JP2004295954A - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、マルチレーザ光源を用いた場合でも、例えばDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができるDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】中心部付近に比べて外縁部付近の方が波長650nm帯の光ビームに対する透過率の高い光学フィルタ素子を光ピックアップ装置に搭載する。または中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけた3スポット用回折格子を光ピックアップ装置に搭載する。
【選択図】図1
【解決手段】中心部付近に比べて外縁部付近の方が波長650nm帯の光ビームに対する透過率の高い光学フィルタ素子を光ピックアップ装置に搭載する。または中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけた3スポット用回折格子を光ピックアップ装置に搭載する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はDVDやCDのように、記録密度の異なる複数の光ディスクに対応した記録再生用光ピックアップ装置に関するものであり、かつDVD用レーザとCD用レーザのように、互いに発振波長の異なるレーザを同一の筐体内に収納したマルチレーザ光源を搭載した光ピックアップ装置並びに、該光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CDに比べて、DVDは極めて高密度に信号を記録するため、良好な記録・再生特性を得るためには、光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る必要がある。ここで光スポットのサイズを小さく絞るためには対物レンズの開口数を大きくするか、DVD光学系の倍率を高く設定する必要がある。なお、ここにいう倍率とは図16に示すように、符号30に示す集光光学系における焦点距離に対する、符号31に示すコリメート光学系における焦点距離の比である。(以降、集光光学系の焦点距離に対するコリメート光学系の焦点距離の比を単に倍率と述べる事にする。また図16には図示しないが、コリメート光学系は単一のレンズだけに限定されず、複数のレンズを用いて構成しても良い。この場合は、これら複数のレンズによる合成焦点距離がコリメート光学系の焦点距離となる。)
一方、CDは光ディスク上の光スポットのサイズに対する制約よりも、むしろ光ディスク上に照射するレーザパワーが重要であり、CD−RやCD−RWの記録では高速記録に対応するため、大きなレーザパワーを光ディスク上に照射する必要がある。よってCD光学系ではDVD光学系に比べて倍率を低く設定して、光学系の光利用効率を高くする必要があった。このような背景から、従来、DVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置においては、例えばDVD光学系の倍率は略6.0倍乃至略7.0倍、CD光学系の倍率は略4.0倍乃至略5.0倍が最適な設計値とされており、互いに異なる倍率にするのが一般的であった。
【0003】
そのため光ピックアップ装置においては、DVD光学系またはCD光学系のコリメート光学系を各々、複数のレンズを用いて構成する事で互いに異なる倍率を実現していた(例えば特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−237086
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらDVD用レーザとCD用レーザを同一の筐体内に収納したマルチレーザ光源を用いてDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を実現する場合は、DVDとCDの光学系が全て共通となるため、DVD/CD共に同一の倍率にせざるを得ない。そのため、CD光学系で最適となる略4.0倍乃至略5.0倍の倍率に設定すると、DVD側にとっては倍率が低いため、光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事が出来ない。よって従来、マルチレーザ光源を用いてDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を実現する事は困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みなされたものであり、マルチレーザ光源を用い、かつ光学系の倍率が例えば略4.0倍乃至略5.0倍と従来のDVD光学系の倍率に比べて小さい場合において、DVD側における光ディスク上の光スポットサイズを、従来のDVD光学系の倍率である略6.0倍乃至略7.0倍で絞ったのと同等に小さく絞る事ができるDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、第1または第2のレーザ光源を出射した第1または第2の光ビームが光ディスクに向かう光路中に、第1の光ビームの中心部近傍が入射する領域における透過率より外縁部近傍が入射する領域における透過率が高く、かつ第2の光ビームが入射する全領域にわたって略一定の透過率を有する光学フィルタ素子を備えた光ピックアップ装置又は光ディスク装置を提供する。
【0008】
または、互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、第1または第2のレーザ光源を出射した第1または第2の光ビームが光ディスクに向かう光路中に、第1の光ビームの中心部近傍が入射する領域における反射率より外縁部近傍が入射する領域における反射率が高く、かつ第2の光ビームが入射する全領域にわたって略一定の反射率を有する光学フィルタ素子を備えた光ピックアップ装置又は光ディスク装置を提供する。
【0009】
あるいは、互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、第1または第2のレーザ光源を出射した第1または第2の光ビームが光ディスクに向かう光路中に、第1の光ビームの中心部近傍が通過する領域に比べて第1の光ビームの外縁部近傍が通過する領域における1次回折光の回折効率が低く、かつ第2の光ビームが入射する全領域にわたって第2の光ビームに対する1次回折光の回折効率が略一定の回折効率である回折格子を備えた光ピックアップ装置又は光ディスク装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光ピックアップ装置に関する第1の実施例を示したものである。符号12は発振波長が650nm帯の半導体レーザ光源、符号13は発振波長が780nm帯の半導体レーザ光源を表している。
