JP2004302223A - 表示シートおよびこれを用いた表示システム - Google Patents
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Abstract
【課題】透明部材に投射しても高い色再現性及び輝度で鮮明な表示像(又は高品質画像)を表示できる表示シート及び表示システムを提供する。
【解決手段】透明部材2の面に表示シート3を配設し、この表示シートに対して投射手段1により斜め方向から投射像を投射し、表示シート3の表示面で投射像を表示する。前記表示シート3は、透明樹脂(セルロースエステル類など)と、この透明樹脂中に傾斜して配向した反射性板状粒子(表面が酸化チタンで被覆されたタルクなど)とで構成されており、前記板状粒子の板面は、投射手段1からの投影像を表示面の前方方向に反射させる。
【選択図】 図1
【解決手段】透明部材2の面に表示シート3を配設し、この表示シートに対して投射手段1により斜め方向から投射像を投射し、表示シート3の表示面で投射像を表示する。前記表示シート3は、透明樹脂(セルロースエステル類など)と、この透明樹脂中に傾斜して配向した反射性板状粒子(表面が酸化チタンで被覆されたタルクなど)とで構成されており、前記板状粒子の板面は、投射手段1からの投影像を表示面の前方方向に反射させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ショーウィンドウなどの透明部材に、投射手段からの投射像を表示できる表示シート、この表示シートを含む表示システム及び表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窓ガラスやショーウィンドウなどの透明部材にカラー画像などの投影像を表示するため、透明部材に貼着した機能性フィルムに対して斜め方向から投射像を投射し、投射像を表示フィルムの表示面で表示させるシステム(いわゆるウィンドウディスプレーシステム)が知られている。このシステムは、新たな広告手段や表示手段として注目されている。
【0003】
特開平9−33856号公報には、透明部材と、この透明部材に設けた透明な表示フィルムと、この表示フィルムに情報像を表示するための表示手段(スライド投影機など)とで構成された表示装置が開示されている。この文献では、表示フィルムとして、ホログラム光学素子や、視界制御フィルム(ルーバーフィルム)が記載されている。しかし、ホログラム光学素子は高価であるだけでなく、光の干渉作用が生じるため、投射された画像の色再現性が低下する。また、ルーバーフィルムでは、フィルム内のルーバーにより表示面の輝度が低下する。そのため、高い輝度で鮮明な画像を表示することが困難である。
【0004】
また、上記システムでは、投射手段からの投射像の投射方向と表示シートの表示方向とが相違する。例えば、ショーウィンドウで画像を表示する場合、ショーウィンドウ領域から外れた部位(例えば、壁面の上部など)に取り付けられた投射機から投射像を投射し、表示フィルムは、ショーウィンドウのうち観察者の目線と同等の高さ域に取り付けられる。そのため、投射機と表示フィルムとが正対せず、表示フィルムに対して投射手段から斜め方向に投射された投射像は、表示フィルムの表示面で歪んだ画像として表示される。特に、投射機と表示フィルムとの距離が大きくなると、投射像の表示品位(鮮明度など)が低減する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、透明部材に投射しても鮮明な表示像(又は高品質画像)を表示できる表示シート、この表示シートを用いた表示システム並びに表示方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、高い色再現性及び輝度で鮮明な投射像を表示できる表示シート、この表示シートを用いた表示システム並びに表示方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、歪みのない鮮明な像を透明部材に表示できる表示シート、この表示シートを用いた表示システム並びに表示方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ショーウィンドウなどの透明部材の表示面に貼着する光学フィルムとして、透明樹脂の連続相に、斜め方向からの投射像を透明部材の表示面方向に反射する反射性微粒子が分散したシートを利用すると、透明部材の表示面に鮮明な画像を表示できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の表示シートは、透明部材の少なくとも一方の面に配設され、かつ配設部位に対して斜め方向から投射された投射像を表示するための表示シートであって、透明樹脂中に反射性板状粒子が配向して分散し、かつ前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している。この表示シートにおいて、板状粒子の板面の傾斜角度は、表示面で投射像を表示可能な範囲で傾斜している限り特に制限されず、板状粒子の板面が、投射手段からの投影像を配設部位の表示面の前方方向に反射する角度で傾斜していればよい。なお、投射像は、表示面に対して斜め方向から投射すればよく、例えば、表示面の後方に配設された投射手段から投射光を投射してもよい。反射性板状粒子は金属又は金属酸化物(酸化チタンなど)で被覆された粒子であってもよい。また、透明部材による透視性を高めるため、表示シートは、直進光線に対して透過可能である。反射性板状粒子は、斜め方向からの投射像を表示面側に反射可能である限り、板状粒子の平均直径は特に制限されず、例えば、平均直径5〜1000μm程度であってもよい。さらに、シートの厚みは50〜1000μm程度であってもよい。このような表示シートは、セルロースエステル類、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂から選択された透明樹脂の連続相と、雲母類、タルク、モンモリロナイト類から選択され、かつ反射性を有する少なくとも一種の反射性板状粒子の分散相とで構成してもよい。板状粒子の使用割合は、例えば、透明樹脂100重量部に対して板状粒子0.1〜50重量部程度であってもよい。
【0010】
本発明の表示システムは、透明部材の少なくとも一方の面に配設するための表示シートと、この表示シートに対して斜め方向から投射像を投射するための投射手段とで構成されている。このシステムにおいて、前記表示シートは、透明樹脂と、この透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子とで構成されており、前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している。このシステムにおいて、投射手段は、透明部材の表示シートに対して斜め上後方に配設してもよい。
【0011】
本発明は、透明部材の少なくとも一方の面に配設された表示シートに対して、斜め方向から投射像を投射し、この投射像を前記表示シートの表示面に表示する方法であって、前記表示シートが、透明樹脂とこの透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子とで構成されており、この板状粒子により、前記投射像を表示面側に反射して投射像を表示する方法も包含する。
【0012】
なお、本明細書において、透明部材に配設された表示シートの表示面(表示面の正面又は観察者)方向を前方(又は前面方向)と称し、表示面に対する反対方向を後方(又は背面方向)と称する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、必要により添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0014】
[表示シート、表示システム及び表示方法]
図1は本発明の表示システムの一例を示す概略図であり、図2は図1の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。
【0015】
前記表示システムは、投射像を投射可能な投射手段(又は投影機)1と、この投影手段からの投射像を、ウィンドウなどの透明部材2の所定の表示域で表示するための表示シート3とを備えている。この表示シートは前記透明部材の所定の表示域に貼着可能である。この表示システムでは、投射手段1は、表示シート3に対して斜め上後方に配設されている。
【0016】
そして、前記表示シート3は、透明樹脂3aと、この樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子3bとで構成されており、反射性板状粒子3bの板面は、投射手段1からの投射像を表示シート3の表示面の前方方向に反射するため、シート面に対して傾斜している。すなわち、板状粒子3bの板面に対する投射手段からの投射像の入射角(板状粒子3bの板面と投射方向との角度)をθ1(0°<θ1<90°)、表示シート3の表示面に対する板状粒子3bの板面の角度(板状粒子3bの板面と表示シート3の表示面との角度)をθ2とし、表示シート3の表示面から角度θ3(例えば、90°)で投射像が出射すると仮定すると、板面に対して角度θ1で表示シート3に入射した投射像は、板状粒子3bの板面で反射され、表示シート3の表示面から角度θ3(例えば、90°)で出射する。そのため、関係式θ1+θ2=θ3(例えば、90°)が成立する。従って、表示シート3の表示面に対して板状粒子3bの板面を所定の角度θ2(=θ3−θ1)で傾斜させ、斜め上後方の投射手段から投射された投射像を、板状粒子3bによって、表示シート3の表示面の正面方向に反射し表示している。このような表示システムでは、表示面の正面方向に対して、輝度を低下させることなく、投射像を投射でき、投射像の歪みを低減でき、鮮明な高品質画像を表示できる。
