JP2004299964A - シリコン含浸炭化ケイ素部材およびその表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化ケイ素より硬度が低く、かつ、シリコンより硬度が高い砥粒を用いてブラスト処理することにより、表面粗さが、算術平均粗さRaが5μm以上12μm以下、最大高さRyが40μm以上80μm以下であり、かつ、平均平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積が70%以上であるシリコン含浸炭化ケイ素部材を得る。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン含浸炭化ケイ素部材に関し、より詳細には、表面のマイクロクラック等の欠陥が低減され、かつ、均質に粗面化された、半導体熱処理用部材に好適に用いられるシリコン含浸炭化ケイ素部材およびその表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエハ等の半導体製造工程において、ウエハボート、保温筒等の半導体熱処理用部材には、炭化ケイ素基材の表面が、CVD(化学気相堆積)等により、高純度の炭化ケイ素薄膜で被覆された炭化ケイ素部材が、多く使用されている。
炭化ケイ素は、石英ガラス等に比べて、高強度で、耐熱性、耐酸化性、耐食性等に優れており、このような特性から、例えば、LPCVD(低圧化学気相堆積)装置等の高温下で使用される半導体熱処理装置においては、特に好適に用いられている。
【0003】
しかしながら、炭化ケイ素は、難焼結性であるため、炭化ケイ素セラミックス(焼結体)自体は、靭性が低く、脆いという欠点を有している。このため、前記欠点を改善した材料として、例えば、炭化ケイ素(SiC)および炭素(C)からなる成形体を、1420℃以上で溶融したシリコン(Si)と接触させて、CとSiを反応させた後、成形体の空隙にSiを浸透させることにより製造されるシリコン含浸炭化ケイ素セラミックスが基材として利用されている。
【0004】
上記のような製造方法により得られる炭化ケイ素セラミックス基材は、そのままでは、表面に付着物等が残留しており、表面状態が不均質であり、高清浄度を要求される半導体製造工程における使用には適していない。
また、その表面に形成されるCVD−炭化ケイ素膜の密着性を向上させるため、通常、前記基材は、炭化ケイ素粉を砥粒として用いたブラスト表面処理を施し、その表面を均質に粗面化させる(例えば、特許文献1参照。)。この粗面化された表面をCVD膜により被覆したものが、部材として製品化されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−200720号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして製造されたシリコン含浸炭化ケイ素部材においては、繰り返し熱履歴を受けて使用される場合には、CVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落(チッピング)等の欠陥が、しばしば生じていた。
【0007】
上記CVD−炭化ケイ素膜の剥離等の原因の一つとして、シリコン含浸炭化ケイ素基材の表面近傍に存在するマイクロクラックや加工欠陥が挙げられる。
このマイクロクラックや加工欠陥は、基材表面近傍の炭化ケイ素とシリコンとの熱膨張係数の差異により徐々に拡大し、さらに、基材表面に露出しているシリコン粒子と、これと接触するCVD−炭化ケイ素膜との熱膨張係数の差異も助長して、基材表面のCVD−炭化ケイ素膜の剥離等を引き起こすと考えられる。
【0008】
このため、上記基材表面に発生したマイクロクラックや加工欠陥の低減が求められていた。
例えば、前記基材表面のマイクロクラック等は、その部分を切削することにより、容易に除去することができるが、基材の寸法が変化してしまうため、この方法は、寸法精度上好ましいものとは言えなかった。
【0009】
上記マイクロクラック等の発生は、より詳細には、シリコン含浸炭化ケイ素基材の製造工程において、炭化ケイ素成形体に溶融シリコンを含浸させた際に表面に噴出した余剰のシリコンを除去するためのブラスト処理に起因すると考えられる。
すなわち、前記ブラスト処理において噴射された炭化ケイ素粉の砥粒により、基材表面に微小な切削傷(ブラストダメージ部)が生じ、その後の表面へのCVD膜形成等の際の熱応力によって、該ブラストダメージ部からマイクロクラック等が発生、拡大する。
【0010】
前記マイクロクラックは、100μm以上の大きいものから20μm程度の小さいものまであり、シリコン含浸炭化ケイ素基材の表面近傍で、特に、炭化ケイ素粒子とシリコン粒子との粒界において生じやすい傾向にある。
小さいマイクロクラックは、方向に規則性はないが、一部分に集中して発生している場合が多く、亀裂が内部でつながっている可能性もある。