【0011】
半導体レーザ光源12を出射した光ビームは、3スポット用回折格子200aを通過した後、ビームスプリッタ3aを反射して、ビームスプリッタ3bに入射する。またビームスプリッタ3bを透過した後、立ち上げミラー4を反射して、コリメートレンズ5に入射する。コリメートレンズ5によって略平行光となった光ビームは、光学フィルタ素子6に入射する。
【0012】
同様に半導体レーザ光源13を出射した光ビームは、3スポット用回折格子200bを通過した後、ビームスプリッタ3b、立ち上げミラー4を反射して、コリメートレンズ5に入射する。コリメートレンズ5によって略平行光となった光ビームは、光学フィルタ素子6に入射する。
【0013】
ここで図2に示すように、例えば半導体レーザ光源12を出射する光ビームの強度分布はガウス分布であるため、光学フィルタ素子6に入射する光ビームの強度分布もガウス分布となり、その模式図を符号20で示す。
【0014】
本実施例において光学フィルタ素子6は、例えば波長650nm帯の光ビームに対する透過率を場所によって変化させており、中心部付近に比べて外縁部付近の透過率を高く設定している。そのため光学フィルタ素子6を通過した光ビームの強度分布は、符号21に示すように中心部付近の光強度が低くなる。なお中心部付近の光強度を低くする事で、光学フィルタ素子6を通過した後の光ビームの光強度分布は、通過する前に比べてフラットな状態に近づく。なお光学フィルタ素子6の透過率の領域分割は図3に示すように、多段階的に透過率を変えるものであっても構わないし、または連続的に変化しても構わない。この場合、光学フィルタ素子6を通過した光ビームの強度分布は符号22に示すように、符号21に比べて、より滑らかにフラットな状態に近づく。
【0015】
ここで図4(a)および図5(a)は対物レンズに入射する光ビームの光強度分布を表し、図4(b)および図5(b)は対物レンズによって絞られた光スポットの光強度分布を表している。
【0016】
一般に図4(a)に示すように、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布を実線から破線に示すようにフラットな状態にすると、対物レンズのRIM強度(対物レンズ中心部における光強度に対する、対物レンズ外縁部における光強度の比)が高くなる。そのため図4(b)に示すように、対物レンズによって絞られた光スポットの光ディスク上における光強度分布は、実線から破線に示す様に変わり、小さく絞ることが出来る。
【0017】
また図5(a)に示すように、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布を1点鎖線で表した様に、対物レンズ中心部における光強度よりも対物レンズ外縁部の光強度を高くすると、対物レンズによって絞られた光スポットの光ディスク上の光強度分布は、図5(b)の1点鎖線で表すように変わり、さらに光ディスク上の光スポットを小さく絞ることが出来る。この現象は、広義の意味での超解像として知られており、その内容は例えば信学技報(Vol.99 No.330 p.15〜p.20)に詳細に記述されているので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0018】
本実施例では例えば図2または図3に示したように、波長650nm帯の光ビームに対する光学フィルタ素子6の透過率を、中心部付近に比べて外縁部付近の透過率を高く設定する事で、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布をフラットに近づけ、さらには超解像の現象を利用することで、DVD側における光ディスク上の光スポットを小さく絞る事を特徴としている。これによって光学系の倍率が低くても、DVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0019】
なお本実施例において、波長780nm帯の光ビームに対する光学フィルタ素子6の透過率は、特に場所によって変化させる必要は無く、例えば波長780nm帯の光ビームを略全透過または略一定の透過率となる様に設定している。このような光学フィルタ素子は、例えば誘電体多層膜によって構成されるものであっても良い。
【0020】
また光学フィルタ素子6は回折格子によって構成されていても良い。例えば、一般に矩形状の格子溝断面を持つ回折格子の場合、回折格子の格子溝幅をw、格子周期をp、格子溝深さをh、回折格子を刻んでいる透明部材の屈折率をn、光ビームの波長をλと定義すると、0次光の光強度I0、+1次光(または−1次光)の光強度I1は、入射光の光強度を1とした場合、(数3)のように表す事が出来る。
【0021】
【数3】
【0022】
ここで(数3)におけるβの値がとる範囲は、0<β<1である事を考えると、βの値が0.5に近いほど、つまり格子溝幅wが格子周期pの半分の長さに近づくほど、±1次光の光強度は強くなり、逆に0次光の光強度は弱くなることがわかる。
【0023】
そこで本実施例では、例えば光学フィルタ素子6を回折格子によって構成する場合、光学フィルタ素子6の中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけた様な回折格子を用いる。この様な回折格子を用いると、図6(a)に示すように中心部付近の回折効率が高くなるため、中心部付近の光が回折によって散乱する。ここで光ディスク上には0次光の光ビームを集光させるが、対物レンズに入射する中心部付近の光量は回折によって低減することから、前述したような超解像の現象が表れて、光ディスク上の光スポットを小さく絞ることができる。ゆえに光学系の倍率が低くてもDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0024】
一方、入射する光ビームの波長λに対して(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さhを設定すると、±1次光の回折効率を略零にでき、0次光のみを発生させることができる。そのため本実施例において、光学フィルタ素子6を回折格子によって構成する場合、例えば回折格子の溝深さは波長780nm帯の光ビームに対しては(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さを設定する。このように格子溝深さを設定する事で、図6(b)に示すように波長780nm帯の光ビームに対しては、略全透過または略一定の透過率を確保する事が出来る。
