JP2004303698A - 有機el装置の製造方法及び有機el装置並びに電子機器 - Google Patents

有機el装置の製造方法及び有機el装置並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】確実にセパレータ形成領域B内に第2電極の材料を蒸着させることによって第2電極同士が接触することにより生じる短絡を防止する。
【解決手段】開口部の端部X1a,X1bがカソードセパレータ形成領域Bよりセパレータの高さ以上だけ基板の中心寄りに位置するように設定されたマスクXを介して第2電極の材料を基板上に蒸着させる。
【選択図】 図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL装置の製造方法及び有機EL装置並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコン、携帯電話機、電子手帳等の電子機器において、情報を表示する手段として有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと称す)素子を画素に対応させて備える有機EL装置等といった表示装置が提案されている。
【0003】
このような有機EL装置の1つにパッシブマトリクス型(単純マトリクス型)の有機EL装置がある。一般的に、このパッシブマトリクス型の有機EL装置は、基板上に複数形成された所定方向に帯状に延在する第1電極と、該第1電極に対して直交する方向に帯状に複数配置された第2電極と、第1電極と第2電極との交差領域において第1電極及び第2電極に上下に挟み込まれた有機機能層とを備えている。この有機機能層は、第1電極及び第2電極に電流が流れた場合に発光する発光層を含んでおり、パッシブマトリクス型の有機EL装置は、発光層を含む有機機能層を1画素に対応させて複数備えることによって構成されている。
【0004】
このような、パッシブマトリクス型の有機EL装置の製造方法は、一般的に、まず基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程と、その第1電極上に第1電極と直交する方向に帯状に延在する所定の高さを有した絶縁物質からなるセパレータを所定間隔で複数形成するセパレータ形成工程と、その後、第1電極上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、基板に対して一方の側が対向配置されたマスクの他方の側から第2電極材料をセパレータが形成された基板に蒸着させることによってセパレータ間に第1電極と直交する帯状の第2電極を複数形成する第2電極形成工程と、第1電極、有機機能層、セパレータ及び第2電極が形成された基板を封止部によって封止する封止工程を有している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−294371号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、第2電極の材料をセパレータに蒸着させる場合に、第2電極の材料が基板上の複数のセパレータが形成されたセパレータ形成領域の外部(セパレータの端部より外側)に蒸着すると隣り合う第2電極同士が接触し、短絡の原因となる。このため、セパレータ上にセパレータ形成領域と同じ単一の開口部を有するマスクを配置し、該マスクを介して第2電極の材料を蒸着させている。
【0007】
上述のようにマスクの開口部はセパレータ形成領域と同じ大きさに形状設定されているので、セパレータの延在方向に対応した端部は、セパレータの端部の真上に位置することとなる。ところが、周知のように、セパレータはセパレータの上部に蒸着した第2電極の材料とセパレータ間の底部に付着した第2電極の材料とが接触しないように充分な高さを有するように形状設定されているため、マスクの一方側の面とセパレータ間の底部との間にセパレータの高さ分の隙間が生じる。これに加え、第2電極の材料は、通常、蒸着源から放射状に放出される。このため、第2電極の材料がマスク開口部の端部に斜方から入り込むことによってマスクとセパレータ間の底部との隙間に入り込み、セパレータ形成領域の外部に第2電極の材料が蒸着される場合があった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、確実にセパレータ形成領域内に第2電極の材料を蒸着させることによって第2電極同士が接触することにより生じる短絡を防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る有機EL装置の製造方法は、電極間に有機機能層が形成されてなる有機EL装置の製造方法であって、複数の第1電極を基板上に形成する第1電極形成工程と、第1電極と交差する方向に絶縁物質からなるセパレータを形成するセパレータ形成工程と、第1電極上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、第2電極をセパレータ間に形成する第2電極形成工程と、第1電極、有機機能層、セパレータ及び第2電極が形成された基板を封止部によって封止する封止工程と、を有し、第2電極形成工程において、第2電極の両端部がセパレータの両端部より外側に突出しないように前記第2電極を形成することを特徴とする。
