JP2004305802A - 排ガス処理剤及び排ガス処理剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、酸性ガス及びダイオキシンに対する反応性及び吸着能力が高いことは勿論のこと、安価に製造出来る排ガス処理剤の提供を課題とする。
【解決手段】本発明では、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料の水和物を含む排ガス処理剤を開発して、上記課題を解決した。また、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする排ガス処理剤の製造方法を開発した。更に、アルキレングリコール及びアミノアルコールから選ばれる1種又は2種以上のアルコールの存在下で仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする排ガス処理剤の製造方法も開発した。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明では、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料の水和物を含む排ガス処理剤を開発して、上記課題を解決した。また、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする排ガス処理剤の製造方法を開発した。更に、アルキレングリコール及びアミノアルコールから選ばれる1種又は2種以上のアルコールの存在下で仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする排ガス処理剤の製造方法も開発した。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等から排出される、塩化水素ガスなどの酸性ガス及びダイオキシンを含む排ガスの処理に使用される排ガス処理剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の生活の場、あるいは工場において発生する有機廃棄物は、焼却処理されるのが一般的である。有機物自体の焼却から発生する排ガスは、その大部分が二酸化炭素からなるが、廃棄処理される有機物には通常、含塩素化合物、含硫黄化合物などが混在しているため、排ガス中には高濃度の塩化水素ガスや二酸化硫黄などの有害ガスが含まれてくる場合が多い。このため、有機廃棄物の焼却処理施設において発生する排ガスは通常、塩化水素ガスや二酸化硫黄などの酸性気体を除去する処理が施された後、大気中に放出される。そして、そのような酸性気体の除去処理には、酸性気体の処理能力が高く、また処理に用いた後の廃棄処理も容易で、かつコスト的にも有利な粉末状の消石灰または消石灰含有物質を用いることが多い。この粉末状の処理剤は通常、排ガスの流路において排ガス中に分散懸濁させた状態で用いられる。
【0003】また、廃棄された有機物中に含塩素化合物が存在すると、排ガス中に、極めて微量の存在でも毒性が問題となるダイオキシンが発生する為、これを除去する必要がある。排ガス中に存在するダイオキシンの除去は、活性炭による吸着が主流であり、バグフィルター前への粉末活性炭吹込み、または、活性炭吸着塔を用いる方式が主に使用されている。
【0004】これらの排ガス中有害物質の処理剤に関しては、既に、種々の材料及び製造方法が提案されている。例えば、特許文献1には、酸性ガス及びダイオキシンを効率的に除去できるものとして、ケイ酸カルシウム水和物微粒子と水酸化カルシウム微粒子混合物からなる比表面積60m2/g以上の排ガス処理剤が開示されている。この公報では、ケイ酸カルシウム含有原料として、各種のセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュなどが挙げられている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−149743号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これ等は、それなりの性能を示すものであるが、厳しくなる排出基準に対応可能するためには、酸性ガス及びダイオキシンの反応及び吸着能力の一層の向上が要求されている。また、実用面からは、より安価な物であることが要求されている。
本発明は、酸性ガス及びダイオキシンに対する反応性及び吸着能力が高いことは勿論のこと、安価に製造出来る排ガス処理剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料中の生石灰及び珪酸カルシウムの水和物が、上記課題を解決した排ガス処理剤となることを見出し。本発明を完成した。
