JP2004300226A - 薄膜状酸化亜鉛蛍光体およびその製造方法 - Google Patents

薄膜状酸化亜鉛蛍光体およびその製造方法 Download PDF

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智美 長瀬
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Abstract

【課題】高性能高機能な発光デバイスに必要とされる、膜表面性状が平滑な、つまり、ち密な微構造を有しかつ膜厚の均質性の高い薄膜状酸化亜鉛蛍光体およびその製造方法を提供する。さらに、結晶粒子が大きく、青緑色の可視光領域での光透過性にも優れた薄膜状酸化亜鉛蛍光体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とする結晶層を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体であり、該薄膜状酸化亜鉛蛍光体の膜厚が0.01〜10μmの範囲であり、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが、膜厚が0.01〜0.80μmの場合には膜厚の4分の1以下、膜厚が0.80〜10μmの場合には0.20μm以下であることを特徴とする薄膜状酸化亜鉛蛍光体。該薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、基材上に酸化亜鉛を主成分とする前駆体を形成させたのちに、活性線照射を繰り返して、膜圧方向に酸化亜鉛結晶粒子を成長させる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置、例えば、テレビジョンやパーソナルコンピュータのディスプレイ、装置制御盤用ディスプレイ、及び公共表示や広告表示のためのディスプレイなどに用いられる薄膜状酸化亜鉛蛍光体及びその製造方法に関するものである。並びに、野菜や海藻などの植物の人工育成用光源に用いられる薄膜状酸化亜鉛蛍光体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示装置として、陰極線管(Cathode Ray Tube,CRT)、液晶表示装置装置、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display,VFD)、発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)、エレクトロルミネッセンス表示装置(Electroluminescence,EL)などが普及している。近年、情報化技術の著しい進歩などに伴い、表示装置に対する高性能化や高機能化の要求が非常に高まっている。高い表示品位(高輝度、高精細、大面積化、広視野角など)、低消費電力化、省スペースや軽量化などの要求性能に対応するため、広く普及している表示装置の高性能化だけでなく、新規の表示装置の開発も活発に行われている。プラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Display Panel,PDP)は、近年製品化されている。また、将来有望な表示装置として、フィールド・エミッション・ディスプレイ(Field Emission Display,FED)やフラットパネル型蛍光表示管についても、活発な研究開発が行われている。
【0003】
一方、野菜などの人工栽培の分野においても、高輝度、低消費電力化など高性能な人工光源が求められている。
【0004】
酸化亜鉛(ZnO)の中には、電子線や紫外線照射によって、青緑色発光、すなわち青色成分を含む緑色発光を示すものがある。加速電圧1kV以下の低速電子線照射により高い発光効率を示す特性を利用して、粉末状の酸化亜鉛蛍光体は、蛍光表示管に実用化されている。しかし、フィールド・エミッション・ディスプレイやフラットパネル型蛍光表示管のような新規の表示装置に対して応用するには、蛍光体粉末はいくつかの欠点がある。
【0005】
例えば、現在実用化されている蛍光体粉末の粒径は数μmないし10μm程度であるため、高解像度を有するディスプレイに応用するために必要な、高精細なパターニング加工が困難であった。また、蛍光体粉末の粒径がそのように大きく、その形状も丸く密に充填しにくいものであるため、厚さ方向での電気抵抗を小さくすることが困難であるという欠点もある。この電気抵抗の低抵抗化は、帯電が起こりやすい低速電子線照射においては、発光効率向上を図るために特に重要である。さらに、蛍光体粉末を基板上に塗布して膜形成を行う際に使用するバインダーを完全に除去することができないため、長時間にわたって電子線照射を行うと、残留したバインダーが分解もしくは蒸散して発光素子の寿命を縮めるという欠点もあった。
【0006】
ところで、加速電圧1kVでの酸化亜鉛への電子線の侵入深さは10nm以下、加速電圧4kV及び10kVでも、その侵入深さはそれぞれ140nm、1μm程度である。蛍光体粉末の粒径は数μm以上であるが、発光に寄与しているのは、粒子表面付近のみである。
【0007】
そこで、発光層の厚さに相当する膜厚を有する蛍光体薄膜を基板上に直接形成できれば、前記した蛍光体粉末の持つ欠点をすべて克服することができる。
【0008】
