JP2004302346A - 光電気プリント配線板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光I/O部品のセルフアライメント効果を利用した実装に対応し、製造時および使用時における耐環境特性が高い光電気プリント配線板と、その製造方法とを提供する。
【解決手段】光配線基板10と、光配線基板10の上に積層され、光透過部が設けられた電気配線基板11と、を有する光電気プリント配線板1であって、光透過部は、電気配線基板11の中に設けられたくり貫き部18に充填された光透過性樹脂20からなり、光配線基板10に設けられたアライメントマークを基準として、電気配線基板に電極パッド15を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】光配線基板10と、光配線基板10の上に積層され、光透過部が設けられた電気配線基板11と、を有する光電気プリント配線板1であって、光透過部は、電気配線基板11の中に設けられたくり貫き部18に充填された光透過性樹脂20からなり、光配線基板10に設けられたアライメントマークを基準として、電気配線基板に電極パッド15を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光配線基板、及び、電気配線基板からなる光電気プリント配線板とその製造方法に関する。詳しくは、光I/O部品のセルフアライメント効果を利用した実装に対応し、製造時における耐環境特性が高い光電気プリント配線板、及び、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報処理装置の高速化に伴い、高速LSIチップの開発が進められている。このチップを搭載したプリント配線板においては、この高速LSIチップの回路機能が高速になるに伴い、電気配線による信号遅延、クロストーク、及び、EMI(電磁放射ノイズ)などがシステムの性能向上の障害となるという問題が発生している。
【0003】
この問題を解決するために、高速LSIチップ間の光インターコネクション技術の開発が進められている。この光インターコネクション技術は、LSIチップからの電気信号を光信号に変換し、変換された光信号をボード内に形成された光配線を通じて他のLSIチップ、または、受光器に伝送し、伝送された光信号を電気信号に変換する、というものである。この方式は、信号遅延、配線から放射されるEMI、及び、クロストークによる影響がないため、超高速通信を実現するための次世代配線技術として注目されている。
【0004】
従来、この光インターコネクションは、主に長距離伝送用のための光モジュールとして用いられてきた。この光モジュールは、光素子と光ファイバとをパッケージ内で高精度に接合したピッグテール型が主流であった。現在は、ピッグテール型からコネクタ型へ移行しつつあるが、モジュール化する傾向は依然として変わりはない。
【0005】
ここでは、プリント基板上における光ファイバ余長処理やコネクタ接続作業が必要不可欠であるため、この技術は、これらを必要としないプリント基板ベースの電気実装と比較して、コストが高いという問題があった。
【0006】
この問題を解決する技術として、光入出力インタフェースを備え、プリント基板に表面実装が可能な光I/O部品が提供されている。この光I/O部品は、プリント基板の電極パッド上に、一般的に使用されている既存の自動部品実装機、及び、半田リフロー工程をそのまま用いて実装できるものである。
【0007】
この光I/O部品の実装においては、半田の表面張力を利用したセルフアライメント効果が働くので、電極パッド上に高い精度で位置決めすることができる。しかも、一般的に使用されている既存の自動部品実装機、及び、半田リフロー工程をそのまま用いるので、低コストで実装できる。
【0008】
一方、従来の光配線技術としては、ポリイミドフィルムでラミネートした光ファイバを用いたもの(例えば、非特許文献1参照)、プリント配線板の表面に光ファイバを接着したもの(例えば、特許文献1参照)がある。
【0009】
しかし、これらの技術においては、光配線を電気部品、光部品、及び、電気配線と混載させる際に、光配線がプリント配線板の表面に露出しており、設計の自由度が低く、高密度の配線ができないという問題があった。
【0010】
また、フレキシブル光導波路を用いたもの(例えば、非特許文献3参照)、フッ素化ポリイミドの光配線フィルムをプリント基板に貼り合わせたものも提案されている。しかしながら、これらにおいては、光I/O部品のセルフアライメント効果を用いた実装には対応していない。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−227949号
【0012】
【非特許文献1】
N.Niburg et al. 、IEEE Electronic Conponents and Tecnology Conference. 259(1996))、2
【0013】
【非特許文献2】
電気通信学会論文誌 C Vol.J84−C No.9 800(2001)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の技術においては、光配線、及び、電気配線を高密度に混在させ、かつ、光I/O部品のセルフアライメント効果を用いた実装に対応した光電気プリント配線板基板を得るのは困難であった。
【0015】
そこで、この課題を解決するために、本願発明者らは、次に述べる光電気プリント配線板を特願2002−310489において提案した。
【0016】
この光電気プリント配線板は、光ファイバ、及び、45度ミラーを備えた光配線基板と、前記光配線基板の上に当接された電気配線基板と、を有する光電気プリント配線板である。詳しくは、前記電気配線基板には信号光が通過するくり貫き、及び、電極パッドが設けられ、上記電極パッドの周縁上部に樹脂が被覆されている。ここで、45度ミラーとは、板面に対し45度傾斜した反射面を備えた反射ミラーをいう。
【0017】
この光配線基板には、光ファイバ、及び、45度ミラーを備えるための凹溝と、この凹溝に対して位置決めされて形成されたアライメントマークと、が設けられている。上記樹脂は、このアライメントマークを基準とし、スクリーン版を用いて塗布されて、電極パッドの周縁上部に被覆されている。そのため、電極パッドの樹脂に被覆されていない個所は、光の伝送経路に対して位置決めされることとなる。ゆえに、この電極パッドに半田を用いて光I/O部品を実装すれば、半田のセルフアライメント効果により、光I/O部品は、光の伝送経路に対して位置決めされて実装されることとなる。
【0018】
よって、この技術によれば、光配線、及び、電気配線を高密度に混在させた光電気プリント配線板をコンパクト、かつ、容易に作成できる。しかも、この光電気プリント配線板は、セルフアライメント効果を用いた光I/O部品の実装にも対応しているものである。
【0019】
また、この光電気プリント配線板における光配線基板の形成と、電気配線基板の形成と、光配線基板、及び、電気配線基板の積層と、スクリーン版による樹脂の塗布は、従来のプリント配線板の製造技術をそのまま適用している。よって、この光電気プリント配線板の製造にあたっては、特別な製造技術は必要でなく、従来の技術をそのまま適用して、容易に製造することができるものである。
