JP6724713B2 - 光変換部材及びその製造方法、太陽電池モジュールと太陽電池セル - Google Patents

光変換部材及びその製造方法、太陽電池モジュールと太陽電池セル Download PDF

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Description

本発明は、光変換部材及びその製造方法、前記光変換部材を用いた太陽電池モジュールと太陽電池セルに関する。
従来、発光素子の材料として、GaAsまたはZnSeなどのIII-V族系またはII-VI族系の化合物半導体材料が使われているが、大規模集積回路などの半導体産業の主役であるシリコンに代替できれば、資源量が豊富であること、低環境毒性であること、安価であることなど得られるメリットが多い。
1990年に単結晶ウェハー表面をフッ化水素酸水溶液中で陽極酸化することによるポーラスシリコンからの赤色発光が発見されたこと(非特許文献1)に端を発して、ナノサイズシリコンを用いた発光素子の開発が、様々な用途において進められている。
例えば、シリコンの大きさを三次元的にナノメートルサイズ化(1nmから10nm)することにより、そのサイズ効果により蛍光発光し、粒子径を変えることにより近紫外から近赤外光を放出し、可視光領域においては青色、緑色、赤色(三原色)各色を発色できることが開示されている(特許文献1、2)。また、半導体レーザーや発光ダイオード(特許文献1)、白色光の発色が可能であることから液晶ディスプレイのバックライト(特許文献2)、太陽光発電モジュール用波長変換素子(特許文献3)、生体標識(特許文献4)へのシリコンナノ粒子の適用が開示されている。
更に、近年、シリコン微結晶粒子を発光材料として用いる研究が精力的に進められている。具体的には、スパッタリング法、CVD法、イオン注入法等の手段を用いてシリコン化窒化物多結晶膜とシリコン微結晶粒子とを交互に堆積して発光材料を製造する方法(特許文献5)、シリコン微結晶粒子をシリコンカ−バイド多結晶体中にドット状に分散して発光材料を製造する方法(特許文献6)等が開示されている。さらには、遊星ボールミルでシリコン粉末を粉砕してシリコンナノ粒子を得る方法(特許文献7)や、シリコン源と炭素源とを含む混合物を焼成し、その際に生成した気体を急冷することでシリコンナノ粒子を得る方法(特許文献3)等が開示されている。
一方、発光素子の発光材料としてシリコンナノ粒子を用いようとした場合、その発光強度や発光安定性を向上させることが必要であり、この必要性に応えるべく、種々の技術が開示されている。
具体的には、シリコンナノ粒子の発光強度はその粒径に依存するため、発光に寄与しない粒径の大きいSiナノ粒子を含有するシリコン酸化膜中に酸素雰囲気中で特定波長のレーザー光を照射して、その表面を酸化して粒径を制御する方法(特許文献1)、Si:SiO2膜中に含まれるSiの量を調整する方法(特許文献8)、シリコンナノ粒子が埋め込まれた酸化ケイ素膜をフッ酸溶液で溶解し、シリコンナノ粒子が分散したフッ酸水溶液を得た後、遠心分離により分級する方法(特許文献9)などが開示されている。さらに、シリコンナノ粒子の表面状態も発光強度や発光安定性に大きく寄与することが知られており、SiO2中とそれに埋め込まれたシリコンナノ粒子との熱膨張係数の差を緩和し、界面の欠陥に起因する発光を低減させる方法(特許文献10)、有機分子により不動態化(特許文献11)、コア/シェル構造化(特許文献12)などの工夫がなされている。
また、スパッタリング法によるシリコンナノ粒子の作製技術が開示されている特許文献10、13では、シリコンとSiO2それぞれのターゲット面積比と成膜レートの比を規定することにより、或いは、特許文献14では、高周波電力やガス圧を変化させることにより、ターゲット材料から叩き出されるシリコン原子の量を調整して、シリコンナノの結晶サイズや密度を制御し、各色を発色させる方法が開示されている。
さらに、酸化ケイ素膜中にPをドープすることで、酸化ケイ素膜とシリコンナノ粒子との熱膨張係数の差を緩和し、界面の欠陥を減少させ、発光強度を向上させる技術が開示(特許文献10)されているが、発光ピークが約885nmの発光に限られている。
また、特許文献17には、シリコン原子と酸素原子が混ざり合ったアモルファスSiO膜を形成し、不活性ガスにて熱処理して前記シリコン原子を3.0nmのナノシリコンとして形成し、フッ酸水溶液処理と熱酸化処理することによって、光の三原色のいずれかを発光するナノシリコン発光素子を得ることが開示されている。
特許文献17に開示された発光素子は、ナノシリコン表面近傍の伝導帯下端近傍に近接した局在準位の電子eと、価電子帯上端近傍に存在する局在準位の正孔hの再結合による発光を利用している。このように、特許文献17に開示された発光素子は、バンド間の局在準位による蛍光を利用するが、ナノシリコン表面近傍の伝導帯下端の電子と、価電子帯上端の正孔の再結合による発光を利用するものでは無い。そのため、特許文献17に開示された発光素子は、発光強度を高める余地が存在する。