【0025】
なお光学フィルタ素子6の領域のうち、中心部近傍の領域と外縁部近傍の領域との間の領域における格子溝幅の変化は、1段階の変化であっても良いし、多段階の変化であっても良いし、または連続的に変化しても構わない。
【0026】
以上、光学フィルタ素子6を回折格子によって構成する場合、図6に示した特性を実現する方法として、格子溝幅と格子溝深さの設定によって実現する方法を示した。しかし本発明は、これに限定されるものではない。例えば偏光の違いを用いて、図6に示した特性を実現しても一向に構わない。
【0027】
また本実施例では図1に示すように、DVD用とCD用で半導体レーザ光源を別々に配置しているが、本発明は、これに限定されるものでは無い。図7に示すように半導体レーザ光源として、発振波長が650nm帯の半導体レーザ光源1aと、発振波長が780nm帯の半導体レーザ光源1bを同一の筐体内に設けたマルチレーザ光源1としても一向に構わない。
【0028】
また本実施例では図1および図7に示すように、光学フィルタ素子6は例えば対物レンズ7と共にレンズホルダ10に搭載されており、コイル8と磁気回路部9で構成されるアクチュエータによって対物レンズと共に一体で駆動するものとしているが、本発明は、これに限定されるものでは無い。例えば光学フィルタ素子6をアクチュエータのような可動部ではなく固定部、つまりコリメートレンズ5の上などに取り付けても良いし、3スポット用回折格子2などに取り付けても良い。
【0029】
また本実施例において光学系の倍率は、例えば略4.0乃至5.0倍に設定されているものとしても良い。
【0030】
続いて、図8は本発明の光ピックアップ装置に関する第2の実施例を示したものである。本実施例においては、光学フィルタ素子6を反射面に取り付けている事を特徴としている。
【0031】
本実施例において光学フィルタ素子6は、例えば波長650nm帯の光ビームに対する反射率を場所によって変化させており、中心部付近に比べて外縁部付近の反射率を高く設定している。これによって前記第1の実施例と同様、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布をフラットに近づけ、さらには超解像の現象を利用することで、DVD側における光ディスク上の光スポットを小さく絞る事ができる。
【0032】
なお本実施例において、波長780nm帯の光ビームに対する光学フィルタ素子6の反射率は、特に場所によって変化させる必要は無く、例えば波長780nm帯の光ビームを略全反射または略一定の反射率となる様に設定している。このような光学フィルタ素子6は、例えば誘電体多層膜によって構成されるものであっても良いし、回折格子によって構成されていても良い。
【0033】
さらに前記第1の実施例と同様、半導体レーザ光源としては図9に示すように、発振波長が650nm帯の半導体レーザ光源1aと、発振波長が780nm帯の半導体レーザ光源1bを同一の筐体内に設けたマルチレーザ光源1を用いても一向に構わない。
【0034】
続いて、図10は本発明の光ピックアップ装置に関する第3の実施例を示したものである。なお本実施例においては、3スポット用回折格子2における格子溝幅を場所によって変化させている事を特徴としている。
【0035】
前述したように、格子溝幅wが格子周期pの半分の長さに近づくほど、±1次光の光強度は強くなり、逆に0次光の光強度は弱くなる。そこで本実施例では、3スポット用回折格子の格子溝幅を図11に示すように、格子溝の方向に沿って、中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけている。そのため3スポット用回折格子2の中心部付近に比べて、外縁部付近の方が±1次光の回折効率が低くなる。
【0036】
ゆえに0次光の光ビームに対しては、中心部付近の光をフィルタリングして光量を低減させた事に相当するので、前述したように0次光の光ビームに対しては超解像の効果によって光ディスク上の光スポットを小さく絞ることができる。これによって、光学系の倍率が低くてもDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0037】
なお格子溝幅の変化は、図11(a)に示すように1段階の変化であっても良いし、図11(b)に示すように多段階の変化であっても良いし、または図11(c)に示すように連続的に変化しても構わない。
【0038】
また格子溝幅の変化の方向は、格子溝に沿う方向に限定される訳ではなく、例えば図12に示すように、格子溝に沿う方向と垂直な方向に変化させても良い。ここで格子溝幅の変化は図12(a)に示すように1段階の変化であっても良いし、図12(b)に示すように多段階の変化であっても良い。
【0039】
さらに例えば図13に示すように、格子溝に沿う方向ならびに格子溝に沿う方向と垂直な方向ともに、中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけるような設定にしても構わない。
【0040】
また本実施例において3スポット用回折格子2は、図14に示すように両面に格子を刻んでも良い。この場合、表側の回折格子2aは例えば波長650nm帯の光ビーム用とし、その溝深さは波長780nm帯の光ビームに対して(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さを設定する。さらに裏側の回折格子2bは例えば波長780nm帯の光ビーム用とし、その溝深さは波長650nm帯の光ビームに対して(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さを設定する。
【0041】
このように格子溝深さを設定する事で、回折格子2aにおいては波長780nm帯の光ビームに影響を与えずに、波長650nm帯の光ビームに対して3ビームを生成する事ができ、かつ回折格子2bにおいては波長650nm帯の光ビームに影響を与えずに、波長780nm帯の光ビームに対して3ビームを生成する事ができる。なお回折格子2aの格子溝幅に関しては、例えば図11乃至図13に示したパターンにする事で、光学系の倍率が低くてもDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0042】
