JP2004300758A - 床材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木質系基材の表面に非塩ビ系化粧シートを貼着し、前記非塩ビ系化粧シート側に条溝部および/ないし面取部を形成した床材において、前記条溝部および/ないし前記面取部を少なくとも易接着処理することにより易接着処理面となした後に前記条溝部および/ないし前記面取部に塗料塗布層を形成したことを特徴とする床材。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の床面に用いられる床材に関し、さらに詳しくは、表面に条溝部や表面側辺部に面取部を有する床材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の床面に用いられる床材として、木質系基材の表面に木目柄等の化粧シートや突板、化粧単板等の装飾材を貼着し、表面側に条溝部や面取部を有するものが知られている。このような条溝部や面取部を有する床材は、通常、木質系基材の表面に装飾材を貼着して後に、ルーター、テノーナー等の切削加工機を用いて前記装飾材側から前記木質系基材に達する深さの条溝部や面取部を形成すると共に前記条溝部や面取部に透明な塗料および/ないし着色した塗料を塗布して前記条溝部や面取部の耐水性や意匠性向上が図られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、突板や化粧単板は、無垢の自然木材を薄くスライスしたものであり、木材資源の枯渇や世界的な資源保護運動の高まりから木材価格が高騰すると共に材質も低下し、従来のような良質な木材が入手困難になってきた。この対応として、突板や化粧単板に代えて木目柄等の美麗な印刷を施した化粧シートが用いられるようになってきた。また、近年、化粧シートについても環境問題に配慮して非塩ビ系化粧シートが主流となっている。
【0004】
しかしながら、装飾材として非塩ビ系化粧シートを用いた床材は、突板や化粧単板を用いた床材に比べて前記条溝部や面取部に塗布した透明な塗料および/ないし着色した塗料と非塩ビ系化粧シートとの接着性が安定せずにバラツクために、塗布した塗料が剥げ落ち、色落ち問題や耐水性が低下して膨潤するといった問題が発生する虞があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−102744号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とするところは、条溝部や面取部に耐水性や意匠性向上のために設けられる透明な塗料および/ないし着色した塗料が剥げ落ちることがなく、色落ち問題や膨潤するといった問題が発生する虞を低減した床材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した問題を解決するために、請求項1記載の本発明は、木質系基材の表面に非塩ビ系化粧シートを貼着し、前記非塩ビ系化粧シート側に条溝部および/ないし面取部を形成した床材において、前記条溝部および/ないし前記面取部を少なくとも易接着処理することにより易接着処理面となした後に前記条溝部および/ないし前記面取部に塗料塗布層を形成したことを特徴とするものである。このように構成することにより、非塩ビ系化粧シートとバラツクことなく良好に接着する塗料塗布層を備えた床材とすることができる。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の床材において、前記易接着処理面がコロナ放電処理することにより形成されたコロナ放電処理面であることを特徴とするものである。このように構成することにより、容易に易接着処理面を形成することができ、安価な床材とすることができる。
【0009】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の床材において、前記非塩ビ系化粧シートの表面に表面保護層が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性等の表面物性に優れた床材とすることができる。
【0010】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の床材において、該床材の表面に表面保護層が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、このように構成することにより、条溝部あるいは面取部を含めて全表出面を耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性等に優れた床材とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる床材の基本的層構成を図解的に示す断面図、図2は本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第1実施形態を図解的に示す断面図、図3は本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第2実施形態を図解的に示す断面図、図4は本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第3実施形態を図解的に示す断面図であり、図中の1は床材、2は木質系基材、3,3’,3”,3’’’は非塩ビ系化粧シート、4は条溝部、5は面取部、6は実部、7は塗料塗布層、30,30’は化粧用基材シート、30”はオレフィン系熱可塑性樹脂層、31は凹凸模様、32はワイピングインキ、33,35はプライマー層、34は表面保護層、36は絵柄層、37はベタ印刷層、38は接着剤層、39は樹脂層、61は雌実、62は雄実をそれぞれ示す。
【0012】
図1は本発明にかかる床材の基本的層構成を図解的に示す断面図であって、床材1は、木質系基材2の表面に非塩ビ系化粧シート3を接着剤層(図示せず)を介して貼着すると共に前記非塩ビ系化粧シート3側から前記木質系基材2に達する深さの条溝部4(図1上は2条の条溝部)と面取部5(図1上は両側部)、および、前記木質系基材2の対向する両側端部に雌実61とこの雌実61に嵌合し得る雄実62とからなる実部6を形成し、その後に前記条溝部4と前記面取部5を易接着処理して易接着処理面となすと共に前記条溝部4と前記面取部5とに塗料塗布層7を形成したものである。このように構成することにより、非塩ビ系化粧シート3と良好に接着した塗料塗布層7を備えた床材とすることができる。この塗料塗布層7は剥げ落ちることがなく、色落ち問題や膨潤するといった問題が発生する虞を低減することができる。なお、図1においては、前記条溝部4をV溝および前記面取部5を床材1同士を接合した際にV溝となるものを示したが、これは前記条溝部4および前記面取部5の一例を示したものであってこれに限るものではなく、たとえば、U溝やアール溝(溝部の断面形状が外方に突出する曲面形状からなる溝)であってもよいし、前記面取部5は床材1同士を接合した際に前記U溝や前記アール溝となるような面取部であってもよいものである。