すなわち本発明に係わる排ガス処理剤は、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料の水和物を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする。
更に本発明は、アルキレングリコール及びアミノアルコールから選ばれる1種又は2種以上のアルコールの存在下で仮焼中間原料を水と接触させるようにしても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で使用される、セメント製造装置のプレヒーター部分より取出された仮焼中間原料(以下、仮焼中間原料と称す)とは、一般的には、セメント製造装置を移動する粉体の内、プレヒーター部分から抜出されたものを言うが、プレヒーター部最下段のサイクロンの下部出口付近に設けられた分取ダンパーより抜き出されるのが一般的である。
この仮焼中間原料は、一般的に、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素及び、珪酸二カルシウムを含み、場合により未分解の炭酸カルシウムを若干含むものもある。
また、この仮焼中間原料は一般に10〜100μm程度の平均粒径を有する粉体であるが、なるべく、微細な仮焼中間原料を用いる方が、これから製造される排ガス処理剤の粒度が微細になり、結果として排ガス吸収性能が向上するため、好ましい。
【0009】仮焼中間原料には水を添加して含有酸化カルシウム及び珪酸二カルシウムを水和させる。これにより、微細な水酸化カルシウム及び珪酸カルシウム水和物が生成し、これらが、酸性ガス及びダイオキシン等の有害ガス吸着に有効に機能する。仮焼中間原料の水和は、仮焼中間原料と水蒸気とを接触させる気固相で行なうこともできるが、一般的な装置の使用が可能なことと、後述するようにアルコールを添加する場合にアルコールの均一な分散が可能となることから、仮焼中間原料と水とを接触させる液固相で行なう方法が好ましい。
液固相で仮焼中間原料に対する水の量は、仮焼中間原料中の生石灰及び珪酸二カルシウムの全量を水和に必要とする理論量の1.2〜3.5倍好ましくは1.5〜2.5倍が好ましい。水量が少ないと水和反応が十分に進まず除去対象である有害物質に対する吸着物質の生成が十分でなく、結果として反応及び吸着活性の低い排ガス処理剤が生成する事になる。一方、水量が多すぎると、乾燥に余計なエネルギーが必要となり、コスト的に好ましくないことになる。
【0010】液固相での仮焼中間原料の水和には、消石灰の製造法として最も一般的に利用されている生石灰の水による消化処理装置を使用することが出来る。すなわち、通常の生石灰の消化工程と同様に、撹拌装置を備えた反応容器に仮焼中間原料、水を添加し、撹拌混合を行ない、水和反応に伴なう発熱を利用しながら水和反応を進める方法が利用出来る。この反応に際しては必要により、冷却しながら水和させる、または、粉砕しながら水和させるなどの反応条件の調節を行なうことも出来る。水和反応後の乾燥は、水和反応に伴う発熱により進行するため不要な場合もあるが、必要に応じて乾燥処理を行うことも出来る。また、水和及び乾燥後に、粒度調製を行なうための分級、粉砕、造粒処理等を加えることも出来る。
【0011】本発明では、仮焼中間原料の水和時にアルコールを存在させることにより、酸性ガス、ダイオキシンに対する反応性及び吸着性能を更に向上させることができるが、これは、水和反応時にアルコールが仮焼中間原料の表面に吸着し、消石灰及び珪酸カルシウム水和物の結晶成長を抑制し、これらの生成物の比表面積を高めるためであると考えられる。
【0012】本発明で使用できるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることが出来るが、添加効果及び入手の容易さの点で、ジエチレングリコールの使用が好ましい。また、本発明で使用出来るアミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることが出来るが、これについても添加効果及び入手の容易さの点で、トリエタノールアミンの使用が好ましい。複数種のアルキレングリコール又は複数種のアミノアルコールを混合使用することが出来、また、アルキレングリコールとアミノアルコールとを併用することも可能である。
【0013】アルコールの添加方法については、仮焼中間原料にアルコールを添加したものと、水和処理用の水を混合する方法でも良いが、アルコールを予め添加した水と仮焼中間原料を混合する方が、微細かつ、酸性ガス吸着能力の優れた排ガス処理剤の調製が容易であり、好ましい方法である。これは、添加量の少ないアルコールを大量の水に溶解させて添加することにより、仮焼中間原料表面へのアルコールの均一な吸着が可能となり、水和反応消石灰結晶の成長が抑制されるためと考えられる。