【0011】
前記マイクロクラック等を有しているシリコン含浸炭化ケイ素部材を、半導体熱処理工程等において、繰り返し使用すると、度重なる熱応力によりマイクロクラックがさらに伸長拡大し、その部分の強度劣化によって、CVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落を生じる。
【0012】
上記のとおり、シリコン含浸炭化ケイ素基材表面の炭化ケイ素粉の砥粒によるブラスト処理が、マイクロクラックの発生に密接な関係を有しており、ブラストによる前記基材表面における残留圧縮力がある程度以上になると、ブラストダメージ部、さらに、マイクロクラックが発生しやすくなる傾向にあった。
このため、マイクロクラックや加工欠陥の低減を図るための対策として、ブラストに用いる砥粒の炭化ケイ素粉の粒度を小さくする等の種々の方法を試みたが、なお十分な改善は図られなかった。
【0013】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、表面近傍のマイクロクラックが低減され、かつ、均質に粗面化され、また、表面に被覆されるCVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落を生じることがない、半導体熱処理用部材に好適なシリコン含浸炭化ケイ素部材およびその表面処理方法を提供することを目的するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材は、表面粗さが、算術平均粗さRaが5μm以上12μm以下、最大高さRyが40μm以上80μm以下であり、かつ、算術平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積が70%以上であることを特徴とする。
このような表面状態とすることにより、表面近傍のマイクロクラックが低減され、表面に被覆されるCVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落を生じることがないシリコン含浸炭化ケイ素部材とすることができる。
なお、前記算術平均粗さおよび最大高さは、いずれも、JIS B0601−1994に基づくものである。
【0015】
前記シリコン含浸炭化ケイ素部材は、CVD−炭化ケイ素膜により被覆されていることが好ましい。
高純度の炭化ケイ素のCVD膜で被覆することにより、該部材表面からの不純物やパーティクル等による汚染源を抑制することができるため、特に、半導体熱処理用部材として用いる場合には、このように被覆することが好ましい。
【0016】
前記シリコン含浸炭化ケイ素部材は、半導体熱処理用部材として好適に用いることができる。
上記のようなシリコン含浸炭化ケイ素部材は、均質に粗面化されており、熱履歴を繰り返し受けても、表面にマイクロクラック等の欠陥を生じにくく、また、耐久性、汚染防止性等にも優れているため、ウエハボート、保温筒等の半導体熱処理用部材に好適である。
【0017】
また、本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面処理方法は、シリコン含浸炭化ケイ素部材をブラストにより表面処理する方法であって、炭化ケイ素より硬度が低く、かつ、シリコンより硬度が高い砥粒を用いて、前記部材の表面粗さを、算術平均粗さRaが5μm以上12μm以下、最大高さRyが40μm以上80μm以下とし、かつ、算術平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積を70%以上とすることを特徴とする。
上記表面処理方法は、ブラスト衝撃をできる限り小さくすることにより、マイクロクラックの低減を図るものであり、さらに、部材表面の研削量を低減させることができるため、均質な表面状態の形成が容易となり、上記シリコン含浸炭化ケイ素部材を好適に得ることができる。
【0018】
前記表面処理方法においては、前記砥粒としてアルミナ粉を用いることが好ましい。
炭化ケイ素より硬度が低く、かつ、シリコンより硬度が高い砥粒材質の中でも、ブラスト処理に要する時間、コスト等の生産性の観点から、特に、アルミナ粉が好適である。
【0019】
さらに、粒径10μm以上90μm以下であり、ブラスト圧0.1MPa以上0.5MPa以下で表面処理されることが好ましい。
上記砥粒粒度およびブラスト圧は、シリコン含浸炭化ケイ素部材の表面状態を、上記のような粗面に効率よく形成するために規定したブラスト条件である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照して、より詳細に説明する。
