JP2004299983A - ガラスロッド及びガラス材の接続方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス材を接続した後の接続面付近における亀裂や割れの発生を抑制するガラスロッド及びガラス材の接続方法を提供する。
【解決手段】本発明のガラスロッド10は、一対の棒状のガラス材11,12の端部11a,12a同士が接続され、一方のガラス材11の端部11aが他方のガラス材12の端部12aに押し込まれ、互いの接続面13が湾曲面となっている。
また、本発明のガラス材の接続方法は、一対の棒状のガラス材11,12の端部11a,12aを加熱・軟化させて、一方のガラス材11における端部11aの粘度を他方のガラス材12における端部12aの粘度の5倍以上の状態として、端部11a,12a同士を突き合わせて接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のガラスロッド10は、一対の棒状のガラス材11,12の端部11a,12a同士が接続され、一方のガラス材11の端部11aが他方のガラス材12の端部12aに押し込まれ、互いの接続面13が湾曲面となっている。
また、本発明のガラス材の接続方法は、一対の棒状のガラス材11,12の端部11a,12aを加熱・軟化させて、一方のガラス材11における端部11aの粘度を他方のガラス材12における端部12aの粘度の5倍以上の状態として、端部11a,12a同士を突き合わせて接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスロッド及びガラス材の接続方法に関し、さらに詳しくは、一対の棒状のガラス材同士を接続したガラスロッド、及びガラス材同士を加熱・軟化させて接続するガラス材の接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一対の棒状のガラス材同士を接続して1本のガラスロッドとする方法としては、図3に示すように、互いに接続するガラス材50,51の端部をバーナなどにより加熱することで軟化させて、軟化したガラス材50,51の端部を互いに突き合わせることにより行われている。従来、ガラス材50,51を接続して得られたガラスロッド52の接続面53は、平面状に形成されていた。
また、ガラス材を接続した後に、接続箇所に残留する気泡を中心とする残留歪みによって割れや亀裂が発生してしまうことに鑑み、その防止策として、少なくとも一方のガラス材の端部を凸状に形成しておくことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−327358号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、互いに接続するガラス材が異なる材質であった場合、接続面がほぼ平面となる従来の接続方法では、それぞれのガラス材の熱膨張係数の違いにより接続面の付近に歪みが局所的に残留しやすく、その歪みによって接続後の冷却過程や保管中に接続面付近に亀裂や割れが生じてしまう場合があった。また、接続後のガラスロッドの外周部分を研削加工した際に、残留歪みの影響により、研削抵抗による衝撃で接続面付近が割れてしまうこともあった。
【0005】
本発明は、ガラス材を接続した後の接続面付近における亀裂や割れの発生を抑制するガラスロッド及びガラス材の接続方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るガラスロッドは、一対の棒状のガラス材の端部同士が接続され、接続面が湾曲面となっていることを特徴としている。
このような構成のガラスロッドによれば、接続面が湾曲面とされているため、接続した際の歪みが一部に集中することなく湾曲した面に沿って分散されるため、接続面付近における割れを防止することができる。
【0007】
また、上記構成のガラスロッドにおいて、湾曲面の押し込み量である軸方向のラップ寸法が、ガラス材の直径の5%以上であることが望ましい。また、ラップ寸法が、ガラス材の直径の10%以上であるとさらに良い。
これにより、接続面付近に生じる歪みをより効果的に分散することができ、接続部付近での割れを確実に防止することができる。
なお、一対のガラス材の直径が異なる場合には、小径側のガラス材の直径を基準として、ラップ寸法がその5%以上であれば良い。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明に係るガラス材の接続方法は、一対の棒状のガラス材の端部を加熱・軟化させ、一方のガラス材における端部の粘度を他方のガラス材における端部の粘度の5倍以上の状態とし、端部同士を突き合わせて接続することを特徴としている。
