JP2004295087A - 表示装置 - Google Patents

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隆満 藤井
Akinori Harada
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Abstract

【課題】 高輝度で色むらなく高コントラストで画像を表示することができる経済的な表示装置を提供する。
【解決手段】 複数の光変調素子100がアレイ状に配設され、光変調素子100を駆動することにより画像の表示を行う表示装置であって、光変調素子100は、互いに間隔をあけて配設された一対の基板11,13と、該基板間の隙間からなる封入空間S内に封入された流体15と、該流体15を封入空間S内で変形させて封入空間S内における流体15の基板11,15の少なくとも一方の面内に占める面積を制御して透過光又は反射光の光量を調製する駆動手段とを備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表示装置に関し、特に輝度が高く良好なコントラストで表示する技術に関する。
従来より、文字や画像等の情報を表示する表示装置としては、液晶素子と偏光板とを組み合わせて電圧を印加することにより液晶分子の配向を制御して画像表示する液晶表示装置、電圧の印加により自己発光する有機化合物を用いて画像表示する有機EL表示装置、電極間に着色媒体を配設して電界の印加により着色媒体を電気泳動させ、一方の電極へ移動させることで画像表示する電気泳動表示装置等が知られている。
また、表示装置ではなく、単に光を流体によって変調制御する技術としては、液体の移動により光をスイッチングする導波路等がある(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平10−333062号公報 特開2001−201701号公報
ところで、偏光原理を利用した液晶表示装置は、十分な白輝度を得るために強い光量のバックライトが必要であり、また、偏光板をクロスニコル状態(黒表示状態)とした場合、僅かに光漏れが生じ、黒表示が完全な黒とならず、コントラストが低くなる。さらに、視野角に依存性があり、斜めからの視認性が悪く、また、表示面に形成される駆動回路等は光を透過しないので、開口率が低くなるという不利があった。
有機EL表示装置は、発光光量が材料に依存して決定されるため、十分に明るい材料の開発が必要であるが、これには幾多の困難性を有している。また、材料の劣化によって光量が著しく低下し、表示場所によってはムラが生じる等の問題があった。
さらに、電気泳動表示装置にあっては、階調表示が十分に行えなかったり、原理的に透過型表示ができなかったり、泳動粒子の凝集により性能が劣化する等の耐久性に問題があった。
そして、このような表示装置は、高輝度で色むらなく高コントラストの表示を必要とする表示目的に対しては、これを支障なく用いることができなかった。このため、現状においては、上記の表示目的を満足する高品質な表示が可能な表示装置の開発が望まれている。
また、光をスイッチングする光変調素子としての上記導波路は、光通信機用の単一の素子の構成が開示されるのみであり、その変調作用も、単に液体の屈折率によって光の反射を制御するだけのものであり、これを直接に透過型や反射型の表示装置として使用することはできないものであった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高輝度で色むらなく高コントラストで画像を表示することができる経済的な表示装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の表示装置は、複数の光変調素子がアレイ状に配設され、前記光変調素子を駆動することにより画像の表示を行う表示装置であって、前記光変調素子は、互いに間隔をあけて配設された一対の基板と、該基板間の隙間からなる封入空間内に封入された流体と、該流体を前記封入空間内で変形させて前記封入空間内における前記流体の前記基板の少なくとも一方の面内に占める面積を制御して透過光又は反射光の光量を調整する駆動手段とを有することを特徴とする。
この表示装置では、流体を封入空間内で変形させることで、封入空間内における流体の、基板の少なくとも一方の面内に占める面積を制御し、透過光もしくは反射光を確実にかつ迅速に調整することができ、液晶表示装置、有機EL表示装置、電気泳動表示装置等と比較して、色むらなく高い輝度で良好なコントラストでかつ広い視野角で画像を低コストで表示することが可能となり、また、消費電力も低減することができる。これにより、特に高輝度で良好なコントラストが必要とされるレントゲン画像を表示させるような医療用の電子シャーカステンシステムの表示装置としても有効に用いることができる。