【0017】
図3は本発明の表示システムの他の例を示す概略図であり、図4は図3の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。なお、図1及び図2と同様の要素又は部材には同一の符号を付して説明する。
【0018】
この例の表示システムは、ウィンドウなどの透明部材2の所定の表示域に貼着可能な表示シート13を備えており、この表示シート13(又は表示域)には、投射手段(又は投影機)1により斜め上前方から投射像が投射される。すなわち、表示シート13に対して前方の上部に配設された投射手段1からの投射像を、前記表示シート13により、表示シート13の前方方向に反射させている。
【0019】
この例でも、前記と同様に、前記表示シート13は、透明樹脂13aと、この樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子13bとで構成されており、反射性板状粒子13bの板面に対して入射角θ1で入射した投射像は、シート面に対して角度θ2で傾斜した反射性板状粒子13bの板面により、角度θ3で表示シート13の表示面の前方方向に反射している。
【0020】
本発明の表示システムにおいて、表示シートは透明部材の少なくとも一方の面に配設可能であればよく、表示シートは透明部材の前面及び/又は後面のいずれに配設してもよい。透明部材に対する表示シートの配設部位は、表示システムの利用形態、表示シートに対する観察者の視角などに応じて選択でき、ショーウィンドウなどにおいては、通常、観察者の視点(又は目線)とほぼ同じ高さ位置に設けられる場合が多い。表示シートは、透明部材に対して、磁気的吸引力、接着力、係止力などを利用して、位置決め固定(又は仮止め固定)できればよく、透明部材の適所に透明粘着剤などを利用して取り付けてもよい。なお、粘着剤は表示シートに積層形態で粘着剤層として形成してもよい。
【0021】
透明部材の表面は、凹凸であってもよいが、通常、平滑である。透明部材は、平板状などの平坦部材であってもよく湾曲していてもよい。透明部材は、種々の透明材料、例えば、ガラス類[例えば、ソ−ダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなど]、透明樹脂などで形成できる。透明部材の配設又は適用部位は、特に制限されず、透明部材が適用される種々の部位、例えば、建造物(ビル、家屋、電話ボックス、待合室、展示室など)の窓やショーウィンドウなどの各種窓、ショーケース、ドア、車両の窓やフロント部(例えば、自動車や電車などのフロントガラス、リアガラス、他の窓ガラスなど)、表示台や表示パネル(歌詞台や譜面台、受講システムにおいて講演者や受講者などのフロント部に配設されるフロントパネルなど)、接客における仕切透明壁(例えば、銀行、駅、空港などでの発券業務、車両などでのオペレータと顧客との間に配設される透明パネルや透明壁など)などが例示できる。
【0022】
投射手段(又は投影手段)は、透明部材に表示シートが配設された配設部位(又は表示域)に対して斜め方向から投射像を投射可能であればよく、通常、投射機又は投影機(スライド映写機、16ミリフィルム映写機など)、プロジェクタ類(オーバーヘッド・プロジェクタ(OHP)、DLP(Digital light processing)式プロジェクタ、液晶プロジェクタなど)などが利用でき、レーザ光の走査により画像などを表示可能なレーザ表示装置(レーザプロジェクタなど)であってもよい。投射手段又は投影手段からの投射又は投影像は、静止像であっても動画像であってもよい。さらに、投射像は、文字、記号などのモノクロ画像、カラー画像であってもよく、フルカラー画像であってもよい。
【0023】
投射手段の配設部位は、特に制限されないが、観察者の視界を外れた部位に配設すると、表示画像に意外性を付与できるとともに、観察者の視界を投射手段で遮ることもない。投射手段の配設部位は、通常、透明部材の表示面(又は表示域)に対して上方に位置している場合が多く、表示面(又は表示域)に対して斜め上前方、特に斜め上後方に配設される。斜め上後方から投射像を投射すると、表示シートの反射性板状粒子の板面の傾斜角度θ2をシート表面に対して大きくでき、表示シートの透明性を高めたり、表示シートの製造の観点からも有利である。
【0024】
なお、本発明の表示システムは、前記透明部材に対して取付可能な表示シートと、この表示シートに対して斜め方向から投射像を投射するための投射手段とを備えており、この投射手段からの投射像を、前記表示シートの板状粒子により、前記表示シートの観察者の視界方向(又は前方方向)に反射可能であればよい。また、透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子は、前記投射像を反射して表示面で表示可能であればよく、表示シート面に対する前記板状粒子の板面の傾斜角度は特に制限されない。なお、表示シートにおいて、反射性板状粒子の板面の傾斜角度は、前記のように、投射手段からの投射像の入射角度、表示面からの出射角度などに応じて選択でき、特に制限されない。反射性板状粒子の板面は、表示シート面に対して、例えば、15〜85°程度の範囲から選択でき、通常、30〜85°(例えば、50〜85°)、好ましくは40〜80°(例えば、60〜80°)、さらに好ましくは65〜80°程度の角度θ2で傾斜していてもよい。なお、投射像を表示可能である限り、全ての板状粒子の板面が同一方向に傾斜している必要はなく、全体として所定の方向に傾斜していればよい。
【0025】
より詳細には、前記図2及び図4に示されるように、投射手段の投射方向に対して板状粒子3b,13bの板面は所定の角度θ1で傾斜し、板状粒子3b,13bの板面はシート3面に対して所定の角度θ2で傾斜している。前記板状粒子3b,13bの板面と表示シート3面との角度(板面の法線とシート面の法線との角度)θ2は、0°<θ2<90°の範囲で選択でき、例えば、5〜85゜、好ましくは10〜80°、さらに好ましくは15〜75°(例えば、20〜60°、特に30〜60°)程度であってもよい。また、前記角度θ1及びθ2は、70゜≦θ1+θ2≦110°の範囲で選択でき、例えば、75゜≦θ1+θ2≦105゜、好ましくは80゜≦θ1+θ2≦100゜、さらに好ましくは85゜≦θ1+θ2≦95゜であってもよい。
【0026】
なお、板状粒子は、入射光を反射(もしくは変角)させる機能を有しており、入射光の少なくとも一部(例えば、10〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは30〜100%程度)を反射してもよい。
【0027】
本発明の方法では、透明部材の少なくとも一方の面に配設された表示シートに対して、斜め方向から投射像を投射することにより、透明樹脂中に配向して分散した板状粒子により、前記投射像を前記表示シートの表示面側に反射して表示面に表示できる。そのため、表示域が透明部材であっても、透明シートを用いることにより投射手段からの投射像を表示できる。また、ホログラム光学素子とは異なり、光の干渉作用を利用せず、光の反射作用を利用するため、表示された投射像の色再現性を向上できる。さらに、ルーバーフィルムと異なり、投射光を有効利用できるため、表示面の正面輝度特性を向上できる。さらには、表示シート面に対して投射手段から投射像を斜め方向から投射しても、投射像に歪みを生じさせることなく、投射像を鮮明に表示でき、投射像の表示品位を向上できる。
【0028】
本発明の表示シートは、透明樹脂中に反射性板状粒子が一様に傾斜して配向している。すなわち、反射性板状粒子が配向して分散し、かつ前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している。前記のように、板状粒子の板面は、投射手段からの投影像を配設部位の表示面の前方方向に反射する角度θ2で傾斜しており、投射像を反射させて表示シート(又は表示域)で画像を表示させる。前記板状粒子は、通常、透明部材の配設部位に対して斜め後方から投射された投射像を、配設部位の表示面の前方方向に反射可能である。
【0029】
本発明の表示シートは、透明樹脂の連続相と、この透明樹脂中に所定方向に配向して分散した反射性板状粒子の分散相とで構成されているため、通常、透明又は半透明であり、白濁している場合が多い。表示シートは、透明部材の後方に配置された物品などを視認可能とするため、透視可能である。すなわち、表示シートの光線透過率(例えば、可視光線透過率)は、例えば、50〜100%、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは80〜100%程度である。さらに、表示シートは、通常、直進光線(又は平行光線)に対して透過可能である。波長400〜780nmの光線に対する表示シートの直進光線透過率(又は平行光線透過率)は、通常、20〜80%(例えば、30〜70%)、好ましくは40〜60%程度である。
【0030】
本発明の表示シートの連続相は、透明性や成形性などの点から透明樹脂で構成されている。透明樹脂には、セルロース誘導体、オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂が含まれる。なお、透明樹脂は、熱可塑性樹脂である場合が多いが、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)であってもよい。
【0031】
