カラー画像を得る画像形成装置にあっては、その装置の小型化、プロセス速度の高速化あるいは高精度の色重ねを達成するために種々の方式が採用されている。例えば1つの感光体ドラム上に、3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)、場合によっては黒を含めて4色のトナー像を順次形成する度に、用紙への転写を3回もしくは4回繰り返してカラー画像を得る複数回転方式がある。あるいは、各感光体ドラム上に単色トナー像を夫々形成する複数の画像形成ユニットを、用紙搬送方向に並べて設け、用紙上で各色トナー像を重ね合わせてカラー画像を形成するいわゆるタンデム方式がある。または、一つの感光体ドラム上に静電潜像を形成するための3原色もしくは黒を含めて4色の像露光器と現像器を設け、各色のトナー像を感光体ドラム上で重ね合わせてカラー画像を形成し、用紙等に一括転写する多重現像方式等がある。
これら種々の画像形成方式に関わらず、複数色のトナー像を重ね合わせるカラー画像形成装置は、各色毎の露光装置や画像形成ユニット等の組み立て精度、加工精度、取り付け位置誤差あるいは被転写媒体である用紙の搬送速度むらなどにより複数色のトナー像が相対的に位置ずれを生じ正確に重ならない場合がある。
この複数色のトナー像の相対的な位置ずれを補正して重ね合わせ精度を高めるため従来は、タンデム方式においては、各色の画像形成ユニットを用いて、検知マークを所定距離だけずらして転写ベルト上に形成し、夫々の検知マークの所定距離からのずれ量を光ファイバセンサやラインセンサなどの検知手段を用いて測定し、検知されたずれ量に基づいて、各色画像形成ユニットにより形成されるトナー像の位置ずれ補正をおこなう装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−278680号公報明細書(第5〜6頁、図2) 例えば(特許文献1)では、4つの感光体ドラムの夫々に各色毎のトナー像を形成する画像形成ユニットをシート紙の搬送経路上に並べて、1パスでカラー画像を形成する4連タンデム方式のトナー像の位置ずれ補正を行なう。しかしながら(特許文献1)では、4色のトナー像を別々に形成後用紙に4回重ね合わせるため、転写時にあっては高度な位置ずれ補正を必要とし、画像重ね合せ精度を高く保つことを困難としていた。
このため、用紙搬送路上に2つの感光体ドラムを配置して、各々の感光体ドラム上に2色のトナー像を多重現像方式によって形成した後、用紙上で各々の感光体ドラム上の2色づつの画像を2回重ね合わせて4色のフルカラー画像を形成する方式が提案されている。この方式はタンデム方式と多重現像方式の折衷方式に位置づけられる。この方式は4つの感光体ドラム上のトナー像を別々に4回重ね合わせる4連タンデム方式に比べて、2つの感光体ドラム上のトナー像を2回重ね合わせることから、重ね合わせ回数が半減して、転写時の位置ずれ補正が容易となる。
他方、液体現像剤を用いて現像画像を得る湿式の画像形成装置は、サブミクロンサイズの極めて微細なトナー粒子を用いることが出来るため高画質を実現できること、少量のトナーで十分な画像濃度が得られるため経済的であるうえに印刷(例えばオフセット印刷)並みの質感を実現できること、比較的低温でトナーを用紙に定着出来るため省エネルギーを実現できること、などの利点を有している。
このような湿式の画像形成装置における画像形成時、感光体ドラム上に形成される現像画像を被転写材に転写する転写方法の1つとして、被転写材あるいは中間転写媒体を感光体と加圧接触してトナー像を被転写材に転写する圧力転写方式が採用されている。(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−284615号公報明細書(第3〜5頁、図1〜図4) 例えば(特許文献2)では、加熱した中間転写媒体を感光体ドラムに圧接し、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を加熱により溶融しながら、感光体ドラム表面と中間転写媒体表面の表面エネルギーの差及び、トナーの粘着力によりトナー像を中間転写媒体へ一次転写する。この後中間転写媒体とバックアップローラにより構成されるニップ部を走行する用紙に、中間転写媒体表面と用紙表面の表面エネルギーの差によって中間転写媒体表面からトナー像を二次転写するものである。
この(特許文献2)の様な圧力転写方式は転写時に感光体ドラム上に溶媒を残したまま中間転写媒体や用紙に転写する電界転写方式に比べて、画像流れあるいは拡散による画質劣化を防止出来、より良好な転写画像を得られるという利点を有する。反面、転写時に感光体ドラムと用紙や中間転写媒体及び、中間転写媒体とバックアップローラ間の押し付け力が数十kgから数百kgに及ぶために、用紙や中間転写媒体と感光体ドラムの表面速度は相対速度が0となり、感光体ドラム上のトナー像は、その長さを変化されることなくそのまま用紙や中間転写媒体表面に転写されることとなる。
