JP2004304949A - 圧電アクチュエータ - Google Patents

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惇夫 坂井田
Atsushi Hirota
淳 廣田
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Abstract

【課題】薄型であっても反り変形が生じるのを抑制し、変位部間での変位ばらつきを低減することができる圧電アクチュエータを提供することである。
【解決手段】振動板2上に、共通電極3、圧電セラミック層4および個別電極5がこの順に積層され、セラミック層7,8は圧電セラミック層4と同一材料で形成され、複数の個別電極5の合計表面積と共通電極3の表面積との比率Sが0.1≦S≦0.8の関係を満足し、位置Aが位置Bよりも共通電極3側に位置し、位置Aと位置Bの距離tが0<t≦0.25Zの関係を満足する圧電アクチュエータである。ここで、位置Aとは、振動板2、共通電極3および圧電セラミック層4の合計厚みをZとしたときに、圧電セラミック層4の表面から厚み方向にZ/2の位置であり、位置Bとは、共通電極3と導体層6との間隔をTとしたときに、共通電極3から導体層6の方向にT/2隔てた位置である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細な変位を発生させることにより、各種デバイスの位置決めや加圧などに用いられる圧電アクチュエータ、特にインクジェット記録ヘッドに利用される圧電アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出カする記録装置として、インクジェット方式のプリンタの利用が急速に拡大している。かかるプリンタにはインクジェット記録ヘッドが搭載されている。このインクジェット記録ヘッドとしては、ヘッドの小型薄型化が容易で、しかも高精度の印字が可能になるという点で、圧電方式が広く用いられている。
【0003】
圧電方式のインクジェット記録ヘッドに用いられる圧電アクチュエータとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。図3は、従来の圧電アクチュエータを示す断面図である。同図に示すように、この圧電アクチュエータは、振動板51上に、共通電極52、圧電セラミック層53および個別電極54がこの順に積層され、個別電極54が圧電セラミック層53の表面に複数配列されたものである。振動板51は導体層55を介して一対のセラミック層56,57を積層したものである。この圧電アクチュエータは、個別電極54と共通電極52との間に電圧を印加させることによって、個別電極54、圧電セラミック層53および共通電極52で構成される複数の変位部に圧電振動を発生させることができる。
【0004】
一般に、圧電セラミック層53とセラミック層56,57とは同一材料で形成され、しかも一体焼成(同時焼成)により形成されているので、両層の熱膨張係数は同じ値になり、圧電アクチュエータが薄型で圧電振動による変位が大きくなったとしても圧電セラミック層53とセラミック層56,57とが剥離するようなことはない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−292860号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような圧電アクチュエータでは、薄型で圧電セラミック層53およびセラミック層56,57の剛性が低いときには、同時焼成後に反り変形が発生することがあり、特に圧電セラミック層53の表面に複数の個別電極54を形成することによって大きな反り変形が発生し、変位部間で大きな変位ばらつきが生じるという問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、薄型であっても反り変形が生じるのを抑制し、変位部間での変位ばらつきを低減することができる圧電アクチュエータを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の圧電アクチュエータは以下の構成からなる。
(1) 振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記振動板は導体層を介してセラミック層を積層したものであり、前記セラミック層は前記圧電セラミック層と同一材料で形成され、複数の前記個別電極の合計表面積と前記共通電極の表面積との比率S(個別電極の合計表面積/共通電極の表面積)が0.1≦S≦0.8の関係を満足し、下記位置Aが下記位置Bよりも前記共通電極側に位置し、下記位置Aと下記位置Bの距離tと、下記合計厚みZとが0<t≦0.25Zの関係を満足することを特徴とする圧電アクチュエータ。
位置A:前記振動板、前記共通電極および前記圧電セラミック層の合計厚みをZとしたときに、前記圧電セラミック層の表面から厚み方向にZ/2の位置
位置B:前記共通電極と前記導体層との間隔をTとしたときに、前記共通電極から前記導体層の方向にT/2隔てた位置
(2) 前記合計厚みZが100μm以下である(1)記載の圧電アクチュエータ。