特開平9−83075号公報 特開2007−63378号公報 国際公開第2012/60418号 特開2009−280841号公報 特開平11−310776号公報 特開2000−77710号公報 特開2011−213848号公報 特開2003−277740号公報 特開2010−254972号公報 特開2001−40348号公報 特開2010−205686号公報 特開2009−96954号公報 特開2004−83740号公報 特開2005−268337号公報 特開2001−14664号公報 特開2013−14806号公報 特開2004−296781号公報
L.T.Canham,Appl.Phys.Lett.,vol.57, p.1046 (1990)
シリコンナノ粒子を発光素子等の電子デバイスに適用する場合、シリコンナノ粒子には、適用される電子デバイスの機能に応じて、発光スペクトル或いは光吸収スペクトルが要求される。
しかしながら、上記の技術では酸化ケイ素膜中に埋め込むシリコンの量を調整することで、シリコンナノ粒子のサイズを制御し各色を発色させる技術、或いは、酸化ケイ素膜とシリコンナノ粒子との熱膨張係数の差を緩和し、界面の欠陥を減少させて、ある特定の波長の発光強度を向上させるための技術に留まっている。
そのため、上記の従来の技術では、要求される光の波長帯域に応じて発光強度を高める機能が不十分であり、電子デバイスの機能を更に向上させる方法としては、限界があると考えられる。
本発明の目的は、光の用途に応じて当該光の波長帯域においてより高い発光強度をもつ前記シリコンナノ粒子を含有する光変換部材及びその製造方法、太陽電池モジュールと太陽電池セルを提供するものである。
本発明者らは、上述した問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スパッタリングでシリコンが分散された酸化ケイ素膜を形成した後に、前記酸化ケイ素膜を非酸化雰囲気で熱処理し、さらに、前記酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気で熱処理することによって、光変換部材に要求される波長に応じて十分な発光強度を持つシリコンナノ粒子を得ることができることを見出し、本発明を達成するに至った。
本発明の目的は、以下の構成により達成される。
(1)基板の一方の面上に積層され、粒径1nm〜10nmのシリコンナノ粒子が分散された酸化ケイ素膜を備える光変換部材であって、前記酸化ケイ素膜は、当該酸化ケイ素膜を電子スピン共鳴法で測定したときに、g=1.998±0.001の範囲内におけるスピン数が1×1016/cm3以下であり、g=2.003±0.001の範囲内におけるスピン数が3×1016/cm3以下であることを特徴とする光変換部材。
(2)前記基板の算術平均粗さRaが5nmから50nmであることを特徴とする(1)に記載の光変換部材。
(3)前記酸化ケイ素膜は、前記基板の一方の面上に形成した凹凸層上に積層され、前記凹凸層は、酸素及び窒素のうち少なくとも1種及びケイ素を含有し、0.1μm〜0.3μmの層厚であって、5nm〜20nmの算術平均粗さを有することを特徴とする(1)に記載の光変換部材。
(4)前記基板は、SiOからなることを特徴とする(1)〜(3)のうちいずれかに記載の光変換部材。
(5)(4)に記載の光変換部材が太陽電池セル表面上に設置されたことを特徴とする太陽電池セル。
(6)(5)に記載の太陽電池セルを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
(7)基板上に形成された酸化ケイ素膜中に、前記基板の温度を300℃以下にしてスパッタリングによりシリコンを分散させ、前記酸化ケイ素膜を非酸化雰囲気で800℃から1350℃で熱処理し、前記酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気において500℃から1000℃で熱処理して、前記酸化ケイ素膜を電子スピン共鳴法で測定したときに、g=1.998±0.001の範囲内におけるスピン数が1×1016/cm3以下であり、g=2.003±0.001の範囲内におけるスピン数が3×1016/cm3以下になるようにすることを特徴とする光変換部材の製造方法。
(8)前記スパッタリングにおいて、ターゲットの被スパッタ粒子の前記基板面に対する入射方向を、前記基板の法線に対して10°から80°にすることを特徴とする(7)に記載の光変換部材の製造方法。
(9)前記スパッタリングによりシリコンを分散させる工程において、正対するターゲット面に対し、前記基板表面を10°から80°に傾斜させることによりターゲットからの被スパッタ粒子の入射方向を制御することを特徴とする(7)又は(8)に記載の光変換部材の製造方法。
(10)前記基板は、SiOからなることを特徴とする(7)〜(9)のうちいずれかに記載の光変換部材の製造方法。
(11)酸化ケイ素(SiOx(0.5≦x≦2))からなるターゲット上にシリコンチップを配置したターゲットを用いてスパッタリングを行い、前記酸化ケイ素膜中にシリコンを分散させることを特徴とする(7)〜(10)のうちいずれかに記載の光変換部材の製造方法。
(12)前記基板の算術平均粗さRaが5nmから50nmであることを特徴とする(7)〜(11)のうちいずれかに記載の光変換部材の製造方法。