アルキレングリコール及び/又はアミノアルコールを水和処理する水に添加して導入する場合には、その添加量は、水100質量部当り、0.2〜8質量部とするのが好ましく、0.8〜5質量部がより好ましい。また、原料の仮焼中間原料には、一般的に50質量%程度の酸化カルシウムが含まれるが、この場合、仮焼中間原料100質量部当り、0.05〜2.5質量部とするのが好ましく、0.25〜1.5質量部がより好ましい。
【0014】本発明の排ガス処理剤は、従来公知の排ガス処理剤と同様、焼却炉等の燃焼炉から集塵機に至る燃焼炉後流側において、排ガス流に吹込み添加される。
排ガス流への添加量は、処理対象の排ガス種に含まれる除去対象成分量等によって当然変えるべきものであり、対象に応じて最も適当な値に設定することになる。また、ろ過助剤との併用も当然可能である。
【0015】
【実施例】以下では、具体例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
(1)原料:排ガス処理剤調製に使用した原料、配合条件を表2に示す。3種の仮焼中間原料は、各々異なるセメント工場の実機からのものである。何れも、プレヒーター最下段のサイクロンの下部出口付近に設けられた分取ダンパーから抜出されたものである。
又、仮焼中間原料に代えてセメントを用いた排ガス処理剤も調製した。なお、セメントは宇部興産(株)製の普通ポルトランドセメントを使用した。
【0016】(2)排ガス処理剤の製造:水又は条件により更にアルコールを加えた水を、表2の配合条件で仮焼中間原料又はポルトランドセメントに加え、混合機(ダルトン社製万能混合機25AMV−RR型 撹拌羽根ビダー型)を用いて混合処理し、排ガス処理剤を得た。
【0017】(3)排ガス処理剤の評価:得られた各排ガス処理剤については、小型の試験焼却炉を使用して、排ガス中の酸性ガス(HCl、SO2)及びダイオキシンの除去性能評価試験を実施した。試験条件を表1に示す。
なお、処理前の、排ガス中のHCl濃度は190ppm、SO2濃度は110ppm、ダイオキシン濃度は0.3ngTEQ/m3であった。酸性ガス及びダイオキシンの除去性能評価試験結果も表2に示す。
仮焼中間原料を用いて調製された本発明の排ガス処理剤が、高い酸性ガス及びダイオキシンの除去効果を示す。この効果は、アルコールまたはアミン存在下で仮焼中間原料を水和処理して調製した排ガス処理剤において更に向上する。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明の排ガス処理剤は、排ガスからの高い酸性ガス及びダイオキシン除去性能を示す。安価な原料の使用が可能であるのに加え、従来の生石灰の消化による消石灰粒子の工業的な製造装置を殆どそのまま利用することが出来ることから、従来法には無い工業的生産に有利な条件も備えている。
従って、近年益々基準が厳しくなる排ガス処理に、利用価値が高い。
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等から排出される、塩化水素ガスなどの酸性ガス及びダイオキシンを含む排ガスの処理に使用される排ガス処理剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の生活の場、あるいは工場において発生する有機廃棄物は、焼却処理されるのが一般的である。有機物自体の焼却から発生する排ガスは、その大部分が二酸化炭素からなるが、廃棄処理される有機物には通常、含塩素化合物、含硫黄化合物などが混在しているため、排ガス中には高濃度の塩化水素ガスや二酸化硫黄などの有害ガスが含まれてくる場合が多い。このため、有機廃棄物の焼却処理施設において発生する排ガスは通常、塩化水素ガスや二酸化硫黄などの酸性気体を除去する処理が施された後、大気中に放出される。そして、そのような酸性気体の除去処理には、酸性気体の処理能力が高く、また処理に用いた後の廃棄処理も容易で、かつコスト的にも有利な粉末状の消石灰または消石灰含有物質を用いることが多い。この粉末状の処理剤は通常、排ガスの流路において排ガス中に分散懸濁させた状態で用いられる。
【0003】また、廃棄された有機物中に含塩素化合物が存在すると、排ガス中に、極めて微量の存在でも毒性が問題となるダイオキシンが発生する為、これを除去する必要がある。排ガス中に存在するダイオキシンの除去は、活性炭による吸着が主流であり、バグフィルター前への粉末活性炭吹込み、または、活性炭吸着塔を用いる方式が主に使用されている。
