JP2004300473A - 窒化特性の優れた冷鍛用鋼及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量比にしてC:0.05〜0.20%、Si:0.30%未満、Mn:1.00%以下、Cr:0.50〜1.50%、Al:0.040%以下、N:0.0100%以下、Ti:0.50〜1.50%と、必要に応じてS:0.050%以下、Ni:1.00%以下、Mo:0.30%以下、V:0.40%以下の1種又は2種以上を含有し、かつTi−4×C−3.4N≧0.20を満足し、残部がFe及び不純物元素からなる熱間圧延鋼材であって、TiCが分散析出したフェライトのみからなる組織を有し、硬さがHv130以下である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化処理した場合に短時間の処理で高い表面硬さと深い硬化深さが得られ、かつ冷鍛性の優れた冷鍛用鋼及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷鍛部品は、自動車等の小物部品として非常に多く用いられている。これは冷鍛という加工法が、加工時に大きな力が必要で、加工に使用する金型、パンチ等に多大な負荷がかかるという欠点を除くと、切削加工等の他の加工法に比べ、高生産性、寸法精度良好、高い歩留といった優れた特徴を有しているためである。従って、これらの有利な特徴を活かせる部位には、積極的に冷鍛部品が使用されている。
【0003】
しかしながら、前記した加工に伴う負荷が大きいという点は大きな課題であり、他の要求特性を劣化することなく、加工に必要な荷重を低く抑えることのできる材料の開発は以前から長期間継続して行われており、多数の特許出願がされている。
【0004】
また、冷鍛部品の中には、使用時の環境から高強度かつ高面圧に耐えられることが要求される部品が多くあり、そのために、冷鍛後に浸炭や窒化等の表面硬化処理を行って使用される場合も多い。従って、優れた冷鍛性が要求されるのは勿論の事、それ以外に表面硬化処理特性についても同時に優れた材料の開発が強く要求されている。
【0005】
特に、前記した表面硬化処理のうち、浸炭処理については、歪という大きな問題があるために、歪が重視される部品については、処理温度が変態点以下である窒化処理が行われるため、冷鍛性と窒化性の両方について優れた特性を有する鋼の開発が求められている。
【0006】
しかしながら、通常広く行われている窒化処理方法であるガス窒化処理、ガス軟窒化処理は、浸炭処理に比較して歪を小さく抑えられるという利点がある一方で、その処理によって高い硬さの得られる範囲(Hv400以上の硬さが得られる範囲)は、化合物層及びその直下の非常にわずかな範囲に限られ、その深さは、表面からわずか0.1〜0.2mm程度(ガス軟窒化処理で処理温度が約570℃×4hrの場合)と浸炭処理に比べかなり浅い。この程度の硬化深さでは、高面圧が継続して負荷される環境では安心して使用できない。そのため、高面圧環境での使用を可能とするために、例えば0.3mmを超える深い硬化深さを得ようとすると、処理時間を大幅に長くする必要があり(10時間以上)、浸炭処理に比べ長時間の処理となって、生産性が著しく阻害されるという問題があった。
【0007】
このように、窒化処理によって高い表面硬さと深い硬化深さを得るには、浸炭に比べ長時間の処理が必要となるため、できるだけ短時間の処理で高い表面硬さと深い硬化深さを得る必要がある。また、一方で前記したように冷鍛性についても優れた材料が要求される。このような冷鍛性と窒化性の両方について優れた鋼が強く求められていた。
【0008】
冷鍛性、窒化性の両方について優れた鋼としては、例えば、特許文献1、2等に示される鋼が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−171347号公報
【特許文献2】
特開平10−306343号公報
【0010】