薄膜状酸化亜鉛蛍光体を形成するため、電子線蒸着法(非特許文献1)、スパッタ法(非特許文献2)、パルスレーザ蒸着法(非特許文献3)、噴霧熱分解法(非特許文献4)などの手法を用いて試みられてきたが、実用化可能な高輝度および高発光効率を示す蛍光体薄膜は未だ得られていない。また、これらの従来手法では、高い基板加熱温度や高温での加熱処理が必要であるため、透明導電層やカラーフィルターを劣化させることなくそれらの上に酸化亜鉛蛍光体薄膜を成膜させることは困難で、発光輝度、及び色純度の低下を招く欠点があった。
【0009】
本発明者は、先に、遷移金属カルコゲニド含有ゲル薄膜に、そのバンドギャップよりも高いエネルギーを有する活性線を照射し、かつこの際の活性線のエネルギー密度を変えることにより、光学的、電気的特性が制御された半導体薄膜を製造できることを発明した(特許文献1)。さらに、この手法を薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造に利用すると、大気中、低い基板加熱温度において、高輝度及び高発光効率を示し、かつ軽量化、色純度が向上した薄膜状発光素子を製造できることを見いだした(特許文献2)。
【0010】
なお、発光輝度と発光効率は比例関係にある。発光輝度は、蛍光体もしくは発光素子から直接測定され、その値から発光効率は算出される。
【0011】
後述するように、薄膜状酸化亜鉛蛍光体の薄膜形態は、高精細なディスプレイなど高機能発光素子への応用にとって重要な要素であるにもかかわらず、それに関する既往研究は数少ない。また、膜表面性状において平滑性に優れた薄膜状酸化亜鉛蛍光体とその製造方法は、これまで知られていない。
【0012】
噴霧熱分解法を用いて成膜したのち還元雰囲気中で焼成して得られた薄膜は、多孔性構造を有していた(非特許文献4)。還元雰囲気焼成によって緑色発光中心を生成させるため、多孔度の高い薄膜のほうが、より強い青緑色発光を示すと報告されている。それに対して、本発明者が考案した手法(特許文献2)で得られた酸化亜鉛薄膜は、膜上層に、酸化亜鉛結晶がち密に充填した構造を有していた(非特許文献5)。なお、ち密な微構造のほうが、多孔性構造と比べて、電気抵抗の低抵抗化だけでなく、高精細なパターン加工にも適しているため、本発明者らが発明した手法のほうが実用上有用である。
【0013】
【特許文献1】
特許第3032827号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2002−298753号公報
【0015】
【非特許文献1】
アプライド・サーフェース・サイエンス(Applied SurfaceScience)、第142巻、第233〜236ページ(1999)
【0016】
【非特許文献2】
フィジカ・ステイタス・ソリディ・エー(Physica Status Solidi (a))、第65巻、第K131〜K134ページ(1981)]
【0017】
【非特許文献3】
アプライド・フィジックス・レター(Applied Physics Letters)、第78巻、第2285〜2287ページ (2001)
【0018】
【非特許文献4】
ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics)、第84巻、第2287〜2294ページ(1998)
【0019】
【非特許文献5】
ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japanese Journal of Applied Physics)、第40巻、第6296〜6303ページ(2001)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高精細なディスプレイなど高性能高機能な発光デバイスに必要とされる、膜全面に渡って均質的に高輝度高発光効率を示す薄膜状酸化亜鉛蛍光体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【解決するための手段】
先に発明した手法(特許文献2)を用いて得られた薄膜状酸化亜鉛蛍光体をパターン加工して発光素子を製造したところ、ディスプレイ全体としては比較的高い発光輝度を示したが、画素によって発光輝度のばらつきが大きく、ディスプレイ全面から一様な発光輝度が得られないという問題が生じた。その原因は、用いた酸化亜鉛薄膜からの発光輝度が局所的に大きく異なるためであった。
【0022】
発明者は、その原因を探るべく酸化亜鉛薄膜の膜表面性状を調べたところ、そのような局所的な発光輝度の違いは、膜厚の不均一性に起因することがわかった。数百平方ナノメートルから数平方ミクロンメートルの面積にわたって、隆起した部分もあれば、窪みになった部分、さらに幅がミクロンメートルのオーダーの大きな亀裂も存在した。なお、窪みや亀裂の箇所のなかには、酸化亜鉛の膜厚が発光層の厚さを満たさない箇所もあった。
【0023】
酸化亜鉛薄膜の局所的な発光輝度のばらつきを効率的に低減するためには、膜厚の均質性を向上させる必要がある。しかしながら、上記目的を満足するような均質な膜厚を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法はこれまでに知られていなかった。発明者は、得られる酸化亜鉛蛍光体の薄膜構造が、前駆体膜の調製や活性線照射などの合成条件によりどのように影響を受けるかを詳細に検討した。さらに、その発光特性及び光透過性などの光学的特性を評価し、薄膜構造と光学的特性との相関性を鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
