JP2004300041A - 高純度の5−アミノイソフタル酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】5−ニトロイソフタル酸を、アンモニアを加えた水溶液としてパラジウムカーボン触媒を用いた接触水素化還元反応を行うことにより純度100%の5−アミノイソフタル酸を得る事ができる。またこの方法によれば収率もほぼ100%であり、再結晶等の精製を必要としない経済的に有利な方法である。
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、X線造影剤を製造する際の重要な中間体となる5−アミノイソフタル酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5−ニトロイソフタル酸を還元し5−アミノイソフタル酸を得る方法として、鉄やスズなどの金属を用いて還元する方法が良く知られているが、副生する金属水酸化物の処理が問題となるため、一般にニトロ基の還元によるアミノ基の形成には貴金属触媒を用いた接触還元が主流となっている。特許文献1では、パラジウム触媒を用いて1MPa以下の水素圧力で接触還元を行なう際に、アルカリ金属水酸化物を添加し、5−ニトロイソフタル酸の等電点以下の雰囲気下とすることで副性物の抑制を行ない、目的の合成を達することが出来るとされている。
【特許文献1】特開平10−306067
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の実施例によると、生成物のHPLC純度が99.2%から99.8%程度であった。5−アミノイソフタル酸は前述の通りX線造影剤の中間体として使用される化合物である。このX線造影剤は一回の診断行為のために原薬として100g以上が患者のの体内に注射により注入されることもあるものである。従って極微量の不純物の存在も許されないものであり、このような高純度の原薬を製造するためには、中間体も出来る限りの高純度を確保する必要がある。
【0004】
高純度化の方法として、取り出した結晶をさらに再結晶精製を行う事も考えられるが、収量のロスと溶剤を使用することからコスト高になることが明らかである。従って反応条件を最適化により高品質化することが工業的に目指さなければならない課題となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために添加剤の選択を含めた反応条件を検討し、アンモニア添加の水溶液として接触還元反応を行う事により、HPLC純度が100%に達する5−アミノイソフタル酸を得られることを見出した。またこの方法によれば収率もほぼ100%であり、再結晶等の精製を行なう方法と比較して明らかに経済的に有利な方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。反応溶媒は経済的にもっとも有利な水を用いる。メタノール、エタノール等のアルコール類単独や水とアルコール類の混合溶媒も使用可能と考えられるが、コストおよび環境影響を考慮すると水以外の溶媒をあえて混合する理由は無い。溶媒として用いる水の量は特に限定する必要は無いが、生産効率の観点から原料の5−ニトロイソフタル酸に対して4倍重量以下が好ましく、さらに望ましくは3〜4倍重量を用いる。
【0007】
添加するアンモニアの量は、原料の5−ニトロイソフタル酸が溶媒である水に溶解するために必要な量を用いる。原料の5−ニトロイソフタル酸に対して1.8倍モル以上を添加すれば良いのだが、経済的理由から1.8〜2倍モルが好ましい。
【0008】
触媒はニトロ基の還元に通常用いられ、リサイクル使用も可能なパラジウムカーボン触媒を用いる。触媒量は特に限定する必要は無く、使用できる水素圧力、および許容できる反応時間に応じて触媒量を調整する。原料の5−ニトロイソフタル酸に対して1〜3%重量を用いた場合、比較的簡易な設備での加圧反応が可能な1MPa以下の圧力で、数時間で反応を終了することが出来る。また反応時間はさらに長くなるが、常圧での水素ガス吹込みによる反応も可能である。
【0009】
反応の終了後は、使用した触媒をろ過により分離した後、反応液に酸を加えて5−アミノイソフタル酸を晶析する。この結晶をろ過・乾燥を行ない、目的の5−アミノイソフタル酸を得る。加える酸は、塩酸、硫酸等の鉱酸あるいは酢酸等の有機酸が挙げられる。添加量は反応時に仕込んだアンモニアと等モル量が適当である。
【0010】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の実施を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】実施例1
外部モーター駆動撹拌羽根付きのオートクレーブ(内容量1L)に5−ニトロイソフタル酸 50.0g、水200ml、25%−アンモニア水 32.2g、および触媒としての5%−パラジウムカーボン1.25gを仕込んだ。オートクレーブ内に窒素ガスを導入し0.5MPaまで加圧したのちに内部のガスを放出し常圧に戻した。窒素ガス充填、放出の操作を3回繰り返しオートクレーブ内の気相を窒素ガスにて置換した。次に、オートクレーブ内圧が0.5MPaとなるように水素ガスを充填した。500rpmの回転数で撹拌を行なった。水素ガスが消費され内圧が0.2MPaまで下がった時点で、再び水素ガスを0.5MPaの内圧となるように充填した。反応が終了し水素ガスの吸収が止まるまで、水素ガスの充填操作を繰り返した。反応進行と共に徐々に液温が上昇するが、冷却操作は行なわず成り行きでの昇温とした。最高温度は75℃であった。3時間反応した時点で水素ガスの吸収が止まったことを確認し反応終了とした。室温まで冷却したのちに、触媒をろ過により除き、反応溶液に35%−塩酸 49.5gを加えアンモニアを中和した。この中和により生成物が晶析した。晶析結晶をろ過・乾燥し、5−アミノイソフタル酸の白色結晶 42.6gを得た。収率は99.2%である。高速液体クロマトグラフィーによる純度試験にて純度100.0%であることを確認した。
【0012】実施例2
