JP2004305379A - 加圧防煙システム - Google Patents

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Abstract

【課題】附室およびエレベータシャフトを加圧する加圧防煙システムにおいて、簡便な機構で附室の内圧を常に適正に維持する。
【解決手段】火災時に避難経路となる階段の附室とエレベータシャフトに給気して加圧することにより、それら附室とエレベータシャフトに煙が流入することを防止する加圧防煙システムにおいて、附室3とエレベータシャフト4とを隣接配置し、それらの間に、附室からエレベータシャフトに圧力を逃がすことにより附室内を設定圧に維持するバイパスダンパー10を設ける。バイパスダンパーとして、附室とエレベータシャフトとの間に一定以上の差圧が生じた際に作動する構成の差圧ダンパーを採用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建物の防災システムに係わり、特に避難経路となる階段の附室およびエレベータシャフトを加圧する加圧防煙システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、加圧防煙システムは、火災時に避難経路となる階段やその附室およびエレベータシャフトに煙が流入することを防止して安全な避難経路を確保するべく、附室およびエレベータシャフトに強制的に給気して加圧するようにしたものである。
【0003】
図2はその概要を示すもので、符号1は廊下、2は階段室、3はその附室、4はエレベータシャフトであり、火災時には附室3とエレベータシャフト4に対して給気ファン5により外気を給気してその内圧を高めることにより、(a)に示しているように廊下1から附室3に通じる避難扉6が開かれた際には附室3から廊下1へ空気が流出し、したがって附室3内に煙が流入することが防止されるようになっている。
【0004】
このような加圧防煙システムでは、煙の流入を防止するうえでは附室3の内圧を充分に高く設定することが有利であるが、附室3の内圧が過度に高くなると避難の際に避難扉6を開き難くなるので避難に支障を来すことも想定されるから、附室3が密閉されている状態ではその内圧が過度に大きくなることを防止する必要がある。
【0005】
そのため、従来においては、附室3の内圧をセンサーにより検出して内圧を適正に維持するように給気ファン5を制御したり、あるいは図2に示しているように附室3の外壁面に圧力逃がし窓7を設けたり、附室3に隣接する位置に立シャフト8を設けておいて、(b)に示すように附室3が密閉されている状態では圧力逃がし窓7や立シャフト8を通して余剰空気を外部に放出することにより内圧を適正に維持することが行われている。
【0006】
また、同様の目的で、特許文献1には、廊下1と附室3との間の避難扉を親扉と子扉により構成し、親扉は通常のように避難方向(附室側)に開くようにするが、子扉はスプリングに抗して外側(廊下側)に開くようにして余剰空気を廊下1に逃がす構造の防火扉も提案されている
【0007】
【特許文献1】
特開2000−70390号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、附室3の内圧を適正に維持するための上記各手法はいずれも次のような問題がある。すなわち、附室3の内圧をセンサーにより検出して給気ファン5を制御することは、そのためにセンサーやインバーター等の高度の制御機構を必要とし、したがってシステム全体が複雑化し、コスト増の要因となる。また、余剰空気を外部に直接的に逃がすために圧力逃がし窓7を外壁に設けることは、建物の外観に影響が及ぶので意匠的に許されない場合があるし、余計な雨仕舞も必要となることからも好ましくない。また、圧力を逃がすための立シャフト8を建物の内部に設けることは、そのためのスペースを確保する必要があるから、その分の有効床面積が無駄になる。さらに、特許文献1に示される構造の防火扉では、子扉が外側に開かれた状態では廊下1と附室3との間に完全な防火区画を形成できないことになり、やはり好ましくない。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は附室の内圧を適正に維持し得る簡便にして有効適切な加圧防煙システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、火災時に避難経路となる階段の附室とエレベータシャフトに給気して加圧することにより、それら附室とエレベータシャフトに煙が流入することを防止する加圧防煙システムにおいて、附室とエレベータシャフトとを隣接配置し、それら附室とエレベータシャフトとの間に、附室からエレベータシャフトに圧力を逃がすことにより附室内を設定圧に維持するバイパスダンパーを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明の加圧防煙システムにおいて、バイパスダンパーは、附室とエレベータシャフトとの間に一定以上の差圧が生じた際に作動する差圧ダンパーであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態である加圧防煙システムの概要を示すものである。これは、図2に示した従来の加圧防煙システムと同様に、給気ファン5により外気を供給することで附室3およびエレベータシャフト4を加圧するものであるが、本実施形態では、隣接配置されている附室3とエレベータシャフト4との間にバイパスダンパー10を設けておいて、附室3の内圧が設定圧以上となった際にはそのバイパスダンパー10によって附室3からエレベータシャフト4に余剰空気を逃がすようにしており、それにより内圧を設定圧に維持して過度に高くなることを防止するようにしている。