このうち、特許文献1に記載の発明は、Cr、V、Alを適量添加して軟窒化処理後の表面硬さ、硬化深さの向上を図るとともに、C、Mn量の調整により圧延後の組織をフェライト+パーライトの2相組織として冷鍛性についても優れた特性を確保可能にしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、特許文献2に記載の発明は、軟窒化処理後の芯部硬さを改善するために、Cuを添加し、かつ窒化処理後の硬化深さを改善するため、フェライトの平均粒径を40μm以下として、窒化処理中のC、Nの拡散促進を図ったことを特徴とするものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の発明には次の問題がある。
前記した特許文献1、2等のように冷鍛性と窒化特性を両立する鋼の開発が行われてきたことにより、従来鋼に比べれば冷鍛性、窒化特性の両特性についてバランスのとれた鋼を得ることができた。しかし、改善されたといっても、特許文献1、2に記載の鋼は、焼ならし処理後においてHv100台の中間程度の硬さとなり、冷鍛が困難な硬さレベルではないものの、冷鍛時の金型、パンチへの負担は依然としてかなり大きいことに変わりはない。この負荷を確実に小さいものとするためには、少なくともHv100代前半の硬さとする必要がある。また、窒化特性についても、従来鋼に比べれば改善されているものの、浸炭処理に比べれば硬化深さ、処理時間の点で依然として劣っている。短時間で深い硬化深さを得るには、浸炭処理の場合と同様に、処理温度を高くするという方法があるが、従来提案された鋼に高い処理温度で窒化すると、硬化深さを深くする点で効果が大きいが、生成される窒化物が通常温度での処理に比べ大きく成長し、粗大化するため、得られる表面硬さが低下して、窒化処理による効果が低下するという問題がある。
【0013】
本発明は、熱間圧延後にHv100台前半以下の低い硬さが得られ、冷鍛時の必要荷重を低減することができ、かつ通常の窒化処理に比べ高温で処理しても従来鋼に通常温度での窒化処理を行った場合と比較して同等以上の表面硬さを得ることができ、大幅に窒化処理時間を短縮することのできる窒化特性の優れた冷鍛用鋼及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、重量比にしてC:0.03〜0.20%、Si:0.30%未満、Mn:1.00%以下、Cr:0.50〜1.50%、Al:0.040%以下、N:0.0100%以下、Ti:0.50〜1.50%を含有し、かつTi−4×C−3.4N≧0.20を満足し、残部がFe及び不純物元素からなる熱間圧延鋼材であって、TiCが分散析出したフェライトのみからなる組織を有し、硬さがHv130以下であることを特徴とする窒化特性の優れた冷鍛用鋼である。
【0015】
本発明の特徴は、Tiを多量に添加することにより、熱間圧延後に鋼中のCをTiCとして析出させ、Cが固溶強化による強度向上効果を及ぼさないようにして、Hv130以下の低い硬さを達成可能にした点と、Tiを多量添加したことにより、高温でも硬さの低下しにくい窒化物を形成させ、窒化処理の高温度化を可能にした点にある。
【0016】
従来の冷鍛用鋼の開発に対する考え方は、通常C、Si、Mn等合金元素の添加が固溶強化等の理由で冷鍛性にとって悪影響を与えることがわかっているため、これらの元素の添加量をできるだけ抑制するという考え方が強く、組織面から大幅に考え方を変えたアプローチについてはほとんどされていなかった。本発明者等は、鋼の強度向上の主要因がCの強化によるものであるという点に注目し、Cによる強化をできるだけ抑制する方法がないかを組織の変更も含めて検討を行った。そして、Cと結合しやすい元素の添加効果について詳細に検討し、Tiを添加することで、鋼中CをTiCとして析出させ、Cが固溶強化に寄与しないフェライト単相からなる鋼とすることで、変形抵抗を大幅に低減できることを新規に見出したものである。
【0017】