(13)少なくとも酸化ケイ素(SiOx(0.5≦x≦2))を含むターゲットを用いて、基板の一方の面上に、ターゲットの被スパッタ粒子の入射方向が、前記基板の法線に対して10°から80°になるようにして、且つ前記基板の温度を300℃以下にして、酸素及び窒素のうち少なくともいずれかを含有する雰囲気中でスパッタリングを行って、0.1μm〜0.3μmの層厚の凹凸層を堆積し、次いで、前記酸化ケイ素膜を形成することを特徴とする(7)〜(11)のうちいずれかに記載の光変換部材の製造方法。
(14)前記凹凸層を堆積する際の雰囲気は、酸素及び窒素のうち少なくともいずれかとアルゴンガスを含有し、前記雰囲気の全圧は、0.3Pa〜1.5Paであって、酸素分圧及び窒素分圧の合計が前記雰囲気の全圧に対して10%〜50%であることを特徴とする(13)に記載の光変換部材の製造方法。
(15)前記非酸化雰囲気における熱処理を、900℃から1300℃の温度、且つ10分から120分の範囲で行うことを特徴とする(7)〜(14)のうちいずれかに記載の光変換部材の製造方法。
(16)前記酸素含有雰囲気における熱処理を、酸素分圧が1体積%から50体積%で、且つ10分から120分の範囲で行うことを特徴とする(7)〜(15)のうちいずれかに記載の光変換部材の製造方法。
本発明によれば、ナノシリコン粒子のサイズによって発光スペクトルを制御することができるので、用途に応じてそれぞれの波長でより発光強度が高い光変換部材を簡易で、生産性を低下させることなく、比較的安価に製造することができる。従って、本発明の光変換部材を用いることにより、太陽電池を構成する半導体の光吸収スペクトルに対応して太陽電池モジュール或いは太陽電池セルの発電効率を高めることができる。また、本発明によれば、有機化合物を光変換部材に用いていないので、紫外線等の短波長光による光変換部材の劣化が、太陽電池モジュールの耐用年数に影響することはない。
本発明に係る光変換部材の第1実施形態と、その製造工程の概略図である。 本発明に係る光変換部材の第2実施形態と、その製造工程の概略図である。 (a)及び(b)は本発明に係る光変換部材の第3実施形態の製造方法の概略図であり、(a)は凹凸層3bの堆積工程の概略を示し、(b)は酸化ケイ素膜3の積層工程の概略を示す。 (a)、(b)は、それぞれ本発明に係る光変換部材を用いた発光素子の実施形態である。 本発明に係る光変換部材を用いた太陽電池モジュールの実施形態である。 本発明に係る光変換部材を用いた太陽電池セルの実施形態である。 本発明例及び比較例の光変換部材の蛍光スペクトルである。 本発明に係る光変換部材と従来の光変換部材のエネルギー準位を説明する図である。
本発明の光変換部材において、酸化ケイ素膜は、基板の一方の面上に積層され、粒径1nm〜10nmのシリコンナノ粒子が分散されており、前記シリコンナノ粒子とその外側の酸化ケイ素(シェル層)との界面に存在するダングリングボンドが極めて少なく、且つ、図8に示すようにシリコンナノ粒子内に存在するバンド間局在準位が存在しないことを特徴とする。
ここで、「シリコンナノ粒子とその外側の酸化ケイ素との界面に存在するダングリングボンドが極めて少ない」とは、標準的な電子スピン共鳴装置を用いて、シリコンナノ粒子とその外側の酸化ケイ素との界面に存在するダングリングボンドの電子に起因するスピン(g値が2.003±0.001の範囲内;P−中心)の数を測定した時に、当該スピン数が3×1016/cm3以下であることをいう。また、「バンド間局在準位が存在しない」とは、標準的な電子スピン共鳴装置を用いて、シリコンナノ粒子内の電導電子に起因するスピン(g値が1.998±0.001の範囲内;Pce−中心)の数を測定した時に、当該スピン数が1×1016/cm3以下であることをいう。
次に、本発明に係る光変換部材の実施形態及びその製造方法を具体的に述べる。
(第1実施形態)
第1実施形態の光変換部材は、粒径1nm〜10nmのシリコンナノ粒子が分散された酸化ケイ素膜を備える。前記酸化ケイ素膜は、下記のスパッタリングの条件にて作製される。
(スパッタリングの条件)
シリコン等の半導体基板やSiO2からなる基板等の誘電体基板上に、酸化ケイ素膜を形成するためのターゲットとして、酸化ケイ素(SiOx(0.5≦x≦2))を用い、酸化ケイ素膜中に含有させるシリコン量を制御するためにターゲット上にシリコンチップを配置しても良い。
図1は、本発明に係る第1実施形態の光変換部材1と、その製造方法の概略図である。この実施形態においては、酸化ケイ素膜3をスパッタリングで形成するためのターゲット10としてSiOが用いられている。
図1に示されるように、ターゲット10上の複数箇所にシリコンチップ11を配置し、前述の入射方向から基板2上へスパッタリングすることによって、酸化ケイ素膜3中にシリコン4が分散された状態で存在する。前記シリコン4は、酸化ケイ素を構成する分子と共有結合しない状態で存在するシリコン原子のみからなる。
成長中の膜に付着した被スパッタ粒子の移動度(モビリティ)が大きくなりすぎると、それ自身で空孔や空隙を埋めてしまうことになるので、基板温度を300℃以下にすることが必要である。基板を加熱せずに室温でスパッタリングを行った場合、基板がプラズマに晒されると基板温度が上昇、ターゲット印加電力、ガス圧力などのスパッタリング条件により異なるが、300℃以上になることはない。