図1に、アルミナ粉の砥粒によりブラスト処理された本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面状態の断面図を示す。また、図2に、炭化ケイ素粉の砥粒によりブラスト処理された従来のシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面状態の断面図を示す。
これら図1および図2を比較対照しながら、本発明について説明する。
なお、本発明において、凸部とは、シリコン含浸炭化ケイ素部材表面の断面において、算術平均粗さRa位置mより上部を言い、凹部とは、前記算術平均粗さRa位置mより下部を言う。
【0021】
従来の炭化ケイ素粉の砥粒によるブラスト処理においては、シリコン含浸炭化ケイ素部材1表面に噴射された炭化ケイ素粉の砥粒は、該部材表面に存在する炭化ケイ素も、シリコンとともに研削するため、処理後における表面は、図2に示したように、炭化ケイ素2およびシリコン3ともに、粗面の凸部、凹部のいずれにも混在して、露出した状態となる。
しかも、ブラストによる圧縮応力が凸部を主として残留し、ブラストダメージ部が各所に散在した状態となり、マイクロクラック4が発生しやすくなる。
【0022】
また、図2に示したような表面状態のシリコン含浸炭化ケイ素部材表面を、CVD−炭化ケイ素膜により被覆する場合、炭化ケイ素とシリコンとでは熱膨張係数に差異があるため、CVD膜形成時の熱応力により、特に、炭化ケイ素とシリコンとの粒界付近のブラストダメージ部からマイクロクラックが発生し、さらに拡大する。
また、該部材表面に露出したシリコン粒子に対するCVD−炭化ケイ素膜の密着性は、炭化ケイ素粒子に対する密着性よりも劣るため、該部材表面におけるシリコン粒子の露出面積が大きいと、CVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落が生じやすい。
【0023】
一方、本発明においては、炭化ケイ素より硬度が低く、シリコンより硬度が高い、アルミナ粉の砥粒を用いてブラスト処理を行った場合、シリコン含浸炭化ケイ素部材の表面に噴射されたアルミナ粉の砥粒によっては、該部材表面の炭化ケイ素部分はほとんど削られず、主に、硬度の低いシリコン部分が削られる。
このため、処理後の該部材表面は、図1に示したように、凸部表面は炭化ケイ素粒子のみからなり、シリコンは凹部にのみ露出した状態となる。
また、砥粒の硬度が炭化ケイ素に比べて低いため、従来と同等の条件下でブラストした場合、ブラストによる残留応力が、従来の方法による場合よりも小さく、ブラストダメージ部が発生しにくい。
【0024】
また、図1に示したような表面状態のシリコン含浸炭化ケイ素部材表面をCVD−炭化ケイ素膜により被覆する場合、凸部表面では炭化ケイ素同士が接触するため、たとえ、CVD膜と該部材との界面に若干の残留応力が存在している場合であっても、マイクロクラックは発生しにくい。さらに、該部材の繰り返し使用による熱履歴を経た場合にも、両者の熱膨張係数が等しいことから、熱応力によるマイクロクラックの発生、拡大を生じにくい。
しかも、前記部材表面凸部の炭化ケイ素は、その表面に被覆されるCVD−炭化ケイ素膜に対して、くさびのような状態となるため、CVD膜の剥離や欠落は生じにくく、優れた密着性が得られる。
【0025】
すなわち、図1に示したような本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材は、表面粗さが、算術平均粗さRaが5μm以上12μm以下、最大高さRyが40μm以上80μm以下であり、かつ、算術平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積が70%以上であることを特徴とするものである。
このような表面状態を有するシリコン含浸炭化ケイ素部材は、上述のように、表面近傍のマイクロクラックが低減され、表面に被覆されるCVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落を生じることがない。
【0026】
前記部材の算術平均粗さRaが5μm未満である場合、または、最大高さRyが40μm未満である場合は、表面の凹凸が小さすぎて、十分な粗面化が図られず、CVD−炭化ケイ素膜で被覆する場合においても、CVD膜の十分な密着性が得られない。
一方、前記部材の算術平均粗さRaが12μmを超える場合、または、最大高さRyが80μmを超える場合は、表面の凹凸が大きすぎて、均質な粗面化が図られず、CVD−炭化ケイ素膜で被覆する場合においても、均等な膜厚のCVD膜が形成されず、局部剥離も生じやすくなる。また、パーティクル等も付着しやすくなり、半導体熱処理部材として用いる際、半導体の汚染原因を生じることにもなる。
【0027】
また、前記部材表面は、算術平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積が70%以上であることが好ましく、より好ましくは、100%、である。すなわち、凸部には、シリコンがほとんど露出しておらず、炭化ケイ素粒子のみが露出した状態であることが好ましい。