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテートなど)、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類(アルキルセルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。好ましいセルロース誘導体は、セルロースエステル類(特に、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど)である。
【0032】
オレフィン系樹脂には、例えば、C2−6オレフィンの単独又は共重合体(エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)など)、C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、環状オレフィンの単独又は共重合体などが挙げられる。好ましいオレフィン系樹脂には、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン含量が90モル%以上のポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)、環状オレフィン系樹脂などが含まれ、結晶性オレフィン系樹脂であってもよい。
【0033】
ハロゲン含有樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル又はフッ素含有単量体の単独又は共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などの塩化ビニル又はフッ素含有単量体と共重合性単量体との共重合体など)、ハロゲン化ビニリデン系樹脂(ポリ塩化ビニリデン系共重合体、ポリビニリデンフルオライド、又は塩化ビニル又はフッ素含有ビニリデン単量体と他の単量体との共重合体)などが挙げられる。
【0034】
ビニルアルコール系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールなどが含まれる。
【0035】
ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体などが含まれる。
【0037】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)などが挙げられる。
【0038】
ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを用いた芳香族ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、アルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)として含むコポリエステルなど]、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ポリアリレート系樹脂、液晶性ポリエステルなどが含まれる。ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステル系樹脂、例えば、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレートホモポリエステル、アルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上のコポリエステルなど)、液晶性芳香族ポリエステルなどであってもよい。さらに、ポリエステル系樹脂は、非晶性ポリエステル系樹脂、例えば、ポリアルキレンアリレートにおいて、ジオール成分(C2−4アルキレングリコール)及び/又は芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、フタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸など)から選択された少なくとも一種を用いたコポリエステルなどであってもよい。
【0039】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(キシリレンジアミンアジペート)(MXD−6)などの芳香族ポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂は、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0040】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0041】
ポリエーテル系樹脂としては、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシメチレン(ポリアセタールホモ又はコポリマーなど)、ポリエーテルエーテルケトンなどが例示でき、ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが例示できる。
【0042】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが例示できる。
【0043】
連続相を構成する樹脂としては、通常、透明性および熱安定性の高い樹脂が使用される。連続相を構成する好ましい成分には、セルロース誘導体(特にセルロースエステル類)、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂など)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが含まれる。また、前記連続相を構成する樹脂は結晶性又は非晶性であってもよい。
【0044】
なお、連続相を構成する樹脂の融点又はガラス転移温度は、例えば、60〜280℃程度、好ましくは70〜200℃程度、さらに好ましくは80〜150℃程度であってもよい。
【0045】
連続相に分散した反射性粒子は板状の形態を有している。「板状」の形状とは、上下面が互いに平行な平面を有しており、上下(又は厚み)方向に比べて沿面方向の長さが長い形状を意味する。従って、例えば、前記粒子は、面方向から見ると不定形を有しており、横から見ると横長の台形又は針状の形状を有している。
【0046】
反射性板状粒子は、板状粒子自体が光反射性を有する粒子(例えば、表面処理されていてもよいアルミニウムなど)であってもよく、板状粒子に光反射性を付与した粒子であってもよい。反射性板状粒子は、通常、板状粒子と、この板状粒子を被覆し、かつ光反射性を付与するための成分(特に金属及び金属酸化物から選択された少なくとも一種)とで構成されている。すなわち、反射性板状粒子は金属又は金属酸化物で被覆された粒子であってもよい。
【0047】
前記板状粒子としては、例えば、ガラスなどの非晶性無機物質、アルミナ、水酸化アルミニウム、雲母類(白雲母、金雲母、合成雲母などのマイカ類など)、鱗片状金属粒子(アルミニウム顔料など)、高屈折率鱗片状粒子(オキシ塩化ビスマス微粒子など)、タルク、モンモリロナイト類、クレイ類(カオリンクレイ、ろう石クレイなど)などの板状無機結晶、りん架橋アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリスルホン系樹脂などの樹脂片をはじめとするポリマーなどが挙げられる。これらの板状粒子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、板状粒子は、有彩色又は無彩色に着色していてもよい。着色した板状粒子は、例えば、グラファイト(天然又は合成黒鉛)などであってもよい。好ましい板状粒子は、例えば、雲母類、タルク、モンモリロナイト類などである。
【0048】
なお、板状粒子の形状は、特に制限されず、無定形板状、多角板状(三角板状、四角板状、六角板状など)、楕円板状、円板状などであってもよい。板状粒子としては、楕円板状、特に円板状などの形態で使用する場合が多い。
【0049】
前記金属及び金属酸化物としては、例えば、金属光沢を示す種々の成分、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などが例示できる。反射性粒子の表面は、金属酸化物(酸化チタン)で被覆されている場合が多い。
【0050】
金属又は金属酸化物の被覆量は、例えば、板状粒子100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜50重量部(例えば、5〜50重量部)、さらに好ましくは5〜30重量部程度であってもよい。
【0051】
反射性板状粒子において、板面の平均直径は、例えば、5〜1000μm(例えば、5〜500μm)、好ましくは10〜500μm(例えば、10〜300μm)、さらに好ましくは20〜300μm(例えば、20〜200μm)程度である。平均径が小さすぎると、反射性のみならず散乱性が発現し、出射光の指向性が低下し高い表示品位が得られず、大きすぎると、外観を損ねる。
【0052】
反射性板状粒子のアスペクト比(=粒子における板面の平均径/粒子における平均厚み)は、5〜10000、好ましくは10〜5000、さらに好ましくは10〜3000程度である。粒子のアスペクト比が小さすぎたり、楕円などの球に近い形状であると、配向性が低下したり、高い表示品位を得ることができず、アスペクト比が大きすぎると外観を損ねる。
【0053】
反射性板状微粒子の割合は、所望する光制御性に応じて選択でき、例えば、透明樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部(例えば、0.1〜20重量部)、さらに好ましくは0.2〜10重量部(例えば、0.2〜5重量部)程度である。
【0054】
なお、表示シートにおける反射性板状微粒子の配列形態は特に限定されない。例えば、反射性板状微粒子の重心の位置は、透明樹脂シート中でランダムに配置されていてもよく、規則的に又は不規則的に分散していてもよい。