(3) 前記共通電極の厚みおよび前記導体層の厚みが0.5μm以上である(1)または(2)記載の圧電アクチュエータ。
(4) 前記共通電極の厚みと前記導体層の厚みとの差が5μm以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
(5) 前記導体層の厚みをaとし、前記導体層のヤング率をbとしたときに、15×1015≦b/a≦220×1015の関係を満足する(1)〜(4)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
(6) 前記共通電極と前記導体層とは同一材料で形成されている(1)〜(5)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
(7) 前記個別電極の厚みが2μm以下である(1)〜(6)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【0009】
前記(1)記載の圧電アクチュエータによれば、該圧電アクチュエータを薄型に形成した場合であっても、導体層と共通電極との距離tが上記した所定の関係を満足するように各部材を配置し、さらに個別電極と共通電極との面積比率Sが所定の関係を満足するときは、圧電セラミック層の表面に個別電極を形成する焼成処理の後に反り変形が生じるのを抑制し、変位部間での変位ばらつきを低減することができる。
【0010】
上記のように、本発明の圧電アクチュエータは、反り変形が生じるのを抑制することができるので、前記(2)記載のように、前記合計厚みZが100μm以下に薄型化することも可能である。
【0011】
前記(3)記載の圧電アクチュエータによれば、共通電極の厚みおよび導体層の厚みが0.5μm以上であるので、剛性を向上させて反り変形の抑制効果を高めることができる。これにより、変位部間の変位ばらつきをより低減することができる。
【0012】
前記(4)記載の圧電アクチュエータによれば、共通電極の厚みと導体層の厚みとの差を5μm以下に小さくしているので、この厚み差に起因する反り変形を低減することができる。これにより、変位部間の変位ばらつきをさらに低減することができる。
【0013】
前記(5)記載の圧電アクチュエータによれば、導体層の厚みaとヤング率bとが上記した関係を満足するときは、圧電アクチュエータの剛性を高めることができるので、反り変形を抑制することができる。
【0014】
前記(6)記載の圧電アクチュエータによれば、共通電極と導体層とが同一材料で形成されているときは、これらを同時焼成する際において圧電アクチュエータ内の焼成収縮を均等にすることができる。
【0015】
前記(7)記載の圧電アクチュエータによれば、個別電極の厚みが2μm以下であるときは、個別電極を圧電アクチュエータの厚み方向に非対称に配置することに起因する反り変形を低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータについて図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の圧電アクチュエータを示す断面図である。
【0017】
同図に示すように、圧電アクチュエータ1は、振動板2上に、共通電極3、圧電セラミック層4、個別電極5がこの順に積層され、個別電極5が圧電セラミック層4の表面に2次元的かつ規則的に複数配列されたものである。振動板2は導体層6を介して一対のセラミック層7,8を積層したものであり、圧電セラミック層4の表面に個別電極5を形成する焼成処理の後に反り変形が生じるのを抑制する。
【0018】
この圧電アクチュエータ1は、個別電極5と共通電極3との間に電圧を印加することによって、個別電極5、圧電セラミック層4および共通電極3で構成される複数の変位部に圧電振動を発生させることができる。また、共通電極3と導体層6とは電気的に接続されているのが好ましい。これにより、変位部が変位することによって発生する振動板2の圧電駆動による電力損失を低減することができる。
【0019】
振動板2、共通電極3および圧電セラミック層4の合計厚みZは、特に限定されないが、変位部の変位量を大きくするという点で、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下であるのがよい。一方、合計厚みZの下限値は、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有し、印加される電圧に耐えうるようにするために、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であるのがよい。
【0020】
圧電セラミック層4の表面から厚み方向にZ/2の位置Aは、共通電極3と導体層6との間隔をTとしたときに、共通電極3から導体層6の方向にT/2隔てた位置Bよりも共通電極3側に位置している。また、位置Aと位置Bの距離tと、合計厚みZとが0<t≦0.25Zの関係を満足することが重要であり、特に距離tは0.02〜0.1Zの範囲であるのが好ましい。t>0.25Zの場合には、圧電アクチュエータ1の反りが大きくなる。
【0021】