【0020】
しかしながら、この光電気プリント配線板においては、基板内の光配線が電気配線基板のくり貫きを通して空気中に開放されているので、この部位にごみや水を含む薬液が侵入すると、これらの影響により、光透過性が低下するという問題がある。
【0021】
ゆえに、本発明の解決しようとする課題は、光配線基板、及び、電気配線基板からなる光電気プリント配線板と、その製造方法と、を提供することであって、詳しくは、光I/O部品のセルフアライメント効果を利用した実装に対応し、製造時および使用時における耐環境特性が高い光電気プリント配線板と、その製造方法とを提供することである。
【0022】
【課題を解決する手段】
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、光配線基板と、上記光配線基板の上に積層され、光透過部が設けられた電気配線基板と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板である。ここで、光配線基板とは、光信号を伝送可能な光配線と、この光配線に入出力する光信号を90°光路変換する光路変換ユニットと、を備える基板である。この光配線は光ファイバ、または、高分子導波路、もしくは、ガラス光導波路などからなる。電気配線基板とは、電気信号を伝送可能な電気配線を備える基板をいう。光透過部とは、電気配線基板において、その垂直方向から入射された光信号を通過させることのできる部位をいう。
【0023】
この光配線基板において、光路変換ユニットは、光配線の両端に設けられている。すなわち、光配線基板の基板面の垂直方向から、この光路変換ユニットに向けて光信号を入射すると、光信号は、この光路変換ユニットにより90°の光路変換がなされて光配線に送られる。そして、光信号は光配線によって光配線基板の基板面に沿って進み、光信号が光配線から出力されると、光信号は、光路変換ユニットにより基板面に対し90°の光路変換がなされ、基板面の垂直方向に向けて出射される。
【0024】
この光電気プリント配線板は、上記の光配線基板の上に、光透過部を備える電気配線基板を積層した構成としたので、電気配線基板の上から光透過部に向けて光信号を入射すると、光信号は光透過部を通過した後、光路変換ユニットで90°の光路変換がなされて光配線に送られる。
【0025】
次いで、光配線に送られた光信号は、他端の光路変換ユニットにより90°の光路変換がなされて垂直方向に出射され、光透過部を通過して、電気配線基板の上に向けて出射される。
【0026】
よって、この光電気プリント配線板の電気配線基板の光透過部の上に、光信号を入出射可能な光I/O部品を実装すれば、ある光I/O部品から光路変換ユニットに向けて光信号を出射すると、この光信号は光配線を介して別の光I/O部品に送られる。すなわち、光I/O部品間の光伝送が可能となる。
【0027】
請求項2に記載の発明は、前記光透過部は、前記電気配線基板の中に設けられたくり貫き部に充填された光透過性樹脂からなり、上記光透過性樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nm以下の波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1の光電気プリント配線板である。
【0028】
請求項1の発明において、電気配線基板における上記光透過部は、光配線基板と電気配線基板に実装される光I/O部品との間に存在することとなる。この光透過部の構造として、電気配線基板にくり貫き部を設けることが考えられるが、このくり貫き部が単なる空洞であると、光配線が空気中に開放されることとなり、この部位にごみや水等を含む薬液が侵入すると、その影響によって、光の遮断、拡散、及び、乱反射等の原因となり、光透過性が低下する事態となる。
【0029】
そこで、請求項2の発明では、このくり貫き部に樹脂を埋め込み、これらの物質の侵入を防ぐようにしている。
【0030】
一方、この樹脂の埋め込みに換えて、くり貫き部に光透過性樹脂からなる板を嵌め込んで、くり貫き部を外部から遮蔽することが考えられる。この場合も、樹脂の埋め込みの場合と同様に、ごみや薬液の侵入を妨げることができる。
【0031】
しかしながら、この場合は、光電気プリント配線板の中に空間が存在することになり、製造時、または、実装時の加熱により、空間中の空気が膨張し、破損や変形をおこす事態となる。また、光電気プリント配線板が存在する雰囲気の温度変化の影響により、空間中の壁面に結露等が発生し、光電気プリント配線板の光伝送特性に影響を及ぼすこともある。
【0032】
そこで、請求項2の発明においては、くり貫き部の外部からの遮蔽として、上記のくり貫き部に光透過性樹脂を充填する構成としている。さらに、この光透過性樹脂を透過する光信号の減衰を防ぐために、選択すべき光透過性樹脂としては、波長が650nmから900nmの近赤外光での透過率が80%/1mm以上、かつ、該波長帯における屈折率が1.40以上1.56以下の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂が望ましい。このような樹脂は、光信号の透過性に優れ、かつ、光路変換部品の光入出射面において反射損失が小さいので、光電気プリント配線板の使用材料として適している。また、後述するように、製造時の樹脂の硬化において、これらの樹脂は、熱硬化、または、紫外線硬化というプリント配線板の製造において一般的に用いられる技術をそのまま適用することができるものである。
【0033】
請求項3の発明は、光配線基板を形成する工程と、上記光配線基板の上に電気配線基板を積層して積層体を形成する工程と、上記電気配線基板に光透過部を設ける工程と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板の製造方法である。
【0034】
請求項4の発明は、前記光配線基板を形成する工程は、薄膜銅層を備える基材に、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法により、ガイド部、及び、アライメントマークを設ける工程と、上記ガイド部をガイドとして、光配線と光路変換ユニットを上記基材に備える工程と、を有することを特徴とする請求項3記載の光電気プリント配線板の製造方法である。
【0035】
このフォトマスクは、上記のガイド部、及び、アライメントマークに対応した形成パターンを備えた単一のフォトマスクである。基材へのガイド部、及び、アライメントマークの形成は、上述のように、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法によるので、ガイド部、及び、アライメントマークは、互いに高い位置精度で形成される。
【0036】
また、光路変換ユニットは、このガイド部をガイドとして基材に備えられるので、この光路変換ユニットは、アライメントマークに対して、高い位置精度で位置決めされて、配置されることとなる。このアライメントマークの用途については、後述する。