このようなガラス材の接続方法によれば、接続する一対の端部の粘度差が5倍以上の状態で、ガラス材同士を互いに突き合わせて接続することにより、一方のガラス材が他方のガラス材に押し込まれ、接続面を曲面に形成することができる。粘度差が5倍以上であると、粘度の低い方(他方)のガラス材が粘度の高い方(一方)のガラス材の周囲を覆うような形状に変形しやすい。
したがって、接続面付近における歪みが分散され、歪みの部分的な集中による割れの発生を抑えることができる。
【0009】
また、上記のガラス材の接続方法において、加熱する際の加熱温度差によって、一方のガラス材の粘度を他方のガラス材の粘度の5倍以上とすることが望ましい。
これにより、それぞれのガラス材に対して加熱温度を調節することで容易に粘度差を5倍以上にすることができる。
【0010】
また、上記のガラス材の接続方法において、接続前に、一方のガラス材に先行して他方のガラス材を加熱し、一方のガラス材の粘度を他方のガラス材の粘度の5倍以上とすることが望ましい。
これにより、例えば一定温度の加熱源を用いてガラス材を加熱する場合でも、他方のガラス材を先に加熱することによって十分に軟化させることができ、容易に粘度差を5倍以上にすることができる。
【0011】
また、上記のガラス材の接続方法において、加熱した際に、一方のガラス材の粘度が他方のガラス材の粘度の5倍以上となるように、一方のガラス材と他方のガラス材との材質を選択することが望ましい。
これにより、それぞれのガラス材の材質を選択することで容易に粘度差を5倍以上にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラスロッド及びガラス材の接続方法の実施の形態を、図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のガラス材の接続方法によって接続されたガラスロッドである。
図1に示すように、このガラスロッド10は、一対の棒状のガラス材11,12を互いに接続したもので、一方のガラス材11の端部が他方のガラス材12の端部に押し込まれている。
これにより、これらガラス材11,12の接続面13が、ガラス材12に向かってほぼ半球状に突出した湾曲面となっている。
【0013】
ここで、これらガラス材11,12同士の接続面13では、他方のガラス材12の端部への一方のガラス材11の押し込み量である軸方向のラップ寸法L(mm)が、ガラス材11,12の直径D(mm)の5%以上とされている。つまり、ラップ寸法Lと直径Dとは、次式(1)のような関係となっている。
L≧0.05D …(1)
【0014】
次に、上述した一対の棒状のガラス材11,12を接続する接続方法について説明する。
(加熱温度の差を利用した接続方法)
最初に、ガラス材11,12を軟化させる際の加熱温度の差によって、接続する端部の粘度差を5倍以上として接続を行う方法について説明する。
まず、図2に示すように、それぞれのガラス材11,12の接続側の端部11a,12aを凸状に湾曲させておく。
ここで、他方のガラス材12の端部12aに押し込ませる一方のガラス材11の端部11aを、端部12aより細く尖らせておくと良い。
【0015】
次に、互いに接続するガラス材11,12の端部11a,12aをバーナ等によって加熱して軟化させる。
ここで、一方のガラス材11の端部11aの粘度が、他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となるように、それぞれのガラス材11,12の端部11a,12aを加熱する。すなわち、一対のガラス材11,12の材質が等しいか、あるいは熱膨張係数の差が少ない場合には、一方のガラス材11の端部11aに比べて他方のガラス材12の端部12aの温度が高くなるように温度差を設けて加熱する。
ただし、一対のガラス材11,12の材質が異なり、熱膨張係数の差が大きい場合には、この限りではなく、ほぼ同等の加熱温度によっても粘度差が5倍以上となるような条件で加熱を行えば良い。
【0016】
また、これら互いに接続するガラス材11,12は、接続する際のそれぞれの加熱温度にて、一方のガラス材11の端部11aの粘度が他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となるように、それぞれガラス材の材質を選択しておくと良い。
【0017】
このように、一方のガラス材11の端部11aの粘度が、他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍となるようにそれぞれの端部11a,12aを加熱して軟化させ、この状態において、互いのガラス材11,12を突き合わせ、互いに押し付ける。
これにより、他方のガラス材12の端部12aの付近のガラスが、一方のガラス材11の端部11aの周囲に覆い被さる。そして、一方のガラス材11の端部11aが他方のガラス材12の端部12aに押し込まれるようになり、これらガラス材11,12の接続面13がほぼ半球状の湾曲面となり、ガラス材11,12が接続される。