【0013】
次に、本発明の床材1を構成する材料について説明する。
まず、前記木質系基材2としては、合板(LVLを含む)、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、パーティクルボード、単板、木材、集成材等のいずれか、ないし、これらを適宜積層した積層材を用いることができる。
【0014】
次に、前記非塩ビ系化粧シート3について説明する。
前記非塩ビ系化粧シートは、これにより床材としての意匠を付与する、および/ないし、床材に要求される諸物性、特に耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられるものである。前記非塩ビ系化粧シート3の化粧用基材シートとしては、合成樹脂製シートが適当であり、たとえば、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレンαオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独であっても2種以上の混合物であってもよいが、前記化粧用基材シートは床材として後述する印刷絵柄や凹凸模様などの絵柄模様が設けられるために、これらの適性が求められ、また、昨今問題となっている燃焼時に有害なガスを発生しないこと、あるいは、コストなどを考慮するとオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
【0015】
また、前記化粧用基材シートは、未延伸の状態、あるいは、一軸ないし二軸方向に延伸した状態のいずれの状態のシートであってもよいし、また、これらのいずれの状態のシートを2層以上積層した積層体からなるシートであってよいのであって、種々の構成を適宜採ることができるが、厚さとしては概ね60〜300μmが適当である。また、前記化粧用基材シートは白色ないし無色透明なシートに限ることはなく、必要に応じて顔料等にて着色したシートであってもよいものである。さらに、前記化粧用基材シートは必要に応じて必要な面に、コロナ放電処理等の易接着処理を施してもよいものである。また、前記化粧用基材シートは、適宜、酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤等の周知の添加剤を添加したものであってもよいものである。
【0016】
また、前記非塩ビ系化粧シート3は、床材としての意匠を付与する手段として、たとえば、前記化粧用基材シートに木目模様等の周知の床材に適用される各種模様印刷が施されている。この印刷に用いるインキとしては、被印刷シートの材質により適宜樹脂系を選択すればよく、ビヒクルとしては、塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂等の1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができるが、環境問題や被印刷面との接着性等を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したものである。また、前記非塩ビ系化粧シート3は床材としての意匠を付与する他の手段として、エンボス加工等の周知の形成方法により、たとえば、木目模様等の導管部に設けられる導管溝に代表される凹凸模様を設けることができるし、また、必要に応じて、前記凹凸模様の凹部に上記で説明したインキを充填して(ワイピング処理して)意匠を向上させることもできる。なお、前記凹凸模様は導管溝に限ることはなく、各種模様に合わせて適宜な凹凸模様が形成される。なお、木目模様等の各種模様印刷は、適宜に印刷法で形成すればよいものである。
【0017】
また、前記非塩ビ系化粧シート3は、床材として要求される物性、特に耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性等の表面物性を付与するために、通常、前記非塩ビ系化粧シート3の最表面に表面保護層が設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、表面硬度が硬く、生産性に優れるなどの理由から電離放射線硬化型樹脂で形成するのが好ましい。電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こして3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。また、電子線源としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。用いる電子線としては、100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのものが使用される。電子線の照射量は、通常2〜15Mrad程度である。
【0018】
電離放射線硬化型樹脂は、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。尚、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0019】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速い為、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0020】
また、カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0021】
