JP2004296415A - マトリクス表示用溝付き型薄膜エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

マトリクス表示用溝付き型薄膜エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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内嗣 南
Toshihiro Miyata
俊弘 宮田
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Abstract

【課題】電界が印加される部分の強誘電体セラミックスシートの厚さを低減してクロストークの発生を抑制すると同時に、溝以外の厚いセラミックシートの部分がセラミックスシートの機械的強度維持できるマトリクス表示セラミックス絶縁形薄膜EL素子、並びにその製造技術を提供する。
【解決手段】ストライプ状の溝付き強誘電体セラミックシート4を公知のセラミックス加工技術を用いて作製し、溝のついていない方の面上に発光層2を形成し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として熱処理を施す。その上に透明電極1として各種透明導電膜を前記の薄膜作製技術を用いて溝に対して直交するようにパターン形成する。次に強誘電体セラミックシート4の溝中に背面電極3として金属膜を形成する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はマトリクス表示用溝付き型薄膜エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】申請者らは、基体兼絶縁層材料として強誘電体セラミックスシートを用いるセラミックス絶縁形薄膜EL素子を実現している。該薄膜EL素子は、従来からの交流駆動二重絶縁構造薄膜エレクトロルミネッセンス素子(以下薄膜EL素子と呼ぶ)における、絶縁層絶縁破壊による素子特性の劣化や、カタストロフィック破壊の問題を解決でき、且つ簡単な素子の構造を有することから、安価な素子作製が期待できる。例えば、申請者らの発明になる特願昭61−227410、特願昭63−99129及び特願昭63−99130においては、基板兼絶縁層として強誘電体である焼結チタン酸バリウム(BaTiO)セラミックシート上に各種硫化物蛍光体からなる薄膜発光層を形成したEL素子において高輝度多色発光を実現している。また、ごく最近ではMn添加亜鉛ガレート(ZnGaO:Mn)(特願平7−212332)等の各種酸化物蛍光体薄膜を発光層に用いる同様の素子構造を有するセラミックス絶縁形薄膜EL素子において、長寿命・高輝度多色発光を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】該薄膜EL素子の絶縁層兼基体材料として、例えばBaTiOセラミックスシートを用いた場合、BaTiOセラミックシートに基板としての十分な機械的強度を持たせるためには、BaTiOセラミックシートの厚さを0.5mm〜1.0mm程度に作製することが望ましい。しかしながら、この様な比較的厚いセラミックシートを用いた場合発光層に有効な電界を印加することが困難であり、且つ背面電極と透明電極を直交させて形成して単純マトリクス表示をさせる場合には、セラミックシートの厚さのためにクロストークが発生し、マトリクスの高精細化が困難である問題点がある。
【0004】
本発明は、絶縁層兼基体材料である強誘電体セラミックスシートに、深さが約0.1から0.3mmになるようにストライプ状の溝を一定の間隔を持って形成し、溝中に背面電極を形成することにより、電界が印加される部分の強誘電体セラミックスシートの厚さを低減してクロストークの発生を抑制すると同時に、溝以外の厚いセラミックシートの部分がセラミックスシートの機械的強度維持できるマトリクス表示セラミックス絶縁形薄膜EL素子、並びにその製造技術を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記問題点を解決するため、厚さ0.4mmから1mm程度の単層もしくは多層の焼結体セラミックスシートからなる強誘電体絶縁層に、深さが約0.1から0.3mmになるようにストライプ状の溝を一定の間隔を持って形成し、溝の無い方の面に蛍光体薄膜を全面に形成し、該蛍光体薄膜上に該セラミックスに形成した溝と直交する用に一定の間隔持ったストライプ状の透明電極を形成し、溝中に背面電極を形成することにより、マトリクス表示が可能なエレクトロルミネッセンス素子を発明した。セラミックシートの材料としては、一般に用いられている強誘電体もしくは誘電体セラミックシートが利用可能である。溝の形成方法としては、一般に用いられている、機械的、化学的もしくは物理的なセラミックシートの加工技術を使用できる。また、セラミックの焼結前の状態であるプレス成形体やグリーンシート作製時にあらかじめ溝を形成し、そのまま焼結することにより作製する溝付きセラミックシートの利用によっても可能である。
【0006】
本発明に係わる薄膜EL素子は、ストライプ状の溝を形成した強誘電体セラミックシートの表面上に発光層として各種蛍光体薄膜をスパッタリング法、真空蒸着法、レーザーアブレーション法、有機金属化学気相成長法もしくはゾルーゲル法等の公知の薄膜作製技術を用いて形成し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として熱処理を施す。その上に透明電極として各種透明導電膜を前記の薄膜作製技術を用いて溝に対して直交するようにパターン形成する。次に強誘電体セラミックシートの溝中に背面電極として金属膜を形成することによって作製できることを発明した。また、ダイヤモンドカッター等の機械的加工技術用いてセラミックシート上に溝を形成する場合、ダイヤモンドカッターのすぐ後ろに、導電性ペーストを塗布するノズルを設けることにより、溝の形成と背面電極の形成を同時に行う方法も発明した。この技術を用いることによりEL素子の作製工程を短縮することを発明した。また、蛍光体薄膜を形成後、熱処理により発光層としての機能を付与した後に、上記の方法を用いてセラミックスに溝を形成することは全く差し支えない。
【0007】
【作用】本発明に係わる薄膜EL素子は、強誘電体セラミックスシートにストライプ状の溝を形成し、その溝中に背面電極を形成することにより、電界が印加される部分の強誘電体セラミックスシートの厚さを低減してクロストークの発生を抑制すると同時に、溝以外の厚いセラミックシートの部分がセラミックスシートの機械的強度維持できるマトリクス表示セラミックス絶縁形薄膜EL素子を実現できる。強誘電体セラミックスシートの加工には、これまでセラミック加工技術として開発されている広範な技術を使用可能な作用効果がある。さらに、該薄膜EL素子は単純な素子構造であることから実用的には非常に安価にマトリクス表示の薄膜ELディスプレイを製作できる。