【0037】
請求項5の発明は、くり貫きを施した熱硬化性樹脂含浸シートを介して、前記光配線基板の上にくり貫きを施した前記電気配線基板を熱圧する工程であることを特徴とする請求項3または4の光電気プリント配線板の製造方法である。
【0038】
請求項6の発明は、前記電気配線基板のくり貫き部に、熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化樹脂からなる光透過性樹脂を充填する工程と、上記光透過性樹脂を加熱、または、紫外線照射により硬化させる工程と、を有することを特徴とする請求項3から5のいずれかの光電気プリント配線板の製造方法である。
【0039】
請求項7の発明は、前記電気配線基板に電極パッドを形成する工程を有する請求項4から6のいずれかの光プリント配線板の製造方法であって、前記光配線基板に設けられたアライメントマークを基準として基準穴を設ける工程と、上記基準穴を基準としてフォトマスクを位置合せし、フォトリソ法により上記電極パッドおよび回路パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板の製造方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、光電気プリント配線板1の構成を示す図であり、(a)は上面図である。(b)は光電気プリント配線板1をA−A線で切断した断面図である。
【0041】
この光電気プリント配線板1は、光配線基板10、電気配線基板11、及び、電気配線基板12が、熱硬化性樹脂含浸シート13を介して積層されて形成されている。電気配線基板11には、くり貫き部14が設けられており、このくり貫き部14の中に光透過性樹脂16が充填されている。また、くり貫き部14の周囲には、電極パッド15が設けられている。さらに、電気配線基板11、及び、電気配線基板12の表層に、レジスト層25が形成されている。
【0042】
光配線基板10には、光配線18、及び、光路変換ユニット17が備えられている。この光路変換ユニット17は、くり貫き部14の下方に配置されており、光路変換ユニット17間は、光配線18で結ばれている。
【0043】
光透過性樹脂16は、熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂を用いる。この樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nmの波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の樹脂であれば特に制限はない。この条件を満たすものならば各種の樹脂が使用可能であり、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ、アクリルなどを用いることができる。
【0044】
図2は、光配線基板10を形成する工程の断面を模式的に示す図である。以下に段階を追って説明する。
【0045】
(a)単層、または、多層のガラスエポキシ基板等からなる絶縁基板上に、厚みが35μmの薄膜銅層19が形成された基材20を用意する。
【0046】
(b)基材20に対し、フォトマスク(図示せず)を用いたフォトリソ法により、光路変換ユニット光路変換ユニット17の実装用のガイド部21、表層位置合わせ用のアライメントマーク(図示せず)を形成する。このフォトマスクには、ガイド部21、及び、アライメントマークに対応した形成パターンが設けてあり、ガイド部21と、アライメントマークとは同時に形成される。ガイド部21は、φ1.0+0/−0.02mm程度の凸状形状とする。また、必要に応じて金属配線パターン(図示せず)を形成してもよい。
【0047】
(c)基材20に対し、光配線18を備えた光路変換ユニット17を、ガイド部21を介して実装する。ここでは、光路変換ユニット17にφ1.0+0.02/−0mmの穴を、ガイド部21に対応する箇所に設けておき、この穴と、ガイド部21とを各々を嵌め合うことで実装するものである。
【0048】
上記の光路変換ユニット17は、光配線18に入出力する光信号を90°の光路変換をするための部品であって、この光路変換ユニット17を基材20に実装することにより、光電気プリント配線板1の基板表面に対し、垂直に光の入出射が行えるようになる。
【0049】
なお、ここでは、基材20の薄膜銅層19の厚みを35μmとしているが、これに限定されるものではない。光路変換ユニット17を確実に保持するうえでは、薄膜銅層19の厚みは、20μm以上、70μm以下であればよい。薄膜銅層19の厚みが20μmより小さい場合は、ガイド部21の大きさが小さすぎて、光路変換ユニット17が安定しない。厚みが70μmより大きい場合は、エッチングの精度により、ガイド部21の断面形状が台形となりやすく、ガイド部21と、光路変換ユニット17との嵌め合わせが悪くなる。
【0050】
図3は、光電気プリント配線板1を形成する工程の断面を模式的に示す図である。以下に段階を追って説明する。
【0051】
(a)光配線基板10の上に電気配線基板11を、下に電気配線基板12を、プリプレグ等の熱硬化性樹脂含浸シート13を介し積層し、積層体22を形成する。電気配線基板11、及び、電気配線基板12には、それぞれ、厚みが18μmの薄膜銅層26、及び、薄膜銅層27が形成されている。また、電気配線基板11には、くり抜き部14をあらかじめ形成しておく。このくり貫き部14の加工は、外形加工用のルーターマシンを用いた切削加工でもよいし、金型による押圧加工でもよい。
【0052】
光配線基板10の上の熱硬化性樹脂含浸シート13には、くり貫き部14が施してある部位と同じ箇所に、同形状のくり貫きを施す。このくり貫きの加工は、くり貫き部14の加工と同じく、切削加工、または、金型による押圧加工で行う。切削加工する際は、熱硬化性樹脂含浸シート13が加工熱により変成しないよう、加工速度を、プリント基板の通常の外形加工の60%程度とする。
【0053】
積層は熱プレスで行うが、くり貫き部14の中への熱硬化性樹脂の流入を少なくする必要がある。そのため、熱硬化性樹脂含浸シート13は、樹脂分が25〜28%、フロー時間が100〜140秒のものを用いる。熱プレスのプレス条件は、圧力が10〜15kgf/cm2、温度が180℃で、30分間ホールドする。このようにして得られた積層体22の構成が(b)に示されている。
【0054】
(c)くり貫き部14に光透過性樹脂16を充填し、これを脱泡させながら硬化させる。ここで、光透過性樹脂16は、光信号として使用する光波長帯を考慮し、650nmで93%/1mmのものを用いた。次いで、減圧脱泡後、120℃で3時間加熱することにより硬化させる。
【0055】
(d)電気配線基板11、及び、電気配線基板12の表層に電極パッド15、及び、その他の回路パターン(図示せず)を形成する。まず、光配線基板10のアライメントマークをX線などを用いて認識し、その位置を基準として、積層体30に基準穴(図示せず)をあける。この基準穴は、回路形成用のフォトマスク23及び24の位置合せのために用いられる。この穴明あけは、プリント配線板の製造において一般的に用いられているX線穴明け機を用いる。