【0055】
前記樹脂成分は、必要に応じて、変性(例えば、ゴム変性)又は可塑化(例えば、軟質塩化ビニル系樹脂などのように可塑剤の添加による可塑化、又は軟質性分の重合による可塑化)されていてもよく、透明樹脂には種々の成分が添加できる。例えば、成形性や機械強度などを調整するため、可塑剤を添加してもよい。例えば、セルロースエステル類の成形性や可撓性を向上させるため、フタル酸エステル系可塑剤[DEP(ジエチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)、ジ2−エチルヘキシルフタレートなどのジC1−12アルキルフタレートなど]、脂肪族多価カルボン酸エステル[アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどのC6−12アルカンカルボン酸C2−12アルキルエステルなど]、リン酸エステル系可塑剤[TPP(リン酸トリフェニル)、リン酸トリブチルなど]、多価アルコールのカルボン酸エステル[エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチンなどの多価アルコール酢酸エステルなど]などが例示できる。これらの可塑剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0056】
透明樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量は、透明樹脂の種類に応じて、例えば、1〜100重量部、好ましくは5〜75重量部程度の範囲から選択できる。
【0057】
本発明の表示シートは、光散乱性などの特性を調整するため、必要であれば、反射性板状粒子に加えて、非反射性板状粒子(透明性板状粒子としての前記板状粒子)、非板状粒子(例えば、球状、楕円状、無定形状などの微粒子)を含んでいてもよい。
【0058】
また、表示シートは、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、分散剤などを含んでいてもよい。
【0059】
本発明の表示シートの厚みは、高い光制御性を実現するために、例えば、50〜1000μm、好ましくは50〜800μm、さらに好ましくは70〜500μm(例えば、70〜300μm)程度である。また、表示シートの大きさは、用途に応じて適当に選択できる。
【0060】
なお、表示シートの表面は、熱板での挟圧などにより平滑処理(又は艶だし処理)されていてもよい。また、シート表面には、コーティング、ラミネーティングなどにより樹脂層を被覆してもよい。
【0061】
[表示シートの製造方法]
前記表示シートは、種々の方法で製造でき、例えば、前記反射性板状粒子の板面がシート面に沿って配向(又は配向して分散した)した複数の樹脂シート(原反シート)を積層し、互いに融着させた後、積層方向に対して交差する方向に所定の厚みでスライス又は切断することにより製造できる。なお、複数の原反シートの積層体での積層面は、スライス面に対して傾斜している。
【0062】
図5は表示シートの製造方法を説明するための概略工程図である。この例では、透明樹脂33aと板状粒子33bとで構成された原反シート33において、板状粒子33bの板面は原反シート33のシート面に沿って配向して分散している。このような複数の原反シート33を、鉛直方向に対する所定の角度θ2で傾斜させて積層し、前記板状粒子の配向を実質的に維持しつつ、この積層体を加熱融着して一体化した積層融着体31を形成する。そして、この積層融着体31の積層面に対して直交する方向に所定の厚みでスライスし、表示シート23を調製している。このような方法では、板状粒子33bの板面がシート面に対して略θ2の角度で配向した表示シート23を得ることができる。
【0063】
このようにブロック状積層体の側面を傾斜させて積層融着体を調製すると、積層融着体をその上端面又は下端面方向にスライスすることにより、シート面に対して板状粒子の配向角度の異なる表示シートを容易に製造できる。また、積層融着体の側面の傾斜角度によりシート面に対して板状粒子の配向角度を容易にコントロールできる。
【0064】
なお、原反シートは、押出成形などのシート成形方法において、折り畳み、押出ラミネートなどを利用して連続的又は間欠的に順次積層してもよい。このような方法では積層とともに積層融着体を得ることができる。
【0065】
スライス又は切断方向は原反シートの積層面に対して交差する方向であればよく、通常、積層面(原反シートの面)方向をX軸方向、積層方向をY軸方向、積層方向と直交又は交差する厚み方向をZ軸方向とするとき、積層融着体のX−Y面を中心として15°(好ましくは10°)程度の角度範囲の面(特に実質的にX−Y面)に沿ってスライスする場合が多い。
【0066】
なお、前記原反シートは、剪断力の作用により板状粒子がシート成形に伴ってシートの面方向に配向することを利用して、種々の方法により作製可能である。例えば、透明樹脂と板状粒子とを溶融混練し、シート状に押出し成形することにより原反シートを作製できる。また、透明樹脂と板状粒子とを混練し、その溶融物を加熱下又は非加熱下で圧プレスすることによっても原反シートを成形できる。さらに、他の方法、例えば、カレンダー加工、射出成形法、溶媒を含むドープを流延して成形するキャスト法などによっても原反シートを成形できる。このようなシート成形において、射出、押出しや圧プレスに伴う剪断力により、板状粒子の面がシート面に沿うように配向する。
【0067】
本発明は、ビル、デパートメントストア、ショッピングアーケードの窓、自動車のフロントガラスなどの種々の透明部材に所望のパターンや画像などを表示するためのシステム、特にウィンドウディスプレーなどに有利に利用できる。
【0068】
【発明の効果】
本発明では、所定の表示シートを利用するため、透明部材に投射しても鮮明な表示像(又は高品質画像)を表示できる。また、投射像の反射を利用しているため、高い色再現性及び輝度で鮮明な投射像を表示でき、表示品質を向上できる。さらに、投射像を斜め方向から入射させても、歪みのない鮮明な像を透明部材の表示面に表示できる。
【0069】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0070】
実施例1
<原反シートの作製>
セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル(株)製「307E−09」)100重量部に、板面の平均直径が6μmの酸化チタン被覆天然マイカ微粒子(メルク(株)製「Iriodin 110」)0.7重量部を添加し、200℃にて加熱、混練後、冷水中で固化させペレット状に切断した。このペレットを90℃にて2時間乾燥後、180℃にて加熱して混練し、幅10cm、厚み0.6mmのシート状に押出し、原反シートを成形した。この原反シートの断面写真を観察したところ、シート面に沿って板状微粒子が配向し、分散していることを確認できた。以下、座標系として、原反シートの押出方向をX軸とする。
【0071】
<ブロック組みおよびスライス>
この原反シートをX軸方向に長さ90cm幅に裁断して短冊状とし、図5に示すように、短冊状原反シート33を約1000枚傾斜させて積層し、積層体の両側部及び上部から圧力を加えながら160℃に加熱して、前記積層体の原反シートを融着し、積層融着体(ブロック)31を作製した。なお、座標系として、このブロック31の積層方向をY軸方向、高さ方向をZ軸方向とする。得られたブロックの大きさは、それぞれX軸方向90cm、Y軸方向650cm、Z軸方向10cmであった。このブロック31を、Z軸方向を厚み方向として、X軸方向(X−Y面)に沿って厚み500μmにスライスし、140℃で平滑板(艶板)に挟みプレスすることにより表面を艶出しし、シートの周辺耳部をカットすることにより、長さ81cm、幅61cmの40インチサイズの表示シート23を得た。なお、原反シートおよびブロック、表示シートの製造工程を示す模式図および座標系は前記図5に示す通りである。
【0072】
シート中で板状粒子は一様に、板面がY軸方向を向いて配向しており、マイカ微粒子の板面とシート面との角度は実質的に78°であった。
【0073】
この表示シートの光線透過率は85%、ヘイズメーターによる平行線透過率は50%であった。表示シートに、斜め上後方30゜の角度から表示シートに対して投射像を投射したところ、正面方向にゲイン1.0の鮮明な画像を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の表示システムの一例を示す概略図である。
【図2】図2は図1の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は本発明の表示システムの他の例を示す概略図である。
【図4】図4は図3の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。
【図5】図5は表示シートの製造方法を説明するための概略工程図である。
【符号の説明】
1…投射手段
2…透明部材
3,13…表示シート
3a,13a…透明樹脂
3b,13b…反射性板状粒子
【発明の属する技術分野】
本発明は、ショーウィンドウなどの透明部材に、投射手段からの投射像を表示できる表示シート、この表示シートを含む表示システム及び表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窓ガラスやショーウィンドウなどの透明部材にカラー画像などの投影像を表示するため、透明部材に貼着した機能性フィルムに対して斜め方向から投射像を投射し、投射像を表示フィルムの表示面で表示させるシステム(いわゆるウィンドウディスプレーシステム)が知られている。このシステムは、新たな広告手段や表示手段として注目されている。