【0010】
このような有機EL装置の製造方法によると、第2電極の両端部がセパレータの両端部より外側に突出しないように形成されるので、セパレータ形成領域の外部において第2電極同士が接触することにより生じる短絡を防止することが可能となる。なお、ここで言うセパレータ形成領域とは、基板上の複数のセパレータが形成された領域であるが、より詳しくは、セパレータ及びセパレータ間が存在する全領域のことである。
【0011】
また、第2電極形成工程において、開口部の端部がセパレータの延在方向の両端部よりセパレータの高さ以上基板の中心寄りに位置するように設定されたマスクを用いて第2電極を形成すると、蒸着源から放射状に放出された第2電極の材料が、マスクの開口部の端部に斜方から入り込む場合であってもセパレータ形成領域の内部に第2電極の材料を蒸着させることが可能となる。
【0012】
また、マスクの開口部の端部がセパレータの延在方向の両端部よりセパレータの高さ以上基板の中心寄りに位置するように設定されているので、蒸着源から放出された第2電極の材料がマスクに対して鋭角にマスク開口部に入り込む場合であっても確実に第2電極の材料をセパレータ形成領域の内部に蒸着させることが可能となる。
【0013】
本発明に係る有機EL装置の製造方法は、基板の外部に電気的に接続するための接続部がセパレータの延在方向の両端部より基板の中心寄りに設置されており、上記第2電極形成工程によって、第2電極と接続端子は電気的に接続されることを特徴とする。
【0014】
このような有機EL装置の製造方法によると、接続部がセパレータの延在方向の両端部より基板の中心寄り、すなわち、セパレータ形成領域の内部に設置されている。このため、第2電極形成工程によって第2電極材料をセパレータ形成領域の内部に蒸着させることで、第2電極を形成すると同時に第2電極と接続部を接続させることが可能となる。
【0015】
次に、本発明に係る有機EL装置は、本発明に係る有機EL表示の製造方法によって製造されることを特徴とする。このような本有機EL装置によれば、確実にセパレータ形成領域の外部において第2電極同士が接触することにより生じる短絡を防止した有機EL装置を提供することが可能となるので、例えば、有機EL装置の製造コストを低くすることが可能となる。
【0016】
次に、本発明に係る電子機器は、上述した有機EL装置を表示手段として備えることを特徴とする。本発明の電子機器としては、例えば、ノートパソコン、携帯電話機、電子手帳、時計、ワープロなどの情報処理装置等を例示することができる。このような電子機器の表示部に本発明に係る有機EL装置を採用することにより、セパレータ形成領域の外部において第2電極同士が接触することにより生じる短絡を防止した表示部を備えた電子機器を提供することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る有機EL装置の製造方法及び有機EL装置並びに電子機器の一実施形態について説明する。なお、参照する各図において、図面上で認識可能な大きさとするために縮尺は各層や各部材ごとに異なる場合がある。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3は、本実施形態に係るパッシブマトリクス型の有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を模式的に表した模式図であり、図1は平面図、図2は有機EL装置1の内部構成図、図3は図1のI−I’の矢視図である。これらの図に示すように、本有機EL装置1は、基板2上に所定方向に帯状に延在する複数の第1電極(陽極)3と、第1電極の延在方向に対して直交する方向に延在する複数のカソードセパレータ(セパレータ)4と、カソードセパレータ4同士の間に形成される第2電極(陰極)5と、第1電極3と第2電極5との交差領域(発光領域)Aに第1電極3及び第2電極5に上下に挟まれた有機機能層6と、第1電極3、カソードセパレータ4、第2電極5及び有機機能層6等を缶封止するための封止部7とを主な構成要素としている。なお、図2において、Bは基板2上におけるカソードセパレータ4が形成される範囲であるカソードセパレータ形成領域を表しており、このカソードセパレータ形成領域Bの一端部Baの近傍には、図示するように、カソードセパレータ4同士に挟まれるように、かつ、カソードセパレータ4の両端部より基板の中心寄りに接続部8aが複数形成されている。なお、接続部8aは接続端子8の一部分をなすものであり、第2電極と直接接続されている。また、上述のように、カソードセパレータ形成領域Bは、基板2上の複数のカソードセパレータ4が形成された領域であるが、より詳しくは、カソードセパレータ4及びカソードセパレータ4間が存在する全領域のことである。