請求項2記載の表示装置は、前記流体が磁性を有する磁性流体からなり、前記駆動手段が前記封入空間に磁場を生じさせて前記流体を磁力により変形させる磁力発生手段からなることを特徴とする。
この表示装置では、磁力発生手段によって磁性を有する流体を容易にかつ迅速に変形させて光変調を円滑に行わせることができる。
請求項3記載の表示装置は、前記駆動手段が、電圧印加による変形によって前記封入空間の厚みを変化させ、前記流体を変形させる圧電体からなることを特徴とする。
この表示装置では、圧電体によって封入空間の厚みを変化させることで、流体の変形動作を応答性良く行わせることができ、高速光変調が可能となる。
請求項4記載の表示装置は、前記流体が着色体を含む着色流体であって、前記封入空間に前記流体と混和しない透明流体が封入されていることを特徴とする。
この表示装置では、流体が着色流体であって、封入空間にこの流体と混和しない透明流体を封入するので、各流体の移動が円滑化され、光変調領域における光変調をさらに円滑に行わせることができる。
請求項5記載の表示装置は、前記流体が透明流体であって、前記封入空間に前記流体と混和しない着色流体が封入されていることを特徴とする。
この表示装置では、流体が透明流体であって、封入空間にこの流体と混和しない着色流体を封入するので、各流体の移動が円滑化され、光変調領域における光変調をさらに円滑に行わせることができる。
請求項6記載の表示装置は、前記着色流体及び透明流体の両方もしくはいずれか一方が、静止状態でゲル状に固まり、外力によりゾル状となって流動性が生じる性質を有するチキソトロピー流体であることを特徴とする。
この表示装置では、静止状態でゲル状に固まり、振動等の外力を加えるとゾル状となって流動性が生じる性質を有するチキソトロピー流体を着色流体及び透明流体の両方もしくはいずれか一方に用いたので、着色流体の変形スピードや保持時間を容易に制御することができ、高品質な画像表示を行うことができる。
請求項7記載の表示装置は、複数配列された前記光変調素子の裏面側に、光を照射するバックライトを設けたことを特徴とする。
この表示装置では、バックライトからの光を、光変調素子へ透過させる透過型の表示装置とすることができる。
請求項8記載の表示装置は、複数配列された前記光変調素子の裏面側に、光を反射する反射板又は白色拡散板を設けたことを特徴とする。
この表示装置では、反射板又は白色拡散板により光変調素子を通過して到達した光が反射又は拡散により再度光変調素子に戻されるので、光の利用効率を高めた高効率な表示が行える。反射板は、好ましくは光拡散性能が大きいほど白表示がより白く表示されるため好ましい。例えば、従来の液晶表示装置では、反射板に光拡散性の強いものを用いると、偏光板を通過した光が反射板で偏光解消を生じてしまい、十分な表示性能を得ることができなかった。このように、光拡散性能が大きい反射板を用いることができないので、従来の液晶表示装置では反射板として鏡面反射板を用いることがあった。しかし、その場合には映り込みが生じるため、白表示が白く表示されずにいた。このような状況の中、本発明に係る表示装置では、偏光板を用いないため、光拡散性能が大きい反射板を用いることを可能とし、白表示が一層白く表示されるようになる。
請求項9記載の表示装置は、複数の前記光変調素子と前記バックライトとの間に、前記バックライトの光をそれぞれの前記光変調素子の光変調領域に集光させる複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを設けたことを特徴とする。
この表示装置では、マイクロレンズにより光変調素子の光変調領域に入射光を集光させることができ、光変調領域以外の部分で遮光されることがなくなり、光利用効率が向上して、より高輝度の表示が行えるようになる。
本発明の表示装置によれば、着色流体を封入空間内で変形させて光変調領域における透過光もしくは反射光を確実にかつ迅速に調整するものであるので、液晶表示装置、有機EL表示装置、電気泳動表示装置等と比較して、高い輝度で色むらなく高コントラストで、かつ広い視野角で画像を表示することが可能となり、また、低コストで消費電力も低減することができる。
以下、本発明に係る表示装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る表示装置を構成する光変調素子の断面図である。
この光変調素子100は、所定の間隔をあけて対峙させた一対の透光性を有する第1基板11、第2基板13を有しており、これら第1基板11及び第2基板13の隙間からなる封入空間Sに、例えば黒色の着色流体15を封入している。着色流体15が濡れ広がる第1基板11には、中心部分を除いた封入空間Sを形成する表面に、撥水・撥油膜14が形成されている。
