JP2004300059A - 芳香族フッ素化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応液の蒸留を攪拌翼と固形物取出し口とを備えた装置、例えば、真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)を用いて行う。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族フッ素化合物の製造方法に関し、詳しくは芳香族塩素化合物のフッ素化剤とのハロゲン交換反応により芳香族フッ素化合物を製造するに際し、反応液から芳香族フッ素化合物を効率よく分離回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族塩素化合物をフッ素化剤とハロゲン交換反応させて芳香族フッ素化合物を製造することは一般に知られている。
【0003】
例えば、ベンゾニトリル媒体中でペンタクロロベンゾニトリルをフッ素化剤とハロゲン交換反応させ、得られる反応液を蒸留して主としてペンタフルオロベンゾニトリルからなる留分を得、一方塔底から得られる含塩素未反応物を含むベンゾニトリル媒体は循環してハロゲン交換反応に再使用する方法が開示されている(特許文献1参照)。この方法においては、ハロゲン交換反応により得られる反応液を粗蒸留して固形分を分離し、得られる留分を蒸留してペンタフルオロベンゾニトリルを回収しても、あるいは前記塔底から得られる含塩素未反応物を含むベンゾニトリル媒体を粗蒸留して固形分を分離し、得られる粗蒸留分をハロゲン交換反応に循環してもよい。なお、ここでは、粗蒸留をロータリーエバポレータを用いて行っている。
【0004】
また、ベンゾニトリル媒体中でペンタクロロベンゾニトリルをフッ素化剤とハロゲン交換反応させ、得られる反応液を粗蒸留して固形分を分離し、得られる留分は更に蒸留して、先ず主としてベンゾニトリルからなる留分、次に主として生成物のテトラフルオロフタロニトリルからなる留分を得、そして上記主としてベンゾニトリルからなる留分をハロゲン交換反応に循環再使用する方法が開示されている(特許文献2参照)。なお、ここでは、粗蒸留をブレンダーを用いて行っている。
【特許文献1】特開昭60−184057号公報
【特許文献2】特開昭61−200955号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術はペンタフルオロベンゾニトリルの製造には有効な方法ではあるが、工業的規模での生産においては、特にハロゲン交換反応終了後の反応液の蒸留の際に、なお改善すべき問題があることが分かった。
【0005】
問題の一つは、蒸留終了後の蒸留残渣としての固形物中に目的生成物が残留し、ペンタフルオロベンゾニトリルの歩留まりが低下することである。一般に、ハロゲン交換反応終了後の反応液中には、ペンタフルオロベンゾニトリルのほかに、反応によって生成する塩化カリウムなどの無機塩も含まれているので、反応液の蒸留の際には、ペンタフルオロベンゾニトリルおよび溶媒の留出に伴って無機塩の濃度が高くなり、反応液中のスラリー濃度が高くなって、場合によってはチキソトロピー性が観察されることもある。そのため、蒸留時に攪拌を十分に行わないと、固形物中にペンタフルオロベンゾニトリルが残留し易くなり、ペンタフルオロベンゾニトリルの歩留まりが低下する。
【0006】
もう一つの問題は、攪拌を行わないか、あるいは攪拌が不十分の場合、蒸留の過程で、特に蒸留の終了間際になるとスラリー濃度がかなり高くなり、固形分が装置内壁に層状に付着し、その結果、層状に付着した固形分中に多量のペンタフルオロベンゾニトリルが残留してペンタフルオロベンゾニトリルの歩留まりが低下することである。
【0007】
もう一つの問題は、蒸留後の固形分を蒸留装置から機械的に取り出す機能を備えていない蒸留装置を用いると、蒸留終了後に固形物を装置から掻き出すなど人為的な操作が必要があり、作業効率の低下、臭気による作業環境の悪化などの問題が生じることである。
【0008】
歩留まりを向上させるためには、適当な抽出剤を用いて固形物からペンタフルオロベンゾニトリルを抽出し、回収することが考えられるが、このような方法では工程が増加して工業的規模での生産には適当ではない。
【0009】
そこで、本発明は、ペンタフルオロベンゾニトリルを含む反応液からペンタフルオロベンゾニトリルを留出させるにあたり、固形物中に残留するペンタフルオロベンゾニトリルの量を低減して、ペンタフルオロベンゾニトリルの歩留まりを高めるとともに、蒸留後の固形物を簡単に除去し得るようにした、ペンタフルオロベンゾニトリルの製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、反応液の蒸留開始時には比較的粘性の低い状態から、蒸留終了間際には粘性の高い状態となり、最終的には固形物の状態になる、本発明の蒸留工程において、固形物中に目的物が残存しないような十分な攪拌を必要とすること、およびそのような攪拌によって、蒸留終了後に残存する固形物としての蒸留残渣が排出されやすい固形物の状態となり、かつ装置はこのような固形物を排出すべく効率的な送り機能を有する必要があること、すなわち蒸留時の十分な攪拌と蒸留終了後の固形物の排出を効果的に行い得る攪拌翼と固形物取出し口とを備えた蒸留装置を用いて反応液の蒸留を行うと前記課題を解決できることが分かった。
