイバ用ガラス母材の製造方法 |
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