【0019】
また、第1電極3及び接続端子8は、第1電極3の一端部3a及び接続端子8の一端部8bが封止部7の外部に位置するように延在しており、第1電極3の一端部3aにはシフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路100が接続され、接続端子8の一端部8bには、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路101が接続されている。
【0020】
図3に示すように、有機機能層6は、自らを上下に挟む第1電極3及び第2電極5に電流が流れた場合に所定の波長の光を発光する発光層61を含んでおり、有機EL装置1は、このような発光層61を含む有機機能層が形成される発光領域Aをマトリクス状に複数備えることによって表示装置としての機能を有している。なお、本実施形態に係る有機EL装置1において、基板2及び第1電極3は透光性を有しており、発光層61から発光された光は基板2側から出射されるように構成されている。
【0021】
透光性を有する基板2の材料としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特に、安価なソーダガラス基板が好適に用いられる。第1電極3は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物からなる透光性の導電材料によって形成されており、短冊状に形状設定され、かつ、各々が所定間隔を空けて複数形成されている。この第1電極3は、有機機能層6に正孔を注入する役割を果たす。接続端子8は、導電性を有した金属材によって形成されており、矩形状に形状設定され、かつ、図示するように、自らの端部8cがカソードセパレータ4同士の間に位置するように配置されている。
【0022】
この第1電極3及び接続端子8が形成された基板2上には、シリコン酸化膜(SiO)からなる絶縁膜9が形成されている。そして、この絶縁膜9は、発光領域Aの第1電極3、第1電極3の端部3a近傍、接続部8a及び接続端子8の端部8b近傍が露出するようにパターニングされている。なお、絶縁膜9は、接続部8aがカソードセパレータ4の端部4a(カソードセパレータ形成領域Bの一端部Ba)より基板2の中心寄りに位置するようにパターニングされている。カソードセパレータ4は、ポリイミド等の感光性樹脂によって形成されており、所定の高さh(例えば、6μm)で幅方向の断面が逆テーパー状に形状設定され、かつ、各々が所定間隔を空けて複数形成されている。
【0023】
有機機能層6は正孔注入/輸送層62、発光層61及び電子注入/輸送層63を積層した積層体である。正孔注入/輸送層62は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物によって形成されている。この正孔注入/輸送層62は発光層61に正孔を注入すると共に正孔を正孔注入/輸送層62の内部において輸送する機能を有している。
【0024】
発光層61は、赤色(R)に発光する赤色発光層61a、緑色(G)に発光する緑色発光層61b及び青色(B)に発光する青色発光層61cの3種類を有し、各発光層61a〜61cがモザイク配置されている。発光層61の材料としては、例えば、アントラセンやピレン、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、またはこれら低分子材料に、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン誘導体、DCM、DCJ、ペリノン、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ジアザインダセン誘導体等をドープして用いることができる。
【0025】
電子注入/輸送層63は、電子を発光層61に注入する機能を有すると共に、電子を電子注入/輸送層63内部において輸送する機能を有する。この電子注入/輸送層63としては、例えばリチウムキノリノールやフッ化リチウム或いはバソフェンセシウム等を好適に用いることができる。また、仕事関数が4eV以下の金属、例えばMg、Ca、Ba、Sr、Li、Na、Rb、Cs、Yb、Smなども用いることができる。
【0026】
第2電極5は、例えばAl膜やAg膜等の高反射率の金属膜が用いられており、発光層61から第2電極5側に発光された光を基板2側に効率的に出射させるようになっている。なお、第2電極5上には必要に応じてSiO,SiO,SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けても良い。
【0027】