第1基板11及び第2基板13としては、透過性を有する材料であればよく、プラスチックやガラスが好適に用いられる。また、第1基板11の表面に撥水・撥油膜14を形成しているが、着色流体15を変形させた後に元の場所へ戻す際、着色流体15が移動しないで残留することがないように、第1基板11及び第2基板13の両方の表面に撥水・撥油膜を形成する構成としても良い。
第1基板11は、その周囲に、着色流体15を移動させる駆動手段として薄膜電磁石(磁力発生手段)17を設けている。薄膜電磁石17は、ON状態で封入空間Sに磁場を生じさせ、その磁力により着色流体15を周囲に引き寄せる。これにより、光透過状態の光変調素子100(図中右側)のように、着色流体15が第1基板11の表面に濡れ広がる。また、薄膜電磁石17がOFF状態となると、遮光状態の光変調素子100(図中左側)のように、着色流体15は表面張力によって封入空間S内で略球状となる。
なお、薄膜電磁石17は、プレーナ型コイルの表裏に電磁ヨークを設け、上方の電磁ヨークと下方の電磁ヨークとをコンタクト部で連結した構造とされている。電磁ヨークはFe−N、Co−Zr−Nb、Fe−Ni、Fe−Si等の軟磁性薄膜で形成され、プレーナ型コイルには銅、アルミ等の薄膜で形成される(例えば特開2000−235152号公報参照)。
また、光変調素子100の光入射側となる裏面側には、バックライト27を設けている。このバックライト27は、光変調素子100の裏面に沿って配設した導光板29と、この導光板29の端面に設置した光源31とを有し、光源31からの光を導光板29内で全反射導光させながら光変調素子100へ導入する。
次に、上記光変調素子100の各部における具体的な構成を以下に詳細に説明する。
上記の着色流体15は、高級脂肪酸塩が吸着された磁性微粒子の水性エマルジョンと難水溶性界面活性剤の有機溶媒溶液とを超音波照射処理して界面活性剤を磁性微粒子に吸着させた後、これを例えば、トルエン等の芳香族炭化水素、高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリブデン、ジカルボン酸ジエステル等の基油中に分散させることにより好適に製造できる。
着色流体15に用いられる磁性微粒子としては、一般にフェライト類微粒子が用いられる。フェライト類微粒子としては、任意の方法によって製造されて用いられるが、好ましくは、純度、粒径の制御生産性の点で有利である共沈法によって製造されたフェライト粒微粒子、例えば、マグネタイト、ニッケルフェライト、マンガンフェライト、コバルトフェライト、ニッケル−亜鉛フェライト、マンガン−亜鉛フェライト等が好ましい。これら以外にも、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト等の金属またはそれらのホウ素化物、窒化物、炭化物等の微粒子等も用いることができる(例えば特開2001−167919号公報参照)。
なお、着色流体15中の磁性微粒子の濃度は、約3〜70重量%の範囲内のものが好適に使用される。さらに、磁性微粒子に吸着する脂肪酸塩のアニオンとしては、通常、炭素数が10〜30の脂肪酸アニオンが採用されるが、この脂肪酸アニオンの具体例としては、オレイン酸アニオン、ステアリン酸アニオン、リノール酸アニオン、リノレン酸アニオン、エルカ酸アニオン、ミリスチン酸アニオン、ベヘン酸アニオン等の高級脂肪酸アニオンを挙げることができる(例えば特開平8−259986号公報参照)。脂肪酸塩のカチオンの具体例としては、カリウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、4級アンモニウム塩化合物(テトラアルキルアンモニウム、1−アルキルピリジウム等)等を挙げることができる。
上記磁性微粒子の調製は、次のようにして行うことができる。まず、磁性微粒子の水性分散液へこれらの高級脂肪酸塩水溶液を添加した後、攪拌条件下に室温乃至約90℃の温度で約0.5〜2時間程度吸着処理し、高級脂肪酸塩被覆フェライト類微粒子を形成させる。
高級脂肪酸塩を吸着させた磁性微粒子は、疎水性表面を有するため、有機溶媒中への分散が可能となる。有機溶媒としては、例えばn−ヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン等のエーテル等が用いられる。
水溶液中で調製した磁性微粒子は、親水性が高いため有機溶媒中への分散ができず、凝集してしまうが、水溶性の界面活性剤(高級脂肪酸塩)を吸着させることにより、微粒子は疎水性となって上記例示した各種溶媒中へ分散させることができるようになり、油溶性の界面活性剤(難水溶性界面活性剤)で処理することが可能となる。