【0011】
すなわち、本発明は、非プロトン性極性溶媒中で一般式(1)
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、Clは塩素原子を表し、−Xは−CN、−NO2、−COFおよび−COClのいずれかを示し、aはXの置換数を示し、0、1または2であり(2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。)、bはClの置換数を示し、1〜6のいずれかの整数である(ただし、1≦a+b≦6)。)
または一般式(2)
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、Clは塩素原子を表し、−Z−は−O−または
【0016】
【化8】
【0017】
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはアリール基を表す。)を示し、dはClの置換数を示し、1〜4のいずれかの整数である。)
で表される芳香族塩素化合物をフッ素化剤とハロゲン交換反応させて、それぞれ、一般式(3)
【0018】
【化9】
【0019】
(式中、Fはフッ素原子を表し、bはFの置換数を示し、1〜6のいずれかの整数であり(ただし、1≦a+b≦6)、X、aは一般式(1)の定義と同じである。)
または一般式(4)
【0020】
【化10】
【0021】
(式中、Fはフッ素原子を示し、dはFの置換数を示し、1〜4のいずれかの整数であり、−Z−は一般式(2)の定義と同じである。)
で表される芳香族フッ素化合物を製造する方法において、ハロゲン交換反応終了後、反応液を攪拌翼と固形物取出し口とを備えてなる装置内で蒸留して、芳香族フッ素化合物を分離回収することを特徴とする芳香族フッ素化合物の製造方法である。
【0022】
本発明の「攪拌翼」とは、反応液の蒸留の際に反応液を十分に攪拌する機能と蒸留残渣としての固形物を排出しやすい固形物の状態とし、そしてこの固形物を効率よく排出する機能とを有するものを意味する。
【0023】
【発明の実施の形態】
一般式(1)、(2)で表される芳香族塩素化合物としては、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,4,6−トリクロロベンゾニトリル、ペンタクロロベンゾニトリル、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、テトラクロロ無水フタル酸、テトラクロロフタル酸ジクロライド、テトラクロロ無水フタル酸アミド、N−アルキルテトラクロロ無水フタル酸アミド(アルキル:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルなど)、N−フェニルテトラクロロ無水フタル酸アミド、2,3,4−トリクロロニトロベンゼン、ペンタクロロニトロベンゼンなどを挙げることができる。なかでも、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、ペンタクロロベンゾニトリルおよび2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。
【0024】
一般式(3)、(4)で表される芳香族フッ素化合物とは、フッ素化剤を用いたハロゲン交換反応により、上記一般式(1)、(2)で表される化合物の塩素をフッ素で交換したものである。
【0025】
非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン(TMSO2)、N,N−ジメチルスルホキシド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホン(DMSO2)、ベンゾニトリルなどが挙げられる。なかでも、ベンゾニトリルが好適に用いられる。
【0026】
フッ素化剤は、芳香族塩素化合物とのハロゲン(フッ素)交換反応に用いることができるものであればいずれでもよい。例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属フッ化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウムなどのアルカリ土類金属フッ化物;N−フルオロペンタクロロピリジニウム塩、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムフルオライドなどの有機塩基とフッ素との塩などを挙げることができる。なかでも、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属フッ化物、特にスプレードライした微粒子状のフッ化カリウムが好適に用いられる。