スパッタリングではアルゴンなどの不活性ガスを用いて、ターゲットに含まれる成分と同じ成分の薄膜を形成する。例えば、図1において、スパッタリングガスとしてアルゴンを用い、ターゲット10の成分とシリコンチップの成分であるシリコンの両方を含む薄膜を形成する。第1実施形態では、ターゲット10として、SiO基板が用いられている。前記不活性ガスには、窒素ガス又は窒素化合物ガスを2体積%以下まで含ませても良い。但し、窒素ガス又は窒素化合物ガスが前記不活性ガスに対して2体積%超含まれる場合、シリコンが窒化されたり、当該膜中に含まれた窒素が、スパッタリング後の熱処理においてシリコンの拡散を抑制し、凝集作用を阻害することになる。その結果、発光強度を低下させてしまう可能性があるので好ましくない。
(スパッタリング後の熱処理の条件)
前記方法で形成された酸化ケイ素膜を、まず、非酸化ガス雰囲気で熱処理を行う。この非酸化ガス雰囲気での熱処理によって、酸化ケイ素膜中に粒径1nmから10nmのシリコンナノ粒子6が形成される。
前記非酸化性ガスとして主にアルゴンが選択されるが、窒素ガス又は窒素化合物ガスでも良い。
熱処理温度の下限は酸化ケイ素膜中に含まれたシリコンを比較的短時間でナノサイズ粒子化するのに必要な800℃以上とする。一方、熱処理温度の上限は、酸化ケイ素とシリコンが反応して一酸化ケイ素に変化してシリコンが消失してしまうのを避けるために1350℃以下にする。900℃から1300℃、熱処理時間は10分から120分の間で行うことが好ましいが、発光波長はシリコンナノ粒子の粒径に依存するため、酸化ケイ素膜中に含まれるシリコンの量、基板表面粗さに応じて、熱処理温度、熱処理時間を選択する必要がある。
前記非酸化雰囲気での熱処理後、前記酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気において500℃から1000℃で熱処理を行う。シリコンは酸化され易く、特に、シリコンナノ粒子は比表面積が大きいため、僅かな酸化で消滅してしまうため、前記酸素含有雰囲気の酸素含有濃度は1〜50vol%とし、残余は前記非酸化ガス成分及び不可避的不純物ガス成分とする。このような酸素含有雰囲気下での熱処理によって、前記シリコンナノ粒子とその外側の酸化ケイ素との界面のダングリングボンドを前述したように極めて少なくすると共に、バンド間局在準位を消失させることができる。熱処理時間は10分から120分の間で行うことが好ましく、10分未満だと前記効果が不充分で、120分超にしても効果は向上せず、生産性を低下させてしまう。
(第2実施形態)
第2実施形態の光変換部材は、表面の算術平均粗さRaが5nmから50nmの基板上に、適度な量の空孔や空隙を導入された酸化ケイ素膜を備えるものである。第2実施形態の光変換部材は、下記の製造条件にて作製される。尚、第2実施形態の光変換部材は、被スパッタ粒子を基板に対して斜めに入射させて酸化ケイ素膜を形成する工程と、前記酸化ケイ素膜を非酸化ガス雰囲気で熱処理を行う工程と、非酸化雰囲気での熱処理後に前記酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気において熱処理を行う工程によって製造される。これらの工程を実施する際の条件として、酸化ケイ素膜に適度な空孔や空隙を確保するために必要とされる条件を除き、第1実施形態と同じ条件を採用することができる。
(酸化ケイ素膜を形成する工程)
酸化ケイ素膜に適度な空孔や空隙を確保するため、ターゲットの被スパッタ粒子の基板面に対する平均的な入射方向が、基板の法線に対し、10°から80°になるようにする。10°未満だと充分な空孔や空隙を形成することができず、一方、80°超だと空隙が大きくなりすぎて、熱処理時に一部のシリコン粒子のサイズが肥大化したり、シリコンが酸化ケイ素に被覆されていない状態になってしまうため、結果的に蛍光強度が大きくならない。
図2に示されるように、基板に対して被スパッタ粒子を前述した角度で斜め入射することにより、既に基板上に堆積した被スパッタ粒子自身が、基板に飛来する被スパッタ粒子の入射方向に対して影を形成し、影になった部分には被スパッタ粒子は堆積できない。このような自己陰影効果により、酸化ケイ素膜3中にシリコン4が分散された状態で存在するとともに、空孔や空隙3aが十分に形成される。
前記シリコン4は、酸化ケイ素を構成する分子と共有結合しない状態で存在するシリコン原子のみからなる。前記空孔或いは空隙により、後述する熱処理時においてシリコン4が凝集してシリコンナノ粒子5が形成される際、そのサイズが均一化され、前記シリコンナノ粒子5は、シリコンからなるコア5aの周囲にシェル層5bが形成される構造になる。尚、シェル5bは、後述する非酸化ガス雰囲気での熱処理時に形成される。
正対するターゲット面に対して基板を10°から80°に傾斜させて配置する方法は、容易であることや、生産性の点から好適である。また、これ以外の方法として、ターゲットに正対する位置から平行にずらした位置に基板を配置する方法(特許文献16)、ターゲットと基板の間にコリメーター(貫通孔を有するマスク)を配置する方法(特許文献15)があり、いずれの方法でも良い。