なお、この着色流体15としては、例えば、「プリンター材料の開発」株式会社シーエムシー、監修高橋恭介/入江正浩に記載のインク材料、特開2002−137399号公報に記載のインク、特開2002−294133号公報に記載の顔料、界面活性剤及び架橋反応し得る樹脂が水性媒体中に配合されてなる顔料分散液、特開2001−11341号公報に記載の水性顔料分散液、特開2002−241649号公報に記載の少なくとも親水性樹脂に封入された疎水性染料、水性有機物、特開平10−60344号公報に記載の高分子色素材料等を用いることができる。また、液体材料は、例えば、特開昭48−97773号公報に記載されているようにマイクロカプセルに内包されているものでも良い。
また、第1基板11の表面に形成される撥水・撥油膜14としては、フッ素を含有しないオルガノシランからなる有機珪素化合物を有した撥水性酸化珪素皮膜が適用可能である。
低温プラズマによるオルガノシランの反応生成物では、低い表面エネルギーが得られ、それゆえ、撥水性が向上する特徴を有する。また、撥水性酸化珪素皮膜では、オルガノシランは、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン及びヘキサメチルジシロキサンの少なくとも一種であることが好ましく、これらのオルガノシランは、蒸気圧が高いため蒸発しやすく、加熱したりキャリアガス等を用いたりしなくても安定して原料ガスの供給ができる。また、比較的安全性に優れるため扱いやすく、安価であるため、成膜コストを低減することもできる(例えば特開平11−263860号公報参照)。
さらに、撥水・撥油膜14としては、撥水・撥油膜剤、若しくはこれを含む組成物を適用できる。撥水、撥油膜剤としては、例えば、フッ化ピッチ、或いはフッ素樹脂、具体的にはポリテトラフルオロエチレン、テトラエチレン- ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン- テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン- パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリフッ化ビニル等、それらをベースとしたフッ素樹脂コーティング剤などが、フルオロカーボン基を有するフッ素含有化合物、またはそれらをベースとしたフッ素樹脂コーティング剤を用いることもできる(例えば特開2001−254030号公報参照)。
さらに、撥水・撥油剤を含有する撥水・撥油剤の組成物を構成するその他の成分については特に制限はなく、それらは、撥水・撥油剤以外の既存の樹脂、ゴム、水性又は油性の液状媒体や、各種の粉体、又はこれらの混合物であっても良い。
前記その他の成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、PTFE、FEP、PFA、ETFE、PVDF、シリコーン、ワックス等の熱可塑性樹脂及びそれらの誘導体、並びにそれらを含む共重合体や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂及びそれらの誘導体が例示できる。
また、熱可塑性樹脂と撥水・撥油剤を含有する組成物を調製する場合は、これらを溶融混練後に成形又は溶液中で混合後に成形/乾燥すると、相対的に界面エネルギーの小さい撥水・撥油剤は成形体の表層付近に多く偏在するようになる。従って、少量の添加量で効率よく成形体表面全体に撥水・撥油性を付与することができる。
また、熱硬化性樹脂と撥水・撥油剤を含有する組成物を調製する場合は、熱硬化性樹脂の前駆体又はプレポリマーと撥水・撥油剤を予め混合した後、重合/硬化させることで得られる(例えば特開2002−88349号公報参照)。
さらに、撥水・撥油膜14としてPTFE多孔質フィルムを用いる場合には、PTFE多孔質フィルムにスパッタエッチング処理を施すことにより、多孔質フィルムをより撥水性の優れたものとすることも可能である。
上記構成の光変調素子100の作用を説明する。
光変調素子100は、薄膜電磁石17がONとなると、着色流体15が磁力により封入空間S内で第1基板11の表面に濡れ広がり、バックライト27の光が着色流体15によって遮光される(図1の右側の光変調素子の状態)。
これに対して、薄膜電磁石17がOFF状態となると、着色流体15が自身の表面張力によって封入空間S内で略球状となり、撥水・撥油膜14が形成されていない中心部に集まる。すると、バックライト27の光が、光変調素子100の光出射側へ、第1基板11及び第2基板13を透過して出射される(図1の左側の光変調素子の状態)。なお、中心部に集まった着色流体15により光変調素子100の光変調領域の一部が遮光されることになるが、光路前方に光拡散板等を配置することで、中心部の回りの透過光によって光変調領域内で出射光の均等化が図られる。