封止部7は、基板2に塗布された封止樹脂7aと、封止缶(封止部材)7bとから構成されている。封止樹脂7aは、基板2と封止缶7bを接着する接着剤であり、例えばマイクロディスペンサ等により基板2の周囲に環状に塗布されている。この封止樹脂7aは、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等からなり、特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。また、この封止樹脂7aには酸素や水分を通しにくい材料が用いられており、基板2と封止缶7bの間から封止缶7b内部への水又は酸素の侵入を防いで、第2電極5または発光層61の酸化を防止するようになっている。
【0028】
封止缶7bは、その内側に第1電極3、有機機能層6及び第2電極5等を収納する凹部7b1が設けられており、封止樹脂7aを介して基板2に接合されている。なお、封止缶7bの内面側には、必要に応じて、カソードセパレータ形成領域Bの外側に、酸素や水分を吸収又は除去するゲッター材を設けることができる。このゲッター材としては、例えば、Li,Na,Rb,Cs等のアルカリ金属、Be,Mg,Ca,Sr,Ba等のアルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等を好適に用いることができる。アルカリ土類金属の酸化物は、水と反応して水酸化物に変化することにより、脱水材として作用する。アルカリ金属や、アルカリ土類金属は、酸素と反応して水酸化物に変化するとともに水と反応して酸化物に変化するため、脱水材としてだけでなく脱酸素材としても作用する。これにより、有機機能層6等の酸化を防止でき、装置の信頼性を高めることができる。
【0029】
次に、本実施形態の有機EL装置1の製造方法を図面を参照して説明する。本実施形態の有機EL装置1の製造方法は、例えば、(1)第1電極形成工程、(2)絶縁膜形成工程、(3)カソードセパレータ形成工程、(4)正孔注入/輸送層形成工程、(5)発光層形成工程、(6)電子注入/輸送層形成工程、(7)第2電極形成工程及び(8)封止工程とを具備して構成されている。なお、製造方法はこれに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0030】
(1)第1電極形成工程
第1電極形成工程は、所定方向に帯状に延在する第1電極3を基板2上に複数形成する工程である。この第1電極形成工程では、図4(a),(b)に示すように、ITOやIZO等の金属酸化物からなる第1電極3をスパッタリングによって基板2上に複数形成する。これによって、短冊状の第1電極3が所定の間隔を有して複数形成され、その一方の端部3a(図4(a)における上側)は、基板2の端部2aに届くように形成されている。なお、第1電極形成工程において、接続端子8も形成される。この接続端子8は、図示するように、一端部8bが基板2の端部2bに届き、他端部8cがカソードセパレータ形成領域Bの端部Baよりも基板2の中心寄りに位置するように形成される。
【0031】
(2)絶縁膜形成工程
絶縁膜形成工程は、図5(a),(b)に示すように、発光領域Aの第1電極3、第1電極3の端部3a近傍、接続部8a及び接続端子8の端部8b近傍が露出するようにパターニングされた絶縁膜9を基板2、第1電極3及び接続端子8上に形成する工程である。この絶縁膜形成工程では、テトラエトキシシランや酸素ガス等を原料としてプラズマCVD法によって絶縁膜9が形成される。なお、絶縁膜9は、接続部8aがカソードセパレータ形成領域Bの端部Baより基板2の中心寄りに位置するようにパターニングされる。
【0032】
(3)カソードセパレータ形成工程
カソードセパレータ形成工程は、図6(a),(b)に示すように、第1電極3の延在方向に対して直交した方向に帯状に延在する複数のカソードセパレータ4を所定の間隔で形成する工程である。このカソードセパレータ形成工程では、まず、基板2上にポリイミド等の感光性樹脂をスピンコート等によって所定の厚み(カソードセパレータ4の高さh)で塗布する。そして、この所定の厚みで塗布されたポリイミド等の感光性樹脂をフォトリソグラフィティー技術によってエッチングすることで、幅方向の断面が逆テーパー状に形状設定されたカソードセパレータ4をカソードセパレータ形成領域Bに複数形成する。なお、このようなカソードセパレータ4は、カソードセパレータ4間に接続部8aが位置するように形成される。
【0033】
(4)正孔注入/輸送層形成工程
正孔注入/輸送層形成工程は、図7(a),(b)に示すように、露出した第1電極3上に正孔注入/輸送層62を形成する工程である。この正孔注入/輸送層形成工程では、各発光領域Aに対応した開口部を有する蒸着マスクを介して正孔注入/輸送層材料を第1電極3上に蒸着させることによって、正孔注入/輸送層62を形成する。
【0034】
(5)発光層形成工程