これにより、マイクロクラックの低減を図ることができ、該部材をCVD−炭化ケイ素膜で被覆する場合においても、CVD膜の優れた密着性が得られる。
【0028】
前記シリコン含浸炭化ケイ素部材は、CVD−炭化ケイ素膜により被覆されていることが好ましい。
半導体熱処理用部材として用いる場合には、特に、該部材表面からの不純物やパーティクル等による半導体の汚染を防止するため、高純度の炭化ケイ素のCVD膜で被覆することが好ましい。
前記CVD−炭化ケイ素膜は、被覆されるシリコン含浸炭化ケイ素部材表面の形状をそのままトレースした形状で形成される。このため、その膜厚は、30〜100μm程度であることが、被覆膜による汚染防止効果、剥離防止等を担保する観点から好ましい。
【0029】
なお、該部材表面の凸部には、シリコン粒子が露出しておらず、高純度炭化ケイ素粒子のみが露出した状態である場合には、部材が熱変形を生じない限り、被処理半導体ウエハ等は、高純度炭化ケイ素粒子のみと接触し、該部材表面からの接触汚染のおそれはないため、CVD−炭化ケイ素膜により被覆することなく、半導体熱処理用部材として用いることも可能である。
【0030】
上記のようなシリコン含浸炭化ケイ素部材は、熱履歴を繰り返し受けても、表面にマイクロクラック等の欠陥を生じにくく、耐久性に優れ、また、高強度であり、耐熱性、汚染防止性等にも優れていることから、ウエハボート、保温筒等の半導体熱処理用部材として好適に用いることができる。
【0031】
上記のような本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材は、炭化ケイ素より硬度が低く、かつ、シリコンより硬度が高い砥粒を用いて、ブラストにより表面処理する本発明に係る方法によって、好適に得ることができる。
上記の本発明に係る表面処理方法は、ブラスト衝撃をできる限り小さくすることにより、マイクロクラックの低減を図るものである。また、ブラスト衝撃を小さくすることにより、シリコン含浸炭化ケイ素部材表面の研削量が低減し、均質な表面状態の形成が容易となる。
【0032】
ブラスト処理に用いる砥粒材質としては、炭化ケイ素(モース硬度:13、ビッカース硬度:2400)より硬度が低く、かつ、シリコン(モース硬度:7、ビッカース硬度:1000)より硬度が高い砥粒粉末、例えば、アルミナ(モース硬度9、ビッカース硬度:1400〜1900)、ジルコニア(モース硬度:11、ビッカース硬度:1200〜1300)、ムライト(モース硬度11、ビッカース硬度:1240)等を用いることができ、ブラスト処理に要する時間、コスト等の生産性の観点から、特に、アルミナ粉を用いることが好ましい。
【0033】
前記ブラスト処理に使用する装置としては、通常のブラスト装置を用いることができ、砥粒の粒度に応じて適宜選択される。
なお、前記ブラスト処理は、シリコン含浸炭化ケイ素の表面状態を、上述したような粗面に形成するためには、上記した砥粒材質のほか、砥粒の粒度、ブラスト圧、ブラスト時間、ブラスト装置の噴射ノズルとの距離等を適宜調節して行われる。特に、砥粒材質に応じて、適正な砥粒の粒度を選定し、かつ、ブラスト圧を適正に設定することが重要である。
例えば、アルミナ粉の砥粒の場合、砥粒の粒径は、10μm以上90μm以下であり、ブラスト圧は、噴射ノズルとの距離5〜30cm程度の場合、0.1MPa以上0.5MPa以下で、ブラスト時間は、同一箇所において3秒程度であることが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
シリコン含浸炭化ケイ素材(東芝セラミックス株式会社製:TPSS)のラバープレス成型材の平板試料(20mm×30mm×5mm)について、粒径55〜90μmのアルミナ粉の砥粒を用いて、ブラスト圧0.1MPa、同一箇所において3秒程度、噴射ノズルとの距離10cmの条件下で、前記平板試料表面を計15秒間ブラスト処理した。
ブラスト処理後、前記平板表面をCVD−炭化ケイ素膜(膜厚約60μm)で被覆し、この被覆試料について、熱衝撃試験として、ΔT=200Kの水中急冷を5回行う加速試験を行った。
この試料の表面および断面を電子顕微鏡(SEM)により観察し、マイクロクラック数を計測し、また、表面粗さを求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0035】
[実施例2および3]
実施例1と同様の試料について、表1の実施例2、3にそれぞれ示す粒度のアルミナ粉の砥粒を用いて表1に示す条件下で、ブラスト処理した。
ブラスと処理後の各平板試料を、実施例1と同様に、CVD−炭化ケイ素膜で被覆し、これらの被覆試料について、実施例1と同様に熱衝撃試験を行った。
これらの試料についての測定結果を、それぞれ表1に示す。