また、階調表示を行う場合には、1画素を複数の光変調素子で形成して面積階調表示を行う構成とする他、明暗状態の切り換えをデューティ制御する等の時間変調による階調表示を行う構成としてもよい。
上記光変調素子100においては、薄膜電磁石をON状態からOFFとしたときの磁性流体が中心部に集まり略球状になる力は、基板表面の撥水性によるものであるが、これに限らず、強制的に中心部に集まるように中心部に磁界を発生させる構成としてもよい。
図2に中心部に磁界を発生させる光変調素子の一構成例を示した。この光変調素子110では、図2の左側に示すように素子中心部の薄膜電磁石をON状態、素子両脇部の薄膜電磁石をOFF状態にすることで、磁性流体が中心部に集まり、光路前方に光を出射する。また、図2の右側に示すように素子両端部の薄膜電磁石をON状態、素子中心部の電磁石をOFF状態にすることで、磁性流体が濡れ広がり、遮光状態となる。上記構成とすることで、OFF状態からON状態にするまでの所要時間が短くなり、より高速な光変調が可能となる。
次に、上記光変調素子100(或いは110)を複数個配列して形成した表示装置を説明する。
図3に複数の上記光変調素子を備えた表示装置の斜視図を示した。
この表示装置200は、複数の光変調素子100が2次元のアレイ状に整列配置されてなる。各光変調素子100には、走査信号ライン41及び画像信号ライン43が接続され、これら走査信号ライン41及び画像信号ライン43は、転送路45を介してドライバ回路47に接続されている。そして、このドライバ回路47からの制御信号によって、各光変調素子100の駆動が制御される。
さらに、上記表示装置200をアクティブマトリクス駆動する場合には、次のような結線回路となる。
図4は各光変調素子100に設けた画素駆動回路48によるアクティブマトリクスの等価回路図である。この例に示すn行×m列のアクティブマトリクスの構成例では、走査信号ライン41に順次操作電圧を印加し、これに接続されている画素駆動回路48を一斉にON状態とする。同時に、画像信号ライン43から画像信号電圧Vbを印加し、画素駆動回路48を通して各画素の静電容量に電荷を蓄積する。一行の走査が終了すると、画素駆動回路48が非導通となっても上述の光変調状態は維持され、複数の行のマトリクス変調が可能となる。アクティブマトリクスに使用するスイッチング素子は、一つの画素に対して少なくとも一つ以上用いることが好ましい。
このように、上記光変調素子100を備えた表示装置200によれば、着色流体15を封入空間S内で変形させて封入空間S内における基板11の少なくとも一方の面内に占める面積を制御して透過光を確実にかつ迅速に調整するものであるので、液晶表示装置、有機EL表示装置、電気泳動表示装置等と比較して、高い輝度で色むらなく高コントラストでかつ広い視野角で、画像を低コストで表示することが可能となり、また、消費電力も低減することができる。
また、磁力発生手段である薄膜電磁石17によって、磁性を有する着色流体15を容易にかつ迅速に変形させて光変調領域における光変調を円滑に行わせることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る表示装置の第2実施形態を説明する。なお、以降の説明では、上記第1実施形態に係る表示装置と同一の機能を有する同一の部材に対しては、同一の符号を付与することでその説明は省略するものとする。
図5は圧電体を駆動源として光変調を行う光変調素子の断面図である。
この表示装置210を構成する光変調素子120では、第1基板11の内部に空所33が形成されており、空所33の表示側の面は、弾性変形可能な振動板部11aとされている。
振動板部11aには、着色流体15を変形させる駆動手段として、その表示側の面に薄膜状の透光性を有する圧電体35を設置している。この圧電体35には、図示は省略するが、中心部分を除いた表面に前述の撥水・撥油膜を形成している。
この圧電体35は、図示しない電極で挟まれて配置されている。圧電体35は、これら電極から電圧が印加されることにより、図5の右側の光変調素子の状態のように、封入空間S内で第2基板13側へ突出するように湾曲する。これにより、封入空間S内の着色流体15が第2基板13に押し付けられて外周側へ濡れ広がる。また、圧電体35への電圧の印加がなくなると、図5の左側の光変調素子の状態のように、湾曲していた圧電体35が平面状に戻り、着色流体15は、自身の表面張力により、封入空間S内で略球状に纏まる。
第1基板11と第2基板13との間には、例えば、シルクスクリーン印刷等によって形成された隔壁37が、隣接する光変調素子110同士間を仕切り、着色流体15が1つの光変調素子120内に留まるようにしてある。即ち、この隔壁37によって各光変調素子120の封入空間Sが区画されている。