上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独又は混合して用いることができる。又、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用いることができる。尚、これら光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。また、この電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、たとえば、この電離放射線硬化型樹脂を溶液化し、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより形成することができる。この場合の塗布量としては、固形分として概ね5〜30μmが適当であり、より好ましくは15〜25μmである。
【0022】
また、電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、より一層耐擦傷性、耐摩耗性を付与する場合には、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等の研磨材を加えることにより達成することができる。この研磨材の電離放射線硬化型樹脂100重量部に対する割合は1〜80重量部が適当である。
【0023】
また、前記非塩ビ系化粧シート3の前記化粧用基材シートの必要な面に、プライマー層を形成することができる。特に、前記化粧用基材シートがオレフィン系熱可塑性樹脂の場合には、前記表面保護層あるいは木目模様等の各種模様印刷との接着強度を向上させるために、前記プライマー層を設ける方ことが望ましい。前記プライマー層に用いる樹脂としてはエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独ないし混合して塗料組成物、または、インキ組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
【0024】
また、前記木質系基材2に前記非塩ビ系化粧シート3を貼着する接着剤としては、前記非塩ビ系化粧シート3の接着剤と接する面を構成する材料により適宜選択して用いる必要があるが、たとえば、酢酸ビニル系樹脂、尿素樹脂、ウレタン系樹脂等の周知の接着剤から選択して用いればよいものである。
【0025】
次に、前記条溝部4と前記面取部5に行なう易接着処理について説明する。この易接着処理は、前記条溝部4と前記面取部5において露出する前記非塩ビ系化粧シート3と前記条溝部4と前記面取部5とに塗布して形成する前記塗料塗布層7との接着強度をバラツキのない安定した強度とするために行なうものであり、この易接着処理は、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の方法を採ることができるが、処理の容易さや処理効果、あるいは、コスト対効果を勘案するとコロナ放電処理が最も好ましい。このコロナ放電処理は、たとえば、被処理体の上下に配置した2電極間に高圧電流を流してコロナ放電させるものであり、コロナ放電が前記条溝部4や前記面取部5に集中する性質があり、易接着処理効果が大きい。
【0026】
また、前記条溝部4や前記面取部5に形成する前記塗料塗布層7の塗料としては、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の2液反応型樹脂を用いることができ、前記塗料塗布層7の形成方法としては、前記条溝部4や前記面取部5を有する表面全面にロールコート法等の周知の塗布方法で塗布し、その後にワイピング処理することにより形成することができる。
【0027】
次に、前記非塩ビ系化粧シート3の具体的な実施形態について説明する。
図2は本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第1実施形態を図解的に示す断面図であって、非塩ビ系化粧シート3’は透明なオレフィン系熱可塑性樹脂からなる化粧用基材シート30の一方の面にプライマー層33を設け、該プライマー層33上に表面保護層34を形成すると共に前記化粧用基材シート30の他方の面にプライマー層35を介して絵柄層36、ベタ印刷層37を形成したものである。
【0028】
図3は本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第2実施形態を図解的に示す断面図であって、非塩ビ系化粧シート3”は着色したオレフィン系熱可塑性樹脂からなる化粧用基材シート30’の一方の面にプライマー層35を設け、該プライマー層35上にベタ印刷層37、絵柄層36を順に印刷形成し、さらに前記絵柄層36上に2液硬化型ウレタン樹脂等の周知のドライラミネーション用接着剤で形成した接着剤層38を介して透明なオレフィン系熱可塑性樹脂層30”を設け、該オレフィン系熱可塑性樹脂層30”の表面にエンボス加工を施して凹凸模様31を設け、その上からワイピング処理を施して前記凹凸模様31の凹部内にワイピングインキ32を充填した後に、表出面全面にプライマー層33を設け、該プライマー層33上に表面保護層34を形成したものである。
【0029】
図4は本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第3実施形態を図解的に示す断面図であって、非塩ビ系化粧シート3’’’は、図3で示した第2実施形態の前記化粧用基材シート30’の他方の面に2液硬化型ウレタン樹脂等の周知のドライラミネーション用接着剤で形成した接着剤層38を介して前記非塩ビ系化粧シート3の化粧用基材シートで説明したような熱可塑性樹脂からなる樹脂層39を設けたものであって、これ以外は第2実施形態の非塩ビ系化粧シート3”と同じである。なお、図2〜4に示した前記非塩ビ系化粧シート3’、3”、3’’’は、前記表面保護層34の反対面、すなわち、木質系基材2と接着される面に必要に応じて木質系基材2との接着強度を向上させるために、上記で説明したものと同じプライマー層を設けてもよいものである。
【0030】
なお、今までは、前記表面保護層34を非塩ビ系化粧シート3の表面に設けることで説明してきたが、図示はしないが、木質系基材2と表面保護層34を設けない非塩ビ系化粧シート3を積層した積層体を作製し、次いで条溝部4と面取部5とを形成し、前記条溝部4と面取部5とに易接着処理を施すと共に塗料塗布層7を形成し、その後に前記積層体の表面にプライマー層33と表面保護層34を設けるようにしてもよいものである。このように前記積層体の表面に前記プライマー層33と前記表面保護層34を設ける構成とすることにより、前記条溝部4や面取部5の耐擦傷性、耐摩性、耐汚染性、耐水性等の表面物性を向上させることができる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