被スパッタ粒子を斜め入射させる場合、陰影効果による空孔や空隙の形成は、基板表面の凹凸により影響を受ける。前述したように、表面が完全に平坦の場合でも自己陰影効果による空孔や空隙が形成されるが、基板の表面の算術平均粗さが5nmから50nmであると、シリコンナノ粒子の均一化に好適である。50nmを超えると、大きな空隙が発生し、熱処理の際にシリコンが空隙に流出し、シリコン粒子が肥大化してしまったり、酸化ケイ素の中に埋め込まれた状態ではなくなってしまうため、シェル層が形成されず、発光しないものとなってしまう。
第2実施形態においては、酸化ケイ素膜が空隙を多く含んでおり、その結果、シリコンナノ粒子の粒径が均一化し、さらには結晶性も向上することから発光強度が大きくなる。
(第3実施形態)
第3実施形態の光変換部材は、平滑な基板と、前記基板の表面上に堆積された酸素及び窒素のうち少なくとも1種及びケイ素を含有する凹凸層と、シリコンナノ粒子を含み且つ前記凹凸層に積層された酸化ケイ素膜とを含む。
前述した第2実施形態では、酸化ケイ素膜に適度な空孔や空隙を確保するために、表面の算術平均粗さRaが5nmから50nmの基板が用いられている。しかし、基板を用いる場合、その光透過性は、基板表面の凹凸により影響を受ける。基板表面の算術平均粗さRaが3nmよりも大きい場合、当該基板表面で入射光が反射され易くなり、太陽電池セルへの入射光強度が低下する。従って、太陽電池モジュールの発電効率の観点からは、基板の表面が平滑であることが好ましい。そのため、第3実施形態では、算術平均粗さRaが5nmから50nmの基板を用いる代わりに、算術平均粗さ5nm〜20nmの凹凸層を平滑な基板上に形成する。
第3実施形態の光変換部材は、前記基板の表面上に凹凸層を形成する工程と、被スパッタ粒子を基板に対して斜めに入射させて酸化ケイ素膜を形成する工程と、前記酸化ケイ素膜を非酸化ガス雰囲気で熱処理を行う工程と、非酸化雰囲気での熱処理後に前記酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気において熱処理を行う工程によって製造される。
(基板の表面上に凹凸層を形成する工程)
図3(a)に示されるように、酸素及び窒素のうち少なくともいずれかを含有する雰囲気中で、第1ターゲット10’をスパッタリングし、被スパッタ粒子の入射方向を前記SiO基板の法線に対して10°から80°の方向にすることで、酸素及び窒素のうち少なくとも1種及びケイ素を含有した凹凸層3bを形成する。
酸素及び窒素のうち少なくともいずれかを含有する雰囲気中で、ターゲットの粒子が前記基板の法線に対して10°〜80°の方向から前記基板に入射するように、且つ前記基板の温度を300℃以下にして、スパッタリングを行うことによって、酸素及び窒素のうち少なくとも1種及びケイ素を含有する凹凸層を堆積する(図3(a) 符号3b)。基板表面に凹凸を形成させるため、ターゲットの被スパッタ粒子の基板面に対する平均的な入射方向が、基板の法線に対し、10°から80°になるようにする。10°未満だと充分な表面粗さが確保できず、80°超だと成膜速度が大きく低下してしまう。
尚、凹凸層を堆積する際のターゲットは、酸化ケイ素単独でも良く、酸化ケイ素膜を形成する際に用いるターゲットと同一のものを用いても良い。但し、凹凸層を堆積するスパッタリングの際の雰囲気は、酸素及び窒素のうち少なくともいずれかを必須として含有する。また、前記凹凸層を堆積する際の雰囲気はアルゴンガスを含有し、その全圧を0.3Pa〜1.5Paとし、酸素分圧及び窒素分圧の合計が前記雰囲気の全圧に対して10%〜50%とすることが好ましい。
また、前記凹凸層は、0.1μm〜0.3μmの層厚になるように堆積される。前記凹凸層の層厚が0.1μm未満では、ケイ素膜中に充分な空孔や空隙を形成するための凹凸表面を形成することができない。また、前記凹凸層の層厚が0.3μmを超えると、大きな空隙が発生し、熱処理の際にシリコンが空隙に流出し、シリコンナノ粒子が肥大化してしまったり、酸化ケイ素の中に埋め込まれた状態ではなくなってしまったため、シェル層が形成されず、発光しないものとなってしまう。
尚、前記凹凸層を形成させる工程においては、スパッタリング以外に、シリコンまたは酸化ケイ素を蒸発源とし、酸素ガスまたは窒素ガスを導入して成膜する真空蒸着法、又はイオンプレーティング法でも良い。
(凹凸膜上への酸化ケイ素膜の形成条件)
前記凹凸膜の堆積後、第2実施形態と同じ条件にて、酸化ケイ素膜を前記凹凸層上に形成する。図3(b)に示されるように、第2ターゲット10”、もしくは第2ターゲット10”上の複数箇所にシリコンチップ11を配置し、前述の入射方向から基板2上へスパッタリングすることによって、酸化ケイ素膜3中に、クラスター状のシリコン又はシリコン粒子或いはシリコン原子(以下、「Si粒子」という。)からなる粒子4が分散された状態で存在するとともに、空孔や空隙3aが十分に形成される。前記前記Si粒子4は、酸化ケイ素を構成する分子と共有結合しない状態で存在するシリコン原子のみからなる。
(スパッタリング後の熱処理の条件)
前記方法で形成された酸化ケイ素膜に対して、第1実施形態或いは第2実施形態と同じ条件にて、非酸化ガス雰囲気にて熱処理し、その後、酸素含有雰囲気下での熱処理を行う。第3実施形態においては、前記空孔或いは空隙により、前記非酸化ガス雰囲気での熱処理時において前記Si粒子4が凝集してシリコンナノ粒子5が形成される際、そのサイズが均一化され、前記シリコンナノ粒子5は、シリコンからなるコア5aの周囲にシェル層5bが形成される構造になる。さらに、酸素含有雰囲気下で熱処理することで、コアは局在準位が非常に少ない結晶となり、コア/シェル界面ではキャリア再結合が起きにくい構造となる。また、熱処理をすることで、酸化ケイ素膜の表面が平滑化されるメリットがある。