なお、本実施形態では、第1基板11と第2基板12との間の着色流体15として、顔料系インク、染料系インクあるいは着色したオイル等を使用できる。
ここで、圧電体35が積層される第1基板11の振動板部11aは、厚さ0.1μm以上、10μm以下のシリコン単結晶基板が好ましく、その他にも、二酸化ケイ素膜、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等が好適である。特に、二酸化ケイ素(SiO)からなるSiO膜と、SiOの上に形成される酸化ジルコニウム(ZrO)からなるZrO膜との積層からなることが好ましい。
また、圧電体35の第1基板11側の電極は、イリジウムの単層膜で構成されるか、又は、振動板部11a側からイリジウム層/白金層、白金層/イリジウム層、イリジウム層/白金層/イリジウム層といった積層構造を有していることが好ましい。或いは、イリジウムと白金の合金からなる膜としてもよく、白金を単独に用いてもよい。
なお、振動板部11aと下部の電極との間には、両者間の密着力を向上させるために、極薄のTi薄膜やクロム薄膜等の適当なバッファ層を介在させてもよい。Ti薄膜の膜厚としては、10nm以上20nm未満が好適である。
圧電体35は強誘電体薄膜であることが好ましく、チタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO),マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)、又は、マグネシウム酸ニオブ酸ジルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等からなることが好ましい。さらには、延伸分極化したポリフッ化ビニリデン(PVDF)やセラミックス材料を高分子に分散させた複合材料等を用いることが可能である。特に、チタン酸鉛(PbTiO)とジルコン酸鉛(PbZrO)との二成分系や、マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O)とジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)との三成分系からなることが好ましい。
さらに、上部の電極は、通常電極として用いることができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、Pt、RuO、Ir、IrO 等の単層膜又はPt/Ti、Pt/Ti/TiN、Pt/TiN/Pt、Ti/Pt/Ti、TiN/Pt/TiN、Pt/Ti/TiN/Ti、RuO/TiN、IrO /Ir、IrO /TiN等の2層以上の積層膜であってもよい(例えば特開2002−43642号公報参照)。
上記の圧電体35を製造する場合には、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に代表される圧電材料を、第1基板11側の電極の上に高温のrfスパッタ法等でエピタキシャル成長させて成膜する。圧電材料の厚さは、変位をすることから5〜30μmが望ましい。次に、上部の電極となる電極材料をrfスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィとイオンミリング法により第2基板13側の電極を形成する。電極材料の膜厚は、抵抗等の関係から0.1〜1μmが望ましい(例えば特開平9−94955号公報参照)。
なお、圧電体35としては、上記無機系のPZTが好ましいが、さらに、このPZTとしては、電界を印加した場合に、電界の方向に直交する方向への変位量を示す圧電d定数d31が大きい方が好ましい。
そして、この光変調素子110では、圧電体35の電極から電圧が印加されると、圧電体35が第2基板13側へ突出するように湾曲し、封入空間S内の着色流体15が第2基板13に押し付けられて外周側へ濡れ広がる。これにより、バックライト27の光が着色流体15によって遮光される(図5の右側の光変調素子の状態)。
また、圧電体35への電圧の印加がなくなると、湾曲していた圧電体35が平面状に復元し、着色流体15は、自身の表面張力により、封入空間S内で略球状となり、撥水・撥油膜を形成していない中心部分に集まる。これにより、バックライト27からの光が着色流体15によって遮光されることなく光変調素子120の第1基板11及び第2基板13を透過して出射される(図5の左側の光変調素子の状態)。
このように、上記構造の光変調素子120を備えた表示装置によれば、圧電体35によって封入空間Sの厚みを変化させることにより、着色流体15を変形させて容易にかつ迅速に光変調を円滑に行わせることができる。