【0027】
フッ素化剤の使用量については、フッ素原子により置換される原料化合物の芳香族塩素化合物に含まれる塩素原子に対し、少なくとも等モルである必要があり、一般には、塩素原子1個に対して、フッ素原子が1〜1.5個となるようにフッ素化剤を用いる。
【0028】
ハロゲン交換反応の方法については特に制限はなく、前記特許文献1、2に記載のような、一般に知られている方法に従って行うことができる。通常、SUS316などの耐薬品性の素材を使用し、攪拌翼を備えた耐圧性反応器を用いて攪拌下に反応を行う。反応温度は、通常、150〜400℃であり、好ましくは180〜380℃、更に好ましくは200〜360℃である。また、反応時間は、通常、3〜30時間であり、好ましくは6〜25時間、更に好ましくは8〜20時間である。また、特許文献1に記載されているように、蒸留によって得られる未反応物を含む非プロトン性極性溶媒を循環しながら行ってよいことはいうまでもないことである。
【0029】
本発明の特徴は、ハロゲン交換反応終了後、反応液を攪拌翼と固形物取出し口とを備えてなる装置に仕込み、十分な攪拌下に蒸留して目的物である芳香族フッ素化合物を留出させ、それと同時に蒸留終了後に蒸留残渣としての固形物を排出しやすい状態にし、そして装置内に残る蒸留残渣としての固形物は固形物取出し口から取り出す点にある。
【0030】
反応液の蒸留を十分な攪拌下に行うことにより、固形物中への目的物の残留を防止し、また固形物の装置内壁への付着を防止できるので、総合的に固形物に残留する目的物の量を著しく低下させることができる。その結果、目的物の回収率が向上し、ひいては歩留まりが向上する。
【0031】
また、蒸留後の固形物は、攪拌翼を用いて機械的に固形物取出し口から取り出し易くすることができるので、作業効率が向上し、また作業環境の悪化を防止することができる。
【0032】
上記のような、反応液の十分な攪拌および固形物の抜き出しを可能とする攪拌翼としては、平羽根と三角翼とを組み合わせた攪拌翼、あるいはパドル翼、コイル翼、らせん状翼、リボン型ヘリカル翼、スクリュウ型翼などが挙げられる。なかでも、蒸留時の攪拌効率および固形物の排出効率が最もよいとの理由から、平羽根と三角翼とを組み合わせた攪拌翼が好ましい。
【0033】
本発明で使用できる装置としては、真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)、バーチカル・コーン・リアクター(vertical conereactor)(三菱重工業(株)製)、アドバンス型リボン翼式リアクター(三菱重工業(株)製)、パドルドライヤー(奈良機械(株)製)、水平真空乾燥機(藤崎電気(株)製)などを挙げることができる。なかでも、目的物の回収率が高く、また固形物の排出を効率よく行えるという点において、真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)が好適に用いられる。この真空攪拌乾燥機は、平羽根と三角翼とを備え、蒸留時には排出機能を発現することなく反応液の十分な攪拌を可能とし、また蒸留終了後は、攪拌翼を逆回転させることにより固形物を乾燥機から機械的に排出し、取り出すことができる。さらに、蒸留終了後には、固形物は乾燥機から機械的に排出しやすい状態になっている。
【0034】
本発明の攪拌翼で反応液の攪拌を行う際の攪拌動力については、反応液の単位容量当たりの攪拌動力は、0.1〜40kw/m3、好ましくは0.5〜30kw/m3、更に好ましくは1〜20kw/m3である。0.1kw/m3より小さい攪拌動力では高い回収率で目的物を得ることができないだけでなく、蒸留終了後の固形物は効率よく取り出すことができないような状態となる。また、40kw/m3を超えると、必要以上に攪拌を強くすることになり経済的でない。
【0035】
反応液の攪拌を行う際の攪拌動力は、蒸留の開始から終了まで同一でも、あるいは反応液の攪拌状態を観察しながら前記攪拌動力の範囲内で調製しながら蒸留してもよい。
【0036】
反応液の蒸留は、10〜1000hPaの減圧下に、100〜300℃の温度で行うのが一般的である。
【0037】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ハロゲン交換反応終了後の反応液を攪拌翼と固形物取出し口とを備えてなる装置内で蒸留することにより、固形物中への目的物の残留を低減し、目的物の歩留まりを向上させることができる。また、固形物を機械的に排出しやすい状態にすることができるので、効率的に固形物を取り出すことができ、その結果、作業効率が向上し、また作業環境の悪化を防止することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