【0003】
特開平9−33856号公報には、透明部材と、この透明部材に設けた透明な表示フィルムと、この表示フィルムに情報像を表示するための表示手段(スライド投影機など)とで構成された表示装置が開示されている。この文献では、表示フィルムとして、ホログラム光学素子や、視界制御フィルム(ルーバーフィルム)が記載されている。しかし、ホログラム光学素子は高価であるだけでなく、光の干渉作用が生じるため、投射された画像の色再現性が低下する。また、ルーバーフィルムでは、フィルム内のルーバーにより表示面の輝度が低下する。そのため、高い輝度で鮮明な画像を表示することが困難である。
【0004】
また、上記システムでは、投射手段からの投射像の投射方向と表示シートの表示方向とが相違する。例えば、ショーウィンドウで画像を表示する場合、ショーウィンドウ領域から外れた部位(例えば、壁面の上部など)に取り付けられた投射機から投射像を投射し、表示フィルムは、ショーウィンドウのうち観察者の目線と同等の高さ域に取り付けられる。そのため、投射機と表示フィルムとが正対せず、表示フィルムに対して投射手段から斜め方向に投射された投射像は、表示フィルムの表示面で歪んだ画像として表示される。特に、投射機と表示フィルムとの距離が大きくなると、投射像の表示品位(鮮明度など)が低減する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、透明部材に投射しても鮮明な表示像(又は高品質画像)を表示できる表示シート、この表示シートを用いた表示システム並びに表示方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、高い色再現性及び輝度で鮮明な投射像を表示できる表示シート、この表示シートを用いた表示システム並びに表示方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、歪みのない鮮明な像を透明部材に表示できる表示シート、この表示シートを用いた表示システム並びに表示方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ショーウィンドウなどの透明部材の表示面に貼着する光学フィルムとして、透明樹脂の連続相に、斜め方向からの投射像を透明部材の表示面方向に反射する反射性微粒子が分散したシートを利用すると、透明部材の表示面に鮮明な画像を表示できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の表示シートは、透明部材の少なくとも一方の面に配設され、かつ配設部位に対して斜め方向から投射された投射像を表示するための表示シートであって、透明樹脂中に反射性板状粒子が配向して分散し、かつ前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している。この表示シートにおいて、板状粒子の板面の傾斜角度は、表示面で投射像を表示可能な範囲で傾斜している限り特に制限されず、板状粒子の板面が、投射手段からの投影像を配設部位の表示面の前方方向に反射する角度で傾斜していればよい。なお、投射像は、表示面に対して斜め方向から投射すればよく、例えば、表示面の後方に配設された投射手段から投射光を投射してもよい。反射性板状粒子は金属又は金属酸化物(酸化チタンなど)で被覆された粒子であってもよい。また、透明部材による透視性を高めるため、表示シートは、直進光線に対して透過可能である。反射性板状粒子は、斜め方向からの投射像を表示面側に反射可能である限り、板状粒子の平均直径は特に制限されず、例えば、平均直径5〜1000μm程度であってもよい。さらに、シートの厚みは50〜1000μm程度であってもよい。このような表示シートは、セルロースエステル類、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂から選択された透明樹脂の連続相と、雲母類、タルク、モンモリロナイト類から選択され、かつ反射性を有する少なくとも一種の反射性板状粒子の分散相とで構成してもよい。板状粒子の使用割合は、例えば、透明樹脂100重量部に対して板状粒子0.1〜50重量部程度であってもよい。
【0010】
本発明の表示システムは、透明部材の少なくとも一方の面に配設するための表示シートと、この表示シートに対して斜め方向から投射像を投射するための投射手段とで構成されている。このシステムにおいて、前記表示シートは、透明樹脂と、この透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子とで構成されており、前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している。このシステムにおいて、投射手段は、透明部材の表示シートに対して斜め上後方に配設してもよい。
【0011】
本発明は、透明部材の少なくとも一方の面に配設された表示シートに対して、斜め方向から投射像を投射し、この投射像を前記表示シートの表示面に表示する方法であって、前記表示シートが、透明樹脂とこの透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子とで構成されており、この板状粒子により、前記投射像を表示面側に反射して投射像を表示する方法も包含する。
【0012】
なお、本明細書において、透明部材に配設された表示シートの表示面(表示面の正面又は観察者)方向を前方(又は前面方向)と称し、表示面に対する反対方向を後方(又は背面方向)と称する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、必要により添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0014】
[表示シート、表示システム及び表示方法]
図1は本発明の表示システムの一例を示す概略図であり、図2は図1の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。
【0015】
前記表示システムは、投射像を投射可能な投射手段(又は投影機)1と、この投影手段からの投射像を、ウィンドウなどの透明部材2の所定の表示域で表示するための表示シート3とを備えている。この表示シートは前記透明部材の所定の表示域に貼着可能である。この表示システムでは、投射手段1は、表示シート3に対して斜め上後方に配設されている。
【0016】
そして、前記表示シート3は、透明樹脂3aと、この樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子3bとで構成されており、反射性板状粒子3bの板面は、投射手段1からの投射像を表示シート3の表示面の前方方向に反射するため、シート面に対して傾斜している。すなわち、板状粒子3bの板面に対する投射手段からの投射像の入射角(板状粒子3bの板面と投射方向との角度)をθ1(0°<θ1<90°)、表示シート3の表示面に対する板状粒子3bの板面の角度(板状粒子3bの板面と表示シート3の表示面との角度)をθ2とし、表示シート3の表示面から角度θ3(例えば、90°)で投射像が出射すると仮定すると、板面に対して角度θ1で表示シート3に入射した投射像は、板状粒子3bの板面で反射され、表示シート3の表示面から角度θ3(例えば、90°)で出射する。そのため、関係式θ1+θ2=θ3(例えば、90°)が成立する。従って、表示シート3の表示面に対して板状粒子3bの板面を所定の角度θ2(=θ3−θ1)で傾斜させ、斜め上後方の投射手段から投射された投射像を、板状粒子3bによって、表示シート3の表示面の正面方向に反射し表示している。このような表示システムでは、表示面の正面方向に対して、輝度を低下させることなく、投射像を投射でき、投射像の歪みを低減でき、鮮明な高品質画像を表示できる。
【0017】
図3は本発明の表示システムの他の例を示す概略図であり、図4は図3の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。なお、図1及び図2と同様の要素又は部材には同一の符号を付して説明する。
【0018】
この例の表示システムは、ウィンドウなどの透明部材2の所定の表示域に貼着可能な表示シート13を備えており、この表示シート13(又は表示域)には、投射手段(又は投影機)1により斜め上前方から投射像が投射される。すなわち、表示シート13に対して前方の上部に配設された投射手段1からの投射像を、前記表示シート13により、表示シート13の前方方向に反射させている。
【0019】
この例でも、前記と同様に、前記表示シート13は、透明樹脂13aと、この樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子13bとで構成されており、反射性板状粒子13bの板面に対して入射角θ1で入射した投射像は、シート面に対して角度θ2で傾斜した反射性板状粒子13bの板面により、角度θ3で表示シート13の表示面の前方方向に反射している。
【0020】
本発明の表示システムにおいて、表示シートは透明部材の少なくとも一方の面に配設可能であればよく、表示シートは透明部材の前面及び/又は後面のいずれに配設してもよい。透明部材に対する表示シートの配設部位は、表示システムの利用形態、表示シートに対する観察者の視角などに応じて選択でき、ショーウィンドウなどにおいては、通常、観察者の視点(又は目線)とほぼ同じ高さ位置に設けられる場合が多い。表示シートは、透明部材に対して、磁気的吸引力、接着力、係止力などを利用して、位置決め固定(又は仮止め固定)できればよく、透明部材の適所に透明粘着剤などを利用して取り付けてもよい。なお、粘着剤は表示シートに積層形態で粘着剤層として形成してもよい。