なお、図6に示すように、第1、第2実施形態の表示装置を構成する光変調素子100,110,120の封入空間S内に、着色流体15とともに、この着色流体15と混和しない透明流体16を封入しても良く、このような構造の光変調素子によれば、着色流体15の変形挙動が円滑化され、光変調をさらに円滑に行わせることができる。
なお、この場合、着色流体15及び透明流体16の両方もしくはいずれか一方の流体として、チキソトロピー流体を用いると良い。このチキソトロピー流体は、静止状態でゲル状に固まり、振動等の外力を加えるとゾル状となって流動性が生じる性質を有するもので、このチキソトロピー流体を用いることにより、着色流体15及び透明流体の変形スピードや保持時間を容易に制御することができ、高品質な画像表示を行うことができる。
また、上記のように着色流体15を変形させて透明流体57を従動させる構成に限らず、図7に示すように、逆に着色流体15が透明流体16の変形によって従動される構成としても構わない。
なお、上記第1、第2実施形態の表示装置は、平面薄型のバックライト27と光変調素子100,110,120とから構成され、光変調素子は、透過光量を電気機械式シャッタにより調整するものである。このような構造の表示装置では、LCDとは異なり、光量が大きく低減する偏光板を使用する必要がない。従って、LCDに比べてバックライト27からの光を有効に利用することができる。即ち、低電力効果に優れた構成となる。
ここで、特に、光を有効に利用することが可能な構造を第1実施形態の光変調素子100を用いた場合を例にとり説明する。
図8にスリットパネルとマイクロレンズアレイとを組み合わせて使用した表示装置の概略断面図を示した。
この表示装置220では、光変調素子100の光入射側にスリットパネル51とマクロレンズアレイ53とをこの順で配置し、スリットパネル51へ図示しないバックライトからの光をマイクロレンズアレイ53を通して入射させている。スリットパネル51には、光変調素子100の各画素に対応したスリット55が形成されており、このスリット55に向けて入射光がマイクロレンズアレイ53により収束される。最初の試行でスリット55に入射し得なかった光は、バックライト側への後方に反射されて再利用される。
上述したスリットパネル51とマイクロレンズアレイ53を用いることにより、特に高い光利用効率を得ることができる。
また、図9には、光を有効に利用することが可能な他の例として、集光キャビティを有するパネルとマイクロレンズアレイとを組み合わせて使用した表示装置の概略断面図を示した。
この表示装置230では、光変調素子100の光入射側に集光キャビティを有するパネル57と、マイクロレンズアレイ53とをこの順で配置し、パネル57の各キャビティへ、図示しないバックライトからの光をマイクロレンズアレイ53を通して入射させている。
パネル57は、規則的に分布する集光キャビティを複数有しており、それぞれのキャビティの入口孔59は集光に用いられる。キャビティの内壁面61は、キャビティ内に入射した光が出口孔63に向かうように光路を規制しており、反射による光量の減衰を最少にするために、アルミ等の高反射膜で被覆している。また、出口孔63は、光変調素子100の各画素に対応して設けられている。
この表示装置230によれば、マイクロレンズアレイ53により集光された入射光がパネル57内のキャビティに導入され、このキャビティ内でさらに出口孔63に集光されて光変調素子100へ出射されることになる。これにより、一層高い光利用効率とすることができ、効率良く高輝度の表示が行えるようになる。
以上の説明では、バックライト27からの光を透過させる透過型の表示装置を例にとって説明したが、本発明は透過型に限らず、半透過型、反射型にも適用することができるのは勿論である。その場合には、光変調素子100,110の背面側にミラーや白色拡散板等の光反射体を設けた構成とすることで、正面側からの入射光を有効利用して、高効率で表示させることができる。
ここで、本発明に係る表示装置をカラー表示装置として構成した例について説明する。
図10は、いずれもカラー表示装置の1画素に相当する構成を示している。
図10(a)は、反射型のカラー表示装置240であり、第1基板11の表示側の面に光吸収板65が設けられ、光変調素子の着色流体15a,15b,16cが、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)色とされている。これにより、外光が着色流体15a,15b,15cに照射されると、その着色流体の色が表示光となる。一方、着色流体が球状に纏まった状態であると、外光の殆どが光吸収板65に照射され、光が吸収されて黒色の表示となる。
図10(b)は、透過型のカラー表示装置250であり、光拡散板26a,26b,26cが、それぞれR、G、B色の透過性を有するカラーフィルタとされている。