そして、他方のガラス材12への一方のガラス材11の押し込み量である軸方向のラップ寸法Lが、ガラス材11,12の直径Dの5%以上となるまで、互いのガラス材11,12同士を押し付けると良い。
【0018】
(加熱の時間差を利用した接続方法)
次に、接続する端部の粘度差が5倍以上となるように、一方のガラス材に先行して他方のガラス材を加熱して、接続を行う方法について説明する。
まず、上記と同様に、図2に示すように、それぞれのガラス材11,12の端部11a,12aを凸状に湾曲させておく。また、一方のガラス材11の端部11aを、他方のガラス材12の端部12aより細く尖らせておくと良い。
【0019】
また、これら互いに接続するガラス材11,12は、接続する際のそれぞれの加熱温度にて、一方のガラス材11の端部11aの粘度が他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となるように、それぞれガラス材の材質を選択しておくと良い。
【0020】
次に、互いに接続するガラス材11,12の端部11a,12aをバーナ等によって加熱することにより軟化させる。この実施の形態では、まず先に、他方のガラス材12の端部12aを所望の加熱温度で加熱し始める。そして、他方のガラス材12を加熱しながら、一方のガラス材11の端部11aを、所望の加熱温度で加熱し始める。このように、一方のガラス材11に先行して他方のガラス材12を加熱して、加熱時間に差を設けることにより、一方のガラス材11の端部11aの粘度を、他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上とする。
この状態において、互いのガラス材11,12の端部11a,12aを突き合わせ、互いに押し付ける。
【0021】
これにより、上述した加熱温度の差による接続方法の場合と同様に、ガラス材11,12の接続面13がほぼ半球状の湾曲面となり、ガラス材11,12が接続される。また、ラップ寸法Lが、ガラス材11,12の直径Dの5%以上となるように押し込んで接続すると良い。
【0022】
また、この実施の形態では、それぞれガラス材11,12を加熱する熱源の温度が異なる場合でも、同一である場合でも、加熱時間の差を設けることによって、被加熱物であるガラス材11,12の温度に差を設けることができ、粘度の差を得ることができる。
【0023】
以上説明した2種の接続方法の何れか一方を用いるか、または両方を組み合わせて用いることによって、一対のガラス材の接続作業を行い、その後、接続部分を冷却して、所望のガラスロッド10を得ることができる。好ましくは、接続部分の外周を研削して仕上げると良い。
【0024】
このように、本実施形態のガラスロッド10によれば、一方のガラス材11の端部11aが他方のガラス材12の端部12aに押し込まれて互いの接続面13が湾曲面となり、さらに軸方向のラップ寸法Lが直径Dの5%以上となっている。そのため、接続した際の歪みが一部に集中することなく湾曲した接続面13に沿って分散されるため、接続面13付近における割れを確実に防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のガラス材の接続方法によれば、一方のガラス材11の端部11aの粘度が他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となった状態で、これらガラス材11,12を互いに突き合わせて接続することにより、一方のガラス材11が他方のガラス材12に押し込まれ、接続面13付近における歪みが分散され、歪みの一部集中による割れの発生が防止される。
【0026】
(実施例)
次に、本発明に係るガラスロッド及びガラス材の接続方法の実施例について説明する。
20mol%の二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含む石英ガラスである棒状のガラス材11と、材質が純石英ガラスである棒状のガラス材12を、それぞれバーナの酸水素火炎によって加熱し、一方のガラス材11の端部11aが1000℃、他方のガラス材12の端部12aが2000℃の状態で互いに突き合わせて接続した。そのとき、一方のガラス材11の端部11aの粘度は300000Pa・sであり、他方のガラス材12の端部12aの粘度は30000Pa・sであった。すなわち、端部11aの粘度が端部12aの粘度の5倍以上となった状態で接続した。
【0027】
このような接続方法により、第1実施例としてラップ寸法Lを直径Dの5%としたガラスロッド10と、第2実施例としてラップ寸法Lを直径Dの10%としたガラスロッド10をそれぞれ10本作成した。また、比較例として、粘度差が5倍未満である従来の接続方法によって接続し、接続面がほぼ平面状であるガラスロッド52(図3参照)を10本作成した。