【0008】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0009】
【実施例1】厚さ2mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層にダイヤモンドカッターを用いて幅0.5mmのストライプ状の溝を0.5mmの間隔を持って10本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になる硫黄ソースとして二硫化炭素を用いる有機金属化学気相長法によりMn添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)蛍光体薄膜を膜厚約450nm成膜し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、800℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し図1に示す構造の黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、図2に示すように、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、図3に1画素の輝度−印加電圧特性を示す。同図に示すように最高輝度9000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0010】
【実施例2】
厚さ2mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層にダイヤモンドカッターを用いて幅0.5mmのストライプ状の溝を0.5mmの間隔を持って20本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になるMn添加Ga(Ga:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa:Mn蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、その後、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を20本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し緑色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、20×20のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、図4に1画素の輝度−印加電圧特性を示す。同図に示すように最高輝度2000cd/mを越える高輝度緑色発光が得られた。
【0011】
【実施例3】厚さ2mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層にダイヤモンドカッターを用いて幅0.1mmのストライプ状の溝を0.1mmの間隔を持って60本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に赤色発光層として申請者らの発明になるCr添加Ga(Ga:Cr)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa:Cr赤色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、緑色発光層として申請者らの発明になるMn添加Ga(Ga:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa2O:Mn緑色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、赤色蛍光体膜に並行して溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、青色発光層として申請者らの発明になるTi添加SrPO(SrPO:Ti)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてSrPO:Ti青色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、緑色蛍光体膜に並行して溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。最後に、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行ってRGB発光層を形成する。次に、そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.1mm、間隔0.1mmのストライプ状の透明電極を60本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成しフルカラー薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、20×20のクロストークの無いフルカラーマトリクス表示を実現した。
【0012】
【実施例4】厚さ0.5mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層に希王水を用いて幅0.5mmのストライプ状の溝を0.5mmの間隔を持って10本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になる硫黄ソースとして二硫化炭素を用いる有機金属化学気相長法によりMn添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)蛍光体薄膜を膜厚約450nm成膜し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、800℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度9000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0013】