但し、本発明の場合、窒化特性の向上という大きなもう1つの課題があり、Tiを添加し、Cの固溶強化を抑制したことが、窒化特性の向上に有利かどうかは、さらに検討が必要である。特に本発明では、窒化処理の処理時間短縮を目的としており、前記したTi添加鋼の窒化特性だけでなく、他の添加元素についても様々に変化させて、高温窒化処理時の表面硬さを調査した。その結果、他の添加元素を利用した場合に比べ、前記Ti添加鋼が高温で窒化した際の表面硬さの低下を最小限に抑えることができ、600℃を超える温度で窒化処理しても、Hv650以上の表面硬さが得られることを見出し、本発明の完成に到ったものである。
次に請求項1の発明における化学成分等の条件の限定理由について、以下に説明する。
【0018】
C:0.03〜0.20%
Cは固溶強化により冷鍛時の変形抵抗を上昇させるため、冷鍛性のみを考えれば、できるだけ低減することが好ましい。しかしながら、実使用時の強度確保のためには、必要不可欠な元素であり、少なくとも0.03%以上、好ましくは0.05%以上の含有が必要である。また、多量に添加すると、冷鍛時の変形抵抗が上昇する原因になるととともに、熱間圧延後にフェライト単相からなる組織を得るのに多量のTiが必要となってコスト高となるので、上限を0.20%とした。
【0019】
Si:0.30%未満
本発明鋼は、前記したようにTiの多量添加が特徴である。Tiを多量添加するとオ−ステナイト化に必要な温度が大幅に上昇し、通常の焼入温度(850〜900℃程度)では焼入処理後にマルテンサイト組織が得られなくなる。また、Siもフェライトを安定にさせる元素であるため、多量の含有はオ−ステナイト化温度の上昇につながり、さらに必要な焼入温度が上昇することになる。本発明鋼は内部硬さ改善のため、焼入処理する場合があるため、多少の温度上昇はやむを得ないが、できるだけ低い温度での焼入処理を可能にするため、Siの添加については脱酸に必要な最低限の量に抑え、上限を0.30%未満に限定した。なお、Siは冷鍛性低下の原因となる元素であるので、上限を厳しく規制し、0.15%以下とするのがより好ましい。
【0020】
Mn:1.00%以下
Mnは固溶強化により硬さ向上に寄与する元素であるとともに、靭性向上に効果のある元素である。従って、適量の添加であれば、本発明にとって有益な効果を及ぼす元素である。しかしながら、添加しすぎると被削性が低下し、機械加工性が劣化するとともに、冷鍛性、窒化処理後の硬化深さが低下する原因となるため、上限を1.00%とした。
【0021】
Cr:0.50〜1.50%
Crは本発明鋼を窒化処理した場合において、表面硬化層の硬さ向上に効果のある元素であり、0.50%以上の含有が必要である。しかしながら、多量の含有は窒素の拡散速度の低下につながり、表面硬さは上昇するが、目的とする硬化深さを得ることが難しくなるので、上限を1.50%とした。
【0022】
Al:0.040%以下
Alは鋼の精錬時に脱酸のために必要な元素である。しかし、Alを含有するとCrと同様に窒素の拡散速度の低下につながり、窒化処理した際の硬化深さが低下するとともに、アルミナ系介在物が増加して、鋼材製造時及び冷鍛時に割れ、表面疵等が発生しやすくなり、製造が難しくなる。本発明では、窒化処理を短時間に実施可能な鋼の提供を最重要視しているため、Alは脱酸のために必要な最低限の量の含有に抑える必要があり、上限を0.040%とした。
【0023】
N:0.0100%以下
Nは、Tiと結合してTiNを形成し、これが介在物となって存在する。このTiNの大きな介在物が存在した場合、高面圧が負荷された環境で継続使用すると、破壊の起点となる可能性がある。また、窒化処理前の時点で存在するTiNは窒化処理によって形成されるTiNに比較して粗大であり、内部硬さの向上にはほとんど寄与しない。従って、Nの存在による影響は、TiN介在物の生成により窒化後の表面硬さ向上に効果を及ぼすTi量を減少や、前記介在物の生成による疲労特性の低下等、悪影響のみである。よって、このようなNはできるだけ低減することが好ましく、その上限を0.0100%とした。好ましくは、0.0080%以下とするのが良い。
【0024】
Ti:0.50〜1.50%