300リットル(L)のSUS316製オートクレーブにベンゾニトリル150kg、ペンタクロロベンゾニトリル52kg(0.189キロモル)およびスプレードライフッ化カリウム60kg(1.033キロモル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、340℃で18時間反応を行った。
【0039】
反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物であるペンタフルオロベンゾニトリル31.1kg(0.1612キロモル、収率85.4モル%)と有効成分である3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゾニトリル4.3kg(0.019キロモル)とが含まれていた。
【0040】
反応液を攪拌しながら150℃まで冷却し、窒素ガスで反応器内部の圧力を0.3MPaに加圧し、攪拌下、反応器下部の反応液抜出しバルブを開き、反応液を反応器下部のバルブに接続した300Lの真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)に抜き出した。
【0041】
真空攪拌乾燥機のジャケットに熱媒を流通させて、内温を150℃にし、平羽根および三角羽根を有する攪拌機で攪拌を始め、減圧下、蒸留を開始した。真空攪拌乾燥機の攪拌機の回転数は10rpmであり、攪拌動力は10.7kw/m3であった。
【0042】
真空攪拌乾燥機内部で突沸が起こらないように観察しながら留出する反応液量を調節しつつ、最終の熱媒温度が220℃、圧力が20hPaになるまで蒸留を行った。所要時間は20時間であった。
【0043】
真空攪拌乾燥機のジャケットに流通している熱媒の温度を下げて30℃まで冷却した後、固形物取出し口を開放し、真空攪拌乾燥機の攪拌機の攪拌方向を蒸留の場合とは反対にして(すなわち、逆回転にして)排出可能なようにして残渣を排出した。排出した残渣の量は72.5kg(理論残渣量の96質量%)、排出に要した時間は約1時間であった。
【0044】
残渣中の有機物量を測定するために、残渣の一部を採取し、十分な量のアセトンで洗浄したあと、残渣中に残存している目的物および副生物を含むその他の有機物を測定したところ、目的物のペンタフルオロベンゾニトリルは含まれていなかった。有効成分の3,5−ジクロロ−2,4,6−トリクロロベンゾニトリルおよび溶媒のベンゾニトリルが、それぞれ、残渣に対して、0.2質量%(約150g)および0.3質量%(約200g)の割合で含まれていた。
実施例2
300LのSUS316製オートクレーブにベンゾニトリル150kg、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル52kg(0.1955キロモル)およびスプレードライフッ化カリウム50kg(0.8606キロモル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、255℃で20時間反応を行った。
【0045】
反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物である3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル35.2kg(0.176キロモル、収率90.0モル%)と有効成分である3−クロロ−4,5,6−トリフルオロフタロニトリル2.54kg(0.0117キロモル)とが含まれていた。
【0046】
反応液を攪拌しながら150℃まで冷却し、窒素ガスで反応器内部の圧力を0.3MPaに加圧し、攪拌下、反応器下部の反応液抜出しバルブを開き、反応液を反応器下部のバルブに接続した300Lの真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)に抜き出した。
【0047】
真空攪拌乾燥機のジャケットに熱媒を流通させて、内温を150℃にし、平羽根および三角羽根を有する攪拌機で攪拌を始め、減圧下、蒸留を開始した。真空攪拌乾燥機の攪拌機の回転数は10rpmであり、攪拌動力は8.5kw/m3であった。
【0048】
真空攪拌乾燥機内部で突沸が起こらないように観察しながら留出する反応液量を調節しつつ、最終の熱媒温度が240℃、圧力が20hPaになるまで蒸留を行った。所要時間は20時間であった。
【0049】
真空攪拌乾燥機のジャケットに流通している熱媒の温度を下げて30℃まで冷却した後、固形物取出し口を開放し、真空攪拌乾燥機の攪拌機の攪拌方向を蒸留の場合とは反対にして(すなわち、逆回転にして)排出可能なようにして残渣を排出した。排出した残渣の量は59.7kg(理論残渣量の95質量%)、排出に要した時間は50分であった。
【0050】