(本発明に係る発光素子の実施形態)
本発明の光変換部材は、前記シリコンナノ粒子を含有する酸化ケイ素膜と、当該酸化ケイ素膜がその上に形成された基板とを含む構造を有する。本発明の光変換部材は、短波長の光を長波長に変換できるため、青色の光と、その光を赤色と緑色の光に波長変換して重ねることで白色光を合成することができるので、本発明の光変換部材を発光素子に用いることができる。例えば、図4(a)、(b)に示すように、青色LED21を光源として、導光板20として本発明の光変換部材を用いて、液晶等の白色バックライト30を構成しても良い。尚、図4(a)のバックライト30はオンエッジ方式であり、(b)のバックライト40は表面実装方式である。
(本発明に係る太陽電池モジュールの実施形態)
図5は、本発明の光変換部材1を用いた太陽電池モジュールの実施形態である。この太陽電池モジュール50は、透明基板としてのガラス板2と、前記ガラス板上に形成され、前記シリコンナノ粒子5を含有する酸化ケイ素膜3からなる光変換部材1を備えている。前記光変換部材1は、封止材53内に封入された太陽電池セル51の太陽光入射側に前記酸化ケイ素膜3が接するように配置され、前記ガラス板2の上には太陽電池モジュールの太陽光入射側の最外層として反射防止コート膜52が配置されている。一方、封止材53の他方の側には、裏面側保護部材54が設けられている。
(本発明に係る太陽電池セルの実施形態)
図6は、本発明の光変換部材1を用いた太陽電池セルの実施形態である。この実施形態の太陽電池セル60は、透明基板としてのガラス板2と、前記ガラス板上に形成され、前記シリコンナノ粒子5を含有する酸化ケイ素膜3からなる光変換部材1と、太陽電池セル51とを備え、前記酸化ケイ素膜3が太陽電池セル51に接するように構成されている。尚、太陽電池セル51は、結晶シリコンなどの光吸収層51aと電極51bを備える。
本発明に係る実施形態の太陽モジュール及び太陽電池セルにおいて、本発明の光変換部材1は、太陽電池を構成する半導体の光吸収スペクトルに対応するように、入射光の波長スペクトル分布を変換できるので、太陽電池モジュール50又は太陽電池セル60の発電効率を高めることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試料No.1〜8の光変換部材の製造条件を表1−1に示す。尚、試料5〜8は本発明の製造方法によって製造された発明例であり、試料1〜4は本発明に対する比較例である。
まず、直径254mmのSiO円板の上に5mm角、厚さ1mmの単結晶シリコンチップを均等に並べたものをターゲットとし、シリコン/SiO2比はシリコンチップの枚数により調整した。被スパッタ粒子を被着させる基板はφ13mm、厚さ3mmのSiO円板で、表面を光学研磨したものを使用し、表面粗さは原子間力顕微鏡(Bruker社製 NanoScope5 Dimension-5000)で測定した。試料No.1〜8に用いられた基板の表面粗さの測定結果を表1−1に示す。
(試料No.1〜4の製造条件)
試料No.1〜4は本発明に対する比較例である。試料No.1〜3は、前記基板の基板面をターゲット表面に対して平行に対向させ、ターゲット法線上に近い位置に設置した。試料No.4はターゲット法線上に近い位置で、且つ法線に対し前記基板を傾斜させて、被スパッタ粒子を斜め入射させる方法とした。次いで、チャンバー内を真空にした後、Arガス50SCCMを導入し、圧力調整弁にてチャンバー内を0.7Paとした。スパッタリングは800Wの高周波電力をターゲットに印加することにより行い、シリコンが分散された酸化ケイ素膜の膜厚を1μmとした。尚、試料No.1、2、4は基板を加熱せずに、試料No.3は前記基板を400℃に加熱して、シリコン含有酸化ケイ素膜を形成した。
試料No.1〜No.4は、表1−1の「第一熱処理」の欄に示すように酸化ケイ素膜に対して850℃でArまたは窒素ガス(N2)雰囲気にて熱処理を行うことによって製造された。表1−1の欄の「雰囲気のガス組成」の「Ar」はArガス100vol%の雰囲気であり、「N2」は窒素ガス100vol%の雰囲気であることを示す。尚、いずれの試料も、酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気で熱処理する工程がされていない。
(試料No.5〜8の製造条件)
試料No.5〜8は本発明の製造方法によって製造された発明例である。試料No.5〜8のいずれも、試料No.1〜4の「第一熱処理」の後に、「第二熱処理」の欄に示す条件にて、酸素含有雰囲気で熱処理する工程が行われた。
前記の製造条件によって得られたシリコンナノ粒子発光体に、波長350nmの励起光を照射し、発生する蛍光スペクトルを分光器(浜松ホトニクス社製C10027-02)で測定した。試料1の蛍光ピーク強度を1としたときの試料1〜8の各製造条件での蛍光測定結果を表1−1に示す。
(試料No.9〜14の製造条件)