このため、タンデム方式と多重現像方式の折衷方式にあっては、用紙にトナー像を重ね合わせる際の転写時の位置ずれ補正回数が半減されて補正が容易になるものの、圧力転写方式により感光体ドラム上のトナー像を用紙に転写する場合には、各感光体ドラム上のトナー像の長さが異なると、トナー像の長さのずれを原因とする画像重ね合せずれを生じてしまうために、トナー像の位置ずれ補正のみならず、トナー像の長さずれを補正する必要性を生じている。
尚、例えばタンデム方式の画像形成装置において、乾式現像剤からなるトナー像を電界転写方式により感光体ドラム上から用紙に転写する場合には、用紙と感光体ドラムとが強く圧接しないため感光体ドラムと用紙との間に相対速度差があるので、複数の感光体ドラム表面に形成されるトナー像の長さが多少異なっても、用紙には用紙搬送速度に規定された長さのトナー像が転写形成されることから、用紙の搬送速度が一定であれば同じ長さの単色トナー像が形成され、トナー像長さのずれを原因とする画像重ね合せずれは発生されない。
このトナー像の長さずれを生じる原因はいくつかあるが、画像保持体が感光体ドラムである場合には、2つの感光体ドラムの回転速度変動が原因の1つとしてあげられる。例えばそれぞれの感光体ドラムの外周速度の振動による周速度の周期的回転速度変動、あるいは感光体ドラムを駆動する駆動手段の回転精度に起因する周期的変動などがその原因となる。
ここで、本明細書における外周速度の振動とは、例えば画像形成装置本体に取り付けられる感光体ドラムの本来の回転中心軸と、実際の回転中心がずれていることによって生じる、感光体ドラムの実際の外周位置のずれをいう。この外周速度の振動は各感光体ドラム毎に周期的な正弦波として現れ、これにより感光体ドラムは周期的回転速度変動を生じる。また、感光体ドラム外周が真円形状から歪んでいることによる外周位置のずれも外周速度の振動に相当する。
一方、感光体ドラムを駆動する駆動機構の回転精度とは、具体的には感光体ドラム軸に直結した歯車を例にあげて説明すると、歯車のピッチ円半径が部分的に異なることによって歯車の回転速度が歯車1回転の周期で変動することなどを指している。この感光体ドラムの周期的回転速度変動が、トナー像の長さを周期的に伸縮変化することにつながる。
トナー像の周期的な伸縮変化は、単色画像であれば目視上それほど目立たないものの、周期的な長さの伸縮変化を有する単色画像を重ね合わせてカラー画像を形成すると、長さの伸縮変化の周期がずれていると、目視上重ね合わせずれによる色ずれを生じ、鮮明さに欠けた品質の低い画像になってしまう。
複数のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する際には、本来複数のトナー像の長さは精度良く合致している必要がある。但し、トナー像を重ね合わせる際の、トナー像の長さずれの一般的な許容範囲としては、例えば、A3サイズ(420mm×297mm)の画像であれば、フルカラー画像を形成する上でのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各単色トナー像の長さずれは、画質が著しく低下しないレベルとして約0.08mm以下であることが望ましい。これは、各単色トナー像の長さのずれ比率として換算すると0.08/420=0.0002以下となる。即ち画像サイズに関わらず一般的に、フルカラー画像を形成する場合には、各単色トナー像の長さのずれ比率が0.0002以下であることが望ましい。
他方、画像保持体として外周表面に感光層を塗布した感光ドラムを用いる場合に、感光体ドラムの外周の製作精度の向上は、外周の加工方法を特殊化することによって技術的には可能である。しかしながら消耗部品であることから装置ライフ期間内に数回の交換を余儀なくされる感光ドラムを、高い製作コストをかけて高精度化することは、ランニングコスト上昇を招き、装置として現実的でないものとなってしまう。このためたとえば数100mm以上の直径を有する感光ドラムでは、コストを抑えると、外周速度の振動を0.05mm以下にすることは困難とされている。
そして感光体ドラムの外周にこのような振れがある場合、形成されるトナー像の長さは約0.1mm程度周期的に伸縮する。このように周期的に伸縮するトナー像を複数色重ね合わせ様とすると最大0.1mmの重ね合わせずれが発生し、先に説明したトナー像の重ね合わせずれの許容範囲(A・3サイズであれば0.08mm以下)を容易に超えて、重ね合わせずれを原因とする画質の低下を来たしてしまう。