【0004】これらの排ガス中有害物質の処理剤に関しては、既に、種々の材料及び製造方法が提案されている。例えば、特許文献1には、酸性ガス及びダイオキシンを効率的に除去できるものとして、ケイ酸カルシウム水和物微粒子と水酸化カルシウム微粒子混合物からなる比表面積60m2/g以上の排ガス処理剤が開示されている。この公報では、ケイ酸カルシウム含有原料として、各種のセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュなどが挙げられている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−149743号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これ等は、それなりの性能を示すものであるが、厳しくなる排出基準に対応可能するためには、酸性ガス及びダイオキシンの反応及び吸着能力の一層の向上が要求されている。また、実用面からは、より安価な物であることが要求されている。
本発明は、酸性ガス及びダイオキシンに対する反応性及び吸着能力が高いことは勿論のこと、安価に製造出来る排ガス処理剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料中の生石灰及び珪酸カルシウムの水和物が、上記課題を解決した排ガス処理剤となることを見出し。本発明を完成した。
すなわち本発明に係わる排ガス処理剤は、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料の水和物を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする。
更に本発明は、アルキレングリコール及びアミノアルコールから選ばれる1種又は2種以上のアルコールの存在下で仮焼中間原料を水と接触させるようにしても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で使用される、セメント製造装置のプレヒーター部分より取出された仮焼中間原料(以下、仮焼中間原料と称す)とは、一般的には、セメント製造装置を移動する粉体の内、プレヒーター部分から抜出されたものを言うが、プレヒーター部最下段のサイクロンの下部出口付近に設けられた分取ダンパーより抜き出されるのが一般的である。
この仮焼中間原料は、一般的に、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素及び、珪酸二カルシウムを含み、場合により未分解の炭酸カルシウムを若干含むものもある。
また、この仮焼中間原料は一般に10〜100μm程度の平均粒径を有する粉体であるが、なるべく、微細な仮焼中間原料を用いる方が、これから製造される排ガス処理剤の粒度が微細になり、結果として排ガス吸収性能が向上するため、好ましい。
【0009】仮焼中間原料には水を添加して含有酸化カルシウム及び珪酸二カルシウムを水和させる。これにより、微細な水酸化カルシウム及び珪酸カルシウム水和物が生成し、これらが、酸性ガス及びダイオキシン等の有害ガス吸着に有効に機能する。仮焼中間原料の水和は、仮焼中間原料と水蒸気とを接触させる気固相で行なうこともできるが、一般的な装置の使用が可能なことと、後述するようにアルコールを添加する場合にアルコールの均一な分散が可能となることから、仮焼中間原料と水とを接触させる液固相で行なう方法が好ましい。
液固相で仮焼中間原料に対する水の量は、仮焼中間原料中の生石灰及び珪酸二カルシウムの全量を水和に必要とする理論量の1.2〜3.5倍好ましくは1.5〜2.5倍が好ましい。水量が少ないと水和反応が十分に進まず除去対象である有害物質に対する吸着物質の生成が十分でなく、結果として反応及び吸着活性の低い排ガス処理剤が生成する事になる。一方、水量が多すぎると、乾燥に余計なエネルギーが必要となり、コスト的に好ましくないことになる。
【0010】液固相での仮焼中間原料の水和には、消石灰の製造法として最も一般的に利用されている生石灰の水による消化処理装置を使用することが出来る。すなわち、通常の生石灰の消化工程と同様に、撹拌装置を備えた反応容器に仮焼中間原料、水を添加し、撹拌混合を行ない、水和反応に伴なう発熱を利用しながら水和反応を進める方法が利用出来る。この反応に際しては必要により、冷却しながら水和させる、または、粉砕しながら水和させるなどの反応条件の調節を行なうことも出来る。水和反応後の乾燥は、水和反応に伴う発熱により進行するため不要な場合もあるが、必要に応じて乾燥処理を行うことも出来る。また、水和及び乾燥後に、粒度調製を行なうための分級、粉砕、造粒処理等を加えることも出来る。
【0011】本発明では、仮焼中間原料の水和時にアルコールを存在させることにより、酸性ガス、ダイオキシンに対する反応性及び吸着性能を更に向上させることができるが、これは、水和反応時にアルコールが仮焼中間原料の表面に吸着し、消石灰及び珪酸カルシウム水和物の結晶成長を抑制し、これらの生成物の比表面積を高めるためであると考えられる。