全てのガラスロッド10,52は、接続後室温で空冷して、24時間室温にて保管し、その後さらに、接続部分の外周を研削した。
そして、全てのガラスロッド10,52に対して、空冷中、保管中及び外周研削中のそれぞれの時点における割れの発生本数を検査した。
その検査結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
この表1から判るように、従来の接続方法による比較例は、空冷中に2本、保管中に2本、外周研削中に4本の割れが発見され、良好率が20%と低かった。これに対して、本発明に係る第1実施例であるラップ寸法Lを直径Dの5%としたものでは、保管中に僅かに1本、外周研削中に3本の割れが発見された程度であり、良好率は60%であった。さらには、本発明に係る第2実施例であるラップ寸法Lを直径Dの10%としたものでは、空冷中、保管中、外周研削中のいずれにおいても割れが発見されず、良好率が100%であった。
このように、本発明のガラス材の接続方法により接続されたガラスロッドは、従来の接続方法によるものと比較して、割れの発生が大幅に抑えられることがわかった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガラスロッドによれば、一方のガラス材の端部が他方のガラス材の端部に押し込まれ、互いの接続面が湾曲面とされているので、接続した際の歪みが一部に集中することなく分散されて、接続面付近における割れを防止することができる。
また、本発明のガラス材の接続方法によれば、軟化した端部における一方のガラス材の粘度が他方のガラス材の粘度の5倍以上の状態で一対のガラス材を突き合わせて接続することにより、一方のガラス材が他方のガラス材に押し込まれ、接続面付近における歪みが分散され、歪みの一部集中による割れの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラスロッドの一実施形態を示す概要図である。
【図2】接続されるガラス材の端部の形状を示す概要図である。
【図3】従来のガラス材の接続方法を示す概要図である。
【符号の説明】
10 ガラスロッド
11,12 ガラス材
11a,12a 端部
13 接続面
D 直径
L ラップ寸法
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスロッド及びガラス材の接続方法に関し、さらに詳しくは、一対の棒状のガラス材同士を接続したガラスロッド、及びガラス材同士を加熱・軟化させて接続するガラス材の接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一対の棒状のガラス材同士を接続して1本のガラスロッドとする方法としては、図3に示すように、互いに接続するガラス材50,51の端部をバーナなどにより加熱することで軟化させて、軟化したガラス材50,51の端部を互いに突き合わせることにより行われている。従来、ガラス材50,51を接続して得られたガラスロッド52の接続面53は、平面状に形成されていた。
また、ガラス材を接続した後に、接続箇所に残留する気泡を中心とする残留歪みによって割れや亀裂が発生してしまうことに鑑み、その防止策として、少なくとも一方のガラス材の端部を凸状に形成しておくことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−327358号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、互いに接続するガラス材が異なる材質であった場合、接続面がほぼ平面となる従来の接続方法では、それぞれのガラス材の熱膨張係数の違いにより接続面の付近に歪みが局所的に残留しやすく、その歪みによって接続後の冷却過程や保管中に接続面付近に亀裂や割れが生じてしまう場合があった。また、接続後のガラスロッドの外周部分を研削加工した際に、残留歪みの影響により、研削抵抗による衝撃で接続面付近が割れてしまうこともあった。
【0005】
本発明は、ガラス材を接続した後の接続面付近における亀裂や割れの発生を抑制するガラスロッド及びガラス材の接続方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るガラスロッドは、一対の棒状のガラス材の端部同士が接続され、接続面が湾曲面となっていることを特徴としている。
このような構成のガラスロッドによれば、接続面が湾曲面とされているため、接続した際の歪みが一部に集中することなく湾曲した面に沿って分散されるため、接続面付近における割れを防止することができる。
【0007】