Tiは、鋼中CをTiCとして析出させるとともに、熱間圧延後の組織をフェライト単相とし、Cの固溶強化が強度に寄与しない組織とするために必要不可欠な元素である。また、Tiは硬い窒化物を形成し、通常より高温で窒化処理した場合でも目標とする表面硬さを確保するために必要な元素でもある。従って、これらの効果を十分に得るためには、ある程度多量に添加しないと達成されないため、含有率の下限を0.50%とした。但し、多量に添加しすぎるとマトリックスの脆化を招くとともに、コスト高となるため、上限を1.50%とした。
【0025】
Ti(%)−4C(%)−3.4N(%)≧0.20(%)
Tiは鋼中のC、Nと結合してTiC、TiNを生成する。TiCは後述するように焼入処理によってTiCを固溶させたとしても、その後の窒化処理時の加熱によって鋼中に析出してくる。また、窒化処理前の時点で既に存在しているTiNは、前記した通り、マトリックスの強化に寄与しない。従って、優れた窒化特性を得るためには、このようなTiC、TiNの生成によって消費されるTiを除いた有効Ti量を一定量以上確保する必要がある。有効Ti量はTi(%)−4C(%)−3.4N(%)により求めることができ、最低でもこの値を0.20%以上とする必要がある。
【0026】
以上説明した範囲に含有成分を調整することにより、変形抵抗が低く、冷鍛性が優れ、かつ窒化処理を高温で実施可能な冷鍛用鋼を得ることができる。
【0027】
次に、化学成分以外の限定理由について、以下に説明する。
本発明鋼は溶解し、所定の精錬を行い、熱間圧延したままの状態では、多量のTiを含有している影響から、鋼中Cの大部分がTiCとなって析出するため、マトリックス中のC濃度が0に近くなり、フェライト中にTiCが析出した組織となる。前記したように、この組織とすることにより、鋼中Cが、固溶強化に寄与しないため、変形抵抗が低く、冷鍛性の非常に優れた鋼を得ることができる。
【0028】
但し、圧延ままの状態では、一部のTiCが圧延時の加熱によって固溶したままとなっており、この固溶TiCの影響で冷鍛性に悪影響を生じる可能性がある。そこで、後述するように析出処理を行って、TiCを析出させておくことが好ましい。これにより、変形抵抗を確実に下げることができるとともに、限界加工率の向上も図ることができる。なお、硬さの上限をHv130としたのは、130以下という硬さレベルは、従来の冷鍛用軟窒化鋼では安定して達成することは困難であるが、本発明鋼では容易に達成することができるレベルであり、本発明の効果を十分に得ることができるからである。好ましくはHv120以下とするのが良い。
【0029】
しかしながら、本発明鋼は、冷鍛性が優れている反面、硬さが低いので、実際の使用環境の中では、その負荷に対して内部硬さが不足する可能性がある。その場合には、冷鍛等で所定の部品形状に加工後、焼入処理(1000℃以上の加熱が必要)を実施し、組織をマルテンサイトとすることにより、必要な硬さを確保することができる。
【0030】
以上説明したように、本発明鋼は、非常に低い変形抵抗で冷鍛が可能になるので、金型やパンチ寿命の大幅な向上が期待できる。このように、本発明鋼は、冷鍛性が非常に優れており、窒化処理の有無に関係なく、冷鍛部品として使用することが可能である。但し、ガス窒化処理、ガス軟窒化処理等の方法で窒化処理する場合には、前記した通り、従来より高温で処理することが可能になるので、短い処理時間で高い表面硬さと深い硬化深さを得ることができる。
【0031】
窒化処理について具体的に説明すると、通常の処理温度(約550〜580℃)に比べ高温(600℃以上)で行うことにより、比較的短時間の処理(4時間程度)でHv650以上の高い硬さと深い硬化深さを得ることができる。なお、内部硬さ改善のため、窒化処理前に焼入を実施した場合には、この窒化処理による加熱によって組織が焼もどされ、焼もどしマルテンサイト組織となって若干硬度が低下するが、最終的にHv150以上の内部硬さを得ることができる。ここで、表面硬さ、硬化深さは、その定義を明確にするため、本特許では、表面硬さが、表面から0.05mmの位置における硬さ、硬化深さは、硬さがHv400となる深さとする。
本発明は、短時間(4時間程度)の窒化処理で、0.35mm以上、最適な条件で行った場合には、0.50mm程度の深い硬化深さを容易に得ることができる。