発光層形成工程は、図8(a),(b)、図9(a),(b)に示すように、第1電極3上に形成された正孔注入/輸送層62上に低分子材料からなる発光層61を形成する工程である。この発光層形成工程では、まず、青色発光層61cが形成されることとなる青色発光領域Acに対応した開口部を有する蒸着マスクを介して気化させた青色発光層材料を正孔注入/輸送層62c上に蒸着させることによって、図8(a),(b)に示すような青色発光層61cを形成する。続いて、赤色発光領域Aaに対応した開口部を有する蒸着マスクを介して気化させた赤色発光層材料を正孔注入/輸送層62a上に蒸着させることによって赤色発光層61aを形成し、緑色発光領域Abに対応した開口部を有する蒸着マスクを介して気化させた緑色発光層材料を正孔注入/輸送層62b上に蒸着させることによって緑色発光層61bを形成する(図9(a),(b)参照)。
【0035】
(6)電子注入/輸送層形成工程
電子注入/輸送層形成工程は、図10(a),(b)に示すように、発光層61上に電子注入/輸送層63を形成する工程である。この電子注入/輸送層形成工程では、各発光領域Aに対応した開口部を有する蒸着マスクを介して気化させた電子注入/輸送層材料を発光層61上に蒸着することによって、電子注入/輸送層63を形成する。なお、正孔注入/輸送層形成工程、発光層形成工程及び電子注入/輸送層形成工程を合わせた工程が、有機機能層形成工程である。
【0036】
(7)第2電極形成工程
第2電極形成工程は、図11(a),(b)に示すように、隣り合うカソードセパレータ4同士の間に第2電極5を形成する工程である。この第2電極形成工程では、図12に示すような単一の開口部X1を有した蒸着マスクXが用いられる。この蒸着マスクXの開口部X1は、カソードセパレータ形成領域Bの形状とほぼ同一に形状設定されているが、カソードセパレータ4の延在方向に対応した端部X1a,X1bがカソードセパレータ4の高さh分以上の寸法(h+α)だけ各々蒸着マスクXの中心寄りに位置するように設定されている。
【0037】
このように形成された蒸着マスクXの一方側の面X1cをカソードセパレータ4の上面4aに当接させ、他方側の面X1d側から第2電極材料を蒸着させることによって第2電極5をカソードセパレータ4間に形成する。図13は、第2電極5材料を蒸着する際の模式図である。例えば、この図に示すように、蒸着マスクXの端部X1aに蒸着源(図示せず)から放出された第2電極材料5aが斜方から入る場合であっても、端部X1aは、カソードセパレータ4の高さh分以上の寸法(h+α)だけ各々蒸着マスクXの中心寄りに位置しているために斜方から入り込む第2電極材料5aは、確実にカソードセパレータ形成領域B内に蒸着される。また、端部X1bもカソードセパレータ4の高さh分以上の寸法(h+α)だけ各々蒸着マスクXの中心寄りに位置しているために斜方から入り込む第2電極材料5aは、確実にカソードセパレータ形成領域B内に蒸着される。
【0038】
このように、蒸着マスクXを介して第2電極材料を蒸着させることによって、第2電極5は、カソードセパレータ4の端部より基板2の中心寄りに形成されるため、カソードセパレータ4の端部より外側で第2電極5同士が接触するに起因する短絡を防止することが可能となる。
【0039】
また、接続部8aは、カソードセパレータ形成領域Bより基板2の中心寄りに位置しているため、上述の蒸着マスクXを用いた第2電極形成工程によって接続部8a上にも第2電極材料が蒸着される。結果、接続部8aと第2電極5とは、第2電極形成工程によって直接接続される。このように、接続部8aがカソードセパレータ4間に位置しているため、第2電極形成工程のみで第2電極5と接続部8aとを接続することが可能となる。
【0040】
なお、第2電極材料5aは、カソードセパレータ形成領域Bの内側に蒸着されれば良いので、第2電極材料5aが開口部X1の端部X1a,X1bに入り込む角度によっては、端部X1a,X1bをカソードセパレータ4の高さh分以下の寸法だけ各々蒸着マスクXの中心寄りに位置させるという構成を採用することができる。
【0041】
(8)封止工程
最後に、上述した工程によって第1電極3、有機機能層6及び第2電極5等が形成された基板2と封止缶7bとを封止樹脂7aを介して封止する。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂7aを基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂上に封止缶7bを配置する(図3参照)。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、第2電極5にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が第2電極5に侵入して第2電極5が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
【0042】
この後、基板2上あるいは外部に設けられるデータ側駆動回路100基板2と第1電極3とを接続すると共に、基板2上あるいは外部に設けられる走査側駆動回路101と第2電極5とを接続することによって、本実施形態の有機EL装置1が完成する。
【0043】