続いて、本発明の光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置の概略ブロック図を図15に示す。光ピックアップ装置70は、例えば図1や図7乃至図10に示すような構成であり、光ピックアップ装置70により検出された各種検出信号は、信号処理回路内のサーボ信号生成回路74及び情報信号再生回路75に送られる。サーボ信号生成回路74では、これら検出信号から各光ディスクに適したフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路73を経て光ピックアップ装置70内の対物レンズアクチュエータを駆動し、対物レンズの位置制御を行う。
【0043】
また情報信号再生回路75では前記検出信号から光ディスク100に記録された情報信号が再生される。なお前記サーボ信号生成回路74及び情報信号再生回路75で得られた信号の一部はコントロール回路76に送られる。コントロール回路76は、これら各種信号を用いて、その時再生しようとしている光ディスク100の種類を判別し、レーザ点灯回路77を駆動させる。なおコントロール回路76にはアクセス制御回路72とスピンドルモータ駆動回路71が接続されており、それぞれ光ピックアップ装置70のアクセス方向位置制御や光ディスク100のスピンドルモータ60の回転制御が行われる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、複数種類の光ディスク、例えばDVD/CDを再生又は記録するための光ピックアップ装置又はそれを搭載した光ディスク装置において、光学系の倍率を例えばCDにとって最適な倍率である略4.0乃至5.0倍に設定した場合でも、他方のDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを小さく絞ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ピックアップ装置に関する第1の実施例を示した図
【図2】透過率の変化が1段階の変化である光学フィルタ素子を通過した光ビームの光強度分布を表す図
【図3】透過率の変化が多段階の変化である光学フィルタ素子を通過した光ビームの光強度分布を表す図
【図4】対物レンズに入射する光ビームの光強度分布がフラットな場合における光ディスク上の光スポットの光強度分布を表す図
【図5】対物レンズに入射する光ビームの光強度分布が中心部に比べて外縁部の方が強度の高い場合における光ディスク上の光スポットの光強度分布を表す図
【図6】回折格子によって構成された光学フィルタ素子を表す図
【図7】マルチレーザ光源を用いた場合の光ピックアップ装置を表す図
【図8】光ピックアップ装置に関する第2の実施例を示した図
【図9】マルチレーザ光源を用いた場合の光ピックアップ装置を表す図
【図10】光ピックアップ装置に関する第3の実施例を示した図
【図11】格子溝に沿う方向において格子溝幅を変化させた回折格子を示す図
【図12】格子溝に沿う方向に対して垂直な方向において格子溝幅を変化させた回折格子を示す図
【図13】格子溝に沿う方向および、格子溝に沿う方向に対して垂直な方向ともに格子溝幅を変化させた回折格子を示す図
【図14】両面に格子を刻んだ3スポット用回折格子を示した図
【図15】本発明における光ディスク装置に関する実施例を示した図
【図16】光学系の倍率を説明する図
【符号の説明】
1・・・マルチレーザ光源、1a,1b,12,13・・・半導体レーザ光源、2,200a,200b・・・回折格子、3,3a,3b・・・ビームスプリッタ、4・・・立ち上げミラー、5・・・コリメートレンズ、6・・・光学フィルタ素子、7・・・対物レンズ、8・・・コイル、9・・・磁気回路部、10・・・レンズホルダ、11・・・光検出器、20,21,22・・・光強度分布、30・・・集光光学系、31・・・コリメート光学系、60・・・スピンドルモータ、70・・・光ピックアップ装置、71・・・スピンドルモータ駆動回路、72・・・アクセス制御回路、73・・・アクチュエータ駆動回路、74・・・サーボ信号生成回路、75・・・情報信号再生回路、76・・・コントロール回路、77・・・レーザ点灯回路、100・・・光ディスク
【発明の属する技術分野】
本発明はDVDやCDのように、記録密度の異なる複数の光ディスクに対応した記録再生用光ピックアップ装置に関するものであり、かつDVD用レーザとCD用レーザのように、互いに発振波長の異なるレーザを同一の筐体内に収納したマルチレーザ光源を搭載した光ピックアップ装置並びに、該光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CDに比べて、DVDは極めて高密度に信号を記録するため、良好な記録・再生特性を得るためには、光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る必要がある。ここで光スポットのサイズを小さく絞るためには対物レンズの開口数を大きくするか、DVD光学系の倍率を高く設定する必要がある。なお、ここにいう倍率とは図16に示すように、符号30に示す集光光学系における焦点距離に対する、符号31に示すコリメート光学系における焦点距離の比である。(以降、集光光学系の焦点距離に対するコリメート光学系の焦点距離の比を単に倍率と述べる事にする。また図16には図示しないが、コリメート光学系は単一のレンズだけに限定されず、複数のレンズを用いて構成しても良い。この場合は、これら複数のレンズによる合成焦点距離がコリメート光学系の焦点距離となる。)
一方、CDは光ディスク上の光スポットのサイズに対する制約よりも、むしろ光ディスク上に照射するレーザパワーが重要であり、CD−RやCD−RWの記録では高速記録に対応するため、大きなレーザパワーを光ディスク上に照射する必要がある。よってCD光学系ではDVD光学系に比べて倍率を低く設定して、光学系の光利用効率を高くする必要があった。このような背景から、従来、DVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置においては、例えばDVD光学系の倍率は略6.0倍乃至略7.0倍、CD光学系の倍率は略4.0倍乃至略5.0倍が最適な設計値とされており、互いに異なる倍率にするのが一般的であった。
【0003】
そのため光ピックアップ装置においては、DVD光学系またはCD光学系のコリメート光学系を各々、複数のレンズを用いて構成する事で互いに異なる倍率を実現していた(例えば特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−237086