【0012】本発明で使用できるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることが出来るが、添加効果及び入手の容易さの点で、ジエチレングリコールの使用が好ましい。また、本発明で使用出来るアミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることが出来るが、これについても添加効果及び入手の容易さの点で、トリエタノールアミンの使用が好ましい。複数種のアルキレングリコール又は複数種のアミノアルコールを混合使用することが出来、また、アルキレングリコールとアミノアルコールとを併用することも可能である。
【0013】アルコールの添加方法については、仮焼中間原料にアルコールを添加したものと、水和処理用の水を混合する方法でも良いが、アルコールを予め添加した水と仮焼中間原料を混合する方が、微細かつ、酸性ガス吸着能力の優れた排ガス処理剤の調製が容易であり、好ましい方法である。これは、添加量の少ないアルコールを大量の水に溶解させて添加することにより、仮焼中間原料表面へのアルコールの均一な吸着が可能となり、水和反応消石灰結晶の成長が抑制されるためと考えられる。
アルキレングリコール及び/又はアミノアルコールを水和処理する水に添加して導入する場合には、その添加量は、水100質量部当り、0.2〜8質量部とするのが好ましく、0.8〜5質量部がより好ましい。また、原料の仮焼中間原料には、一般的に50質量%程度の酸化カルシウムが含まれるが、この場合、仮焼中間原料100質量部当り、0.05〜2.5質量部とするのが好ましく、0.25〜1.5質量部がより好ましい。
【0014】本発明の排ガス処理剤は、従来公知の排ガス処理剤と同様、焼却炉等の燃焼炉から集塵機に至る燃焼炉後流側において、排ガス流に吹込み添加される。
排ガス流への添加量は、処理対象の排ガス種に含まれる除去対象成分量等によって当然変えるべきものであり、対象に応じて最も適当な値に設定することになる。また、ろ過助剤との併用も当然可能である。
【0015】
【実施例】以下では、具体例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
(1)原料:排ガス処理剤調製に使用した原料、配合条件を表2に示す。3種の仮焼中間原料は、各々異なるセメント工場の実機からのものである。何れも、プレヒーター最下段のサイクロンの下部出口付近に設けられた分取ダンパーから抜出されたものである。
又、仮焼中間原料に代えてセメントを用いた排ガス処理剤も調製した。なお、セメントは宇部興産(株)製の普通ポルトランドセメントを使用した。
【0016】(2)排ガス処理剤の製造:水又は条件により更にアルコールを加えた水を、表2の配合条件で仮焼中間原料又はポルトランドセメントに加え、混合機(ダルトン社製万能混合機25AMV−RR型 撹拌羽根ビダー型)を用いて混合処理し、排ガス処理剤を得た。
【0017】(3)排ガス処理剤の評価:得られた各排ガス処理剤については、小型の試験焼却炉を使用して、排ガス中の酸性ガス(HCl、SO2)及びダイオキシンの除去性能評価試験を実施した。試験条件を表1に示す。
なお、処理前の、排ガス中のHCl濃度は190ppm、SO2濃度は110ppm、ダイオキシン濃度は0.3ngTEQ/m3であった。酸性ガス及びダイオキシンの除去性能評価試験結果も表2に示す。
仮焼中間原料を用いて調製された本発明の排ガス処理剤が、高い酸性ガス及びダイオキシンの除去効果を示す。この効果は、アルコールまたはアミン存在下で仮焼中間原料を水和処理して調製した排ガス処理剤において更に向上する。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明の排ガス処理剤は、排ガスからの高い酸性ガス及びダイオキシン除去性能を示す。安価な原料の使用が可能であるのに加え、従来の生石灰の消化による消石灰粒子の工業的な製造装置を殆どそのまま利用することが出来ることから、従来法には無い工業的生産に有利な条件も備えている。
従って、近年益々基準が厳しくなる排ガス処理に、利用価値が高い。
Claims (3)
- セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料の水和物を含む排ガス処理剤。
- セメント製造装置のプレヒーター部分より抜出された仮焼中間原料を水と接触させ水和処理することを特徴とする排ガス処理剤の製造方法。
- 請求項2において、アルキレングリコール及びアミノアルコールから選ばれる1種又は2種以上のアルコールの存在下で仮焼中間原料を水と接触させることを特徴とする排ガス処理剤の製造方法。
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