【0024】
すなわち、本発明は次の技術を提供する。
【0025】
項1 酸化亜鉛を主成分とする結晶層を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体であり、該薄膜状酸化亜鉛蛍光体の膜厚が0.01〜10μmの範囲であり、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが、膜厚が0.01〜0.80μmの場合には膜厚の4分の1以下、膜厚が0.80〜10μmの場合には0.20μm以下であることを特徴とする薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
【0026】
項2 前記薄膜状酸化亜鉛蛍光体の結晶層における結晶粒子の横幅が0.1μm以上である項1に記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
【0027】
項3 前記薄膜状酸化亜鉛蛍光体の結晶層における結晶粒子の厚さが、結晶層の厚さに相当する項1又は2に記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
【0028】
項4 波長510nmでの光透過率が60%以上であり、波長400nm〜800nmでの光透過率の平均が65%以上である項1、2又は3に記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
【0029】
項5 基材上に酸化亜鉛を主成分とする前駆体膜を形成させたのち、前駆体膜のバンドギャップよりも高いエネルギーを有し、かつ50〜500mJ/cmの範囲内のエネルギー密度をもつ活性線を該前駆体膜に照射する薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法であって、該前駆体膜の形成及び活性線照射を繰り返して、膜厚方向に酸化亜鉛結晶粒子を成長させることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
【0030】
項6 活性線照射毎に、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが0.20μm以下となるように、膜表面性状の平滑性を制御することを特徴とする項5に記載の製造方法。
【0031】
項7 照射する活性線のエネルギー密度を、酸化亜鉛薄膜の膜厚に従い徐々に増加させていくことを特徴ととする項5又は6に記載の製造方法。
【0032】
項8 照射レーザのエネルギー密度が、膜厚が0.01〜0.05μmの範囲では、50〜200mJ/cm程度、膜厚が0.05〜0.20μmの範囲では150〜250mJ/cm程度、膜厚が0.20〜0.25μmの範囲では170〜250mJ/cm程度、膜厚が0.25μm以上では190mJ/cm以上に制御することを特徴とする項7に記載の製造方法。
【0033】
項9 前記項5〜8のいずれかに記載の製造方法により製造される薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
【0034】
項10 単結晶基板上に、酸化亜鉛を主成分とする前駆体膜を形成させたのち、前駆体膜のバンドギャップよりも高いエネルギーを有し、かつ50〜500mJ/cmの範囲内のエネルギー密度をもつ活性線を、該前駆体膜に照射することを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
【0035】
【実施の形態】
本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法
本発明方法において用いる基材としては、従来酸化亜鉛薄膜を形成するために用いられている素材、又は発光素子のパネル基板として慣用されている素材の中から任意に選んで用いることができる。
【0036】
このようなものとしては、例えば、石英ガラスのようなガラス基板、サファイアやシリコンなどの単結晶基板、セラミックス基板などがある。さらに、先に出願した特開2002−298753号公報(特許文献2)において記載したように、耐熱性の低い基板やパネル基板も用いることができる。例えば、高分子材料からなる基板又はパネル基板、カラーフィルター又は透明導電層、あるいは両者が形成されたパネル基板などが用いられる。また、本発明で用いる活性線照射によって基材の劣化が起こる場合には、活性線照射の影響を抑制するために、基材上にバッファ層を形成し、そのバッファ層上に該薄膜状酸化亜鉛蛍光体を形成することもできる。バッファ層としては、例えば、酸化亜鉛を主成分とする膜を用いることができる。
【0037】
次に、本発明方法に従って薄膜状酸化亜鉛蛍光体を製造するためには、まず、所望の基板上に、酸化亜鉛を主成分とする前駆体膜を形成する。形成する手法としては、ゾルゲル法、噴霧熱分解法、スパッタ法など酸化亜鉛薄膜を形成するために従来用いられていた手法の中から任意に選んで用いることができる。例えば、ゾルゲル法を用いて前駆体膜を調製する場合には、亜鉛塩、亜鉛アルコキシド、有機亜鉛錯体、酸化亜鉛微粒子などを用いて調製したコーティング液を、基板上にスピンコート法やディップコート法などにより、前駆体膜厚が、通常5〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲になるように塗布したのち、50〜400℃程度に加熱処理して乾燥することにより形成されることが好ましい。