「第一熱処理」温度により、シリコンナノ粒子の大きさが変わり、蛍光ピーク波長が変わるため、「第一熱処理」温度を1000℃にした場合での実験を行った。試料11、14は、前記基板表面をダイヤモンドペーストによるバフ研磨したものを使用し、表面粗さは原子間力顕微鏡(Bruker社製 NanoScope5 Dimension-5000)で測定した。
尚、ターゲット及び基板は、試料1〜8と同様のものが使用され、前記基板を傾斜する方法も、試料1〜8と同様に行われた。試料12〜14は本発明の製造方法によって製造された発明例であり、試料9〜11は本発明に対する比較例である。試料No.12〜14のいずれも、試料No.9〜11の「第一熱処理」の後に、「第二熱処理」の欄に示す条件にて、酸素含有雰囲気で熱処理する工程が行われた。試料9〜14の製造条件と、試料9の蛍光ピーク強度を1としたときの試料9〜14の各製造条件での蛍光測定結果を表1−1に示す。
(試料No.15〜36の製造条件)
「第一熱処理」温度を1150℃にした場合で、凹凸層の有無、基板表面粗さの効果、「第二熱処理」及び「第二熱処理」での雰囲気ガス組成、「第二熱処理」での温度の影響を調査した。
試料No.22、23、35、36には、酸化ケイ素膜の形成前に凹凸層が形成されている。これらの試料の凹凸層は、以下のように形成された。
[凹凸層の形成条件]
試料No.22、23、35、36の基板は、ターゲット法線上に近い位置で、且つ法線に対し前記基板を40°または60°に傾斜させて設置した。
チャンバー内を真空にした後、試料1〜8の酸化ケイ素膜形成に用いられたものと同等のターゲットを用いて、チャンバー内の圧力が0.7Paになるように、圧力調整弁にて調整しながら、50SCCMのArガス、12.5SCCMのO2ガスを前記チャンバー内に導入し、基板は加熱せずに、表1−2に示す膜厚になるまで、試料No.22、23、35、36の基板上に前記凹凸層を堆積した。
尚、スパッタリングは500Wの高周波電力をターゲットに印加することにより行った。凹凸層の表面粗さは原子間力顕微鏡で15μm×15μmの領域を測定することにより求め、凹凸層が形成された後の表面粗さを表1−2に示した。
[酸化ケイ素膜の形成条件]
試料No.15〜36のそれぞれについて、表1−2の条件にて酸化ケイ素膜を形成した。チャンバー内を真空にした後、チャンバー内の雰囲気が表1−2に示すガス組成になるように圧力調整弁にて調整しながら総流量50SCCMのArガスを前記チャンバー内に導入し、チャンバー内を0.7Paとした。次いで、基板は加熱せずに、スパッタリングは800Wの高周波電力をターゲットに印加することにより行い、Si粒子が分散された酸化ケイ素膜の膜厚が1μmになるまでスパッタリングを行った。
尚、試料No.34においては、基板とターゲットの間にマスク(コリメーター)を挿入して、被スパッタ粒子を斜め入射させる方法とした。
Si粒子を含有する前記酸化ケイ素膜は、表1に示す「第一熱処理」の欄の条件にて熱処理を行い、当該膜中の前記Si粒子をナノサイズに凝集させた。また、試料No.21、24〜36に対しては、表1の「第二熱処理」の欄に示す条件にて、窒素ガスまたは酸素含有雰囲気で熱処理する工程が行われた。
表1−2の「第二熱処理」の欄において、熱処理雰囲気がアルゴン又は窒素と酸素からなる混合ガスであって、酸素がX体積%の場合、“Ar+Xvol%O2”と記載されている。例えば、表1−2中、”Ar+50vol%O2”なる表記は、熱処理雰囲気がアルゴンと酸素からなる混合ガスであって、酸素が20体積%であることを示す。
[電子スピン共鳴法(ESR)の測定条件]
ESR測定は、日本電子社製のJES-FE3Tを用い、100kHzの磁場変調、室温で行った。g値、スピン数はMnマーカー(MgO中のMn2+)を同時測定することにより求めた。
前記の製造条件によって得られた光変換部材である試料No.15〜36に対して、波長350nmの励起光を照射し、発生する蛍光スペクトルを分光器(浜松ホトニクス社製C10027-02)で測定した。試料15の蛍光ピーク強度を1としたときの試料15〜36の各製造条件での蛍光測定結果を表1に示す。
比較例の試料No.17、18で、「第一熱処理」酸素含有ガスを使用すると、蛍光が発生しないことがわかる。
比較例の試料No.15、16、19〜27と、発明例の試料No.28〜36とを製造条件及び蛍光測定結果に関して比較すると、非酸化ガス雰囲気にて熱処理後に酸素含有雰囲気下での熱処理を行うことによって、蛍光ピーク強度が向上することが分かる。
(蛍光スペクトルの測定結果)
図7は、比較例である試料No.16、20と、本発明例である試料No.32及びNo.33のそれぞれに350nmの励起光を入射したときの、それぞれの試料から得られた蛍光スペクトルの測定結果である。図7に示されるように、非酸化ガス雰囲気にて熱処理後に酸素含有雰囲気下での熱処理が行われた本発明の光変換部材は、蛍光スペクトルが検出される全波長領域において比較例に比べて発光強度が高く、特に、最も強い蛍光強度を与える波長において、各段に高いことが分かる。
以上の結果から、本発明によれば、それぞれの波長でより発光強度が高い光変換部材を簡易で、生産性を低下させることなく、比較的安価に製造することができることが示された。また、本発明によれば、太陽電池を構成する半導体の光吸収スペクトルに対応して太陽電池モジュールの発電効率を高めることができることが示された。