すなわち、上述の製造工程によれば、確実にセパレータ形成領域内に第2電極の材料を蒸着させるので、第2電極同士がカソードセパレータ形成領域の外部で接触することにより生じる短絡を防止することが可能となる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本有機EL装置の第2実施形態について図14を用いて説明する。第1実施形態においては、発光層61として低分子系の材料を用いたのに対し、本実施形態においては、発光層61として高分子系の材料を用いる。なお、本実施形態においては第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0045】
本実施形態における発光層61は高分子材料であるため、本実施形態においては、発光層61及び正孔注入/輸送層62は、いわゆる液滴吐出法によって形成する。このため、本実施形態に係る絶縁膜9とカソードセパレータ4との間にバンク層10が形成されている。このバンク層10には、フォトリソグラフィティー技術によって各発光領域Aに対応した開口部10aが形成されている。そして、バンク層10の上にカソードセパレータ4を形成し、その後、開口部10aに露出した第1電極5上に正孔注入/輸送層61、発光層61の順に各々が液滴吐出法によって形成される。なお、カソードセパレータ4を形成する前工程として、CF4プラズマ等によるプラズマ処理を行うことによって、バンク層10の表面を撥液化させるとより好ましい。
【0046】
そして、正孔注入/輸送層62を液滴吐出法によって形成する場合には、例えばインクジェット装置を用いることによって、正孔注入/輸送層材料を第1電極3上に吐出する。その後、乾燥処理及び熱処理を行うことによって第1電極3上に正孔注入/輸送層62を形成する。このインクジェット装置は、インクジェットヘッドに備えられる吐出ノズルから1滴あたりの液量が制御された材料を吐出すると共に、吐出ノズルを吐出面に対向させ、さらに吐出ノズルと基板2とを相対移動させることによって、吐出面上に材料を吐出するものである。そして、例えば、このインクジェット装置を用いて正孔注入/輸送層62上に発光層材料を吐出し、その後に乾燥処理及び熱処理を行うことによって発光層61を形成する。
【0047】
バンク層10としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する感光性材料(有機材料)を用いることができる。また、高分子系の発光層材料としては、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン係色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれらの高分子材料にルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることができる。
【0048】
このように構成された有機EL装置1においては、第1実施形態と同様の効果が得られると共に、液滴吐出法によって正孔注入/輸送層62及び発光層61を形成するので高精彩の有機EL装置1を製造することが可能になる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本有機EL装置の第3実施形態について図3を用いて説明する。第1実施形態においては、有機機能層6から発した光が基板2側から放出されるようになっているのに対し、本実施形態においては封止缶7bの上側(観測者側)に放出されるようになっている。本実施形態と第1実施形態との相違点は主として材料構成であり、本実施形態においては第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0050】
本実施形態は、基板2の対向側である封止部7側から発光を取り出す構成であるので、基板2としては透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミック、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0051】
また、第1電極3としては、必ずしも透明性材料に限る必要がなく、陽極の機能を満たす好適な材料が用いられ、また、光反射性を有する材料が好ましく、Al等が採用される。なお、第1電極3として透明金属のITO等を採用する場合には、その下層にAl薄膜等を形成し、光反射性を有する構成が好ましい。
【0052】
また、第2電極5の材料としては、透明性を有する必要があり、ITO等の透明金属が採用される。ここで、ITOと電子注入/輸送層63との間には、透明性を有する膜厚でAl薄膜を形成してもよい。透明性を有する膜厚としては、50nm以下が好ましい。このようなAl薄膜を形成することによって、電子注入/輸送層63への電子注入性を促進させるだけでなく、ITOをスパッタで形成する際のプラズマダメージを抑制し、また、第2電極5を透過・侵入する水分や酸素から有機機能層6を保護することができる。また、封止缶7bの材料としては、透明性を有する好適な材料が採用される。
【0053】