【0038】
なお、この際、赤外線などの活性線照射を前駆体膜の乾燥処理に適用することによって、室温から200℃程度の低い基板加熱温度に保って前駆体膜を調製することができる。1回の塗布及び乾燥処理で、所望の膜厚のものが得られない場合には、塗布及び乾燥処理を複数回繰り返すことができる。
【0039】
基板上にそのようにして得られた前駆体膜は、アモルファス及び/又は結晶性の酸化亜鉛を主成分とし、粒径0.5〜100nmの粒子からなる。さらに、前駆体膜は、3.3eVにバンドギャップを有する典型的な酸化亜鉛結晶と類似したバンド構造を示す。そのため、前駆体膜は、バンドギャップ以上のエネルギーを有する活性線に対して、高い吸収特性を有する。ただし、前駆体膜中の酸化亜鉛の結晶性やその粒子径、亜鉛および酸素以外に含まれる元素などの影響により、前駆体膜のバンドギャップの値は、典型的な酸化亜鉛結晶のバンドギャップとは異なる場合がある。
【0040】
続いて、このようにして形成された前駆体膜に、そのバンドギャップよりも高いエネルギーを有し、かつ50〜500mJ/cmの範囲内で酸化亜鉛薄膜の膜厚などに応じて制御されたエネルギー密度をもつ活性線を照射する。活性線として利用できる光源としては、例えば、KrF、ArF、XeF、XeCl、KrClなどのエキシマレーザ、第3高調波及び第4高調波Nd−YAGレーザ、He−Cdレーザ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプなどが用いられる。また、X線や電子線なども利用することができる。このうち、KrF、ArF、XeClなどのエキシマレーザ、及び第3高調波及び第4高調波Nd−YAGレーザ、が好ましく、特にKrFエキシマレーザが好ましい。
【0041】
目的とする平滑な膜表面性状を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体を製造するためには、活性線のエネルギー密度を、酸化亜鉛薄膜の膜厚によって徐々に増加させていくことが必要である。例えば、膜厚が0.01〜0.05μmの範囲では、照射レーザのエネルギー密度が50〜200mJ/cm程度、膜厚が0.05〜0.20μmの範囲では150〜250mJ/cm程度、膜厚が0.20〜0.25μmの範囲では170〜250mJ/cm程度、膜厚が0.25μm以上では190mJ/cm以上に照射レーザのエネルギー密度を制御すればよい。特に、KrF、ArF、XeClなどのエキシマレーザを活性線の光源に用いた場合、とりわけKrFエキシマレーザを用いた場合、上記のエネルギー密度の制御方法が好適に採用される。
【0042】
本発明では、上述した前駆体膜調製と活性線照射の工程を繰り返すことによって、膜厚方向に酸化亜鉛結晶粒子を成長させ、所望の膜厚、膜表面性状の平滑性、結晶粒子の大きさ、光透過性を得ることができる(例えば、図2を参照)。活性線を照射すると、前駆体膜中の酸化亜鉛粒子がち密に結晶成長することにより、膜表面が平滑化し、結晶粒子が膜厚方向に大きくなる。さらに、下層の酸化亜鉛結晶層を基にしてエピタキシャル成長させた場合には、酸化亜鉛結晶の厚さ方向には粒界がなくなり、結晶粒子の厚さは結晶層の厚さに相当する薄膜状酸化亜鉛蛍光体を製造することができる。
【0043】
この際、目的とする平滑な膜表面性状を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体を製造するためには、上述したように、活性線のエネルギー密度は、酸化亜鉛薄膜の膜厚によって徐々に増加させていくことが必要である。積層毎に、活性線のエネルギー密度を、前駆体膜の膜厚、前駆体膜と先に照射された膜との合算した膜厚、最終的に所望する膜厚に応じて制御する必要がある。
【0044】
活性線のエネルギー密度は、主としては酸化亜鉛薄膜の膜厚に応じて制御するが、その他の因子にも相互に適合させて制御される。基材の材質(比熱、熱伝導率など)やその厚さ、前駆体膜の膜質(粒子径や結晶性、有機物などの残存量など)、活性線照射時の基板加熱温度などが挙げられる。さらに、活性線の波長や、活性線がパルスレーザの場合にはパルス半価幅、周波数、照射回数などに応じても制御される。
【0045】
例えば、KrFエキシマレーザ(波長:248nm、パルス半価幅:22ns)を用いた場合、基材としては、通常上述の単結晶基板、ガラス基板、セラミックス基板などを用いることができる。また、レーザ照射時の基板加熱温度は、通常室温(無加熱)〜400℃程度、好ましくは100℃〜300℃程度である。レーザの周波数は、通常0.1〜50Hz程度(好ましくは、1〜10Hz程度)であり、照射回数は、通常1〜100ショット程度(好ましくは、2〜50ショット程度)である。この範囲は、活性線のエネルギー密度を制御する際に、好適な条件として用いられる。
【0046】
また、目的とする平滑な膜表面性状を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体を製造するためには、積層毎の膜表面性状の平滑性も、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが多くとも0.20μm以下となるように、上記のエネルギー密度などの条件を制御することが必要である。