【0056】
次いで、この基準穴を基準として、フォトマスク23及び24の位置合せを行う。このフォトマスク23及び24には、電極パッド15、及び、回路パターンに対応した形成パターンと、光配線基板10のアライメントマークに対応した位置合せマークと、が設けられている。次いで、フォトリソ法により、電極パッド15、及び、回路パターンを形成する。
【0057】
(e) レジスト層25を形成し、最後に、この積層体に最終表面処理、及び、外形加工を行って、光電気プリント配線板1を仕上げる。
【0058】
本発明の光電気プリント配線板1は、このような構造、及び、製造方法としているので、耐環境特性を高めた構造をもち、かつ、生産効率の高い製造方法により製造することができる。
【0059】
この方法によれば、電極パッド15は、光配線基板10のアライメントマークを基準として形成されることとなる。すなわち、電極パッド15は、光配線基板10の光信号の軸に対して位置合せされることとなる。
【0060】
よって、電極パッド15において、半田ボールを用いて、光I/O部品(図示せず)を実装すれば、半田のセルフアライメント効果により、光I/O部品は、電極パッド15の中心位置に対して位置合せされて実装される。すなわち、光I/O部品の光軸と、光電気プリント配線板1における光信号の軸と、を容易に一致させることが可能となる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1の光電気プリント配線板は、光配線基板の上に、光透過部が設けられた電気配線基板を積層した構成であるので、光配線、及び、電気配線はそれぞれ個別に形成されて、これらが互いに干渉せず、これらの配線を高密度で設けることができる。
【0062】
請求項2の光電気プリント配線板は、請求項1において、光透過部を、電気配線基板の中に設けられたくり貫き部に充填された光透過性樹脂により形成したので、光配線がごみや薬液などから保護されるとともに、光電気プリント配線板の中の空隙がなくなるので、耐環境特性の高い構成を得ることができる
また、この光透過性樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nm以下の波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂としたので、この光透過部は、光信号の透過性に優れ、かつ、光路変換部品の光入出射面において反射損失が小さく、高い光透過性が確保される。
【0063】
請求項3の光電気プリント配線板の製造方法は、光配線基板を形成する工程と、上記光配線基板の上に電気配線基板を積層して積層体を形成する工程と、上記電気配線基板に光透過部を設ける工程と、を有するものとしたので、この製造方法によれば、光透過部を設けた後の工程は、一般的なプリント基板工程を用いることができ、若いては、光電気プリント配線板を容易に得ることができるものである。
【0064】
請求項4の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項3において、薄膜銅層を備える基材に、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法により、ガイド部、及び、アライメントマークを設ける工程と、ガイド部をガイドとして、光路変換ユニットを上記基材に実装する工程と、光路変換ユニットに光配線を接続する工程と、を有するものとしたので、光配線基板を得るにあたっては、プリント基板の製造において、一般的に使われている技術をそのまま適用することができるものである。
【0065】
請求項5の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項3または4において、くり貫きを施した熱硬化性樹脂含浸シートを介して、光配線基板の上にくり貫きを施した電気配線基板を熱圧して積層する工程としたので、光配線基板、及び、電気配線基板の積層は、プリント基板の製造において一般的に用いられている熱硬化性樹脂含浸シートと、これを介しての熱圧積層の技術と、をそのまま適用することができるものである。
【0066】
請求項6の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項3から5のいずれかにおいて、、電気配線基板のくり貫きに熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化樹脂からなる光透過性樹脂を充填する工程と、上記光透過性樹脂を加熱、または、紫外線照射により硬化させる工程と、を有するものとしたので、光透過部の形成は、従来の技術をそのまま適用して、容易にできるものである。
【0067】
請求項7の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項4から6のいずれかにおいて、電気配線基板に電極パッドを形成する工程を有するものであって、光配線基板に設けられたアライメントマークを基準として、積層体に基準穴を設ける工程と、この基準穴を基準としてフォトマスクを位置合せし、フォトリソ法により電極パッドおよび回路パターンを形成する工程と、を有するものであるので、電極パッドは、光配線に対して位置決めされて形成されることとなり、この電極パッドに半田を用いて光I/O部品を実装すれば、この光I/O部品は、半田のセルフアライメント効果により、光配線に対して位置決めされて実装されることとなる。すなわち、この方法によれば、光I/O部品のセルフアライメント効果を用いた実装に対応した電極パッドが形成されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】光電気プリント配線板の構成を示す図。
【図2】光配線基板を形成する工程を示す図。
【図3】光電気プリント配線板を形成する工程を示す図。
【符号の説明】
1 光電気プリント配線板
10 光配線基板
11 電気配線基板
12 電気配線基板
13 熱硬化性樹脂含浸シート
14 くり貫き部
15 電極パッド
16 光透過性樹脂
17 光路変換ユニット
18 光配線
19 薄膜銅層
20 基材
21 ガイド部
22 積層体
23 フォトマスク
24 フォトマスク
25 レジスト層
26 薄膜銅層
27 薄膜銅層
【発明の属する技術分野】
本発明は、光配線基板、及び、電気配線基板からなる光電気プリント配線板とその製造方法に関する。詳しくは、光I/O部品のセルフアライメント効果を利用した実装に対応し、製造時における耐環境特性が高い光電気プリント配線板、及び、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報処理装置の高速化に伴い、高速LSIチップの開発が進められている。このチップを搭載したプリント配線板においては、この高速LSIチップの回路機能が高速になるに伴い、電気配線による信号遅延、クロストーク、及び、EMI(電磁放射ノイズ)などがシステムの性能向上の障害となるという問題が発生している。
【0003】