残渣中の有機物量を測定するために、残渣の一部を採取し、十分な量のアセトンで洗浄したあと、残渣中に残存している目的物および副生物を含むその他の有機物を測定したところ、目的物の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルが、残渣に対して、0.2質量%(約100g)の割合で含まれていた。そのほか、有効成分の3−クロロ−4,5,6−トリフルオロフタロニトリルおよび溶媒のベンゾニトリルが、それぞれ、残渣に対して、0.4質量%(約250g)および0.1質量%(約60g)の割合で含まれていた。
実施例3
300LのSUS316製オートクレーブにベンゾニトリル150kg、ペンタクロロベンゾニトリル62.4kg(0.226キロモル)およびスプレードライフッ化カリウム79kg(1.359キロモル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、340℃で18時間反応を行った。
【0051】
反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物であるペンタフルオロベンゾニトリル36.2kg(0.1875キロモル、収率83.0モル%)と有効成分である3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゾニトリル6.1kg(0.027キロモル)とが含まれていた。
【0052】
反応液を攪拌しながら150℃まで冷却し、窒素ガスで反応器内部の圧力を0.3MPaに加圧し、攪拌下、反応器下部の反応液抜出しバルブを開き、反応液を反応器下部のバルブに接続した300Lの真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)に抜き出した。
【0053】
真空攪拌乾燥機のジャケットに熱媒を流通させて、内温を150℃にし、平羽根および三角羽根を有する攪拌機で攪拌を始め、減圧下、蒸留を開始した。真空攪拌乾燥機の攪拌機の回転数は20rpmであり、攪拌動力は25kw/m3であった。
【0054】
真空攪拌乾燥機内部で突沸が起こらないように観察しながら留出する反応液量を調節しつつ、最終の熱媒温度が220℃、圧力が20hPaになるまで蒸留を行った。所要時間は20時間であった。蒸留された反応液分中には、残渣の一部が飛散していることが観察された。これは、攪拌動力が幾分大きかったために、蒸留終了近くになって、残渣の飛散が発生したことが原因と考えられる。
【0055】
真空攪拌乾燥機のジャケットに流通している熱媒の温度を下げて30℃まで冷却した後、固形物取出し口を開放し、真空攪拌乾燥機の攪拌機の攪拌方向を蒸留の場合とは反対にして(すなわち、逆回転にして)排出可能なようにして残渣を排出した。排出した残渣の量は93.6kg(理論残渣量の96質量%)、排出に要した時間は約2時間であった。
【0056】
残渣中の有機物量を測定するために、残渣の一部を採取し、十分な量のアセトンで洗浄したあと、残渣中に残存している目的物および副生物を含むその他の有機物を測定したところ、目的物のペンタフルオロベンゾニトリルは、残渣に対して0.2質量%(約200g)、また有効成分の3,5−ジクロロ−2,4,6−トリクロロベンゾニトリルおよび溶媒のベンゾニトリルが、それぞれ、残渣に対して、0.5質量%(約500g)および0.4質量%(約400g)の割合で含まれていた。
実施例4
300LのSUS316製オートクレーブにベンゾニトリル75kg、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル7.5kg(0.0282キロモル)およびスプレードライフッ化カリウム7.2kg(0.124キロモル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、255℃で20時間反応を行った。
【0057】
反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物である3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル5.1kg(0.255キロモル、収率90.4モル%)と有効成分である3−クロロ−4,5,6−トリフルオロフタロニトリル0.43kg(0.002キロモル)とが含まれていた。
【0058】
反応液を攪拌しながら150℃まで冷却し、窒素ガスで反応器内部の圧力を0.3MPaに加圧し、攪拌下、反応器下部の反応液抜出しバルブを開き、反応液を反応器下部のバルブに接続した300Lの真空攪拌乾燥機(VD)(玉川マシーナリー(株)製)に抜き出した。
【0059】
真空攪拌乾燥機のジャケットに熱媒を流通させて、内温を150℃にし、平羽根および三角羽根を有する攪拌機で攪拌を始め、減圧下、蒸留を開始した。真空攪拌乾燥機の攪拌機の回転数は20rpmであり、攪拌動力は27kw/m3であった。