【0047】
この様にして、基材上に選択的かつ効率的に本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体が形成される。本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、主として結晶層から構成される。酸化亜鉛の結晶層は、青緑色発光を発現する発光中心を備えており、かつ目的とする平滑な膜表面性状、結晶粒子の大きさ、光透過性を有している。また、サファイア単結晶基板(c面カット)のような酸化亜鉛の結晶構造と整合性の高い結晶構造を有する基板上で酸化亜鉛結晶粒子を成長させた場合は、エピタキシャル成長し基板上に酸化亜鉛の結晶層が直接形成されるが、ガラス基板等の基板上で結晶成長させた場合は、基板上に酸化亜鉛のアモルファス層を介して酸化亜鉛の結晶層が形成される。
本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体
このようにして得られた薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、サファイアなどの高価な単結晶基板だけでなく、安価なガラス基板上にも、所望する膜表面性状の平滑性、結晶粒子の大きさ、光透過性を実現できる。
【0048】
この薄膜状酸化亜鉛蛍光体における膜厚の均質性(膜の平滑性)は、輪郭曲線の最大断面高さ(JIS B 0601中に定義される)を用いた膜表面性状によって表すことができる。薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、膜厚が0.01〜10μmの範囲であり、その評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが、膜厚が0.01〜0.80μmの場合には膜厚の4分の1以下(好ましくは5分の1以下)、膜厚が0.80〜10μmの範囲の場合には0.20μm以下(好ましくは0.10μm以下)である。薄膜状酸化亜鉛蛍光体の輪郭曲線の最大断面高さは、ダイナミックフォースモード機能付きのプローブ顕微鏡、もしくは原子間力顕微鏡などを用いて求めることができる。
【0049】
さらに、本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体の主な構成要素である結晶粒子の横幅が0.1μm以上、好ましくは0.3〜10μm程度であり、結晶粒子の厚さが結晶層の厚さに相当するという特徴を有している。
【0050】
薄膜状酸化亜鉛蛍光体の断面概略図の一例を図1に示す。図1において、結晶粒子の横幅は距離aで表され、結晶粒子の厚さは距離bで表される。結晶粒子の横幅aおよび厚さbは、透過型電子顕微鏡もしくは高分解能走査型電子顕微鏡を用いて、膜断面の観察により求めることができる。また、結晶粒子の横幅および厚さは、ダイナミックフォースモード機能付きのプローブ顕微鏡、もしくは原子間力顕微鏡、高分解能走査型電子顕微鏡を用いて膜表面形態を観察することによりを求めることもできる。なお、図1において、酸化亜鉛のアモルファス層の厚さは距離cで表される。但し、本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、上述のように基材の性状により必ずしもアモルファス層を有していなくても良い。
【0051】
なお、結晶粒子を大きくすることは、発光輝度及び発光効率を向上させるために有効である。そのため、例えば、実用化されている酸化亜鉛蛍光体粉末は、数μm以上という大きな粒子径のものが用いられている。
【0052】
また、本発明で得られる薄膜状酸化亜鉛蛍光体の波長510nmでの光透過率は、60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。また、波長400nm〜800nmでの光透過率の平均は、65%以上、好ましくは65%以上である。上述したような大きさの結晶粒子を含む場合でも、結晶粒子がち密に充填した構造を有し、かつその膜表面の平滑性が高いために、光散乱による光透過性の低下が抑制されるためである。
【0053】
また、本発明で得られる薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、高い発光輝度を有しており、かつ発光輝度のばらつきが小さいという特徴を有している。本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、例えば、マクロ評価による平均的な発光輝度において、特許文献2(特開2002−298753号)の酸化亜鉛蛍光体に対し、4〜20倍程度、好ましくは10〜20倍程度の発光輝度を有している。また、ミクロ評価による発光輝度のばらつき(%)が、−5〜+5%程度、好ましくは−3〜+3%程度とばらつきが小さいという特徴を有している。なお、マクロ評価による平均的な発光輝度及びミクロ評価による発光輝度のばらつきの測定は、例えば、実施例1に記載の方法により測定される。
【0054】
なお、発光波長領域の光透過性が高いことは、発光素子に応用した場合に、その発光輝度及び発光効率の向上をもたらすため有用である。なぜならば、フィールド・エミッション・ディスプレイのような発光素子においては、薄膜状酸化亜鉛蛍光体の膜表面付近で発光した青緑色光のうち、薄膜内部を経て基材を透過した光を利用するからである。