【0013】
本実施形態におけるバイパスダンパー10としては、附室3とエレベータシャフト4との間に一定以上の差圧が生じた際に自ずと作動する差圧ダンパーが採用されている。すなわち、このバイパスダンパー10は、附室3の内圧が適正に維持されている場合には閉じているが、図1(b)に示すように附室3が密閉状態になってその内圧が高まった場合には、附室3とエレベータシャフト4の間の差圧が一定以上になった時点でバイパスダンパー10が自ずと開かれ、それにより余剰空気が附室3からエレベータシャフト4に流出して附室3の内圧が低下し、それによる差圧の解消によりバイパスダンパー10は自ずと閉じるようになっている。そして、バイパスダンパー10のそのような動作により附室3は適度の加圧状態に維持されるから、その状態で(a)に示すように附室3の避難扉6が開かれると、附室3から廊下1に空気が流出することで煙の流入が防止されることになる。
【0014】
このように、本実施形態の加圧防煙システムでは、バイパスダンパー10の作動によって附室3の内圧が制限されることにより、附室3の内圧が避難扉6の開放に支障を来すまでに上昇してしまうことが確実に防止され、かつ煙の流入を防止するに必要な適度の加圧状態に自ずと維持されることになる。
【0015】
したがって、本実施形態の加圧防煙システムによれば、附室3とエレベータシャフト4との間に単にバイパスダンパー10を設けることのみで、附室3の内圧を常に適正に維持できることはもとより、従来のように附室3の内圧を検出して給気ファン5を制御するといった複雑な制御は不要であるし、また余剰空気を外部に放出するための圧力逃がし窓7を外壁に設けたり、そのための立シャフト8を建物の内部に設けるような必要もないから、内圧維持のための従来の手法における問題をことごとく解消させることができ、極めて有効である。
【0016】
また、上記のように附室3が密閉状態にあるときにはバイパスダンパー10を通して附室3からエレベータシャフト4に自ずと余剰空気が流入することで、エレベータシャフト4が自ずと加圧されることになるから、附室3を加圧するに要する給気の一部をエレベータシャフト4を加圧するための給気としても利用できることになる。
【0017】
なお、本実施形態におけるバイパスダンパー10としては、上記のように作動して附室3の内圧を適正に維持し得るものであれば適宜の形式のものが採用可能であるが、常時はカウンタウエイトの自重によって弁体が閉じており、弁体の両側に所定以上の差圧が生じるとカウンタウエイトの自重に抗して弁体が自ずと開かれる構成の重力機構による差圧ダンパーが好適に採用可能である。また、そのバイパスダンパー10にはエレベータシャフト4から附室3への逆流を防止する機構を備えることが好ましい。
【0018】
また、エレベータシャフト4の内圧については特に複雑な制御は必要としないが、エレベータシャフト4の内圧が附室3の内圧よりも高い場合にはバイパスダンパー10が作動し得ないから、エレベータシャフト4の内圧は附室3の内圧よりも同等ないしそれ以下となるように制御する必要がある。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、バイパスダンパーにより附室からエレベータシャフトに圧力を逃がすことで附室内を設定圧に維持するようにしたので、複雑な制御や格別の機構、スペースを一切必要とすることなく、附室の内圧を常に適正に維持することができ、附室およびエレベータシャフトを加圧する加圧防煙システムとして極めて有効である。
【0020】
請求項2の発明は、附室とエレベータシャフトとの間に設けるバイパスダンパーとして、一定以上の差圧が生じた際に作動する差圧ダンパーを採用したので、複雑な制御機構を必要とすることなくバイパスダンパー自体が自ずと作動して附室の内圧を常に自ずと適正に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である防煙システムの概要を示す図である。
【図2】従来の防煙システムの概要を示す図である。
【符号の説明】
1 廊下
2 階段室
3 附室
4 エレベータシャフト
5 給気ファン
6 避難扉
10 バイパスダンパー

Claims (2)

  1. 火災時に避難経路となる階段の附室とエレベータシャフトに給気して加圧することにより、それら附室とエレベータシャフトに煙が流入することを防止する加圧防煙システムにおいて、附室とエレベータシャフトとを隣接配置し、それら附室とエレベータシャフトとの間に、附室からエレベータシャフトに圧力を逃がすことにより附室内を設定圧に維持するバイパスダンパーを設けたことを特徴とする加圧防煙システム。
  2. 請求項1記載の加圧防煙システムにおいて、バイパスダンパーは、附室とエレベータシャフトとの間に一定以上の差圧が生じた際に作動する差圧ダンパーであることを特徴とする加圧防煙システム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011103916A (ja) * 2009-11-12 2011-06-02 Shimizu Corp 加圧防煙システム
JP2014145539A (ja) * 2013-01-29 2014-08-14 Ohbayashi Corp 加圧防排煙設備および加圧防排煙設備を備えた建物
JP2014161353A (ja) * 2013-02-21 2014-09-08 Nohmi Bosai Ltd 防火部材および防火システム
JP2015171420A (ja) * 2014-03-11 2015-10-01 株式会社大林組 加圧防排煙設備における静圧測定装置

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