また、上記構成のガラスロッドにおいて、湾曲面の押し込み量である軸方向のラップ寸法が、ガラス材の直径の5%以上であることが望ましい。また、ラップ寸法が、ガラス材の直径の10%以上であるとさらに良い。
これにより、接続面付近に生じる歪みをより効果的に分散することができ、接続部付近での割れを確実に防止することができる。
なお、一対のガラス材の直径が異なる場合には、小径側のガラス材の直径を基準として、ラップ寸法がその5%以上であれば良い。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明に係るガラス材の接続方法は、一対の棒状のガラス材の端部を加熱・軟化させ、一方のガラス材における端部の粘度を他方のガラス材における端部の粘度の5倍以上の状態とし、端部同士を突き合わせて接続することを特徴としている。
このようなガラス材の接続方法によれば、接続する一対の端部の粘度差が5倍以上の状態で、ガラス材同士を互いに突き合わせて接続することにより、一方のガラス材が他方のガラス材に押し込まれ、接続面を曲面に形成することができる。粘度差が5倍以上であると、粘度の低い方(他方)のガラス材が粘度の高い方(一方)のガラス材の周囲を覆うような形状に変形しやすい。
したがって、接続面付近における歪みが分散され、歪みの部分的な集中による割れの発生を抑えることができる。
【0009】
また、上記のガラス材の接続方法において、加熱する際の加熱温度差によって、一方のガラス材の粘度を他方のガラス材の粘度の5倍以上とすることが望ましい。
これにより、それぞれのガラス材に対して加熱温度を調節することで容易に粘度差を5倍以上にすることができる。
【0010】
また、上記のガラス材の接続方法において、接続前に、一方のガラス材に先行して他方のガラス材を加熱し、一方のガラス材の粘度を他方のガラス材の粘度の5倍以上とすることが望ましい。
これにより、例えば一定温度の加熱源を用いてガラス材を加熱する場合でも、他方のガラス材を先に加熱することによって十分に軟化させることができ、容易に粘度差を5倍以上にすることができる。
【0011】
また、上記のガラス材の接続方法において、加熱した際に、一方のガラス材の粘度が他方のガラス材の粘度の5倍以上となるように、一方のガラス材と他方のガラス材との材質を選択することが望ましい。
これにより、それぞれのガラス材の材質を選択することで容易に粘度差を5倍以上にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラスロッド及びガラス材の接続方法の実施の形態を、図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のガラス材の接続方法によって接続されたガラスロッドである。
図1に示すように、このガラスロッド10は、一対の棒状のガラス材11,12を互いに接続したもので、一方のガラス材11の端部が他方のガラス材12の端部に押し込まれている。
これにより、これらガラス材11,12の接続面13が、ガラス材12に向かってほぼ半球状に突出した湾曲面となっている。
【0013】
ここで、これらガラス材11,12同士の接続面13では、他方のガラス材12の端部への一方のガラス材11の押し込み量である軸方向のラップ寸法L(mm)が、ガラス材11,12の直径D(mm)の5%以上とされている。つまり、ラップ寸法Lと直径Dとは、次式(1)のような関係となっている。
L≧0.05D …(1)
【0014】
次に、上述した一対の棒状のガラス材11,12を接続する接続方法について説明する。
(加熱温度の差を利用した接続方法)
最初に、ガラス材11,12を軟化させる際の加熱温度の差によって、接続する端部の粘度差を5倍以上として接続を行う方法について説明する。
まず、図2に示すように、それぞれのガラス材11,12の接続側の端部11a,12aを凸状に湾曲させておく。
ここで、他方のガラス材12の端部12aに押し込ませる一方のガラス材11の端部11aを、端部12aより細く尖らせておくと良い。
【0015】
次に、互いに接続するガラス材11,12の端部11a,12aをバーナ等によって加熱して軟化させる。
ここで、一方のガラス材11の端部11aの粘度が、他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となるように、それぞれのガラス材11,12の端部11a,12aを加熱する。すなわち、一対のガラス材11,12の材質が等しいか、あるいは熱膨張係数の差が少ない場合には、一方のガラス材11の端部11aに比べて他方のガラス材12の端部12aの温度が高くなるように温度差を設けて加熱する。
ただし、一対のガラス材11,12の材質が異なり、熱膨張係数の差が大きい場合には、この限りではなく、ほぼ同等の加熱温度によっても粘度差が5倍以上となるような条件で加熱を行えば良い。