この問題を解決するために、高速LSIチップ間の光インターコネクション技術の開発が進められている。この光インターコネクション技術は、LSIチップからの電気信号を光信号に変換し、変換された光信号をボード内に形成された光配線を通じて他のLSIチップ、または、受光器に伝送し、伝送された光信号を電気信号に変換する、というものである。この方式は、信号遅延、配線から放射されるEMI、及び、クロストークによる影響がないため、超高速通信を実現するための次世代配線技術として注目されている。
【0004】
従来、この光インターコネクションは、主に長距離伝送用のための光モジュールとして用いられてきた。この光モジュールは、光素子と光ファイバとをパッケージ内で高精度に接合したピッグテール型が主流であった。現在は、ピッグテール型からコネクタ型へ移行しつつあるが、モジュール化する傾向は依然として変わりはない。
【0005】
ここでは、プリント基板上における光ファイバ余長処理やコネクタ接続作業が必要不可欠であるため、この技術は、これらを必要としないプリント基板ベースの電気実装と比較して、コストが高いという問題があった。
【0006】
この問題を解決する技術として、光入出力インタフェースを備え、プリント基板に表面実装が可能な光I/O部品が提供されている。この光I/O部品は、プリント基板の電極パッド上に、一般的に使用されている既存の自動部品実装機、及び、半田リフロー工程をそのまま用いて実装できるものである。
【0007】
この光I/O部品の実装においては、半田の表面張力を利用したセルフアライメント効果が働くので、電極パッド上に高い精度で位置決めすることができる。しかも、一般的に使用されている既存の自動部品実装機、及び、半田リフロー工程をそのまま用いるので、低コストで実装できる。
【0008】
一方、従来の光配線技術としては、ポリイミドフィルムでラミネートした光ファイバを用いたもの(例えば、非特許文献1参照)、プリント配線板の表面に光ファイバを接着したもの(例えば、特許文献1参照)がある。
【0009】
しかし、これらの技術においては、光配線を電気部品、光部品、及び、電気配線と混載させる際に、光配線がプリント配線板の表面に露出しており、設計の自由度が低く、高密度の配線ができないという問題があった。
【0010】
また、フレキシブル光導波路を用いたもの(例えば、非特許文献3参照)、フッ素化ポリイミドの光配線フィルムをプリント基板に貼り合わせたものも提案されている。しかしながら、これらにおいては、光I/O部品のセルフアライメント効果を用いた実装には対応していない。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−227949号
【0012】
【非特許文献1】
N.Niburg et al. 、IEEE Electronic Conponents and Tecnology Conference. 259(1996))、2
【0013】
【非特許文献2】
電気通信学会論文誌 C Vol.J84−C No.9 800(2001)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の技術においては、光配線、及び、電気配線を高密度に混在させ、かつ、光I/O部品のセルフアライメント効果を用いた実装に対応した光電気プリント配線板基板を得るのは困難であった。
【0015】
そこで、この課題を解決するために、本願発明者らは、次に述べる光電気プリント配線板を特願2002−310489において提案した。
【0016】
この光電気プリント配線板は、光ファイバ、及び、45度ミラーを備えた光配線基板と、前記光配線基板の上に当接された電気配線基板と、を有する光電気プリント配線板である。詳しくは、前記電気配線基板には信号光が通過するくり貫き、及び、電極パッドが設けられ、上記電極パッドの周縁上部に樹脂が被覆されている。ここで、45度ミラーとは、板面に対し45度傾斜した反射面を備えた反射ミラーをいう。
【0017】
この光配線基板には、光ファイバ、及び、45度ミラーを備えるための凹溝と、この凹溝に対して位置決めされて形成されたアライメントマークと、が設けられている。上記樹脂は、このアライメントマークを基準とし、スクリーン版を用いて塗布されて、電極パッドの周縁上部に被覆されている。そのため、電極パッドの樹脂に被覆されていない個所は、光の伝送経路に対して位置決めされることとなる。ゆえに、この電極パッドに半田を用いて光I/O部品を実装すれば、半田のセルフアライメント効果により、光I/O部品は、光の伝送経路に対して位置決めされて実装されることとなる。
【0018】
よって、この技術によれば、光配線、及び、電気配線を高密度に混在させた光電気プリント配線板をコンパクト、かつ、容易に作成できる。しかも、この光電気プリント配線板は、セルフアライメント効果を用いた光I/O部品の実装にも対応しているものである。
【0019】
また、この光電気プリント配線板における光配線基板の形成と、電気配線基板の形成と、光配線基板、及び、電気配線基板の積層と、スクリーン版による樹脂の塗布は、従来のプリント配線板の製造技術をそのまま適用している。よって、この光電気プリント配線板の製造にあたっては、特別な製造技術は必要でなく、従来の技術をそのまま適用して、容易に製造することができるものである。
【0020】
しかしながら、この光電気プリント配線板においては、基板内の光配線が電気配線基板のくり貫きを通して空気中に開放されているので、この部位にごみや水を含む薬液が侵入すると、これらの影響により、光透過性が低下するという問題がある。
【0021】
ゆえに、本発明の解決しようとする課題は、光配線基板、及び、電気配線基板からなる光電気プリント配線板と、その製造方法と、を提供することであって、詳しくは、光I/O部品のセルフアライメント効果を利用した実装に対応し、製造時および使用時における耐環境特性が高い光電気プリント配線板と、その製造方法とを提供することである。
【0022】
【課題を解決する手段】
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、光配線基板と、上記光配線基板の上に積層され、光透過部が設けられた電気配線基板と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板である。ここで、光配線基板とは、光信号を伝送可能な光配線と、この光配線に入出力する光信号を90°光路変換する光路変換ユニットと、を備える基板である。この光配線は光ファイバ、または、高分子導波路、もしくは、ガラス光導波路などからなる。電気配線基板とは、電気信号を伝送可能な電気配線を備える基板をいう。光透過部とは、電気配線基板において、その垂直方向から入射された光信号を通過させることのできる部位をいう。
【0023】
この光配線基板において、光路変換ユニットは、光配線の両端に設けられている。すなわち、光配線基板の基板面の垂直方向から、この光路変換ユニットに向けて光信号を入射すると、光信号は、この光路変換ユニットにより90°の光路変換がなされて光配線に送られる。そして、光信号は光配線によって光配線基板の基板面に沿って進み、光信号が光配線から出力されると、光信号は、光路変換ユニットにより基板面に対し90°の光路変換がなされ、基板面の垂直方向に向けて出射される。