そこで本発明は、複数の感光体ドラムの外周速度の振動による夫々のトナー像の周期的な伸縮の変動を同期させるものである。
以下に本発明を図1乃至図14に示す第1の実施の形態を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の画像形成装置である湿式のフルカラー電子写真装置の画像形成部10を示す。画像形成部10の被転写材であり、給紙ローラ7から巻き取りローラ8方向である矢印t1方向に走行する用紙Pの用紙搬送経路9に沿って第1ステーション100及び第2ステーション200が配列されている。各ステーション100、200は、第1の画像保持体である第1の感光体ドラム11と第2の画像保持体である第2の感光体ドラム21を有する。第1の感光体ドラム11及び第2の感光体ドラム21は、同一構造であり、例えばアルミニウム等からなる導電性ドラム上に、有機系もしくはアモルファスシリコン系の感光層を形成して成っている。
第1の感光体ドラム11周囲には、矢印s1方向の回転に沿ってイエロー(Y)及びイエロー(Y)より明度が低いシアン(C)の液体現像剤を用いて第1の形成画像である、イエロー(Y)及びシアン(C)のトナー像の形成を行う第1
の画像形成ユニットであるイエロー(Y)の画像形成ユニット12Y及びシアン(C)の画像形成ユニット12Cが配列されている。
第2の感光体ドラム21周囲には、矢印s2方向の回転に沿ってマゼンタ(M)及びマゼンタ(M)より明度が低いブラック(BK)の液体現像剤を用いて第2の形成画像である、マゼンタ(M)及びブラック(BK)のトナー像の形成を行う第2の画像形成ユニットであるマゼンタ(M)の画像形成ユニット12M及びブラック(BK)の画像形成ユニット12BKが配列されている。各画像形成ユニット12Y〜12BKは、それぞれ用いる液体現像剤の色が異なるものの、それ以外は基本的に同様の構成である。イエロー(Y)〜ブラック(BK)の画像形成ユニット12Y〜12BKは、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21周囲に順次周知のコロナ帯電器もしくはスコロトロン帯電器などからなる帯電装置13Y〜13BK、プリントヘッド14Y〜14BK、現像装置18Y〜18BKを有する。
プリントヘッド14Y〜14BKは、LEDプリントヘッドからなり、イエロー(Y)〜ブラック(BK)の光信号に対応する光照射を第1あるいは第2の感光体ドラム11、21に選択的に行い、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21の露光された部分の電位を減衰させ静電潜像を形成する。現像装置18Y〜18BKは、絶縁性の炭化水素系溶媒中に顔料成分を含有したトナー粒子を分散させてなる各色の液体現像剤を収容し、バイアス電圧を印加され、液体現像剤を第1あるいは第2の感光体ドラム11、21表面に供給してトナー像を形成する現像ローラ16Y〜16BK及び、現像後のトナー像のかぶり取り及び溶媒除去を同時に行うスクイーズローラ17Y〜17BKを有する。
第1の感光体ドラム11周囲のイエロー(Y)及びシアン(C)の画像形成ユニット12Y、12Cの下流及び、第2の感光体ドラム21周囲のマゼンタ(M)及びブラック(BK)の画像形成ユニット12M、12BKの下流には、現像装置18Y〜18BKによる現像後、トナー像の余剰の溶媒を乾燥除去するための第1あるいは第2の乾燥装置24、26が設けられ、第1あるいは第2の乾燥装置24、26下流にはトナー像を用紙Pに多重転写するための転写装置である第1あるいは第2の加圧ローラ27、28、感光体ドラム11、21上の残留トナーを回収するための感光体クリーナ31、32、及び残留電荷を除去する消去ランプ33、34が設けられている。
第1あるいは第2の加圧ローラ27、28は、用紙Pを感光体ドラム11、21に約10Kg/cm2の圧力で加圧接触させて、感光体ドラム11、21上に形成されるトナー像を、トナー粒子の粘着力、圧力を利用して用紙Pに転写する。用紙搬送経路9上の、第1の加圧ローラ27と第1の感光体ドラム11が加圧接触する第1の転写点11aから、第2の加圧ローラ28と第2の感光体ドラム21が加圧接触する第2の転写点21aまでの距離は、Lと設定されている。
図2は、第1及び第2の感光体ドラム11、21の外周速度の振動に起因するトナー像の長さの周期的な伸縮変化による、画像の重ね合わせずれの調整プロセスを実施するための調整装置36の概略ブロック図である。第1及び第2の感光体ドラム11、21のフランジ11b、21bには、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21夫々の回転方向の第1あるいは第2の規準位置を示す第1あるいは第2の規準マーカ37、38が取り付けられる。第1及び第2の感光体ドラム11、21のフランジ11b、21b近傍には、第1あるいは第2の規準マーカ37、38を検知して、第1あるいは第2の規準位置を検知するための光学検知装置である第1あるいは第2のマーカ検知センサ40、41が設けられている。第1の規準マーカ37及び第1のマーカ検知センサ40により第1の検知装置80を構成し、第2の規準マーカ38及び第2のマーカ検知センサ41により第2の検知装置81を構成する。