【0055】
さらに、パターン化された薄膜状酸化亜鉛蛍光体を製造するためには、本発明によって基材上全面に成膜された薄膜状酸化亜鉛蛍光体に対して、従来技術を用いてパターン加工することもできるが、薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造における活性線照射を利用することもできる。例えば、パターン化された活性線を照射することによって、所望の部分のみに青緑色発光特性を示す酸化亜鉛結晶を生成させることができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0057】
実施例1
酢酸亜鉛二水和物とモノエタノールアミンをそれぞれ0.6モル/リットル濃度で含有する2−メトキシエタノール溶液からなるコート液を調製した。25mm角の大きさで、1mmの板厚の石英ガラス基板上に、上記コート液をスピンコート法により塗布したのち、200℃において乾燥処理を行った。このコート処理と乾燥処理の操作を3回繰り返すことにより、膜厚が約0.08μmの前駆体膜を得た。この前駆体膜は、粒径が10〜20nmの酸化亜鉛微結晶からなりバンドギャップはおよそ3.3eVであった。次に、この前駆体膜に、大気中において200℃の基板加熱温度において、KrFエキシマレーザ(エネルギー:5.0eV、パルス半価幅:22ns)を照射した。周波数1Hzのレーザが、薄膜の全面にわたって合計5ショット照射されるように、オートステージを用いその走査速度を調整してレーザ照射した。さらに、得られたレーザ照射膜上に、前駆体膜の調製とKrFエキシマレーザ照射を繰り返し、合計4回積層化を行った。この際、KrFエキシマレーザのエネルギー密度を、積層回数に応じて表1のように変えて、試料Aを製造した。積層回数を1回から4回と繰り返すと、得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚は、0.08、0.16、0.22、0.28μmと増した。また、積層毎の膜表面性状を評価した結果、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは、0.20μm以下であった。
【0058】
ダイナミックフォースモード付きのプローブ顕微鏡(例えば、セイコーインスツルメインツ株式会社製、SPI3700型プローブ顕微鏡)を用いた膜表面形態の観察、及び透過電子顕微鏡を用いた膜断面構造の観察により試料の薄膜構造を評価し、膜厚、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さ、および酸化亜鉛結晶粒子の横幅と厚さを求めた(表1)。波長510nmでの光透過率は、紫外−可視分光法により、石英ガラス基板を参照として用いて求め、その結果も表1に記載した。
【0059】
試料Aの評価結果は、異なる照射レーザのエネルギー密度の条件で製造された比較例1の試料Bの結果とともに、表1にまとめた。なお、試料Bのエネルギー密度の条件は、先に発明した手法(特開2002−298753号)の実施例4に記載した製造条件に相当し、膜厚の均質性つまり膜表面性状の平滑性が考慮されていない場合である。
【0060】
得られた試料Aは、電子線照射によって強い青緑色発光を示した。それらの発光特性をマクロ的およびミクロ的に評価するため、それぞれ直径1mmの円全面もしくは10μm角の面積に、加速電圧4kVの電子線を照射して青緑色の発光輝度を測定した。マクロ的評価では、各試料の平均的な発光輝度の強度を、試料Bの発光輝度と相対比較して評価した。ミクロ的評価では、局所的な発光輝度のばらつきを評価するため、試料毎に20箇所測定して、それらの平均値との分布を調べた。
【0061】
そのため、試料Bの発光輝度は、局所的なばらつきがかなり大きかった。
【0062】
試料Aは、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは膜厚の4分の1以下で、比較例1の試料Bと比べて、膜表面性状の平滑性が高い、つまり膜厚の均質性が高い。また、試料Bと比較した試料Aの発光特性の特徴としては、発光輝度の局所的なばらつきが低減され、膜全面からほぼ均質な発光輝度が得られた。
【0063】
試料Aを構成する酸化亜鉛結晶粒子の横幅が0.2〜3μmで、酸化亜鉛結晶の膜厚方向には、明瞭な粒界は認められず、結晶粒子の厚さは結晶層の厚さに相当していた。なお、石英ガラス基板との界面には0.02μmの厚さの酸化亜鉛のアモルファス層があった。
【0064】
また、試料Aは、波長510nmでの光透過率、及び波長400nm〜800nmでの光透過率の平均が、60%以上であった。
【0065】
比較例1
実施例1と同様の方法で、前駆体膜の調製とKrFエキシマレーザ照射の操作を4回繰り返して、膜厚がおよそ0.28μmの酸化亜鉛薄膜を得た。ただし、表1に示すように、実施例1の試料Aとは異なる照射レーザのエネルギー密度の条件で、試料Bを製造した。試料Bのエネルギー密度の条件は、先に発明した手法(特開2002−298753号)の実施例4に記載した製造条件に相当し、膜厚の均質性つまり膜表面性状の平滑性が考慮されていない場合である。
【0066】