【0060】
真空攪拌乾燥機内部で突沸が起こらないように観察しながら留出する反応液量を調節しつつ、最終の熱媒温度が240℃、圧力が20hPaになるまで蒸留を行った。所要時間は10時間であった。
【0061】
真空攪拌乾燥機のジャケットに流通している熱媒の温度を下げて30℃まで冷却した後、固形物取出し口を開放し、真空攪拌乾燥機の攪拌機の攪拌方向を蒸留の場合とは反対にして(すなわち、逆回転にして)排出可能なようにして残渣を排出した。排出した残渣の量は7.4kg(理論残渣量の82質量%)、排出に要した時間は約20分であった。
【0062】
残渣中の有機物量を測定するために、残渣の一部を採取し、十分な量のアセトンで洗浄したあと、残渣中に残存している目的物および副生物を含むその他の有機物を測定したところ、目的物の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルは、残渣に対して0.4質量%(約30g)、また有効成分の3−クロロ−4,5,6−トリフルオロフタロニトリルおよび溶媒のベンゾニトリルが、それぞれ、残渣に対して、0.9質量%(約70g)および0.2質量%(約20g)の割合で含まれていた。
比較例1
1LのSUS316製オートクレーブにベンゾニトリル440g、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル229g(0.861モル)および微粒子状のフッ化カリウム220g(3.79モル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、255℃で20時間反応を行った。
【0063】
反応終了後、反応液を1Lのナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレータを使用して外温200℃、真空度10hPaの最終条件で反応液から塩化カリウムおよび未反応フッ化カリウムを分離した。冷却後、粉体状になった残渣を1Lナス型フラスコから取り出し質量を測定したところ、235g(理論残渣量の85質量%)であった。フラスコ内に残存する残渣は、フラスコの内壁に付着していたため、スパテラで掻き出さなければ排出することはできなかった。
【0064】
残渣中の有機物量を測定するために、残渣の一部を採取し、十分な量のアセトンで洗浄したあと、残渣中に残存している目的物および副生物を含むその他の有機物を測定したところ、目的物の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルが、残渣に対して、2.7質量%(約6.3g)含まれていた。そのほか、有効成分の3−クロロ−4,5,6−トリクロロフタロニトリルおよび溶媒のベンゾニトリルが、それぞれ、残渣に対して、2.7質量%(約6.3g)および1.5質量%(約3.5g)の割合で含まれていた。
比較例2
比較例1において、1Lのナス型フラスコの代わりに、1Lのパドル翼を有する加熱および減圧が可能な混合機(ブレンダー)にハロゲン交換反応終了後の反応液を移し、加熱および減圧操作を行い、外温200℃、真空度10hPaの最終条件で反応液から塩化カリウムおよび未反応フッ化カリウムを分離した。冷却後、混合機内部の残渣をスパテラを用いて取り出し、質量を測定したところ、216g(理論残渣量の78質量%)であった。混合機内に残存する残渣はパドル翼などが障害となり、殆ど掻き出すことができなかった。
【0065】
残渣中の有機物量を測定するために、残渣の一部を採取し、十分な量のアセトンで洗浄したあと、残渣中に残存している目的物および副生物を含むその他の有機物を測定したところ、目的物の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルが、残渣に対して、2.6質量%(約5.6g)含まれていた。そのほか、有効成分の3−クロロ−4,5,6−トリクロロフタロニトリルおよび溶媒のベンゾニトリルが、それぞれ、残渣に対して、3.6質量%(約7.8g)および1.7質量%(約3.7g)の割合で含まれていた。
Claims (1)
- 非プロトン性極性溶媒中で一般式(1)
または一般式(2)
で表される芳香族塩素化合物をフッ素化剤とハロゲン交換反応させて、それぞれ、一般式(3)
または一般式(4)
で表される芳香族フッ素化合物を製造する方法において、ハロゲン交換反応終了後、反応液を攪拌翼と固形物取出し口とを備えてなる装置内で蒸留して、芳香族フッ素化合物を分離回収することを特徴とする芳香族フッ素化合物の製造方法。
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- 2003-03-31 JP JP2003094259A patent/JP2004300059A/ja active Pending
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