【0024】
この光電気プリント配線板は、上記の光配線基板の上に、光透過部を備える電気配線基板を積層した構成としたので、電気配線基板の上から光透過部に向けて光信号を入射すると、光信号は光透過部を通過した後、光路変換ユニットで90°の光路変換がなされて光配線に送られる。
【0025】
次いで、光配線に送られた光信号は、他端の光路変換ユニットにより90°の光路変換がなされて垂直方向に出射され、光透過部を通過して、電気配線基板の上に向けて出射される。
【0026】
よって、この光電気プリント配線板の電気配線基板の光透過部の上に、光信号を入出射可能な光I/O部品を実装すれば、ある光I/O部品から光路変換ユニットに向けて光信号を出射すると、この光信号は光配線を介して別の光I/O部品に送られる。すなわち、光I/O部品間の光伝送が可能となる。
【0027】
請求項2に記載の発明は、前記光透過部は、前記電気配線基板の中に設けられたくり貫き部に充填された光透過性樹脂からなり、上記光透過性樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nm以下の波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1の光電気プリント配線板である。
【0028】
請求項1の発明において、電気配線基板における上記光透過部は、光配線基板と電気配線基板に実装される光I/O部品との間に存在することとなる。この光透過部の構造として、電気配線基板にくり貫き部を設けることが考えられるが、このくり貫き部が単なる空洞であると、光配線が空気中に開放されることとなり、この部位にごみや水等を含む薬液が侵入すると、その影響によって、光の遮断、拡散、及び、乱反射等の原因となり、光透過性が低下する事態となる。
【0029】
そこで、請求項2の発明では、このくり貫き部に樹脂を埋め込み、これらの物質の侵入を防ぐようにしている。
【0030】
一方、この樹脂の埋め込みに換えて、くり貫き部に光透過性樹脂からなる板を嵌め込んで、くり貫き部を外部から遮蔽することが考えられる。この場合も、樹脂の埋め込みの場合と同様に、ごみや薬液の侵入を妨げることができる。
【0031】
しかしながら、この場合は、光電気プリント配線板の中に空間が存在することになり、製造時、または、実装時の加熱により、空間中の空気が膨張し、破損や変形をおこす事態となる。また、光電気プリント配線板が存在する雰囲気の温度変化の影響により、空間中の壁面に結露等が発生し、光電気プリント配線板の光伝送特性に影響を及ぼすこともある。
【0032】
そこで、請求項2の発明においては、くり貫き部の外部からの遮蔽として、上記のくり貫き部に光透過性樹脂を充填する構成としている。さらに、この光透過性樹脂を透過する光信号の減衰を防ぐために、選択すべき光透過性樹脂としては、波長が650nmから900nmの近赤外光での透過率が80%/1mm以上、かつ、該波長帯における屈折率が1.40以上1.56以下の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂が望ましい。このような樹脂は、光信号の透過性に優れ、かつ、光路変換部品の光入出射面において反射損失が小さいので、光電気プリント配線板の使用材料として適している。また、後述するように、製造時の樹脂の硬化において、これらの樹脂は、熱硬化、または、紫外線硬化というプリント配線板の製造において一般的に用いられる技術をそのまま適用することができるものである。
【0033】
請求項3の発明は、光配線基板を形成する工程と、上記光配線基板の上に電気配線基板を積層して積層体を形成する工程と、上記電気配線基板に光透過部を設ける工程と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板の製造方法である。
【0034】
請求項4の発明は、前記光配線基板を形成する工程は、薄膜銅層を備える基材に、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法により、ガイド部、及び、アライメントマークを設ける工程と、上記ガイド部をガイドとして、光配線と光路変換ユニットを上記基材に備える工程と、を有することを特徴とする請求項3記載の光電気プリント配線板の製造方法である。
【0035】
このフォトマスクは、上記のガイド部、及び、アライメントマークに対応した形成パターンを備えた単一のフォトマスクである。基材へのガイド部、及び、アライメントマークの形成は、上述のように、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法によるので、ガイド部、及び、アライメントマークは、互いに高い位置精度で形成される。
【0036】
また、光路変換ユニットは、このガイド部をガイドとして基材に備えられるので、この光路変換ユニットは、アライメントマークに対して、高い位置精度で位置決めされて、配置されることとなる。このアライメントマークの用途については、後述する。
【0037】
請求項5の発明は、くり貫きを施した熱硬化性樹脂含浸シートを介して、前記光配線基板の上にくり貫きを施した前記電気配線基板を熱圧する工程であることを特徴とする請求項3または4の光電気プリント配線板の製造方法である。
【0038】
請求項6の発明は、前記電気配線基板のくり貫き部に、熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化樹脂からなる光透過性樹脂を充填する工程と、上記光透過性樹脂を加熱、または、紫外線照射により硬化させる工程と、を有することを特徴とする請求項3から5のいずれかの光電気プリント配線板の製造方法である。
【0039】
請求項7の発明は、前記電気配線基板に電極パッドを形成する工程を有する請求項4から6のいずれかの光プリント配線板の製造方法であって、前記光配線基板に設けられたアライメントマークを基準として基準穴を設ける工程と、上記基準穴を基準としてフォトマスクを位置合せし、フォトリソ法により上記電極パッドおよび回路パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板の製造方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、光電気プリント配線板1の構成を示す図であり、(a)は上面図である。(b)は光電気プリント配線板1をA−A線で切断した断面図である。
【0041】
この光電気プリント配線板1は、光配線基板10、電気配線基板11、及び、電気配線基板12が、熱硬化性樹脂含浸シート13を介して積層されて形成されている。電気配線基板11には、くり貫き部14が設けられており、このくり貫き部14の中に光透過性樹脂16が充填されている。また、くり貫き部14の周囲には、電極パッド15が設けられている。さらに、電気配線基板11、及び、電気配線基板12の表層に、レジスト層25が形成されている。
【0042】
光配線基板10には、光配線18、及び、光路変換ユニット17が備えられている。この光路変換ユニット17は、くり貫き部14の下方に配置されており、光路変換ユニット17間は、光配線18で結ばれている。