このように構成された有機EL装置においては、第1実施形態と同様の効果が得られると共に、封止部7側から有機機能層6の発光を放出させることが可能になる。
【0054】
(第4実施形態)
図15は、本発明の電子機器の一実施形態を示している。本実施形態の電子機器は、上述した有機EL装置1を表示手段として搭載している。図15は、携帯電話の一例を示した斜視図で、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置1を用いた表示部を示している。このように本発明に係る電子機器は、確実にセパレータ形成領域の外部において第2電極同士が接触することにより生じる短絡を防止した有機EL装置1を搭載しているので、例えば、製造コストを低くすることが可能となる。
【0055】
以上、本発明の各実施形態を示したが、本発明はこれらに限定されることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で適宜変更可能である。このような特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で適宜変更したものそれぞれについて本発明の効果を奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL装置の平面図。
【図2】本発明の有機EL装置の内部構成図。
【図3】図1におけるI−I’矢視図。
【図4】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図5】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図6】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図7】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図8】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図9】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図10】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図11】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図12】本発明の一実施形態に係るマスクXの斜視図。
【図13】有機EL装置の製造方法を説明するための説明図。
【図14】本発明の第2実施形態を説明するための説明図。
【図15】本発明の電子機器の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
1……有機EL装置、2……基板、3……第1電極、4……カソードセパレータ(セパレータ)、5……第2電極、6……有機機能層、7……封止部、8……接続端子、9……絶縁膜、A……発光領域、B……カソードセパレータ形成領域、X……マスク、X1……開口部、X1a,X1b……端部

Claims (5)

  1. 電極間に有機機能層が形成されてなる有機EL装置の製造方法であって、
    複数の第1電極を基板上に形成する第1電極形成工程と、
    第1電極と交差する方向に絶縁物質からなるセパレータを形成するセパレータ形成工程と、
    第1電極上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、
    第2電極をセパレータ間に形成する第2電極形成工程と、
    第1電極、有機機能層、セパレータ及び第2電極が形成された基板を封止部によって封止する封止工程と、
    を有し、
    第2電極形成工程において、第2電極の両端部がセパレータの両端部より外側に突出しないように前記第2電極を形成する
    ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  2. 第2電極形成工程において、開口部の端部がセパレータの延在方向の両端部よりセパレータの高さ以上基板の中心寄りに位置するように設定されたマスクを用いて第2電極を形成することを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 基板の外部に電気的に接続する接続部は、セパレータの延在方向の両端部より基板の中心寄りに設置されており、前記第2電極形成工程によって、第2電極と接続部は接続されることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL装置の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の有機EL装置の製造方法によって製造されることを特徴とする有機EL装置。
  5. 請求項4記載の有機EL装置を搭載することを特徴とする電子機器。
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