〔非塩ビ系化粧シートの作製〕
両面コロナ放電処理を施した60μmのオレフィン系樹脂シートの一方の面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア塗工法で固形分が2g/m2となるように塗工して印刷用プライマー層を形成し、該印刷用プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法でベタ柄印刷層と絵柄印刷層とを順次印刷して木目模様の印刷層を形成し、さらに前記印刷層上に固形分が10g/m2となるようにウレタン系接着剤を塗工して接着剤層を形成し、該接着剤層上にプロピレン系樹脂を80μm厚さとなるようにTダイ押出機で加熱溶融押出しして透明樹脂層を形成し、その後に、前記透明樹脂層面にコロナ放電処理を施すと共に該コロナ放電処置面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア塗工法で固形分が1g/m2となるように塗工して表面保護層用プライマー層を形成し、該表面保護層用プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成し、該未硬化の電子線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧125KeV、5Mrad)を照射して硬化させて電子線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成すると共に、該表面保護層側から版深50μmの木目導管状エンボス版でエンボス加工を行って、木目導管の凹凸模様を形成した中間シートを作製した。その後に、前記中間シートと0.4mm厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとをポリエステルウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法で積層して非塩ビ系化粧シートを作製した。
【0032】
〔中間床材の作製〕
12mm厚さのラワン合板(3尺×6尺)の一方の面全面にウレタン系2液硬化型接着剤をウエット状態で100g/m2となるように塗工し、上記で作製した非塩ビ系化粧シートを表面保護層が表出するように貼着してラミネート合板を作製すると共に所定寸法(1尺×6尺)に裁断した後に、テノーナーを用いて四辺に実加工を施すと共に非塩ビ系化粧シート側からラワン合板に達する深さの表面長尺方向にV字形状の条溝部および表面長尺方向側辺部に面取部を形成した中間床材を作製した。
【0033】
実施例1
〔床材の作製〕
上記で作製した中間床材を上下に電極を配置したコロナ放電処理装置でコロナ放電処理を行なって、少なくとも条溝部と面取部とをコロナ放電処理面となした後に、条溝部および面取部を有する面全面に水系の2液硬化型ウレタン系着色塗料を塗布すると共にワイピング処理して条溝部および面取部に塗料塗布層を有する本発明の床材を得た。
【0034】
比較例1
〔床材の作製〕
コロナ放電処理をすることなく、実施例1と同様にして比較例とする床材を得た。
【0035】
上記で作製した実施例1及び比較例1の床材の条溝部について、種々の条件で処理した後に、条溝部に24mm幅のセロハンテープ〔ニチバン(株)製:商品名〕を貼着し、これを速やかに135°の方向に引張って剥離し、その結果を表1に纏めて示した。
【0036】
【表1】
※処理条件:
・耐候1 −サンシャインウエザオメーターで400時間照射
・耐候2 −スーパーUVテスターで12時間照射
・耐熱 −60℃恒温槽に96時間
・耐湿熱 −60℃、90%RH恒温恒湿槽に96時間
・耐水 −常温水中に96時間浸漬
・1類浸漬−JAS特殊合板1類浸漬
・2類浸漬−JAS特殊合板2類浸漬
・耐熱水 −JAS特殊合板湿熱試験
【0037】
表1からも明らかように、実施例1は比較例1に比べて、各種条件で処理した後においても塗料塗布層の剥離がほとんどない極めて優れた接着性を有する床材である。
【0038】
【発明の効果】
今まで縷々説明してきたように、本発明によれば、少なくとも条溝部や面取部を易接着処理を施した易接着処理面とすることにより、条溝部や面取部に耐水性や意匠性向上のために設けられる透明な塗料および/ないし着色した塗料が剥げ落ちることがない床材を提供することができ、その結果として条溝部や面取部の色落ち問題や膨潤するといった問題が発生する虞を低減した床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる床材の基本的層構成を図解的に示す断面図である。
【図2】本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第1実施形態を図解的に示す断面図である。
【図3】本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第2実施形態を図解的に示す断面図である。
【図4】本発明に用いる非塩ビ系化粧シートの第3実施形態を図解的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 床材
2 木質系基材
3,3’,3”,3’’’ 非塩ビ系化粧シート
4 条溝部
5 面取部
6 実部
7 塗料塗布層
30,30’ 化粧用基材シート
30” オレフィン系熱可塑性樹脂層
31 凹凸模様
32 ワイピングインキ
33,35 プライマー層
34 表面保護層
36 絵柄層
37 ベタ印刷層
38 接着剤層
39 樹脂層
61 雌実
62 雄実
Claims (4)
- 木質系基材の表面に非塩ビ系化粧シートを貼着し、前記非塩ビ系化粧シート側に条溝部および/ないし面取部を形成した床材において、前記条溝部および/ないし前記面取部を少なくとも易接着処理することにより易接着処理面となした後に前記条溝部および/ないし前記面取部に塗料塗布層を形成したことを特徴とする床材。
- 前記易接着処理面がコロナ放電処理することにより形成されたコロナ放電処理面であることを特徴とする請求項1記載の床材。
- 前記非塩ビ系化粧シートの表面に表面保護層が形成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の床材。
- 請求項1、2のいずれかに記載の床材において、該床材の表面に表面保護層が形成されていることを特徴とする床材。
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