【0021】
透明部材の表面は、凹凸であってもよいが、通常、平滑である。透明部材は、平板状などの平坦部材であってもよく湾曲していてもよい。透明部材は、種々の透明材料、例えば、ガラス類[例えば、ソ−ダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなど]、透明樹脂などで形成できる。透明部材の配設又は適用部位は、特に制限されず、透明部材が適用される種々の部位、例えば、建造物(ビル、家屋、電話ボックス、待合室、展示室など)の窓やショーウィンドウなどの各種窓、ショーケース、ドア、車両の窓やフロント部(例えば、自動車や電車などのフロントガラス、リアガラス、他の窓ガラスなど)、表示台や表示パネル(歌詞台や譜面台、受講システムにおいて講演者や受講者などのフロント部に配設されるフロントパネルなど)、接客における仕切透明壁(例えば、銀行、駅、空港などでの発券業務、車両などでのオペレータと顧客との間に配設される透明パネルや透明壁など)などが例示できる。
【0022】
投射手段(又は投影手段)は、透明部材に表示シートが配設された配設部位(又は表示域)に対して斜め方向から投射像を投射可能であればよく、通常、投射機又は投影機(スライド映写機、16ミリフィルム映写機など)、プロジェクタ類(オーバーヘッド・プロジェクタ(OHP)、DLP(Digital light processing)式プロジェクタ、液晶プロジェクタなど)などが利用でき、レーザ光の走査により画像などを表示可能なレーザ表示装置(レーザプロジェクタなど)であってもよい。投射手段又は投影手段からの投射又は投影像は、静止像であっても動画像であってもよい。さらに、投射像は、文字、記号などのモノクロ画像、カラー画像であってもよく、フルカラー画像であってもよい。
【0023】
投射手段の配設部位は、特に制限されないが、観察者の視界を外れた部位に配設すると、表示画像に意外性を付与できるとともに、観察者の視界を投射手段で遮ることもない。投射手段の配設部位は、通常、透明部材の表示面(又は表示域)に対して上方に位置している場合が多く、表示面(又は表示域)に対して斜め上前方、特に斜め上後方に配設される。斜め上後方から投射像を投射すると、表示シートの反射性板状粒子の板面の傾斜角度θ2をシート表面に対して大きくでき、表示シートの透明性を高めたり、表示シートの製造の観点からも有利である。
【0024】
なお、本発明の表示システムは、前記透明部材に対して取付可能な表示シートと、この表示シートに対して斜め方向から投射像を投射するための投射手段とを備えており、この投射手段からの投射像を、前記表示シートの板状粒子により、前記表示シートの観察者の視界方向(又は前方方向)に反射可能であればよい。また、透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子は、前記投射像を反射して表示面で表示可能であればよく、表示シート面に対する前記板状粒子の板面の傾斜角度は特に制限されない。なお、表示シートにおいて、反射性板状粒子の板面の傾斜角度は、前記のように、投射手段からの投射像の入射角度、表示面からの出射角度などに応じて選択でき、特に制限されない。反射性板状粒子の板面は、表示シート面に対して、例えば、15〜85°程度の範囲から選択でき、通常、30〜85°(例えば、50〜85°)、好ましくは40〜80°(例えば、60〜80°)、さらに好ましくは65〜80°程度の角度θ2で傾斜していてもよい。なお、投射像を表示可能である限り、全ての板状粒子の板面が同一方向に傾斜している必要はなく、全体として所定の方向に傾斜していればよい。
【0025】
より詳細には、前記図2及び図4に示されるように、投射手段の投射方向に対して板状粒子3b,13bの板面は所定の角度θ1で傾斜し、板状粒子3b,13bの板面はシート3面に対して所定の角度θ2で傾斜している。前記板状粒子3b,13bの板面と表示シート3面との角度(板面の法線とシート面の法線との角度)θ2は、0°<θ2<90°の範囲で選択でき、例えば、5〜85゜、好ましくは10〜80°、さらに好ましくは15〜75°(例えば、20〜60°、特に30〜60°)程度であってもよい。また、前記角度θ1及びθ2は、70゜≦θ1+θ2≦110°の範囲で選択でき、例えば、75゜≦θ1+θ2≦105゜、好ましくは80゜≦θ1+θ2≦100゜、さらに好ましくは85゜≦θ1+θ2≦95゜であってもよい。
【0026】
なお、板状粒子は、入射光を反射(もしくは変角)させる機能を有しており、入射光の少なくとも一部(例えば、10〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは30〜100%程度)を反射してもよい。
【0027】
本発明の方法では、透明部材の少なくとも一方の面に配設された表示シートに対して、斜め方向から投射像を投射することにより、透明樹脂中に配向して分散した板状粒子により、前記投射像を前記表示シートの表示面側に反射して表示面に表示できる。そのため、表示域が透明部材であっても、透明シートを用いることにより投射手段からの投射像を表示できる。また、ホログラム光学素子とは異なり、光の干渉作用を利用せず、光の反射作用を利用するため、表示された投射像の色再現性を向上できる。さらに、ルーバーフィルムと異なり、投射光を有効利用できるため、表示面の正面輝度特性を向上できる。さらには、表示シート面に対して投射手段から投射像を斜め方向から投射しても、投射像に歪みを生じさせることなく、投射像を鮮明に表示でき、投射像の表示品位を向上できる。
【0028】
本発明の表示シートは、透明樹脂中に反射性板状粒子が一様に傾斜して配向している。すなわち、反射性板状粒子が配向して分散し、かつ前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している。前記のように、板状粒子の板面は、投射手段からの投影像を配設部位の表示面の前方方向に反射する角度θ2で傾斜しており、投射像を反射させて表示シート(又は表示域)で画像を表示させる。前記板状粒子は、通常、透明部材の配設部位に対して斜め後方から投射された投射像を、配設部位の表示面の前方方向に反射可能である。
【0029】
本発明の表示シートは、透明樹脂の連続相と、この透明樹脂中に所定方向に配向して分散した反射性板状粒子の分散相とで構成されているため、通常、透明又は半透明であり、白濁している場合が多い。表示シートは、透明部材の後方に配置された物品などを視認可能とするため、透視可能である。すなわち、表示シートの光線透過率(例えば、可視光線透過率)は、例えば、50〜100%、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは80〜100%程度である。さらに、表示シートは、通常、直進光線(又は平行光線)に対して透過可能である。波長400〜780nmの光線に対する表示シートの直進光線透過率(又は平行光線透過率)は、通常、20〜80%(例えば、30〜70%)、好ましくは40〜60%程度である。
【0030】
本発明の表示シートの連続相は、透明性や成形性などの点から透明樹脂で構成されている。透明樹脂には、セルロース誘導体、オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂が含まれる。なお、透明樹脂は、熱可塑性樹脂である場合が多いが、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)であってもよい。
【0031】
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテートなど)、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類(アルキルセルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。好ましいセルロース誘導体は、セルロースエステル類(特に、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど)である。
【0032】
オレフィン系樹脂には、例えば、C2−6オレフィンの単独又は共重合体(エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)など)、C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、環状オレフィンの単独又は共重合体などが挙げられる。好ましいオレフィン系樹脂には、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン含量が90モル%以上のポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)、環状オレフィン系樹脂などが含まれ、結晶性オレフィン系樹脂であってもよい。
【0033】
ハロゲン含有樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル又はフッ素含有単量体の単独又は共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などの塩化ビニル又はフッ素含有単量体と共重合性単量体との共重合体など)、ハロゲン化ビニリデン系樹脂(ポリ塩化ビニリデン系共重合体、ポリビニリデンフルオライド、又は塩化ビニル又はフッ素含有ビニリデン単量体と他の単量体との共重合体)などが挙げられる。
【0034】
ビニルアルコール系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールなどが含まれる。