第1あるいは第2のマーカ検知センサ40、41からの検知信号は、同期制御装置47に入力される。同期制御装置47は、図3に示すように後述する第1及び第2のタイミング信号61、62の時間ずれTfを検知する比較回路66、時間ずれTfに応じて例えば第2の感光体ドラム21を夫々駆動する第2のサーボモータ43の速度指令値を補正する速度指令回路67、第2のサーボモータ43の予め設定された設定速度65と速度指令回路67からの補正値により第2のモータドライバ46を制御する制御回路68を有する。
同期制御装置47による第2の感光体ドラム21の駆動調整により、第1及び第2の感光体ドラム11、21は同期駆動する。第1の感光体ドラム11は、第1のモータドライバ44に制御される第1のサーボモータ42により駆動される。
第1の規準マーカ37は、第1の感光体ドラム11の外周速度の振動周期の第1の規準位置O−1と同位置に取り付けられる。第2の規準マーカ38は、第2の感光体ドラム21の外周速度の振動周期の第2の規準位置O−2から、第2の感光体ドラム21の回転方向に対し、第1の転写点11aから第2の転写点21aまでの距離Lに相当する位相だけ進んだ、上流に取り付けられる。
次に第1の感光体ドラム11の外周速度の振動周期の第1の規準位置O−1及び、第2の感光体ドラム21の外周速度の振動周期の第2の規準位置O−2について詳述する。簡単のため感光ドラム11、21の周速度変動によるトナー像の伸縮を感光ドラム11、21の外周速度の振動に起因するもののみとし、かつ第1及び第2の感光ドラム11、21間で、ほぼ同一の外周速度の振動を有するものとする。図4の実線(α)に示す第1の感光体ドラム11の周上におけるトナー像の伸縮及び、点線(β)に示す第2の感光体ドラム21の周上におけるトナー像の伸縮は、ほぼ正弦波状に変動する。
第1の規準位置O−1はトナー像の伸縮が0となる位置に設定している。同様に第2の規準位置O−2もトナー像の伸縮が0となる位置とする。尚第1及び第2の感光ドラム11、21の外周速度の振動がほぼ同一とされることから、第1の規準位置O−1を規準として第1の感光体ドラム11上に形成したトナー像の伸縮と、第2の規準位置O−2を規準として第2の感光体ドラム21上に形成したトナー像の伸縮とは同一となる。一般的には、ここで想定したように第1及び第2の感光ドラム11、21速度の振動量が厳密に一致することは稀であるが、外周速度の振動に起因するトナー像の伸縮が、いずれも感光ドラムの周上で正弦波状に変化することは一致する。
ここで第1及び第2の規準位置O−1、O−2の位相差を図4に示すように180°として第1及び第2の感光体ドラム11、21上のトナー像を重ね合わせた場合、例えば図4の[A]位置では約0.1mm程度の重ね合わせずれを生じてしまう。このため本実施の形態では、用紙P上でのトナー像の重ね合せずれを最低限にするよう、後述するように、第1及び第2の感光ドラム11、21周上のトナー像の伸縮の変動を示す正弦波の位相差を0に近付けて、第1及び第2の感光ドラム11、21上のトナー像を重ね合わせるようにする。但し、用紙搬送経路9上の11aから21aまでの距離がLであるので、用紙P上でのトナー像の重ね合せ時にはこれも考慮する。
次に第1及び第2の感光ドラム11、21のトナー像の伸縮の位相差を0に近づけるための規準となる、第1及び第2の感光ドラム11、21の夫々の第1及び第2の規準位置O−1、O−2の設定について述べる。先ず、第1及び第2の感光体ドラム11、21の夫々の外周速度の振動によるトナー像の伸縮波形を検知する。例えば、図5に示すように第1の感光体ドラム11周囲に、予め仮の規準位置P−1を設定し、例えばシアンの画像形成ユニット12Cを用いて、この仮の規準位置P−1から図6に示す等間隔の横線のテストパターン50を第1の感光体ドラム11に形成して、第1の感光体ドラム11上にシアンの識別パターンを形成する。
この第1の感光体ドラム11上のシアンの識別パターンと、テストパターン50との横線の位置誤差を計測して、第1の感光体ドラム11周囲の外周速度の振動によるトナー像の伸縮の誤差を表に表わすと、図7に示すように正弦波形状(θ)の伸縮結果が得られる。第1の感光体ドラム11上への識別パターンの形成にあたっては仮の規準位置P-1から識別パターンを形成するようにしておくことで、得られた識別パターン先端が第1の感光ドラム11の仮の規準位置P−1に相当するので、図7に示す正弦波形状(θ)における規準位置P−1の位相が明確となる。