【0016】
また、これら互いに接続するガラス材11,12は、接続する際のそれぞれの加熱温度にて、一方のガラス材11の端部11aの粘度が他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となるように、それぞれガラス材の材質を選択しておくと良い。
【0017】
このように、一方のガラス材11の端部11aの粘度が、他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍となるようにそれぞれの端部11a,12aを加熱して軟化させ、この状態において、互いのガラス材11,12を突き合わせ、互いに押し付ける。
これにより、他方のガラス材12の端部12aの付近のガラスが、一方のガラス材11の端部11aの周囲に覆い被さる。そして、一方のガラス材11の端部11aが他方のガラス材12の端部12aに押し込まれるようになり、これらガラス材11,12の接続面13がほぼ半球状の湾曲面となり、ガラス材11,12が接続される。
そして、他方のガラス材12への一方のガラス材11の押し込み量である軸方向のラップ寸法Lが、ガラス材11,12の直径Dの5%以上となるまで、互いのガラス材11,12同士を押し付けると良い。
【0018】
(加熱の時間差を利用した接続方法)
次に、接続する端部の粘度差が5倍以上となるように、一方のガラス材に先行して他方のガラス材を加熱して、接続を行う方法について説明する。
まず、上記と同様に、図2に示すように、それぞれのガラス材11,12の端部11a,12aを凸状に湾曲させておく。また、一方のガラス材11の端部11aを、他方のガラス材12の端部12aより細く尖らせておくと良い。
【0019】
また、これら互いに接続するガラス材11,12は、接続する際のそれぞれの加熱温度にて、一方のガラス材11の端部11aの粘度が他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となるように、それぞれガラス材の材質を選択しておくと良い。
【0020】
次に、互いに接続するガラス材11,12の端部11a,12aをバーナ等によって加熱することにより軟化させる。この実施の形態では、まず先に、他方のガラス材12の端部12aを所望の加熱温度で加熱し始める。そして、他方のガラス材12を加熱しながら、一方のガラス材11の端部11aを、所望の加熱温度で加熱し始める。このように、一方のガラス材11に先行して他方のガラス材12を加熱して、加熱時間に差を設けることにより、一方のガラス材11の端部11aの粘度を、他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上とする。
この状態において、互いのガラス材11,12の端部11a,12aを突き合わせ、互いに押し付ける。
【0021】
これにより、上述した加熱温度の差による接続方法の場合と同様に、ガラス材11,12の接続面13がほぼ半球状の湾曲面となり、ガラス材11,12が接続される。また、ラップ寸法Lが、ガラス材11,12の直径Dの5%以上となるように押し込んで接続すると良い。
【0022】
また、この実施の形態では、それぞれガラス材11,12を加熱する熱源の温度が異なる場合でも、同一である場合でも、加熱時間の差を設けることによって、被加熱物であるガラス材11,12の温度に差を設けることができ、粘度の差を得ることができる。
【0023】
以上説明した2種の接続方法の何れか一方を用いるか、または両方を組み合わせて用いることによって、一対のガラス材の接続作業を行い、その後、接続部分を冷却して、所望のガラスロッド10を得ることができる。好ましくは、接続部分の外周を研削して仕上げると良い。
【0024】
このように、本実施形態のガラスロッド10によれば、一方のガラス材11の端部11aが他方のガラス材12の端部12aに押し込まれて互いの接続面13が湾曲面となり、さらに軸方向のラップ寸法Lが直径Dの5%以上となっている。そのため、接続した際の歪みが一部に集中することなく湾曲した接続面13に沿って分散されるため、接続面13付近における割れを確実に防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のガラス材の接続方法によれば、一方のガラス材11の端部11aの粘度が他方のガラス材12の端部12aの粘度の5倍以上となった状態で、これらガラス材11,12を互いに突き合わせて接続することにより、一方のガラス材11が他方のガラス材12に押し込まれ、接続面13付近における歪みが分散され、歪みの一部集中による割れの発生が防止される。
【0026】
(実施例)
次に、本発明に係るガラスロッド及びガラス材の接続方法の実施例について説明する。