【実施例5】厚さ0.4mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層にアルゴンスパッタ法を用いて幅0.5mmのストライプ状の溝を0.5mmの間隔を持って10本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になる硫黄ソースとして二硫化炭素を用いる有機金属化学気相長法によりMn添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)蛍光体薄膜を膜厚約450nm成膜し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、800℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度9000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0014】
【実施例6】厚さ0.4mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層にアルゴンスパッタ法を用いて幅0.5mmのストライプ状の溝を0.5mmの間隔を持って10本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になるMn添加ZnGa(ZnGa:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてZnGa:Mn蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、その後、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度3000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0015】
【実施例7】厚さ0.4mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層にアルゴンスパッタ法を用いて幅0.1mmのストライプ状の溝を0.1mmの間隔を持って60本形成し、溝を付けていない方のセラミックシート上に赤色発光層として申請者らの発明になるCr添加Ga(Ga:Cr)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa:Cr赤色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、緑色発光層として申請者らの発明になるMn添加Ga(Ga:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa:Mn緑色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、赤色発光層に並行して溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、青色発光層として申請者らの発明になるTi添加SrPO(SrPO:Ti)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてSrPO:Ti青色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、緑色発光層に並行して溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。最後に、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行ってRGB発光層を形成する。次に、そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.1mm、間隔0.1mmのストライプ状の透明電極を60本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成しフルカラー薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、20×20のクロストークの無いフルカラーマトリクス表示を実現した。
【0016】
【実施例8】厚さ2.0mm、5×5cm角のBaTiOグリーンシートに金型を用いて、幅0.6mmのストライプ状の溝を0.6mmの間隔を持って10本形成し、大気中1300℃で焼結し、幅0.4mm、間隔0.4mmのストライプ状の溝を形成したセラミックシートを作製する。溝を付けていない方の面上に申請者らの発明になる硫黄ソースとして二硫化炭素を用いる有機金属化学気相長法によりMn添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)蛍光体薄膜を膜厚約450nm成膜し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、800℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度9000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0017】
【実施例9】厚さ2.0mm、5×5cm角のBaTiOグリーンシートに金型を用いて、幅0.6mmのストライプ状の溝を0.6mmの間隔を持って10本形成し、大気中1300℃で焼結し、幅0.4mm、間隔0.4mmのストライプ状の溝を形成したセラミックシートを作製する。溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になるMn添加ZnGa(ZnGa:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてZnGa:Mn蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、その後、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度3000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0018】
【実施例10】幅0.6mmのストライプ状の溝を0.6mmの間隔を持って10本形成した、厚さ2.0mm、5cm角のBaTiOプレス成形体を作製し、大気中1300℃で焼結し、幅0.4mm、間隔0.4mmのストライプ状の溝を形成したセラミックシートを作製する。溝を付けていない方の面上に申請者らの発明になる硫黄ソースとして二硫化炭素を用いる有機金属化学気相長法によりMn添加硫化亜鉛(ZnS:Mn)蛍光体薄膜を膜厚約450nm成膜し、その後、蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、800℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度9000cd/mを越える高輝度黄色発光が得られた。