本実施の形態では第1の感光ドラム11の第1の規準位置O−1は、トナー像の伸縮が0となる位置に設定していることから、図7に示す正弦波形状(θ)の、第1の規準位置O−1から仮の規準位置P−1までの距離dを求め、第1の感光体ドラム11の仮の規準位置P−1から距離d下流を第1の規準位置O−1として求め、フランジ11bに第1の規準マーカ37をネジ止めしている。同様にして、第2の感光体ドラム21についても、識別パターンを形成して、テストパターンとの位置誤差を計測して、正弦波形状から第2の規準位置O−2を求め、この第2の規準位置O−2から、第2の感光体ドラム21の周上で距離Lだけ回転方向上流にて、フランジ21bに第2の規準マーカ38をネジ止めしている。
このようにして設置される第1あるいは第2の規準マーカ37、38を第1あるいは第2のマーカ検知センサ40、41によって検知して、それらの検知信号から、更に第1及び第2の感光体ドラム11、21の駆動の同期調整を図り、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21にトナー像を形成する。
図8乃至図10に示すように、第1あるいは第2の規準マーカ37、38は、厚さが1mm程度の金属プレート52からなる。金属プレート52は感光ドラム11、21のフランジ11b、21b端面にスペーサ53を介して固定される。一方、第1あるいは第2のマーカ検知センサ40、41は一定の間隙54を有して発光LED56と受光素子57が対向される。このマーカ検知センサ40、41の一定の間隙54間を金属プレート52が通過するように設置される。
金属プレート52がマーカ検知センサ40、41の間隙を通過するたびに、発光LED56から受光素子57への光が遮光され、受光素子57からの検知信号がローレベルとなり、図11に示すように第1あるいは第2の感光ドラム11、21の1回転ごとに第1あるいは第2のタイミング信号61、62が生成される。第1及び第2のタイミング信号61、62間の規準クロックをカウントして、第1及び第2のタイミング信号61、62に、時間ずれTfを生じた場合は、時間ずれ量に応じて同期制御装置47により第2の感光ドラム21の第2のサーボモータ43の速度指令値を増減し、第1及び第2のタイミング信号61、62が時間的にほぼ一致するまで回転を続けて、この後第1及び第2の感光ドラム11、21を同期駆動する。すなわち第1及び第2の感光ドラム11、21は常に同一の位置関係を保ったまま回転駆動することとなる。
次に作用について述べる。画像形成工程開始時、図12に示すフローチャートに従い第1ステーション100及び第2ステーション200にて形成されるトナー像の伸縮の正弦波形の位相差を0に近づける調整操作を実施する。ステップ1にて同期調整モードを選択すると、ステップ2で第1のマーカ検知センサ40によって第1の規準マーカ37を検知する第1の工程を実施する。ステップ3で第2のマーカ検知センサ41によって第2の規準マーカ38を検知する第2の工程を実施する。
次に第1及び第2のタイミング信号61、62間の規準クロックをカウントして、ステップ4で第1及び第2のタイミング信号61、62間に時間ずれTfの有無を比較して、時間ずれTfを生じていない場合は、位相差の調整操作を終了し、画像形成工程を開始する。ステップ4で時間ずれTfが有った場合はステップ5に進む。
ステップ5では、同期制御装置47により時間ずれTf量に応じて第2のサーボモータ43の速度指令値を調整する第3の工程を実施して、調整後の第1及び第2のタイミング信号61、62間の時間ずれTfが無いことを確認するため、再度ステップ2に進み、第1あるいは第2の規準マーカ37、38を検知し、時間ずれTfが無いことを確認後、画像形成工程を開始する。
この同期制御装置47による調整後の第1及び第2の感光ドラム11、21周上のトナー像の伸縮の変動を示す正弦波の位相差は、実際には、用紙搬送経路9上の11aから21aまでの距離Lを考慮してずれている。即ち図13に示すように実線(α)で示す第1の感光体ドラム11の周上におけるトナー像の伸縮の第1の規準位置O−1と、点線(β)で示す第2の感光体ドラム21の周上におけるトナー像の伸縮の第2の規準位置O−2は、用紙Pが11aから21aに達するまでの時間TLだけずれている。この結果、第1及び第2の感光体ドラム11、21上のトナー像を用紙P上に重ね合わせると、図14に示すように実線(α)で示す第1の感光体ドラム11の周上におけるトナー像の伸縮の変動を示す正弦波と、点線(β)で示す第2の感光体ドラム21の周上におけるトナー像の伸縮の変動を示す正弦波が一致する。