得られた試料Bの薄膜構造、光透過性、および発光特性について、実施例1と同様にして評価した結果を、表1に記載した。試料Bは、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは、膜厚に匹敵するほど大きく、膜厚の均質性がかなり低かった。これは、数平方ミクロンメートルの面積にわたって、隆起した部分もあれば、大きな窪みになった部分、さらに幅が数μm程度の大きな亀裂も存在するためであった。なお、3回積層後の膜のほうが、局所的に大きく隆起した部分があるため膜の平滑性は低く、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが0.41μmであった。この結果は、積層毎に、膜表面性状の平滑性が高くなるように、照射レーザのエネルギー密度などの調製条件を制御する必要があることを示唆する。
【0067】
試料Bの青緑色発光特性の特徴は、膜厚の均質性が低い試料Bでは、発光輝度のばらつきが、試料Aと比較して非常に大きかった。そのため、試料Bは、高精細な発光素子への応用には不適当である。また、波長510nmでの光透過率、及び波長400nm〜800nmでの光透過率の平均は、いずれも60%以下であった。
【0068】
【表1】
Figure 2004300226
【0069】
実施例2
実施例1と同様の手法で、前駆体膜の調製とKrFエキシマレーザ照射を行い、これらの操作を14回もしくは54回繰り返して、膜厚が0.88μmおよび4.06μmの酸化亜鉛薄膜を得た。なお、積層回数が、6回以降では、酢酸亜鉛二水和物とモノエタノールアミンをそれぞれ0.9モル/リットル濃度で含有する2−メトキシエタノール溶液からなるコート液を用い、15回以降では、コート処理と乾燥処理の操作を4回繰り返してレーザ照射を行った。また、照射レーザのエネルギー密度は、積層回数(膜厚)に応じて表2に示すような条件で照射して、試料C及び試料Dを製造した。なお、積層毎の膜表面性状を評価した結果、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは、0.20μm以下であった。
【0070】
得られた試料C及び試料Dの薄膜構造、光透過性、および発光特性について、実施例1と同様にして評価した結果を表2に記載した。試料C及び試料Dともに、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは0.20μm以下で、膜表面性状の平滑性が高い、つまり膜厚の均質性が高い膜であった。試料C及び試料Dを構成する酸化亜鉛結晶粒子の横幅が0.2〜3μmで、酸化亜鉛結晶粒子の膜厚方向には、明瞭な粒界は認められず、結晶粒子の厚さは結晶層の厚さに相当していた。なお、石英ガラス基板との界面には0.02μmの厚さのアモルファス層があった。また、波長510nmでの光透過率、及び波長400nm〜800nmでの光透過率の平均は、試料C及び試料Dともに、60%以上であった。
【0071】
試料C及び試料Dは、電子線照射によって強い青緑色発光を示し、その平均的な発光輝度は、積層4回の試料Aよりも高い輝度を示した。発光輝度の局所的なばらつきがかなり低く、膜全面からほぼ均質な発光輝度が得られた。
【0072】
比較例2
比較例1で得られた試料Bを用いて、実施例2と同様の方法で、前駆体膜の調製とKrFエキシマレーザ照射の操作を繰り返して積層化を試みた。積層回数6回以上で、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは1μm以上となり、目的とする平滑な膜表面性状を有する薄膜は得られなかった。
【0073】
【表2】
Figure 2004300226
【0074】
また、図3には、プローブ顕微鏡(ダイナミックフォースモード)を用いた、本発明の試料A(実施例1)と試料B(比較例1)の酸化亜鉛薄膜の表面形態を示す(観察範囲:5×5μm,表示の高さ(Z軸の最大最小値の差):300nm)。図3から明らかなように、本発明の試料Aでは、表面が平滑であるのに対し、試料Bでは膜は凹凸が著しいことが分かる。
【0075】
実施例3
実施例1と同様の手法でコート液を調製し、25mm角の大きさで、1mmの板厚のサファイア単結晶基板(c面カット)上に、上記コート液をスピンコート法により塗布したのち、200℃において乾燥処理を行った。このコート処理と乾燥処理の操作を2回繰り返すことにより、膜厚が約0.05μmの前駆体膜を得た。次に、この前駆体膜に、大気中において200℃の基板加熱温度において、KrFエキシマレーザを、80mJ/cmのエネルギー密度で、合計25ショット照射して、試料Eを製造した。
【0076】
得られた試料Eの薄膜構造、および発光特性について、実施例1と同様にして評価した。評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さは0.005μmで、この値は膜厚の4分の1以下であった。試料Eは、電子線照射によって強い青緑色発光を示した。加速電圧1kVで発光輝度の局所的なばらつきを測定した結果、−4〜+3%で、膜全面からほぼ均質な発光輝度が得られた。
【0077】
【発明の効果】
本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、膜表面性状が極めて平滑であるため、高精細なディスプレイなど高性能高機能な発光デバイスに必要とされる、膜全面に渡って均質的な高輝度高発光効率を実現することができる。さらに、膜を構成する結晶粒子径が大きく、青緑色の可視光領域での光透過性にも優れているため、それを用いた発光素子は、高い発光輝度及び発光効率を達成することができる。