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらDVD用レーザとCD用レーザを同一の筐体内に収納したマルチレーザ光源を用いてDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を実現する場合は、DVDとCDの光学系が全て共通となるため、DVD/CD共に同一の倍率にせざるを得ない。そのため、CD光学系で最適となる略4.0倍乃至略5.0倍の倍率に設定すると、DVD側にとっては倍率が低いため、光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事が出来ない。よって従来、マルチレーザ光源を用いてDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を実現する事は困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みなされたものであり、マルチレーザ光源を用い、かつ光学系の倍率が例えば略4.0倍乃至略5.0倍と従来のDVD光学系の倍率に比べて小さい場合において、DVD側における光ディスク上の光スポットサイズを、従来のDVD光学系の倍率である略6.0倍乃至略7.0倍で絞ったのと同等に小さく絞る事ができるDVD再生/CD記録またはDVD/CD両記録に対応した光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、第1または第2のレーザ光源を出射した第1または第2の光ビームが光ディスクに向かう光路中に、第1の光ビームの中心部近傍が入射する領域における透過率より外縁部近傍が入射する領域における透過率が高く、かつ第2の光ビームが入射する全領域にわたって略一定の透過率を有する光学フィルタ素子を備えた光ピックアップ装置又は光ディスク装置を提供する。
【0008】
または、互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、第1または第2のレーザ光源を出射した第1または第2の光ビームが光ディスクに向かう光路中に、第1の光ビームの中心部近傍が入射する領域における反射率より外縁部近傍が入射する領域における反射率が高く、かつ第2の光ビームが入射する全領域にわたって略一定の反射率を有する光学フィルタ素子を備えた光ピックアップ装置又は光ディスク装置を提供する。
【0009】
あるいは、互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、第1または第2のレーザ光源を出射した第1または第2の光ビームが光ディスクに向かう光路中に、第1の光ビームの中心部近傍が通過する領域に比べて第1の光ビームの外縁部近傍が通過する領域における1次回折光の回折効率が低く、かつ第2の光ビームが入射する全領域にわたって第2の光ビームに対する1次回折光の回折効率が略一定の回折効率である回折格子を備えた光ピックアップ装置又は光ディスク装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光ピックアップ装置に関する第1の実施例を示したものである。符号12は発振波長が650nm帯の半導体レーザ光源、符号13は発振波長が780nm帯の半導体レーザ光源を表している。
【0011】
半導体レーザ光源12を出射した光ビームは、3スポット用回折格子200aを通過した後、ビームスプリッタ3aを反射して、ビームスプリッタ3bに入射する。またビームスプリッタ3bを透過した後、立ち上げミラー4を反射して、コリメートレンズ5に入射する。コリメートレンズ5によって略平行光となった光ビームは、光学フィルタ素子6に入射する。
【0012】
同様に半導体レーザ光源13を出射した光ビームは、3スポット用回折格子200bを通過した後、ビームスプリッタ3b、立ち上げミラー4を反射して、コリメートレンズ5に入射する。コリメートレンズ5によって略平行光となった光ビームは、光学フィルタ素子6に入射する。
【0013】
ここで図2に示すように、例えば半導体レーザ光源12を出射する光ビームの強度分布はガウス分布であるため、光学フィルタ素子6に入射する光ビームの強度分布もガウス分布となり、その模式図を符号20で示す。
【0014】
本実施例において光学フィルタ素子6は、例えば波長650nm帯の光ビームに対する透過率を場所によって変化させており、中心部付近に比べて外縁部付近の透過率を高く設定している。そのため光学フィルタ素子6を通過した光ビームの強度分布は、符号21に示すように中心部付近の光強度が低くなる。なお中心部付近の光強度を低くする事で、光学フィルタ素子6を通過した後の光ビームの光強度分布は、通過する前に比べてフラットな状態に近づく。なお光学フィルタ素子6の透過率の領域分割は図3に示すように、多段階的に透過率を変えるものであっても構わないし、または連続的に変化しても構わない。この場合、光学フィルタ素子6を通過した光ビームの強度分布は符号22に示すように、符号21に比べて、より滑らかにフラットな状態に近づく。
【0015】
ここで図4(a)および図5(a)は対物レンズに入射する光ビームの光強度分布を表し、図4(b)および図5(b)は対物レンズによって絞られた光スポットの光強度分布を表している。
【0016】
一般に図4(a)に示すように、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布を実線から破線に示すようにフラットな状態にすると、対物レンズのRIM強度(対物レンズ中心部における光強度に対する、対物レンズ外縁部における光強度の比)が高くなる。そのため図4(b)に示すように、対物レンズによって絞られた光スポットの光ディスク上における光強度分布は、実線から破線に示す様に変わり、小さく絞ることが出来る。
【0017】
また図5(a)に示すように、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布を1点鎖線で表した様に、対物レンズ中心部における光強度よりも対物レンズ外縁部の光強度を高くすると、対物レンズによって絞られた光スポットの光ディスク上の光強度分布は、図5(b)の1点鎖線で表すように変わり、さらに光ディスク上の光スポットを小さく絞ることが出来る。この現象は、広義の意味での超解像として知られており、その内容は例えば信学技報(Vol.99 No.330 p.15〜p.20)に詳細に記述されているので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0018】