次に画像形成工程が開始されると、第1ステーション100において、第1の感光体ドラム11が矢印s1方向に回転し、これと同時にイエロー(Y)及びシアン(C)の画像形成ユニット12Y、12Cによるトナー像形成操作が成される。イエロー(Y)の画像形成ユニット12Yで、帯電装置13Yによって第1の感光体ドラム11表面を+800V程度に一様に帯電する。次にプリントヘッド14Yはイエロー(Y)の画像情報に対応する露光々を第1の感光体ドラム11に選択的に照射して画像部を+200V程度まで電位を低下させ、第1の感光体ドラム11上にイエロー(Y)の画像情報に対応する静電潜像を形成する。
次いで現像装置18Yでイエロー(Y)の液体現像剤により、静電潜像を可視像化する。現像ローラ16Yにて画像部にイエロー(Y)のトナー粒子を付着して現像を実施後、スクイーズローラ17Yにて、非画像部の浮遊トナー粒子及び余剰の液体現像剤を回収し、第1の感光体ドラム11上にイエロー(Y)のトナー像を形成する。
この後第1の感光体ドラム11上には、第2色目のシアン(C)のトナー像形成が同様に行われ、イエロー(Y)のトナー像の上にシアン(C)のトナー像が重ね合わされる。すなわち第1の感光体ドラム11表面のイエロー(Y)のトナー像の上から、帯電装置13Cにより帯電が成される。その後イエロー(Y)のトナー像の上から、プリントヘッド14Cにより、シアン(C)の画像情報に対応する露光々を第1の感光体ドラム11に選択的に照射してシアン(C)の静電潜像を形成する。次いで現像装置18Cを経て、第1の感光体ドラム11上には、イエロー(Y)、シアン(C)のトナー像が、重ね合わされる。
更に、第1の感光体ドラム11上のトナー像は乾燥装置24を経て加圧ローラ27に達し、加圧ローラ27からの圧力及びトナー粒子の粘着力により第1の感光体ドラム11上のトナー像は、矢印t1方向に走行される用紙Pに圧力転写され、用紙P上にイエロー(Y)、シアン(C)の2色トナー像を形成される。尚、用紙Pへの転写終了後、第1の感光体ドラム11は感光体クリーナ31により残留トナー像を除去され、消去ランプ33により残留電荷を消去されて一連の画像形成プロセスを終了し次の画像形成プロセスに備える。
第2ステーション200においては、第1ステーション100における用紙Pへの2色トナー像形成と同様にして、マゼンタ(M)の画像形成ユニット12Mを用いて第2の感光体ドラムにマゼンタ(M)のトナー像を形成後、ブラック(BK)の画像形成ユニット12BKを用いてマゼンタ(M)のトナー像の上からブラック(BK)のトナー像を形成する。
ここでマゼンタ(M)の画像形成ユニット12Mのマゼンタ(M)のプリントヘッド14Mは、マゼンタ(M)の画像情報に対応する露光々を第2の感光体ドラム21に選択的に照射して、第2の感光体ドラム21上にマゼンタ(M)の静電潜像を形成する。次いで現像装置18Mを経て、第2の感光体ドラム21上に、マゼンタ(M)のトナー像が形成される。又ブラック(BK)の画像形成ユニット12BKのプリントヘッド14BKは、ブラック(BK)の画像情報に対応する露光々を、マゼンタ(M)のトナー像の上から選択的に照射して、第2の感光体ドラム21上にブラック(BK)の静電潜像を形成する。次いで現像装置18BKを経て、第1の感光体ドラム11上には、マゼンタ(M)、ブラック(BK)のトナー像が、重ね合わされる。
この後第2ステーション200のマゼンタ(M)、ブラック(BK)の2色トナー像は乾燥装置26により乾燥後、加圧ローラ28に達する。加圧ローラ28では圧力及びトナー粒子の粘着力により、第1ステーション100側から矢印t1方向に走行される用紙Pに、既に形成されるイエロー(Y)、シアン(C)の2色トナー像の形成位置にタイミングを合わせて、マゼンタ(M)、ブラック(BK)の2色トナー像を重ねて圧力転写して、用紙P上にフルカラーのトナー像を完成する。尚転写終了後、第2の感光体ドラム21は感光体クリーナ32により残留トナー像を除去され、消去ランプ34により残留電荷を消去され次の画像形成プロセスに備える。
ここで用紙P上に重ね合わされる第1ステーション100及び第2ステーション200の2色づつのトナー像は、第1及び第2の感光体ドラム11、21の伸縮の変動を示す正弦波が一致するよう位相を同期調整されているので、用紙P上において、重ね合わせたトナー像に伸縮を生じてはいるものの、重ね合わせそのものは高い精度を得られ、色再現安定性及び高解像性を得られた。