外部モーター駆動撹拌羽根付きのオートクレーブ(内容量1L)に5−ニトロイソフタル酸 105.5g、水320ml、25%−アンモニア水 67.6g、および触媒としての5%−パラジウムカーボン2.5gを仕込んだ。オートクレーブ内に窒素ガスを導入し0.5MPaまで加圧したのちに内部のガスを放出し常圧に戻した。窒素ガス充填、放出の操作を3回繰り返しオートクレーブ内の気相を窒素ガスにて置換した。次に、オートクレーブ内圧が1MPaとなるように水素ガスを充填した。500rpmの回転数で撹拌を行なった。水素ガスが消費され内圧が0.5MPaまで下がった時点で、再び水素ガスを1MPaの内圧となるように充填した。反応が終了し水素ガスの吸収が止まるまで、水素ガスの充填操作を繰り返した。反応進行と共に徐々に液温が上昇するので、途中から反応容器の冷却を行ない、60〜70℃を保つように反応した。1時間反応した時点で水素ガスの吸収が止まったことを確認し反応終了とした。室温まで冷却したのちに、触媒をろ過により除き、反応溶液に35%−塩酸 104.3gを加えアンモニアを中和した。この中和により生成物が晶析した。晶析結晶をろ過・乾燥し、5−アミノイソフタル酸の白色結晶 90.0gを得た。収率は99.4%である。高速液体クロマトグラフィーによる純度試験にて純度100.0%であることを確認した。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、本発明の製造方法によれば5−アミノイソフタル酸を工業的に実現容易な方法で、ほぼ定量的にHPLC純度100%という高純度で得ることが出来る。
Claims (2)
- 5−ニトロイソフタル酸を触媒を用いた接触水素化還元反応により5−アミノイソフタル酸を製造するに際し、アンモニア水を添加した溶媒を用いて反応を行う事を特徴とする、5−アミノイソフタル酸の製造方法。
- 触媒が活性炭担持のパラジウムであり、溶媒が水である請求項1に記載の方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093180A JP2004300041A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 高純度の5−アミノイソフタル酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003093180A JP2004300041A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 高純度の5−アミノイソフタル酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004300041A true JP2004300041A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33406038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003093180A Pending JP2004300041A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 高純度の5−アミノイソフタル酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004300041A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008075427A1 (ja) * | 2006-12-21 | 2008-06-26 | Nippon Soda Co., Ltd. | 包接化合物、硬化触媒、硬化樹脂形成用組成物及び硬化樹脂 |
US8623942B2 (en) | 2009-03-11 | 2014-01-07 | Nippon Soda Co., Ltd. | Epoxy resin composition, curing agent, and curing accelerator |
US8653160B2 (en) | 2007-09-21 | 2014-02-18 | Nippon Soda Co., Ltd. | Inclusion complex containing epoxy resin composition for semiconductor encapsulation |
US8735529B2 (en) | 2006-12-21 | 2014-05-27 | Nippon Soda Co., Ltd. | Clathrate compound, curing catalyst, composition for forming cured resin, and cured resin |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003093180A patent/JP2004300041A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008075427A1 (ja) * | 2006-12-21 | 2008-06-26 | Nippon Soda Co., Ltd. | 包接化合物、硬化触媒、硬化樹脂形成用組成物及び硬化樹脂 |
US8735529B2 (en) | 2006-12-21 | 2014-05-27 | Nippon Soda Co., Ltd. | Clathrate compound, curing catalyst, composition for forming cured resin, and cured resin |
US8653160B2 (en) | 2007-09-21 | 2014-02-18 | Nippon Soda Co., Ltd. | Inclusion complex containing epoxy resin composition for semiconductor encapsulation |
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