20mol%の二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含む石英ガラスである棒状のガラス材11と、材質が純石英ガラスである棒状のガラス材12を、それぞれバーナの酸水素火炎によって加熱し、一方のガラス材11の端部11aが1000℃、他方のガラス材12の端部12aが2000℃の状態で互いに突き合わせて接続した。そのとき、一方のガラス材11の端部11aの粘度は300000Pa・sであり、他方のガラス材12の端部12aの粘度は30000Pa・sであった。すなわち、端部11aの粘度が端部12aの粘度の5倍以上となった状態で接続した。
【0027】
このような接続方法により、第1実施例としてラップ寸法Lを直径Dの5%としたガラスロッド10と、第2実施例としてラップ寸法Lを直径Dの10%としたガラスロッド10をそれぞれ10本作成した。また、比較例として、粘度差が5倍未満である従来の接続方法によって接続し、接続面がほぼ平面状であるガラスロッド52(図3参照)を10本作成した。
全てのガラスロッド10,52は、接続後室温で空冷して、24時間室温にて保管し、その後さらに、接続部分の外周を研削した。
そして、全てのガラスロッド10,52に対して、空冷中、保管中及び外周研削中のそれぞれの時点における割れの発生本数を検査した。
その検査結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
この表1から判るように、従来の接続方法による比較例は、空冷中に2本、保管中に2本、外周研削中に4本の割れが発見され、良好率が20%と低かった。これに対して、本発明に係る第1実施例であるラップ寸法Lを直径Dの5%としたものでは、保管中に僅かに1本、外周研削中に3本の割れが発見された程度であり、良好率は60%であった。さらには、本発明に係る第2実施例であるラップ寸法Lを直径Dの10%としたものでは、空冷中、保管中、外周研削中のいずれにおいても割れが発見されず、良好率が100%であった。
このように、本発明のガラス材の接続方法により接続されたガラスロッドは、従来の接続方法によるものと比較して、割れの発生が大幅に抑えられることがわかった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガラスロッドによれば、一方のガラス材の端部が他方のガラス材の端部に押し込まれ、互いの接続面が湾曲面とされているので、接続した際の歪みが一部に集中することなく分散されて、接続面付近における割れを防止することができる。
また、本発明のガラス材の接続方法によれば、軟化した端部における一方のガラス材の粘度が他方のガラス材の粘度の5倍以上の状態で一対のガラス材を突き合わせて接続することにより、一方のガラス材が他方のガラス材に押し込まれ、接続面付近における歪みが分散され、歪みの一部集中による割れの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラスロッドの一実施形態を示す概要図である。
【図2】接続されるガラス材の端部の形状を示す概要図である。
【図3】従来のガラス材の接続方法を示す概要図である。
【符号の説明】
10 ガラスロッド
11,12 ガラス材
11a,12a 端部
13 接続面
D 直径
L ラップ寸法
Claims (6)
- 一対の棒状のガラス材の端部同士が接続され、接続面が湾曲面となっていることを特徴とするガラスロッド。
- 前記湾曲面の押し込み量である軸方向のラップ寸法が、前記ガラス材の直径の5%以上であることを特徴とする請求項1に記載のガラスロッド。
- 一対の棒状のガラス材の端部を加熱・軟化させ、一方のガラス材における前記端部の粘度を他方のガラス材における前記端部の粘度の5倍以上の状態とし、前記端部同士を突き合わせて接続することを特徴とするガラス材の接続方法。
- 前記加熱する際の加熱温度差によって、前記一方のガラス材の粘度を前記他方のガラス材の粘度の5倍以上とすることを特徴とする請求項3に記載のガラス材の接続方法。
- 前記接続前に、前記一方のガラス材に先行して前記他方のガラス材を加熱し、前記一方のガラス材の粘度を前記他方のガラス材の粘度の5倍以上とすることを特徴とする請求項3に記載のガラス材の接続方法。
- 前記加熱した際に、前記一方のガラス材の粘度が前記他方のガラス材の粘度の5倍以上となるように、前記一方のガラス材と前記他方のガラス材との材質を選択することを特徴とする請求項3から請求項5の何れか1項に記載のガラス材の接続方法。
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003096114A patent/JP2004299983A/ja active Pending
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