【0032】
次に請求項2に記載の発明は、請求項1の発明鋼に加えて、S:0.0050%以下、Ni:1.00%以下、Mo:0.30%以下、V:0.40%以下のうちの1種又は2種以上をさらに含有させたことを特徴とするものである。これらの元素は、請求項1の鋼の特性をさらに向上させるために必要に応じて含有させることができる。以下それぞれの成分の添加量の限定理由について説明する。
【0033】
S:0.050%以下
Sは被削性向上のために必要に応じて少量含有させることができる。本発明鋼は熱間圧延後の素材を熱間鍛造、冷間鍛造等の塑性加工によって所定の形状に加工されるが、さらに最終製品の寸法に精度良く仕上げるため、機械加工が行われる場合がある。従って、機械加工の内容によってはSを少量添加して被削性を向上させた鋼を使用することが望ましい。但し、多量の添加は硫化物系介在物を増加させ、高面圧負荷の環境において折損の原因となるため、上限を0.050%とした。
【0034】
Ni:1.00%以下、Mo:0.30%以下
Ni、Moはマトリックスの強度向上と靭性の向上に効果のある元素であり、必要に応じて請求項1記載の鋼に加えて、さらに含有させることができる。しかし、どちらも高価の元素であって、添加するほどコストが増加するとともに、一定量以上の添加はコスト増に見合う効果が得られないため、その上限をNiが1.00%、Moは0.30%とした。
【0035】
V:0.40%以下
VはTi、Crと同様に窒化処理後の表面硬化層の硬さ向上のために効果のある元素であり、必要に応じて含有させることのできる元素である。しかしながら、多量に含有させるとCrと同様に窒素の拡散の抵抗となり、表面硬さは向上するが、硬化深さが低下する原因となるとともに、コスト高となるので、上限を0.40%とした。
【0036】
次に、請求項3の発明は、請求項1または2に記載した窒化鋼の製造方法に関する発明である。化学成分の限定理由については既に説明した通りであるので、以下製造条件の限定理由について説明する。
【0037】
前記した通り、本発明鋼ではTiを多量に添加しており、圧延後においてはTiCが析出したフェライト単相からなる組織となって、変形抵抗が低く、冷鍛性の優れた鋼とすることができる。しかしながら、圧延時の加熱により一部のTiCが固溶するため、そのままの状態だと、冷鍛性に悪影響が生じる可能性がある。そこで、請求項3では、圧延後さらに750〜950℃に加熱する熱処理を行って、一部の固溶しているTiCを析出させることにより、さらに冷鍛性が改善される。また、この熱処理により限界加工率の改善も図ることができる。
【0038】
温度の下限を750℃としたのは、この温度未満ではTiCの析出が不十分となるためであり、上限を950℃としたのは、組織の一部がオーステナイト化し、TiCが析出ではなく固溶し始めるからである。なお、この析出処理は温度だけを比較すると、従来の冷鍛用鋼等で広く実施されている焼ならし処理と温度が重複しており、何ら相違がないかのようにみえる。しかし、通常行われている焼ならし処理は加熱によって組織をオーステナイト化することが前提の熱処理であるのに対し、本発明鋼の場合、Tiを多量添加しているため、オーステナイト化温度は上昇して、少なくとも1000℃以上、Ti量によってはそれ以上の高い温度でないと、完全にオーステナイト化しない。従って、本発明における析出処理は、オーステナイト化していない状態での熱処理であり、通常の焼ならし処理とは根本的に相違する熱処理となる。
【0039】
なお、加熱後の冷却は、通常空冷で行えば良いが、強制空冷等多少の冷却条件の変更は硬さに大きな影響がないので、行っても良い。
以上説明したように析出処理を実施することにより、冷鍛性をさらに改善することができる。
【0040】
【実施例】