【0035】
ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体などが含まれる。
【0037】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)などが挙げられる。
【0038】
ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを用いた芳香族ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、アルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)として含むコポリエステルなど]、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ポリアリレート系樹脂、液晶性ポリエステルなどが含まれる。ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステル系樹脂、例えば、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレートホモポリエステル、アルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上のコポリエステルなど)、液晶性芳香族ポリエステルなどであってもよい。さらに、ポリエステル系樹脂は、非晶性ポリエステル系樹脂、例えば、ポリアルキレンアリレートにおいて、ジオール成分(C2−4アルキレングリコール)及び/又は芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、フタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸など)から選択された少なくとも一種を用いたコポリエステルなどであってもよい。
【0039】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(キシリレンジアミンアジペート)(MXD−6)などの芳香族ポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂は、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0040】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0041】
ポリエーテル系樹脂としては、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシメチレン(ポリアセタールホモ又はコポリマーなど)、ポリエーテルエーテルケトンなどが例示でき、ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが例示できる。
【0042】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが例示できる。
【0043】
連続相を構成する樹脂としては、通常、透明性および熱安定性の高い樹脂が使用される。連続相を構成する好ましい成分には、セルロース誘導体(特にセルロースエステル類)、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂など)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが含まれる。また、前記連続相を構成する樹脂は結晶性又は非晶性であってもよい。
【0044】
なお、連続相を構成する樹脂の融点又はガラス転移温度は、例えば、60〜280℃程度、好ましくは70〜200℃程度、さらに好ましくは80〜150℃程度であってもよい。
【0045】
連続相に分散した反射性粒子は板状の形態を有している。「板状」の形状とは、上下面が互いに平行な平面を有しており、上下(又は厚み)方向に比べて沿面方向の長さが長い形状を意味する。従って、例えば、前記粒子は、面方向から見ると不定形を有しており、横から見ると横長の台形又は針状の形状を有している。
【0046】
反射性板状粒子は、板状粒子自体が光反射性を有する粒子(例えば、表面処理されていてもよいアルミニウムなど)であってもよく、板状粒子に光反射性を付与した粒子であってもよい。反射性板状粒子は、通常、板状粒子と、この板状粒子を被覆し、かつ光反射性を付与するための成分(特に金属及び金属酸化物から選択された少なくとも一種)とで構成されている。すなわち、反射性板状粒子は金属又は金属酸化物で被覆された粒子であってもよい。
【0047】
前記板状粒子としては、例えば、ガラスなどの非晶性無機物質、アルミナ、水酸化アルミニウム、雲母類(白雲母、金雲母、合成雲母などのマイカ類など)、鱗片状金属粒子(アルミニウム顔料など)、高屈折率鱗片状粒子(オキシ塩化ビスマス微粒子など)、タルク、モンモリロナイト類、クレイ類(カオリンクレイ、ろう石クレイなど)などの板状無機結晶、りん架橋アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリスルホン系樹脂などの樹脂片をはじめとするポリマーなどが挙げられる。これらの板状粒子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、板状粒子は、有彩色又は無彩色に着色していてもよい。着色した板状粒子は、例えば、グラファイト(天然又は合成黒鉛)などであってもよい。好ましい板状粒子は、例えば、雲母類、タルク、モンモリロナイト類などである。
【0048】
なお、板状粒子の形状は、特に制限されず、無定形板状、多角板状(三角板状、四角板状、六角板状など)、楕円板状、円板状などであってもよい。板状粒子としては、楕円板状、特に円板状などの形態で使用する場合が多い。
【0049】
前記金属及び金属酸化物としては、例えば、金属光沢を示す種々の成分、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などが例示できる。反射性粒子の表面は、金属酸化物(酸化チタン)で被覆されている場合が多い。
【0050】
金属又は金属酸化物の被覆量は、例えば、板状粒子100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜50重量部(例えば、5〜50重量部)、さらに好ましくは5〜30重量部程度であってもよい。
【0051】
反射性板状粒子において、板面の平均直径は、例えば、5〜1000μm(例えば、5〜500μm)、好ましくは10〜500μm(例えば、10〜300μm)、さらに好ましくは20〜300μm(例えば、20〜200μm)程度である。平均径が小さすぎると、反射性のみならず散乱性が発現し、出射光の指向性が低下し高い表示品位が得られず、大きすぎると、外観を損ねる。
【0052】
反射性板状粒子のアスペクト比(=粒子における板面の平均径/粒子における平均厚み)は、5〜10000、好ましくは10〜5000、さらに好ましくは10〜3000程度である。粒子のアスペクト比が小さすぎたり、楕円などの球に近い形状であると、配向性が低下したり、高い表示品位を得ることができず、アスペクト比が大きすぎると外観を損ねる。
【0053】
反射性板状微粒子の割合は、所望する光制御性に応じて選択でき、例えば、透明樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部(例えば、0.1〜20重量部)、さらに好ましくは0.2〜10重量部(例えば、0.2〜5重量部)程度である。
【0054】
なお、表示シートにおける反射性板状微粒子の配列形態は特に限定されない。例えば、反射性板状微粒子の重心の位置は、透明樹脂シート中でランダムに配置されていてもよく、規則的に又は不規則的に分散していてもよい。
【0055】
前記樹脂成分は、必要に応じて、変性(例えば、ゴム変性)又は可塑化(例えば、軟質塩化ビニル系樹脂などのように可塑剤の添加による可塑化、又は軟質性分の重合による可塑化)されていてもよく、透明樹脂には種々の成分が添加できる。例えば、成形性や機械強度などを調整するため、可塑剤を添加してもよい。例えば、セルロースエステル類の成形性や可撓性を向上させるため、フタル酸エステル系可塑剤[DEP(ジエチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)、ジ2−エチルヘキシルフタレートなどのジC1−12アルキルフタレートなど]、脂肪族多価カルボン酸エステル[アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどのC6−12アルカンカルボン酸C2−12アルキルエステルなど]、リン酸エステル系可塑剤[TPP(リン酸トリフェニル)、リン酸トリブチルなど]、多価アルコールのカルボン酸エステル[エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチンなどの多価アルコール酢酸エステルなど]などが例示できる。これらの可塑剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0056】
透明樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量は、透明樹脂の種類に応じて、例えば、1〜100重量部、好ましくは5〜75重量部程度の範囲から選択できる。
【0057】
本発明の表示シートは、光散乱性などの特性を調整するため、必要であれば、反射性板状粒子に加えて、非反射性板状粒子(透明性板状粒子としての前記板状粒子)、非板状粒子(例えば、球状、楕円状、無定形状などの微粒子)を含んでいてもよい。