以上の構成により本実施の形態にあっては、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21の外周速度の振動を原因とする、トナー像の伸縮に関わらず、第1ステーション100及び第2ステーション200で形成されるトナー像の伸縮の正弦波が一致するよう、第1及び第2の感光体ドラム11、21の駆動を同期調整する。そしてその後、第1の感光体ドラム11上に、イエロー(Y)とシアン(C)のトナー像を形成し、第2の感光体ドラム21上にマゼンタ(M)とブラック(BK)のトナー像を形成している。従って、圧力転写方式により各感光体ドラム11、21上から用紙Pにトナー像を転写する際に、正弦波状のトナー像の伸縮の位相のずれが原因で生じるトナー像の重ね合わせずれを防止出来、用紙P上でイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(BK)の4色を重ねて得られるフルカラートナー像は、重ね合わせずれが目立たず色再現安定性が良く、解像性の高い高画質を得られる。
更には、各感光体ドラム11、21上では2色づつのトナー像を重ねるのみであることから、従来の複数回転方式に比し各ステーション100、200での画像形成時間の短縮を得られると共に、従来の多重転写方式に比し転写前にトナー像の乾燥に要する時間の短縮も図れ、フルカラー画像形成の高速化を図れる。又、フルカラー画像を得るための色重ね回数が、第1及び第2ステーション100、200での2回のみであることから、従来の4色を別々に4回色重ねする4連タンデム方式に比して転写時の位置ずれ補正を格段に容易に出来る。
次に本発明を図15及び図16に示す第2の実施の形態を参照して説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態において転写方式、更には感光体ドラムを同期駆動するための規準位置の検知装置が異なるものであり、第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付しその説明を省略する。
第1及び第2の感光体ドラム11、21周囲の第1及び第2の乾燥装置24、26下流にはトナー像を用紙Pに多重転写するための転写装置70、71が設けられている。転写装置70、71は、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21周囲の一次転写位置に夫々接触する中間転写媒体である第1及び第2の中間転写ローラ72、73、用紙搬送経路9を介して中間転写ローラ72、73周囲の二次転写位置に接触し中間転写ローラ72、73を夫々感光体ドラム11、21に加圧接触させる加圧ローラ74、76を有する。
転写装置70、71は、感光体ドラム11、21上に形成されるトナー像を中間転写ローラ72、73に一次転写した後、用紙Pに二次転写する。加圧ローラ74、76は、感光体ドラム11、21と、中間転写ローラ72、73間に約10Kg/cm2の圧力をかける。また、中間転写ローラ72、73は、図示しないヒータ等により表面温度が約80℃に加熱され。感光体ドラム11、21から中間転写ローラ72、73への一次転写時、トナー像には圧力、トナー粒子の粘着力及び温度が加わる。
感光体ドラム11、21を同期駆動するための、第1及び第2の感光ドラム11、21の夫々の第1及び第2の規準位置O−1、O−2を検知する検知装置として、感光体ドラム11、21のシャフト11c、21cに設置され、感光体ドラム11、21の回転絶対位置を検知する第1あるいは第2のアブソリュートタイプのロータリエンコーダ77、78を用いる。
先ず第1の感光体ドラム11周囲に、予め仮の規準位置P−1を設定し、この仮の規準位置P−1から等間隔の横線のテストパターン50を第1の感光体ドラム11に形成して、第1の実施の形態と同様にして、第1の感光体ドラム11上の識別パターンから、第1の感光体ドラム11の外周速度の振動によるトナー像の伸縮の誤差の正弦波形状(θ)を得る。得られた正弦波形状(θ)から、トナー像の伸縮が0となる第1の規準位置O−1が、仮の規準位置P−1と位相がどれだけずれているかを求める。これにより第1の規準位置O−1が仮の規準位置P−1から距離dずれていることが判明したら、仮の規準位置P−1から距離dずれた位置を第1の規準位置O−1と決定し、第1のロータリエンコーダ77に、決定された第1の規準位置O−1の角度を記録設定する。
同様にして、第2の感光体ドラム21の第2の規準位置O−2を決定する。但し、第2のロータリエンコーダ78には、第2の規準位置O−2から第2の感光体ドラム21の回転方向に対し、第1の転写点11aから第2の転写点21aまでの距離Lに相当する位相だけ進んだ上流の位置の角度を、第2のロータリエンコーダ78に記録設定する。