【0036】
[比較例1]
実施例1と同様の試料について、粒径100〜180μmの炭化ケイ素粉の砥粒を用いて表1に示す条件下で、ブラスト処理した。
ブラスと処理後の平板試料を、実施例1と同様に、CVD−炭化ケイ素膜で被覆し、この被覆試料について、実施例1と同様に熱衝撃試験を行った。
この試料についての測定結果を表1に示す。
【0037】
[比較例2]
実施例1と同様の試料について、粒径55〜90μmの炭化ケイ素粉の砥粒を用いて表1に示す条件下で、ブラスト処理した。
ブラスト処理後の平板試料を、実施例1と同様に、CVD−炭化ケイ素膜で被覆し、この被覆試料について、実施例1と同様に熱衝撃試験を行った。
この試料についての測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
注)1、2 いずれも、JIS B 0601−1994に基づいて測定した。
【0039】
表1に示したように、粒径10〜90μmのアルミナ粉を砥粒として用いた場合(実施例1〜3)には、マイクロクラックはまったく観察されなかった。
なお、実施例3の場合には、炭化ケイ素粉を砥粒として用いた場合(比較例1)と比較して、研削量がシリコンは約1/2、炭化ケイ素は約1/5に低減することが認められた。
また、実施例3のブラスト処理後の試料の表面には切削傷(ブラストダメージ部)がほとんどなく、算術平均粗さRaよりも凸部においては、ほとんど炭化ケイ素粒子のみが露出している状態であることが確認された。
【0040】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材は、表面近傍におけるマイクロクラックや加工欠陥が低減され、しかも、部材表面をCVD−炭化ケイ素膜により被覆した場合にも、前記部材とCVD膜との密着性が良好であり、繰り返し熱履歴を経るような使用においても、CVD−炭化ケイ素膜の剥離や欠落を抑制することができる。
このため、熱履歴を繰り返し受けるような使用においても、表面にマイクロクラック等の欠陥を生じにくく、高強度であり、耐熱性、汚染防止性等にも優れているため、ウエハボート、保温筒等の半導体熱処理用部材として好適に用いることができる。
また、本発明に係る表面処理方法を用いれば、シリコン含浸炭化ケイ素部材の均質な粗面化が容易となり、また、上記のようなマイクロクラックや加工欠陥の低減を効率的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミナ粉の砥粒によりブラスト処理された本発明に係るシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面状態を模式的に示した断面図である。
【図2】炭化ケイ素粉の砥粒によりブラスト処理された従来のシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面状態を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン含浸炭化ケイ素部材
2 炭化ケイ素
3 シリコン
4 マイクロクラック
Claims (6)
- 表面粗さが、算術平均粗さRaが5μm以上12μm以下、最大高さRyが40μm以上80μm以下であり、かつ、算術平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積が70%以上であることを特徴とするシリコン含浸炭化ケイ素部材。
- CVD−炭化ケイ素膜により被覆されていることを特徴とする請求項1記載のシリコン含浸炭化ケイ素部材。
- 半導体熱処理用部材として用いられることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリコン含浸炭化ケイ素部材。
- シリコン含浸炭化ケイ素部材をブラストにより表面処理する方法であって、
炭化ケイ素より硬度が低く、かつ、シリコンより硬度が高い砥粒を用いて、前記部材の表面粗さを、算術平均粗さRaが5μm以上12μm以下、最大高さRyが40μm以上80μm以下とし、かつ、算術平均粗さRaよりも凸部において炭化ケイ素粒子が占める面積を70%以上とすることを特徴とするシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面処理方法。 - 前記砥粒には、アルミナ粉を用いることを特徴とする請求項4記載のシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面処理方法。
- 前記アルミナ粉は、粒径10μm以上90μm以下であり、ブラスト圧0.1MPa以上0.5MPa以下で表面処理されることを特徴とする請求項5記載のシリコン含浸炭化ケイ素部材の表面処理方法。
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