さらに、複数の個別電極5の合計表面積と共通電極3の表面積との比率S(個別電極5の合計表面積/共通電極3の表面積)が0.1≦S≦0.8の関係を満足することが重要であるが、変位量ばらつきを小さくするという理由から、特に、比率Sは0.2〜0.5であることがより望ましい。S<0.1の場合には、個別電極の集積度が低く実用上の性能が得られない。一方、S>0.8の場合には、個別電極の面積割合が大きくなりすぎて圧電アクチュエータ1の反りが大きくなる。
【0022】
本発明では、比率Sを高めて個別電極5を高集積化した場合であっても、共通電極3および導体層6の位置を、距離tと厚みZとが上記関係を満足するように調整することにより、反りを低減し、最大変位量を増加させ、変位量のばらつきを低減して高性能の圧電アクチュエータとして機能させることができる。
【0023】
また、圧電セラミック層4の厚みおよびセラミック層7,8の各厚みは、位置A、位置Bおよび距離tが上記関係を満足すれば特に限定されないが、小型薄型化という点で、好ましくは20μm以下にするのがよく、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有し、印加される電圧に耐えうるようにするために、より好ましくは10〜20μmの範囲であるのがよい。
【0024】
共通電極3および導体層6の厚みは0.5μm以上、好ましくは、1μm以上であるのがよい。これにより、圧電アクチュエータ1の剛性を向上させて反り変形の抑制効果を高めることができる。また、共通電極3の厚みと導体層6の厚みとの差は5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下であるのがよい。さらに、導体層6の厚みをaとし、導体層6のヤング率をbとしたときに、15×1015≦b/a≦220×1015の関係を満足するのが好ましい。個別電極5の厚みは2μm以下、好ましくは、1μm以下であるのがよい。
【0025】
圧電セラミック層4には、例えばチタン酸ジルコン酸鉛化合物(PbZrTiO系化合物(PZT系))、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などのペロブスカイト結晶構造型の圧電材料が好適に用いられる。これらのうち、大きな変位を得られるという点で、PZT系を用いるのが好ましい。また、セラミック層7,8には、圧電セラミック層4と同一材料を使用する。圧電セラミック層4、セラミック層7,8は、それぞれ1層で構成されていてもよく、複数の層から構成されていてもよい。
【0026】
個別電極5としては、例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらの少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、薄層化しても高い導電性が得られるという点で、特にAuを用いるのがより好ましい。
【0027】
共通電極3および導体層6は、同一材料により形成されるのが好ましい。共通電極3および導体層6としては、例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらの少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、密着強度を高めるという点で、特にAg−Pd合金に、さらに、圧電セラミック層4と同一材料を添加して用いるのがより好ましい。
【0028】
次に、本発明の圧電アクチュエータ1の製造方法について説明する。
まず、前記したチタン酸ジルコン酸鉛化合物、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などを主成分とする圧電セラミック粉体を準備する。この圧電セラミック粉体の平均粒径は1μm以下であることが望ましく、特に0.7μm以下、更には0.5μm以下であることが好ましい。圧電セラミック粉体の平均粒径を1μm以下にすることにより焼結時の均一な焼成収縮が得られ均質な圧電セラミック層4およびセラミック層7,8を得ることができる。この圧電セラミック粉末と有機バインダ成分を混合し、シート成形用のスラリを調製する。ついで、この成形用スラリを用いてロールコータ法、スリットコータ法、ドクターブレード法等の一般的なシート成形法によりグリーンシートを作製する(成形工程)。
【0029】
ついで、成形工程で得られたグリーンシートを加圧する(加圧工程)。加圧法として公知の手法を採用することができるが、均一な厚みにすることが容易である点で、加圧には特にロール加圧法、平面加圧法、静水圧加圧法等を用いることができる。このように、シート成形後にグリーンシートの加圧処理を行うことで、シートの密度を高め、厚みばらつきや密度ばらつきを低減することができる。加圧圧力は、材料組成、有機バインダ量、グリーンシート厚み等によって異なるが10〜100MPa、特に、20〜50MPa、更には、30〜40MPaの圧力で加圧することが好ましい。ここで加圧工程によって得られた各グリーンシートの厚みばらつきは15%以下、特に10%以下にすることが、焼成後に形成される圧電セラミック層4、セラミック層7,8の厚みばらつきや、それらが積層されて形成される変位部の厚みばらつきを低減するとともに反り変形を防止することが容易となる。