本実施例では例えば図2または図3に示したように、波長650nm帯の光ビームに対する光学フィルタ素子6の透過率を、中心部付近に比べて外縁部付近の透過率を高く設定する事で、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布をフラットに近づけ、さらには超解像の現象を利用することで、DVD側における光ディスク上の光スポットを小さく絞る事を特徴としている。これによって光学系の倍率が低くても、DVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0019】
なお本実施例において、波長780nm帯の光ビームに対する光学フィルタ素子6の透過率は、特に場所によって変化させる必要は無く、例えば波長780nm帯の光ビームを略全透過または略一定の透過率となる様に設定している。このような光学フィルタ素子は、例えば誘電体多層膜によって構成されるものであっても良い。
【0020】
また光学フィルタ素子6は回折格子によって構成されていても良い。例えば、一般に矩形状の格子溝断面を持つ回折格子の場合、回折格子の格子溝幅をw、格子周期をp、格子溝深さをh、回折格子を刻んでいる透明部材の屈折率をn、光ビームの波長をλと定義すると、0次光の光強度I0、+1次光(または−1次光)の光強度I1は、入射光の光強度を1とした場合、(数3)のように表す事が出来る。
【0021】
【数3】
【0022】
ここで(数3)におけるβの値がとる範囲は、0<β<1である事を考えると、βの値が0.5に近いほど、つまり格子溝幅wが格子周期pの半分の長さに近づくほど、±1次光の光強度は強くなり、逆に0次光の光強度は弱くなることがわかる。
【0023】
そこで本実施例では、例えば光学フィルタ素子6を回折格子によって構成する場合、光学フィルタ素子6の中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけた様な回折格子を用いる。この様な回折格子を用いると、図6(a)に示すように中心部付近の回折効率が高くなるため、中心部付近の光が回折によって散乱する。ここで光ディスク上には0次光の光ビームを集光させるが、対物レンズに入射する中心部付近の光量は回折によって低減することから、前述したような超解像の現象が表れて、光ディスク上の光スポットを小さく絞ることができる。ゆえに光学系の倍率が低くてもDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0024】
一方、入射する光ビームの波長λに対して(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さhを設定すると、±1次光の回折効率を略零にでき、0次光のみを発生させることができる。そのため本実施例において、光学フィルタ素子6を回折格子によって構成する場合、例えば回折格子の溝深さは波長780nm帯の光ビームに対しては(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さを設定する。このように格子溝深さを設定する事で、図6(b)に示すように波長780nm帯の光ビームに対しては、略全透過または略一定の透過率を確保する事が出来る。
【0025】
なお光学フィルタ素子6の領域のうち、中心部近傍の領域と外縁部近傍の領域との間の領域における格子溝幅の変化は、1段階の変化であっても良いし、多段階の変化であっても良いし、または連続的に変化しても構わない。
【0026】
以上、光学フィルタ素子6を回折格子によって構成する場合、図6に示した特性を実現する方法として、格子溝幅と格子溝深さの設定によって実現する方法を示した。しかし本発明は、これに限定されるものではない。例えば偏光の違いを用いて、図6に示した特性を実現しても一向に構わない。
【0027】
また本実施例では図1に示すように、DVD用とCD用で半導体レーザ光源を別々に配置しているが、本発明は、これに限定されるものでは無い。図7に示すように半導体レーザ光源として、発振波長が650nm帯の半導体レーザ光源1aと、発振波長が780nm帯の半導体レーザ光源1bを同一の筐体内に設けたマルチレーザ光源1としても一向に構わない。
【0028】
また本実施例では図1および図7に示すように、光学フィルタ素子6は例えば対物レンズ7と共にレンズホルダ10に搭載されており、コイル8と磁気回路部9で構成されるアクチュエータによって対物レンズと共に一体で駆動するものとしているが、本発明は、これに限定されるものでは無い。例えば光学フィルタ素子6をアクチュエータのような可動部ではなく固定部、つまりコリメートレンズ5の上などに取り付けても良いし、3スポット用回折格子2などに取り付けても良い。
【0029】
また本実施例において光学系の倍率は、例えば略4.0乃至5.0倍に設定されているものとしても良い。
【0030】
続いて、図8は本発明の光ピックアップ装置に関する第2の実施例を示したものである。本実施例においては、光学フィルタ素子6を反射面に取り付けている事を特徴としている。
【0031】
本実施例において光学フィルタ素子6は、例えば波長650nm帯の光ビームに対する反射率を場所によって変化させており、中心部付近に比べて外縁部付近の反射率を高く設定している。これによって前記第1の実施例と同様、対物レンズに入射する光ビームの光強度分布をフラットに近づけ、さらには超解像の現象を利用することで、DVD側における光ディスク上の光スポットを小さく絞る事ができる。
【0032】
なお本実施例において、波長780nm帯の光ビームに対する光学フィルタ素子6の反射率は、特に場所によって変化させる必要は無く、例えば波長780nm帯の光ビームを略全反射または略一定の反射率となる様に設定している。このような光学フィルタ素子6は、例えば誘電体多層膜によって構成されるものであっても良いし、回折格子によって構成されていても良い。
【0033】
さらに前記第1の実施例と同様、半導体レーザ光源としては図9に示すように、発振波長が650nm帯の半導体レーザ光源1aと、発振波長が780nm帯の半導体レーザ光源1bを同一の筐体内に設けたマルチレーザ光源1を用いても一向に構わない。
【0034】
続いて、図10は本発明の光ピックアップ装置に関する第3の実施例を示したものである。なお本実施例においては、3スポット用回折格子2における格子溝幅を場所によって変化させている事を特徴としている。
【0035】
前述したように、格子溝幅wが格子周期pの半分の長さに近づくほど、±1次光の光強度は強くなり、逆に0次光の光強度は弱くなる。そこで本実施例では、3スポット用回折格子の格子溝幅を図11に示すように、格子溝の方向に沿って、中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけている。そのため3スポット用回折格子2の中心部付近に比べて、外縁部付近の方が±1次光の回折効率が低くなる。