次に、本発明鋼の特徴を比較例と対比して、実施例により説明する。表1に実施例として用いた供試鋼の化学成分を示す。なお、供試鋼は短時間に多数の成分の鋼の評価をするため、本発明鋼、比較鋼については、30kg真空誘導溶解炉によって溶解した鋼塊を用い、実際の圧延温度相当の950℃に加熱して直径15mmの丸棒に鍛伸することにより準備し、従来鋼については実際に生産された圧延鋼材から入手し、同様に950℃に加熱して直径15mmの丸棒に鍛伸することにより準備したものである。なお、鍛伸後全ての供試材について900℃×1hr、空冷の条件で熱処理(A〜Q鋼については、固溶しているTiCを析出させるため。またR〜T鋼については焼ならし処理に相当)を行った。A〜Q鋼については、この熱処理の影響を調べるため、熱処理前の供試材についても冷鍛性の評価を実施した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1において、A〜M鋼は本発明の成分範囲内の鋼であり、N〜S鋼はいずれかの成分又は有効Ti量が本発明で規定する範囲を外れている比較鋼であり、T鋼は従来鋼であるJISのSACM645である。
【0043】
これら各供試鋼について、内部硬さ(900℃×1hrの熱処理後、焼入後、窒化処理後)及び窒化処理後の表面硬さ、硬化深さ、冷鍛性(据込加工による荷重と限界加工率)の測定を行った。以下に試験方法について説明する。
【0044】
内部硬さは、焼入後に得られる内部硬さの確認と、窒化処理による硬さ低下がどの程度となるかを正確に評価するために、前記した鍛伸材から直径10mm、高さ15mmの試験片を作製し、それぞれの熱処理直後における硬さを測定したものである。なお、焼入は、焼入温度による影響を把握するため、950℃、1000℃と熱間鍛造される場合の一般的な温度である1200℃の3水準にて熱処理(温度保持時間30分→水冷)を行った。但し、従来鋼であるT鋼、比較鋼であるR、S鋼はTiを含有していないので、前記したような多量にTiを添加したことによる内硬低下の問題はなく、焼入処理の必要はないことから、焼入処理を行うことなく後述の窒化特性の評価を実施した。
【0045】
冷鍛性は、鍛伸材から準備した直径10mm、高さ15mmの試験片を同心円溝付の耐圧板を用いて据込み率50%の条件で圧縮加工した際の荷重と、割れが生じ始める加工率(限界加工率)を測定することにより評価した。なお、限界加工率は、据込み率75%まで試験を実施し、最後まで割れ発生が認められなかったものは、後述の表2に○で示した。
【0046】
窒化特性は、焼入温度を1200℃で行った試験片について、通常の窒化処理温度に比べ高温である600℃、650℃の2水準でガス軟窒化処理を行って、処理後の表面硬さ、硬化深さを測定することにより評価した。なお、前記した定義に示す通り、測定した表面硬さは、表面から0.05mmの位置での値であり、硬化深さは、Hvが400となる深さで示したものである。結果を表2,表3に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
表2,表3から明らかなように、本発明鋼であるA〜M鋼は、900℃×1hrの熱処理後においては、前記したようにTiCが析出したフェライト単相の組織となっており、Hv100程度の非常に低い硬さとなっていた。この硬さはTiを含有していない比較鋼であるR、S鋼と比べ著しく低く、据込み率50%における荷重も、R、S鋼に比べかなり低い値を示した。また、限界加工率も全て75%以上と非常に優れていた。さらに、表2及び表3には析出処理前においての試験結果も示したが、析出処理前後において限界加工率で若干の改善が確認できたが、析出処理前でも70%以上、一部は75%以上の高い限界加工率を有していた。また、硬さについても、組織が同様にTiCが析出したフェライト単相の組織となっていることから、析出処理後に比べ若干高いもののHv103〜128と低く、低い荷重で加工が可能であることが確認できた。
【0050】
また、焼入後の硬さについては、1000℃以上の温度で焼入処理を施すことにより、組織がマルテンサイト組織となり、焼入温度1000℃で硬さがHv180程度、1200℃での焼入処理により、硬さがHv253〜297と大幅に上昇した。本発明鋼にとって焼入処理は必須ではないが、強度を必要とする部位に使用する場合には、このように焼入処理することにより、必要とする内部硬さを確保することができる。なお、焼入温度が高いほど高い焼入硬さが得られるのは、温度が高いほどTiCが多量に固溶して焼入後のマルテンサイト組織中の炭素含有率が上昇し、Cの固溶強化による強度向上効果が大きく得られるためである。