【0043】
光透過性樹脂16は、熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂を用いる。この樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nmの波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の樹脂であれば特に制限はない。この条件を満たすものならば各種の樹脂が使用可能であり、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ、アクリルなどを用いることができる。
【0044】
図2は、光配線基板10を形成する工程の断面を模式的に示す図である。以下に段階を追って説明する。
【0045】
(a)単層、または、多層のガラスエポキシ基板等からなる絶縁基板上に、厚みが35μmの薄膜銅層19が形成された基材20を用意する。
【0046】
(b)基材20に対し、フォトマスク(図示せず)を用いたフォトリソ法により、光路変換ユニット光路変換ユニット17の実装用のガイド部21、表層位置合わせ用のアライメントマーク(図示せず)を形成する。このフォトマスクには、ガイド部21、及び、アライメントマークに対応した形成パターンが設けてあり、ガイド部21と、アライメントマークとは同時に形成される。ガイド部21は、φ1.0+0/−0.02mm程度の凸状形状とする。また、必要に応じて金属配線パターン(図示せず)を形成してもよい。
【0047】
(c)基材20に対し、光配線18を備えた光路変換ユニット17を、ガイド部21を介して実装する。ここでは、光路変換ユニット17にφ1.0+0.02/−0mmの穴を、ガイド部21に対応する箇所に設けておき、この穴と、ガイド部21とを各々を嵌め合うことで実装するものである。
【0048】
上記の光路変換ユニット17は、光配線18に入出力する光信号を90°の光路変換をするための部品であって、この光路変換ユニット17を基材20に実装することにより、光電気プリント配線板1の基板表面に対し、垂直に光の入出射が行えるようになる。
【0049】
なお、ここでは、基材20の薄膜銅層19の厚みを35μmとしているが、これに限定されるものではない。光路変換ユニット17を確実に保持するうえでは、薄膜銅層19の厚みは、20μm以上、70μm以下であればよい。薄膜銅層19の厚みが20μmより小さい場合は、ガイド部21の大きさが小さすぎて、光路変換ユニット17が安定しない。厚みが70μmより大きい場合は、エッチングの精度により、ガイド部21の断面形状が台形となりやすく、ガイド部21と、光路変換ユニット17との嵌め合わせが悪くなる。
【0050】
図3は、光電気プリント配線板1を形成する工程の断面を模式的に示す図である。以下に段階を追って説明する。
【0051】
(a)光配線基板10の上に電気配線基板11を、下に電気配線基板12を、プリプレグ等の熱硬化性樹脂含浸シート13を介し積層し、積層体22を形成する。電気配線基板11、及び、電気配線基板12には、それぞれ、厚みが18μmの薄膜銅層26、及び、薄膜銅層27が形成されている。また、電気配線基板11には、くり抜き部14をあらかじめ形成しておく。このくり貫き部14の加工は、外形加工用のルーターマシンを用いた切削加工でもよいし、金型による押圧加工でもよい。
【0052】
光配線基板10の上の熱硬化性樹脂含浸シート13には、くり貫き部14が施してある部位と同じ箇所に、同形状のくり貫きを施す。このくり貫きの加工は、くり貫き部14の加工と同じく、切削加工、または、金型による押圧加工で行う。切削加工する際は、熱硬化性樹脂含浸シート13が加工熱により変成しないよう、加工速度を、プリント基板の通常の外形加工の60%程度とする。
【0053】
積層は熱プレスで行うが、くり貫き部14の中への熱硬化性樹脂の流入を少なくする必要がある。そのため、熱硬化性樹脂含浸シート13は、樹脂分が25〜28%、フロー時間が100〜140秒のものを用いる。熱プレスのプレス条件は、圧力が10〜15kgf/cm2、温度が180℃で、30分間ホールドする。このようにして得られた積層体22の構成が(b)に示されている。
【0054】
(c)くり貫き部14に光透過性樹脂16を充填し、これを脱泡させながら硬化させる。ここで、光透過性樹脂16は、光信号として使用する光波長帯を考慮し、650nmで93%/1mmのものを用いた。次いで、減圧脱泡後、120℃で3時間加熱することにより硬化させる。
【0055】
(d)電気配線基板11、及び、電気配線基板12の表層に電極パッド15、及び、その他の回路パターン(図示せず)を形成する。まず、光配線基板10のアライメントマークをX線などを用いて認識し、その位置を基準として、積層体30に基準穴(図示せず)をあける。この基準穴は、回路形成用のフォトマスク23及び24の位置合せのために用いられる。この穴明あけは、プリント配線板の製造において一般的に用いられているX線穴明け機を用いる。
【0056】
次いで、この基準穴を基準として、フォトマスク23及び24の位置合せを行う。このフォトマスク23及び24には、電極パッド15、及び、回路パターンに対応した形成パターンと、光配線基板10のアライメントマークに対応した位置合せマークと、が設けられている。次いで、フォトリソ法により、電極パッド15、及び、回路パターンを形成する。
【0057】
(e) レジスト層25を形成し、最後に、この積層体に最終表面処理、及び、外形加工を行って、光電気プリント配線板1を仕上げる。
【0058】
本発明の光電気プリント配線板1は、このような構造、及び、製造方法としているので、耐環境特性を高めた構造をもち、かつ、生産効率の高い製造方法により製造することができる。
【0059】
この方法によれば、電極パッド15は、光配線基板10のアライメントマークを基準として形成されることとなる。すなわち、電極パッド15は、光配線基板10の光信号の軸に対して位置合せされることとなる。
【0060】
よって、電極パッド15において、半田ボールを用いて、光I/O部品(図示せず)を実装すれば、半田のセルフアライメント効果により、光I/O部品は、電極パッド15の中心位置に対して位置合せされて実装される。すなわち、光I/O部品の光軸と、光電気プリント配線板1における光信号の軸と、を容易に一致させることが可能となる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1の光電気プリント配線板は、光配線基板の上に、光透過部が設けられた電気配線基板を積層した構成であるので、光配線、及び、電気配線はそれぞれ個別に形成されて、これらが互いに干渉せず、これらの配線を高密度で設けることができる。
【0062】
請求項2の光電気プリント配線板は、請求項1において、光透過部を、電気配線基板の中に設けられたくり貫き部に充填された光透過性樹脂により形成したので、光配線がごみや薬液などから保護されるとともに、光電気プリント配線板の中の空隙がなくなるので、耐環境特性の高い構成を得ることができる