【0058】
また、表示シートは、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、分散剤などを含んでいてもよい。
【0059】
本発明の表示シートの厚みは、高い光制御性を実現するために、例えば、50〜1000μm、好ましくは50〜800μm、さらに好ましくは70〜500μm(例えば、70〜300μm)程度である。また、表示シートの大きさは、用途に応じて適当に選択できる。
【0060】
なお、表示シートの表面は、熱板での挟圧などにより平滑処理(又は艶だし処理)されていてもよい。また、シート表面には、コーティング、ラミネーティングなどにより樹脂層を被覆してもよい。
【0061】
[表示シートの製造方法]
前記表示シートは、種々の方法で製造でき、例えば、前記反射性板状粒子の板面がシート面に沿って配向(又は配向して分散した)した複数の樹脂シート(原反シート)を積層し、互いに融着させた後、積層方向に対して交差する方向に所定の厚みでスライス又は切断することにより製造できる。なお、複数の原反シートの積層体での積層面は、スライス面に対して傾斜している。
【0062】
図5は表示シートの製造方法を説明するための概略工程図である。この例では、透明樹脂33aと板状粒子33bとで構成された原反シート33において、板状粒子33bの板面は原反シート33のシート面に沿って配向して分散している。このような複数の原反シート33を、鉛直方向に対する所定の角度θ2で傾斜させて積層し、前記板状粒子の配向を実質的に維持しつつ、この積層体を加熱融着して一体化した積層融着体31を形成する。そして、この積層融着体31の積層面に対して直交する方向に所定の厚みでスライスし、表示シート23を調製している。このような方法では、板状粒子33bの板面がシート面に対して略θ2の角度で配向した表示シート23を得ることができる。
【0063】
このようにブロック状積層体の側面を傾斜させて積層融着体を調製すると、積層融着体をその上端面又は下端面方向にスライスすることにより、シート面に対して板状粒子の配向角度の異なる表示シートを容易に製造できる。また、積層融着体の側面の傾斜角度によりシート面に対して板状粒子の配向角度を容易にコントロールできる。
【0064】
なお、原反シートは、押出成形などのシート成形方法において、折り畳み、押出ラミネートなどを利用して連続的又は間欠的に順次積層してもよい。このような方法では積層とともに積層融着体を得ることができる。
【0065】
スライス又は切断方向は原反シートの積層面に対して交差する方向であればよく、通常、積層面(原反シートの面)方向をX軸方向、積層方向をY軸方向、積層方向と直交又は交差する厚み方向をZ軸方向とするとき、積層融着体のX−Y面を中心として15°(好ましくは10°)程度の角度範囲の面(特に実質的にX−Y面)に沿ってスライスする場合が多い。
【0066】
なお、前記原反シートは、剪断力の作用により板状粒子がシート成形に伴ってシートの面方向に配向することを利用して、種々の方法により作製可能である。例えば、透明樹脂と板状粒子とを溶融混練し、シート状に押出し成形することにより原反シートを作製できる。また、透明樹脂と板状粒子とを混練し、その溶融物を加熱下又は非加熱下で圧プレスすることによっても原反シートを成形できる。さらに、他の方法、例えば、カレンダー加工、射出成形法、溶媒を含むドープを流延して成形するキャスト法などによっても原反シートを成形できる。このようなシート成形において、射出、押出しや圧プレスに伴う剪断力により、板状粒子の面がシート面に沿うように配向する。
【0067】
本発明は、ビル、デパートメントストア、ショッピングアーケードの窓、自動車のフロントガラスなどの種々の透明部材に所望のパターンや画像などを表示するためのシステム、特にウィンドウディスプレーなどに有利に利用できる。
【0068】
【発明の効果】
本発明では、所定の表示シートを利用するため、透明部材に投射しても鮮明な表示像(又は高品質画像)を表示できる。また、投射像の反射を利用しているため、高い色再現性及び輝度で鮮明な投射像を表示でき、表示品質を向上できる。さらに、投射像を斜め方向から入射させても、歪みのない鮮明な像を透明部材の表示面に表示できる。
【0069】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0070】
実施例1
<原反シートの作製>
セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル(株)製「307E−09」)100重量部に、板面の平均直径が6μmの酸化チタン被覆天然マイカ微粒子(メルク(株)製「Iriodin 110」)0.7重量部を添加し、200℃にて加熱、混練後、冷水中で固化させペレット状に切断した。このペレットを90℃にて2時間乾燥後、180℃にて加熱して混練し、幅10cm、厚み0.6mmのシート状に押出し、原反シートを成形した。この原反シートの断面写真を観察したところ、シート面に沿って板状微粒子が配向し、分散していることを確認できた。以下、座標系として、原反シートの押出方向をX軸とする。
【0071】
<ブロック組みおよびスライス>
この原反シートをX軸方向に長さ90cm幅に裁断して短冊状とし、図5に示すように、短冊状原反シート33を約1000枚傾斜させて積層し、積層体の両側部及び上部から圧力を加えながら160℃に加熱して、前記積層体の原反シートを融着し、積層融着体(ブロック)31を作製した。なお、座標系として、このブロック31の積層方向をY軸方向、高さ方向をZ軸方向とする。得られたブロックの大きさは、それぞれX軸方向90cm、Y軸方向650cm、Z軸方向10cmであった。このブロック31を、Z軸方向を厚み方向として、X軸方向(X−Y面)に沿って厚み500μmにスライスし、140℃で平滑板(艶板)に挟みプレスすることにより表面を艶出しし、シートの周辺耳部をカットすることにより、長さ81cm、幅61cmの40インチサイズの表示シート23を得た。なお、原反シートおよびブロック、表示シートの製造工程を示す模式図および座標系は前記図5に示す通りである。
【0072】
シート中で板状粒子は一様に、板面がY軸方向を向いて配向しており、マイカ微粒子の板面とシート面との角度は実質的に78°であった。
【0073】
この表示シートの光線透過率は85%、ヘイズメーターによる平行線透過率は50%であった。表示シートに、斜め上後方30゜の角度から表示シートに対して投射像を投射したところ、正面方向にゲイン1.0の鮮明な画像を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の表示システムの一例を示す概略図である。
【図2】図2は図1の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は本発明の表示システムの他の例を示す概略図である。
【図4】図4は図3の表示システムで用いる表示シートの一例を示す概略断面図である。
【図5】図5は表示シートの製造方法を説明するための概略工程図である。
【符号の説明】
1…投射手段
2…透明部材
3,13…表示シート
3a,13a…透明樹脂
3b,13b…反射性板状粒子
Claims (12)
- 透明部材の少なくとも一方の面に配設され、かつ配設部位に対して斜め方向から投射された投射像を表示するための表示シートであって、透明樹脂中に反射性板状粒子が配向して分散し、かつ前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している表示シート。
- 板状粒子の板面が、投射手段からの投影像を配設部位の表示面の前方方向に反射する角度で傾斜している請求項1記載の表示シート。
- 表示面の後方に配設された投射手段から投射光が投射される請求項1記載の表示シート。
- 反射性板状粒子が金属又は金属酸化物で被覆された粒子である請求項1記載の表示シート。
- 反射性板状粒子の表面が酸化チタンで被覆されている請求項1記載の表示シート。
- 直進光線に対して透過可能である請求項1記載の表示シート。
- 反射性板状粒子の板面の平均直径が5〜1000μmであり、シートの厚みが50〜1000μmである請求項1記載の表示シート。
- セルロースエステル類、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂から選択された透明樹脂の連続相と、雲母類、タルク、モンモリロナイト類から選択され、かつ反射性を有する少なくとも一種の反射性板状粒子の分散相とで構成されている請求項1記載の表示シート。
- 透明樹脂100重量部に対して板状粒子0.1〜50重量部を含む請求項1記載の表示シート。
- 透明部材の少なくとも一方の面に配設するための表示シートと、この表示シートに対して斜め方向から投射像を投射するための投射手段とで構成された表示システムであって、前記表示シートが、透明樹脂と、この透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子とで構成されており、前記板状粒子の板面がシート面に対して傾斜している表示システム。
- 透明部材の表示シートに対して斜め上後方に投射手段が配設可能である請求項10記載の表示システム。
- 透明部材の少なくとも一方の面に配設された表示シートに対して、斜め方向から投射像を投射し、この投射像を前記表示シートの表示面に表示する方法であって、前記表示シートが、透明樹脂とこの透明樹脂中に配向して分散した反射性板状粒子とで構成されており、この板状粒子により、前記投射像を表示面側に反射して投射像を表示する方法。
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