【0051】
このように焼入処理により組織をマルテンサイトとして硬さを向上させ、その後窒化処理した場合には、焼もどし効果により若干硬さが低下するものの、窒化温度が650℃と非常に高くした場合でもHv180以上の内部硬さを確保することができた。
【0052】
但し、焼入温度が950℃と低い場合には、Hv150程度の不十分な硬さしか得られなかった。これは、この温度ではTiCの固溶が不十分となってCの固溶強化による効果が不十分になるためと、本発明のTi含有鋼は、950℃では完全にオーステナイト単相の状態にならないため、マルテンサイトのみの組織が得られないためである。
【0053】
また、本発明鋼は、窒化特性についても著しく優れた結果を示した。すなわち、わずか4時間の処理で通常の窒化処理では到底不可能な0.35〜0.55mmの硬化深さを達成するとともに、表面硬さもHv660〜762と非常に高い値を示した。
【0054】
一方、比較鋼であるN〜S鋼は、一部の成分が本発明で規定した範囲外であるため、優れた結果が得られなかった。具体的には、N鋼は、Si含有率が高いため、限界加工率が劣るものであり、O鋼は、Mn含有率が高く、P鋼は、有効Ti量が少ないため、硬化深さが低下したものであり、Q鋼はC含有率が高いため、限界加工率が劣るものである。また、Tiを含有していないR、S鋼は、焼入処理しなくても窒化処理後においてHv150以上の内部硬さが得られるが、冷鍛性が本発明鋼に比べ著しく劣る(変形抵抗が高い)とともに、硬化深さが0.05〜0.15mmと浅く、かつ高温窒化処理後の表面硬さが大きく劣るものである。さらに、従来の窒化鋼であるSACM645は、表面硬さが優れるものの、硬化深さが著しく劣り、かつ内部硬さが著しく高く、冷鍛はほとんど不可能である。本実施例における評価でも据込みは低い加工率で割れが発生したため、結果は示していない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明鋼は、多量のTiを添加して、圧延後にTiCが析出したフェライト単相からなる組織とすることにより、Hv130以下の低い硬さを達成できるので、変形抵抗が低く、かつ高い限界加工率が得られる。さらに、750〜950℃で析出処理して、圧延時に固溶しているTiCを十分に析出させることにより、さらに変形抵抗、限界加工率が向上し、冷鍛性が改善される。
【0056】
このように、本発明鋼は、冷鍛性に非常に優れているので、加工が複雑で金型等への負担が大きい冷鍛部品に適用すると、型、パンチ寿命を大幅に改善することができ、非常に効果的である。
【0057】
また、本発明鋼はTiの多量添加によって通常より高温での窒化処理を可能にしているので、短時間処理で高い表面硬さと深い硬化深さを得ることができる。従って、窒化処理が必要な部品の生産性を大幅に改善することができ、産業への貢献は極めて大きいものである。
Claims (3)
- 重量比にしてC:0.03〜0.20%、Si:0.30%未満、Mn:1.00%以下、Cr:0.50〜1.50%、Al:0.040%以下、N:0.0100%以下、Ti:0.50〜1.50%を含有し、かつTi−4×C−3.4N≧0.20を満足し、残部がFe及び不純物元素からなる熱間圧延鋼材であって、TiCが分散析出したフェライトのみからなる組織を有し、硬さがHv130以下であることを特徴とする窒化特性の優れた冷鍛用鋼。
- 請求項1記載の鋼に加えて、S:0.050%以下、Ni:1.00%以下、Mo:0.30%以下、V:0.40%以下の1種又は2種以上をさらに含有させたことを特徴とする窒化特性の優れた冷鍛用鋼。
- 請求項1または2に記載の成分からなる鋼を熱間圧延後、750〜950℃に加熱後冷却するという析出処理を行うことを特徴とする窒化特性の優れた冷鍛用鋼の製造方法。
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