また、この光透過性樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nm以下の波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂としたので、この光透過部は、光信号の透過性に優れ、かつ、光路変換部品の光入出射面において反射損失が小さく、高い光透過性が確保される。
【0063】
請求項3の光電気プリント配線板の製造方法は、光配線基板を形成する工程と、上記光配線基板の上に電気配線基板を積層して積層体を形成する工程と、上記電気配線基板に光透過部を設ける工程と、を有するものとしたので、この製造方法によれば、光透過部を設けた後の工程は、一般的なプリント基板工程を用いることができ、若いては、光電気プリント配線板を容易に得ることができるものである。
【0064】
請求項4の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項3において、薄膜銅層を備える基材に、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法により、ガイド部、及び、アライメントマークを設ける工程と、ガイド部をガイドとして、光路変換ユニットを上記基材に実装する工程と、光路変換ユニットに光配線を接続する工程と、を有するものとしたので、光配線基板を得るにあたっては、プリント基板の製造において、一般的に使われている技術をそのまま適用することができるものである。
【0065】
請求項5の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項3または4において、くり貫きを施した熱硬化性樹脂含浸シートを介して、光配線基板の上にくり貫きを施した電気配線基板を熱圧して積層する工程としたので、光配線基板、及び、電気配線基板の積層は、プリント基板の製造において一般的に用いられている熱硬化性樹脂含浸シートと、これを介しての熱圧積層の技術と、をそのまま適用することができるものである。
【0066】
請求項6の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項3から5のいずれかにおいて、、電気配線基板のくり貫きに熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化樹脂からなる光透過性樹脂を充填する工程と、上記光透過性樹脂を加熱、または、紫外線照射により硬化させる工程と、を有するものとしたので、光透過部の形成は、従来の技術をそのまま適用して、容易にできるものである。
【0067】
請求項7の光電気プリント配線板の製造方法は、請求項4から6のいずれかにおいて、電気配線基板に電極パッドを形成する工程を有するものであって、光配線基板に設けられたアライメントマークを基準として、積層体に基準穴を設ける工程と、この基準穴を基準としてフォトマスクを位置合せし、フォトリソ法により電極パッドおよび回路パターンを形成する工程と、を有するものであるので、電極パッドは、光配線に対して位置決めされて形成されることとなり、この電極パッドに半田を用いて光I/O部品を実装すれば、この光I/O部品は、半田のセルフアライメント効果により、光配線に対して位置決めされて実装されることとなる。すなわち、この方法によれば、光I/O部品のセルフアライメント効果を用いた実装に対応した電極パッドが形成されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】光電気プリント配線板の構成を示す図。
【図2】光配線基板を形成する工程を示す図。
【図3】光電気プリント配線板を形成する工程を示す図。
【符号の説明】
1 光電気プリント配線板
10 光配線基板
11 電気配線基板
12 電気配線基板
13 熱硬化性樹脂含浸シート
14 くり貫き部
15 電極パッド
16 光透過性樹脂
17 光路変換ユニット
18 光配線
19 薄膜銅層
20 基材
21 ガイド部
22 積層体
23 フォトマスク
24 フォトマスク
25 レジスト層
26 薄膜銅層
27 薄膜銅層
Claims (7)
- 光配線基板と、上記光配線基板の上に積層され、光透過部が設けられた電気配線基板と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板。
- 前記光透過部は、前記電気配線基板の中に設けられたくり貫き部に充填された光透過性樹脂からなり、上記光透過性樹脂は、屈折率が1.40以上1.56以下で、かつ、650nm以上900nm以下の波長の近赤外光での透過率が80%/1mm以上の熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1の光電気プリント配線板。
- 光配線基板を形成する工程と、上記光配線基板の上に電気配線基板を積層して積層体を形成する工程と、上記電気配線基板に光透過部を設ける工程と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板の製造方法。
- 前記光配線基板を形成する工程は、薄膜銅層を備える基材に、単一のフォトマスクを用いたフォトリソ法により、ガイド部、及び、アライメントマークを設ける工程と、上記ガイド部をガイドとして、光配線と光路変換ユニットを上記基材に備える工程と、を有することを特徴とする請求項3の光電気プリント配線板の製造方法。
- 前記光配線基板の上に前記電気配線基板を積層する工程は、くり貫きを施した熱硬化性樹脂含浸シートを介して、前記光配線基板の上にくり貫きを施した前記電気配線基板を熱圧する工程であること、を特徴とする請求項3または4の光電気プリント配線板の製造方法。
- 前記光透過部を設ける工程は、前記電気配線基板のくり貫きに、熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化樹脂からなる光透過性樹脂を充填する工程と、上記光透過性樹脂を加熱、または、紫外線照射により硬化させる工程と、を有することを特徴とする請求項3から5のいずれかの光電気プリント配線板の製造方法。
- 前記電気配線基板に電極パッドと回路パターンを形成する工程を有する請求項4から6のいずれかの光プリント配線板の製造方法であって、前記光配線基板に設けられたアライメントマークを基準として、前記積層体に基準穴を設ける工程と、上記基準穴を基準としてフォトマスクを位置合せし、フォトリソ法により上記電極パッドおよび回路パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする光電気プリント配線板の製造方法。
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JP (1) | JP2004302346A (ja) |
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2003
- 2003-04-01 JP JP2003097755A patent/JP2004302346A/ja active Pending
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