第1及び第2の感光体ドラム11、21の同期駆動調整時には、感光体ドラム11、21の1回転毎に、第1あるいは第2のロータリエンコーダ77、78に記録設定される、第1の規準位置O−1あるいは、第2の規準位置O−2から第2の感光体ドラム21の回転方向に対し、第1の転写点11aから第2の転写点21aまでの距離Lに相当する位相だけ進んだ上流の位置を検知して、同期制御装置47に第1あるいは第2のタイミング信号61、62を発生する。この第1及び第2のタイミング信号61、62間の時間ずれTfに応じて、第1の実施の形態と同様同期制御装置47により第2のサーボモータ43の速度指令値を増減し、第1及び第2の感光ドラム11、21を同期駆動する。
画像形成工程開始時には、図12に示すフローチャートに従い第1ステーション100及び第2ステーション200にて形成されるトナー像の伸縮の正弦波形の位相差を0に近づける調整操作を実施する。但しステップ2及びステップ3では、第1の実施の形態における第1あるいは第2の規準マーカ37、38の検知に換えて、第1あるいは第2のロータリエンコーダ77、78の回転角度から、第1の規準位置O−1、あるいは第2の規準位置O−2から第2の感光体ドラム21の回転方向に対し、第1の転写点11aから第2の転写点21aまでの距離Lに相当する位相だけ進んだ上流の位置を検知して、第2の工程を実施する。その後は第1の実施の形態と同様にして、第1ステーション100及び第2ステーション200にて形成されるトナー像の伸縮の正弦波形の位相差を0に近づける調整操作を実施する。
その後、第1ステーション100において、第1の感光体ドラム11にイエロー(Y)及びシアン(C)のトナー像を重ね合わせ第1の中間転写ローラ72に一次転写する。又第2ステーション200において、第2の感光体ドラム21上にマゼンタ(M)、ブラック(BK)のトナー像を重ね合わせ第2の中間転写ローラ73に一次転写する。第1あるいは第2の中間転写ローラ72、73に一次転写されたトナー像は、更に中間転写ローラ72、73及び加圧ローラ74、76間を矢印t2方向に走行される用紙Pに二次転写され、用紙P上にフルカラー画像を完成され画像形成操作を終了する。
中間転写ローラ72、73へのトナー像の一次転写終了後、第1あるいは第2の感光体ドラム11、21は感光体クリーナ31、32により残留トナー像を除去され、消去ランプ33、34により残留電荷を消去されて一連の画像形成プロセスを終了し次の画像形成プロセスに備える。
以上の構成により本実施の形態にあっては、第1の実施の形態と同様、第1及び第2の感光体ドラム11、21の駆動を同期調整後、第1の感光体ドラム11上に、イエロー(Y)とシアン(C)のトナー像を形成し、第2の感光体ドラム21上にマゼンタ(M)とブラック(BK)のトナー像を形成している。従って、圧力転写方式により各感光体ドラム11、21上から中間転写ローラ72、73を経て用紙Pにトナー像を転写する際に、正弦波状のトナー像の伸縮の位相のずれが原因で生じるトナー像の重ね合わせずれを防止出来、重ね合わせずれが目立たず色再現安定性が良く、解像性の高い高画質のフルカラートナー像を得られる。
更には第1の実施の形態と同様、各感光体ドラム11、21上では2色のトナー像を重ねるのみであることから、従来の複数回転方式や多重転写方式に比しフルカラー画像形成の高速化を図れ、又第1及び第2のステーション100、200で、2回色重ねするのみであることから、色重ねを4回行なう従来の4連タンデム方式に比して転写時の位置ずれ補正を格段に容易に出来る。
また本実施の形態では、感規準位置O−2から第2の感光体ドラム21の回転方向に対し、第1の転写点11aから第2の転写点21aまでの距離Lに相当する位相だけ進んだ上流の位置をロータリエンコーダ77、78に記録設定していて、感光体ドラム11、21の特定位置に規準マーカをネジ止めする必要が無いので、第1の実施の形態に比し感光体ドラム11、21の設計上の自由度の向上を得られる。
尚本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その趣旨を変えない範囲での変更は可能であって、例えば複数の画像保持体を同期駆動するための調整操作は、画像形成装置の電源投入時におこなってもよいし、画像形成に先立って実施したり、あるいは画像形成装置稼動中に必要に応じて実施する等任意である。又画像保持体の数や、画像保持体上に形成される形成画像の色等任意であり、前述の実施の形態における4色の形成画像の2色ずつの組み合わせも限定されない。
又、画像保持体の規準位置の検知装置も限定されず、例えば第1の実施の形態において規準マーカを、光反射面を設けたプレートで形成し反射型のマーカ検知センサを用いて、光り反射面からの反射光を検知しても良い。あるいは規準マーカを磁性体で形成し、磁気検知装置からなるマーカ検知センサを用いる等任意である。更に複数の画像保持体の同期駆動のための調整方法も限定されず、複数の画像保持体の駆動タイミングを相互に調整する等任意である。