【0078】
また、本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、膜表面性状が平滑でち密な微構造を有するため、当該薄膜状酸化亜鉛蛍光体上に他種の薄膜を容易に積層化することができる。そのため、高機能化や種々の発光素子への応用など、さらなる効果も期待される。例えば、フィールド・エミッション・ディスプレイやフラットパネル型蛍光表示管においては透明導電膜を効率的に積層化でき、そのほか、薄膜型ELやプラズマ・ディスプレイ・パネルなど多種発光素子への応用展開も可能とする。
【0079】
また、本発明の薄膜状酸化亜鉛蛍光体は、青緑色に対応する波長領域だけでなく可視光領域での光透過性も優れているため、スケルトン型発光素子のような新規の発光素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜状酸化亜鉛蛍光体の断面概略図である。
【図2】前駆体膜の調製と活性線照射の繰り返しによる積層化方法の概念図である。
【図3】試料A(実施例1)と試料B(比較例1)の酸化亜鉛(ZnO)薄膜の表面形態を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 酸化亜鉛結晶層と基材界面との酸化亜鉛アモルファス層
3 酸化亜鉛結晶層
a 酸化亜鉛結晶粒子の横幅
b 酸化亜鉛結晶粒子の厚さ
c 酸化亜鉛アモルファス層の厚さ

Claims (10)

  1. 酸化亜鉛を主成分とする結晶層を有する薄膜状酸化亜鉛蛍光体であり、該薄膜状酸化亜鉛蛍光体の膜厚が0.01〜10μmの範囲であり、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが、膜厚が0.01〜0.80μmの場合には膜厚の4分の1以下、膜厚が0.80〜10μmの場合には0.20μm以下であることを特徴とする薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
  2. 前記薄膜状酸化亜鉛蛍光体の結晶層における結晶粒子の横幅が0.1μm以上である請求項1に記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
  3. 前記薄膜状酸化亜鉛蛍光体の結晶層における結晶粒子の厚さが、結晶層の厚さに相当する請求項1又は2に記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
  4. 波長510nmでの光透過率が60%以上であり、波長400nm〜800nmでの光透過率の平均が65%以上である請求項1、2又は3に記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
  5. 基材上に酸化亜鉛を主成分とする前駆体膜を形成させたのち、前駆体膜のバンドギャップよりも高いエネルギーを有し、かつ50〜500mJ/cmの範囲内のエネルギー密度をもつ活性線を該前駆体膜に照射する薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法であって、該前駆体膜の形成及び活性線照射を繰り返して、膜厚方向に酸化亜鉛結晶粒子を成長させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  6. 活性線照射毎に、評価長さ10μmでの輪郭曲線の最大断面高さが0.20μm以下となるように、膜表面性状の平滑性を制御することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 照射する活性線のエネルギー密度を、酸化亜鉛薄膜の膜厚に従い徐々に増加させていくことを特徴ととする請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 照射レーザのエネルギー密度が、膜厚が0.01〜0.05μmの範囲では、50〜200mJ/cm程度、膜厚が0.05〜0.20μmの範囲では150〜250mJ/cm程度、膜厚が0.20〜0.25μmの範囲では170〜250mJ/cm程度、膜厚が0.25μm以上では190mJ/cm以上に制御することを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法により製造される薄膜状酸化亜鉛蛍光体。
  10. 単結晶基板上に、酸化亜鉛を主成分とする前駆体膜を形成させたのち、前駆体膜のバンドギャップよりも高いエネルギーを有し、かつ50〜500mJ/cmの範囲内のエネルギー密度をもつ活性線を、該前駆体膜に照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜状酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012149137A (ja) * 2011-01-17 2012-08-09 Kochi Univ Of Technology パターン形成された薄膜蛍光体及びその製造方法

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