【0019】
【実施例11】幅0.6mmのストライプ状の溝を0.6mmの間隔を持って10本形成した、厚さ2.0mm、5cm角のBaTiOプレス成形体を作製し、大気中1300℃で焼結し、幅0.4mm、間隔0.4mmのストライプ状の溝を形成したセラミックシートを作製する。溝を付けていない方のセラミックシート上に申請者らの発明になるMn添加ZnGa(ZnGa:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてZnGa:Mn蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、その後、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行って発光層を形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.5mm、間隔0.5mmのストライプ状の透明電極を10本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成し黄色発光薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、10×10のクロストークの無いマトリクス表示を実現した。また、最高輝度3000cd/mを越える高輝度緑色発光が得られた。
【0020】
【実施例12】厚さ2mm、5×5cm角のBaTiOセラミックシート絶縁層上に赤色発光層として申請者らの発明になるCr添加Ga(Ga:Cr)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa:Cr赤色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、緑色発光層として申請者らの発明になるMn添加Ga(Ga:Mn)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてGa:Mn緑色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、赤色蛍光体膜に並行して溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、青色発光層として申請者らの発明になるTi添加SrPO(SrPO:Ti)蛍光体粉末をターゲットとして用いる高周波マグネトロンスパッタ法を用いてSrPO:Ti青色発光蛍光体薄膜発光層を膜厚約1μmに成膜し、ドライエッチング法により、緑色蛍光体膜に並行して溝1本の幅になるように不要部分をエッチングにより除去する。次に、該蛍光体薄膜の結晶性の改善によるEL特性の向上を目的として不活性ガス雰囲気中、1020℃で1時間熱処理を行ってRGB発光層を形成する。その後、BaTiOセラミックシート絶縁層の発光層の形成されていない面にダイヤモンドカッターを用いて幅0.1mmのストライプ状の溝を0.1mmの間隔を持って60本形成する。そして該発光層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明導電膜をマグネトロンスパッタ法により形成し、ドライエッチング法により幅0.1mm、間隔0.1mmのストライプ状の透明電極を60本形成した。最後に溝の底面にAl薄膜を真空蒸着法により形成しフルカラー薄膜ELディスプレイを作製した。該薄膜ELディスプレイに1kHz正弦波交流電圧を印加したところ、20×20のクロストークの無いフルカラーマトリクス表示を実現した。
【発明の効果】
本発明によれば、該薄膜EL素子は、絶縁層兼基板材料である強誘電体セラミックシートにストライプ状の溝を作製することにより、基板としての強度を保持したまま、クロストークの無いマトリクス表示が実現できる。さらに、該薄膜EL素子は背面電極のパターニングプロセスが不用のため実用的には非常に安価に製作できる画期的な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における素子構造
1‥‥‥‥透明電極層
2‥‥‥‥蛍光体層
3‥‥‥‥強誘電体セラミックスシート
4‥‥‥‥背面電極層
【図2】実施例1におけるマトリックス表示の状態
【図3】実施例1における駆動周波数1kHz正弦波時の輝度−印加電圧特性
【図4】実施例2における駆動周波数1kHz正弦波時の輝度−印加電圧特性

Claims (7)

  1. 裏面にストライプ状の溝を有する基体上に形成した少なくとも1種の蛍光体薄を発光層とし、その上に基体裏面の溝に直交するストライプ状透明電極層を、基体裏面の溝中に対向電極層を配置した構造を特徴とするマトリックス表示エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記請求項1記載の基体が強誘電体セラミックシートである請求項1記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記請求項1記載の基体裏面の溝の深さが約0.1から0.3mmになるようにダイヤモンドカッター等の機械的な方法により形成することを特徴とする前記請求項1記載の薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記請求項1記載の基体裏面の溝を酸もしくはアルカリ性溶液等を用いる化学的なエッチング方法により形成する前記請求項1記載の薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記請求項1記載の基体裏面の溝をスパッタリング等の物理的なエッチング方法により形成することを特徴とする前記請求項1記載の薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記請求項1記載の基体裏面のストライプ状の溝をプレス成形体もしくはグリーンシートに形成し、それを焼結して溝を形成することを特徴とする前記請求項1記載の薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記請求項3から6記載の製造方法で作製した前記請求項1に記載した薄膜エレクトロルミネッセンス素子を用いるEL表示装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015083412A1 (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 シャープ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法

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