【0036】
ゆえに0次光の光ビームに対しては、中心部付近の光をフィルタリングして光量を低減させた事に相当するので、前述したように0次光の光ビームに対しては超解像の効果によって光ディスク上の光スポットを小さく絞ることができる。これによって、光学系の倍率が低くてもDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0037】
なお格子溝幅の変化は、図11(a)に示すように1段階の変化であっても良いし、図11(b)に示すように多段階の変化であっても良いし、または図11(c)に示すように連続的に変化しても構わない。
【0038】
また格子溝幅の変化の方向は、格子溝に沿う方向に限定される訳ではなく、例えば図12に示すように、格子溝に沿う方向と垂直な方向に変化させても良い。ここで格子溝幅の変化は図12(a)に示すように1段階の変化であっても良いし、図12(b)に示すように多段階の変化であっても良い。
【0039】
さらに例えば図13に示すように、格子溝に沿う方向ならびに格子溝に沿う方向と垂直な方向ともに、中心部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さに近づけ、外縁部付近では格子溝幅を格子周期の半分の長さから遠ざけるような設定にしても構わない。
【0040】
また本実施例において3スポット用回折格子2は、図14に示すように両面に格子を刻んでも良い。この場合、表側の回折格子2aは例えば波長650nm帯の光ビーム用とし、その溝深さは波長780nm帯の光ビームに対して(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さを設定する。さらに裏側の回折格子2bは例えば波長780nm帯の光ビーム用とし、その溝深さは波長650nm帯の光ビームに対して(数3)に示したαの値が2πの整数倍となるように格子溝深さを設定する。
【0041】
このように格子溝深さを設定する事で、回折格子2aにおいては波長780nm帯の光ビームに影響を与えずに、波長650nm帯の光ビームに対して3ビームを生成する事ができ、かつ回折格子2bにおいては波長650nm帯の光ビームに影響を与えずに、波長780nm帯の光ビームに対して3ビームを生成する事ができる。なお回折格子2aの格子溝幅に関しては、例えば図11乃至図13に示したパターンにする事で、光学系の倍率が低くてもDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを十分に小さく絞る事ができる。
【0042】
続いて、本発明の光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置の概略ブロック図を図15に示す。光ピックアップ装置70は、例えば図1や図7乃至図10に示すような構成であり、光ピックアップ装置70により検出された各種検出信号は、信号処理回路内のサーボ信号生成回路74及び情報信号再生回路75に送られる。サーボ信号生成回路74では、これら検出信号から各光ディスクに適したフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路73を経て光ピックアップ装置70内の対物レンズアクチュエータを駆動し、対物レンズの位置制御を行う。
【0043】
また情報信号再生回路75では前記検出信号から光ディスク100に記録された情報信号が再生される。なお前記サーボ信号生成回路74及び情報信号再生回路75で得られた信号の一部はコントロール回路76に送られる。コントロール回路76は、これら各種信号を用いて、その時再生しようとしている光ディスク100の種類を判別し、レーザ点灯回路77を駆動させる。なおコントロール回路76にはアクセス制御回路72とスピンドルモータ駆動回路71が接続されており、それぞれ光ピックアップ装置70のアクセス方向位置制御や光ディスク100のスピンドルモータ60の回転制御が行われる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、複数種類の光ディスク、例えばDVD/CDを再生又は記録するための光ピックアップ装置又はそれを搭載した光ディスク装置において、光学系の倍率を例えばCDにとって最適な倍率である略4.0乃至5.0倍に設定した場合でも、他方のDVD側における光ディスク上の光スポットサイズを小さく絞ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ピックアップ装置に関する第1の実施例を示した図
【図2】透過率の変化が1段階の変化である光学フィルタ素子を通過した光ビームの光強度分布を表す図
【図3】透過率の変化が多段階の変化である光学フィルタ素子を通過した光ビームの光強度分布を表す図
【図4】対物レンズに入射する光ビームの光強度分布がフラットな場合における光ディスク上の光スポットの光強度分布を表す図
【図5】対物レンズに入射する光ビームの光強度分布が中心部に比べて外縁部の方が強度の高い場合における光ディスク上の光スポットの光強度分布を表す図
【図6】回折格子によって構成された光学フィルタ素子を表す図
【図7】マルチレーザ光源を用いた場合の光ピックアップ装置を表す図
【図8】光ピックアップ装置に関する第2の実施例を示した図
【図9】マルチレーザ光源を用いた場合の光ピックアップ装置を表す図
【図10】光ピックアップ装置に関する第3の実施例を示した図
【図11】格子溝に沿う方向において格子溝幅を変化させた回折格子を示す図
【図12】格子溝に沿う方向に対して垂直な方向において格子溝幅を変化させた回折格子を示す図
【図13】格子溝に沿う方向および、格子溝に沿う方向に対して垂直な方向ともに格子溝幅を変化させた回折格子を示す図
【図14】両面に格子を刻んだ3スポット用回折格子を示した図
【図15】本発明における光ディスク装置に関する実施例を示した図
【図16】光学系の倍率を説明する図
【符号の説明】
1・・・マルチレーザ光源、1a,1b,12,13・・・半導体レーザ光源、2,200a,200b・・・回折格子、3,3a,3b・・・ビームスプリッタ、4・・・立ち上げミラー、5・・・コリメートレンズ、6・・・光学フィルタ素子、7・・・対物レンズ、8・・・コイル、9・・・磁気回路部、10・・・レンズホルダ、11・・・光検出器、20,21,22・・・光強度分布、30・・・集光光学系、31・・・コリメート光学系、60・・・スピンドルモータ、70・・・光ピックアップ装置、71・・・スピンドルモータ駆動回路、72・・・アクセス制御回路、73・・・アクチュエータ駆動回路、74・・・サーボ信号生成回路、75・・・情報信号再生回路、76・・・コントロール回路、77・・・レーザ点灯回路、100・・・光ディスク