本発明に係る光変換部材は、太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルに好適に用いることができる。
1 光変換部材
2 平滑な基板(ガラス板)
3 酸化ケイ素膜
3a 空孔或いは空隙
3b 凹凸層
4 Si粒子
5 シリコンナノ粒子
5a シェル層
5b シリコンコア
6 シリコンナノ粒子
10 ターゲット
10’ 第1ターゲット
10” 第2ターゲット
11 シリコンチップ
20 導光板
21 青色LED
22 発光体
23 リフレクター
30、40 バックライト
50 太陽電池モジュール
60 太陽電池セル

Claims (16)

  1. 基板の一方の面上に積層され、粒径1nm〜10nmのシリコンナノ粒子が分散された酸化ケイ素膜を備える光変換部材であって、
    前記酸化ケイ素膜は、当該酸化ケイ素膜を電子スピン共鳴法で測定したときに、g=1.998±0.001の範囲内におけるスピン数が1×1016/cm3以下であり、g=2.003±0.001の範囲内におけるスピン数が3×1016/cm3以下であることを特徴とする光変換部材。
  2. 前記基板の算術平均粗さRaが5nmから50nmであることを特徴とする請求項1に記載の光変換部材。
  3. 前記酸化ケイ素膜は、前記基板の一方の面上に形成した凹凸層上に積層され、前記凹凸層は、酸素及び窒素のうち少なくとも1種及びケイ素を含有し、0.1μm〜0.3μmの層厚であって、5nm〜20nmの算術平均粗さを有することを特徴とする請求項1に記載の光変換部材。
  4. 前記基板は、SiO2からなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光変換部材。
  5. 請求項4に記載の光変換部材がその表面上に積層されたことを特徴とする太陽電池セル。
  6. 請求項5に記載の太陽電池セルを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
  7. 基板上に形成された酸化ケイ素膜中に、前記基板の温度を300℃以下にしてスパッタリングによりシリコンを分散させ、
    前記酸化ケイ素膜を非酸化雰囲気で800℃から1350℃で熱処理し、
    前記酸化ケイ素膜を酸素含有雰囲気において500℃から1000℃で熱処理して、
    前記酸化ケイ素膜を電子スピン共鳴法で測定したときに、g=1.998±0.001の範囲内におけるスピン数が1×1016/cm3以下であり、g=2.003±0.001の範囲内におけるスピン数が3×1016/cm3以下になるようにすることを特徴とする光変換部材の製造方法。
  8. 前記スパッタリングにおいて、ターゲットの被スパッタ粒子の面に対する入射方向を、前記基板の法線に対して10°から80°にすることを特徴とする請求項7に記載の光変換部材の製造方法。
  9. 前記スパッタリングによりシリコンを分散させる工程において、正対するターゲット面に対し、板表面を10°から80°に傾斜させることによりターゲットからの被スパッタ粒子の入射方向を制御することを特徴とする請求項7又は8に記載の光変換部材の製造方法。
  10. 前記基板は、SiO2からなることを特徴とする請求項7〜9のうちいずれか1項に記載の光変換部材の製造方法。
  11. 酸化ケイ素(SiOx(0.5≦x≦2))からなるターゲット上にシリコンチップを配置したターゲットを用いてスパッタリングを行い、前記酸化ケイ素膜中にシリコンを分散させることを特徴とする請求項7〜10のうちいずれか1項に記載の光変換部材の製造方法。
  12. 前記基板の算術平均粗さRaが5nmから50nmであることを特徴とする請求項7〜11のうちいずれか1項に記載の光変換部材の製造方法。
  13. 少なくとも酸化ケイ素(SiOx(0.5≦x≦2))を含むターゲットを用いて、基板の一方の面上に、ターゲットの被スパッタ粒子の入射方向が、前記基板の法線に対して10°から80°になるようにして、且つ前記基板の温度を300℃以下にして、酸素及び窒素のうち少なくともいずれかを含有する雰囲気中でスパッタリングを行って、0.1μm〜0.3μmの層厚の凹凸層を堆積し、
    次いで、前記凹凸層上に、前記酸化ケイ素膜を形成することを特徴とする請求項7〜11のうちいずれか1項に記載の光変換部材の製造方法。
  14. 前記凹凸層を堆積する際の雰囲気は、酸素及び窒素のうち少なくともいずれかとアルゴンガスを含有し、
    前記雰囲気の全圧は、0.3Pa〜1.5Paであって、
    酸素分圧及び窒素分圧の合計が前記雰囲気の全圧に対して10%〜50%であることを特徴とする請求項13に記載の光変換部材の製造方法。
  15. 前記非酸化雰囲気における熱処理を、900℃から1300℃の温度、且つ10分から120分の範囲で行うことを特徴とする請求項7〜14のうちいずれか1項に記載の光変換部材の製造方法。
  16. 前記酸素含有雰囲気における熱処理を、酸素分圧が1体積%から50体積%で、且つ10分から120分の範囲で行うことを特徴とする請求項7〜15のうちいずれか1項に記載の光変換部材の製造方法。
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