【0030】
次に、前記した電極材料からなる導体ペーストを用いて、加圧工程で得られたグリーンシートの一方の面に、焼成後に個別電極5、共通電極3および導体層6となる金属パターンをスクリーン印刷により形成する。この場合の厚みは2〜5μm、厚みばらつき(あるいは差)は1〜2μmになるように調整することが望ましい。
【0031】
次に、得られたグリーンシートを例えば図1に示す構成で積層し、密着させて積層成形体を得る(積層工程)。なお、密着を行う手法としては、接着成分の含まれた密着液使用による方法、加熱によりグリーンシート中の有機バインダ成分に接着性を持たせて密着する方法、加圧だけで密着させる方法等を例示できる。
【0032】
積層工程で得られた積層成形体は、所望の脱脂処理により積層成形体中の有機成分の除去を行った後、酸素雰囲気中において、900〜1200℃において焼成し、図1に示したような圧電アクチュエータを得る(焼成工程)。なお、本発明の圧電アクチュエータを作製する焼成工程においては、積層工程で得られた積層成形体をジルコニアもしくはマグネシアからなる試料台板を介して複数段積みにし、さらに、この段積みされた積層成形体上に重しを置いて焼成することが望ましい。このような工程を具備する製造方法を採用することにより、圧電アクチュエータの反り変形が抑制され、厚み100μm以下の薄層の焼結体からなる圧電アクチュエータを提供できる。
【0033】
なお、本発明の圧電アクチュエータを構成する個別電極は、上記したように共通電極および導体層とともに同時焼成する場合に限らず、共通電極と導体層を内層した積層成形体を焼成した後に、個別電極を焼き付けで形成することもできる。この場合も、金属成分としては上記した種々の金属を好適に用いることができる。
【0034】
図2は、本発明の圧電アクチュエータ1を備えたインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。同図に示すように、このインクジェット記録ヘッドは、圧電アクチュエータ1を、インク吐出口27を有する複数のインク流路23が配列された流路部材25上に、インク流路23と個別電極5との位置を揃えて取り付けたものである。
【0035】
流路部材25は、厚さ30〜100μm程度の複数の金属箔で構成される積層体からなり、各金属箔にエッチングや金型による打ち抜き等によってインク流路23、インク吐出口27、隔壁21等がそれぞれ形成される。使用する金属箔としては、例えばステンレス箔、アルミニウム箔、モリブデン箔などがあげられる。このようなインクジェットヘッドでは、薄型であっても反り変形が矯正された圧電アクチュエータを備えているので、インク吐出量のばらつきを低減することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態のみに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。
【0037】
例えば、上記実施形態では、共通電極を1層設けた場合について説明したが、必要に応じて2層以上設けることもできる。同様に、導体層6も2層以上設けてもよい。
【0038】
【実施例】
以下のようにして試料No.1〜16の圧電アクチュエータを作製した。
まず、平均粒径が0.5μmのPbZrTiO系粉末とバインダとそのバインダを溶解する有機溶剤とを所定量混合してスラリを調製し、このスラリを用いてロールコータ法にて厚み25μmのグリーンシートを作製した。ついで、Ag−Pd(混合比は質量比で7:3)粉末と有機粘結剤と溶媒とを所定量混合して導電性ペーストを調製した。
【0039】
次に、得られたグリーンシートの表面に導電性ペーストを印刷して、焼成後に共通電極および導体層となるそれぞれのパターンを形成した。ついで、導電性ペーストを印刷したグリーンシートを所定の総数積層して母体積層体を形成し、この母体積層体を切断して積層体を形成し、酸素雰囲気中、1000℃、2時間の焼成を行い圧電アクチュエータ本体を形成した。圧電アクチュエータの全体厚みZは表1に示すように調整した。共通電極および導体層の厚みは2μmであった。また、導体層の厚みをa、その導体層のヤング率をbとしたときのb/aは表1に示す値にそれぞれ調整した。
【0040】
次に、この圧電アクチュエータ本体の一方の面にAuを主成分とする金属ペーストを印刷して730℃で焼付けを行い、図1に示したような圧電アクチュエータを作製した。個別電極の厚みは1μmであった。また、試料面積は50mm×50mmであった。
【0041】
この後、共通電極と個別電極間に3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行った。図1に示す圧電アクチュエータの合計厚みZおよび位置Aと位置Bとの距離tは、圧電セラミック層およびセラミック層の1層あたり厚みを変化させることにより表1に示す値にそれぞれ調整した。なお、合計厚みZおよび距離tは、得られた圧電アクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定した。また、個別電極の合計表面積と共通電極の表面積との比率Sは各電極層の印刷用スクリーンの設計値から求めた。