Claims (15)
- 互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは前記第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、前記第1または前記第2のレーザ光源を出射した前記第1または前記第2の光ビームが前記光ディスクに向かう光路中に、前記第1の光ビームの中心部近傍が入射する領域における透過率より外縁部近傍が入射する領域における透過率が高く、かつ前記第2の光ビームが入射する全領域にわたって略一定の透過率を有する光学フィルタ素子を備えた光ピックアップ装置。
- 互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは前記第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、前記第1または前記第2のレーザ光源を出射した前記第1または前記第2の光ビームが前記光ディスクに向かう光路中に、前記第1の光ビームの中心部近傍が入射する領域における反射率より外縁部近傍が入射する領域における反射率が高く、かつ前記第2の光ビームが入射する全領域にわたって略一定の反射率を有する光学フィルタ素子を備えた光ピックアップ装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の光ピックアップ装置において、前記光学フィルタ素子は誘電体多層膜によって構成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、前記光学フィルタ素子の領域のうち、前記第1の光ビームの中心部近傍が通過する領域と、前記第1の光ビームの外縁部近傍が通過する領域との間の領域における前記第1の光ビームに対する透過率は、1段階以上の多段階もしくは連続的に変化することを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、前記回折格子は、前記対物レンズの直下に配置されたことを特徴とする光ピックアップ装置。
- 互いに発振波長の異なる第1のレーザ光源および第2のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源から出射した第1の光ビームまたは前記第2のレーザ光源から出射した第2の光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズとを搭載した光ピックアップ装置において、前記第1または前記第2のレーザ光源を出射した前記第1または前記第2の光ビームが前記光ディスクに向かう光路中に、前記第1の光ビームの中心部近傍が通過する領域に比べて前記第1の光ビームの外縁部近傍が通過する領域における1次回折光の回折効率が低く、かつ前記第2の光ビームが入射する全領域にわたって該第2の光ビームに対する1次回折光の回折効率が略一定の回折効率である回折格子を備えた光ピックアップ装置。
- 請求項6乃至8のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、前記回折格子は、前記第1の光ビームの中心部近傍が通過する領域と、前記第1の光ビームの外縁部近傍が通過する領域との間の領域における格子溝幅は、1段階以上の多段階もしくは連続的に変化することを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項6乃至9のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、さらに、前記第1または前記第2のレーザ光源を出射した前記第1または前記第2の光ビームが前記光ディスクに向かう光路中に、前記第1の光ビームが入射する全領域にわたって該第1の光ビームに対する1次回折光の回折効率を略一定の回折効率に設定している第2の回折格子を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項6乃至10のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、前記回折格子は、前記対物レンズの直下に配置されたことを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項1乃至11のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、前記第1のレーザ光源と前記第2の半導体レーザ光源は同一の筐体内に収納されたマルチレーザ光源であることを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項1乃至12のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光ビームの波長は略650nm乃至670nmであり、前記第2の光ビームの波長は略770nm乃至800nmである事を特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項1乃至13のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置において、光学系の倍率は略4.0乃至5.0倍である事を特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項1乃至14のいずれか一つに記載の光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置。
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JP2007200477A (ja) * | 2006-01-27 | 2007-08-09 | Funai Electric Co Ltd | 光ヘッド |
JP2010044840A (ja) * | 2008-08-18 | 2010-02-25 | Konica Minolta Opto Inc | 光ピックアップ装置用の対物光学素子及び光ピックアップ装置 |
JP2012226816A (ja) * | 2011-04-22 | 2012-11-15 | Panasonic Corp | 光ピックアップ装置 |
-
2003
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