また、図10(a)に示すような反射型のカラー表示装置240は、上記構成に限らず、第1基板11の表面側の光吸収板65に代えて、ミラー又は白色拡散板等の光反射体を設けた構成としてもよい。その場合には、着色流体15を黒色とし、各光変調素子にR、G、B色の透過性を有するカラーフィルタを設ければよい。また、着色流体15をR、G、B色に代えて、それぞれY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)色とした構成にしてもよい。この構成によっても、効率良くカラー表示を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る表示装置を構成する光変調素子の断面図である。 中心部に磁界を発生させる光変調素子の一構成例を示す断面図である。 複数の光変調素子を備えた表示装置の構造を示す斜視図である。 各光変調素子に設けた画素駆動回路によるアクティブマトリクスの等価回路図である。 圧電体を駆動源として光変調を行う第2実施形態に係る光変調素子の断面図である。 封入空間に着色流体と透明流体とを混在させた様子を示す説明図で、(a)は光透過状態、(b)は遮光状態を示す概略断面図である。 封入空間に着色流体と透明流体とを混在させて透明流体を駆動する様子を示す説明図で、(a)は光透過状態、(b)は遮光状態を示す概略断面図である。 スリットパネルとマイクロレンズアレイとを組み合わせて使用した表示装置の概略断面図である。 集光キャビティを有するパネルとマイクロレンズアレイとを組み合わせて使用した表示装置の概略断面図である。 カラー表示装置の1画素に相当する構成図であって、(a)は反射型(b)は透過型のカラー表示装置の断面図である。
符号の説明
11 第1の基板(基板)
13 第2の基板(基板)
15 着色流体(流体)
17 薄膜電磁石(磁力発生手段)
27 バックライト
35 圧電体
48 画像駆動回路
100,110,120 光変調素子
200,210,220,230,240,250 表示装置
S 封入空間

Claims (9)

  1. 複数の光変調素子がアレイ状に配設され、前記光変調素子を駆動することにより画像の表示を行う表示装置であって、
    前記光変調素子は、互いに間隔をあけて配設された一対の基板と、該基板間の隙間からなる封入空間内に封入された流体と、該流体を前記封入空間内で変形させて前記封入空間内における前記流体の前記基板の少なくとも一方の面内に占める面積を制御して透過光又は反射光の光量を調整する駆動手段とを有することを特徴とする表示装置。
  2. 前記流体が磁性を有する磁性流体からなり、前記駆動手段が前記封入空間に磁場を生じさせて前記流体を磁力により変形させる磁力発生手段からなることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 前記駆動手段が、電圧印加による変形によって前記封入空間の厚みを変化させ、前記流体を変形させる圧電体からなることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  4. 前記流体が着色体を含む着色流体であって、前記封入空間に前記流体と混和しない透明流体が封入されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の表示装置。
  5. 前記流体が透明流体であって、前記封入空間に前記流体と混和しない着色流体が封入されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の表示装置。
  6. 前記着色流体及び透明流体の両方もしくはいずれか一方が、静止状態でゲル状に固まり、外力によりゾル状となって流動性が生じる性質を有するチキソトロピー流体であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の表示装置。
  7. 複数配列された前記光変調素子の裏面側に、光を照射するバックライトを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の表示装置。
  8. 複数配列された前記光変調素子の裏面側に、光を反射する反射板又は白色拡散板を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の表示装置。
  9. 複数の前記光変調素子と前記バックライトとの間に、前記バックライトの光をそれぞれの前記光変調素子の光変調領域に集光させる複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを設けたことを特徴とする請求項7記載の表示装置。
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