【0042】
得られた各試料について、レーザー変位計を用いて反りを測定した。反りの値は試料全体の最大値とした。また、圧電アクチュエータの変位量は共通電極と個別電極間に20Vの直流電圧を印加し、さらにこの圧電アクチュエータに室温において0〜+20VのSin駆動波形を20kHzの周波数にて印加して1×10サイクルまで駆動した際の変位量を測定すると共に、その変位量の最大値と最低値から変位量のばらつきを求めた。その結果を表1に示す。
【0043】
なお、比較のため、振動板の内部に導体層を形成していない試料(No.16)、位置Aと位置Bとが一致(距離t=0)している試料(No.1)を作製して本発明の試料と同様の評価を行い、その結果を表1に併せて示した。
【表1】
Figure 2004304949
【0044】
表1から、共通電極に対する個別電極の面積割合を示す比率Sが0.1≦S≦0.8の関係を満足し、距離tが0<t≦0.25Zの関係を満足するように作製した試料No.2〜13では、反りを180μm以下、最大変位量を40nm以上、そして変位量のばらつきを15%以下とすることができた。
特に、比率Sを0.2〜0.5、距離tを(Z/32)〜(Z/10)とした試料No.3〜10では、変位量のばらつきを10%以下にまで低減できた。
さらには、全体厚みを50μmとした試料No.3〜9では、100nmと大きな最大変位量を得ることができた。
一方、振動板に導体層を形成しなかった試料No.16では、変位量のばらつきが30%と高かった。また、位置Aと位置Bとが一致している(距離t=0)の試料No.1においても、変位量のばらつきが20%と高い値を示した。
さらに、比率Sおよび距離tを本発明の範囲外とした試料No.14,15では反りが大きかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、該圧電アクチュエータを薄型に形成した場合であっても、振動板の内部に導体層を配置して剛性を向上させ、導体層と共通電極との位置関係示す距離tが上記した所定の関係を満足するように各部材を配置し、さらに個別電極と共通電極との面積比率Sが所定の関係を満足することにより、圧電セラミック層の表面に個別電極を形成する焼成処理の後に反り変形が生じるのを抑制し、変位部間での変位ばらつきを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータの構造を示す断面図である。
【図2】図1の圧電アクチュエータを備えたインクジェット記録ヘッドの構造を示す断面図である。
【図3】従来の圧電アクチュエータの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 圧電アクチュエータ
2 振動板
3 共通電極
4 圧電セラミック層
5 個別電極
6 導体層
7 セラミック層
8 セラミック層

Claims (7)

  1. 振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、
    前記振動板は導体層を介してセラミック層を積層したものであり、
    前記セラミック層は前記圧電セラミック層と同一材料で形成され、
    複数の前記個別電極の合計表面積と前記共通電極の表面積との比率S(個別電極の合計表面積/共通電極の表面積)が0.1≦S≦0.8の関係を満足し、
    下記位置Aが下記位置Bよりも前記共通電極側に位置し、
    下記位置Aと下記位置Bの距離tと、下記合計厚みZとが0<t≦0.25Zの関係を満足することを特徴とする圧電アクチュエータ。
    位置A:前記振動板、前記共通電極および前記圧電セラミック層の合計厚みをZとしたときに、前記圧電セラミック層の表面から厚み方向にZ/2の位置。
    位置B:前記共通電極と前記導体層との間隔をTとしたときに、前記共通電極から前記導体層の方向にT/2隔てた位置。
  2. 前記合計厚みZが100μm以下である請求項1記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記共通電極の厚みおよび前記導体層の厚みが0.5μm以上である請求項1または2記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記共通電極の厚みと前記導体層の厚みとの差が5μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  5. 前記導体層の厚みをaとし、前記導体層のヤング率をbとしたときに、
    15×1015≦b/a≦220×1015の関係を満足する請求項1〜4のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記共通電極と前記導体層とは同一材料で形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記個別電極の厚みが2μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
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